1.解放(:第一次世界大戦回想録より)
サリオンに同行を承知させた翌日、俺はクリステルと剣を交えた。
実戦の勘を取り戻すための訓練だ。右腕一本でどれだけ大剣を扱えるかを試す意味もあった。
サヤ=イチジョウに頼んでもよかったのだが、彼女が相手では怪我をさせてしまう可能性があった。
今から考えると、それは杞憂だったのかもしれないが。
まあ、当時は彼女のように若い者に頼むのも気が引けたのだろう。
その点クリステルはある種年齢を超越した人間性を備えていたから、頼みやすかったといえる。
実戦の勘を取り戻すための訓練だ。右腕一本でどれだけ大剣を扱えるかを試す意味もあった。
サヤ=イチジョウに頼んでもよかったのだが、彼女が相手では怪我をさせてしまう可能性があった。
今から考えると、それは杞憂だったのかもしれないが。
まあ、当時は彼女のように若い者に頼むのも気が引けたのだろう。
その点クリステルはある種年齢を超越した人間性を備えていたから、頼みやすかったといえる。
訓練の合間に少し話したが、そこで彼(と、もはや書いてしまう)が「あの」冥府ドゥドゥッピ道を極めんとしてると聞いたのだった。
そんなものを極めてはキワモノになってしまう、という駄洒落が脳裏をよぎったのは、今だから書けることだ。
それはともかくとして、話してみて彼を見る目が変わったとは記しておかねばなるまい。
一部に常識との致命的な乖離があるものの、それ以外の部分では揺るぎない知性が感じられた。
その直感はその後の戦いの中で正しかったと証明されていくのだが、それ故にこそ、残念でならない。
そんなものを極めてはキワモノになってしまう、という駄洒落が脳裏をよぎったのは、今だから書けることだ。
それはともかくとして、話してみて彼を見る目が変わったとは記しておかねばなるまい。
一部に常識との致命的な乖離があるものの、それ以外の部分では揺るぎない知性が感じられた。
その直感はその後の戦いの中で正しかったと証明されていくのだが、それ故にこそ、残念でならない。
シェローティア解放軍は聖神官サリアを救出すべく、ウィンズに向けて出立した。
プレインに一兵も残さなかったのは、例え防備を固めさせたとしても次の攻勢を凌ぐことはできないとの判断からだ。
勝ち目の無い戦いを挑むよりは無条件降伏をした方が犠牲は小さく抑えられるだろう。
さて、ウィンズ近郊で我々は主力の40騎を待機させ、残る10騎と共に潜入した。
検問があるとは聞いていたが形ばかりで、取調べはお粗末極まりなかった。
プレインに一兵も残さなかったのは、例え防備を固めさせたとしても次の攻勢を凌ぐことはできないとの判断からだ。
勝ち目の無い戦いを挑むよりは無条件降伏をした方が犠牲は小さく抑えられるだろう。
さて、ウィンズ近郊で我々は主力の40騎を待機させ、残る10騎と共に潜入した。
検問があるとは聞いていたが形ばかりで、取調べはお粗末極まりなかった。
結果として難なく中に入れたわけだが、俺はそれを腹立たしく思ったものだ。
ウィンズを支配していたのはバルバス軍だが、そこに緊張感は微塵もなかった。
軍律を破ることが味方全体の生死に直結する場合があることを、彼らは肌で感じたことが無かったのだろう。
ウィンズを支配していたのはバルバス軍だが、そこに緊張感は微塵もなかった。
軍律を破ることが味方全体の生死に直結する場合があることを、彼らは肌で感じたことが無かったのだろう。
とはいえ好機は好機。簡単な聞き込みで聖神官の居所を掴んだ我々は、その救出のために動き出した。
この辺りから、我々4人の役割分担が固まりつつあったと言えるだろうか。
俺とクリステルが策を出し、サリオンが決断する。
この時点ではサヤが作戦会議で発言することはなかったが、常に真剣な面持ちで我々の会話を聞いていたものだ。
それが無駄ではなかったことは彼女の後の活躍が示している。
この辺りから、我々4人の役割分担が固まりつつあったと言えるだろうか。
俺とクリステルが策を出し、サリオンが決断する。
この時点ではサヤが作戦会議で発言することはなかったが、常に真剣な面持ちで我々の会話を聞いていたものだ。
それが無駄ではなかったことは彼女の後の活躍が示している。
さて、想い出したくないがためにここまで駄文を連ねてきたが、時間稼ぎを終えねばなるまい。
俺が書き残すべきことはまだ数多くあるのだから。
潔く、我々が犯した数ある過ちの1つについて記していくとしよう。
俺が書き残すべきことはまだ数多くあるのだから。
潔く、我々が犯した数ある過ちの1つについて記していくとしよう。
1.決断(:愛の日記 31章 11節より)
ウィンズで私たちが行った作戦は、シンプルで多重的な物だった。
作戦を立案したのはヴォルフさんとワタシ。ヴォルフさんは長年の経験に基づいて、ワタシはドゥドゥッピ道に伝わる戦略を用いて立案をしたわ。
作戦を立案したのはヴォルフさんとワタシ。ヴォルフさんは長年の経験に基づいて、ワタシはドゥドゥッピ道に伝わる戦略を用いて立案をしたわ。
サリアさんが捕らえられた理由は、サリアさんの近衛騎士が人質に取られたことが原因よ。だから作戦は基本的に近衛騎士を解放することを目標にしたわ。
作戦は大まかに言ってこうかしら。
先ず、外に待機しているステラと40人ほどの部隊がウィンズに向かって攻撃を行う。
その後、私たちと一緒に内部に潜入した10人が、軍の施設に火をつけるなどして陽動を行う。
最後に、私たちが近衛兵が監禁されているところを開放する。
そして、その事がサリアさんに伝われば、サリアさんは自力で脱出できるってわけ。
先ず、外に待機しているステラと40人ほどの部隊がウィンズに向かって攻撃を行う。
その後、私たちと一緒に内部に潜入した10人が、軍の施設に火をつけるなどして陽動を行う。
最後に、私たちが近衛兵が監禁されているところを開放する。
そして、その事がサリアさんに伝われば、サリアさんは自力で脱出できるってわけ。
そのためには、あらかじめサリアさんに作戦を伝えておく必要があったわ。
幸い、神殿の司祭様から、サリオンさんを通じてサリアさんと近衛騎士の監禁場所は聞いていたの。
サヤがそこに潜入して、サリアさんに連絡手段となる魔導書を手渡して作戦の準備が完了するはずだったわ。
幸い、神殿の司祭様から、サリオンさんを通じてサリアさんと近衛騎士の監禁場所は聞いていたの。
サヤがそこに潜入して、サリアさんに連絡手段となる魔導書を手渡して作戦の準備が完了するはずだったわ。
でも、そこにサリアさんがいるというのは機密事項だったの。
そこにサヤが進入しようとしたことで、相手は不振に思ってサヤを問い詰めたわ。
サヤはサリアさんの協力で逃げ帰ったものの、相手に何かあるというのはバレてしまった。
そこにサヤが進入しようとしたことで、相手は不振に思ってサヤを問い詰めたわ。
サヤはサリアさんの協力で逃げ帰ったものの、相手に何かあるというのはバレてしまった。
その事で私たちは相手が対応策を打つ前に動かなければいけなくなってしまったわ。
そこで私たちは相手が気づいたことを逆手に取ろうとしたの。
サリアさんの所に侵入されて混乱している所に、さらに兵力を投入すれば相手の混乱を助長し、近衛騎士への警備が薄くなると考えたわ。
でも結果としてしてこれがオケツを・・・いえ墓穴を掘ることになってしまったの。
そこで私たちは相手が気づいたことを逆手に取ろうとしたの。
サリアさんの所に侵入されて混乱している所に、さらに兵力を投入すれば相手の混乱を助長し、近衛騎士への警備が薄くなると考えたわ。
でも結果としてしてこれがオケツを・・・いえ墓穴を掘ることになってしまったの。
サリアさんが捕らえられている所を強襲したものの、敵はそこに戦力を割くようなことはしなかったわ。
サリアさんは本来自力で脱出できるはず。だから、守ることに意味はあまりなかったのね。
あせってその事を見落とした私たちは、タイミングをずらして近衛騎士の救出に向かったけど、敵に囲まれてしまったわ。絶体絶命のピンチというやつね。
サリアさんは本来自力で脱出できるはず。だから、守ることに意味はあまりなかったのね。
あせってその事を見落とした私たちは、タイミングをずらして近衛騎士の救出に向かったけど、敵に囲まれてしまったわ。絶体絶命のピンチというやつね。