冒険者と法
トーチ・ポートは交易の町であり、世界中からの商人の行き来によって経済の成り立つ町である。
それゆえその護衛となり、また問題解決に当たってくれる冒険者に対しては歓迎される傾向にある(もちろん彼らが任務に忠実かつ誠実であれば、だが)。
一方で、冒険者は恐れられる存在でもある。彼らは常人には決して太刀打ちできないオーガや巨大な獣を剣によって打ち倒し、音もなく人の背後に忍び寄り、魔法によって人の心を操り、また炎で焼き尽くすような強大な力を持っている。そんな――モンスターにも等しい――力を持つ者たちが何の制限もなく町中を出歩いているのは、力なき一般人にとっては大きな脅威である。
ゆえに、そうした力を持つ者たちは町を統治する参事会による統制の対象であり、町の治安を乱すものには容赦なく法の裁きが下される。特に常人にはない力――魔法は(ほかの町ほどではないが)厳しく規制されている。
それゆえその護衛となり、また問題解決に当たってくれる冒険者に対しては歓迎される傾向にある(もちろん彼らが任務に忠実かつ誠実であれば、だが)。
一方で、冒険者は恐れられる存在でもある。彼らは常人には決して太刀打ちできないオーガや巨大な獣を剣によって打ち倒し、音もなく人の背後に忍び寄り、魔法によって人の心を操り、また炎で焼き尽くすような強大な力を持っている。そんな――モンスターにも等しい――力を持つ者たちが何の制限もなく町中を出歩いているのは、力なき一般人にとっては大きな脅威である。
ゆえに、そうした力を持つ者たちは町を統治する参事会による統制の対象であり、町の治安を乱すものには容赦なく法の裁きが下される。特に常人にはない力――魔法は(ほかの町ほどではないが)厳しく規制されている。
■武器・防具の規制
トーチ・ポートには旅商やその護衛が数多く出入りしている関係上、武器・防具の規制がほかの町に比べて緩い。防具に関しては周囲に危険を及ぼさないかぎり特に規制はないし、武器も所持については通常規制の対象とはならない。ただし貴族街、高級住宅街など町の要人の多いエリアでは衛兵が武器を所持している者を見とがめ、取り調べを行なうような場合もある。
トーチ・ポートには旅商やその護衛が数多く出入りしている関係上、武器・防具の規制がほかの町に比べて緩い。防具に関しては周囲に危険を及ぼさないかぎり特に規制はないし、武器も所持については通常規制の対象とはならない。ただし貴族街、高級住宅街など町の要人の多いエリアでは衛兵が武器を所持している者を見とがめ、取り調べを行なうような場合もある。
町中では、所持する武器は以下のように扱わなければならない。
- 刃物はすべて鞘に収める。刃物を抜き身のまま持ち歩くことは禁じられている。
(通常鞘のない武器(斧、槍など)にも鞘をしなければならないため、城門前や港には皮細工職人の店が数軒立ち並んでいる)
- 杖以外の武器はすぐに使えない状態にする(背負い袋に入れるなど)。弓などは弦を取り外した状態にしておくことが望ましい。
- クロスボウの矢を装填した状態で持ち運んではならない。
上記の項目の違反は衛兵の注意対象となる。また公の場(大通り、市場、参事会庁舎など)では軽犯罪、軍事区画・貴族街・宗教区では重犯罪とみなされる場合もある。これらは成文化した法としては「町民に危害を加える危険のあるものを町に持ち込み、また持ち歩いてはならない」という記述があるだけにすぎず、衛兵当局の慣習に基づいた判断によって運用されているため、このような大まかな決まりしかない。
また、こうした武器の持ち歩きは罪にならないが、武器によって人を傷つけた場合、普通の(素手やありあわせの武器を使った)事件と比べ重く量刑される場合も多く、罰が一等重くなる(「罪と罰」参照:軽犯罪→重犯罪、重犯罪→死罪として扱われる)こともある。特に冒険者の多くはよそ者であり、町民のように多額の税金を納めているわけでもないので、普段の寛容の裏返しとして町民に危害を加える冒険者への風当たりは非常に強い。
また、こうした武器の持ち歩きは罪にならないが、武器によって人を傷つけた場合、普通の(素手やありあわせの武器を使った)事件と比べ重く量刑される場合も多く、罰が一等重くなる(「罪と罰」参照:軽犯罪→重犯罪、重犯罪→死罪として扱われる)こともある。特に冒険者の多くはよそ者であり、町民のように多額の税金を納めているわけでもないので、普段の寛容の裏返しとして町民に危害を加える冒険者への風当たりは非常に強い。
■魔法の規制
トーチ・ポートでは魔法は一般的で、一般人でもそれなりに魔法への理解がある。魔法使いが小遣い稼ぎに修理しにくい物品(馬車の車輪の軸受けやなべの底など)をメンディング呪文で修復するといったことはよく行なわれているし、魔法の物品は市場に通常の品同様流通し高価ながら便利な品として重宝されている。
一方で魔法の危険もまた広く知られており、魔法で悪事を働くものには通常より重い罰が課されることが多い。また、犯罪に魔法が使われた兆候が認められるならば、調査する側は探査魔法やディヴィネーション呪文などの使用も辞さず、徹底的に調査を行なうだろう。魔法は町に欠かせないものであると同時に、町を滅ぼしかねない危険なものであると考えられているからだ。
トーチ・ポートでは魔法は一般的で、一般人でもそれなりに魔法への理解がある。魔法使いが小遣い稼ぎに修理しにくい物品(馬車の車輪の軸受けやなべの底など)をメンディング呪文で修復するといったことはよく行なわれているし、魔法の物品は市場に通常の品同様流通し高価ながら便利な品として重宝されている。
一方で魔法の危険もまた広く知られており、魔法で悪事を働くものには通常より重い罰が課されることが多い。また、犯罪に魔法が使われた兆候が認められるならば、調査する側は探査魔法やディヴィネーション呪文などの使用も辞さず、徹底的に調査を行なうだろう。魔法は町に欠かせないものであると同時に、町を滅ぼしかねない危険なものであると考えられているからだ。
- 通常の魔法使用:問題なし。住民に迷惑をかけるものでなければ、なんら咎められることはない(※)。
- 心術の使用:人の心をコントロールする呪文の使用は重罪とみなされる。例えばスリープなら(犯罪に用いなければ)無罪だが、ヒプノティズム呪文は使用するだけで軽~重犯罪とみなされる。
- [悪]呪文の使用:通常の呪文同様だが、秩序にして善であるヒルガ神殿の神聖法廷は[悪]呪文を取締りの対象としている。
- 裁判における呪文使用:裁判中、裁判官の許可なく呪文・魔法のアイテムを使用すると無条件で重犯罪を犯したとみなされる。裁判を有利に運ぶために用いたことが発覚したなら、その罪はさらに重いものと判断されるだろう。
- 魔法で人を傷つける・器物を損壊する
[事故の場合]通常通り罪が課され、何らかの補償を求められる。事故の規模によっては犯罪として扱われる場合もある。
[故意・作為あり]武器の場合同様、重く量刑されるが、魔法ではより悪質なものと判断されることも少なくない。
[故意・作為あり]武器の場合同様、重く量刑されるが、魔法ではより悪質なものと判断されることも少なくない。
- 公共物へのディスペル・対抗呪文による相殺(など):町中には公共物として呪文が使用されている箇所が無数にある(消えずの松明同様燃え続ける街灯や、ゾーン・オヴ・トゥルースをパーマネンスした宣誓室など)。こうした呪文を無効化したり、打ち消すことはその呪文の破壊(器物損壊)とみなされ、その呪文の市場価格に応じた罪となる。
※ディテクト系呪文(特に属性や感情・思考を探るもの)は法に触れるわけではないが、「自分を信用していない証拠」と考える人も多く、特に断りなくそうした呪文・能力を使うことは非常に無礼なことであるとされている。
ただし商取引の場では(双方合意の上で)複数の術者を雇い、互いに使用する場合もある。なお“複数の術者”が必要なのは、こうした呪文の大半が「術者にしか結果がわからない」ものであるがゆえに「言ったもの勝ち」にならないためである。
ただし商取引の場では(双方合意の上で)複数の術者を雇い、互いに使用する場合もある。なお“複数の術者”が必要なのは、こうした呪文の大半が「術者にしか結果がわからない」ものであるがゆえに「言ったもの勝ち」にならないためである。
■動物の持ち込み
基本的に、中型サイズより大きい動物は持ち込みが禁止されている。また大きさにかかわらず、危険とされる動物(ヒョウ、ハイエナなどの肉食獣)は町に入れることができない。狭い町中では宿の馬小屋代も外より高いことが多いため、町門前にはこうした動物を預かる畜舎を用意した宿や、危険な動物を預かってくれる動物使いの店がある。
なお、例外として、PHBで「商品」として扱われている動物(馬、ライディングドッグなど)は門で所定の税金を支払う(家畜はすべて5cp)ことで、入町を認められる。ただし、城壁に囲まれた町は狭く、大通りはともかく支路を大型動物や馬車で通行するのはやや困難であるため、町門前の運送業者でロバ・ラバに荷を積み替えて運び入れる場合もある。
基本的に、中型サイズより大きい動物は持ち込みが禁止されている。また大きさにかかわらず、危険とされる動物(ヒョウ、ハイエナなどの肉食獣)は町に入れることができない。狭い町中では宿の馬小屋代も外より高いことが多いため、町門前にはこうした動物を預かる畜舎を用意した宿や、危険な動物を預かってくれる動物使いの店がある。
なお、例外として、PHBで「商品」として扱われている動物(馬、ライディングドッグなど)は門で所定の税金を支払う(家畜はすべて5cp)ことで、入町を認められる。ただし、城壁に囲まれた町は狭く、大通りはともかく支路を大型動物や馬車で通行するのはやや困難であるため、町門前の運送業者でロバ・ラバに荷を積み替えて運び入れる場合もある。
■契約
冒険者と依頼人、また冒険者同士の間では契約は非常に重要なものとされている。冒険者の依頼を果たすという「信用」を売っている以上、契約を守ることは彼らの信用を守る唯一の手段であり、これをなおざりにするものは依頼人からはもちろん同業者たちからも嫌われる。冒険者全体の信用に関わってくるためである。
公的な組織があるわけではないにもかかわらず、こうした評判が広がるのは迅速で、とりわけ悪い噂に関しては非常に素早く伝わっていく。そういう意味では、結果は同じでも依頼解決の「失敗」と「放棄」の間には大きな隔たりがあるといえる。
契約そのものは書類ベースで行なわれることも口頭のみで行なわれることもあるが、本質的な差はほとんどない。仮に書類がなくても、魔法を使えば契約の有無や内容について検証することは難しいことではなく、訴訟になれば正しい側の言い分を崩すことが難しいからである(※)。しかし、会計処理や記録を残さねばならない都合から公的機関では書類ベースで契約を交わすことが多く、書類の不要な民間では口約束での契約が行なわれることが多い。
冒険者と依頼人、また冒険者同士の間では契約は非常に重要なものとされている。冒険者の依頼を果たすという「信用」を売っている以上、契約を守ることは彼らの信用を守る唯一の手段であり、これをなおざりにするものは依頼人からはもちろん同業者たちからも嫌われる。冒険者全体の信用に関わってくるためである。
公的な組織があるわけではないにもかかわらず、こうした評判が広がるのは迅速で、とりわけ悪い噂に関しては非常に素早く伝わっていく。そういう意味では、結果は同じでも依頼解決の「失敗」と「放棄」の間には大きな隔たりがあるといえる。
契約そのものは書類ベースで行なわれることも口頭のみで行なわれることもあるが、本質的な差はほとんどない。仮に書類がなくても、魔法を使えば契約の有無や内容について検証することは難しいことではなく、訴訟になれば正しい側の言い分を崩すことが難しいからである(※)。しかし、会計処理や記録を残さねばならない都合から公的機関では書類ベースで契約を交わすことが多く、書類の不要な民間では口約束での契約が行なわれることが多い。
※むろん何事にも例外はある。魔法的にそうした証拠を消去することも不可能ではないし、判定を行なう審判人や術者、時には裁判官までもが買収されている場合もあるからだ。特に西町では決して少なくない数の「不合理な結審」がなされているといわれている。
■町の人々と冒険者
大半のトーチ・ポートの住人たちは、冒険者たちを友好的に受け入れている(ルール的には反応が「中立的」であるとみなされる)。冒険者は彼らになす事のできない難しい仕事を行なってくれる者たちであり、町の繁栄の中心となっている交易や、それに付随するごたごたを解決してくれる存在であると認めている。
もともと住民たちは「交易で成り立つトーチ・ポートの“資源”であるよそ者に親切にすべきである」と考えており、そうした雰囲気が冒険者を受け入れる姿勢につながっているのだろう。またトーチ・ポートに定住している元冒険者たちが精力的に働き、おおむね平穏に暮らしているあたりもこうした評判に結びついているのかもしれない。ゆえに、冒険者たちが明らかなよそ者であっても(そしてそれが異人種、異種族であっても)寛容に受け入れられる場合が多い。
これは警備兵にしても同じで、彼らはおおむね冒険者に対して寛容である。これには彼ら警備兵が市民兵であり、町を出て剣と魔法で活躍する冒険者に対する憧憬を抱く者が多いこと、また専従兵として雇われる者にはいわゆる「冒険者上がり」が数多く含まれている点が関わっているかもしれない。ゆえに、冒険者の小さな違反(武器の所持制限の逸脱などの微罪)ならば、軽い注意程度で見逃してくれる者も少なくないようだ。
しかし貴族や高級官僚など支配階級に属する者の中には、もめ事の種となりやすく、統制しにくいよそ者を嫌う者もおり、こうした者たちにとっては冒険者もまた「望まざる客」だろう。
大半のトーチ・ポートの住人たちは、冒険者たちを友好的に受け入れている(ルール的には反応が「中立的」であるとみなされる)。冒険者は彼らになす事のできない難しい仕事を行なってくれる者たちであり、町の繁栄の中心となっている交易や、それに付随するごたごたを解決してくれる存在であると認めている。
もともと住民たちは「交易で成り立つトーチ・ポートの“資源”であるよそ者に親切にすべきである」と考えており、そうした雰囲気が冒険者を受け入れる姿勢につながっているのだろう。またトーチ・ポートに定住している元冒険者たちが精力的に働き、おおむね平穏に暮らしているあたりもこうした評判に結びついているのかもしれない。ゆえに、冒険者たちが明らかなよそ者であっても(そしてそれが異人種、異種族であっても)寛容に受け入れられる場合が多い。
これは警備兵にしても同じで、彼らはおおむね冒険者に対して寛容である。これには彼ら警備兵が市民兵であり、町を出て剣と魔法で活躍する冒険者に対する憧憬を抱く者が多いこと、また専従兵として雇われる者にはいわゆる「冒険者上がり」が数多く含まれている点が関わっているかもしれない。ゆえに、冒険者の小さな違反(武器の所持制限の逸脱などの微罪)ならば、軽い注意程度で見逃してくれる者も少なくないようだ。
しかし貴族や高級官僚など支配階級に属する者の中には、もめ事の種となりやすく、統制しにくいよそ者を嫌う者もおり、こうした者たちにとっては冒険者もまた「望まざる客」だろう。
デザイナーズ・ノート
現実世界における中世同様、トーチ・ポートの法は「おおらか」に適用されています。もちろん、決まりは決まりとしてPC間に周知させておくことは重要ですが、PCの「ルール違反」を厳しく取り、自由度を奪うマスタリングは往々にしてプレイアビリティを損なうばかりか、プレイヤーたちのやる気をそぐ結果にもなり得ます。
DMは法を厳しく解釈してPCの行動を制限したり、法による取締りを厳しくして些細なことでPCを捕縛したりということは避けるべきです。
例えば街中での傷害は軽~重犯罪とされていますが、理由の如何に問わず捕縛・投獄されるわけではありません。そうした事件があれば、本来は警備兵がその事件を捜査し、PC(容疑者/被疑者)と目撃者・証言者とを集め、法廷によって無実を証明した後解放されるということになるわけですが、実際のプレイングでは「警備員は君たちの話と周囲の野次馬の話を総合して君たちには非がないと判断し、君たちを解放してくれた」といった程度で処理するほうが良いでしょう(もちろん、シナリオ上法廷が必要である場合にはその限りではありません)。
現実世界における中世同様、トーチ・ポートの法は「おおらか」に適用されています。もちろん、決まりは決まりとしてPC間に周知させておくことは重要ですが、PCの「ルール違反」を厳しく取り、自由度を奪うマスタリングは往々にしてプレイアビリティを損なうばかりか、プレイヤーたちのやる気をそぐ結果にもなり得ます。
DMは法を厳しく解釈してPCの行動を制限したり、法による取締りを厳しくして些細なことでPCを捕縛したりということは避けるべきです。
例えば街中での傷害は軽~重犯罪とされていますが、理由の如何に問わず捕縛・投獄されるわけではありません。そうした事件があれば、本来は警備兵がその事件を捜査し、PC(容疑者/被疑者)と目撃者・証言者とを集め、法廷によって無実を証明した後解放されるということになるわけですが、実際のプレイングでは「警備員は君たちの話と周囲の野次馬の話を総合して君たちには非がないと判断し、君たちを解放してくれた」といった程度で処理するほうが良いでしょう(もちろん、シナリオ上法廷が必要である場合にはその限りではありません)。