罪と罰
トーチ・ポートは自治権を持つ町であり、町で起こった揉め事や事件を法で処理するための法廷を運用する権利(裁判権)を得ている。ゆえに町民の間で起こった揉め事には、貴族たちでさえ口をはさむことはかなわない。
裁判権は領主との数代にわたる交渉の末、町の自治権とともに勝ち得た権利であるという意識が強く、特に東町では法と秩序を尊ぶ風潮が強い。一方敗戦によって領主が代わったことで裁判権を得た西町ではさほどでもないようで、通商の町らしく法を「道具」として用いるものも少なくないようである。
裁判権は領主との数代にわたる交渉の末、町の自治権とともに勝ち得た権利であるという意識が強く、特に東町では法と秩序を尊ぶ風潮が強い。一方敗戦によって領主が代わったことで裁判権を得た西町ではさほどでもないようで、通商の町らしく法を「道具」として用いるものも少なくないようである。
[法廷]
トーチ・ポートは前述のように裁判権を持つ自治都市であるが、しかし実際には3種類の法廷が存在し、それぞれが法に基づいて裁きを下す権利を持っている。
トーチ・ポートは前述のように裁判権を持つ自治都市であるが、しかし実際には3種類の法廷が存在し、それぞれが法に基づいて裁きを下す権利を持っている。
参事会法廷:
通常市民を対象とした法廷(トーチ・ポートで「法廷」といえば通常は参事会法廷を指す)。東西町それぞれの参事会がそれぞれの法廷を持ち、各々の町での事件(刑事的なものも民事的なものも含む)を裁いている。町中で起こった揉め事のほとんどはこちらで審判される。
裁判官は参事会から任命されたもの(参事会員)かその代官が務め、また補佐官として数名の“審判人”が選抜される。審判人は法の専門家であり、これまでの判例や周辺の状況をもって裁判官に助言を行なう。さらに事件の重要度によってはゾーン・オヴ・トゥルース、ディテクト・ソウツ、スピーク・ウィズ・デッドなどの呪文が使われる場合もある(ために、審判人は術者である場合が多い)。
通常市民を対象とした法廷(トーチ・ポートで「法廷」といえば通常は参事会法廷を指す)。東西町それぞれの参事会がそれぞれの法廷を持ち、各々の町での事件(刑事的なものも民事的なものも含む)を裁いている。町中で起こった揉め事のほとんどはこちらで審判される。
裁判官は参事会から任命されたもの(参事会員)かその代官が務め、また補佐官として数名の“審判人”が選抜される。審判人は法の専門家であり、これまでの判例や周辺の状況をもって裁判官に助言を行なう。さらに事件の重要度によってはゾーン・オヴ・トゥルース、ディテクト・ソウツ、スピーク・ウィズ・デッドなどの呪文が使われる場合もある(ために、審判人は術者である場合が多い)。
貴族法廷:
貴族間あるいは貴族の関与するもめごとや、参事会法廷の手に余るような大きな事件(反乱、要人の傷害、参事会員の汚職など)を取り扱うほか、貴族が被害者となった傷害や盗難などの事件については市民であってもこちらで審判される(貴族に対する犯罪については重い罰を課される場合が多い)。また軍事法廷としての機能も兼ねる。
通常、貴族法廷は各町の城/砦の城主の間で執り行なわれ、裁判官は伯爵/男爵またはその代官が務める(爵位を持つ貴族の相続など特に重要な事象の時には王の巡幸時に執り行われる王による審判を待つこともある)。家臣が審判人を務める場合もあるが、参事会法廷のように呪文が使われることは少ない(それは貴族に対する侮辱であり、挑戦であるとみなされる)。また貴族法廷は裁判官の裁量の範囲が広く、法よりも裁判官の判断に従った、いわば独断的な裁きが下される場合も少なくない。
貴族間あるいは貴族の関与するもめごとや、参事会法廷の手に余るような大きな事件(反乱、要人の傷害、参事会員の汚職など)を取り扱うほか、貴族が被害者となった傷害や盗難などの事件については市民であってもこちらで審判される(貴族に対する犯罪については重い罰を課される場合が多い)。また軍事法廷としての機能も兼ねる。
通常、貴族法廷は各町の城/砦の城主の間で執り行なわれ、裁判官は伯爵/男爵またはその代官が務める(爵位を持つ貴族の相続など特に重要な事象の時には王の巡幸時に執り行われる王による審判を待つこともある)。家臣が審判人を務める場合もあるが、参事会法廷のように呪文が使われることは少ない(それは貴族に対する侮辱であり、挑戦であるとみなされる)。また貴族法廷は裁判官の裁量の範囲が広く、法よりも裁判官の判断に従った、いわば独断的な裁きが下される場合も少なくない。
神聖法廷:
教会法に従って執り行なわれる宗教的な裁判で、両町いずれでもヒルガ聖堂で行なわれる。宗教的なことに関与すること一般(神への冒涜、僧侶間での争い、傷害・盗難など)を取り調べる権限をもつ(通常の町の事件に関わることはない)。
神聖法廷で裁かれる事件は数は多くないが、裁判が行なわれるとなれば聖堂に属するクレリックが総力をあげて呪文探査を行なうほか、聖堂騎士団を中心とした追跡隊が編成されるなどするため、検挙率は非常に高い(そしてそのことを知る悪党たちは聖職者に手を出そうとはしない)。
[裁判]
参事会裁判は町庁のホールで行なわれる。ホールには神の平等にして苛烈なる裁きを示す壮麗な銅のレリーフが裁判官・審判人の背後にそびえるように掲げられている。また、壁や調度の装飾は万人に平等な裁きを下し善政を行ったという伝説の王の意匠や家紋をあしらったものが多い。
裁判は通常裁判官1人と審判人1~2名で執り行なわれる。民事的な訴訟であれば当事者の全員が呼ばれる事が多いが、事件の際には下手人と数名の証言者(被害者である場合もある)が召喚される。
法廷内では裁判官・審判人以外の一切の魔法の使用が禁止され、また魔法のアイテムも法廷に入る前の準備室にすべて置いていくことが義務付けられている(確認のため、通常裁判の直前にはディテクト・マジックが使用される。またいくつかの備え付けの魔法のアイテムにより裁判中も常に魔法の使用を監視されているといわれている)。この禁を破ったものは重罪を犯したとみなされ、即座に捕縛される。
裁判は基本的に法に則って行なわれるが、現代のように法体系が整理されておらず、成文化された法は少ない。決まり事の多くはいわゆる慣習法であり、裁判官・審判人の記録や記憶に頼って裁判がなされる上弁護士もいないため、現代に比べると恣意的でルーズな法運用が行なわれているように見えるだろう(事実、特に西町では権力者・資産家に有利な判決が出るのは日常茶飯事だし、貴族からの圧力や袖の下で罪が軽くなるのも珍しいことではない)。
参事会裁判は町庁のホールで行なわれる。ホールには神の平等にして苛烈なる裁きを示す壮麗な銅のレリーフが裁判官・審判人の背後にそびえるように掲げられている。また、壁や調度の装飾は万人に平等な裁きを下し善政を行ったという伝説の王の意匠や家紋をあしらったものが多い。
裁判は通常裁判官1人と審判人1~2名で執り行なわれる。民事的な訴訟であれば当事者の全員が呼ばれる事が多いが、事件の際には下手人と数名の証言者(被害者である場合もある)が召喚される。
法廷内では裁判官・審判人以外の一切の魔法の使用が禁止され、また魔法のアイテムも法廷に入る前の準備室にすべて置いていくことが義務付けられている(確認のため、通常裁判の直前にはディテクト・マジックが使用される。またいくつかの備え付けの魔法のアイテムにより裁判中も常に魔法の使用を監視されているといわれている)。この禁を破ったものは重罪を犯したとみなされ、即座に捕縛される。
裁判は基本的に法に則って行なわれるが、現代のように法体系が整理されておらず、成文化された法は少ない。決まり事の多くはいわゆる慣習法であり、裁判官・審判人の記録や記憶に頼って裁判がなされる上弁護士もいないため、現代に比べると恣意的でルーズな法運用が行なわれているように見えるだろう(事実、特に西町では権力者・資産家に有利な判決が出るのは日常茶飯事だし、貴族からの圧力や袖の下で罪が軽くなるのも珍しいことではない)。
[罪と罰]
前述の通り、細かい規定が成文化されているわけではないものの、犯罪とそれに対する裁き、そして罰については大まかなガイドラインがある。
犯罪は大きく3つの区分に分けられている。軽犯罪、重犯罪、死罪の3つである。
※[参][神][貴]:それぞれ参事会法廷、神聖法廷、貴族法廷が担当する
前述の通り、細かい規定が成文化されているわけではないものの、犯罪とそれに対する裁き、そして罰については大まかなガイドラインがある。
犯罪は大きく3つの区分に分けられている。軽犯罪、重犯罪、死罪の3つである。
※[参][神][貴]:それぞれ参事会法廷、神聖法廷、貴族法廷が担当する
<軽犯罪>
[参]盗み・家畜泥棒(10gp以下)、密輸(10gp以下)、他人に怪我をさせる、酒への混ぜ物(※1)、度量衡のごまかし(※2)、脱税(10gp以下)、汚職(賄賂など・10gp以下)
[貴]兵役などの義務放棄
[参]盗み・家畜泥棒(10gp以下)、密輸(10gp以下)、他人に怪我をさせる、酒への混ぜ物(※1)、度量衡のごまかし(※2)、脱税(10gp以下)、汚職(賄賂など・10gp以下)
[貴]兵役などの義務放棄
※1:ワインやエールを(そうとは知らせずに)水や酢で薄めること。比較的ポピュラーな不正。
※2:市場で量り売りをするための枡や秤は所定のものを使うよう義務付けられている
※2:市場で量り売りをするための枡や秤は所定のものを使うよう義務付けられている
<重犯罪>
[参]盗み・家畜泥棒(10gp以上)、密輸(10gp以上)、他人に重篤なケガを負わせる、誘拐、徒党を組んでの暴動(武器なし)、重犯(軽犯罪で三度以上逮捕される)、汚職(賄賂など・10gp以上)
[神]教団のものを盗む、聖職者に怪我をさせる、墓荒らし、神性の冒涜
[貴]貴族の領地への不法侵入、盗み、不敬
[参]盗み・家畜泥棒(10gp以上)、密輸(10gp以上)、他人に重篤なケガを負わせる、誘拐、徒党を組んでの暴動(武器なし)、重犯(軽犯罪で三度以上逮捕される)、汚職(賄賂など・10gp以上)
[神]教団のものを盗む、聖職者に怪我をさせる、墓荒らし、神性の冒涜
[貴]貴族の領地への不法侵入、盗み、不敬
<死罪>
[参]強盗、放火、徒党を組んでの暴動(武器あり)、殺人
[神]重篤な神性の冒涜、聖職者に重篤な怪我を負わせる
[貴]貴族への傷害、戦争時の命令不服従、反逆罪
[参]強盗、放火、徒党を組んでの暴動(武器あり)、殺人
[神]重篤な神性の冒涜、聖職者に重篤な怪我を負わせる
[貴]貴族への傷害、戦争時の命令不服従、反逆罪
大きく3つに分かれてはいるがその区分はあいまいなものである(たとえば<軽犯罪>の「傷害」と<重犯罪>の「重篤な傷害」を分ける基準はない)。裁判そのものも裁判官の心情や判断に大きく左右されるため、軽犯罪でも重犯罪並の罰が科される場合もあるし、死罪に相当する罪でもさまざまな理由から罪が軽減される例もある。
また、市民を殺めた貴族や僧侶がより軽い罪として裁かれるであろう貴族法廷ないし神聖法廷での裁判を望んで自首するなど、裁きの「担当」はさほど厳しく規定されているわけではなく、逆に町民に子弟や家臣を傷つけられた貴族がより重い罪として裁かれるべく下手人を貴族法廷に連行した例もある。特に区分の微妙な裁判(貴族による僧侶の傷害などの場合)には「容疑者を確保した組織」が裁判を担当する場合が多いようだ(そして下手人の引渡しを求めて公的な組織間で争いとなる場合もある)。
また、市民を殺めた貴族や僧侶がより軽い罪として裁かれるであろう貴族法廷ないし神聖法廷での裁判を望んで自首するなど、裁きの「担当」はさほど厳しく規定されているわけではなく、逆に町民に子弟や家臣を傷つけられた貴族がより重い罪として裁かれるべく下手人を貴族法廷に連行した例もある。特に区分の微妙な裁判(貴族による僧侶の傷害などの場合)には「容疑者を確保した組織」が裁判を担当する場合が多いようだ(そして下手人の引渡しを求めて公的な組織間で争いとなる場合もある)。
【罰則のガイドライン】
<軽犯罪>
<軽犯罪>
- 他人の財産を犯した(盗みなど):罰金(10~100gp)+鞭打ち
- 他人を傷つけた(傷害など):罰金(治療(呪文)費用の5~10倍)+鞭打ち
- 規律違反:懲役または強制労働1~4週間
<重犯罪>
- 他人の財産を犯した:罰金(100~1000gp)+鞭打ち、杖打ち、刺青刑(顔と腕に罪状を刺青)
- 他人を傷つけた:罰金(治療(呪文)費用の5~10倍)+鞭打ち、杖打ち、不具刑(指/手/足の切断)、懲役または強制労働(1~6ヶ月)
- 貴族・聖職者への罪:罰金(100~5000gp)+鞭打ち、杖打ち、棒打ち、刺青刑、懲役または強制労働(1~6ヶ月)、追放(町への立ち入り禁止)
- 規律違反:鞭打ち、杖打ち、棒打ち、懲役または強制労働1~4週間、罰金(100~5000gp)
<死罪>
罪状により「本人のみ」「三代(親・子まで)皆殺し」「五代(親族)皆殺し」がある。呪文による復活を阻止するため、死体は少なくとも完全に灰になるまで焼かれる。また高位の(=金のある)者であればより高位の呪文で蘇生される危険があるため、石に変えた状態で隠されたり呪文で魂を封じ込めたりといった複雑な手段で封印される。
罪状により「本人のみ」「三代(親・子まで)皆殺し」「五代(親族)皆殺し」がある。呪文による復活を阻止するため、死体は少なくとも完全に灰になるまで焼かれる。また高位の(=金のある)者であればより高位の呪文で蘇生される危険があるため、石に変えた状態で隠されたり呪文で魂を封じ込めたりといった複雑な手段で封印される。
いずれの場合も「一般的にこの程度の罰が課される」ということであって、常にこのガイドラインにのっとった量刑が課されているわけではない。
- 懲役刑は実際にはほとんど課されることはない。トーチ・ポートの監獄はさほど大きいものではなく、多額の経費も必要とされるからである。よって、懲役を科されるのは社会的な身分の高いものや強制労働に耐えられない者、あるいは特別な理由があるものがほとんどである。
- 罰金刑の多くは町民には支払えない金額である場合が多い。支払いきれない分は貸付金として月割りでの支払いを命じられ、支払いが滞った場合には強制労働の日当(1日1-2sp)で支払うことになる。
- 杖打ち、棒打ちは刑の途中で死ぬ場合も多く実際に課されることは少ないが、みせしめの意味で施行される場合もある。
[監獄と強制労働]
トーチ・ポートにはいくつかの監獄があるが、どれも大きいものではない。監獄に入れられるのは身分の高いものや特殊な事情のあるものだけで、そう大きなものは必要ないのである。もっとも大きな監獄は東町庁舎(参事会本部)から程近いところにある東町監獄だが、これとて数十人程度しか収容できない小さな塔である。なお、貴族は懲役を課されても他の貴族の屋敷預かりとか、王都に送還される場合も多い。
強制労働は罪の軽重と犯罪者の性質によって多少のバリエーションがある。罪の軽いものや幼いものは救貧院や市場でのボランティアに近い仕事を課される(とはいえ足には鎖がかけられるし、厳重に見張りがなされるが)し、働き盛りの者や罪が重いとみなされたものは港の浚渫作業や北にある鉱山での重労働が課される。多くの場合、罪の軽重に合わせて港や城壁の補修や交易路の整備、公用船の補修、自警団/軍の消耗品作りなど、さまざまな分野で労働が割り当てられる。
こうした公益的な仕事が課されるのは「町にかけた迷惑は町への奉仕で返すべし」という精神基づくためである。
トーチ・ポートにはいくつかの監獄があるが、どれも大きいものではない。監獄に入れられるのは身分の高いものや特殊な事情のあるものだけで、そう大きなものは必要ないのである。もっとも大きな監獄は東町庁舎(参事会本部)から程近いところにある東町監獄だが、これとて数十人程度しか収容できない小さな塔である。なお、貴族は懲役を課されても他の貴族の屋敷預かりとか、王都に送還される場合も多い。
強制労働は罪の軽重と犯罪者の性質によって多少のバリエーションがある。罪の軽いものや幼いものは救貧院や市場でのボランティアに近い仕事を課される(とはいえ足には鎖がかけられるし、厳重に見張りがなされるが)し、働き盛りの者や罪が重いとみなされたものは港の浚渫作業や北にある鉱山での重労働が課される。多くの場合、罪の軽重に合わせて港や城壁の補修や交易路の整備、公用船の補修、自警団/軍の消耗品作りなど、さまざまな分野で労働が割り当てられる。
こうした公益的な仕事が課されるのは「町にかけた迷惑は町への奉仕で返すべし」という精神基づくためである。