AFB
目次
概要
登場
動作内容
加速・巡行
減速(ブレーキ)
登場
動作内容
加速・巡行
減速(ブレーキ)
メリット・デメリット
メリット
デメリット
規定
AFBオフ方法
AFBなし運転
メリット
デメリット
規定
AFBオフ方法
AFBなし運転
概要
鉄道版のクルーズコントロール(定速走行装置)
設定した目標速度(Vsoll)を自動で維持することを目的としています。これにより、運転士は加減速の微調整から解放され、線路前方の信号確認や安全監視に集中できるようになります。
設定した目標速度(Vsoll)を自動で維持することを目的としています。これにより、運転士は加減速の微調整から解放され、線路前方の信号確認や安全監視に集中できるようになります。
登場
AFBが世界で初めて実用化されたのは1960年代半ば、西ドイツ国鉄(現・ドイツ鉄道)のE03形(後の103形)電気機関車
当時、西ドイツ国鉄は時速200km/hでの超高速営業運転を目指していました。しかし、人間の手動操作だけで200km/hの速度を正確に維持し、かつ信号に合わせて安全に減速するのは負担が大きすぎるため、高速信号保安システム(LZB)と連動する形でAFBが開発・採用されました。
動作内容
運転士が運転台にある''「AFB速度設定レバー」''を動かして目標速度(例: 160km/h)を設定します。
車載コンピューターは、現在の実際の速度(\(V_{ist}\))と目標速度を常に比較し、その差に応じて''「牽引力(加速)」または「ブレーキ力(減速)」を自動的に計算して指示''を出します。
車載コンピューターは、現在の実際の速度(\(V_{ist}\))と目標速度を常に比較し、その差に応じて''「牽引力(加速)」または「ブレーキ力(減速)」を自動的に計算して指示''を出します。
加速・巡航
目標速度に達するまで自動で加速します。目標速度に達した後は、上り坂に差し掛かると自動で出力を上げ、速度が落ちないようにします。
減速(ブレーキ)
下り坂などで設定速度を超えそうになると、まずは発電ブレーキや回生ブレーキ(電気ブレーキ)を自動で作動させます。それでも抑速しきれない場合は、列車全体の空気ブレーキを自動で連動させて減速します。
LZB/ETCSとの連動
前方の赤信号や制限速度が変わると、AFBの設定速度がシステムによって自動的に引き下げられ、運転士が操作しなくても安全な速度まで自動的に減速・停止します。
手動介入(オーバーライド)
安全のため、運転士が手動で通常のブレーキレバーを引いた場合は、AFBよりも手動ブレーキの指示が最優先され、AFBの機能は一時的に解除(無効化)されます。
メリット・デメリット
メリット
- ''運転士の負担軽減'': 勾配(上り坂・下り坂)に関係なく速度を自動維持するため、レバー操作の回数が劇的に減ります。
- ''スピード過大の防止'': 制限速度を超えないよう自動で制御されるため、安全性が向上します。
- ''信号システムとの高い親和性'': 高速信号(LZB)や新型信号(ETCS)と連動させることで、前方の減速指示に合わせて自動的にブレーキをかけることが可能です。
デメリット
- ''乗り心地の悪化(旧型車両)'': 制御が粗い古い車両のAFBでは、目標速度付近で「加速」と「ブレーキ」を頻繁に細かく繰り返す(ギクシャクした動きになる)ことがあり、乗り心地や静粛性が落ちる場合があります。
- ''エネルギー効率の低下'': 人間の運転士であれば「この先は下り坂だから惰行(ノッチオフ)で走ろう」と予測運転ができますが、標準的なAFBは現在の速度を維持しようとするため、下り坂の手前まで加速し、坂に入ると自動ブレーキをかけるといった無駄なエネルギー消費(電力ロス)が発生しやすくなります。
- ''ブレーキ装置の摩耗'': 速度維持のために空気ブレーキや電気ブレーキが頻繁に自動作動するため、ブレーキ部品の摩耗が早まる傾向があります。
規定
ドイツ鉄道(DB)の規程(Richtlinie 408「Fahrdienstvorschrift:運転取扱規則」など)において、AFBの使用には明確なルールが存在
- 搭載機は原則「使用必須」
車両にAFBが搭載されており、それが正常に動作する場合は、原則として運転士はAFBをオンにして運転しなければならないと規定されています。
- 時速160km/hを超える走行での必須化
ドイツの鉄道法(EBO:線路構造・運用規則)では、時速160km/hを超える速度で走行する場合、車内に信号を表示するシステム(LZBまたはETCS)の搭載・稼働が義務付けられています。
このLZB/ETCSによる高速走行時、システムからの減速・停止指示に正確に追従するため、AFBの稼働がシステム上(および安全規定上)セットで必須となります。つまり、「160km/h超の高速新線区間」では絶対に使わなければなりません。
このLZB/ETCSによる高速走行時、システムからの減速・停止指示に正確に追従するため、AFBの稼働がシステム上(および安全規定上)セットで必須となります。つまり、「160km/h超の高速新線区間」では絶対に使わなければなりません。
- あえてオフにする(手動運転する)ケース
以下のような例外的な状況では、運転士の判断、または規定によりAFBをオフ(または不使用)にします。
- 悪天候時(雨、雪、落ち葉など: 線路が滑りやすくなっている時、AFBは機械的にブレーキをかけてしまい、車輪の滑走(ロック)を引き起こすリスクが高まります。人間の運転士が繊細にブレーキをコントロールするため、AFBをオフにします。
- 機器の故障時: AFB単体の故障、あるいは速度計などの連動機器が故障した場合はオフにして手動で運転します。
AFBオフ方法
車両の設計世代(アナログかデジタルか)によって、主に2つの方法があります。
1. 機械的なスイッチや電子画面での「完全オフ」(基本手順)
車両が停車中に、システム自体を物理的または電子的に遮断します。
- ''新型車両(ICE 3やBR 185 / 187など)'': 運転台にあるマルチファンクションディスプレイ(CCD/MFD)のメニュー画面から、''「AFB」の項目を選んで「Aus(オフ)」に設定''します。
- ''少し古い世代の車両(BR 120やBR 101など)'': 運転台のスイッチパネルや背面キセ(機械室など)にある''「AFB遮断用トグルスイッチ(故障時用分離スイッチなど)」をオフ''に切り替えます。
2. 走行中に「実質オフ(擬似手動運転)」にする方法
安全上の理由から、走行中はシステム的なAFBのON/OFF切り替えがロックされてできない車両が多いです。そのため、走行中に手動運転に切り替えたい場合は以下の操作を行います。
- ''マスコン(出力レバー)を「0」に戻す''(一度出力を切る)。
- ''AFB速度設定レバー(\(V_{soll\))を最高位置(例:160km/hや200km/hの最大値)まで押し込む}''。
- この状態にすると、AFBは「最高速度になるまで自動ブレーキをかけない」モードになるため、あとは''通常のマスコンレバーの引き具合(出力%)だけで加速・巡航を完全にコントロール''できるようになります。
AFBなし運転
AFBはあくまで運転士をサポートする「アシスト機能」に過ぎず、自動車の自動運転とは位置づけが異なります。
1. 訓練(Ausbildung)での位置づけ
ドイツ鉄道(DB)の運転士養成訓練やクンスト(中途採用・クァリフィツィールング)では、''「手動での運転(Fahren ohne AFB)」が基礎中の基礎''として徹底的に叩き込まれます。
- ''最初の実車訓練やシミュレーター訓練''では、あえてAFBを一切使わせずに走行させます。
- 線路の勾配(上り・下り)を頭に入れ、列車の重量とブレーキの効き具合を体感で計算しながら、手動のマスコンとブレーキレバーだけで定時運行・正確な駅停車を行うスキルが必須です。この基礎ができて初めて、AFBなどの自動化機能の操作を習います。
- 定期的に行われる''シミュレーターでの異常時訓練(Fortbildung)''でも、「走行中にAFBが故障した」というシナリオが必ず用意されており、瞬時に手動運転に切り替えて安全に運行を継続する訓練をしています。
2. 現代でもAFBなしで走るシチュエーション
全盛期とはいえ、実際の現場でもAFBを使わない(使えない)ケースが多々あります。
- ''貨物列車(DB Cargoなど)'': 重量のある長大な貨物列車やタンク列車(Kesselzug)では、AFBにブレーキを任せると車両間の連結器に大きな衝撃(突き上げ)が走り、脱線や連結器破損のリスクがあります。そのため、貨物運転士は現代でも''あえてAFBをオフにして完全手動で走る''ことが非常に多いです。
- ''悪天候時'': 雨や雪、落ち葉でレールが滑りやすい日は、AFBが機械的にブレーキをかけると車輪がロック(滑走)してレールを傷つけるため、通達や運転士の判断でAFBを切り、手動の繊細なレバー捌きで走ります。
- ''地方の在来線(ローカル線)'': 地方を走る気動車や古い形式の機関車(BR 218など)には、そもそも今でもAFBが搭載されていません。