時計仕掛_7-クラスチェンジ - uma-musumeになりたい部 @ ウィキ

イヤホンを外し、メンコを付け直す。やがて訪れる緊張と騒音に耐えるため、私は"走者"に切り替わります。
いやぁ、イヤホンからの秒針の音が消えると出走直前であることを改めて実感しますね。だからといって何か変わるという訳ではないのですが。
親の顔より見た控え室、何度も走った皐月賞。ここでノック音が聞こえてきますが、トレーナーなので入室の許可を出します。

「…ホープフルから前走を入れずに皐月賞、周りからのプレッシャーは大きい、が…どうしたんだその目？大丈夫か？」
「問題ありません。普段通りの絶好調です」

そういえば、RTAの実況動画を最後に観たのはいつでしたかね。

〜〜〜〜〜

ーーここでタイマーストップ。

掲示板を確認し…1着！？！？
1着！？！？！？
マジか！！
やっっっっっったぜ！！！！！！！
運命の野郎に勝った！！！！！！今宵は宴じゃ！！！さぁけもってこぉい！！！！
まあ私のせいで勝てなかったウマ娘がいるのも事実なんですけどね、そんなこと気にしてたら死んじまいますよただでさえ絹ごしメンタルなのに。こんなのに負けて本当に不憫ですね。
まあ知ってたけどタイムも前回のを更新してますね。この更新ペースなら音速も夢じゃない(無理)
完走した感想ですが…喉が渇きました。寮帰って麦茶飲んで寝たいです。ノシ。ああでもクールダウンしなきゃ…反省点整理しなきゃ…アフターケアしなきゃ…やることが、やることが多い！まあ全部やらなくちゃいけないのがG1ウマ娘の辛いとこですね。

疾走による高揚が薄れ、世界が音を取り戻し始める。
耳に飛び込むのは当然、勝者を祝う歓声。

…ではなく、ざわめき。遅れて、怒声。汗と芝に混じる、蹄鉄と言い切るにはあまりに目立つ金臭さ。
…よく考えれば、ここ数年のレースではほとんどが写真判定にもつれ込んでいたというのに、今回は審議のランプがついていなかったのも奇妙なことである。

視界の端、見慣れたものが映った。
私にとってはいつものこと。でもおそらく、そんな風に言っているのは唯一私だけだろう。

ついさっきまで一緒に走っていた相手が、ビニールの袋に入れられていた。

…違う

違う筈だ
先程までの爽やかなものとは似ても似つかない、気持ちの悪い汗が頬に流れる
今までと違う
あいつは来年の有馬で入着する
皐月以降伸びてなくて騒がれて
最初の事故は五月なのに
じゃあなんで今、誰も死なないはず、即袋詰めにするほどの惨状、掲示板に番号がない　何故今回だけ「大丈夫ですか？」誰かに手を引かれる 触るな 疲れた 鉄錆 予後不良 事故「クローーワーースさん？」歴史私六人目早鐘死体袋鉄錆不注意なんで今後失言運命掲示板どうして早鐘どう「落ち着ーー、ゆっーー深呼ーーて」して頭痛醜態うるさい恐慌どうして疲労どうして狂どうしてどうしてどうしてど「返ーでーーーか！？」うしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうしてどうし

ばたん。

「クロックワークスさん！？大丈夫ですか！？」

どうして、どうして、

原因、今までと、違うこと…

私が勝った。

わたしが、ころした？

「…

ふひヒッ　」