【五輪高校 体育館倉庫内 朝6:00】
鮎原夏は、 日課である早朝自主トレーニングのため
いつもと変わらぬ時間に、体育館倉庫の扉を開けた。
いつもと変わらぬ時間に、体育館倉庫の扉を開けた。
しかし、その瞬間、倉庫内に漂う異様な殺気に気づく。
「あなたは・・・誰?」
「あなたは・・・誰?」
倉庫の奥で待ち構えていた男は
光り輝く鋼鉄のツメと仮面を見につけていた。
光り輝く鋼鉄のツメと仮面を見につけていた。
「俺の名はバルログ。貴様に恨みは無いが・・・・死んでもらうぞ」
国際的な犯罪組織であるシャドルーは
世界中に諜報部隊を送り込み
組織に危険をもたらす可能性のある人物
潜在的に優れた格闘能力を持つ人間を
徹底調査し、秘密裏に暗殺し続けていた。
世界中に諜報部隊を送り込み
組織に危険をもたらす可能性のある人物
潜在的に優れた格闘能力を持つ人間を
徹底調査し、秘密裏に暗殺し続けていた。
バルログはその密命を受け、数日前から夏を狙っていたのだ。
「!?」
夏はあたりを見回す。
倉庫にしまっていたはずのボールは一つ残らず
姿を消していた。
どうやら自分の闘い方も調査済みのようだ。
倉庫にしまっていたはずのボールは一つ残らず
姿を消していた。
どうやら自分の闘い方も調査済みのようだ。
「ふはははっ!貴様の唯一の武器は始末させてもらったぞっ!」
バルログは、絶望する夏の表情を夢想しながら
舐めるように爪で夏のユニフォームを撫で回す。
バルログは、絶望する夏の表情を夢想しながら
舐めるように爪で夏のユニフォームを撫で回す。
しかし・・・夏は表情一つ変えず、冷めた口調で言い放つ。
「ずいぶんとたるんだ肉体ね。基礎トレーニングから
やり直したほうが身のためよ。」
「ずいぶんとたるんだ肉体ね。基礎トレーニングから
やり直したほうが身のためよ。」
自らの美貌と肉体にプライドを持っていた
バルログは、瞬時に逆上する。
「な・・・なんだと!き、貴様ああああああああああああっ!」
シャっ!!!!
バルログの刃をギリギリで交わす夏。
背後の跳び箱が一刀両断にされる。
バルログは、瞬時に逆上する。
「な・・・なんだと!き、貴様ああああああああああああっ!」
シャっ!!!!
バルログの刃をギリギリで交わす夏。
背後の跳び箱が一刀両断にされる。
「ひゃーーはははははっ!!!!!!どうだっ!このツメの威力はっ!!!」
例え経験豊富な格闘家であったとしても、バルログの爪が与える
プレッシャーは凄まじい。
当たり所が悪ければ、致命傷すら免れない凶器。
それがもたらす恐怖は多くの相手を萎縮させ、死に追いやってきた。
しかし・・・
「遅いわ。」
夏は全く恐れていない。
例え経験豊富な格闘家であったとしても、バルログの爪が与える
プレッシャーは凄まじい。
当たり所が悪ければ、致命傷すら免れない凶器。
それがもたらす恐怖は多くの相手を萎縮させ、死に追いやってきた。
しかし・・・
「遅いわ。」
夏は全く恐れていない。
「!!??」
「これぐらいのスピードの球なら毎日見てるわ。一年生でも見切れるわよ」
「ふ、ふんっ!バカめっ!この刃の破壊力を目の当たりにして
平気でいられるはずがないっ!一度でも触れれば、即死だぞっ!」
「これぐらいのスピードの球なら毎日見てるわ。一年生でも見切れるわよ」
「ふ、ふんっ!バカめっ!この刃の破壊力を目の当たりにして
平気でいられるはずがないっ!一度でも触れれば、即死だぞっ!」
相手は女子高生。本物の凶器を目の前に、動揺しないはずがない。
しかし、その予想に反し、全く動じない夏に、バルログは内心焦りを覚えていた。
「1000発、全力で撃ってきなさい。」
夏は言い放つ。
「な、なに・・・・」
「あなたの弱さが、それでわかるわ。」
「な、なめやがってえええええええええええっ!!!」
しかし、その予想に反し、全く動じない夏に、バルログは内心焦りを覚えていた。
「1000発、全力で撃ってきなさい。」
夏は言い放つ。
「な、なに・・・・」
「あなたの弱さが、それでわかるわ。」
「な、なめやがってえええええええええええっ!!!」
シャっ!シャっ!ヒュンっ!シュっ!
猛スピードで襲い掛かる爪。
夏はバルログの猛攻撃を紙一重で交わす。
「目が泳いでるわよっ!相手をしっかりと見なさいっ!!!」
指導者然とした夏の叱咤の声が、容赦なくバルログに浴びせられる。
「こ、こいつっ!い、、言わせておけばっ!」
ヒュンっ!シャっ!シュバっ!!!
倉庫内のあらゆる備品は既に粉々だ。
しかし、圧倒的な動体視力で全てを見切る夏。
その動きは手に取るように読める。
猛スピードで襲い掛かる爪。
夏はバルログの猛攻撃を紙一重で交わす。
「目が泳いでるわよっ!相手をしっかりと見なさいっ!!!」
指導者然とした夏の叱咤の声が、容赦なくバルログに浴びせられる。
「こ、こいつっ!い、、言わせておけばっ!」
ヒュンっ!シャっ!シュバっ!!!
倉庫内のあらゆる備品は既に粉々だ。
しかし、圧倒的な動体視力で全てを見切る夏。
その動きは手に取るように読める。
「脚がふらついてるっ!足腰の鍛え方が足りないっ!」
「貴様ああああああああああああああああっ!」
「貴様ああああああああああああああああっ!」
叫びながら爪を振りまわすバルログ。
しかし、夏の言うとおり、次第に疲労がたまり
脚がフラフラになっていたのも事実であった。
しかし、夏の言うとおり、次第に疲労がたまり
脚がフラフラになっていたのも事実であった。
闘いが始まってから30分以上もかかっているにも関わらず
未だにダメージすら与えられないこと。
夏の厳しい指摘が全て的を得ていたこと。
これらの状況から、バルログの肉体的、精神的ダメージは
予想を遥かに上回っていた。
未だにダメージすら与えられないこと。
夏の厳しい指摘が全て的を得ていたこと。
これらの状況から、バルログの肉体的、精神的ダメージは
予想を遥かに上回っていた。
「うがああああああああああああああああああああああっ!!!」
ドガっ!!!!
爪が夏の背後の壁に勢いよく突き刺さる。
「し、しまったっ!」
壁に深く埋れた爪は、いくら引き抜こうとしても微動だにしない。
「く・・・ぬ、馬鹿な、抜けない・・・抜けないっ!!!」
バルログは完全に冷静さを失っている。
「あなた、スタミナが足りなさすぎるわ。
その、決して軽くは無い爪を振り回しているんだもの。
日々の鍛錬を怠りすぎよ。」
ドガっ!!!!
爪が夏の背後の壁に勢いよく突き刺さる。
「し、しまったっ!」
壁に深く埋れた爪は、いくら引き抜こうとしても微動だにしない。
「く・・・ぬ、馬鹿な、抜けない・・・抜けないっ!!!」
バルログは完全に冷静さを失っている。
「あなた、スタミナが足りなさすぎるわ。
その、決して軽くは無い爪を振り回しているんだもの。
日々の鍛錬を怠りすぎよ。」
毎日、走り込みと筋力トレーニングを欠かさない夏。
スタミナでは完全にバルログを圧倒している。
30分以上、ノンストップで猛攻撃を交わし続けているにも
関わらず、全く疲れが無い。
スタミナでは完全にバルログを圧倒している。
30分以上、ノンストップで猛攻撃を交わし続けているにも
関わらず、全く疲れが無い。
「うへへ・・・うへへへええええっ!!!!」
バルログは半狂乱状態になりながらも、両手の爪を外した。
「ひひ、いくら貴様が優れた格闘能力の素質があるとは言え・・・
現段階では武術を学んだ経験があるわけではないっ!
ただの、女子高生相手に・・・爪など不要だっ!」
バルログは半狂乱状態になりながらも、両手の爪を外した。
「ひひ、いくら貴様が優れた格闘能力の素質があるとは言え・・・
現段階では武術を学んだ経験があるわけではないっ!
ただの、女子高生相手に・・・爪など不要だっ!」
バルログが拳で戦う事など滅多にない。
しかし、所詮は女と、たかをくくっていた。
しかし、所詮は女と、たかをくくっていた。
「おらあああああああああああああっ!!」
大振りのボディブロー!
バスっ!
大振りのボディブロー!
バスっ!
決まった。
しかし夏はびくともしない。
「!!!???」
「な、何故だ何故だ何故だ何故だあああああああああああっ!!!!」
バスっ!!!!
バスっ!!
バゴっ!!!!
何度も何度も突く。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
夏は涼しい顔をしていたが、ふと、哀れむような表情を見せる。
「実践で、慣れないことはやるものじゃないわね。」
しかし夏はびくともしない。
「!!!???」
「な、何故だ何故だ何故だ何故だあああああああああああっ!!!!」
バスっ!!!!
バスっ!!
バゴっ!!!!
何度も何度も突く。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・。」
夏は涼しい顔をしていたが、ふと、哀れむような表情を見せる。
「実践で、慣れないことはやるものじゃないわね。」
夏がジャージとシャツをめくる。
そこから、美しく6つに割れた腹筋が現れた。
「あ・・・ひ、ひいいいいいいいいいいいいっ!!!!」
バルログは恐怖に震える。
汗で光り輝く夏の肉体。
厳しいトレーニングを経て傷だらけではあったが
バルログのパンチはまるで効いていない。
そこから、美しく6つに割れた腹筋が現れた。
「あ・・・ひ、ひいいいいいいいいいいいいっ!!!!」
バルログは恐怖に震える。
汗で光り輝く夏の肉体。
厳しいトレーニングを経て傷だらけではあったが
バルログのパンチはまるで効いていない。
「バレーは全身をくまなく鍛える必要があるわ。
私達は一年生の頃からウェイトトレーニングで徹底的に鍛え上げられる。
あなた程度の拳ではダメージにすらならないほどにね。」
私達は一年生の頃からウェイトトレーニングで徹底的に鍛え上げられる。
あなた程度の拳ではダメージにすらならないほどにね。」
素手での闘いに慣れていないバルログ。
完全な判断ミスだ。
「う、うわあああああああああっ!!」
パニック状態に陥る。
完全な判断ミスだ。
「う、うわあああああああああっ!!」
パニック状態に陥る。
「呆れたわね・・・。予想外の戦況になるのはどんな競技でも同じこと。
スポーツマンたるもの、どんな苦境にあっても平常心を保ち
己に打ち克つ事が求められる。」
夏がバルログに対して最も優っていた事。
それは、例えどれだけ絶望的な状況にあっても
決して屈しないその圧倒的な精神力であった。
次の瞬間、夏は闘いが始まって初めて
自らの右拳を握り締める。
スポーツマンたるもの、どんな苦境にあっても平常心を保ち
己に打ち克つ事が求められる。」
夏がバルログに対して最も優っていた事。
それは、例えどれだけ絶望的な状況にあっても
決して屈しないその圧倒的な精神力であった。
次の瞬間、夏は闘いが始まって初めて
自らの右拳を握り締める。
夏とて、殴り合いの経験などほぼ無いに等しい。
しかし、鍛え抜かれた反射神経と圧倒的な基礎体力。
そして、天性の才能によって繰り出される渾身の
正拳が、バルログの顔に神速で襲い掛かる!
しかし、鍛え抜かれた反射神経と圧倒的な基礎体力。
そして、天性の才能によって繰り出される渾身の
正拳が、バルログの顔に神速で襲い掛かる!
「はあああああああああああああああああっっ!!!」
バゴっっっっ!!!!!!!!!!!!
「ごぎゃああああああっ!!!」
その一撃は、バルログの仮面を粉々に打ち砕いた。
バゴっっっっ!!!!!!!!!!!!
「ごぎゃああああああっ!!!」
その一撃は、バルログの仮面を粉々に打ち砕いた。
「はひ・・・ひぎぃ・・・・」
本来の美貌とはかけはなれた、
醜く膨れ上がった顔が現れた。
本来の美貌とはかけはなれた、
醜く膨れ上がった顔が現れた。
「顔が・・・顔が・・・・」
自慢の顔を醜く潰されたショックで
バルログは顔を必死にガードする。
「俺の・・・美しい・・・・顔が・・・・顔が・・・・
顔ぎゃあああああああああああっ!」
「がらあきよ」
ボグっ!!
「ごふっ!!!!!」
自慢の顔を醜く潰されたショックで
バルログは顔を必死にガードする。
「俺の・・・美しい・・・・顔が・・・・顔が・・・・
顔ぎゃあああああああああああっ!」
「がらあきよ」
ボグっ!!
「ごふっ!!!!!」
ノーガードのボディにめりこむ夏の拳。
「あ、、、ごほっ・・・ごぼっ!ごぼぇっ!!」
「あ、、、ごほっ・・・ごぼっ!ごぼぇっ!!」
夏の右拳一本に翻弄され、
もがき苦しむバルログ。
「腹か・・・顔か・・・・ど、どっちをガードすればいい!?
い、嫌だ・・・。顔は、潰されたくないっ!嫌だ、」
もがき苦しむバルログ。
「腹か・・・顔か・・・・ど、どっちをガードすればいい!?
い、嫌だ・・・。顔は、潰されたくないっ!嫌だ、」
「相手をちゃんと見ろっ!」
夏の叱咤と共に、強烈な中段突きがバルログの胸に突き刺さる。
夏の叱咤と共に、強烈な中段突きがバルログの胸に突き刺さる。
ズブリっ!!!
「ごぎゃぁっ!」
バルログは胸を押さえ、暴れまわる。
「ごぎゃぁっ!」
バルログは胸を押さえ、暴れまわる。
「全身を使いなさい!!!」
「下を見るなっ!!!」
「腕が下がってるっ!!!!」
「下を見るなっ!!!」
「腕が下がってるっ!!!!」
怒号と共にバルログを襲う、下段突き、中段突き、上段突きの嵐。
ボグっ!
ゴフっ!
ズブリっ!!
ゴフっ!
ズブリっ!!
「・・・お・・・・お・・・・お・・・お・・・・・。」
ドサっ!!!!
夏の右ストレートを何十発も
一方的に浴び続けたバルログ。
とうとう力なく崩れ落ち、気を失った。
一方的に浴び続けたバルログ。
とうとう力なく崩れ落ち、気を失った。
「ふう...。一時間も経ってないじゃない。図体のわりに、体力もないのね。
一から、己を鍛えなおすことね。」
一から、己を鍛えなおすことね。」
夏はうつ伏せに倒れ伏せ痙攣するバルログに言い放ち
倉庫を後にした。
倉庫を後にした。