生まれて初めて手にする
真っ赤なオープンフィンガーグローブを
身に付け、○○高校陸上部一年
武藤由梨香は道場の真ん中で目を輝かせる。
真っ赤なオープンフィンガーグローブを
身に付け、○○高校陸上部一年
武藤由梨香は道場の真ん中で目を輝かせる。
制服を抜いで初めて露わになる
タンクトップからのぞく引き締まった腹筋。
ハイレグブルマから突き出す美しい太股。
その陸上競技用のウェアと
格闘技用のグローブは
全く異なるスポーツの為の被服で
あるにも関わらず、彼女の
鍛え上げられた肉体ともあいまって
非常によく似合う。
タンクトップからのぞく引き締まった腹筋。
ハイレグブルマから突き出す美しい太股。
その陸上競技用のウェアと
格闘技用のグローブは
全く異なるスポーツの為の被服で
あるにも関わらず、彼女の
鍛え上げられた肉体ともあいまって
非常によく似合う。
幼少時からスポーツ万能少女と呼ばれた由梨香。
見ただけの競技でさえ、闘いの中で瞬時に
相手の技を学習する事が出来る
生まれながらの天才であった。
見ただけの競技でさえ、闘いの中で瞬時に
相手の技を学習する事が出来る
生まれながらの天才であった。
しかし、格闘技に関しては未経験の彼女。
その前に立ちはだかる身長2mの巨漢は
道場破り百戦無敗を誇る
空手家、権藤。
その前に立ちはだかる身長2mの巨漢は
道場破り百戦無敗を誇る
空手家、権藤。
由梨香は 恐怖のあまり逃亡した師範に代わり
急遽、部員達が頼み込んで呼び寄せた
無謀極まりないピンチヒッターであった。
急遽、部員達が頼み込んで呼び寄せた
無謀極まりないピンチヒッターであった。
しかし、見るからに凶暴な相手を前に
しているにも関わらず
由梨香はワクワクしている。
しているにも関わらず
由梨香はワクワクしている。
「よろしくお願いしますっ!」
明るい声で礼をすると、拳を構える事もなく
腰に手を当てたまま、無防備に相手に近づく。
明るい声で礼をすると、拳を構える事もなく
腰に手を当てたまま、無防備に相手に近づく。
「ばかめっ!」権藤はなりふり構わず
渾身のボディブローを放つ!
渾身のボディブローを放つ!
ドガっ!
「!!!」
誰もが権藤の勝利を予測したその瞬間。
- その一撃は由梨香の鋼の腹筋によって
軽々と受け止められていた。
「すごい・・・!」由梨香は無邪気に感動し
思わず声をあげた。
胸に来る強烈な、しかし心地いい刺激。
今までに無い、肉体を直にぶつけあう
格闘技の魅力に由梨香は虜になっていた。
思わず声をあげた。
胸に来る強烈な、しかし心地いい刺激。
今までに無い、肉体を直にぶつけあう
格闘技の魅力に由梨香は虜になっていた。
呆然とする権藤に向かって、微笑みながら告げる。
「何発でも、受けて見せますねっ!」
「何発でも、受けて見せますねっ!」
「馬鹿なっ! 馬鹿な馬鹿なっ!」
何百人もの相手を一撃で打ち倒した拳が
全く効かない事実を受け入れられず
権藤は気が狂ったかのように、
何度も何度も由梨香の
腹を狙って突きまくる。
何百人もの相手を一撃で打ち倒した拳が
全く効かない事実を受け入れられず
権藤は気が狂ったかのように、
何度も何度も由梨香の
腹を狙って突きまくる。
しかし、由梨香にとってそれは
一種の筋力トレーニングのように
腹筋を適度に刺激するものでしかなかった。
一種の筋力トレーニングのように
腹筋を適度に刺激するものでしかなかった。
同時にその戦いの中で、由梨香は
拳の握り方 、姿勢 、筋肉の使い方 等
「突き」の何たるかを学びとっていた。
拳の握り方 、姿勢 、筋肉の使い方 等
「突き」の何たるかを学びとっていた。
ヤケになり 次第に技が大ぶりになる権藤に向かい
由梨香は申し訳なさそうに言い放った。
「ちょっと...力み過ぎだと思います。」
由梨香は申し訳なさそうに言い放った。
「ちょっと...力み過ぎだと思います。」
10年以上の経験を持つ権藤に浴びせられた
痛烈な一言。ショックによって
完全に手が止まる。
痛烈な一言。ショックによって
完全に手が止まる。
その瞬間、由梨香は始めて拳を握り締め
正面に構えた。
そのあまりに美しい、完璧にスキのない構えに
権藤がたじろぐ。
正面に構えた。
そのあまりに美しい、完璧にスキのない構えに
権藤がたじろぐ。
「やあっ!!!」
由梨香は気合に満ちた声を張り上げる。
彼女は空手道が、精神のぶつけ合いで
あることも理解していた。
彼女は空手道が、精神のぶつけ合いで
あることも理解していた。
「ひいっ!」由梨香の発する
尋常ではない気迫と澄んだ瞳に
権藤は金縛りにあったかのように動けない。
尋常ではない気迫と澄んだ瞳に
権藤は金縛りにあったかのように動けない。
「せいやっ!!!」
ズドムっ!!!
権藤の分厚い肉体に、まるで隕石が
衝突したかのように、由梨香の拳が突き刺さる。
衝突したかのように、由梨香の拳が突き刺さる。
「ごぼおおおえっっ!!!」
大量の胃液を口から噴き出しながら
男はその場に仰向けになって倒れこんだ。
大量の胃液を口から噴き出しながら
男はその場に仰向けになって倒れこんだ。
異臭のする液体を体中に浴びたにも
関わらず、由梨香は権藤に心からの礼をする。
関わらず、由梨香は権藤に心からの礼をする。
そして、 茫然とした表情で試合を
見守っていた部員達に向きなおり
満面の笑みで
「ありがとうございました!」
感謝の言葉を告げグローブをはずした。
見守っていた部員達に向きなおり
満面の笑みで
「ありがとうございました!」
感謝の言葉を告げグローブをはずした。
その瞬間・・・・
ブシュっ・・・
由梨香の拳圧に耐え切れなくなっていた
グローブは、音を立てて裂けた。
グローブは、音を立てて裂けた。