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バグズ・ライフ

原題:A Bug's Life
公開:1998年11月25日
時間:94分
監督:ジョン・ラセターアンドリュー・スタントン*



  • 目次

概要


イソップ童話*の『アリとキリギリス』をモチーフに、バッタに脅されたアリ達を救うため、落ちこぼれのアリの青年が用心棒と間違えて雇ったサーカス団員と共に戦う様子を描く。黒澤明監督の『用心棒』などにインスピレーションを得て製作された。

監督は『トイ・ストーリー』のジョン・ラセター、共同監督と脚本はアンドリュー・スタントン*が務めた。音楽はランディ・ニューマン*が続投した。

ピクサーの長編2作目にして、コンピューターの処理能力は飛躍的に向上し、雨や雷などの特殊効果やアリを魅力的なビジュアルにすることに成功している。

映画のスタッフロールでは、キャラクター達が俳優で本作の撮影をしているという設定で、実写映画風のNG集が流される遊び心のある演出が採用された。

ディズニーの映画部門のトップであるジェフリー・カッツェンバーグ*がかつて在籍していたドリームワークスが、同時期に同じくアリをテーマにしたCGアニメ映画『アンツ』を製作して論争となった。『アンツ』はCGの質や大人向けのプロットから高い評価を得たが、興行収入では『バグズ・ライフ』に軍配が上がった。

歴史

トイ・ストーリー』(1995年)制作中の1994年の夏、ピクサーのストーリー部門(ジョン・ラセターアンドリュー・スタントン*ピート・ドクター*ジョー・ランフト*)はランチ中に次の企画を考えていた。ディズニーも1934年に映画化した『アリとキリギリス』(ディズニーは1980年代には『Army Ants*』という長編映画のボツ案もあった)をモデルに、アリを主人公とした。昆虫はおもちゃのようにCGで表面の質感を描きやすかったからだという。

スタントンとランフトはアイディアを練り始め、1995年6月にサン・ラファエル*で行われた『トイ・ストーリー』のスクリーンテストの際に、ディズニーのCEOマイケル・アイズナー*にこの案を披露した。アイズナーはこれを気に入り、7月7日にディズニー&ピクサーの長編第2作として『Bugs』を製作することが正式に決まった。ラセターは『トイ・ストーリー』の経験からCGアニメを一人で監督するのは危険だと判断し、スタントンを共同監督に置いた。

キャスティング

声の出演にはテレビのコメディ番組(シットコム)の出演者が多く配役されており、主人公フリック役のデイヴ・フォーリーを筆頭に、ジュリア・ルイス=ドレイファスリチャード・カインドデヴィッド・ハイド・ピアースブラッド・ギャレットが出演している。

ジョン・ラセターの妻ナンシー・ラセター*の推薦で、芋虫のハイムリック役はスタッフのジョー・ランフトが務めた。ラセターは悪役にロバート・デ・ニーロ*を推していたが断られたという。その後、1995年のアカデミー賞授賞式の場でケビン・スペイシー*にオファーを出したという。

アニメーション

昆虫のCGモデルは『トイ・ストーリー』の時よりも複雑で、スタッフはコンピューターの処理落ちなどに悩まされたという。ラセターとスタントンはリッチ・クエイド*グレン・マックィーン*をスーパーバイザーに置き、慎重に作業を進めた。昆虫の視点から世界がどう見えているかを調べるため、ミニチュアカメラにレゴのタイヤを付けたバグカム*を発明し、棒の先端に付けて動かした。虫の視点から太陽光に透けた葉を見上げると、ステンドグラスのように見えたという。虫の視点に関しては、フランス*の昆虫ドキュメンタリー『ミクロコスモス』(1996年)の影響も受けている。

『トイ・ストーリー』ではウッディバズ・ライトイヤーが物語の中心にいたのに対し、本作では色々なキャラクターにスポットが当たるため、昆虫のキャラクターを魅力的に描く必要があった。結局、アリは6本足ではなく、人間と同じ腕2本と足2本で描かれ、敵のバッタは逆に足を多く付けて共感しにくい姿とした。

作品では大量のアリが登場するため、一体ごとに地道に動きをつけていくのは非現実的であった。テクニカル・ディレクターのビル・リーヴス*は約8体のアリに個性(背の高さや肌の色など)とアニメーションを付けてランダム生成するツールを開発した。

アニメーターはよりリアルなレンダリングを目指すため、ピクサー創業者のひとりエド・キャットマルが1970年代にユタ大学で開発したSSS(サブサーフェイス・スキャタリング)を活用した。これは光が葉や人間の手などの半透明な物体を通る時、その内部で散乱してから外へ出ていくメカニズムのことである。この技術はアニメーションで使うのは困難とされていたため、キャットマルはSSSを実験的に使った短編アニメーションを製作するように指示した。こうして完成した『ゲーリーじいさんのチェス』(1997年)はSSSの実用のほか、当時の課題であった人間の描写にもチャレンジした。『ゲーリーじいさんのチェス』は『バグズ・ライフ』と同時上映された。

キャスト

フリック デイヴ・フォーリー 宮本充
ホッパー ケヴィン・スペイシー 壤晴彦
アッタ姫 ジュリア・ルイス=ドレイファス 土井美加
ドット姫 ヘイデン・パネッティーア 須藤祐実
アント・アイランドの女王 フィリス・ディラー* 磯辺万沙子
モルト リチャード・カインド 岡田吉弘
スリム デヴィッド・ハイド・ピアース 伊藤和晃
ハイムリック ジョー・ランフト* 島香裕
フランシス デニス・リアリー 田中正彦
マニー ジョナサン・ハリス* 小山武宏
ジプシー マデリーン・カーン* 相沢恵子
ロージー ボニー・ハント 林佳代子
ディム ブラッド・ギャレット 郷里大輔
タック マイケル・マクシェイン* 水野龍司
ロール マイケル・マクシェイン 水野龍司
P.T.フリー ジョン・ラッツェンバーガー 岡田吉弘
Mr.ソイル ロディ・マクドウォール 仲野裕
フローラ先生 イーディ・マクラーグ 佐藤しのぶ
ソーニー アレックス・ロッコ 星野亘
コーネリアス デヴィッド・オスマン* 石波義人
アクセル ジャン・ラブソン
ロコ カルロス・アラズラキ
サンパー デビッド・ランダー*
デイジー アシュレイ・ティスデイル
アフィー - -
ハリー ジョン・ラセター
ハリーの相棒 アンドリュー・スタントン*
アリ ポール・エイディング
その他 ジャック・エンジェル
デビ・デリーベリー
キンバリー・J・ブラウン
ジョーディー 山下夏生
ポップコーン売り 河野清人
ウッディ -(カメオ出演)


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長編映画
最終更新:2025年03月20日 00:49