バグズ・ライフ
概要
イソップ童話*の『アリとキリギリス』をモチーフに、バッタに脅されたアリ達を救うため、落ちこぼれのアリの青年が用心棒と間違えて雇ったサーカス団員と共に戦う様子を描く。黒澤明監督の『用心棒』などにインスピレーションを得て製作された。
ピクサーの長編2作目にして、コンピューターの処理能力は飛躍的に向上し、雨や雷などの特殊効果やアリを魅力的なビジュアルにすることに成功している。
映画のスタッフロールでは、キャラクター達が俳優で本作の撮影をしているという設定で、実写映画風のNG集が流される遊び心のある演出が採用された。
ディズニーの映画部門のトップである
ジェフリー・カッツェンバーグ*がかつて在籍していたドリームワークスが、同時期に同じくアリをテーマにしたCGアニメ映画『アンツ』を製作して論争となった。『アンツ』はCGの質や大人向けのプロットから高い評価を得たが、興行収入では『バグズ・ライフ』に軍配が上がった。
歴史
スタントンとランフトはアイディアを練り始め、1995年6月に
サン・ラファエル*で行われた『トイ・ストーリー』のスクリーンテストの際に、ディズニーのCEO
マイケル・アイズナー*にこの案を披露した。アイズナーはこれを気に入り、7月7日にディズニー&ピクサーの長編第2作として『Bugs』を製作することが正式に決まった。ラセターは『トイ・ストーリー』の経験からCGアニメを一人で監督するのは危険だと判断し、スタントンを共同監督に置いた。
キャスティング
アニメーション
昆虫のCGモデルは『トイ・ストーリー』の時よりも複雑で、スタッフはコンピューターの処理落ちなどに悩まされたという。ラセターとスタントンは
リッチ・クエイド*と
グレン・マックィーン*をスーパーバイザーに置き、慎重に作業を進めた。昆虫の視点から世界がどう見えているかを調べるため、ミニチュアカメラにレゴのタイヤを付けた
バグカム*を発明し、棒の先端に付けて動かした。虫の視点から太陽光に透けた葉を見上げると、ステンドグラスのように見えたという。虫の視点に関しては、
フランス*の昆虫ドキュメンタリー『ミクロコスモス』(1996年)の影響も受けている。
『トイ・ストーリー』では
ウッディと
バズ・ライトイヤーが物語の中心にいたのに対し、本作では色々なキャラクターにスポットが当たるため、昆虫のキャラクターを魅力的に描く必要があった。結局、アリは6本足ではなく、人間と同じ腕2本と足2本で描かれ、敵のバッタは逆に足を多く付けて共感しにくい姿とした。
作品では大量のアリが登場するため、一体ごとに地道に動きをつけていくのは非現実的であった。テクニカル・ディレクターの
ビル・リーヴス*は約8体のアリに個性(背の高さや肌の色など)とアニメーションを付けてランダム生成するツールを開発した。
アニメーターはよりリアルなレンダリングを目指すため、ピクサー創業者のひとり
エド・キャットマルが1970年代にユタ大学で開発したSSS(サブサーフェイス・スキャタリング)を活用した。これは光が葉や人間の手などの半透明な物体を通る時、その内部で散乱してから外へ出ていくメカニズムのことである。この技術はアニメーションで使うのは困難とされていたため、キャットマルはSSSを実験的に使った短編アニメーションを製作するように指示した。こうして完成した『
ゲーリーじいさんのチェス』(1997年)はSSSの実用のほか、当時の課題であった人間の描写にもチャレンジした。『ゲーリーじいさんのチェス』は『バグズ・ライフ』と同時上映された。
キャスト
- 吹替版:1999年3月13日公開。※Blu-ray・DVD・VHS収録
スタッフ
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最終更新:2025年03月20日 00:49