錆華市(さびはなし)

「鉄錆の都」 「影と光の断層都市」

全体概要

錆華市は、高低差のある巨大都市構造を持ち、煌びやかな上層区域と、荒廃し怪異の影すら潜む下層区域に分かれている。表向きは先進的で文化豊かな都市だが、裏では腐敗した権力と異形の存在が蠢く、「見えない線」が人々の生活を分断している。



地理構造

上層区域:高層ビルと行政の中心、煌びやかな仮面をかぶった都市

代表街区:煌環区(こうかんく)
  • 市庁舎や大手企業、富裕層の邸宅が立ち並ぶ。
  • 芸能人やインフルエンサーも多く住む、「表の錆華」を象徴する地区。
駅:双縁鉄道・天継中央駅(てんけいちゅうおう)
  • 錆華市の中心駅。上層と下層を繋ぐ主要交通ハブ。
特徴
  • 美術館・劇場・高級ホテル・政財界の本拠地。
  • だがその実、政治・経済・裏社会が深く癒着している。

周辺施設
  • 錆華市政庁(錆華庁舎)
  • 煌環タワー(政財界の要人たちのオフィスビル)
  • 禪会の上層支部(商人ギルドの表向きな顔)
  • 警務監査局(公安・警察組織の上層拠点)
  • 煌環医療センター(超高級医療・一部は怪異研究と繋がる)



下層区域:廃墟とスラム、そして怪異が息づく生の街

代表街区:焔霞街(えんかがい)
  • 商店街やバラックが密集する、生きた人間の温度を持った街。
  • 仙鶴の煙草屋、白狼の便利屋、禪会の店舗、怪異酒場などが混在。

代表街区:朱雀横丁(すざくよこちょう)
  • 古びた提灯が朱く揺れる下層の商店街。
  • 人間と怪異が入り混じる渾沌の街角。
  • 煙の護符が守る、土着の情念が息づく横丁。

代表街区:妖宴街(ようえんがい)
  • 妖艶なネオンが夜を彩る妖怪の歓楽街。
  • 美しき女王と妖怪たちが織り成す華やかな夜。
  • 誘惑と秘密が絡み合う、錆華の闇の遮光場。

駅:双縁鉄道・縁ノ辻駅(えんのつじえき)
  • 下層への玄関口。路地が絡み合い、駅の外はまるで迷宮のよう。

周辺施設
  • 白狼の便利屋「獣骨堂」
  • 仙鶴の煙草屋「煙霞堂」
  • 禪会の古倉庫(密貿易や情報取引の拠点)
  • 妖宴街入口の“狐火門”
  • 空木らラッドキングスが拠点とした廃ビル群
  • 怪異を祀る地元の祠「喰火ノ社」
  • 子供たちの学び場「禪學寮」



公共交通機関


双縁鉄道(そうえんてつどう)
  • 上下層を貫く、都市全体を繋ぐ重要交通インフラ。
  • 地下と高層を縫うように走り、主要駅では怪異対策が取られている。



組織・勢力

禪会(ぜんかい)

  • 代々「禪」の字を継ぐ商人たちの連合。中立ながら強い影響力。
  • 市内各地に店を持ち、下層区域にも支援を行っている。
  • 白狼の便利屋や仙鶴の煙草屋とも繋がりがある。

六黎會(ろくれいかい)

  • 錆華市上層の裏社会を牛耳る巨大ヤクザ組織。
  • 政府・企業とも癒着。かつて白狼が所属していた。
  • アイアントルクに裏で仕事を斡旋しつつ、最終的に切り捨てる冷酷な体質。

ラッドキングス

  • スラムの少年・空木が創設した元アート集団。
  • 現在は下層最大の犯罪勢力に変貌。庶民には今も一部で支持される。
  • 組織内に矛盾と分裂の兆しあり。

ネストスコーチャー(旧:ラッドキングス武闘派)

  • 四脚戦車「ナグルファル」の造船所跡を拠点とする戦闘特化集団。
  • 実質的に傭兵部隊。上層から金で仕事を請け負い、六黎會と密接。
  • 空木の理想に反発し、最終的に内部抗争・分裂へ。



錆華市の特色まとめ

  • 断層都市構造による社会格差と都市分裂。
  • 怪異と人間、正義と悪、秩序と混沌の共存。
  • 表層は華やか、だがその下には人と異形の血が交わる生の都市。
  • 各勢力が裏で繋がり、切り捨て合い、交錯する群像劇の舞台。



幽燐市(ゆうりんし)


「かつて火に焼かれ、今は霊に導かれる都市。眠らぬ灯と歪んだ理が、闇を照らす。」


全体概要

幽燐市は、「死」 「霊」 「記憶」 「火」 「贖罪」などを象徴とする都市。
過去に壊滅的な災厄(大火・怪異災害・内乱など)に見舞われた歴史を持ち、その爪痕が今も都市構造や住民意識に色濃く残っている。

都市の一部には常に消えない青い火や記憶を囁く霧が漂っており、人間と怪異が「共生」していると言えば聞こえはいいが、実際は共依存または隷属・擬態関係のような不安定さもある。



地理構造

焔骨街(えんこつがい)
  • 大火災の跡地に建てられた再開発区域。かつて死体が山のように積まれたという伝承があり、夜になると火の粉のような霊が舞う。
  • 今では若者の集うナイトマーケットや屋台街となっているが、時折「帰ってはいけない場所」が口を開けている。

深霊廻廊(しんれいかいろう)
  • 地下へと続く旧都市の遺構と、霊的な力を帯びた洞道群。都市の地下には「死者の記憶を記録する中枢装置」が存在するとも噂される。
  • 怪異研究者や霊的探求者が出入りするが、多くが戻らない。

燈守区(とうしゅく)
  • 市の中心行政区画。政治施設と霊的機関が同居しており、市政の中枢「幽燐府」がここにある。
  • 形式上は法と理性の場だが、その実態は「炎の監視者」と「記憶の記録者」が支配しているという説も。



交通と象徴


  • 幽燐市には他都市(例:錆華市)と接続する専用高軌道線(幽燐線)があり、車両には霊障除けの紋様が刻まれている。
  • 都市の象徴として、常に燃え続ける「幽燐塔」があり、塔は死者の声を記録する霊的中継装置とされる。



組織・勢力

幽燐府(ゆうりんふ)

市を統括する政治機関。霊的事件にも直接介入できる特例機関であり、通常の行政とは異なる権限を持つ。
  • 特徴:官僚は「印を刻む者」と呼ばれる儀式的役職に就く。
  • 関連人物案:緑比継 獄(ろくひつぎ・ひとや)(→ユーザー設定済み、詳細展開可能)

鎮魂局(ちんこんきょく)

怪異・霊障を鎮めるための専門機関。執行官は「鎮吏(ちんり)」と呼ばれ、火・水・霊符・呪文を用いて実働。
民間に恐れられているが、現場では命知らずな者も多い。

宵火教会(しょうかきょうかい)

怪異と共生するための民間宗教団体。怪異との対話・共存を目指す穏健派。
だが一部には過激な「怪異優先主義」もあり、地下で異端儀式を行う「宵火真派」も存在。



赫星区(かくせいく)


全体概要


赫星区は、錆華市の山岳地帯を越えた先、赤く爛れた夜空が常に広がる閉鎖都市。
数十年前、宇宙から“赫星(かくせい)”と呼ばれる有機的な人工天体が落下。この天体が持ち込んだ未知の病理、情報災害、空間歪曲によって都市の構造も倫理も常識も狂い始めた。
現在、この地では科学と信仰が混濁し、住民たちは**「赫星は神の卵」「怪異は星の夢」**と信じて生きる。
錆華市・幽燐市と地続きではあるものの、精神的にも物理的にも隔絶された「終わりに近い街」として恐れられている。



地理構造

上層区域:赤環塔区(せきかんとうく)
  • かつて宇宙居住実験のために建造された赤色セラミック製の塔型ドーム群が連なるエリア。
  • 落下事故以前は地球外生活の模擬区域だったが、現在は赫星の「影響下にある人間」が集う聖域のようなものになっている。
  • 財閥・軍需企業の元関係者が形成したカルト的権力集団が支配しており、「神の声を聞く者(異能者)」のみが居住を許される。
  • 不定期に塔全体が逆回転し、構造そのものが書き換わるという噂がある。



下層区域:赫喰層(かくしょくそう)
  • 落下地点に最も近く、赫星から降り注いだ胞子と輻射によってあらゆる生態系が変質。
  • 腐った赤土と歪んだ重力の中で、植物・動物・人間までもが異形化しており、住民は星化病を恐れながら生きる。
  • この層で活動する者は、防護服を纏った**“星拾い”**と呼ばれる者たち。彼らは赫星の欠片=高価なエネルギー資源を探してさまよい、命を落とすことも多い。
  • 「生きて戻れた者は祝福されている」とされ、星拾いの遺体は教会で“奉納”されることもある。



信仰と思想


  • 「赫星信仰」:
赫星は“神の卵”であり、怪異は神が見る夢の断片とされる。
都市全体に教団のような組織が点在し、星に近づこうとする“昇星派”と、星を封じようとする“鎖星派”の間で見えぬ抗争が続く。

  • 「星化病」:
赫星の影響による変異症状。
段階的に肉体・精神・存在情報が侵食され、最終的には“怪異化”または“星の声を聞く存在”となる。
末期患者は“供物”として赤環塔区に献上される。



社会・インフラ


  • 「赫星網域」
かつての都市ネットワークは歪んだAIの支配下にあり、住民の意識に干渉する“赫夢接続”が盛ん。
夢の中で赫星に触れようとする者も多く、夢死・夢暴走といった事象が報告されている。
  • 「交通・移動」
下層では装甲車や特化したバイオスーツ無しでは移動困難。
都市外縁は変異種怪異の巣と化しており、まれに錆華市からの戦闘部隊が踏破を試みるが、生還例は少ない。



他都市との関係


  • 錆華市との関係:
かつては錆華市の科学部門が赫星区の開発に関わっていた。現在は表向き断絶しているが、六黎會や一部の企業が密かに“星の力”を求めて接触している。
  • 幽燐市との関係:
怪異研究機関との断続的な情報交換あり。春 鳴華も過去に短期間訪れていた可能性がある(極秘扱い)。


主要キーワード


  • 赫星:宇宙から落下した、有機的構造を持つ“人工天体”。現在は都市中央のクレーターに埋没している。
  • 星拾い:防護装備で赫喰層を探索し、赫星の欠片を集めて売買する者たち。命知らずの傭兵や元軍人が多い。
  • 星化病:赫星の影響で生じる変異病。身体的変化、幻聴、視覚変異、やがて自己崩壊へ至る。
  • 赫夢接続:赫星と意識を接続し“夢で神と対話する”という狂信的インターフェース技術。禁忌扱い。
  • 昇星派/鎖星派:赫星を信仰・接近する者と、それを封印・抑制すべきとする者の思想的二大勢力。



蝕地(しょくち)


「地が怪異に蝕まれた」という由来を持つ。

全体概要

  • 錆華市・幽燐市の南方、断層のような崖地帯と大河によって都市圏と隔絶。
  • 日中でも霧が立ち込め、視界が悪く、怪異の活動時間帯が読めない。
  • 河川名は「屍流河(しりゅうが)」とし、古来より“死体を流す川”と恐れられてきた。
  • 荒野の中にはかつて存在した村や廃都市の遺構もあり、怪異の巣と化している。



主な危険性・怪異的環境

  • 【霊磁嵐】と呼ばれる霊的な磁場の乱れが頻発し、電子機器が故障しやすい。
  • 怪異は知能を持つ者も多く、装甲車の匂いや音を覚えて待ち伏せする個体も存在。
  • 荒野自体が“何かを拒む”ような意志を持ち、進行方向を幻覚で欺く現象あり。



荒野を越える移動手段・交通事情


移動車両・装備例
1. 幽鉄型装甲列車(ゆうてつがた・そうこうれっしゃ)
幽燐市側が稀に運用する霊的装甲列車。軌道敷設型で移動は遅いが安定性が高い。
2. 銹鋼獣(さびこうじゅう)シリーズ
錆華市の下層民が独自に改造した重装タイヤ式戦車型装甲車。外装はボロいが火力はある。
3. 結界駆動式 巡行車(コードネーム:燼影)
国家レベルの実験車両。車体そのものに御札と霊符による結界が刻まれており、侵食を拒む。



一般的な通行ルール

  • 単独での進入は禁忌。国家/大組織の許可を得た「隊列通行」が基本。
  • 車両だけでなく、霊能者・対怪異戦闘員の同乗が義務付けられている。
  • 荒野越えの途中に設けられた拠点「祠塞所(しかいじょ)」にて休息・結界調整を行う。



荒野の拠点案

祠塞所(しかいじょ)
古の社を中心に築かれた防衛拠点。荒野に点在しており、それぞれに結界柱と防衛兵が常駐。
  • 霊的燃料の補充が可能。
  • 怪異の標本や調査記録が集められている小さな博物館も併設。
  • 運が悪ければ、祠塞所ごと怪異に“喰われている”こともある。


超大型怪異

「“記憶”を喰う、赤黒き神格」

名称:禍霧(かむ)
  • 分類:巨大怪異(準神格級)
  • 出現場所:蝕地中央・屍流河の干上がった河口付近
  • 大きさ:全長約80m。巨大な甲殻に覆われた獣とも虫ともつかない形状

外見
  • 赤黒く変色した甲殻に包まれ、節くれだった腕が多数生えている。
  • 顔のような部位は存在せず、**無数の目と“記憶を投影する器官”**が体表に点在。
  • 動くたびに“誰かの過去”の幻影をばら撒き、敵味方の区別なく混乱を生む。

能力・性質
  • 記憶喰い:接触した生命体の記憶を喰らい、再現する。
  • 幻覚拡散:過去に喰った人々の幻影を空間に投影、地形や同伴者の姿も歪める。
  • 遺構操兵:荒野に打ち捨てられた戦車や装甲車を取り込み、外殻として使用する。
  • 霊磁嵐の発生源でもあり、蝕地の霊的異常気象の中心にいると推測される。

備考
  • 幽燐市・錆華市の双方がこの存在を「封印対象ではなく、棲み分け対象」と認識。
  • 蝕地のギャング集団「顎裂」とは奇妙な「共生」関係があるという噂も。

《蝕の都・ニビト》構造設定


全体概要

ニビトは元々、戦前時代に「新都市開発区」として開かれた地下型多層都市の計画跡地です。都市国家が「地上が汚染される時代」に備えて造ろうとした試験都市で、計画は途中で凍結され放棄されました。その後、怪異災害の余波で一部が地表ごと崩落し、荒野の深部と直結する地下都市の亡骸となったのです。



階層構造(断面イメージ)


  【地表跡】── 崩壊した高層ビル群・怪異の巣窟
   │
   ├── 第零層:遺棄広場(外周部)
   │         - 怪異化した霊木、骨の灯籠が並ぶ「無言の野」
   │
   ├── 第一層:居住階層(顎裂の住区)
   │         - 錆びた配管とランタンの照明。怪異と人間が共に住む。
   │         - 独自の通貨・規律・薬物文化が存在。
   │
   ├── 第二層:戦術工房・造兵区
   │         - 怪異の部位や都市廃材を使って武器・装甲を製造。
   │         - 「黒刻(こくこく)」と呼ばれる怪異義肢の工場。
   │
   ├── 第三層:祭祀殿・幻覚神殿
   │         - 禍霧を神格として祀る「記憶の間」が中心。
   │         - 祈祷・薬物・音響幻覚によって“記憶の海”に接続する。
   │
   ├── 第四層:封鎖領域・不帰回廊
   │         - ニビト建設の最深部。崩壊し、**禍霧の影**が常に彷徨う。
   │         - 顎裂内部でも進入が禁じられており、近づくと記憶が失われる。



主要ポイント


  • 骨燈街(こっとうがい):第零層に存在する、骨を材料とした灯火が揺れる迷路のような居住跡。地上との出入り口。
  • 赫眼鍛造所(かくがんたんぞうしょ):第二層にある鍛冶場。怪異の目や心核を素材にした装備を造る。
  • 夢喰堂(ゆめばみどう):第三層にある儀式施設。記憶再生薬“赤昏露”を用いて禍霧と交信を試みる場所。
  • 逆葬塔(ぎゃくそうとう):第四層に刺さるように建てられた“墓ではなく死者を蘇らせる塔”。今は封鎖。



社会構造・生活様式


  • 顎裂の構成員たちは**記憶を「捨てた者」**と「残した者」に分けられ、それにより階層が決まる。捨てた者 → 第一層で自由に暮らす。残した者 → 第二層以下で働き、過去の痛みと共に生きる罰人扱い。
  • 通貨は「刻銭(ときせん)」と呼ばれる金属片。一つ一つに“誰かの記憶の断片”が刻まれている。
  • 教育や宗教の概念はなく、代わりに「夢(=幻覚)」を見ることが最も尊い行為とされる。


最終更新:2025年05月27日 21:52