1998年第49回毎日王冠

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&font(#6495ED){登録日}:2015/02/12 (木) 19:32:51 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 8 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&font(#0000ff){グランプリホースの貫禄!}} #center(){&font(#0000ff){どこまで行っても逃げてやる!!}} **概要 第49回毎日王冠は1998年10月11日に東京競馬場で行なわれたレースである。 宝塚記念で悲願のG1制覇を達成した快速馬[[サイレンススズカ]]と最強世代の外国産馬のエルコンドルパサー・グラスワンダーの3頭の対決が話題となった。 東京競馬場の1800mで行なわれるということで後の天皇賞秋やマイルCSにもつながる非常に重要なレースとなったが、サイレンススズカが出走意志を表明すると出走回避馬が続出し、たったの9頭で行なわれることとなった。 しかし、競馬人気があったとはいえただの重賞になんと13万人が詰めかけた。現在ではダービークラスの話題性がなければこんなに集まることはない。 1989年、イナリワンVSオグリキャップVSメジロアルダンという名レースを生み出した東京競馬場1800mの重賞・毎日王冠で再び伝説が生まれたのであった。 **出走馬 1枠1番:プレストシンボリ 騸7 斤量57㎏ 騎手:岡部幸雄 堅実な走りがウリのベテラン○外。騸馬で○外のためこの当時は出られるレースが制限されていたが、別にマイラーだからどうってことはなかったぜ。 鞍上は関東のボス格・名手岡部で厩舎は関東の名門藤沢和雄厩舎。 2枠2番:サイレンススズカ 牡5 斤量59㎏ 騎手:武豊 このレースの主役である。旧4歳の冬にデビューし、そのデビュー戦で驚愕の才能の片鱗を見せダービー候補と呼ばれたが、 抑えの利かない行きたがりな気性と、競馬を理解できていなかったため4歳の間は才能はありそうだがパッとしない感じであった。 このへんは同期サンデーサイレンス産駒・ステイゴールドに似ているかもしれない。体格も小さい同士だし。 しかし、4歳の年末に遠征した香港で組んだ武豊とのコンビが覚醒へのきっかけとなる。 古馬となった旧5歳となった1998年は武豊とがっちりコンビを組み2000m前後ではまさに無敵。破滅的ペースで逃げながら余裕すら感じさせ勝ち続ける姿に、既にスローペース症候群に飽いていた競馬ファンは熱狂。 特に左回りは異常に強く、その左回り中京競馬場で行われたGⅡ金鯱賞ではマイペースで駆け抜け大差勝ち。宝塚記念では先約のあったエアグルーヴに武豊を取られるが逃げ切り初GⅠタイトルを獲得。 秋緒戦の毎日王冠は、勝ちっぷりのみが注目されると言っても過言ではないレースであった。 3枠3番:テイエムオオアラシ 牡6 斤量57Kg 騎手:福永祐一 後に世紀末覇王・テイエムオペラオーを見出す竹園オーナーが所有する内国産馬。 主要4場(東京・中山・阪神・京都)ではパッとしないが、小倉や福島ではめっぽう強い、いわゆるローカル巧者である。 血統がクッソ地味にも関わらず、ローカルで重賞を3つ勝つなどきっちり賞金を取ってくる馬主孝行な馬である。 4枠4番:エルコンドルパサー 牡4 斤量57㎏ 騎手:蛯名正義 90年代らしい○外…と思われがちだが、実際はオーナーが母のサドラーズギャルを購入し、キングマンボと配合して生まれたのが彼である。 出生地の都合で○外だが、そこらの内国産より配合理論などが練りこまれている。 デビュー戦で大出遅れをかましながら一気の捲りで9馬身差圧勝する高い身体能力と、如才なく立ち回れる賢さを兼ね備えデビューから5連勝でGⅠNHKマイルカップを快勝。 秋はマイルの絶対王者・タイキシャトルが出走する可能性のあったマイルCSを視野に入れての始動戦として、地元関東の古馬GⅡ毎日王冠から始動した。 …中距離最強と謳われるサイレンススズカへのチャレンジという視点もあったのかもしれない。 5枠5番:ランニングゲイル 牡5 斤量58kg 騎手:柴田善臣 勝ち上がるまでに時間はかかったが、皐月賞トライアルの弥生賞で大捲りをして圧勝するド派手なパフォーマンスを見せ一躍人気馬となるも 本番では結果を出せないまま、ダービー後は長期休養に入ってしまう。一年後、帰ってきた彼は…別人になっていた。 札幌でオープンこそ勝ったが、かつての輝きを取り戻すにはまだ時間がかかるように見えた。 なお、弥生賞にはサイレンススズカも出走していたが、当時の彼はゲートをくぐって遊んでいる始末であった。 6枠6番:グラスワンダー 牡4 斤量55kg 騎手:的場均 デビューから三連勝、どれも余裕の勝ちっぷりでGⅠ朝日杯をぶっこ抜いてきた怪物。 アメリカ産馬らしい筋骨隆々とした肉体から繰り出されるピッチ走法は迫力満点。 クラシックに出られないが、NHKマイルカップはまず彼が取る…と思われていたが骨折で離脱。 この骨折に代表される故障と、調教師のイマイチな管理能力が彼を苛む事になるがそれはまた別の話。 その骨折明け緒戦に選んだのがこの毎日王冠であった。 なお、エルコンドルパサーのデビューから春までの鞍上はグラスワンダーの主戦騎手で、彼の骨折でスケジュールが空いた的場均であり、見事にかち合ったこのレースでの選択が注目されたが 的場はグラスワンダーを取った。背中から感じた骨折前の彼のパフォーマンスは圧倒的であったのだろう。 7枠7番:サンライズフラッグ 牡5 斤量58㎏ 騎手:安田康彦 初勝利を上げるまでに無茶苦茶時間がかかり、その後もパッとしなかったが旧5歳時に突如として覚醒。 一気にオープン馬にまで上り詰め、鳴尾記念ではエアグルーヴを撃破する金星を挙げる。 この秋はさらなる飛躍を誓う舞台であった。 なお、1月から7月の宝塚記念で敗れるまで休養なしで駆け抜け続けていた。えぇ… 8枠8番:ワイルドバッハ 牡6 斤量57kg 騎手:ロバーツ とりあえず登録してたら出走できちゃった系の条件馬。父ミスターシービーってくらいしか強調材料がない。 8枠9番:ビッグサンデー 牡5 斤量58kg 騎手:宝来城多郎 旧4歳時にスプリングステークスを勝つが、クラシックではいいとこなし。短距離・マイル路線に転じた4歳秋以降は成績が安定。 1998年春はマイル重賞2連勝を飾るなど、マイル路線の新星的存在になった。 この秋は記録的不良馬場に飲み込まれ惨敗した安田記念の借りを返すシリーズと言えた。 1番人気はサイレンススズカ、2番人気はグラスワンダー、3番人気はエルコンドルパサーとなった。 **レース スタートで久々のグラスワンダーがやや出遅れるも概ねきれいなスタートを切る。 当然のごとくサイレンススズカがハナに立つ。続くのはエルコンドルパサー、ビッグサンデー、ランニングゲイル。 サイレンスをマークするかのように、大きく千切らせず、追いかけすぎずに追走。 その後ろにグラスワンダー以下が続き、最後方にサンライズフラッグという形になった。 800mを45秒台後半から46秒と今日も順調にハイペースかつマイペースで通過したサイレンスを、3コーナーすぎあたりから出負けもあって中段に居たグラスワンダーと鞍上の勝負師的場が猛然と距離を詰め、サイレンスに並ぼうとした。 息を抜いたタイミングで並びかければ、サイレンスを崩せる…かつてトウショウボーイを撃墜したクライムカイザーの戦法をとったのである。 無論、ハイペースで逃げる馬を捕まえに行けば、捕まえに行った方も潰れる可能性は高く非常にハイリスク。 グラスの可能性を評価し、勝負できる力量があると確信していた故に的場はハイリスク・ハイリターンのこの策を使い勝ちに行ったのである。 4コーナー手前で、ビッグサンデーと共にサイレンスに接近したグラスワンダーと的場均。直線前で捕まえられる、かに見えたのだが サイレンスは既に息を整え、再加速に十分な力を蓄えておりコーナー出口で一気に加速。 的場とグラスは一気に置いて行かれ、骨折明け緒戦ということもあったグラスはいつもの豪快な伸びがないまま沈んでいった。 一方、エルコンドルパサーの主戦を的場からを引き継いだ蛯名正義はハイリスク・ハイリターンの策を使わず正攻法の先行策で勝負。 直線を向いて満を持してスパートをかけて捕まえに行こうとしたものの、左によれてしまうなど、サイレンススズカを捉えるまでの余力は残されていなかった。 二頭の若き挑戦者を退け、サイレンススズカの末脚は止まることなく1着でゴール板を駆け抜けた。 エルコンドルパサーは影を踏むことさえ叶わなかったが後続は大きくちぎり2着を確保、一方一か八かの博打に打って出たグラスワンダーは5着確保がやっとであった。 他の馬は、ハイペース逃げにマークしていたか否かを問わず巻き込まれており、マトモにスパートをかけることはできなかった。 怪物○外二頭をいともたやすく退けたサイレンススズカ。その圧倒的勝利に駆けつけた13万人の競馬ファンは熱狂の度をさらに上げたのであった… **それぞれのその後 2着に敗れ、初の敗北を喫したエルコンドルパサーは、マイルCS出走プランを取り下げ、天皇賞(秋)の後にサイレンススズカが出走してくるであろうジャパンカップを次走に選択。 サイレンスを待ち構えたのだが…再戦は叶わなかった。そのジャパンカップではエアグルーヴ・スペシャルウィーク以下を軽く千切り捨て快勝。 あいつのいない日本に敵はない、と思ったか馬主はフランスに長期遠征を敢行。イスパーン賞2着、サンクルー大賞1着、フォア賞1着という実績を残し 凱旋門賞ではフランス古馬の代表格として臨み、不良馬場ながらスピードを活かした逃げ、残り100mまで凱旋門制覇の夢を見せたが、夢はモンジューに打ち破られてしまった。 しかし、モンジューすら半馬身差をつけたのみであり、エルコンドルパサーを2馬身半もちぎったのはサイレンススズカただ一頭であった。 グラスワンダーは次走のアルゼンチン共和国杯でも惨敗し限界説がささやかれたが、有馬記念を快勝し復活。 その後も脚の不調に苛まれながらも、1999年の宝塚記念、同年有馬記念のグランプリレース3連覇を達成した。 しかし、この後も伝説的な走りを見せてくれるとファンに確信させたこのレースの主役・サイレンススズカは、次に出走した天皇賞(秋)のレース中に重篤な骨折を発症し死亡した。 あまりの突然の最期は、競馬中継の女子アナウンサーが泣き、大川慶次郎・井崎脩五郎といったこの手の事故に慣れた予想家すら絶句するほどのショックを与え 武豊もサイレンスを失った翌週にらしからぬ斜行を犯し騎乗停止を喰らうなど、波紋は非常に大きなものとなった… 3頭の名馬達による小細工なしの真っ向勝負は今でも日本競馬史に残る名勝負として今も語り継がれている。 **余談 なお、同日に京都競馬場で行われた京都大賞典では98年の皐月賞馬セイウンスカイが緩急自在の逃げで勝っており、メインの重賞で見事な逃げが連続で見られた割と珍しい日になった。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,5) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 名勝負という割には内容が薄いように思う -- 名無しさん (2015-02-12 22:13:08) - 面白味がないな -- 名無しさん (2015-02-13 12:58:16) - 何かの拍子でワイルドバッハが勝つのかと思ったら… -- 名無しさん (2015-02-13 18:33:38) - 同じ毎日王冠なら89のがなぁ -- 名無しさん (2015-02-13 21:03:32) - 名勝負というか名レースだな。エルコンが食らいついたからそうは中々気付かないが、ハイペース逃げを追ってほとんど潰れているんだよなぁ -- 名無しさん (2020-06-15 18:07:36) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2015/02/12 (木) 19:32:51 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 8 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&font(#0000ff){グランプリホースの貫禄!}} #center(){&font(#0000ff){どこまで行っても逃げてやる!!}} **概要 第49回毎日王冠は1998年10月11日に東京競馬場で行なわれたレースである。 宝塚記念で悲願のG1制覇を達成した快速馬[[サイレンススズカ]]と最強世代の外国産馬のエルコンドルパサー・グラスワンダーの3頭の対決が話題となった。 東京競馬場の1800mで行なわれるということで後の天皇賞秋やマイルCSにもつながる非常に重要なレースとなったが、サイレンススズカが出走意志を表明すると出走回避馬が続出し、たったの9頭で行なわれることとなった。 しかし、競馬人気があったとはいえただの重賞になんと13万人が詰めかけた。現在ではダービークラスの話題性がなければこんなに集まることはない。 1989年、イナリワンVSオグリキャップVSメジロアルダンという名レースを生み出した東京競馬場1800mの重賞・毎日王冠で再び伝説が生まれたのであった。 **出走馬 1枠1番:プレストシンボリ 騸7 斤量57㎏ 騎手:岡部幸雄 堅実な走りがウリのベテラン○外。騸馬で○外のためこの当時は出られるレースが制限されていたが、別にマイラーだからどうってことはなかったぜ。 鞍上は関東のボス格・名手岡部で厩舎は関東の名門藤沢和雄厩舎。 2枠2番:サイレンススズカ 牡5 斤量59㎏ 騎手:武豊 このレースの主役である。旧4歳の冬にデビューし、そのデビュー戦で驚愕の才能の片鱗を見せダービー候補と呼ばれたが、 抑えの利かない行きたがりな気性と、競馬を理解できていなかったため4歳の間は才能はありそうだがパッとしない感じであった。 このへんは同期サンデーサイレンス産駒・ステイゴールドに似ているかもしれない。体格も小さい同士だし。 しかし、4歳の年末に遠征した香港で組んだ武豊とのコンビが覚醒へのきっかけとなる。 古馬となった旧5歳となった1998年は武豊とがっちりコンビを組み2000m前後ではまさに無敵。破滅的ペースで逃げながら余裕すら感じさせ勝ち続ける姿に、既にスローペース症候群に飽いていた競馬ファンは熱狂。 特に左回りは異常に強く、その左回り中京競馬場で行われたGⅡ金鯱賞ではマイペースで駆け抜け大差勝ち。宝塚記念では先約のあったエアグルーヴに武豊を取られるが逃げ切り初GⅠタイトルを獲得。 秋緒戦の毎日王冠は、勝ちっぷりのみが注目されると言っても過言ではないレースであった。 3枠3番:テイエムオオアラシ 牡6 斤量57Kg 騎手:福永祐一 後に世紀末覇王・テイエムオペラオーを見出す竹園オーナーが所有する内国産馬。 主要4場(東京・中山・阪神・京都)ではパッとしないが、小倉や福島ではめっぽう強い、いわゆるローカル巧者である。 血統がクッソ地味にも関わらず、ローカルで重賞を3つ勝つなどきっちり賞金を取ってくる馬主孝行な馬である。 4枠4番:エルコンドルパサー 牡4 斤量57㎏ 騎手:蛯名正義 90年代らしい○外…と思われがちだが、実際はオーナーが母のサドラーズギャルを購入し、キングマンボと配合して生まれたのが彼である。 出生地の都合で○外だが、そこらの内国産より配合理論などが練りこまれている。 デビュー戦で大出遅れをかましながら一気の捲りで9馬身差圧勝する高い身体能力と、如才なく立ち回れる賢さを兼ね備えデビューから5連勝でGⅠNHKマイルカップを快勝。 秋はマイルの絶対王者・タイキシャトルが出走する可能性のあったマイルCSを視野に入れての始動戦として、地元関東の古馬GⅡ毎日王冠から始動した。 …中距離最強と謳われるサイレンススズカへのチャレンジという視点もあったのかもしれない。 5枠5番:ランニングゲイル 牡5 斤量58kg 騎手:柴田善臣 勝ち上がるまでに時間はかかったが、皐月賞トライアルの弥生賞で大捲りをして圧勝するド派手なパフォーマンスを見せ一躍人気馬となるも 本番では結果を出せないまま、ダービー後は長期休養に入ってしまう。一年後、帰ってきた彼は…別人になっていた。 札幌でオープンこそ勝ったが、かつての輝きを取り戻すにはまだ時間がかかるように見えた。 なお、弥生賞にはサイレンススズカも出走していたが、当時の彼はゲートをくぐって遊んでいる始末であった。 6枠6番:グラスワンダー 牡4 斤量55kg 騎手:的場均 デビューから三連勝、どれも余裕の勝ちっぷりでGⅠ朝日杯をぶっこ抜いてきた怪物。 アメリカ産馬らしい筋骨隆々とした肉体から繰り出されるピッチ走法は迫力満点。 クラシックに出られないが、NHKマイルカップはまず彼が取る…と思われていたが骨折で離脱。 この骨折に代表される故障と、調教師のイマイチな管理能力が彼を苛む事になるがそれはまた別の話。 その骨折明け緒戦に選んだのがこの毎日王冠であった。 なお、エルコンドルパサーのデビューから春までの鞍上はグラスワンダーの主戦騎手で、彼の骨折でスケジュールが空いた的場均であり、見事にかち合ったこのレースでの選択が注目されたが 的場はグラスワンダーを取った。背中から感じた骨折前の彼のパフォーマンスは圧倒的であったのだろう。 7枠7番:サンライズフラッグ 牡5 斤量58㎏ 騎手:安田康彦 初勝利を上げるまでに無茶苦茶時間がかかり、その後もパッとしなかったが旧5歳時に突如として覚醒。 一気にオープン馬にまで上り詰め、鳴尾記念ではエアグルーヴを撃破する金星を挙げる。 この秋はさらなる飛躍を誓う舞台であった。 なお、1月から7月の宝塚記念で敗れるまで休養なしで駆け抜け続けていた。えぇ… 8枠8番:ワイルドバッハ 牡6 斤量57kg 騎手:マイケル・ロバーツ(南アフリカ、拠点はイギリス) とりあえず登録してたら出走できちゃった系の条件馬。父ミスターシービーってくらいしか強調材料がない。 8枠9番:ビッグサンデー 牡5 斤量58kg 騎手:宝来城多郎 旧4歳時にスプリングステークスを勝つが、クラシックではいいとこなし。短距離・マイル路線に転じた4歳秋以降は成績が安定。 1998年春はマイル重賞2連勝を飾るなど、マイル路線の新星的存在になった。 この秋は記録的不良馬場に飲み込まれ惨敗した安田記念の借りを返すシリーズと言えた。 1番人気はサイレンススズカ、2番人気はグラスワンダー、3番人気はエルコンドルパサーとなった。 **レース スタートで久々のグラスワンダーがやや出遅れるも概ねきれいなスタートを切る。 当然のごとくサイレンススズカがハナに立つ。続くのはエルコンドルパサー、ビッグサンデー、ランニングゲイル。 サイレンスをマークするかのように、大きく千切らせず、追いかけすぎずに追走。 その後ろにグラスワンダー以下が続き、最後方にサンライズフラッグという形になった。 800mを45秒台後半から46秒と今日も順調にハイペースかつマイペースで通過したサイレンスを、3コーナーすぎあたりから出負けもあって中段に居たグラスワンダーと鞍上の勝負師的場が猛然と距離を詰め、サイレンスに並ぼうとした。 息を抜いたタイミングで並びかければ、サイレンスを崩せる…かつてトウショウボーイを撃墜したクライムカイザーの戦法をとったのである。 無論、ハイペースで逃げる馬を捕まえに行けば、捕まえに行った方も潰れる可能性は高く非常にハイリスク。 グラスの可能性を評価し、勝負できる力量があると確信していた故に的場はハイリスク・ハイリターンのこの策を使い勝ちに行ったのである。 4コーナー手前で、ビッグサンデーと共にサイレンスに接近したグラスワンダーと的場均。直線前で捕まえられる、かに見えたのだが サイレンスは既に息を整え、再加速に十分な力を蓄えておりコーナー出口で一気に加速。 的場とグラスは一気に置いて行かれ、骨折明け緒戦ということもあったグラスはいつもの豪快な伸びがないまま沈んでいった。 一方、エルコンドルパサーの主戦を的場からを引き継いだ蛯名正義はハイリスク・ハイリターンの策を使わず正攻法の先行策で勝負。 直線を向いて満を持してスパートをかけて捕まえに行こうとしたものの、左によれてしまうなど、サイレンススズカを捉えるまでの余力は残されていなかった。 二頭の若き挑戦者を退け、サイレンススズカの末脚は止まることなく1着でゴール板を駆け抜けた。 エルコンドルパサーは影を踏むことさえ叶わなかったが後続は大きくちぎり2着を確保、一方一か八かの博打に打って出たグラスワンダーは5着確保がやっとであった。 他の馬は、ハイペース逃げにマークしていたか否かを問わず巻き込まれており、マトモにスパートをかけることはできなかった。 怪物○外二頭をいともたやすく退けたサイレンススズカ。その圧倒的勝利に駆けつけた13万人の競馬ファンは熱狂の度をさらに上げたのであった… **それぞれのその後 2着に敗れ、初の敗北を喫したエルコンドルパサーは、マイルCS出走プランを取り下げ、天皇賞(秋)の後にサイレンススズカが出走してくるであろうジャパンカップを次走に選択。 サイレンスを待ち構えたのだが…再戦は叶わなかった。そのジャパンカップではエアグルーヴ・スペシャルウィーク以下を軽く千切り捨て快勝。 あいつのいない日本に敵はない、と思ったか馬主はフランスに長期遠征を敢行。イスパーン賞2着、サンクルー大賞1着、フォア賞1着という実績を残し 凱旋門賞ではフランス古馬の代表格として臨み、不良馬場ながらスピードを活かした逃げ、残り100mまで凱旋門制覇の夢を見せたが、夢はモンジューに打ち破られてしまった。 しかし、モンジューすら半馬身差をつけたのみであり、エルコンドルパサーを2馬身半もちぎったのはサイレンススズカただ一頭であった。 グラスワンダーは次走のアルゼンチン共和国杯でも惨敗し限界説がささやかれたが、有馬記念を快勝し復活。 その後も脚の不調に苛まれながらも、1999年の宝塚記念、同年有馬記念のグランプリレース3連覇を達成した。 しかし、この後も伝説的な走りを見せてくれるとファンに確信させたこのレースの主役・サイレンススズカは、次に出走した天皇賞(秋)のレース中に重篤な骨折を発症し死亡した。 あまりの突然の最期は、競馬中継の女子アナウンサーが泣き、大川慶次郎・井崎脩五郎といったこの手の事故に慣れた予想家すら絶句するほどのショックを与え 武豊もサイレンスを失った翌週にらしからぬ斜行を犯し騎乗停止を喰らうなど、波紋は非常に大きなものとなった… 3頭の名馬達による小細工なしの真っ向勝負は今でも日本競馬史に残る名勝負として今も語り継がれている。 **余談 なお、同日に京都競馬場で行われた京都大賞典では98年の皐月賞馬セイウンスカイが緩急自在の逃げで勝っており、メインの重賞で見事な逃げが連続で見られた割と珍しい日になった。 #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,5) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 名勝負という割には内容が薄いように思う -- 名無しさん (2015-02-12 22:13:08) - 面白味がないな -- 名無しさん (2015-02-13 12:58:16) - 何かの拍子でワイルドバッハが勝つのかと思ったら… -- 名無しさん (2015-02-13 18:33:38) - 同じ毎日王冠なら89のがなぁ -- 名無しさん (2015-02-13 21:03:32) - 名勝負というか名レースだな。エルコンが食らいついたからそうは中々気付かないが、ハイペース逃げを追ってほとんど潰れているんだよなぁ -- 名無しさん (2020-06-15 18:07:36) #comment #areaedit(end) }

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