SCP-040-JP

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&font(#6495ED){登録日}:2016/11/25 (金) 15:36:02 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&bold(){寂しがりやの野良猫は、ずっと見つめ合う誰かを探していた。}} SCP-040-JP とは、怪異創作コミュニティサイト「[[SCP Foundation]]」に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(SCP Foundation)]] (SCiP) の一つである。 項目名は『ねこですよろしくおねがいします』。日本支部によって生み出されたオブジェクトであり、[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]は「Safe」に指定されている。 SCP-040-JPは、幅が約5m、奥行きが約4mの木造の井戸小屋だ。 小屋の出入り口には南京錠がかけられていたが、鍵が破損した事によって出入り自由となってしまい、その結果として発生した異常によって財団に探知され、収容された。 小屋の中に入ると、古い年代に造られたと推測される石造りの井戸があり、&bold(){小屋の中にはねこがいます}。 井戸の深さは、本来の用途からはありえないほどに深く、&bold(){ねこがいます}。 &bold(){ねこです、よろしくおねがいします}。 探査機を用いた調査を行なった結果、小屋の中には&bold(){ねこが}ーーー #center(){ &blankimg(neko.png, width=403, height=509) &color(red){【 [[ミーム>ミーム(SCP Foundation)]]災害が発生しました 】} } よろしくお願いします #right(){ &size(50){メ モ} } ---- #right(){ SCP-040-JP - ねこですよろしくおねがいします by Ikr_4185 http://ja.scp-wiki.net/scp-040-jp neko.png by Ikr_4185 http://scp-jp.wdfiles.com/local--files/scp-040-jp/neko.png この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } ---- &link_up(△)メニュー &link_edit(text=項目変更)&link_copy(text=項目コピー) &link_diff(text=項目変更点)&link_backup()&link_upload(text=アップロードページ) ---- #include(テンプレ3) 現在、SCP-040-JPの発生源である井戸小屋は中尊寺金色堂のように上から収容施設をかぶせることにより外界から完全に隔離されている。 しかし、このオブジェクトの本質は井戸小屋そのものではない。 SCP-040-JPの本質とは、ずばり井戸小屋の中を覗いてしまった人物を中心として発生する重篤なミーム災害なのだ。 このオブジェクトに関する初期の報告書もSCP-040-JPに由来するミーム汚染に感染した結果、それ自体がミーム汚染をばらまくSCPとなってしまった。 その結果、最終的にはSCP-040-JPを研究していたサイト-8120そのものがミーム汚染の発信源に変貌するという、とんでもない事態に陥ってしまったのである。 では、井戸小屋の中をのぞいてしまったことによる異常とはいったい何なのだろうか? ここに、当記事の第一執筆者がミーム災害に感染し、搬送された直後の音声記録を文章化したものを添付しておくので、興味のある方は内容を確認してほしい。 #region(文章を閲覧する) >いやぁ、配属早々大変な事になってしまったね、新人研究員君。 > >残念ながら、あの人はミーム汚染を発症してしまい、搬送されたよ。 > >恐ろしいオブジェクトでしたね、か。 >確かにね。 > >では、あのオブジェクトについておさらいしておこうか? > >SCP-040-JPは、とある県の某所に存在している井戸小屋だ。 > >井戸小屋、というだけあって小屋の中には井戸がある。 >そして、その井戸を確認しようとして小屋の中を一目でものぞき込んでしまったら最後、その人は『小屋の中に猫がいる』という幻覚に憑りつかれることになってしまうんだ。 > >しかも、その猫というのがそこの壁に掛けられたカレンダーの写真みたいな可愛い姿ではなく、無毛で、鼻と口を欠いたのっぺりした顔に人間そっくりの目が付いた歪な姿をしているそうなんだよ。 >そんな顔の奴が、一時期流行ったトリックアートの『振り向きドラゴン』みたいに、どの方向から見てもこちらを真っ直ぐ見つめてくる様に見えると報告されている。 > >この段階で記憶処理を施さないと、幻覚はさらに悪化してその人の視界に入るすべての猫がさっき言ったような珍妙な姿に見えるようになってしまう。 >そして、「自分を取り巻く暗闇の中にあの猫が潜んでおり、こちらを常に見ている」という更なる幻覚症状に憑りつかれることになってしまうんだ。 > >さて、このオブジェクトの最も厄介な点だが、それは「猫がいる」という幻覚に取り憑かれた犠牲者が、周りの人間に「猫がいる」ことを積極的に伝えようとし出してしまう点だろうね。 > >実は、この「猫がいる」という情報そのものに重篤なミーム汚染が含まれていて、絵や文章、写真など情報伝達に用いられるそれこそありとあらゆる手段を媒介として「猫がいる」という情報をばら撒こうとしてくるんだよ。 > >例えば、【イラストで伝えてみよう→見事に感染しました】、【録音した音声ならどうだ→やっぱりダメでした】みたいな感じに、対抗手段を取ろうとすればするほど感染経路の拡大に貢献してしまうという皮肉な事態に陥ってしまうんだ。 > >そして、「猫がいる」という情報に触れてしまった人物もまた、即座にミーム汚染を発症して猫をいびつな形で見てしまい、その情報を拡散するようになってしまう。 >だからこそ、サイト丸ごと一つがミーム災害に感染してしまうという、通常ならあり得ない事態に陥ってしまったんだよ。 > >因みに、小屋の中を無人機を使って探索したことがあるんだけど、猫どころかミーム汚染につながるいかなる手がかりも発見できなかったそうだ。ただ、1000メートルをゆうに超える深さがあったらしく、どうも内部の空間が歪んでいるんじゃないかと言われている。 >そして、その時の映像や、小屋を撮影した写真などではミーム汚染を発症することがないことがわかっている。 > >以上が、 SCP-040-JPに関する情報だよ。 > >ん? >さっきからなんでカレンダーをじっと見つめてるんだ? >…まさか!? > >そこから動かないで、一言も喋らないで!! #endregion 万が一、上記の文章を閲覧してミーム災害に感染した場合は、必ずセクター-8120-煤で処置253-"柳煤"を受けていただきたい。 *ちょっと真面目な解説 SCP-040-JPとは、とある県にある、かつては村だったいずこかに存在する古い井戸小屋である。 元々は鍵と鎖でガッチガチに閉ざされていたのだが、現在では解放されており、これ自体を覆う形で収容サイトが建造されている。 異常な特性は散々上述したが、井戸の内部を覗き込んだ際に発生する、あの不気味な「ねこ」の幻覚である。 これに曝露してしまった被験者は、全てのイエネコに対する認識災害を発症し、実物・画像・映像・絵画を問わず、あらゆるネコが「ねこ」に見えるようになる。加えて、「ねこ」が暗闇から自分を監視している、というパラノイアを発症してしまう。 ただ、この「ねこ」の存在を曝露者が感知する暗闇がどのようなものなのか、という部分についてはパターンが全く判明していない。 で、「ねこ」はあくまで幻覚であるため、曝露していない人間には見えない。 初期収容時に財団研究者が調査したところ、「ねこ」の像が映るのは人間の視野角の内水晶体、あるいは角膜辺の位置ではないかという仮説が立てられた。 さらに詳しく調べたところ、中心視野から外れた位置および視野中の暗所、つまり目のピントが合わせられていない部分で、かつ暗いところに「ねこ」の姿が映り込む、という状態になっていたらしい。 これは[[Dクラス>Dクラス(SCP Foundation)]]を用いた実験で裏付けが取れているが、誰かの提唱した仮説によれば、これは井戸内部の暗闇、あるいはそこにある何かが影響を及ぼしているのではないか、というものだった。 この時点では、オブジェクトへの曝露は直接視認しない限り起こらない、ということになっていたため、井戸内部への探査機を用いた調査が行われた。ところが、わかったのは井戸内部の壁が玄武岩で出来ている、ということのみ。 3000m近く潜ったにも関わらず底に到達することが出来ず、外部からの並行調査では岩盤のみが存在しており、「ねこ」の実体は観測されなかった。 そしてその後新たに判明した事実は、この認識災害には自己感染能力、つまりはある種のミーマチックエフェクトが含まれていたことだった。 曝露者は自身の認識している、「「ねこ」がいる」という観念を他者に対して、しかもアクティブに伝えようとする。曝露者が何を言っているのか、何を伝えたいのかをある程度理解してしまった場合、その人物もまた同様の認識災害に曝露することになってしまうのだ。 さらに面倒なことに、確かに最初の曝露自体は井戸を覗き込まねば起こらないものの、「「ねこ」がいる」という観念自体は言葉、文章、絵、映像、とにかくあらゆる情報媒体に乗って感染する。 つまり、曝露者自体はあくまでベクターであり、ミーマチックエフェクトは「「ねこ」がいる」という観念そのものに含まれている、ということらしい。 おまけに、曝露当初は曝露者は激しく動揺するものの、それ以後は平静に戻る上に伝達行動は極めて自然に行うため、曝露者かどうかを外部から判断することは非常に困難とされている。 以上の情報は初期収容の後に判明したものだが、「ねこ」に関する情報とはずばりこの報告書も含まれる。 さらに、報告書を書いた職員も、執筆の過程でミーム災害に曝露してしまったらしく、ロックされている概要部分は最初の部分からちょいちょいおかしな部分がある。一部抜粋すると、 >なおカメラ映像では、前述の小屋の様子が&bold(){映し出されるされる}のみで、報告される猫は確認されていません。 「される」の重複。 >暗闇にねこが現れるには曝露した対象が監視されている様に感じられます。監視の目的やその総数も判明していません。 文法の混乱。「ねこ」の実在を前提とした記述。 >ねこはこのような見た目でした。 曝露者のみが見る幻覚にも関わらず、「実物を見た」かのような表現と絵図。 >壁が玄武岩から構成されている事は判明しましたが、&bold(){きいてますか}SCP-040-JP外部からの平行調査では明らかに岩盤のみが存在しているのみでした。 別意志の介在。 とまあ、無茶苦茶である。 で、報告書がこんな調子だったもんだから、この一連の情報をベクターとして認識災害が広まってしまい、結果サイト-8120全域で「ねこ」によるインフォメーション・パンデミックが発生。 大規模な記憶処理と終了処分によってどうにか沈静し、以後これに限らず、報告書提出の際には必ず対ミーム予防処置を経由することが義務付けられた。 ちなみにミーム災害事件の後に追記されたレポートと、資料室を管理する職員からの忠告がこれ。 >&bold(){インシデントレポート040-JP-001}:19██/██/██、この報告書の影響と思われる大規模なミーム災害がサイト-8120で発生しました。 >報告書提出時点で執筆した職員、並びに受理した上位職員がSCP-040-JPのミームに曝露して&bold(){居た}物と考えられています。 >曝露した職員は記憶処理或いは解雇処分が為されました。これ以降報告書提出の際は全て対ミーム処置※を経由させる事が決定しました。 > >※この様な失態を二度と繰り返さない為の対ミーム処置です。 >報告書提出の際はこの処置を必ず行うようにしてください。 >&bold(){宜しくお願いします。} ……大丈夫だと我々は信じている。 *関連性の疑われるオブジェクト 実はこの「ねこ」だが、ルーツと思しきオブジェクトが一つ存在している。 それは、[[SCP-1500-JP]]「和魂祭」である。 この祭りはざっくり言うと、日本の守護神だった「桜主」を祝う祭りなのだが、[[要注意団体>要注意団体(SCP Foundation)]]の介入でベクトルが歪められている。 で、この時「桜主」と一緒に祭られていた祟り神こと、人の精神に影響を与える神霊オブジェクト「四神」のうち、玄武を除く三柱が、[[蒐集院>要注意団体(SCP Foundation)]]によってそれぞれ別の場所に封印されているのだが、このうち、「西の果ての、時空の歪んだ大穴に突き落とされた」白虎が「ねこ」の正体ではないか、という推察が存在する。 封印された他の四神も、青龍は173-JP、朱雀は[[444-JP>SCP-444-JP]]ではないか、とも言われている。 明言されてもいないし匂わせる程度の関連だが、色々と想像を掻き立ててくれるオブジェクトである。((メタ的には、後から書かれた1500-JPの中で四神にそれぞれ既存のJPオブジェクトを当てはめている格好。作者も別なので、どうとるかは完全にヘッドカノン次第である。)) [[SCP-040-JP-J]]はこれのジョーク版のオブジェクトである。 * SCP-040-JPが関係している主なTale Taleとは、SCPを題材にした二次創作小説のことである。 &bold(){「 烏丸教授の特別講義: 情報災害とミーム異常 ~認識を正常に保つ方法~  」} 烏丸(からすまる)虎教授の主催する「ミームとミーム災害に関する講義」に、自身もミーム災害に関する講義を行ったことのある針山博士がなぜか出席するというTale。 講義の終了後、烏丸教授に呼び止められた梶山博士は、烏丸教授にSCP-040-JPに関する相談を持ち掛ける。 話を聞いた烏丸教授は、先ほどの講義の内容を引き合いにミーム災害に対抗する手段について堀山博士へ語り始め…という内容。 …なお、すでにお気づきの方もいると思われれるが、はに山…ではなくて、もう下の名前で呼ぼう。栄治博士の苗字そのもにも「正しく覚えられない」というミーム災害が含まれている。 &bold(){「 ねこより 」} 『ねこ』の独白。 >ねこはどこにでもいるねこはいます。そこにねこはいますのに、ざいだんのひとはねこをつかまえません。ねこはそこにいます。ねこはどこにでもいます。 &bold(){「SCP-374-JP事案-1」} [[SCP-374-JP]]「秘密結社キャッチ&リリース」の実験にて起きたSCP-040-JPの収容違反。 この魚人間たちの誘拐ターゲットになった東博士が曝露者であり、それを魚人間たちに感染させてしまった結果……。 *余談 ・このオブジェクト、覚えやすい上にキーワードが自己紹介の文面であるため、SCPwikiを除くSCP関連の動画やサイト(当アニヲタWiki含む)でしょっちゅう改変する形で使われている。その中でも、なぜか緋色の鳥こと[[SCP-444-JP]]と混ざっていることが多い。 ・汎用性の高さゆえか、SCPを飛び越えて現実の社会への浸透率が凄まじく、内閣府が配布した29年度版のネチケット喚起のチラシにまでこのネタが登場している(スマホによるLINEを再現したイラストがあるのだが、その中に「ねこです」というユーザーの「よろしくおねがいします」というリプライがある)。 追記・修正はミーム災害に感染していない方によろしくおねがいします。 ---- #right(){CC BY-SA 3.0に基づく表示 SCP-040-JP - ねこですよろしくおねがいします by Ikr_4185 http://ja.scp-wiki.net/scp-040-jp neko.png by Ikr_4185 http://scp-jp.wdfiles.com/local--files/scp-040-jp/neko.png 烏丸教授の特別講義: 情報災害とミーム異常 ~認識を正常に保つ方法~ by transistor_K http://ja.scp-wiki.net/karasumaru-s-lecture-of-meme ねこより by boatOB http://ja.scp-wiki.net/nekoyori この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,30) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #lsd() #comment_num2(num=30) }
&font(#6495ED){登録日}:2016/11/25 (金) 15:36:02 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 5 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&bold(){寂しがりやの野良猫は、ずっと見つめ合う誰かを探していた。}} SCP-040-JP とは、怪異創作コミュニティサイト「[[SCP Foundation]]」に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(SCP Foundation)]] (SCiP) の一つである。 項目名は『ねこですよろしくおねがいします』。日本支部によって生み出されたオブジェクトであり、[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]は「Safe」に指定されている。 SCP-040-JPは、幅が約5m、奥行きが約4mの木造の井戸小屋だ。 小屋の出入り口には南京錠がかけられていたが、鍵が破損した事によって出入り自由となってしまい、その結果として発生した異常によって財団に探知され、収容された。 小屋の中に入ると、古い年代に造られたと推測される石造りの井戸があり、&bold(){小屋の中にはねこがいます}。 井戸の深さは、本来の用途からはありえないほどに深く、&bold(){ねこがいます}。 &bold(){ねこです、よろしくおねがいします}。 探査機を用いた調査を行なった結果、小屋の中には&bold(){ねこが}ーーー #center(){ &blankimg(neko.png, width=403, height=509) &color(red){【 [[ミーム>ミーム(SCP Foundation)]]災害が発生しました 】} } よろしくお願いします #right(){ &size(50){メ モ} } ---- #right(){ SCP-040-JP - ねこですよろしくおねがいします by Ikr_4185 http://ja.scp-wiki.net/scp-040-jp neko.png by Ikr_4185 http://scp-jp.wdfiles.com/local--files/scp-040-jp/neko.png この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } ---- &link_up(△)メニュー &link_edit(text=項目変更)&link_copy(text=項目コピー) &link_diff(text=項目変更点)&link_backup()&link_upload(text=アップロードページ) ---- #include(テンプレ3) 現在、SCP-040-JPの発生源である井戸小屋は中尊寺金色堂のように上から収容施設をかぶせることにより外界から完全に隔離されている。 しかし、このオブジェクトの本質は井戸小屋そのものではない。 SCP-040-JPの本質とは、ずばり井戸小屋の中を覗いてしまった人物を中心として発生する重篤なミーム災害なのだ。 このオブジェクトに関する初期の報告書もSCP-040-JPに由来するミーム汚染に感染した結果、それ自体がミーム汚染をばらまくSCPとなってしまった。 その結果、最終的にはSCP-040-JPを研究していたサイト-8120そのものがミーム汚染の発信源に変貌するという、とんでもない事態に陥ってしまったのである。 では、井戸小屋の中をのぞいてしまったことによる異常とはいったい何なのだろうか? ここに、当記事の第一執筆者がミーム災害に感染し、搬送された直後の音声記録を文章化したものを添付しておくので、興味のある方は内容を確認してほしい。 #region(文章を閲覧する) >いやぁ、配属早々大変な事になってしまったね、新人研究員君。 > >残念ながら、あの人はミーム汚染を発症してしまい、搬送されたよ。 > >恐ろしいオブジェクトでしたね、か。 >確かにね。 > >では、あのオブジェクトについておさらいしておこうか? > >SCP-040-JPは、とある県の某所に存在している井戸小屋だ。 > >井戸小屋、というだけあって小屋の中には井戸がある。 >そして、その井戸を確認しようとして小屋の中を一目でものぞき込んでしまったら最後、その人は『小屋の中に猫がいる』という幻覚に憑りつかれることになってしまうんだ。 > >しかも、その猫というのがそこの壁に掛けられたカレンダーの写真みたいな可愛い姿ではなく、無毛で、鼻と口を欠いたのっぺりした顔に人間そっくりの目が付いた歪な姿をしているそうなんだよ。 >そんな顔の奴が、一時期流行ったトリックアートの『振り向きドラゴン』みたいに、どの方向から見てもこちらを真っ直ぐ見つめてくる様に見えると報告されている。 > >この段階で記憶処理を施さないと、幻覚はさらに悪化してその人の視界に入るすべての猫がさっき言ったような珍妙な姿に見えるようになってしまう。 >そして、「自分を取り巻く暗闇の中にあの猫が潜んでおり、こちらを常に見ている」という更なる幻覚症状に憑りつかれることになってしまうんだ。 > >さて、このオブジェクトの最も厄介な点だが、それは「猫がいる」という幻覚に取り憑かれた犠牲者が、周りの人間に「猫がいる」ことを積極的に伝えようとし出してしまう点だろうね。 > >実は、この「猫がいる」という情報そのものに重篤なミーム汚染が含まれていて、絵や文章、写真など情報伝達に用いられるそれこそありとあらゆる手段を媒介として「猫がいる」という情報をばら撒こうとしてくるんだよ。 > >例えば、【イラストで伝えてみよう→見事に感染しました】、【録音した音声ならどうだ→やっぱりダメでした】みたいな感じに、対抗手段を取ろうとすればするほど感染経路の拡大に貢献してしまうという皮肉な事態に陥ってしまうんだ。 > >そして、「猫がいる」という情報に触れてしまった人物もまた、即座にミーム汚染を発症して猫をいびつな形で見てしまい、その情報を拡散するようになってしまう。 >だからこそ、サイト丸ごと一つがミーム災害に感染してしまうという、通常ならあり得ない事態に陥ってしまったんだよ。 > >因みに、小屋の中を無人機を使って探索したことがあるんだけど、猫どころかミーム汚染につながるいかなる手がかりも発見できなかったそうだ。ただ、1000メートルをゆうに超える深さがあったらしく、どうも内部の空間が歪んでいるんじゃないかと言われている。 >そして、その時の映像や、小屋を撮影した写真などではミーム汚染を発症することがないことがわかっている。 > >以上が、 SCP-040-JPに関する情報だよ。 > >ん? >さっきからなんでカレンダーをじっと見つめてるんだ? >…まさか!? > >そこから動かないで、一言も喋らないで!! #endregion 万が一、上記の文章を閲覧してミーム災害に感染した場合は、必ずセクター-8120-煤で処置253-"柳煤"を受けていただきたい。 *ちょっと真面目な解説 SCP-040-JPとは、とある県にある、かつては村だったいずこかに存在する古い井戸小屋である。 元々は鍵と鎖でガッチガチに閉ざされていたのだが、現在では解放されており、これ自体を覆う形で収容サイトが建造されている。 異常な特性は散々上述したが、井戸の内部を覗き込んだ際に発生する、あの不気味な「ねこ」の幻覚である。 これに曝露してしまった被験者は、全てのイエネコに対する認識災害を発症し、実物・画像・映像・絵画を問わず、あらゆるネコが「ねこ」に見えるようになる。加えて、「ねこ」が暗闇から自分を監視している、というパラノイアを発症してしまう。 ただ、この「ねこ」の存在を曝露者が感知する暗闇がどのようなものなのか、という部分についてはパターンが全く判明していない。 で、「ねこ」はあくまで幻覚であるため、曝露していない人間には見えない。 初期収容時に財団研究者が調査したところ、「ねこ」の像が映るのは人間の視野角の内水晶体、あるいは角膜辺の位置ではないかという仮説が立てられた。 さらに詳しく調べたところ、中心視野から外れた位置および視野中の暗所、つまり目のピントが合わせられていない部分で、かつ暗いところに「ねこ」の姿が映り込む、という状態になっていたらしい。 これは[[Dクラス>Dクラス(SCP Foundation)]]を用いた実験で裏付けが取れているが、誰かの提唱した仮説によれば、これは井戸内部の暗闇、あるいはそこにある何かが影響を及ぼしているのではないか、というものだった。 この時点では、オブジェクトへの曝露は直接視認しない限り起こらない、ということになっていたため、井戸内部への探査機を用いた調査が行われた。ところが、わかったのは井戸内部の壁が玄武岩で出来ている、ということのみ。 3000m近く潜ったにも関わらず底に到達することが出来ず、外部からの並行調査では岩盤のみが存在しており、「ねこ」の実体は観測されなかった。 そしてその後新たに判明した事実は、この認識災害には自己感染能力、つまりはある種のミーマチックエフェクトが含まれていたことだった。 曝露者は自身の認識している、「「ねこ」がいる」という観念を他者に対して、しかもアクティブに伝えようとする。曝露者が何を言っているのか、何を伝えたいのかをある程度理解してしまった場合、その人物もまた同様の認識災害に曝露することになってしまうのだ。 さらに面倒なことに、確かに最初の曝露自体は井戸を覗き込まねば起こらないものの、「「ねこ」がいる」という観念自体は言葉、文章、絵、映像、とにかくあらゆる情報媒体に乗って感染する。 つまり、曝露者自体はあくまでベクターであり、ミーマチックエフェクトは「「ねこ」がいる」という観念そのものに含まれている、ということらしい。 おまけに、曝露当初は曝露者は激しく動揺するものの、それ以後は平静に戻る上に伝達行動は極めて自然に行うため、曝露者かどうかを外部から判断することは非常に困難とされている。 以上の情報は初期収容の後に判明したものだが、「ねこ」に関する情報とはずばりこの報告書も含まれる。 さらに、報告書を書いた職員も、執筆の過程でミーム災害に曝露してしまったらしく、ロックされている概要部分は最初の部分からちょいちょいおかしな部分がある。一部抜粋すると、 >なおカメラ映像では、前述の小屋の様子が&bold(){映し出されるされる}のみで、報告される猫は確認されていません。 「される」の重複。 >暗闇にねこが現れるには曝露した対象が監視されている様に感じられます。監視の目的やその総数も判明していません。 文法の混乱。「ねこ」の実在を前提とした記述。 >ねこはこのような見た目でした。 曝露者のみが見る幻覚にも関わらず、「実物を見た」かのような表現と絵図。 >壁が玄武岩から構成されている事は判明しましたが、&bold(){きいてますか}SCP-040-JP外部からの平行調査では明らかに岩盤のみが存在しているのみでした。 別意志の介在。 とまあ、無茶苦茶である。 で、報告書がこんな調子だったもんだから、この一連の情報をベクターとして認識災害が広まってしまい、結果サイト-8120全域で「ねこ」によるインフォメーション・パンデミックが発生。 大規模な記憶処理と終了処分によってどうにか沈静し、以後これに限らず、報告書提出の際には必ず対ミーム予防処置を経由することが義務付けられた。 ちなみにミーム災害事件の後に追記されたレポートと、資料室を管理する職員からの忠告がこれ。 >&bold(){インシデントレポート040-JP-001}:19██/██/██、この報告書の影響と思われる大規模なミーム災害がサイト-8120で発生しました。 >報告書提出時点で執筆した職員、並びに受理した上位職員がSCP-040-JPのミームに曝露して&bold(){居た}物と考えられています。 >曝露した職員は記憶処理或いは解雇処分が為されました。これ以降報告書提出の際は全て対ミーム処置※を経由させる事が決定しました。 > >※この様な失態を二度と繰り返さない為の対ミーム処置です。 >報告書提出の際はこの処置を必ず行うようにしてください。 >&bold(){宜しくお願いします。} ……大丈夫だと我々は信じている。 *関連性の疑われるオブジェクト 実はこの「ねこ」だが、ルーツと思しきオブジェクトが一つ存在している。 それは、[[SCP-1500-JP]]「和魂祭」である。 この祭りはざっくり言うと、日本の守護神だった「桜主」を祝う祭りなのだが、[[要注意団体>要注意団体(SCP Foundation)]]の介入でベクトルが歪められている。 で、この時「桜主」と一緒に祭られていた祟り神こと、人の精神に影響を与える神霊オブジェクト「四神」のうち、玄武を除く三柱が、[[蒐集院>要注意団体(SCP Foundation)]]によってそれぞれ別の場所に封印されているのだが、このうち、「西の果ての、時空の歪んだ大穴に突き落とされた」白虎が「ねこ」の正体ではないか、という推察が存在する。 封印された他の四神も、青龍は173-JP、朱雀は[[444-JP>SCP-444-JP]]ではないか、とも言われている。 明言されてもいないし匂わせる程度の関連だが、色々と想像を掻き立ててくれるオブジェクトである。((メタ的には、後から書かれた1500-JPの中で四神にそれぞれ既存のJPオブジェクトを当てはめている格好。作者も別なので、どうとるかは完全にヘッドカノン次第である。)) [[SCP-040-JP-J]]はこれのジョーク版のオブジェクトである。 * SCP-040-JPが関係している主なTale Taleとは、SCPを題材にした二次創作小説のことである。 &bold(){「 烏丸教授の特別講義: 情報災害とミーム異常 ~認識を正常に保つ方法~  」} 烏丸(からすまる)虎教授の主催する「ミームとミーム災害に関する講義」に、自身もミーム災害に関する講義を行ったことのある針山博士がなぜか出席するというTale。 講義の終了後、烏丸教授に呼び止められた梶山博士は、烏丸教授にSCP-040-JPに関する相談を持ち掛ける。 話を聞いた烏丸教授は、先ほどの講義の内容を引き合いにミーム災害に対抗する手段について堀山博士へ語り始め…という内容。 …なお、すでにお気づきの方もいると思われれるが、はに山…ではなくて、もう下の名前で呼ぼう。栄治博士の苗字そのもにも「正しく覚えられない」というミーム災害が含まれている。 &bold(){「 ねこより 」} 『ねこ』の独白。 >ねこはどこにでもいるねこはいます。そこにねこはいますのに、ざいだんのひとはねこをつかまえません。ねこはそこにいます。ねこはどこにでもいます。 &bold(){「SCP-374-JP事案-1」} [[SCP-374-JP]]「秘密結社キャッチ&リリース」の実験にて起きたSCP-040-JPの収容違反。 この魚人間たちの誘拐ターゲットになった東博士が曝露者であり、それを魚人間たちに感染させてしまった結果……。 *余談 ・このオブジェクト、覚えやすい上にキーワードが自己紹介の文面であるため、SCPwikiを除くSCP関連の動画やサイト(当アニヲタWiki含む)でしょっちゅう改変する形で使われている。その中でも、なぜか緋色の鳥こと[[SCP-444-JP]]と混ざっていることが多い。 ・汎用性の高さゆえか、SCPを飛び越えて現実の社会への浸透率が凄まじく、内閣府が配布した29年度版のネチケット喚起のチラシにまでこのネタが登場している(スマホによるLINEを再現したイラストがあるのだが、その中に「ねこです」というユーザーの「よろしくおねがいします」というリプライがある)。 追記・修正はミーム災害に感染していない方によろしくおねがいします。 ---- #right(){CC BY-SA 3.0に基づく表示 SCP-040-JP - ねこですよろしくおねがいします by Ikr_4185 http://ja.scp-wiki.net/scp-040-jp neko.png by Ikr_4185 http://scp-jp.wdfiles.com/local--files/scp-040-jp/neko.png 烏丸教授の特別講義: 情報災害とミーム異常 ~認識を正常に保つ方法~ by transistor_K http://ja.scp-wiki.net/karasumaru-s-lecture-of-meme ねこより by boatOB http://ja.scp-wiki.net/nekoyori この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,31) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #lsd() #comment_num2(num=30) }

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