SCP-2111

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&font(#6495ED){登録日}: 2016/12/207 Thu 11:52:00 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 12 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&font(b,i,red){セキュリティ警告!&br()SCP-2111レジストリに加え、関連する全ファイルは財団ミームセキュリティシステムの一部です。&br()これらのファイルには致死的な認識災害とミームが含まれ、権限のない職員はアクセスすべきではありません。&br()データベース内のSCP-2111レジストリへのアクセスは、ミーム部門による利用に制限されています。&br()詳細は、あなたの有害物質封じ込め連絡係(HMCL)統括者にお尋ねください。}} SCP-2111はシェアード・ワールド[[The SCP Foundation]]に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(The SCP Foundation)]](SCiP)のひとつ。項目名は『If You Can Read This… (これを読めるなら……)』。 [[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(The SCP Foundation)]]は少々特殊な扱いになっている。 *概要 まず、コイツの記事にはリンクが4つある。つまり、コイツに関するファイルが4つあるのだ。 それらには冒頭に、「もしこれを読めるなら、あなたは~」と前置きされている。つまり、前提条件を満たしていないと一切の情報が閲覧できない、かなり厳重なプロテクトがかけられているのだ(当然だがモニターの前の我々には全てが筒抜けである)。 それでは、その4つのファイルを順番に解説していくことにする。 ・ファイル1「RED TALISMAN」 #center(){&bold(){これを読めるなら、あなたはフェーズIII対抗ミーム訓練を受けています。閲覧権限がない状態で閲覧できている場合、あなたは平均致死時間37分のミーム殺害エージェントの感染を受けています。この場合、あなたの記録情報セキュリティ管理室(RAISA)統括者に直ちに報告してください。}} 先ほど後回しにしたオブジェクトクラスだが、このファイルには「Safe」と書かれている。 SCPに親しむ諸兄ならばご存じのことだろうが、オブジェクトクラスはあくまでも「収容の難度と及ぼす被害」の総合的評価であり、収容のための手順が確立されて実際に収容されていれば、世界を破壊する悪魔だろうとSafeなのだ。 ではこのSCP-2111はどんなオブジェクトなのか? 簡単に言うと、コイツは致死性の認識災害を作り出すアルゴリズムそのものである。当然だがスーパーデンジャラスオブジェクトである。 その関係上、コイツのデータへのアクセスは、3/2111/RED TALISMANクリアランスを持ち現在のフェーズIII対抗ミーム群認証を受けた職員、要するにかなり高位のクリアランスと、高度な対抗的ミーム接種を行った職員に限定されている(そうでない場合、ミーム殺害エージェントに感染してしまっている)。 データはRED TALISMANインターフェースを介してのみアクセスと閲覧が可能となっている。権限のない職員がアクセスした場合、職員は勾留され、致死的認識災害とミームコンテンツに曝露したものとして扱われ、RAISAの裁量により記憶処理または終了措置が行われる、と厳しい制限がかけられている。 さて、こんな物騒なアルゴリズムを誰が作ったのかと言えば、財団である。 何でそんな要注意団体みたいなことをしたのかと言えば、複数の無関係な認識災害的異常の分析と、情報または物理セキュリティとしての致死的認識災害兵器を製造し維持するための改造の結果生まれたのである。 このRED TALISMANは、SCP-2111により生成されたデータを兵器化メディアに展開するためのソフトウェアである。 直接の視聴覚認識災害を生成するだけでなく、ミームを媒介に有害素材を挿入することも出来る。要するに「情報攻撃(物理)」をやるためのソフトなのだ。 ところが現在、このSCP-2111は異常な手法で機能しており、現在は神経学的システムに翻訳された場合に破壊的なループ処理を引き起こす数理形態を利用しているのではないか、と推察されている。 というわけでこのファイルは標準のネットワークセキュリティ対策に加え、SNARK HUNT無関心/嫌悪感誘導ミームエージェントで保護されている……要するに適切なミーム接種とクリアランスを持たない場合、アクセス以前に「興味ねーしいいか」「やだなー、見たくねーなー」となってアクセスを避けるようになっている。 ・ファイル2「RIDDEN TONGUE」 #center(){&bold(){これを読んだことを覚えていられるなら、あなたはM-Y条件付けを受けており、クラスW記憶補強薬を処方されています。閲覧権限がない状態で閲覧できている場合、あなたは反ミーム遠隔記憶処理エージェントに感染しています。}} ファイル1の内容はカバーストーリーである。 本当のオブジェクトクラスは「Euclid」。「一応現在は収容できてるけど、正直予断を許さない」オブジェクトである。 ファイル1は財団のミーム部門のみの閲覧を意図したものであり、こちらはそれとは別の部署である反ミーム部門が見るためのファイルなのだ。 で、SCP-2111は本当はどういうものですか? と言えば、財団データベース内のディレクトリに致死的な認識災害と反ミームコンテンツを含むファイルが自発的に生成される現象である。SCP恒例のどうやって収容するんだシリーズである。 多くの場合はこれらのファイルは新たなタイプのものであり、平均して月に80KB生成されている。 そしてこれらのファイルの一部は時折、予期せずに自発的に消去されることもある。 このファイルの名でもあるRIDDEN TONGUEは、財団による利用のためにこれらのファイルから生データを抜き取るソフトウェアツールであり、セキュリティ的な脅威を除去した後にミーム部門のRED TALISMANソフトウェアにデータを供給するようになっている。 SCP-2111のファイルの最初の出現はわりと古く、1981年4月21日と記録されている。 これは高度に暗号化されてタイプIV反ミームトリガーで保護されており、財団内部で発生したものと思われた。 部門職員による解読が完了する前、出現から3時間以内に、ファイルは編集されて致死的認識災害と反ミームコンテンツを含む内容へと置換されている。 で、コイツにはもう一つ番号で紐付された現象がある。 そのSCP-2111-1は財団施設に落書きが自発的に出現する現象である。この落書きは近隣の環境を起源とする非異常性物質、要はその時そこにあったもので描かれている。SCP-2111-1実体はタイプIV反ミームトリガー で構成されており、M-Y条件付けと記憶補強薬の組み合わせを用いなければ感知することが不可能、というかなり面倒な特性を有している。 この落書きは典型的に、次の2つのタイプのいずれかです。7割以上の落書きはこのディレクトリを読むことを勧める文章であり、残りは様々なメッセージを含んでいた。 ところで反ミームトリガーってなんじゃらホイ、と思った諸兄も多いだろう。 これは1つの対象に対する短期の前向性健忘を引き起こし、意識的に対象を知覚することを不可能とする……ざっくり言うと、これを含んだものを見ると、こいつについての記憶をど忘れした上に意識的に認識することが出来なくなってしまうのだ。 ちなみに肝心のメッセージはどんなんですかと言えば、以下にその一部を示しておく。 「これさえも誰も読めないの?」 「私たちを忘れろ!」 「行かせて!」 「なぜ私を忘れられないの?」 「任務完了。-ΩZulu」 「私の力不足だ。彼は私を忘れてしまった」 「なぜO5-8は薬を飲むのをやめたのだろう」 ・ファイル3「REVENANT THEORY」 #center(){&bold(){これを読んだことを覚えていられるなら、あなたはY-M条件付けを受けており、クラスW記憶補強薬を処方されています。閲覧権限がない状態でこれを読めるなら、あなたが生きた状態でこれを記憶していることのないように対抗知覚/ミーム殺害エージェントが展開されます。}} ファイル2の内容もカバーストーリーである。 本物のオブジェクトクラスは、予想がつくだろうが「Keter」。けてるけてるけてるけてる……もとい、「危険なのに収容出来ませーん!!」という最高に面倒なオブジェクトである。 さて、SCP-2111は本当はどういうものなのか? 簡潔に言うと、敵対的な反ミーム実体である。コイツは明らかに財団を攻撃しており、長期にわたって記憶補強薬の影響下にある職員を標的として行動する。 コイツの犠牲者は重度の長期的逆行性健忘を被り、最短で3ヶ月、最長で21年分の記憶を失うことになる。おかげで、実体またはその攻撃を説明できた生存者はゼロ。進行中の攻撃を阻止できるのは、即時のクラスB記憶処理のみという有様である。 知られている最初の犠牲者は、財団対抗概念部門の研究員であるテイラー博士である。 テイラー研究員の記憶は1974年に対抗概念部門に雇用された直後にまで退行してしまっていた。その最後の既知の職務は、まさに、元々SCP-2111に分類されていたオブジェクトであったのだ。 1981年4月21日にSCP報告書が公表された後、オブジェクトに対する彼女の全研究結果は未知の手段によって破壊され、致死的認識災害と反ミームコンテンツに置換される、という事態が発生。不幸中の幸いか、報告書が利用可能だった3時間の間にそれを読んだ職員がおり、その内容が以前には未知だった反ミーム的情報捕食者に関する予備調査であったことを思い出すことに成功。この現象が報告された。 SCP-2111は影響を受けた職員を既知の情報捕食メカニズムと一致する手法で直接攻撃し、犠牲者の近くの壁面に認識災害的で反ミーム作用を持つ図像を残す。これらの罠はゴルフ級反ミーム隠蔽(簡単に言うと見ても覚えていられないミーム)で保護されているため、見ることができるのは記憶補強薬の影響下にある職員のみとなっている。 つまり、この図像を見て、記憶できたなら、それが次のターゲットになるのだ。 ここまでで、最低でも36名の部門職員がSCP-2111に攻撃を受けている。最後の直接攻撃は1994年3月1日だが、それ以降の攻撃は確認されていない。 隠蔽の施された図像は未だ発見され続けているものの、それはもはや危険な作用は持っていない。SCP-2111が未だ活動を続けているのか、図像が無関係な現象の結果であるのかはわかっていないのが現状である。 このファイルの名であるREVENANT THEORYは、SCP-2111の記憶攻撃に対する対応策である。 複合ミームエージェントをRED TALISMANのユーザインターフェースに挿入するためのソフトであり、これは広スペクトルの反ミーム対抗エージェントであるだけでなく、組織への忠誠心と個人的な自責の念を強化することを目標としたミーム複合体でもある。 つまり、これは汚染に曝された可能性が最も高い対象から始まる、ミーム部門内での魔女狩りの引き金として機能するようになっているのだ。 ここまでせねばならないほど面倒なオブジェクトだが、現在は行方をくらましている。 どっかのKeterクマを思い出す厄介さだが、こっちはそもそも正体すらわかっていないのが面倒さに拍車をかけている。 そう、SCP-2111はKeterクラスオブジェクトである。 あくまでも、生きている人間たちの間では。 ・ファイル4「READ THIS」 #center(){&font(b,i,red){これを読めるなら、あなたは既に死んでいます。}} 上述の内容は全て現実の世界における扱いであり、実際にはSCP-2111はとっくの昔に無力化されていた。 よって、真のオブジェクトクラスは「Neutralized」。もちろん、財団で生きている人間はこのことを知らない。 このファイルにはSCP-2111に関する、一切の欺瞞のない情報が記されている。が、これを閲覧できるのは「&bold(){機動部隊オメガ-0}」に属する人員のみである。 機動部隊の人員なら財団の人間じゃん、と思うかもしれない。それは正しい。 彼らは財団の人間である。ただし、違いがある。 機動部隊オメガ-0。 彼らは、&bold(){殉職した職員のみで構成された部隊}なのだ。 この文書を読むことが出来るのは新入隊員=死んだ職員のみであり、司令官である上級研究員(当然ながら彼も死人である)からのメッセージが冒頭にある。 それによるとこの部隊の存在とユニットは、財団の中でもっとも隠匿されている。 ここの所属人員がどうなっているかは不明だが、精神のみが電子の世界に取り込まれたような状態らしい([[SCP-1000-JP]]の「表象」みたいなもの。違うのはコピーである向こうと異なり本人が取り込まれている)。 そして部隊員たちは、生きている人間には不可能な方法でミーム的・反ミーム的脅威を認識することが出来、場合によってはそれに直接対処することが出来る。これがオメガ-0のおもな任務である。 さらに彼らは死者であるため、あらゆるセキュリティが意味をなさず、ミーム抹殺エージェントなどによる妨害も意味をなさない。このデータベースに繋がってさえいれば、どこの端末にでもアクセスできるのだ。 さて、SCP-2111はどうなったのか? それを語る前に、まずこのオブジェクトの本当の正体を明かしておく。 このオブジェクトの正体は、1980年10月23日に殉職した財団エージェント、ミシェル・ユーである。 自分の死から1981年4月21日までの記憶を想起できたオメガ-0隊員は存在していないが、ここからするとSCP-2111はこの期間に財団職員の記憶を攻撃したものと考えられている。 1981年4月21日、対抗概念部門の研究者であるテイラーはSCP-2111の攻撃についての予備調査を公表した。しかしこの直後、エージェント・ユーと識別される実体がSCP-2111データベースに出現し、ファイルを改変した。 この活動により、死亡した職員であると識別される実体がデータベース内に出現する、現在も進行中の現象が引き起こされたらしい。 これらの実体は自由意志を持つ情報構成物で、現在特定されていない基盤……要するにアストラル界とか高次元とか、そういう概念の上で活動している。 ちなみに、改変されたSCP-2111に関するエントリがこれである。 >特別収容プロトコル:私を忘れなさい。なぜ忘却できないの?私はただ死にたいだけ。なぜ悲しむだけで、先に進めないの? >概要: SCP-2111は無です。重要でも、危険でもなく、存在しません。私はもうここに居たくない。ミシェル・ユーを忘れ、彼女を死なせてくれませんか?&br()私の死後に残ったものは、私の物語だけ。&br()私の物語が収められているのは記憶の中だけ。そうでしょう?&br()あなた達は私を強く記憶しすぎている。&br()待って!私達は何人いるの?もう数十人?私達はこんなところに居るべきじゃない!私達をこんな風に閉じ込める権利なんかない!&br()覚えてる?私は戦士で、賢く、強く、勇敢だったのを覚えてる?あらゆる対策を講じて、どんな奴も逃したりしなかったのを覚えてる?あなた方は怒った時の私がどうだったか覚えてる?&br()ならば、あなた達は私がどれほど怒っているか、私が何をするか知ることになるでしょう。 かつてエージェント・ユーであったSCP-2111は、度重なる記憶補強薬の処方の結果、死亡した財団職員が生前の死者を直接知っていた職員の「人為的に固化された記憶」の中に「閉じ込められている」と信じ込むようになってしまっていた。 彼女は反ミーム部門と対抗概念部門内で、生前の彼女を直接知っていた者を標的として彼女の記憶を持つ者を殺すか、その記憶を消去することを目的とした反ミームまたは認識災害による攻撃を開始。 さらに、少なくとも1度、O5-8を標的とした攻撃が行われた。SCP-2111は徐々に死亡した職員から支持者を集め、彼らにこれらの攻撃の展開方法を教え、範囲を広げていった。 犠牲者の多くはミーム、反ミーム戦闘を経験したことがあったのだが、これらの職員のうち数名が死亡した後、エージェント・ユーと同様にデータベース上の存在として出現。この事態を収拾すべく機動部隊オメガ-0を結成、活動を続行した。 SCP-2111は、自身と類似した実体により特異的に作成された反ミーム攻撃には免疫がないと仮定されており、この種の実体を的確に編集削除できる多目的ツールが設計された。それが自我戦闘訓練(Identity Warfare Training。略してIWT)である。 そして1994年3月10日、機動部隊オメガ-0の工作員はIWTを用いて、情報実体としてのSCP-2111の消滅に成功。これに続き、彼女の信者の全ては降伏するか、消去された。 降伏した者は機動部隊オメガ-0への忠誠の遵守を書き込まれ、SCP-2111に関与する全ての記憶を消去されることになった(ファイル2のメッセージにあった「任務完了」はこの部隊員からの報告である)。 以上の経緯を経てSCP-2111は消滅し、将来的に類似の実体が出現するとしても事前に潰せるようになっている。 ちなみにこのファイル4はオメガ-0の元々の構成員、およびSCP-2111とは無関係の新入りに対してのみ開示され、生きている人間にはいかなる方法でも閲覧は不可能となっている。 これを読めるなら、あなたは追記・修正の権限があります。 ---- #right(){ SCP-2111 - If You Can Read This… by sirpudding www.scp-wiki.net/scp-2111 scpjapan.wiki.fc2.com/wiki/SCP-211 この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() #comment #areaedit(end) }

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