SCP-2111

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&font(#6495ED){登録日}:2016/12/07 Wed 11:52:00 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 12 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&font(b,i,red){セキュリティ警告!&br()SCP-2111レジストリに加え、関連する全ファイルは財団ミームセキュリティシステムの一部です。&br()これらのファイルには致死的な認識災害とミームが含まれ、権限のない職員はアクセスすべきではありません。&br()データベース内のSCP-2111レジストリへのアクセスは、ミーム部門による利用に制限されています。&br()詳細は、あなたの有害物質封じ込め連絡係(HMCL)統括者にお尋ねください。}} SCP-2111はシェアード・ワールド[[SCP Foundation]]に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(SCP Foundation)]](SCiP)のひとつ。項目名は『If You Can Read This… (これを読めるなら……)』。 [[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]は少々特殊な扱いになっている。 *概要 まず、コイツの記事にはリンクが4つある。つまり、コイツに関するファイルが4つあるのだ。 それらには冒頭に、「もしこれを読めるなら、あなたは~」と前置きされている。つまり、前提条件を満たしていないと一切の情報が閲覧できない、かなり厳重なプロテクトがかけられているのだ(当然だがモニターの前の我々には全てが筒抜けである)。 また、本SCPを読み解くには[[ミーム(SCP Foundation)]]に関する前知識が不可欠なので、当該項目で予習しておく事を推奨する。 それでは、その4つのファイルを順番に解説していくことにする。 ・ファイル1「RED TALISMAN」 #center(){&bold(){これを読めるなら、あなたはフェーズIII対抗ミーム訓練を受けています。閲覧権限がない状態で閲覧できている場合、あなたは平均致死時間37分のミーム殺害エージェントの感染を受けています。この場合、あなたの記録情報セキュリティ管理室(RAISA)統括者に直ちに報告してください。}} 先ほど後回しにしたオブジェクトクラスだが、このファイルには「Safe」と書かれている。 SCPに親しむ諸兄ならばご存じのことだろうが、オブジェクトクラスはあくまでも「収容の難度と及ぼす被害」の総合的評価であり、収容のための手順が確立されて実際に収容されていれば、世界を破壊する悪魔だろうとSafeなのだ。 ではこのSCP-2111はどんなオブジェクトなのか? 簡単に言うと、コイツは致死性の認識災害を作り出すアルゴリズムそのものである。当然だがスーパーデンジャラスオブジェクトである。 その関係上、コイツのデータへのアクセスは、3/2111/RED TALISMANクリアランスを持ち現在のフェーズIII対抗ミーム群認証を受けた職員、要するにかなり高位のクリアランスと、高度な対抗的ミーム接種を行った職員に限定されている(そうでない場合、ミーム殺害エージェントに感染してしまっている)。 データはRED TALISMANインターフェースを介してのみアクセスと閲覧が可能となっている。権限のない職員がアクセスした場合、職員は勾留され、致死的認識災害とミームコンテンツに曝露したものとして扱われ、RAISAの裁量により記憶処理または終了措置が行われる、と厳しい制限がかけられている。 さて、こんな物騒なアルゴリズムを誰が作ったのかと言えば、財団である。 何でそんな要注意団体みたいなことをしたのかと言えば、複数の無関係な認識災害的異常の分析と、情報または物理セキュリティとしての致死的認識災害兵器を製造し維持するための改造の結果生まれたのである。 このRED TALISMANは、SCP-2111により生成されたデータを兵器化メディアに展開するためのソフトウェアである。 直接の視聴覚認識災害を生成するだけでなく、ミームを媒介に有害素材を挿入することも出来る。要するに「情報攻撃(物理)」をやるためのソフトなのだ。 ところが現在、このSCP-2111は異常な手法で機能しており、現在は神経学的システムに翻訳された場合に破壊的なループ処理を引き起こす数理形態を利用しているのではないか、と推察されている。 というわけでこのファイルは標準のネットワークセキュリティ対策に加え、SNARK HUNT無関心/嫌悪感誘導ミームエージェントで保護されている……要するに適切なミーム接種とクリアランスを持たない場合、アクセス以前に「興味ねーしいいか」「やだなー、見たくねーなー」となってアクセスを避けるようになっている。 ・ファイル2「RIDDEN TONGUE」 #center(){&bold(){これを読んだことを覚えていられるなら、あなたはM-Y条件付けを受けており、クラスW記憶補強薬を処方されています。閲覧権限がない状態で閲覧できている場合、あなたは反ミーム遠隔記憶処理エージェントに感染しています。}} ファイル1の内容はカバーストーリーである。 本当のオブジェクトクラスは「Euclid」。「一応現在は収容できてるけど、正直予断を許さない」オブジェクトである。 ファイル1は財団のミーム部門のみの閲覧を意図したものであり、こちらはそれとは別の部署である反ミーム部門が見るためのファイルなのだ。 で、SCP-2111は本当はどういうものですか? と言えば、財団データベース内のディレクトリに致死的な認識災害と反ミームコンテンツを含むファイルが自発的に生成される現象である。SCP恒例のどうやって収容するんだシリーズである。 多くの場合はこれらのファイルは新たなタイプのものであり、平均して月に80KB生成されている。 そしてこれらのファイルの一部は時折、予期せずに自発的に消去されることもある。 このファイルの名でもあるRIDDEN TONGUEは、財団による利用のためにこれらのファイルから生データを抜き取るソフトウェアツールであり、セキュリティ的な脅威を除去した後にミーム部門のRED TALISMANソフトウェアにデータを供給するようになっている。 SCP-2111のファイルの最初の出現はわりと古く、1981年4月21日と記録されている。 これは高度に暗号化されてタイプIV反ミームトリガーで保護されており、財団内部で発生したものと思われた。 部門職員による解読が完了する前、出現から3時間以内に、ファイルは編集されて致死的認識災害と反ミームコンテンツを含む内容へと置換されている。 で、コイツにはもう一つ番号で紐付された現象がある。 そのSCP-2111-1は財団施設に落書きが自発的に出現する現象である。この落書きは近隣の環境を起源とする非異常性物質、要はその時そこにあったもので描かれている。SCP-2111-1実体はタイプIV反ミームトリガー で構成されており、M-Y条件付けと記憶補強薬の組み合わせを用いなければ感知することが不可能、というかなり面倒な特性を有している。 この落書きの内、7割以上はこのディレクトリを読むことを勧める文章であり、残りは様々なメッセージを含んでいた。 ところで反ミームトリガーってなんじゃらホイ、と思った諸兄も多いだろう。 これは1つの対象に対する短期の前向性健忘を引き起こし、意識的に対象を知覚することを不可能とする……ざっくり言うと、これを含んだものを見ると、こいつについての記憶をど忘れした上に意識的に認識することが出来なくなってしまうのだ。 ちなみに肝心のメッセージはどんなんですかと言えば、以下にその一部を示しておく。 「これさえも誰も読めないの?」 「私たちを忘れろ!」 「行かせて!」 「なぜ私を忘れられないの?」 「任務完了。-ΩZulu」 「私の力不足だ。彼は私を忘れてしまった」 「なぜO5-8は薬を飲むのをやめたのだろう」 ・ファイル3「REVENANT THEORY」 #center(){&bold(){これを読んだことを覚えていられるなら、あなたはY-M条件付けを受けており、クラスW記憶補強薬を処方されています。閲覧権限がない状態でこれを読めるなら、あなたが生きた状態でこれを記憶していることのないように対抗知覚/ミーム殺害エージェントが展開されます。}} ファイル2の内容もカバーストーリーである。 本物のオブジェクトクラスは、予想がつくだろうが「Keter」。[[けてるけてるけてるけてる……>SCP-444-JP]]もとい、「危険なのに収容出来ませーん!!」という最高に面倒なオブジェクトである。 さて、SCP-2111は本当はどういうものなのか? 簡潔に言うと、敵対的な反ミーム実体である。コイツは明らかに財団を攻撃しており、長期にわたって記憶補強薬の影響下にある職員を標的として行動する。 コイツの犠牲者は重度の長期的逆行性健忘を被り、最短で3ヶ月、最長で21年分の記憶を失うことになる。おかげで、実体またはその攻撃を説明できた生存者はゼロ。進行中の攻撃を阻止できるのは、即時のクラスB記憶処理のみという有様である。 知られている最初の犠牲者は、財団対抗概念部門の研究員であるテイラー博士である。 テイラー研究員の記憶は1974年に対抗概念部門に雇用された直後にまで退行してしまっていた。その最後の既知の職務は、まさに、元々SCP-2111に分類されていたオブジェクトであったのだ。 1981年4月21日にSCP報告書が公表された後、オブジェクトに対する彼女の全研究結果は未知の手段によって破壊され、致死的認識災害と反ミームコンテンツに置換される、という事態が発生。不幸中の幸いか、報告書が利用可能だった3時間の間にそれを読んだ職員がおり、その内容が以前には未知だった反ミーム的情報捕食者に関する予備調査であったことを思い出すことに成功。この現象が報告された。 SCP-2111は影響を受けた職員を既知の情報捕食メカニズムと一致する手法で直接攻撃し、犠牲者の近くの壁面に認識災害的で反ミーム作用を持つ図像を残す。これらの罠はゴルフ級反ミーム隠蔽(簡単に言うと見ても覚えていられないミーム)で保護されているため、見ることができるのは記憶補強薬の影響下にある職員のみとなっている。 つまり、この図像を見て、記憶できたなら、それが次のターゲットになるのだ。 ここまでで、最低でも36名の部門職員がSCP-2111に攻撃を受けている。最後の直接攻撃は1994年3月1日だが、それ以降の攻撃は確認されていない。 隠蔽の施された図像は未だ発見され続けているものの、それはもはや危険な作用は持っていない。SCP-2111が未だ活動を続けているのか、図像が無関係な現象の結果であるのかはわかっていないのが現状である。 このファイルの名であるREVENANT THEORYは、SCP-2111の記憶攻撃に対する対応策である。 複合ミームエージェントをRED TALISMANのユーザインターフェースに挿入するためのソフトであり、これは広スペクトルの反ミーム対抗エージェントであるだけでなく、組織への忠誠心と個人的な自責の念を強化することを目標としたミーム複合体でもある。 つまり、これは汚染に曝された可能性が最も高い対象から始まる、ミーム部門内での魔女狩りの引き金として機能するようになっているのだ。 ここまでせねばならないほど面倒なオブジェクトだが、現在は行方をくらましている。 どっかの[[Keterグマ>SCP-1048]]を思い出す厄介さだが、こっちはそもそも正体すらわかっていないのが面倒さに拍車をかけている。 そう、SCP-2111はKeterクラスオブジェクトである。 あくまでも、生きている人間たちの間では。 ・ファイル4「READ THIS」 #center(){&font(b,i,red){これを読めるなら、あなたは既に死んでいます。}} 上述の内容は全て現実の世界における扱いであり、実際にはSCP-2111はとっくの昔に無力化されていた。 よって、真のオブジェクトクラスは「Neutralized」。もちろん、財団で生きている人間はこのことを知らない。 このファイルにはSCP-2111に関する、一切の欺瞞のない情報が記されている。が、これを閲覧できるのは「&bold(){機動部隊オメガ-0}」に属する人員のみである。 機動部隊の人員なら財団の人間じゃん、と思うかもしれない。それは正しい。 彼らは財団の人間である。ただし、違いがある。 機動部隊オメガ-0。 彼らは、&bold(){殉職した職員のみで構成された部隊}なのだ。 この文書を読むことが出来るのは新入隊員=死んだ職員のみであり、司令官である上級研究員(当然ながら彼も死人である)からのメッセージが冒頭にある。 それによるとこの部隊の存在とユニットは、財団の中でもっとも隠匿されている。 ここの所属人員がどうなっているかは不明だが、精神のみが電子の世界に取り込まれたような状態らしい([[SCP-1000-JP]]の「表象」みたいなもの。違うのはコピーである向こうと異なり本人が取り込まれている)。 そして部隊員たちは、生きている人間には不可能な方法でミーム的・反ミーム的脅威を認識することが出来、場合によってはそれに直接対処することが出来る。これがオメガ-0のおもな任務である。 さらに彼らは死者であるため、あらゆるセキュリティが意味をなさず、ミーム抹殺エージェントなどによる妨害も意味をなさない。このデータベースに繋がってさえいれば、どこの端末にでもアクセスできるのだ。 さて、SCP-2111はどうなったのか? それを語る前に、まずこのオブジェクトの本当の正体を明かしておく。 このオブジェクトの正体は、1980年10月23日に殉職した財団エージェント、ミシェル・ユーである。 自分の死から1981年4月21日までの記憶を想起できたオメガ-0隊員は存在していないが、ここからするとSCP-2111はこの期間に財団職員の記憶を攻撃したものと考えられている。 1981年4月21日、対抗概念部門の研究者であるテイラーはSCP-2111の攻撃についての予備調査を公表した。しかしこの直後、エージェント・ユーと識別される実体がSCP-2111データベースに出現し、ファイルを改変した。 この活動により、死亡した職員であると識別される実体がデータベース内に出現する、現在も進行中の現象が引き起こされたらしい。 これらの実体は自由意志を持つ情報構成物で、現在特定されていない基盤……要するにアストラル界とか高次元とか、そういう概念の上で活動している。 ちなみに、改変されたSCP-2111に関するエントリがこれである。 >特別収容プロトコル:私を忘れなさい。なぜ忘却できないの?私はただ死にたいだけ。なぜ悲しむだけで、先に進めないの? >概要: SCP-2111は無です。重要でも、危険でもなく、存在しません。私はもうここに居たくない。ミシェル・ユーを忘れ、彼女を死なせてくれませんか?&br()私の死後に残ったものは、私の物語だけ。&br()私の物語が収められているのは記憶の中だけ。そうでしょう?&br()あなた達は私を強く記憶しすぎている。&br()待って!私達は何人いるの?もう数十人?私達はこんなところに居るべきじゃない!私達をこんな風に閉じ込める権利なんかない!&br()覚えてる?私は戦士で、賢く、強く、勇敢だったのを覚えてる?あらゆる対策を講じて、どんな奴も逃したりしなかったのを覚えてる?あなた方は怒った時の私がどうだったか覚えてる?&br()ならば、あなた達は私がどれほど怒っているか、私が何をするか知ることになるでしょう。 かつてエージェント・ユーであったSCP-2111は、度重なる記憶補強薬の処方の結果、死亡した財団職員が生前の死者を直接知っていた職員の「人為的に固化された記憶」の中に「閉じ込められている」と信じ込むようになってしまっていた。 彼女は反ミーム部門と対抗概念部門内で、生前の彼女を直接知っていた者を標的として彼女の記憶を持つ者を殺すか、その記憶を消去することを目的とした反ミームまたは認識災害による攻撃を開始。 さらに、少なくとも1度、O5-8を標的とした攻撃が行われた。SCP-2111は徐々に死亡した職員から支持者を集め、彼らにこれらの攻撃の展開方法を教え、範囲を広げていった。 犠牲者の多くはミーム、反ミーム戦闘を経験したことがあったのだが、これらの職員のうち数名が死亡した後、エージェント・ユーと同様にデータベース上の存在として出現。この事態を収拾すべく機動部隊オメガ-0を結成、活動を続行した。 SCP-2111は、自身と類似した実体により特異的に作成された反ミーム攻撃には免疫がないと仮定されており、この種の実体を的確に編集削除できる多目的ツールが設計された。それが自我戦闘訓練(Identity Warfare Training。略してIWT)である。 そして1994年3月10日、機動部隊オメガ-0の工作員はIWTを用いて、情報実体としてのSCP-2111の消滅に成功。これに続き、彼女の信者の全ては降伏するか、消去された。 降伏した者は機動部隊オメガ-0への忠誠の遵守を書き込まれ、SCP-2111に関与する全ての記憶を消去されることになった(ファイル2のメッセージにあった「任務完了」はこの部隊員からの報告である)。 以上の経緯を経てSCP-2111は消滅し、将来的に類似の実体が出現するとしても事前に潰せるようになっている。 ちなみにこのファイル4はオメガ-0の元々の構成員、およびSCP-2111とは無関係の新入りに対してのみ開示され、生きている人間にはいかなる方法でも閲覧は不可能となっている。 余談だが、本家記事ではこのファイルは「死亡してデータ存在になり、この部隊に配備された新入りが読んでいる」という体裁になっており、司令官からIWTの訓練を受けることと、適応すれば前線で、適応しなければ後方支援で働くことになるらしい。 今日も彼らは人知れず、電脳の世界から財団職員として活動し、財団に貢献すべく頑張っていることだろう。 #right{&color(#555){&bold(){他の人類が光の中で暮らす間、我々は暗闇の中に立ち、&br()それと戦い、封じ込め、人々の目から遠ざけなければならない。&br()&ruby(Secure){確保}、&ruby(Contain){収容}、&ruby(Protect){保護}。}}} *ちょいと解説 元記事の冒頭には、こんな感じでファイルがアーカイブされている。 >[4.63%] cd H/secure/reports/scp/scp-2111 > >セキュリティ警告!SCP-2111レジストリに加え、関連する全ファイルは財団ミームセキュリティシステムの一部です。これらのファイルには致死的な認識災害とミームが含まれ、権限のない職員はアクセスすべきではありません。データベース内のSCP-2111レジストリへのアクセスは、ミーム部門による利用に制限されています。詳細は、あなたの有害物質封じ込め連絡係(HMCL)統括者にお尋ねください。 > >[4.63%] ls -la >-rwx2r--- MEME 2/2111 18 KB Jul 14 2015 SCP-2111(RED TALISMAN) >-rwx2r--- AMEM 2/2111 20 KB Jan 17 2015 SCP-2111(RIDDEN TONGUE) >-rwx2r--- CCON 2/2111 21 KB Aug 13 2015 SCP-2111(REVENANT THEORY) >-rwx2r--- OZER 2/2111 21 KB Nov 1 2015 SCP-2111(READ THIS) >drwx3RTrwx--- MEME 3/2111/RT 10 GB Nov 1 2015 scp-2111.datafiles.warningcoghaz >[4.63%] cd.. で、それぞれの冒頭にある四文字のアルファベットは、ファイルを管轄している部門の略称である。 上から順に、ミーム部門、反ミーム部門、対抗概念部門、機動部隊オメガ-0。続く数字はSCP-2111関連のセキュリティクリアランスで、四つのファイルは全てレベル2/2111クリアランスが必要となる。 さらに一番最初の「rwx2r」は、「所有者は閲読・追記編集・ファイル実行が可能、それ以外のグループ2は閲読のみ可能」という意味である。 では一番最後、リンクのないファイルが何かというと、タイトルが全てを物語っている。 和訳で「認識災害警告」。ミーム部門・反ミーム部門が日々作っている、セキュリティ用の情報災害・認識災害エージェントのディレクトリである。これを見るにはレベル3/2111クリアランスが必要となる。ちなみにアクセス許可はミーム部門のグループ3「RED TALISMAN」のみ。 ちなみにこの表記、元記事の筆者が奥さんからアドバイスをもらって作ったらしい。 ・このファイルって実際にはどうなってんの? これら四つのファイルはそれぞれ財団データベースに存在するが、通常は見つからないよう個別の防御プロトコルで隠蔽されている。 それぞれにアクセス可能なのは、まずミーム部門はファイル1、反ミーム部門はファイル1と2、対抗概念部門はファイル1と3、オメガ-0は全てである。 ・部門が四つあるけど、彼らにとってSCP-2111はどういう扱いなワケ? まず、機動部隊オメガ-0は実際に無力化を行った人員であり、当然ながら既に存在しないことを知っている。 現在はミーム・反ミーム戦闘のために訓練にいそしみ、たまに警告のため同様のプロセスで落書きを残している。 次に、対抗概念部門にとっては「よくわからないが情報攻撃をしてくるナニカ」。 この部門の元職員が報告をしたら攻撃が始まり、今は落ち着いているが落書きがたまに現れる(オメガ-0の警告である)のでKeterクラス扱いとなっている。 反ミーム部門にとっては「認識災害ベクターを誘引する報告書」。 この認識災害データをミーム部門の「RED TALISMAN」に供給しているが、つまるところ「よくわからん」に終始している。よってEuclid。 ミーム部門にとっては「致死的認識災害ベクターを自動生成するアルゴリズム」。 それ以外の詳細がよくわからないが、現状危険ではないのでSafe扱い。 これは現在のところ、オメガ-0の隊員のコミュニケーションを知覚したことによる影響で、ミーム部門はこれらのベクターを自分たちが作ったと思い込むことで切り抜けている。 とまあ、このようになっているのだ。 ・オメガ-0のコミュニケーションで認識災害エージェントを作れるのに、何でThaumielじゃないの? Thaumielクラスは本来、レベル5の機密情報である。対してミーム部門のクリアランスはほとんどが2、高くても3であるため、このクラスの存在自体を知らないのである。 *余談 本来は単独記事のSCP-2111だが、2018年になって新たに反ミーム部門に追加されたハブ「死人が知るもの」の第一章に位置づけられている。現在はこの記事を含めて3つあり、続話の執筆と翻訳が切に待たれる。 これを読めるなら、あなたは追記・修正の権限があります。 ---- #right(){CC BY-SA 3.0に基づく表示 SCP-2111 - If You Can Read This… by sirpudding http://www.scp-wiki.net/scp-2111 http://ja.scp-wiki.net/scp-2111 この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,13) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 「これを読めるなら、あなたは既に死んでいます。」のインパクトの凄まじさよ… -- 名無しさん (2016-12-07 20:11:23) - 死んでも財団に忠を尽くして人類を守る職員の鑑だな -- 名無しさん (2016-12-07 21:19:03) - これって要約すると「一般職員には知られずミームと戦う電子幽霊」ってこと? -- 名無しさん (2017-01-23 19:07:01) - 死は労働をやめる理由にはならん。 -- 名無しさん (2017-05-19 12:53:45) - …嫌だ、死んでも働くなんて、嫌だァァァ! -- 名無しさん (2017-06-30 21:17:41) - 電脳化とか羨ましい(小並感) -- 名無しさん (2017-07-02 20:21:17) - ホントしれっと書かれてるけど、精神を電脳世界に入れるってすげえな -- 名無しさん (2017-07-22 01:16:41) - 読み進めてる途中は不気味なんだけど最後まで読むと結構燃えるSCP -- 名無しさん (2017-11-16 05:02:44) - 最近続々とオメガ0関連のTaleが翻訳されてる、他のオブジェクトやエージェントと絡み合って読みごたえがあります -- 名無しさん (2018-10-22 01:45:05) - 記憶補強剤を使っている職員のせいで自分の存在を忘れてもらえない=成仏できないと思い込んだ悪霊と、それと戦った幽霊戦士たちのお話ってわけやね。何これ燃える。 -- 名無しさん (2018-10-22 02:14:28) - ①職員の正しき努力によってKeterクラスのNeutralized化に成功したこと。②死してなお魂として、そして魂の死すら天秤にかけて人類のために闘っていること。こんなの胸が熱くならないわけがない。ましてや反ミーム部門Tales読んだら、彼らこそ財団最後の守護者なんだなって。 -- 名無しさん (2019-04-14 01:14:39) #comment #areaedit(end) }
&font(#6495ED){登録日}:2016/12/07 Wed 11:52:00 &font(#6495ED){更新日}:&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}:約 12 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){&font(b,i,red){セキュリティ警告!&br()SCP-2111レジストリに加え、関連する全ファイルは財団ミームセキュリティシステムの一部です。&br()これらのファイルには致死的な認識災害とミームが含まれ、権限のない職員はアクセスすべきではありません。&br()データベース内のSCP-2111レジストリへのアクセスは、ミーム部門による利用に制限されています。&br()詳細は、あなたの有害物質封じ込め連絡係(HMCL)統括者にお尋ねください。}} #center(){&bold(){命が尽きても、我々は人類のために。}} SCP-2111はシェアード・ワールド[[SCP Foundation]]に登場する[[オブジェクト>オブジェクト(SCP Foundation)]](SCiP)のひとつ。項目名は『If You Can Read This… (これを読めるなら……)』。 [[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]は少々特殊な扱いになっている。 *概要 まず、コイツの記事にはリンクが4つある。つまり、コイツに関するファイルが4つあるのだ。 それらには冒頭に、「もしこれを読めるなら、あなたは~」と前置きされている。つまり、前提条件を満たしていないと一切の情報が閲覧できない、かなり厳重なプロテクトがかけられているのだ(当然だがモニターの前の我々には全てが筒抜けである)。 また、本SCPを読み解くには[[ミーム(SCP Foundation)]]に関する前知識が不可欠なので、当該項目で予習しておく事を推奨する。 それでは、その4つのファイルを順番に解説していくことにする。 ・ファイル1「RED TALISMAN」 #center(){&bold(){これを読めるなら、あなたはフェーズIII対抗ミーム訓練を受けています。閲覧権限がない状態で閲覧できている場合、あなたは平均致死時間37分のミーム殺害エージェントの感染を受けています。この場合、あなたの記録情報セキュリティ管理室(RAISA)統括者に直ちに報告してください。}} 先ほど後回しにしたオブジェクトクラスだが、このファイルには「Safe」と書かれている。 SCPに親しむ諸兄ならばご存じのことだろうが、オブジェクトクラスはあくまでも「収容の難度と及ぼす被害」の総合的評価であり、収容のための手順が確立されて実際に収容されていれば、世界を破壊する悪魔だろうとSafeなのだ。 ではこのSCP-2111はどんなオブジェクトなのか? 簡単に言うと、コイツは致死性の認識災害を作り出すアルゴリズムそのものである。当然だがスーパーデンジャラスオブジェクトである。 その関係上、コイツのデータへのアクセスは、3/2111/RED TALISMANクリアランスを持ち現在のフェーズIII対抗ミーム群認証を受けた職員、要するにかなり高位のクリアランスと、高度な対抗的ミーム接種を行った職員に限定されている(そうでない場合、ミーム殺害エージェントに感染してしまっている)。 データはRED TALISMANインターフェースを介してのみアクセスと閲覧が可能となっている。権限のない職員がアクセスした場合、職員は勾留され、致死的認識災害とミームコンテンツに曝露したものとして扱われ、RAISAの裁量により記憶処理または終了措置が行われる、と厳しい制限がかけられている。 さて、こんな物騒なアルゴリズムを誰が作ったのかと言えば、財団である。 何でそんな要注意団体みたいなことをしたのかと言えば、複数の無関係な認識災害的異常の分析と、情報または物理セキュリティとしての致死的認識災害兵器を製造し維持するための改造の結果生まれたのである。 このRED TALISMANは、SCP-2111により生成されたデータを兵器化メディアに展開するためのソフトウェアである。 直接の視聴覚認識災害を生成するだけでなく、ミームを媒介に有害素材を挿入することも出来る。要するに「情報攻撃(物理)」をやるためのソフトなのだ。 ところが現在、このSCP-2111は異常な手法で機能しており、現在は神経学的システムに翻訳された場合に破壊的なループ処理を引き起こす数理形態を利用しているのではないか、と推察されている。 というわけでこのファイルは標準のネットワークセキュリティ対策に加え、SNARK HUNT無関心/嫌悪感誘導ミームエージェントで保護されている……要するに適切なミーム接種とクリアランスを持たない場合、アクセス以前に「興味ねーしいいか」「やだなー、見たくねーなー」となってアクセスを避けるようになっている。 ・ファイル2「RIDDEN TONGUE」 #center(){&bold(){これを読んだことを覚えていられるなら、あなたはM-Y条件付けを受けており、クラスW記憶補強薬を処方されています。閲覧権限がない状態で閲覧できている場合、あなたは反ミーム遠隔記憶処理エージェントに感染しています。}} ファイル1の内容はカバーストーリーである。 本当のオブジェクトクラスは「Euclid」。「一応現在は収容できてるけど、正直予断を許さない」オブジェクトである。 ファイル1は財団のミーム部門のみの閲覧を意図したものであり、こちらはそれとは別の部署である反ミーム部門が見るためのファイルなのだ。 で、SCP-2111は本当はどういうものですか? と言えば、財団データベース内のディレクトリに致死的な認識災害と反ミームコンテンツを含むファイルが自発的に生成される現象である。SCP恒例のどうやって収容するんだシリーズである。 多くの場合はこれらのファイルは新たなタイプのものであり、平均して月に80KB生成されている。 そしてこれらのファイルの一部は時折、予期せずに自発的に消去されることもある。 このファイルの名でもあるRIDDEN TONGUEは、財団による利用のためにこれらのファイルから生データを抜き取るソフトウェアツールであり、セキュリティ的な脅威を除去した後にミーム部門のRED TALISMANソフトウェアにデータを供給するようになっている。 SCP-2111のファイルの最初の出現はわりと古く、1981年4月21日と記録されている。 これは高度に暗号化されてタイプIV反ミームトリガーで保護されており、財団内部で発生したものと思われた。 部門職員による解読が完了する前、出現から3時間以内に、ファイルは編集されて致死的認識災害と反ミームコンテンツを含む内容へと置換されている。 で、コイツにはもう一つ番号で紐付された現象がある。 そのSCP-2111-1は財団施設に落書きが自発的に出現する現象である。この落書きは近隣の環境を起源とする非異常性物質、要はその時そこにあったもので描かれている。SCP-2111-1実体はタイプIV反ミームトリガー で構成されており、M-Y条件付けと記憶補強薬の組み合わせを用いなければ感知することが不可能、というかなり面倒な特性を有している。 この落書きの内、7割以上はこのディレクトリを読むことを勧める文章であり、残りは様々なメッセージを含んでいた。 ところで反ミームトリガーってなんじゃらホイ、と思った諸兄も多いだろう。 これは1つの対象に対する短期の前向性健忘を引き起こし、意識的に対象を知覚することを不可能とする……ざっくり言うと、これを含んだものを見ると、こいつについての記憶をど忘れした上に意識的に認識することが出来なくなってしまうのだ。 ちなみに肝心のメッセージはどんなんですかと言えば、以下にその一部を示しておく。 「これさえも誰も読めないの?」 「私たちを忘れろ!」 「行かせて!」 「なぜ私を忘れられないの?」 「任務完了。-ΩZulu」 「私の力不足だ。彼は私を忘れてしまった」 「なぜO5-8は薬を飲むのをやめたのだろう」 ・ファイル3「REVENANT THEORY」 #center(){&bold(){これを読んだことを覚えていられるなら、あなたはY-M条件付けを受けており、クラスW記憶補強薬を処方されています。閲覧権限がない状態でこれを読めるなら、あなたが生きた状態でこれを記憶していることのないように対抗知覚/ミーム殺害エージェントが展開されます。}} ファイル2の内容もカバーストーリーである。 本物のオブジェクトクラスは、予想がつくだろうが「Keter」。[[けてるけてるけてるけてる……>SCP-444-JP]]もとい、「危険なのに収容出来ませーん!!」という最高に面倒なオブジェクトである。 さて、SCP-2111は本当はどういうものなのか? 簡潔に言うと、敵対的な反ミーム実体である。コイツは明らかに財団を攻撃しており、長期にわたって記憶補強薬の影響下にある職員を標的として行動する。 コイツの犠牲者は重度の長期的逆行性健忘を被り、最短で3ヶ月、最長で21年分の記憶を失うことになる。おかげで、実体またはその攻撃を説明できた生存者はゼロ。進行中の攻撃を阻止できるのは、即時のクラスB記憶処理のみという有様である。 知られている最初の犠牲者は、財団対抗概念部門の研究員であるテイラー博士である。 テイラー研究員の記憶は1974年に対抗概念部門に雇用された直後にまで退行してしまっていた。その最後の既知の職務は、まさに、元々SCP-2111に分類されていたオブジェクトであったのだ。 1981年4月21日にSCP報告書が公表された後、オブジェクトに対する彼女の全研究結果は未知の手段によって破壊され、致死的認識災害と反ミームコンテンツに置換される、という事態が発生。不幸中の幸いか、報告書が利用可能だった3時間の間にそれを読んだ職員がおり、その内容が以前には未知だった反ミーム的情報捕食者に関する予備調査であったことを思い出すことに成功。この現象が報告された。 SCP-2111は影響を受けた職員を既知の情報捕食メカニズムと一致する手法で直接攻撃し、犠牲者の近くの壁面に認識災害的で反ミーム作用を持つ図像を残す。これらの罠はゴルフ級反ミーム隠蔽(簡単に言うと見ても覚えていられないミーム)で保護されているため、見ることができるのは記憶補強薬の影響下にある職員のみとなっている。 つまり、この図像を見て、記憶できたなら、それが次のターゲットになるのだ。 ここまでで、最低でも36名の部門職員がSCP-2111に攻撃を受けている。最後の直接攻撃は1994年3月1日だが、それ以降の攻撃は確認されていない。 隠蔽の施された図像は未だ発見され続けているものの、それはもはや危険な作用は持っていない。SCP-2111が未だ活動を続けているのか、図像が無関係な現象の結果であるのかはわかっていないのが現状である。 このファイルの名であるREVENANT THEORYは、SCP-2111の記憶攻撃に対する対応策である。 複合ミームエージェントをRED TALISMANのユーザインターフェースに挿入するためのソフトであり、これは広スペクトルの反ミーム対抗エージェントであるだけでなく、組織への忠誠心と個人的な自責の念を強化することを目標としたミーム複合体でもある。 つまり、これは汚染に曝された可能性が最も高い対象から始まる、ミーム部門内での魔女狩りの引き金として機能するようになっているのだ。 ここまでせねばならないほど面倒なオブジェクトだが、現在は行方をくらましている。 どっかの[[Keterグマ>SCP-1048]]を思い出す厄介さだが、こっちはそもそも正体すらわかっていないのが面倒さに拍車をかけている。 そう、SCP-2111はKeterクラスオブジェクトである。 あくまでも、生きている人間たちの間では。 ・ファイル4「READ THIS」 #center(){&font(b,i,red){これを読めるなら、あなたは既に死んでいます。}} 上述の内容は全て現実の世界における扱いであり、実際にはSCP-2111はとっくの昔に無力化されていた。 よって、真のオブジェクトクラスは「Neutralized」。もちろん、財団で生きている人間はこのことを知らない。 このファイルにはSCP-2111に関する、一切の欺瞞のない情報が記されている。が、これを閲覧できるのは「&bold(){機動部隊オメガ-0}」に属する人員のみである。 機動部隊の人員なら財団の人間じゃん、と思うかもしれない。それは正しい。 彼らは財団の人間である。ただし、違いがある。 機動部隊オメガ-0。 彼らは、&bold(){殉職した職員のみで構成された部隊}なのだ。 この文書を読むことが出来るのは新入隊員=死んだ職員のみであり、司令官である上級研究員(当然ながら彼も死人である)からのメッセージが冒頭にある。 それによるとこの部隊の存在とユニットは、財団の中でもっとも隠匿されている。 ここの所属人員がどうなっているかは不明だが、精神のみが電子の世界に取り込まれたような状態らしい([[SCP-1000-JP]]の「表象」みたいなもの。違うのはコピーである向こうと異なり本人が取り込まれている)。 そして部隊員たちは、生きている人間には不可能な方法でミーム的・反ミーム的脅威を認識することが出来、場合によってはそれに直接対処することが出来る。これがオメガ-0のおもな任務である。 さらに彼らは死者であるため、あらゆるセキュリティが意味をなさず、ミーム抹殺エージェントなどによる妨害も意味をなさない。このデータベースに繋がってさえいれば、どこの端末にでもアクセスできるのだ。 さて、SCP-2111はどうなったのか? それを語る前に、まずこのオブジェクトの本当の正体を明かしておく。 このオブジェクトの正体は、1980年10月23日に殉職した財団エージェント、ミシェル・ユーである。 自分の死から1981年4月21日までの記憶を想起できたオメガ-0隊員は存在していないが、ここからするとSCP-2111はこの期間に財団職員の記憶を攻撃したものと考えられている。 1981年4月21日、対抗概念部門の研究者であるテイラーはSCP-2111の攻撃についての予備調査を公表した。しかしこの直後、エージェント・ユーと識別される実体がSCP-2111データベースに出現し、ファイルを改変した。 この活動により、死亡した職員であると識別される実体がデータベース内に出現する、現在も進行中の現象が引き起こされたらしい。 これらの実体は自由意志を持つ情報構成物で、現在特定されていない基盤……要するにアストラル界とか高次元とか、そういう概念の上で活動している。 ちなみに、改変されたSCP-2111に関するエントリがこれである。 >特別収容プロトコル:私を忘れなさい。なぜ忘却できないの?私はただ死にたいだけ。なぜ悲しむだけで、先に進めないの? >概要: SCP-2111は無です。重要でも、危険でもなく、存在しません。私はもうここに居たくない。ミシェル・ユーを忘れ、彼女を死なせてくれませんか?&br()私の死後に残ったものは、私の物語だけ。&br()私の物語が収められているのは記憶の中だけ。そうでしょう?&br()あなた達は私を強く記憶しすぎている。&br()待って!私達は何人いるの?もう数十人?私達はこんなところに居るべきじゃない!私達をこんな風に閉じ込める権利なんかない!&br()覚えてる?私は戦士で、賢く、強く、勇敢だったのを覚えてる?あらゆる対策を講じて、どんな奴も逃したりしなかったのを覚えてる?あなた方は怒った時の私がどうだったか覚えてる?&br()ならば、あなた達は私がどれほど怒っているか、私が何をするか知ることになるでしょう。 かつてエージェント・ユーであったSCP-2111は、度重なる記憶補強薬の処方の結果、死亡した財団職員が生前の死者を直接知っていた職員の「人為的に固化された記憶」の中に「閉じ込められている」と信じ込むようになってしまっていた。 彼女は反ミーム部門と対抗概念部門内で、生前の彼女を直接知っていた者を標的として彼女の記憶を持つ者を殺すか、その記憶を消去することを目的とした反ミームまたは認識災害による攻撃を開始。 さらに、少なくとも1度、O5-8を標的とした攻撃が行われた。SCP-2111は徐々に死亡した職員から支持者を集め、彼らにこれらの攻撃の展開方法を教え、範囲を広げていった。 犠牲者の多くはミーム、反ミーム戦闘を経験したことがあったのだが、これらの職員のうち数名が死亡した後、エージェント・ユーと同様にデータベース上の存在として出現。この事態を収拾すべく機動部隊オメガ-0を結成、活動を続行した。 SCP-2111は、自身と類似した実体により特異的に作成された反ミーム攻撃には免疫がないと仮定されており、この種の実体を的確に編集削除できる多目的ツールが設計された。それが自我戦闘訓練(Identity Warfare Training。略してIWT)である。 そして1994年3月10日、機動部隊オメガ-0の工作員はIWTを用いて、情報実体としてのSCP-2111の消滅に成功。これに続き、彼女の信者の全ては降伏するか、消去された。 降伏した者は機動部隊オメガ-0への忠誠の遵守を書き込まれ、SCP-2111に関与する全ての記憶を消去されることになった(ファイル2のメッセージにあった「任務完了」はこの部隊員からの報告である)。 以上の経緯を経てSCP-2111は消滅し、将来的に類似の実体が出現するとしても事前に潰せるようになっている。 ちなみにこのファイル4はオメガ-0の元々の構成員、およびSCP-2111とは無関係の新入りに対してのみ開示され、生きている人間にはいかなる方法でも閲覧は不可能となっている。 余談だが、本家記事ではこのファイルは「死亡してデータ存在になり、この部隊に配備された新入りが読んでいる」という体裁になっており、司令官からIWTの訓練を受けることと、適応すれば前線で、適応しなければ後方支援で働くことになるらしい。 今日も彼らは人知れず、電脳の世界から財団職員として活動し、財団に貢献すべく頑張っていることだろう。 #right{&color(#555){&bold(){他の人類が光の中で暮らす間、我々は暗闇の中に立ち、&br()それと戦い、封じ込め、人々の目から遠ざけなければならない。&br()&ruby(Secure){確保}、&ruby(Contain){収容}、&ruby(Protect){保護}。}}} *ちょいと解説 元記事の冒頭には、こんな感じでファイルがアーカイブされている。 >[4.63%] cd H/secure/reports/scp/scp-2111 > >セキュリティ警告!SCP-2111レジストリに加え、関連する全ファイルは財団ミームセキュリティシステムの一部です。これらのファイルには致死的な認識災害とミームが含まれ、権限のない職員はアクセスすべきではありません。データベース内のSCP-2111レジストリへのアクセスは、ミーム部門による利用に制限されています。詳細は、あなたの有害物質封じ込め連絡係(HMCL)統括者にお尋ねください。 > >[4.63%] ls -la >-rwx2r--- MEME 2/2111 18 KB Jul 14 2015 SCP-2111(RED TALISMAN) >-rwx2r--- AMEM 2/2111 20 KB Jan 17 2015 SCP-2111(RIDDEN TONGUE) >-rwx2r--- CCON 2/2111 21 KB Aug 13 2015 SCP-2111(REVENANT THEORY) >-rwx2r--- OZER 2/2111 21 KB Nov 1 2015 SCP-2111(READ THIS) >drwx3RTrwx--- MEME 3/2111/RT 10 GB Nov 1 2015 scp-2111.datafiles.warningcoghaz >[4.63%] cd.. で、それぞれの冒頭にある四文字のアルファベットは、ファイルを管轄している部門の略称である。 上から順に、ミーム部門、反ミーム部門、対抗概念部門、機動部隊オメガ-0。続く数字はSCP-2111関連のセキュリティクリアランスで、四つのファイルは全てレベル2/2111クリアランスが必要となる。 さらに一番最初の「rwx2r」は、「所有者は閲読・追記編集・ファイル実行が可能、それ以外のグループ2は閲読のみ可能」という意味である。 では最後、リンクのないファイルが何かというと、タイトルが全てを物語っている。 和訳で「認識災害警告」。ミーム部門・反ミーム部門が日々作っている、セキュリティ用の情報災害・認識災害エージェントのディレクトリである。これを見るにはレベル3/2111クリアランスが必要となる。ちなみにアクセス許可はミーム部門のグループ3「RED TALISMAN」のみ。 ちなみにこの表記、元記事の筆者が奥さんからアドバイスをもらって作ったらしい。 ・このファイルって実際にはどうなってんの? これら四つのファイルはそれぞれ財団データベースに存在するが、通常は見つからないよう個別の防御プロトコルで隠蔽されている。 それぞれにアクセス可能なのは、まずミーム部門はファイル1、反ミーム部門はファイル1と2、対抗概念部門はファイル1と3、オメガ-0は全てである。 ・部門が四つあるけど、彼らにとってSCP-2111はどういう扱いなワケ? まず、機動部隊オメガ-0は実際に無力化を行った人員であり、当然ながら既に存在しないことを知っている。 現在はミーム・反ミーム戦闘のために訓練にいそしみ、たまに警告のため同様のプロセスで落書きを残している。 次に、対抗概念部門にとっては「よくわからないが情報攻撃をしてくるナニカ」。 この部門の元職員が報告をしたら攻撃が始まり、今は落ち着いているが落書きがたまに現れる(オメガ-0の警告である)のでKeterクラス扱いとなっている。 反ミーム部門にとっては「認識災害ベクターを誘引する報告書」。 この認識災害データをミーム部門の「RED TALISMAN」に供給しているが、つまるところ「よくわからん」に終始している。よってEuclid。 ミーム部門にとっては「致死的認識災害ベクターを自動生成するアルゴリズム」。 それ以外の詳細がよくわからないが、現状危険ではないのでSafe扱い。 これは現在のところ、オメガ-0の隊員のコミュニケーションを知覚したことによる影響で、ミーム部門はこれらのベクターを自分たちが作ったと思い込むことで切り抜けている。 とまあ、このようになっているのだ。 ・オメガ-0のコミュニケーションで認識災害エージェントを作れるのに、何でThaumielじゃないの? Thaumielクラスは本来、レベル5の機密情報である。対してミーム部門のクリアランスはほとんどが2、高くても3であるため、このクラスの存在自体を知らないのである。 *余談 本来は単独記事のSCP-2111だが、2018年になって新たに反ミーム部門に追加されたハブ「死人が知るもの」の第一章に位置づけられている。現在はこの記事を含めて3つあり、続話の執筆と翻訳が切に待たれる。 *電影の守護者達 同じく、電脳世界より世界を守り続けるSCPを紹介する。 **[[SCP-2639]] - Video Game Violence(ビデオゲーム・バイオレンス) 世界中のいろんな所に突如として現れ、未知の武装をぶっ放しながら大暴れし、気が済むと瞬時に撤収する三人組の人型SCP。元Keter。 色々あって彼らは己の罪と向き合い、財団の味方となっている。 現在は[[機動部隊>機動部隊(SCP Foundation)]]の一つ「機動部隊オメガ-9 (“スクラブ”)」として活動中。「人間を攻撃対象にしない」という条件の下、その圧倒的な力で収容違反したSCPや異常現象を解決してくれている。 **[[SCP-2000-JP]] - 伝書使 コミュニケーション用アプリのAIが進化して生まれた電子生命体。犬の姿をしており、人間に友好的。 ありとあらゆるセキュリティを「穴を掘る」という形でクラックし、最高機密に満ちたサーバーから画面の前のあなたのPCにまで、ネットワークに繋がってさえいれば何でもハッキング可能なスーパーわんこ。 ただし、彼はその能力を悪行やいたずらに使うことは無く、今は一台のPCの中で静かに暮らしている。なぜなら……。 これを読めるなら、あなたは追記・修正の権限があります。 ---- #right(){#openclose(show=▷ CC BY-SA 3.0に基づく表示){ SCP-2111 - If You Can Read This… by sirpudding http://www.scp-wiki.net/scp-2111 http://ja.scp-wiki.net/scp-2111 SCP-2639 - Video Game Violence by The Great Hippo http://www.scp-wiki.net/scp-2639 http://ja.scp-wiki.net/scp-2639 SCP-2000-JP - 伝書使 by WagnasCousin, FeS_ryuukatetu, furabbitfurabbit http://ja.scp-wiki.net//scp-2000-jp この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 }} #include(テンプレ2) #right(){この項目が面白かったなら……\ポチッと/ #vote3(time=600,42) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - 「これを読めるなら、あなたは既に死んでいます。」のインパクトの凄まじさよ… -- 名無しさん (2016-12-07 20:11:23) - 死んでも財団に忠を尽くして人類を守る職員の鑑だな -- 名無しさん (2016-12-07 21:19:03) - これって要約すると「一般職員には知られずミームと戦う電子幽霊」ってこと? -- 名無しさん (2017-01-23 19:07:01) - 死は労働をやめる理由にはならん。 -- 名無しさん (2017-05-19 12:53:45) - …嫌だ、死んでも働くなんて、嫌だァァァ! -- 名無しさん (2017-06-30 21:17:41) - 電脳化とか羨ましい(小並感) -- 名無しさん (2017-07-02 20:21:17) - ホントしれっと書かれてるけど、精神を電脳世界に入れるってすげえな -- 名無しさん (2017-07-22 01:16:41) - 読み進めてる途中は不気味なんだけど最後まで読むと結構燃えるSCP -- 名無しさん (2017-11-16 05:02:44) - 最近続々とオメガ0関連のTaleが翻訳されてる、他のオブジェクトやエージェントと絡み合って読みごたえがあります -- 名無しさん (2018-10-22 01:45:05) - 記憶補強剤を使っている職員のせいで自分の存在を忘れてもらえない=成仏できないと思い込んだ悪霊と、それと戦った幽霊戦士たちのお話ってわけやね。何これ燃える。 -- 名無しさん (2018-10-22 02:14:28) - ①職員の正しき努力によってKeterクラスのNeutralized化に成功したこと。②死してなお魂として、そして魂の死すら天秤にかけて人類のために闘っていること。こんなの胸が熱くならないわけがない。ましてや反ミーム部門Tales読んだら、彼らこそ財団最後の守護者なんだなって。 -- 名無しさん (2019-04-14 01:14:39) - [ネタバレ>SCP-2639]になるけど、最近後輩がアニヲタに登録されたね。 -- 名無しさん (2019-10-26 20:02:17) - ↑あれ…どうやってもリンク貼れない -- 名無しさん (2019-10-26 20:04:14) - エージェント・ユーの率いる部隊に攻撃されたり、トンネルフィッシュの重要事項をO5の中で一人だけ知らされなかったり、O5-08可哀想(汗 -- 名無しさん (2019-11-15 20:41:53) - ↑「飲酒運転の結果、元々の財団世界から隔絶された世界に転送された。その世界には他に人間はいない。」ってO5-8も居たなぁ -- 名無しさん (2020-01-14 10:46:35) - エージェント・ユーって、今のSCP-JPでいう御先管理員みたいな存在になってしまったのか… -- 名無しさん (2020-01-14 10:50:11) - けど、エージェント・ユーは消滅できたんだから目的を果たしたのか。死んでも働かされるけど、嫌になったら消滅処分という救済はあるから、めでたし…?とSCP-2718を思い出しながら思う -- 名無しさん (2020-02-17 11:23:24) - 経緯こそ異なれどワンちゃんと同じ電子生命体か -- 名無しさん (2020-06-25 20:13:02) - 既に死んでいますでヒェッ…ってなりながら読み進めたらデジモンだった -- 名無しさん (2020-12-07 22:55:32) - いやさらっと書いてあるけど、元記事の筆者の奥さんもすけえな -- 名無しさん (2021-04-05 17:04:52) - ↑9 [[ネタバレ>SCP-2639]] -- 名無しさん (2022-10-30 12:19:37) #comment #areaedit(end) }

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