100万回生きたねこ

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100万回生きたねこ」を以下のとおり復元します。
&font(#6495ED){登録日}:2017/10/12 (木) 11:47:29
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&font(#6495ED){所要時間}:約 6 分で読めます

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#center(){&sizex(6){&bold(){&color(red){おれは 100万回も しんだんだぜ!}}}}




「100万回生きたねこ」とは、佐野洋子作の絵本。

*【解説】
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1977年に出版された作品で、ある猫の輪廻転生の繰り返しを描いた作品となる。

ストーリー自体は短い子供向けの絵本だが大人の支持も根強く、出版から40年以上経過した現在も名作との呼び名が多い作品である。
絵本という媒体の強みを生かした作品でもあり、読み手や年齢によって物語の様々な解釈が可能。
出版から長い時を経た現在でも、様々な視点やテーマからの考察も行われている。
ラストの猫の末路と反して、読後は妙に清々しさが読者に生まれる作品でもある。

タイトルが『100万回死んだねこ』だと勘違いしている人も少なくない。
「実際に昔はそうだった」などとの都市伝説が流れた事もあるが、そのような事実は確認されていない。
内容的にはこのタイトルでも何ら間違いはないのだが。

現在まで出版部数は200万部を超えており、絵本としては有数のベストセラー作品でもある。


*【大まかなあらすじ(ネタバレ注意)】
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輪廻転生の力を持つ主人公の猫は、様々な人間の飼い猫として転生を繰り返す。

転生する中で出会った様々な飼い主達は猫の死に涙を流した。
ところが、当の猫は飼い主の事が嫌いで、死に別れに関しても全く何とも思っていなかった。

転生を繰り返した後、主人公の猫はついに誰の猫でもない野良猫となっていた。
立派な容姿と溢れ出る自己愛を持つ猫は、自身の転生経験を自慢に持ちながら、周囲に雌猫が寄ってくる日々を過ごす。

しかし、唯一自分に関心を示さない不思議な雌の白猫がいた。
何とか興味を引こうとする中で、一緒にいたいと思うようになり、プロポーズして受け入れられる。
こうして子宝に恵まれ、白猫や子供への愛が自己愛を上回り、他者への愛を持つようになる。

だが、白猫もやがて年老いてゆき、ある日猫の隣で静かに動かなくなった。
そこで猫は初めて悲しい感情を覚え、日中100万回泣き続けることになる。

泣き続けた猫もやがて動かなくなり、それ以降猫が転生するという事はなかった。


*【登場キャラクター】
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**登場猫

・&bold(){ねこ}
本作の主人公となる雄猫。

100万年生きて100万回死んで100万回生きるという輪廻転生を繰り返している。
容姿も立派な虎猫で、作中でも人や野良猫からも好かれている。

事実上不死身の能力を持っていると言えるが所詮は猫か、高確率で事故死している。
転生前の記憶のみならず前世で学んだ技能も引き継いでいるという驚異的なスペックの持ち主。
ちなみにその技能はサーカス時代に学んだ空中での3回宙返り。

これまで1回も泣くという行動をしておらず、死に慣れたか死への恐怖心も抱いていない。
人間がこの猫を愛していたのに反し、基本的に飼い主を嫌う。
自己愛が強く、100万回生きた経験から普通の猫と感性も違ったものになっている。

輪廻転生を繰り返して様々な飼い主と出会うが、100万回死んだ後に野良猫として転生。
強い自己愛に目覚めており、雌猫に言い寄られる生活を送っていた。

しかし、自分に見向きもしなかった白い猫に自己愛から腹を立て、アピールを行う。
ところがそれを続けるうちに恋に目覚めたのか、白い猫と付き添うことを決める。
白い猫との間に沢山の子供を儲け、そして自己愛よりも白い猫と子猫への愛が強まり、白い猫といつまでも生きたいと願う。

後に白い猫は自身の隣で老衰死。
猫はそれで人生初めて泣くことになり、一日中100万回泣き続けることになる。
やがてある日の昼にその声は止んだが、それは猫自身も死んだためであった。

それ以降、猫はついに生き返ることはなかった。

・&bold(){めすねこ}
主人公の猫の周りにアプローチしに寄ってきた多数の雌猫。

立派な虎猫である猫にほれ込み、様々な雌猫たちが周りに集まった。
大きな魚やら上等の鼠やら珍しいマタタビやらのプレゼントをしたり、ある雌猫は立派な虎模様を舐めた。
しかし、100万回分の人生経験と自己愛の強さを持つ猫には通用しなかった。

・&bold(){白いねこ}
本作において重要な存在となる猫。

白くて美しい姿をしている雌猫。
主人公の猫が多くの雌猫に言い寄ってくる中で、唯一見向きもしなかった。

猫が100万回死んだことを自慢気に語ってくる中で、軽くスルーしていた。
ある時に猫が見せた一発芸にも見ようともしなかった。

しかし、猫の事実上のプロポーズも承諾。
その後は多くの子猫を産み、猫からもかなり愛された。
やがて高齢の猫となり、ある朝に猫より先に老衰で死亡する。

作中では「そう。」と「ええ。」の二つの台詞しかない程に感情表現が気薄。
実際にこの白い猫が猫に対してどのような感情を持っていたのかも最後まで分からず、そもそも何故猫に唯一興味を持たなかったのかなど謎も多い。
そのため、現在まで考察も絶えない存在となっている。

・&bold(){子猫}
猫と結ばれた白い猫が産んだ子供達。

2匹の親の周りを囲むほどに、様々な模様を持つ子猫がたくさん産まれた。
子猫達を猫は自分よりも愛していた。

やがて成長してどこかに去っていったが、その姿に猫は満足していた。


**飼い主達

・&bold(){王様}
物語で最初に描かれた猫の飼い主。

時代は不明だが、イラスト的には中世ヨーロッパイメージだと思われる。
戦争に関する手腕に優れていたようで、いつも戦争をしていた。
戦争の際は猫を立派な籠に入れて連れ歩いていた。

そんなある日、連れていた猫に矢が当たって死なせてしまう。
その事に王は戦争の最中にも関わらず猫の遺体を抱き上げて大泣きした。
王はその後戦争を辞めて自身の城に帰還し、猫をその庭に埋めた。

猫はこの王に愛されていたが、猫自身はこの王を嫌っていた。

・&bold(){船乗り}
王様の次の猫の飼い主。

世界の海や港を転々としており、いつも猫を連れていた。
しかし、ある時猫が海に落ちて溺れてしまう。
急いで網で猫を引き揚げたが時すでに遅し、猫はびしょ濡れになって死亡。
船乗りは猫の遺体を抱いて大泣きし、遠い港町の公園の木の下に猫を埋めた。

船乗りの愛情に対して、猫は海を嫌っていた。
猫は水が嫌いだし、これに関しては理不尽でもなく嫌って当然である。

・&bold(){サーカスの手品使い}
船乗りの次の猫の飼い主。

毎日猫を箱の中に入れて真っ二つにしていた。
勿論これは手品のショーで、箱から丸まった猫を取り出すという芸を見せ、客から拍手喝采を受けていた。

しかし、ある日に何を誤ったのか間違えて本当に猫を切断。
手品使いは真っ二つに切り裂かれた猫を両手にぶら下げて大泣きした。
客は誰も拍手喝采せず……こんな光景見たら拍手喝采どころか恐怖で悲鳴か唖然かのどちらかだろ!
手品使いはその後、猫をサーカス小屋の裏に埋めた。

手品使いにも愛されていたようだが、猫はサーカスは嫌いだった。
まぁ危険な切断マジックを毎日やらされればねぇ。

転生後に見せた特技はサーカス時代の物ということから、切断マジック以外にも役割はあったようだ。

・&bold(){泥棒}
手品使いの次の猫の飼い主。

作中で描写された初めてかつ最後の犯罪者の飼い主。
まあ作中で描写されていないだけで、100万回も転生した中には他にも犯罪者の飼い主はいたかもしれないが。

泥棒は猫と一緒に夜中の暗い街を静かに歩き回っていた(猫は肩に乗せている)。
この泥棒は独特な専門泥棒で、犬がいる家だけをターゲットにしていた。
理由は、犬の注意を猫に誘導させることで、その隙をついて金庫をこじ開ける手法を取っていたためである。

ところがある日、ついに猫は犬に噛み殺されて死亡。
泥棒は盗んだダイヤモンドと一緒に猫を抱いて、夜の町にも関わらず大声で泣いた。
家に帰宅後、小さな庭に猫を埋めた。

泥棒ではあるが、泥棒道具として利用していた猫に愛情はあった様子。
犯罪者ながら良心が残っているようだが、よくよく文章を読むとちゃっかりダイヤモンドは盗んでいるところがアレである。

猫は泥棒なんか大嫌いだった(この飼い主から、猫は飼い主を「大嫌い」と言い始める)。

・&bold(){ひとりぼっちのおばあさん}
泥棒の次の猫の飼い主。

ひとりぼっちという表現から、同居人はいない(独身か夫に先立たれたか)。
二階建ての家に住んでおり、家の周りは絵を見る感じでは森の奥である。

毎日猫を抱いて小さな窓から外を眺める日課を過ごしていた。
猫はお婆さんの膝の上で眠るという日々を送る。

やがて猫は年老いてお婆さんより先に死亡。
よぼよぼのお婆さんはよぼよぼとなった猫の遺体を抱いて一日中泣いた。
その後、庭の木の下に猫を埋めた。

転生しては事故死してばっかりの猫に天寿を全うさせたという快挙を持つ飼い主である。
もっとも、作中で描写されなかっただけで他にも同様に天寿を全うさせた飼い主はいるかもしれないが。
ただし、猫はそんなお婆さんですら大嫌いだった。

猫が事故死させなかったお婆さんを嫌った理由に関しても様々な考察がある((「身寄りがない=愛を知らない」「身寄りのない老人が猫を飼うという行動」などから様々な解釈があるとかなんとか))。

・&bold(){小さな女の子}
作中で最後に描写された猫の飼い主である少女。

猫をおんぶしたり、尻尾を抱いて一緒に寝たりなどをして過ごしていた。
女の子は泣いたときは、猫の背中で涙をぬぐった。

ある日、猫は女の子の背中で負ぶい紐が首に巻き付いて窒息死。
ぐらぐらの頭になった猫を抱いて女の子は一日中泣き、庭の木の下に埋めた。
猫側もこの時点で相当な死亡パターンを経験したことから、死ぬことに何ら感情を持たなくなっていた。
お決まりのパターンで猫は少女の事も大嫌いだった。

この少女の描写を最後に、猫は野良猫として転生することになる。


*【余談】
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本作に関するネタとして、猫の起源は13万1000年前なので100万回は無理ではないかという話がある。

単純に計算して猫はかなりの高速ペースで死なないといけなくなる。
「100万年も死なない」という文章から、死亡速度的には1年に1回数ペースで死んでいると読み取れるが……。
まぁ、児童文学にこのような突っ込みは野暮な話でもあるので、真面目に考えてはいけない。
最も、本作の舞台が出版当時及び現代の世界より先の超未来の時代に到達していたと解釈できなくもない。

インターネット上では表紙を弄ったコラ画像が多数作られている。

一番有名なコラは「&bold(){100万回ぬいたねこれ}」と改変された画像だろう。
表紙の構える手に美少女キャラやエロ同人やエロゲーのパッケージなどを持たせ、抜けることをアピールしたものとなっている。
更にタイトルも弄って数字を増加させているコラもある。






追記・修正は100万回転生して美少女と結ばれてからお願いします。

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- 好きな作品だったわ。いろいろ考察しがいがある作品で、割と昔は友達同士で語り合った記憶がある  -- 名無しさん  (2017-10-12 11:54:52)
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