&font(#6495ED){登録日}：2019/05/12 Sun 02:02:31 &font(#6495ED){更新日}：&update(format=Y/m/d D H:i:s) &new3(time=24,show=NEW!,color=red) &font(#6495ED){所要時間}：約 9 分で読めます ---- &link_anchor(メニュー){▽}タグ一覧 &tags() ---- #center(){ &font(#ff0000){&bold(){あか。あか。あか。あか。とても…おなかすい-た。こわかった。}} } SCP-811は、怪異創作コミュニティサイト[[SCP Foundation]]に投稿されたオブジェクトである。[[オブジェクトクラス>オブジェクトクラス(SCP Foundation)]]はEuclid。 **注意 先に断っておくが、このオブジェクトが抱える背景はかなり陰惨なものである。本家Wiki或いはこのアニヲタWikiで、まだSCPオブジェクトを見ていない方、或いはいわゆる[[鬱展開]]にある程度耐性のない方の閲覧はお勧めしない。 **概要 とまあ、大仰な文章を並べたが、別にそこまで肩に力を入れる必要はない。 このオブジェクトが何か、端的に言えば、&bold(){突然変異した女の子である。} 手足は細長く、身長は171cm、体重は常に47kg未満、僅かに腹部は膨らんでおり、常に全裸である。…おい、そこの君。萌えるのはもう少し説明を聞いてからにしてくれ。 では、何が突然変異なのか。 まず、肌。質感はわずかにざらざらしていて、&font(#008000){緑のまだら模様である。}その汗は弱い皮膚刺激性物、要は酸として我々の皮膚に作用する。 次に、髪。従来のシャンプーに対する耐性を持った、油っこい黒髪である。 …シャンプーに対する耐性って何？ 後述するが、普通のシャンプーでは汚れを落とせないので、財団は専用のシャンプーを提供している。 特筆すべきなのは、彼女の手足である。彼女は自分の手足から常に半緑の透明な粘液を出している。 この粘液、SCP-811自身以外のあらゆる有機物に触れると、&bold(){その部分を溶かして黒色の液体にしてしまう。} 彼女はそれを皮膚から吸収して"食事"する。どうにも、彼女の血管に当たる部分は、全部腐った何かで満たされており、さらにすべての細胞にある種の細菌が見つかっていることから、彼女はこれを代謝して生活しているようである。彼女に赤血球と呼べるものが明らかに不足しているのもこれを裏付けている。 彼女は消化器官と呼べるものを持っていない。いや、正確に言うと胃はある。SCP-811内の老廃物はすべからく胃に集められ、体内の酵素と細菌がこれを分解凝縮し、ざらついたタール状の物質へと変える。 この物質、彼女の意思によって&bold(){口から排出される。}排出は彼女の意思で制御できるらしく(&font(l){したがってゲロとはちょっと違う})、彼女はこれを"狩り"に利用する。標的の口、鼻、傷口のどれかを狙って、窒息させるか、細菌による壊死を起こさせる。ただ、彼女の歯はこの液体に耐性を持っていない。彼女自身、これによって起きる歯痛に悩まされていた（後述）。 傷口にこれが命中すると、三時間以内に治療を受ける必要がある。それ以上経過すると、まず助からない。それは、元の報告書が如実に物語っている。 &bold(){「Dクラス、あるいは12時間以上治療受けていない職員は、解雇を要請してもよいです。」} **特別収容プロトコル こんな危険生物…じゃなかった、愛らしい少（？）女、どうやって収容すればいいんだ？ 現在、彼女は沼を模した小さな区画に収容されている。職員はこの区画の気候を人工的に作り出し、区画内には多様な種類の植物が植えられる。 「その他の植物として、根が破損しない限りSCP-811との接触に耐え、損傷から素早く再生し適応するものが置かれています。」 …一体どんな植物なんだ？ 彼女が財団に忠実なら、ご褒美として丸太や腐葉土を与えることが許可されている。 温度は25℃、湿度は70%以上に保たれる。換気した空気はどこにも再循環させてはいけない。&bold(){もしそんな空気を吸って体の内側から腐りでもしたら…}恐ろしや。 水槽はpH値に至るまで管理され、[[Dクラス>Dクラス(SCP Foundation)]]&font(l){をこき使って}によって、一週間ごとに清掃される。 24時間おきに彼女には5㎏の餌が支給される。&font(l){食いしん坊だなぁとか言ってはいけない。}ただ、人を食べるのは嫌いじゃないらしく、お腹がすいている時に水槽に入ることはお勧めしない。もし入ったら…ご愁傷様。 彼女に対する医療措置は危険を伴うため((彼女は未知の細菌や化学物質を抱えている。その中のどれかが薬と反応して、彼女の身に危険を及ぼすかもしれないからだ。))、投与が許可されている薬品のリストを確認したうえで、慎重な会議を経て行われる。 職員は水槽に立ち入る際、防護服を着る必要がある。もし外すのなら、&bold(){手足のどれかを失っていても}問題ないオブジェクトへの配属変更がなされることに了承する必要がある。 **SCP-811の要望 彼女からの要望は、会議を経て承認、却下を決めることになっている。以下はそのリストである。 ・餌用牛の定期配達（却下） 財団にいくらコストを掛けさせる気だ。 ・餌用動物のローテーションからワニを除外（許可） 嫌いだったのかな？ ・元の生息地█████からの豊富でさまざまな魚類入りの水(却下) 故郷の味が恋しくなったのかもしれない。駄目だったけど。 ・100%人工素材で出来た1本のヘアブラシ(許可) 彼女の髪はそう簡単に整えられるわけではないらしい。 ・1日おきに一緒に水たまりに入ってくれるDクラス職員1人と髪を洗って調子を整えるためのシャワーヘッド(許可) この際、前述したとおり、あのメリットよりも強力なシャンプーを使うことになっている。普通の人だったら間違いなく一本も髪が無くなるだろう。 ・&bold(){”Aé (アエ)”}と字訳された二音節の名前で呼ばれること。SCP-811は読み書きができず、従って綴りを自分で選ぶ才能はありません(許可) SCP-881の通称はアエちゃんである。&font(l){アエちゃんかわいい。} ・慢性的な歯痛の軽減(承認) 元々この要望は、彼女に対する安全かつ確実な麻酔薬の投与法が確立されるまで却下されていた。現在、彼女の歯は全て義歯に入れ替わっている。要は入れ歯である。 ・Hazmatスーツを着せた非食用目的のカメ1匹(却下) ペットが欲しかったのだろうか。今までカメも食事として彼女に与えていたが、ローテーションから外れることとなった。現状の提案として、エリア外に観賞用のカメの水槽を置くことが挙げられている。 **経緯 さて、ここまで読んでくれた方の中には、アエちゃん、じゃない、SCP-881を「かわいい」とか、「抱っこしたい」とか思っている人もいると思う（そんなことしたら溶けるけど）。では、彼女がこうなった理由、財団に収容された経緯を説明しよう。 こうなった理由。ということは、もともと彼女はこんな生態ではなかったのである。 #openclose(show=以下に、SCP-811とトレビュシェット博士のインタビュー記録を記す。ちょくちょく切るので、肩の力を抜いて読んでほしい。){ 面談者:トレビュシェット博士、ワクテル下級研究助手 トレビュシェット博士: アエ SCP-811: せんせー、なあに？ トレビュシェット博士: 質問があるの。 SCP-811: [靴箱を指差して]ごはん。 トレビュシェット博士: [トレビュシェット博士はうなずき、靴箱を開きます。蛙は外に飛び出す ] [着地するとすぐに、SCP-811は蛙を足で踏んでそれを消化し始める]} 彼女の食事を文章にするとなかなか恐ろしい。 #openclose(show=（クリックで続きを見れます）){ SCP-811: [にこにこ]せんせーひつもんしたいの？ トレビュシェット博士: そうよ[クリップボードをワクテルに手渡し、その上の何かを指差す] ワクテル: [クリップボードから読み上げる]思い出せる最初の出来事は何ですか？ SCP-811: おもらしさせるたいそー？ ワクテル: うーん。} おい、誰だ今卑猥な事考えた奴。 #openclose(show=（クリックで続きを見れます）){ トレビュシェット博士: 思い出せる最初、前の…思い出。 SCP-811: [分かったように]はこのまえ？ トレビュシェット博士:箱の前の前よ。 SCP-811: [神妙な面持ちで]いちばんまえ？ トレビュシェット博士: [力強く頷く]そう！} ここからは、少し心を強く持って読んでほしい。 #openclose(show=（クリックで続きを見れます）){ SCP-811: [身振り手振りで表現しながら]おっきい人。たかい。アエちっちゃい、おっきい人よりとってもちっちゃい[手を使って地面から約1メートルを示す][自分の腕を指差して]おっきい人ににてた。 トレビュシェット博士: 何がその人に似てたの？ SCP-811: [2本の指の間に彼女の肌の一部を挟む]これ！アエ ににてない。おっきい人ににてた。にんげんににてた。 トレビュシェット博士: あなたの肌？ SCP-811: はだ…[自分の肌をやさしく突き、そしてにっこり笑う]はだ。 ワクテル: [不安を感じて]ちょっと待って、&bold(){それは君が僕たちと同じ肌だったってことかい？}} どうやら、彼女は元々、我々通常の人間と同じ肌だったらしい。何故緑色に…？ #openclose(show=（クリックで続きを見れます）){ トレビュシェット博士: そう言ってるじゃない。アエ、それから？ SCP-811: [一つの肘の内側を指差して]&bold(){いたいぼう、ここ。つめたい。} トレビュシェット博士: ”注射”よ、アエ。手がかりは—[つばを飲む]それは“注射”というのよ。 SCP-811: &bold(){ここ、つーしゃ。つめたい。}} 注射…？ #openclose(show=（クリックで続きを見れます）){ トレビュシェット博士: そして？ SCP-811: &color(#ff0000){いたい[彼女の口から何かが出てくるパントマイムをする]あか。あか。あか。あか。とても…おなかすい-た。こわかった。人たべた。はだ…こうなった。} ワクテル: なんてことを… [ここでワクテルが彼の防護服の中で嘔吐し始める。SCP-811はそれが敵意のサインだと誤解して水槽の中の水のプールの一つに逃げ込み、ワクテルとトレビュシェット博士の両方が立ち去るまで再び浮かび上がらなかった]} 賢明なるアニヲタ諸君。もうわかっただろう。&bold(){彼女は、何らかの生物実験に巻き込まれたのだ。}これが、最初の警告文の理由である。 救いようのないことを言うと、彼女は自分がなぜこうなったのか半端ながら理解しているのである。年端のいかない少女を捕まえて、何らかの細菌だか化学物質だかを注入した結果、こんな姿になってしまった。 SCP財団というのは（[[SCP-999]]とか例外はあるけど）基本的に陰惨なオブジェクトが多い。彼女もその一つである。 話がずれるが、上ので登場した「トレビュシェット博士」は、このインタビュー以降彼女に献身的に寄り添っている。 彼女は31歳で、&bold(){身長はわずかに1メートルを超える程度}（つまり、SCP-811とは70cmほど差がある）だが、財団一働き者と噂されている。どれくらいかというと、慢性不眠症と重度の仕事中毒の傾向のため、ほぼ1度も帰宅しないし、睡眠を完全に薬に頼っている。眠りにつくときは、&bold(){致死量の何倍もの睡眠薬を摂取する}。&font(l){要は[[社畜]]である} そして何より、&font(#ffa500){彼女は強い倫理観の持ち主である。} 彼女としては、いたいけな少女がたどったあまりに悲惨な運命を、何とかして変えようと努力したいのである。 それは、インタビュー最後の補足文からひしひしと伝わってくる。 #center(){ &bold(){&font(#ffa500){注記: 私が、緑色の新しい血の魅力を理解し比較的無害にできるようになるまで、他の人は別のヒューマノイドにあててくれませんか？私は、何かを本当に成し遂げるためにここにいます。~トレビュシェット博士}} } "アエ"を元に戻すまでは、今の状況よりマシにできるまでは、トレビュシェット博士は努力し続けるだろう。一人で、信念を持って。 #center(){ &bold(){&font(400%){&font(#00552e){SCP-811 沼女}}} } **余談 [[SCP-978]]（ざっくりいうと、写した人物の欲望が見れるカメラ）でアエちゃんを写してみた実験記録がある。結果は以下のようになった。 #openclose(show=（クリックで見れます）){ 被験者: SCP-811 撮影された行動: カメラを見ている。 撮影結果: 黄色いリボンで髪をまとめて、青いサンドレスを着た、SCP-811と同じ身長と体格、顔のつくりの人間の女性が見える。} 彼女の夢が叶う日が来ることを切に願う。 追記・修正は、アエちゃんの幸せを願いながらお願いします。 ---- #right(){CC BY-SA 3.0に基づく表示 SCP-811 by Pig_catapult http://www.scp-wiki.net/scp-811 http://ja.scp-wiki.net/scp-811 Dr. Trebuchet's Personnel File by Pig_catapult http://www.scp-wiki.net/dr-trebuchet-s-personnel-file http://ja.scp-wiki.net/dr-trebuchet-s-personnel-file SCP-978 by agatharights http://www.scp-wiki.net/scp-978 http://ja.scp-wiki.net/scp-978 この項目の内容は『[[クリエイティブ・コモンズ 表示 - 継承3.0ライセンス>https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/deed.ja]]』に従います。 } #include(テンプレ２) #right(){この項目が面白かったなら……＼ポチッと/ #vote3(time=600,23) } #include(テンプレ3) #openclose(show=▷ コメント欄){ #areaedit() - SCP-427とかで何とかならんのか -- 名無しさん (2019-05-12 02:25:37) - 某やる夫スレで知ったわ。めっちゃ可哀想だった。 -- 名無しさん (2019-05-12 03:58:15) - 吐いちゃったのを（自分のと同じ）攻撃行動と看做したのが何とも悲しい…… -- 名無しさん (2019-05-12 06:23:28) - 一番上 もはや人間ですらないから効かないかもな...ロケットが人間以外に効くかどうかは分からんが -- 名無しさん (2019-05-12 08:09:37) - [PQLが閲覧上限値を超過しています]のでまあよくある展開よねと思うなど -- 名無しさん (2019-05-12 10:14:30) - 欲望カメラは被写体の願望が強いほど異なる光景が映る ……二人とも、負けないでくれ -- 名無しさん (2019-05-12 12:42:05) - 「おもらしさせるたいそー」の訳が地味に秀逸(weeには幼児語でおしっこの意味があるそうな) -- 名無しさん (2019-05-12 13:36:53) - てっきりトレビュシェット博士が黒幕なのかと・・・ -- 名無しさん (2019-05-12 15:04:48) - ↑財団の名物博士ではあるがな -- 名無しさん (2019-05-12 16:15:04) - 「アエ、おっきくなる」…ジョークオブジェクトとはいえアイツですらすぐ治せない辺り相当ヤバいことされてるよな… -- 名無しさん (2019-05-13 15:46:17) - 日●研「酷い奴らもいるんだなぁ」 -- 名無しさん (2019-05-13 16:09:37) - 開閉ブロックの配置と設定間違ってない？ -- 名無しさん (2019-05-13 16:11:56) - ”,block” という文字列が入ってたため開きっぱなしになっていた模様。そもそもこんな冗長なopencloseが要るかどうか疑問だが -- 名無しさん (2019-05-13 17:08:42) - ↑4 そういえば無害化を「目指す」としか書かれてないな。他のオブジェクトは多かれ少なかれ何等かの改善が見られているというのに。 -- 名無しさん (2019-05-13 18:22:43) - [[SCP-500]]で何とか…ならんか… -- 名無しさん (2019-05-15 19:29:30) - ↑5 お前らが言うなよ -- 名無しさん (2019-05-16 21:16:41) - そもそも現時点で基本敵対行動せず危険性はその生態のみだからこれ以上の無害化は生態をどうにかするしかないわけで。 -- 名無しさん (2019-05-27 13:00:44) - 万能薬でなんとかならんのかね -- 名無しさん (2019-12-09 12:02:49) - 今の状態が「正常」であるとしたら、流石のSCP-500でも元に戻せない可能性があるんじゃないかな…… -- 名無しさん (2019-12-24 15:44:21) - 読む人のこと脅しすぎじゃね？ -- 名無しさん (2020-02-26 00:54:30) - というかそもそも異常性の無力化って財団的にどうなのって。万が一トレビュシェット博士が治療法見つけたところで上から抑えられそう -- 名無しさん (2020-02-26 01:23:29) - 人工的異常性なら原因物質の特定とかそういう方向性の収容さえすれば個体をそのまま残す必要も無い…かな？ -- 名無しさん (2020-03-11 02:09:34) - 欲望カメラの結果が1番精神的に来たわ… -- 名無しさん (2020-03-17 23:33:55) - SCP-500、使ってみたい 病気なら治るのでは -- 名無しさん (2020-05-12 22:56:17) - あ、500既出だった失礼 -- 名無しさん (2020-05-12 22:56:50) - 欲望カメラ、トレビュシェット博士も大概だよな…仕事してるときは机で寝てる写真、机で寝てるときは仕事してる写真。ちゃんと寝ろ -- 名無しさん (2020-06-23 01:32:29) #comment #areaedit(end) }
