9.18事件詳細

刻もう。この事件を。
アイマス史に、ゲーム史に。

二度と起こさないために。


事件のあらまし

9.18テロは既に各所で詳細に論議されている事項です。
本会であらためて示すような事でもないのですけれど、おさらいの意味も兼ねてざっと記しておきます。


1. 発端 9.09

「9.18テロ」、「9.18事件」、「アイマスショック」などの名で著名なアイマス2の自爆テロですが、
正確に言えば9月9日の時点で既に事件は始まっていました。


  • 1-1. 事件日までのファンは…
その年(2010年)の7月3日・4日に行なわれた5周年ライブのPVで、アイマスファンは(一部を除き)2への期待を膨らませ、妄想を募らせていました。
もちろん竜宮小町のファンも同様であり、若干の違和感は感じられるものの「ステージで踊っているシーン」があった事を理由に大きな危惧や懸念はしておらず、
「あずさ・貴音・美希で艦隊組むんだ !!」とか、「あずささんリーダーにしてえこひいき育成してやる。ユニットの状態なんて知るかぁ !!」など、
ファンは非常に幸せな妄想TIMEを過ごしていました。


  • 1-2. その日……
9月9日、週刊ファミ通及びファミ通.comにアイドルマスター2の新情報が掲載。

それが秋月律子プロデュース、水瀬伊織・三浦あずさ・双海亜美のユニット「竜宮小町」のデビュー告知であり、
公式ブログでも語尾に♪までつけてビッグニュースです (http://ameblo.jp/project-imas/entry-10642659654.html)と発表されました。


さて、この公式ブログの最後の一文を御覧下さい。
わざわざ赤色 & 大文字で「応援」と強調されていますね。はて ? これは一体……

その言葉通り、ファミ通誌面には「4人は竜宮小町としてプロデュース不可」、9人のアイドルの中からプロデュースするキャラを選ぶ」
という文字が踊っており、当然ながら小町ファンは「………は ?」と目を白黒。
ついでに目を擦りもう一度文章を頭から読み直して見間違いでない事を確認し、最後に頬をつねるか叩くかして夢でない事を確認。

あまりに突然の重大発表でした。


  • 1-3. しかし、ファンの反応は。
言うまでもなく、この時点で彼女達の担当プロデューサーを始めとした小町ファンは騒然。
しかし、直後に東京ゲームショウという大きなイベントが控えていた(公式からもそこで大きな発表があると言及されていた)事もあり、
「いやいやいや、まさかそんなことはないっしょ !」とあまり本気にせず、本泣きした例外こそ一部にはありましたが、基本的には様子見の楽観ムードでした。


普通に考えれば、ゲーム誌などで断言され、更には公式ブログで告知されたビッグニュースが嘘である事はまずありません。

しかしそれでも誰も真に受けなかったのは、裏を返せば、

一部のキャラだけを半端にプロデュースさせないことが、

ファンにとっていかに有り得ない判断だったのかを示しています。



2. テロ9.18発生

2-1. 百聞は一見に如かず…

東京ゲームショウ一般公開日2日目、9月18日13時15分。
メインステージで行なわれたプロデューサー決起集会にて、それは起こりました。
このステージはUstreamにより生中継がされたため、整理券を手に入れられなかったPさんもパソコンや携帯電話越しにその瞬間に立ち会う事となりました。


これはもう見てもらった方が早いでしょう。会場の空気が、すべてを物語っています。



衝撃の発表で会場が呆然とする中、タブーとされてきたアイドルの人気投票に等しいユニット選抜レースが発表(しかも候補に小町がいない)、
更に9日より「嘘でしょ ? 嘘だよね」と信じようとしていた竜宮小町については、ヘラヘラした某変態Pがぽそりと何の感慨もなく一言「プロデュース出来ませんけれども。」と呟いただけ。

立て続けのあまりにショッキングな発表に、会場は先程までの熱気が嘘のように冷め切り、もはや誰一人として口を開かず。
その後、若林さんら声優陣の必死の盛り立ても虚しく、定番のアンコールもないまま決起集会は解散。
このあまりに不憫な姿は、アイマスにあまり興味がない方にも事の異常性を伝えたようで、事件当初や署名まで、沢山の同情のお言葉が寄せられました。

ちなみに、この時坂上氏は責任を逃れるようにしてその場を離れ、声優さんに冷め切った場のフォローを押し付けた事も、
後にファンの逆鱗に触れる事となります(声優の盾その1)。



2-2. 炎上

茫然自失状態から立ち直ったファンは一斉蜂起、皮肉な団結力を発揮します。
インターネット上は不満と怒り、そして悲鳴で充満。この事件を知らなかったPさんにも3日目くらいまでには情報が浸透、騒ぎと被害は拡大の一途を辿る事となります。

石原氏インタビュー、ラジオ、声優の盾その2、団結の歌詞問題など度重なる燃料の投下もあり、近年稀に見る大炎上に発展。
ちなみに悪質なコラージュ画像が多数出回った事も騒ぎを助長し、アマゾン(大手通販サイト)のアイマス2のイメージ画像とレビューが大荒れしたという事も(当然すぐに削除されましたが)。

一連の事件はネットニュースでも頻繁に取り上げられ(ただしそのほとんどは「煽り」)、挙句10月初旬にはNHKがこれを報道、とうとう公共の電波でアイマスショックが発信される事となりました。

この炎上は1ヶ月以上に渡って続き、改善する気がない事を示唆した10月25日の坂上声明文、
更に11月18日のアイマス2発売日決定(おそらく予定通り)を受け諦観、徐々に鎮火していきました。
一部のファンは火力を維持したまま現在に至りますが、大きな流れとしてはここで幕。


結局アイマス2はこのまま発売されましたが、そのツケは当然売上として撥ね返ってくる事になります(後述)。



3. 事件が招いたもの

3-1. 嘆願署名の開始

ファンの対応は非常に素早く、翌日19日には署名TV(ネット署名のウェブサイト)にて改善を嘆願する署名が開始されました。「反対」ではなく、「嘆願」というのがポイント !
22日より投票が開始され、一瞬にして当初の控えめな目標人数1000人を凌駕。
その後上方修正された7650人をも突破、最終的には1万2083人分の署名が集まり、「1万行かない」との予想を見事に覆しました。(発起人さん、お疲れ様でした)

署名運動は事の重大さを表す指標。
つまり署名が起きてる時点で既に只事ではなく、多少の無効票や同情票もあるにしろ、ソフト売上本数が決して多くないゲームで1万人以上ものファンが反発したと言うのは、極めて異例の事態と言えるでしょう。


3-2. バンダイナムコホールディングスの株価が大暴落

株価は株主や投資家の企業への信頼度や期待値を端的に示すもの。
それが急落するという事は、その企業が何らかの失策・信用の失墜など、将来性を損なうような事をしでかしちゃった事を意味します(基本的にはね)。

9月中旬~下旬以降、それまでやや上げ気味だったBNHDの株価は物凄い角度で急降下。
10月上旬に最安値を更新したと思えば、その後も収まる気配を見せず、坂上答弁直後の10月末にはとうとう730円台まで落ち込みました。


ちなみにこの後、BNHDは自社株買いを行なって株価の回復をはかりますが(ゲームを良くして株価を上げる選択肢は無かった模様)、3月11日の地震により再び転落。あまり意味はなかったね。
しかしアイマスショックの方が地震よりも株価を下落させたというのは、なんとも凄い話で……。


3-3. 開発陣や会社の信用の失墜

まるで裏切りであるかのような内容(むしろ確定)、度重なる燃料投下を受け、もはや信頼度などZを通り越すわけで。
例えば「バンナム以外の会社でアイマスを…」などの声は、まさにそれを示しています。
結局その後の対応や言動もおざなりであったため、以降、ゲーム内容やアニメ化も含めて全てややネガティブ寄りに捉えられる事となります。
企業にとって信頼は重要だという事、今更言うまでもありませんよね。


3-4. ユーザーの減少・売上の減少

マイナス要素がいくつも重なり、許容限界を超えたP達は即辞職。
何とか持ち堪えたものの、バンナムに放置されたりその対応に呆れて諦観、辞職。

今回多く見られたのはこの2例。
特にコアユーザー(精鋭層)の被害が大きかったと思われ、単なるファンの量的損失のみならず、質的損失も大きいものであったと推測されます。
更に、テロやそれに伴う評判の悪さを受けた潜在ファン層が参入を見送るケースもかなり見られ、在来ユーザーを離反させただけでなく、新規ユーザーの取り込みにも支障をきたしています。


当然、ファンの減少は売上の減少に直結。
しかも9.18後に改善された問題はユニット選抜レースの(事実上)撤回くらいのもので、こと重大な問題に関しては改善どころか誠意も釈明もないという対応。
結果、減衰せずに残った否定派ユーザーも不買・購入制限などを講じ、CDなど2関連グッズを中心に20~50%の売上減少。
特に小町関連のグッズの減衰はより大きいものとなっています。


3-5. ファンの分裂

事件当初、さっそく肯定派と否定派で真っ二つに割れると思いきや、推定95%のユーザーが(程度や否定内容の差こそあれ)否定的な見方。
圧倒的な物量の前に、肯定意見は即殺。
しかも「肯定派」と言っても全肯定している者はおらず、部外者や「アンチ」ですら純粋な賛成意見を出していないという珍しい状態で、「みんな好き」というPさんが多かった事も幸いし、そこまで深い対立はありませんでした。

深刻な問題は「対立」より「分裂」で、不思議な一体感を見せていたアイマスのファン層にはあちこちに亀裂が走り、分断されてしまいました。
特に「受容」と「諦観」が支配するようになった坂上答弁以降は否定派が沈静化、受容・肯定派がテンション高めで推移。
全く相容れない二者はユニットステータスで言う『仲間外れ』状態となり、意見のぶつかり合いも含めて交流が完全に途絶えているのが現状です。


アイマス2のテーマは「団結」ではなく、

「断絶」なのではなかろうか ?



4. 結末は ?

4-1. 肝心のアイマス2売上本数は ?

メディアクリエイト調べ ファミ通調べ
初週 3万4612本、10位 4万0422本
2週目 43位 (<4500) 3262本
3週目 ランク外 (<5700) 1005本

メディアクリエイトは20位以下の売上本数は出ないので、ランクを併せて表記しています。()内は20位のおよその売上本数。
ファミ通調べが4000本程度多いのは、真であるのか偽であるのか裏で何かあるのか通信販売も一切合切含めた数値なのかは分かりません。


しかしどちらの説にしろ、共通して言えるのは「L4Uのおよそ4万4000本に届かなかった事」。
そして「2週目以降の減衰率が異常である事」。


署名数がほぼ額面どおり減衰、全ユーザーの4分の1が離反・不買したと考えれば初週売上本数は納得のいく数字であり、
あれだけの店舗別予約特典を用意・宣伝したのですから、重複購入なり予約特典フィッシングなりで初週が伸びるのも想定の範囲内。
2週目以降の減衰率はまさに「特典の魅力」を如実に示している結果でしょう…。


ちなみに3週目突入直後の3月11日には東北・関東大震災が発生。
北東エリアと首都エリアの購買力が大きく低下、これも手伝っての結果か、3週目の売上はあわや3ケタ。
4週目以降は確定したでしょうね、3ケタ…。


いえ、確かにアイマス2にはあまり売れて欲しくないというのが、筆者の正直な思いでした。
しかしね、なんだか、枯れてく鼓動を聞いた気分で……



4-2. コスト回収率は ?

初回版の出荷台数は7万。
当然、L4U越えを目論んでいたものと思われます。
当時と比べて明らかにアイマスの認知度・知名度は高く、またTVコマーシャル・巨大看板・PV・大量の予約特典など、今作ではプロモーションにも相当の力を入れてきました。

あたりまえですが、プロモーションは無料ではありません。広告費は馬鹿にならない出費となります(業種によっては一番多い出費よ)。
また、一応アーケード版からの移植作品である無印と、一から作り直した2では開発費にも差があるでしょう。

…さて、使用コストの回収率を考えた時、L4U以下の売上本数というのはいかがなものか ?



4-3. DLCでの挽回は ?

結論から言ってしまえば、望み薄です。
なぜって、


ソフト買わずにDLCだけ買う人はいませんもの。


すなわち、ソフト売上が伸び悩んでいるようではDLC売上もそれに比例して低くなるという事。
ソフト売上は楽曲のハイスコアとほぼイコールです。

まして良い搾取対象であり、確実に収奪出来るコアユーザー層を裏切る形となってしまった今回、果たしてどの程度収益が期待出来るものやら。
アイマス2のゲーム内容を考えても、新規ユーザーからの搾取もあまり期待出来ないと推測されます。

新品のソフト売上本数が奮わなくても、中古購入のPさんから搾取出来るとも考える事は出来ますが、
「なぜ特典付きの新品ではなく、わざわざ中古で買うのか」というファン心理を考えてみると、自ずとその期待値も見えてくるでしょう…。


4-4. (参考) ハード普及台数に対する割合

尚、無印初週を2万5003、L4Uを4万7562本とする調査結果もありますが、ここではあえて低い方の数値で論議しています。
年月日 Xbox360普及台数 無印 L4U
2007年1月 30万 初週2万3872本 -
2008年2月 60万 累計約10万本 初週4万3697本
2010年10月 130万 累計約15.4万本 累計約9.7万本

ハード普及率は無印発売時の4倍以上。
つまり、今の2万4000と昔の2万4000は、まったく価値が違ってきます。という事は…… ?


5. 総括



因果応報。




この一言に尽きるでしょう。
最終更新:2012年01月11日 18:50
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