撒き散らされた鉄の礫が肉を穿つ。
吹き上がった爆熱の風が骨を弾く。
吐き出された暴力の波が人を呑む。
乱れた映像を映す画面(スクリーン)の内側で、破壊の旋風が吹き荒れている。
銃撃、爆撃、その他、非人道的な兵器諸々が振るう暴力のオンパレードが、人間と建物とを一緒くたに薙ぎ倒す。
栄えた繁華街の中心にて、ばら撒かれていく鉄火の飛沫。
BGMもなく、兵器が奏でる甲高いSEだけを背景に、文明が壊されていく様をただ記録したような映像。
六本木という一つの街を滅ぼした、それは戦争の記録だった。
千代田区、北部。
新宿区との境界縁辺に位置する雑居ビルの一室。
対立組織デュラハンとの決戦を前に。
中央区のアジトから移動してきた
悪国征蹂郎は、剥き出しのコンクリートに背を預けて座ったまま、その映像を観ていた。
無感動に、垂れ流される破壊の記録を俯瞰している。
どれだけの血が流れようが、どれだけの理不尽な殺戮が繰り返されようが。
彼にとっては日常の景色であったが故、眉一つ動かすことはない。
そして、それを日常としていた者は、ここにもう一人。
「……アグニさんのライダーは原則として、マスターからの魔力補給を必要としないのですね」
「どうして……そう思った?」
征蹂郎は平時の低いトーンのまま言葉を返す。
しかし視線は一瞬、スクリーンから外れ、少女の表情を横目に見た。
「戦闘規模に対し、アグニさんの負担が軽すぎるからです」
対して少女は画面を見つめたまま、一切視線を動かすことなく会話を続ける。
成人であっても、まともな感性であれば目を覆いたくなるであろう凄惨な戦争の記録を、少女は平然と直視する。
征蹂郎と同じように、無表情のまま眺めている。
その周辺には、色とりどりのお菓子が無造作に転がっていた。
女児受けの良さそうな、沢山のチョコレート、キャンディー、ガム、ラムネ、エトセトラ。
集結する聯合のメンバー達が、挨拶ついでに次々と置いていったモノだった。
「軽い負担……このザマで……か?」
「その様で、です」
映像を見せるにあたっての心配など、やはり杞憂だったのだろうか、と。
なんら臆することなく殺戮映像を見つめ続ける少女を認め、征蹂郎も正面に視線を戻す。
「アルマナには、アグニさんの魔力保有量が大体分かります。ので、分かります。
サーヴァントがこの規模で破壊活動を継続し、かつその荷重がすべてマスターにかけられた場合。
アグニさんの魔力量では、とても生命活動が維持できません」
「ふむ、そうなのか……?」
聞き返した声に、すぐに返答は返されない。
代わりに、ポソポソ、と。うるち米の塊が砕ける音がしばし。
少女は小さな口でかじっていた煎餅をこくんと飲み込んでから、同じトーンで続きを話す。
「……はい。なのに、一時的な不調程度のフィードバックで済んでいる。
つまり、サーヴァント自身が魔力を蓄える、或いは外部環境から収集するスキルを有していると推測します」
「おそらく正解だ。キミは凄いな……。オレは魔術ってものをよく知らないから……なんというか、参考になる」
故郷を血に染めた戦争も、その要因の一つであった征蹂郎についても、何も思うことはないと。
運命に責任や罪悪を感じること、そういった感性を無駄であるとさえ、アルマナは言い切った。
かつて少女の全てを奪った戦争の情景を、こうして再見しても、何一つ揺らがない冷然とした在り方。
心を守るため、前に進むため、生きていくため、少女が身につけた一種の強さ。
いや、そう在らねば、生きていくことすら出来なかったという、自然に作られた心のカタチ。
「レッドライダーのスキルは……戦場から糧を啜る。
加えて他人の頭にも影響を及ぼす、らしい。先に謝罪しておく。こいつがもし、キミを不快にさせていたら……すまないと思う」
「…………不可解ですね」
「…………?」
少女の在り方を悲しいと、憐れむような感性を、征蹂郎は持っていない。
彼にとっても、戦争によって形つくられる精神性は、なんら特別なものではなかったから。
「……いえ、別に、アルマナはいいのですが」
「どういう意味だ?」
だから、そこにあるのはきっと、ほんの少しの共感だった。
「……私の推測をあっさり認められたので。それに聞いていない情報まで口にされた。
アルマナとアグニさんは、あくまで一時的な協力関係であって、本質的には敵同士です。
一方的に情報を渡されても、こちらに返せる対価がありません」
少女は変わらず、揺れぬまま、画面から目を逸らさぬままに滔々と話す。
控えめに、征蹂郎の価値観に疑問を表明する。
「それもそうだ……オレの不注意だな。やはり、キミの言葉は参考になる」
そこで漸く、ぴく、と。アルマナはほんの一瞬だけ、表情を動かした。
視線を向けることなく、少女の疑念が伝わってくる。
目の前の男が迂闊でもなければ、一般的な感性に甘んじているわけでもないと、知っているからこそ。
未来の敵にあっさりと情報を与える言動を、不可解であると述べているのだ。
「……対価なんて考えなくていい。一時的だとしても、連携のために必要な情報だと思ったから話した。
キミだって、この程度のこと……オレがバラさなくても気づいていたのだろう」
「それは……そうですが……」
未だ、疑念を向けてくる少女の鋭さに、征蹂郎は観念したように肩をすくめて言った。
「……正直なところ……キミに対しては少し、口が軽くなるというか……あまり敵視しにくい節があるようだ」
「というと?」
「キミを、あまり他人だと思えない」
自分の居場所を失った者。
いつか、征蹂郎が経験した陥穽。
この街で再会したその時。
目の前の少女は今、その只中にいると分かったから。
「言葉の意味がわかりません。アルマナとアグニさんは他人です。そして、いずれ聖杯を巡って対立する関係性です」
「そうだな……キミが正しい。だからこれも、きっとキミの言う"不自由"なんだろう」
感じなくてもいい感情。必要のない感性。
それらに囚われる様を指して、少女は不自由と評した。
征蹂郎はその見方を認め、受け入れている。
「……」
「……」
会話は途切れ、再び沈黙が場を支配する。
無機質な部屋の中、無機質な二人は見続ける。
戦争を知る男と少女は、目の前の凄惨を眺め続ける。
最後まで、揺らがぬまま。
そう、思われた。
変化があったのは、その光が何度か瞬いた時だった。
『――私はね、
神寂祓葉! 神さまが寂しがって祓う葉っぱって書いて――』
征蹂郎は改めて直視する。
映像の中で華々しく駆け回る少女。
先の戦闘で、戦争の概念と正面からぶつかり、あまつさえ打ち払って見せた、極光。
光の剣。不滅の肉体。際限のない運動機能。
男は思考する。戦いの歯車として研ぎ澄ました、冷たい戦闘理論をもって考察する。
どうすれば、アレを殺せるのか。
首を飛ばす。肉体を粉微塵にする。敢えて殺さず運動機能だけを奪う。
全て、レッドライダーが試し、失敗に終わった。
現状、方法は見えていない。
核爆弾を薙ぎ払う程の存在を、単純な暴力で下すことは不可能に思えた。
一方で、彼は確信してもいた。この聖杯戦争に置いて、彼女を無視して勝ち残ることは出来ない。
「……キミは……どう思う?」
よって、いま隣にいる少女に、意見を求めようとして。
「…………ぅ……」
「……?」
彼はその異変に気付いた。
「……ぅ……ぁ……」
ぽろりと、少女の指から煎餅の欠片が零れ落ち、床に転がる。
小さな手が自らの胸元を掴み、苦しげに震えている。
俯いた表情こそ読めないが、その額には発汗が見られた。
戦争の情景を見ても表情一つ変えなかった少女が、〈喚戦〉の影響すら己の精神防御で遮断していた少女が、明らかに動揺している。
「大丈夫か?」
「いえ……なんでも……ありま……せん……」
征蹂郎にとっては、アルマナのそんな姿を見たのは初めての事ではない。
今日、東京で再会した時、最初に征蹂郎の姿を見たときも、少女は酷くうろたえていた。
しかし、その時と同じように、徐々に肩の震えが収まり、凪いだ表情を取り戻していく。
少女の心の防壁は強固なモノだ。
揺らぐことは滅多になく、たとえ崩れたとしても、すぐさま硬直を取り戻してみせる。
「キミは彼女を見て……何を感じた?」
少しずつ呼吸を整えていくアルマナへと、征蹂郎はあえて問うた。
「何も……ただ……」
「ただ?」
「戸を、叩かれているようだ……と」
何かを感じる前に、きつく閉ざす。何故なら、開かれてしまえば手遅れだから。
〈喚戦〉が鳴り響く不協和音だとするならば、それはもっと強引で、暴力的な原理であろう。
誰もが、それと無関係ではいられない。心の戸口に直接触れてくる、運命の光に。
「情報の共有、ありがとうございました」
表面上はすっかり平時の無表情を取り戻したアルマナが、にわかに立ち上がる。
正面のスクリーンは既に黒一色。気づけば、戦争記録の再生は終わっていた。
「……アルマナは、そろそろ行動を開始します」
「もう、そんな時間なのか……」
「はい。事前の取り決め通り、日付が変わる前に戻ります。
戻らなかった場合は、取り決め通りに動いてください」
「本当に……一人で大丈夫なのか?」
「はい。単独行動だからこそ、可能な役割なので」
ゆっくりと傍を離れ、出口に向かって歩いていくアルマナへと、征蹂郎は少しだけ迷うように視線を送り。
また目を逸らして、黒いスクリーンに向き直る。そして結局、
「キミは……」
小さく声を発した。
その声は、平時の彼の低いトーンをより細くした、とても小さなもので。
ぱたん、と。
閉まるドアの音にかき消される。
「……」
溜息をついて、傍らに残された煎餅の袋を拾い上げる。
刻限まで、あと数時間。
少しくらい、何か腹に入れておくかと考えたとき。
「なんでしょうか?」
顔を上げれば、ドアの前に、まだ少女は立っていた。
「行ったんじゃなかったのか」
「はい。出ようとしましたが、声をかけられましたので」
「そうか、すまないな……引き止めてしまって」
「いえ……ただ、手短にお願いします。役割がありますので」
「そうしよう」
姿勢を正し、もう一度、異国の少女に向き直る。
「キミは……どこを目指しているのだろう」
「質問が抽象的すぎて、意図がわかりません」
そうだろうなと思う。
征蹂郎自身、何が聞きたいのか、いまいち分かっていなかった。
「さっき言ったように、オレは、キミにどこか通じるものを感じている。
その一方で、決定的に違う部分もあるように思う」
手短にすると言っておきながら申し訳ないな、と自嘲して。
けれど、言葉を重ねることで、なんとなく問いの本質が見えてきた。
「オレの目的地はここだ。ここから揺らぐことはない。
キミの王には塵の山だと言われてしまったが」
刀凶聯合。凶暴な半グレ組織も、最初は社会の爪弾き者共の集まりでしかなかった。
少しずつ規模を拡大し、曲がりなりにも秩序ある組織となり。
彼が頭に就いたのは、単なる成り行きであり、偶然であり、しかし運命でもあった。
「たとえ塵の山でも、オレは既に此処の王だ。
それを自覚させてくれたのも、キミの王さまだったな」
聖杯への願いなど、己には無いと思っていた。
降りかかる火の粉を払えばいいと。だが違った。彼は勝ち残らねばならない。
敗北は許されない。戦い抜いて、居場所を守らねばならない、王である限り。
「キミの目はずっと……どこか、遠くを見ている」
対して、アルマナは此処でないどこかを目指している。
征蹂郎は、少女に己と近しいモノを感じ取りながらも、決定的な違いを見ている。
その正体を知ることで、間接的に、大事な何かを知ることが出来る予感があったから。
「アルマナは……ただ……」
そして返された少女の答えは、意外なほど彼の胸に落ちた。
「……生まれた場所に、戻りたいのです」
あの戦争を思い出す。
一つの村落が戦火に焚べられた日のことを。
「望郷か……それが、キミの選ぶ、辿り着きたい"居場所"なのか?」
「わかりません……王さまは、愚かで無意味な願いだと」
「そうだろうか……オレにとっては……少しだけ羨ましく思える」
「なぜ……?」
「それはオレにとって……今や持ち得ない願いだからだ」
故郷、始まりの場所。
自らの意思で選ぶ、自らの居場所。
帰り道を忘れてしまった征蹂郎には、既に王となってしまった者には、許されぬ望み。
国を守る者、旅に出ること叶わぬ。
この先、自らの選択を悔いることはきっとない。
塵の山で王を名乗ったことに、後悔などあろうはずもない。
けれど同時に、少女の歩む悲しき旅路を、征蹂郎はこう評する。
「キミは、自由だな」
放物線を描いて放られた赤茶色の塊。
「もう少しくらい、腹に入れておいた方が良い」
アルマナが両手で受けたそれは、包装された醤油煎餅だった。
「……道中、気を付けて」
「はい……行ってまいります」
◇
「あっれえ~。お嬢じゃん」
部屋を出たアルマナ・ラフィーの視界に、プリンヘアーの青年が映り込む。
数人の仲間を引き連れ、廊下に立つ彼は中央区のアジトでもよく見た顔で、征蹂郎の周囲でいつも賑やかに騒いでいる印象だった。
所謂取り巻き、聯合のメンバー、即ちNPC、作られた存在、本物に非ず、しかして同位と言えるほどの再現性。
いくつかの情報が思考を走り、特になにを思うこともなく、アルマナは彼らの横をすり抜ける。
「嬢、お出かけ? 征蹂郎クンに差し入れもってきたんだけどさぁ~」
「アグニさんは、まだ中にいらっしゃいます」
「おっけ、せんきゅ」
聯合に同行する異国の少女を、半グレの若者達は意外にもあっさりと受け入れていた。
征蹂郎(正確にはライダー)が近頃使い始めた手品(まじゅつ)を、精巧に使える客人(ゲスト)。
などという荒唐無稽な肩書を飲み込み、誰が言い始めたのかふざけ半分にお嬢お嬢と親しげに呼ぶ始末だった。
それは彼らの知能が低いというよりも、アルマナの暗示にあっさりと騙されたというよりも、ただ、征蹂郎が『そうだ』と言ったから受け入れるという。
ボスに対する絶対的な信頼の現れに見えた。
「んで、嬢はどこ行くん?」
「新宿区の偵察です」
「そっかあ、気ぃ付けてな。デュラハンのクソ共に捕まんなよ~?」
賑やかな声に、アルマナは答えることなく、テクテクと廊下を進んでいく。
しかし彼らの言葉は、更にその背中を追って届いた。
「お嬢は征蹂郎クンを手伝ってくれるんだろ? 期待してるぜ、俺達」
廊下の突き当り、引き戸の窓を開く。
吹き抜ける夜風を浴びながら、窓枠を掴み身体を引き上げ、アルミのサッシに足をかけ。
あっさりと、段差を超えるような気軽さで、アルマナは雑居ビルの八階から夜の空に身を踊らせた。
「うおおおおお! すっげ、オイ見たか今の!? やっぱ征蹂郎クンの言ってたことマジだったん―――」
背後で沸き立つ粗野な歓声が、あっという間に遠くなっていく。
隣のビルの屋上に着地したアルマナは、その勢いのままに駆け出した。
たったったっと一定のリズムで回転する脚の動き、不安定なコンクリート足場をものともせず。
小柄な体躯からは考えられない速さで直進する少女は、あっという間に屋上の端にたどり着き。
そして勿論、一切の躊躇なく、蹴上を踏み越え跳躍した。
「――――」
口内で数節の詠唱を諳んじる。
吹き抜けるビル風が少女の身体を押し流し、11歳の少女が挑むには些か無理のある幅跳びを成功に導く。
質素なワンピースをはためかせながら、更に隣の建造物に飛び移ったアルマナは依然として無表情。
当然のごとく、ビルからビルへと、軽やかなパルクールを継続する。
少女にとってすればこの程度の動作、かつて兄弟や友人たちと興じた追いかけっこよりも容易い。
東京の摩天楼など、故郷の群峰に比べればなだらかなものだった。
アルマナ・ラフィーは山育ちの魔術師である。
その村落はかつて、小国の山岳部にひっそりと隠れるように、自然に溶け込むように存在していた。
機械文明を極限まで断ち切り、外界と関わらず、当たり前のように魔術と共に在る生活環境。
現代魔術における、秘匿の概念から開放さた世界。
近年、廃村跡地を調査した魔術師に『局所的に再現された神代』とまで評されし化石文明である。
つまり彼らが扱っていた魔術の在り方は、現代の者達とは一線を画する。
アルマナは軽やかに夜の空を闊歩する。
驚くべきは、そのスピードに加えて、ハイレベルの隠形を同時並行で実践していることだった。
スパルトイの従者を付けられているとはいえ、この局面に至っても単独行動を続けるマスター。
アルマナの仕える尊大なる王は、そのぐらいできて当然と考えているが。
彼女のレベルで幅広い魔術を実践運用できる者は、現代魔術師にもそう多くないだろう。
「――――警戒、10時方向」
霊体化状態のスパルトイを統制し、意識を精鋭化させていく。
千代田区のアジトからノンストップで走り続けた少女の動きが止まった。
たった今、神田川を超えた。
つまり、新宿区に侵入したのだ。
視線、風の流れ、精霊の気配を探り、安全と危険を見通し、再び行動を開始する。
このまま可能な限り新宿区の中心まで浸透する。しかして補足されることなく時間内に引き上げる。
迫る決戦を前にした偵察行動。
敵の配置情報を収集し、聯合側に持ち帰り、戦いを優位に進めるための。
アルマナの潜入は聯合との役割分担の結果であると同時に、アルマナ自身の戦術的判断でもあった。
これは彼女にしか出来ない任務である。
敵に関する情報収集は既に
ノクト・サムスタンプの辣腕が発揮されている。
マスターの名前と数時間前の時点における拠点情報など、それらは破格であるものの、あくまで戦略面における情報であった。
最新の陣地構成や戦力配置など、戦術面の情報はどうしてもこのタイミングでリスクを承知で確認したい。
加えて直近では、新宿区においてノクトの使い魔(しかい)が急激に数を減らしていた。
ノクトを知る手合、おそらく脱出王と思しき存在の入れ知恵と思われる。
結果として、おそらく敵に多くの情報が伝わっておらず、サーヴァントを伴わないため気配が希薄であり、単独で動ける。
そういった条件を満たすアルマナが、最も適任と判断されたのだ。
しかし実のところ、何よりもっとも大きな理由は別にある。
ノクト・サムスタンプからもたらされた情報だけを鵜呑みにして動く事への警戒心。
この点は、アルマナ・ラフィーと悪国征蹂郎の二者の間で共有されていた。
(……敵の配置が変わってる)
1時間前に消息を経ったという新宿区東側の使い魔が齎した敵の拠点。
アルマナの予想通り、状況は更新されていた。
敵陣地いくつかは既に破棄されており、いくつか新たな要所と思われる場所を確認できた。
敵も間抜けの集まりではない。
直前になって戦力配置を変更する程度の戦術は練ってくる。
あまつさえ、道中には偵察を警戒して張り巡らされた網を確認することができた。
簡単に気付けるような生半可な偽装ではない。むしろ嗅ぎ取り、回避したアルマナの嗅覚こそ凄まじい。
(都市の中心を囲むように、3つ以上の施設に常駐する精霊の気配……。
この短時間で急激な堅牢化。
……ダミー、キャスタークラスの陣地作成、あるいは侵入者を誘い込む罠?)
新宿に入って以降、既に敵陣の内側である。
アルマナは無表情のまま、しかして最大限の警戒でもって、張られた網をすり抜ける。
そうして、暫くの間、少女は新宿のビルの上を駆け回り。
暫定的な拠点の一つと目されるライブハウスの数キロ手前にて、漸く足を止めた。
(――――)
少女はここが潮時と判断する。
ある程度は敵の配置情報を掴むことが出来た。
幾つかは偽装であろうし、敵サーヴァントやマスターの情報を拾うことまでは出来ていない。
しかし、変更された拠点の大まかな位置や、勢力の規模感など。
これらの情報を持ち帰るだけでも大きな収穫である。
念には念を、行きとは別ルートで撤退を開始したアルマナは、しかしまたしても足を止めた。
(……これは……視線?)
見られている。アルマナの感覚がそう告げていた。
周囲のどこにも人の気配はない。
消音透過魔術の併用で自身の気配も最小限に留めてきた。
偽装は未だ完璧であり、下方からパルクールを見られるヘマも踏んでいないはず。
にも関わらず、アルマナには確信があった。
恐ろしい何か、巨大な何かの視界に入ってしまっている。
視線の発生源は―――
「………そら」
地の光、街のネオンではなく、天上の星々から。
デュラハンのサーヴァントか。あるいは全く関係なく、アルマナと同じく新宿に侵入した第三者か、
どちらにせよ、その何かはアルマナを見ている。アクションがないのは、今は他のことに意識を寄せているから、と考えるのが自然だった。
逆に言えば、他のことがなければ、それの関心はアルマナを対象とする可能性がある。
そらに煌々と輝く星の光が、やけに重苦しく感じた。
隣の屋上に飛び移る跳躍の角度を斜め下に変え、開かれた窓から屋内に侵入する。
剥き出しの屋上を行く限り、あの目線からは逃れられない。
回り道にはなるが安全第一で屋内を、窓から窓へ、建造物の内側を通って新宿を脱出する計画だったが。
「……………」
撤退を開始してから3つ目の建造物に侵入したとき、その異常は現れた。
アルマナは今、暗い廊下の先を見ている。
侵入した建造物は、どうやら総合病院であるようだった。
既に消灯時間が過ぎていたのか、窓から身を滑り込ませた廊下は光量に乏しく薄暗い。
不鮮明な視界。しかし違和感は顕在化していた。施設に入ってから、まるで人の気配がない。
確信を得たのは廊下の角を曲がった時だった。
薄っすらと血の匂いが鼻につく。
廊下や壁のいたるところに僅かな血痕が飛散している。
アルマナの進む廊下の先、先回りするように床に血の線が真っ直ぐ続いている。
「……………なにか、いる」
その雰囲気からして、空からの視線の主ではない。
全く別の、湿り気のあるベッタリとした気配が肌に纏わりつく。
ゆっくりと歩を進め、施設の東端に至る。
あとは目の前の窓から外へ脱出するだけでよかった。
なのに足元の血痕は丁寧に、窓横の部屋へと続いていて。
「……………」
細い指が傍らのドアノブにかかる。
きぃきぃきぃと甲高い音をたてて開くドア。
吹き抜ける空気の中に、乾いた血の匂い。
薄暗い室内。そこは、六人程度の患者が入れる大部屋だった。
入院患者たちが横たわっている筈のベッドは全てカラで、代わりに部屋の真ん中に奇妙なオブジェがある。
ぶよぶよとした赤茶色の塊、硬直した肉の集合体。
積み上がる死体で作ったモニュメント。そうとしか言い表せない、非現実的な光景だった。
屍をツギハギにした墓標は酷く不安定で、周囲に添えられた萎れた花々が気色の悪い鮮やかさをまぶしている。
オブジェの周りにはサルかチンパンジーのような毛むくじゃらの原始人が数人集まり、皆一様に手を組んで祈っていた。
―――ごぽ。
それは儀式であったのか。
花は枯れながら散り、オブジェはぐずぐずと崩れ落ちる。
積み上がった5つの死体が溶け合わさり、消えた後に現れた1体の人影。
新たな原人が緩慢に立ち上がり、取り囲む赤茶色の波は新たな仲間の誕生を歓迎する。
悪夢のような光景から漸く我に返ったアルマナは、大部屋のドアを閉め、身体の向きを変えて窓枠に手を添える。
そのまま身体を持ち上げ、介護施設から離脱しようとした、その直前。
「はは…………おまえ……まだ、さびしいのか……?」
背後、廊下の闇の向こう。
這いずるように追ってきた掠れ声が、アルマナの肩を掴んでいた。
◇
「おれはさ……もう、さびしくは、ないんだ」
そしていま、目の前の異国の少女に再び出会えたこと。
今日最後の狩り場となった病院で、偶然巡り合ったこと。
全て、定められていたのだと。
「みんなが、おれに期待してくれたから。おれも、期待したいと思えたから」
少女にしてみれば、意味不明な言葉の羅列を垂れ流している自覚がある。
それでも別によかった。伝わらなくても良かった。少なくとも、ゲンジには伝わっていたのだから。
褐色の少女の、揺れ動く小さな<矢印>が。
少女の感情の、まだ生きている証が。
押しつぶしたように小さな文字で、「さびしい」と、自覚なく今も発する心が届いている。
こいつは昨日までのおれだ、と彼は思った。
かわいそうだと、救ってやりたいと。
だって少女は訴え続けている。
声の出し方を忘れても、感情の作り方を忘却に沈めても、心だけは偽れない。
ゲンジだけは、その小さな声を読む事が出来るから。
「……期待」
少女は噛み砕くように、その単語を反芻する。
期待、期待、と。
何度も、何度も、舌の上で苦いものを味わうように。
「どうして……そんなモノを欲するのですか?」
問いはどこに向けられていたのか。
小さな身体から伸びる感情の矢印はゲンジを逸れ、どこにも届かず墜落する。
「不毛で……余分で……無意味です。
そんなモノを抱くから雨に打たれて、手の動きが鈍って、痛みが足を止めて……辛くなるのに」
まるで虚空に向かって喋っているようだった。
互いに、致命的に、ズレたやり取りの行き着く果ては、チグハグな喜劇めいていて。
「でも、そんなモノがなければ……おまえはいま、ここにいないだろ」
醜い男の粘ついた言葉に、少女の瞳が僅かに揺らぐ。
「おれもそうだったんだ。おれにはもう、意味なんて、どこにもないと。でも、違った」
期待なんて、希望なんて、己からは絶えて久しいと。
だけど、ここで見つけた真実がある。
たくさん殺してみて、少し分かったことがある。
「おれは、おれの『楽しみ』のために、この悪意(かんじょう)を、使えたんだ」
そうしてみたら、不思議とさびしくなくなった。
「おれは、おやじのようには生きられない……さびしさを埋めるために、他人のために……生きられない。
だけど、おれは、おれに期待をくれるみんなのために、おれ自身の期待ために、頑張ることが出来ると分かった」
期待を持たぬものが、希望を手にせぬものが、この場所に居るはずがない。
聖杯戦争、唯一つの希望を勝ち取るための生存競争。
あるいは唯一つの希望を、握りしめる白き少女から簒奪するという冒涜。
ならば目の前に居る少女もまた、その筈だ。
自覚があろうと無かろうと、細い期待を捨てきれていない。
その前提だけは、心を見るまでもなく分かるのだ。
「おれはいくよ」
白き少女のいる舞台(ステージ)へ。
極光の望む遊び場へ。
己が卑小で汚れた存在であろうと、与えられた役割が醜く愚かなものであったとしても。
それを期待する誰かがいてくれるから、何より自分自身が期待しているから。
「なあ、おまえは……どうする?」
ゲンジが腕を振り上げるのと、少女が足を持ち上げるのとは、全くの同時だった。
廊下の左右、両サイドの扉が吹き飛び、大量の原人が殺到する。
少女の踏みしめた足元、翻るワンピースの影から3体のスパルトイが出現する。
衝突は一瞬だった。
スパルトイの振るう剣尖が閃き、原人の腕が数本、千切れ飛んで廊下の天井を掠めて落ちる。
急速に刃毀れした剣が後方に弾け飛ぶ。
壁ごと粉砕された窓枠をくぐり、褐色の少女はバックステップで屋外の空中に飛び出した。
下方から突風が吹き、少女の身体を巻き上げる。
その周囲には様々な色の光弾が現れ、身体の周りを旋回し始めた。
ほんの少しの間、ゲンジと空中に浮かんだ少女の視線が交錯する。
アルマナの指令によって拡散し、殺到する光弾の嵐。
機関銃のように連射された魔力の弾丸は強烈な光を伴い、ゲンジの視界を覆い尽くした。
「…………」
ゆっくりと、ゲンジは目の前に翳した手を下ろす。
放たれた光弾の全てが、彼の身体に届く前に霧散していた。
サーヴァント、ネアンデルタール人のスキル、〈霊長の成り損ない〉。
魔力すら人の文明と捉えかき消す、滅びた者の抵抗力。
ゲンジの傍らに控えた原人が仕事を終え、霊体化によって姿を消した。
「逃げたのか……」
目前、廊下の端の壁には、ぽっかりと開いた大穴だけが残されている。
異国の少女も、スパルトイの姿も、既にない。
隣の建造物に飛び移ったのだろう。
吹き抜ける外気にさらわれるように、原人達も姿を消し、異質な空気が薄れていく。
歓楽街の雑踏、車のクラクション、音響式信号機が奏でる間の抜けたサウンド。
急激に押し寄せる現実感に、ゲンジは乾いた表情を浮かべていた。
崩落した壁から、目前に広がる新宿の夜景に目を凝らす。
遠いビルの向こう、小さな少女が妖精のように、夜の街を舞う幻想が見えた気がした。
耳に届く喧騒に首を動かす。
何らかの野外イベントでもあるのだろうか、ハロウィンでもないのに街には人がごった返していた。
彼らが見つめる先、その頭上あるものを認めて、なるほどと彼は独りごちる。
そうして、ゲンジもまた帰路に着くことにした。
あの少女と再び会えたことに、少しの高揚を抱えたまま。
もう少しだけ、話したかったけれど、まあいいだろう、と思う。
多分どうせ、また近いうちに会えるだろうから。
新宿、夜の街、雑踏の中を醜い少年が歩いている。
不意に、すれ違う誰かが彼の肩にぶつかり、舌打ちとともにその顔を覗き込む。
不均衡な顔貌を見、侮蔑も露に表情を歪めながら悪態をついて去っていく。
「クソ、気持ちわりぃな。どこ見てんだサル野郎」
いまも、多くの者が覚明ゲンジを見下げ、嫌悪する。
しかし少年はもう、そこに何の痛みも感じていない。
むしろどこか滑稽で、哀れみすら覚えていた。
「…………は」
雑踏の中、不気味に笑い始めた少年を、通行人が怪訝な目で見ながら通り過ぎていく。
新宿駅東口交差点。
聳え立つ摩天楼、四方のビルの壁に埋め込まれた大型のビジョンが、華やかな広告を大音量で拡散している。
そこに、かつてゲンジが憧れた2つの偶像が映っていた。
近々行われるという対決、という形式での対談イベント、そのプロモーション映像。
綺羅びやかな二人の少女が、ビジョンの中で向かい合っている。
軽い懐かしさと共に思い出す。
煌星満天は無名な頃の泥臭く、這いずるような生き方が推せたのに。
ここ最近のメディアの持ち上げ方に、どこか冷めてしまった。
それが解釈違いという感情によるものだと、ゲンジが知ったのはごく最近のこと。
そして、もうひとり。
輪堂天梨、彼女に関しては、少し苦い思い出があった。
あのスキャンダルの前、まだ彼女が、名実ともに誰からも愛される完璧なアイドルだった頃。
ゲンジが彼女のグッズを集めていたことを、同じファンのクラスメイトに見られたとき。
クラスメイトの彼女への感情までもが、嫌悪に変わったこと。
ゲンジは思い出す。たしか、あの頃は自分を責めていた。
おれが好きにならなければ、彼女まで嫌われずに済んだのにと。
おれなんかが感情を向けたから、彼女に呪いをかけてしまったのだと。
だが、今は違う。
呪いを抱えていたのは、自分だけじゃないと思えた。
それを証明するように、今、雑踏の人々から伸び上がる歪な〈矢印〉の束が見える。
―――嫌悪、嫌悪、嫌悪、嫌悪、嫌悪。
映像を目にした人々の胸元から、夥しい数の矢印(あくい)が、広告の中の輪堂天梨に向かって伸びていくのが見える。
何故、いつの間に、大衆の中でこれ程の悪感情が渦を巻き、それが一人の少女に集中していったのかは分からない。
ひょっとすると、それは街に縛られた彼らの防衛本能。
作られた生命でありながら、確かな感情を持たされた人々の、ある種の逃避先なのかもしれなかった。
聖杯戦争の脅威は、仮初の東京に生きる人々の肉体だけでなく、精神をも蝕み続けている。
蝗害は渦巻き、日夜不審な殺人事件が多発し、遂には大量破壊兵器まで使用され、無数の命が犠牲になった。
それでも彼らは、この街から逃げることが出来ない。
聖杯戦争の表面、日常を回すために配置された彼ら。
舞台のエキストラであろうとも、舞台から逃げることなど、その本能が許さない。
そんな中で、確かな感情を与えられてしまった彼らが、無意識にはけ口を求め続けていたとしたら。
日に日に肥大化する不安と憎しみ、行き場のないそれらの向かう先として、彼らは分かりやすい社会の悪(てき)を欲していた。
すると輪堂天梨は、この上ない偶像だったのかもしれない。
暴走する処罰感情。膨れ上がる恐怖と狂気。
ここまで巨大化した悪意と害意は最早、歯止めが効かない。
いずれ濁流となって溢れ出すだろう。
その帰結を、大衆の感情を視認できるゲンジは知っていた。
結局、人間は悪とされるものを敵視する。
少年の外見と、偶像の内面。
醜きもの、美しきもの、別け隔てなく、その呪いからは逃れられない。
箱庭に閉ざされ、尋常でないストレスに晒され続けた人々は、今や呪いを撒き散らすだけの存在に変貌しかけている。
「気持ちわりぃのは、おまえらだろ」
ゲンジはずっと思ってきたことがある。
老いて、心身の機能を失って。
人がプラス感情を受発信出来なくなったとき、自然と死ねる世界になればいいと。
あるいはそれが、聖杯に託す願いになり得るとすら。
であれば、今、すれ違う模造品ども。
NPC、作られた生命、世界を構築するためのパーツたち。
呪いを撒き散らす餓鬼の群れに変貌していく彼らに関しては、老いも知能も身障も関係ない。
全てにおいてプラスの要件を満たさない。なんて無意味な存在なのだろうと彼は思う。
少女のおもちゃ箱は自壊していく。
いずれ世界とともに消え去ることが決定している人形たち。
少女が望むステージを賑やかす、社会機能を回すための舞台装置。
張り付けられた者達の無意味な肉体と精神の活動、悪意の発露。
「…………はは」
そのマイナスが、今や100を超えるプラスの意味となって、原人の葬列に加わっている。
これはゲンジにしか出来なかったことだ。
彼に与えられた役割であり、意味であり、運命だと思った。
もしも、この街の全部を、原人に変えてしまえたら、それはどれほどのプラスになるのだろう。
「…………はははは」
ずっと前から、脳裏に浮かぶ光景がある。
無人の街を、赤い毛むくじゃらの原人がゆっくりと列をなし、厳かに死にゆく星の葬儀を執り行う。
「…………ははは、はははははは」
想像するとなんだか愉快で、自然と口元が綻ぶのが分かった。
◇
新宿区・歌舞伎町、雑居ビルの屋上にて。
シッティング・ブルの眉間に深い皺が刻み込まれた。
賢者は東の方角を凝望した後、瞑想するかのようにゆっくりと瞳を閉じる。
「キャスター?」
自身のサーヴァントが見せた僅かな反応に、傍らに立つ華村悠灯は小さく声を上げる。
少女には具体的なことは分からないが、何かが起こったことは伝わった。
先の一瞬、キャスターが見つめた方向に向き直る。
東京の夜空と街明かり、路地を歩く僅かな人影、視界に特に変わった者は映らない。
しかし、従者は言い切った。
「敵だ」
端的に、その単語を口にした。
「……!」
悠灯の身体にも緊張が走る。新宿区に敵が来た。
東の方角に、どれだけ目を凝らしても、悠灯の視界には何も見えない。
予告されていた聯合の襲撃時間にはまだ少し早い筈だ。
それでも賢者が言うのであれば真実なのだろう。
「まだ構える必要はない。おそらく偵察だ。
加えて、既に私の霊獣が警戒を固めている。これ以上の勝手は許さん」
その言葉に悠灯は少しだけ緊張を解くも、キャスターの空気は硬いままだ。
「想定通りの動き。だが、想定よりも手練れだ。
これまで散見された使い魔による探りではない。
さりとて、領域に干渉された形跡もない……」
鳥の霊獣が数体、東から飛んできて、キャスターの肩に止まる。
「数カ所の陣地、張っていた網を的確に避けて浸透した形跡がある。
霊獣に対する知識、自然と調和する魔術に対し、極めて深い造詣を備えていたとしか思えない。
とても、この時代の魔術師とは思えぬ」
刀凶聯合、魔術の傭兵。
確認されてきたどのタイプのやり方とも一致しない。
つまり、これまで極端に情報が少なかった3人目の敵(マスター)である可能性が高い。
「逃げたな……どうやら引き際も心得ているようだ」
キャスターが閉じていた目を開く。
どうやら今すぐに戦闘に発展する様子はないようだった。
悠灯もようやく緊張を解き、敵が居たと思しき方角から視線を外す。
「大丈夫なのか?」
「首尾で言えば五分、だな。
ある程度の情報は抜かれたが、こちらも敵マスターの情報を得られた」
いよいよ目前に控えたデュラハンと刀凶聯合の対決。
その形式は非常に分かりやすい。
デュラハンがディフェンス。刀凶聯合がオフェンス。
言い換えれば、チャレンジャーは刀凶聯合の側となる。
襲撃の予告があった時点で予見された状況でもあった。
つまり率直に言えば、分はデュラハンの側にある。
基本的には地盤を固められるディフェンスの側が、圧倒的に有利であるからだ。
加えて、デュラハンは陣地形成を可能とするキャスターを引き込んでいる。
これは圧倒的な差と言っていい。
「おそらく敵にとっても、これが最後の小手調べになったろう」
一方で、攻め側の刀凶聯合も侮れない。
不均衡を埋め合わせる策やワイルドカードの一つや二つ、準備していることだろう。
その点で言えば、この偵察行為も、非常に有効であったとキャスターは認めている。
守り側が最早、配置を変えることが不可能なタイミング。
つまり戦闘開始直前での偵察。それもリスクを承知でのマスター単独潜入による情報収集。
失敗すれば最悪マスターの死、とんでもない損害を被る恐れすら飲み込んで、実践した胆力は確かな結果を出している。
陣地を形成していたのがシッティング・ブルでなければ、より大きな成果を上げていた可能性が高い。
「……そっか」
悠灯は小さく溜息をつき、軽く伸びをしながら呟いた。
「もう……始まっちまうんだな」
「ああ、もはや時はない」
対決の時は目前に。
二人にとっての正念場が迫っている。
生への執着と、死への諦観。
白の少女が差し伸べた手に、どのような答えを返すのか。
先は未だ、見えない。悠灯にも賢者にも。
けれど共に、同じ場所へと、立ち向かうことだけは決めたから。
「まずはここを生き延びる。じゃなきゃ始まらない。
なにも決められないまま終わっちまう。それは、やっぱり嫌だ」
階段に向かって歩き始めた悠灯を、賢者は静かな眼差しで見つめ続け。
そして不意に、その目を鋭く南の空へ向けた。
「……悠灯」
「……なんだ?」
「南方から、別の気配が侵入した。同時に、天上から巨大な目線が落ちている」
キャスターの像が解け、霊体に変わりながら、声だけが屋上に響く。
「忘れるな。敵は正面だけではない……」
「ああ、肝に銘じとく」
鉄の音を鳴らしながら、悠灯は階段を降りていく。
休憩は終わりだ。
いよいよ、デュラハンは最後の備えに取り掛かる。
そうして、ライブハウスの入口まで戻ってきた時だった。
悠灯は背後に、自分以外の足音を聞いた。
不意に鼻につく血の匂い。
無意識に拳を握りしめ、警戒と共に振り返る。
「――――っ!」
「あ……ごめん、おれだよ」
そこに、覚明ゲンジが立っていた。
ちょうど彼も、周鳳狩魔の考案した『ツアー』から帰ってきたらしい。
ずんぐりとした体型が、ライブハウスの外灯によって、ぼんやりと照らされている。
「驚かすつもりじゃなかった」
「…………」
悠灯はすぐに言葉を発する事ができなかった。
不意に背後に立たれたから、という理由ではない。
彼を視界に入れた瞬間に、鼻腔を突き抜けた凄まじい死臭。
そして否応なく脳裏を過った生理的嫌悪感への戸惑いに、しばし硬直してしまったのだ。
「あ、ああ、いや、……アタシもちょっとぼーっとして」
なんとか言葉を繋ぎつつ。
しかし、何やってんだと、顔を覆ってしまう。
取り繕った所で無意味なのだ。
悠灯はゲンジの能力を知っている。
彼は完全でなくても心が読める。
つまり今、悠灯が感じてしまった全ては筒抜けになっている筈だ。
「ごめん、ゲンジ。アタシ……つい」
「いいんだ、当たり前のことだから」
初めて会ったときも、ライブハウスで話した時も、こんな直感的な嫌悪は抱かなかった。
個性的な顔も、体型も、少なくとも悠灯にとっては、それだけで忌避するものではなかった筈なのに。
ゲンジが先ほどまで何をしていたのかも、狩魔から聞いている。
けれど、どの理由もしっくりこない。
先程感じた嫌悪は、そういう事実情報だけによるモノではないように思えた。
だからこそ悠灯は困惑する。
己は今、彼の何を忌避したのだろう。
「当たり前なんだ。おれをそう思うのは。
だから悠灯さんが、そんな顔しなくていい」
だっておれは、醜いんだから、と少年は笑う。
「それに加えて今は臭いだろ。だから、そう思うほうが、自然なんだ」
表情は言葉と裏腹に晴れやかで、吹っ切れたような清々しさを湛えている。
それはもしかすると、己の汚濁を受け入れた者にのみ、許された境地であったのか。
「悠灯さんの準備は終わったのか?」
「……ああ」
「なら、いい。おれもおれの準備を終わらせてきた。
シャワー、浴びてくるよ。そのくらいの時間は残ってるよな」
立ち尽くす悠灯の脇をすり抜けて、ゲンジはライブハウスに戻っていく。
「……ゲンジ」
弾かれたように振り向いた悠灯が彼を呼び止める。
扉の前で歩みが止まる。
振り返らぬままの背に、少女はかける言葉をもたない。
「……いや、やっぱり、なんでもないよ」
そのまま、ドアノブに手をかけ。
去っていくかに見えたゲンジが、しかし首だけで悠灯を振り返った。
ぼさぼさに伸びた太眉の下、細く垂れ下がった目が少女を見ている。
その視界に、どのような感情(やじるし)を受け取ったのか。
彼は薄っすらと微笑んで言った。
「"生きる意味"について、考えたことは何度かある」
それは単なる当て推量か。
「おれにとっては無意味な時間だった。
始まりから間違っていたのに、過程や終わり方に悩むなんて贅沢だろう」
言葉が奇跡的に噛み合っただけの偶然なのか。
「おれが欲しかったのはきっと……こんなおれが、"生まれてきちまった意味"なんだ」
ひょっとすると感情だけでなく。
本当に心を読まれたのかも知れないと、悠灯は思った。
「でも、それすら無価値だったと、今はわかるよ」
生まれるに値しない命とは、どんなカタチをしているのだろう。
醜悪な見た目をしているのか、邪悪な魂を抱えているのか。
あるいは、
「おれにとって必要だったのは、"意味"じゃなかった」
その両方を備えているのか。
「生まれた意味、理由なんて、結局おれには最初から、与えられてなかったとして。
それでも、"目的"なら見つけられたから」
死臭に塗れた少年は、黄色い歯を剥き出しにして破顔する。
「ありがとう、悠灯さん。
あんたはやっぱり、悪い人じゃないよ。少なくとも、おれにとっては」
「…………そっか」
「後でまた、タバコ一本くれよ。今なら……美味く感じられる気がするんだ」
「構わねえよ……じゃあ、そろそろ行こうぜ」
悠灯もゲンジもそれ以上の会話はなく。
共に、ライブハウスに入っていく。
中で待つ周凰狩魔の元へ向かうために。
そうして鉄製の扉を開き、外と内、その境界を超えるとき。
悠灯は微かに聞いたのだった。
どこか遠くから押し寄せる。
紅い、潮騒の音を。
◇
その男は疲れていた。
今日、彼がそこに居たのは激務に軋む全身を労るためであり。
溜まりに溜まったストレスを解消するためであり。
たまたまチケットが安かったからであり。
つまるところ、偶然だった。
ライブハウスから一歩外に出ると、涼しい夜風が彼の全身を撫でるように包みこんだ。
この一瞬、心ゆくまで音楽に浸った後の開放感と、一抹の切なさを感じるときを、男は気に入っている。
彼は自宅の方角へと足を向け。
そしてたったいますれ違った二人組、入れ替わりでライブハウスに入っていった男女を、自然と目で追っていた。
大した理由はない。ただ、妙だなと彼は思った。
頭頂がプリンになっている金髪の少女。
北京原人のように不細工な、毛深い少年。
やさぐれた見た目に加え、こんな時間からライブハウスに来る時点で、典型的な不良たち。
注意するべきだろうか。警察や学校に通報するべきか。
なんて、彼の大人としての責任感がほんの少し鎌首をもたげ。
しかし、まあ、面倒事はいいか、とすぐに萎える。
今日はもう、疲れてしまったのだ。男は何も見なかったことにして、結局黙って帰路につく。
ただ、やはり少しの疑問は残った。
ライブハウスはもう、閉店時間の筈なのに、あの子どもたちは何をしに来たのだろう。
男は賑やかな新宿の街を歩きながら、今日の出来事を振り返る。
いつもに増して、最悪な1日だった。
始業時間よりも早く働き始めるのはいつもの事で、残業代が出ないのもいつもの事だ。
朝から殺人事件のニュースが飛び込んできて、昼から千代田区で爆発事故の連絡があって、夕方にはイナゴの群れが病院一棟を食い散らかしたらしい。
そういった怪事件の報告が挙がる度に、彼は取材のために駆けずり回っていたが、その程度は最近ではよくあること。
しかし、そこから先はいつも通りでは済まなかった。
渋谷で発生した大規模災害は未だに発生した死者の数を特定できていない。
そして、こちらは報道管制が敷かれているが、港区で大量破壊兵器が使用されたらしい。
狂っている。
彼は端的にそう思う。
東京の街は、この世界はおかしくなってしまった。
既に学校を初めとした公共施設はいくつか運営を停止している。
このままでは、飲食店やインフラだって営業停止に追い込まれかねない。
政府は外出禁止令の発令を真剣に検討しているとの噂だ。
それは困る。そうなってしまえば、遂に仕事が出来なくなってしまう。
いや、待て、と男は己の思考に異議を唱える。
そもそも何故、政府は未だに外出禁止令を出していないのだろう。
いやいや、もはや、そういう段階ですらないように感じる。
この東京(くに)はどうしようもなく壊れ初めている。
閣僚共に少しでも冷静に考える機能が残っているなら。
社会機能を■■てでも、とっくに■京から民■を■■させてしかるべき―――
「――――あれ?」
気づけば、男は見知らぬ路地に入り込んでいた。
益体もない思考を止め、もと来た道を引き返し、大通りへと戻って来る。
そうしている間に、先ほどまで何を考えていたのか、霞が掛かったように思い出せなくなった。
「……ああ、仕事のことだっけ。そうだ、明日の仕事だ」
男には悩みがあった。
彼は記者として20年のキャリアを積んでいるが、こんなことは初めてだった。
「どうすっかなあ……」
記事のタイトルが決まらない。
大手ニュースサイトの管理とライターを兼務している彼は、明日の朝一番にアップする記事をカタチにしなければならなかった。
所謂ワンオペ、雑な仕事の割り振り。ブラック企業によくある破綻した采配である。
「しかし、いくらなんでも色んな事件(こと)が起き過ぎてる」
ネタは在りすぎるくらいある。
だからこそ難しい。何を書いてもどこか陳腐でしっくりこない。
この街で起こる殺人事件も、死亡事故も、全部、今や彼には在り来りに思えてきた。
不幸な人は幾らでもいるのだ。不幸を広めてもしょうがない。見せかけの希望も必要ない。
欲しいのは目に見える敵だ。
どうして世界(まち)がこんなことになってしまったのか。大衆がそれを問いただすべき敵だ。
後手に回り続ける行政機関への批判は書き尽くした。
時事ネタなら渋谷の一件か、政府の隠蔽や無能さを改めて書き綴るか。
敵といえば、芸能ゴシップならば、やはりここ最近は輪堂天梨の叩き記事の受けが良い。
有名な男性アイドルを何人もアテンドさせた。グループのメンバーに陰湿なイジメを繰り返した。
マネージャーはパワハラによって精神を病み、退職に追い込まれた。等々、紙面の上で、今や彼女は世紀の悪女である。
映画監督に枕営業をしていた、という噂を元に書いた回は、凄まじい反響が得られたものだった。
男にとって、噂が真実かどうかはどうでもよかった。ただ人々の恐怖やストレス、狂気を受け止める器があれば、どちらでもよかった。
興味深いのは、ここまで激しく燃えて尚、彼女が何故か燃え尽きず、メディアに出続けていること。
結果として出演し続けるからこそ、中傷はエスカレートし続ける。燃え尽きないからこそ、火の勢いは止まらない。
バグのような挙動で無限のエネルギーを生み出すように、天使の名を冠するアイドルは燃えながら飛び続けている。
まるで、永遠に続く焦熱地獄に落とされたように。
――ああ、そうだ、いっそ、厄ネタ同士を組み合わせて陰謀論的な記事でも作ってみるのもいい。
「い……てぇ……」
目まぐるしく事が起こりすぎて、男は思考を纏める事ができていない。
加えて、夕方頃からずっと続く頭痛と耳鳴り。蓄積されたストレスを解消すべく。
仕事を抜けて行った趣味のライブ鑑賞によって、少しは気が晴れたと思っていたのに。
「あーくそ、まただ」
こめかみの辺りから金属の擦れるような音が聞こえ始めている。
彼は知らぬ。人々を攻撃的に変えているモノは、恐怖やストレスだけではない。
―――■え、■え、■え。
誰かが、ずっと呼びかけてくる。
耳を塞いでも、どこまで逃げても、声は追いかけてくる。
―――■え、■え、■え。
「うるせえなあ……なんなんだよずっとぉ……」
頭を抑えながら、男はフラフラと夜の街を歩いている。
―――■え、■え、■え。
陰謀論、悪くない着眼点に思えた。
そういえば、蝗害被害に関するルポ記事も安定した閲覧数を稼いでいる。
一体何故、あんな恐ろしい災害が発生し続けるのか。
戦慄するほどの理不尽。今や、この都市にとって悪の代名詞になっている。
加えて、ちょうど先程、気になる情報が入ってきたのだ。
―――■え、■え、■え。
「……っ、ぐああ……い……てぇ……」
「おい」
「ちょっと、あんた」
「しっかりしろよ、気分悪いのか?」
交差点の中心で、男は頭を抱えながら蹲る。蹲りながら考え続けている。
駆け寄ってくる通行人が煩わしい。
いまやっとアイデアが降ってきたところなのだから、邪魔をしないでほしかった。
―――■え。
「……うぅぅぅぅ!」
「おい、大丈夫か? おい!」
蝗害の発生地点では、必ずと言っていいほど、怪しげな十代の少女が目撃されているらしい。
怪物を操る黒幕。怪物の正体とも噂される。
しかしその証言は奇妙なことにまるで統一性がなく。
曰く、モノトーンのコーデで統一された少女だった。
曰く、マゼンタの炎を操る外国人の少女だった。
曰く、修道服を来た短髪の少女だった。
曰く、アイドルの輪堂天梨だった。
曰く、アイドルの煌星満天だった。
少女ということ以外、まるでバラバラで荒唐無稽だ。
だったら、それはもう、少女だったら誰でも良いということにならないか。
幸い数多の目撃証言の中に、その名は含まれている。
そう、例えば、いまこの都市で最も嫌悪されている偶像が、災害の原因かもしれない。
なんてストーリーは、どれほど大衆の心を捉え――――
「ぐ……あああ……ああああああ……っ!」
「誰かっ! 救急車を呼んでくれ!」
―――■え。
「人が倒れて……」
「う………だ」
「え?」
―――戦え。
「うるせえ邪魔だ、っつてんだよ!!」
咆哮と共に、彼は偶然最も近くにいた者の顔面を、思い切り殴りつけた。
一片の躊躇なく振り切られた拳は相手の頬骨を砕き。
鮮血が飛び散る。
路上に転がった身体、開けっ放しの口から数本の歯が飛び出し、砂利の上を転がった。
拳から血を流しながら、男は倒れた者の上に馬乗りになって、容赦のない殴打を続ける。
「なにしてんだあんた! やめろって!」
周囲の者達が悲鳴を上げ、繁華街にどよめきが広がっていくが、彼はまるで気にならない。
むしろ、意識はとてもクリアになっていた。
脳みそに直接、清涼剤を直接ぶち込んだような清々しさ。
鬱陶しい何かをぶん殴るほどに、耳鳴りが収まり、頭が冴えていく。
「て……めえ! いい加減に!」
誰かに突き飛ばされ、路端にいた別の誰かにぶつかる。
邪魔だったので、ぶつかったそれに思い切り膝蹴りを入れた。
蹴られた誰かは隣りにいた誰かを巻き込んで倒れ、頭から血を流して喚きながら、見当違いの誰かに殴りかかる。
倒れていた男がおもむろに起き上がり、狂乱しながら近くにいた無関係な誰かに掴みかかっている。
その様子を眺めていると、後ろから頭を殴られたので、振り返ってそこに居た誰かに飛び掛かる。
「痛え! なんで俺が殴られなきゃいけねえんだよ!」
「はあ!? あんたが先に手ぇだしたんでしょ」
「俺じゃねえアイツが……」
「テメエら纏めて邪魔くせえ!」
「いったい何なんだよ!」
「おい、そんなもん仕舞えって! 冗談じゃすまな―――」
小競り合いが乱闘になり、乱闘が暴動に近づいていく。
混乱が広がっていく。
もう既に誰が誰を殴っているのかも分からない。
「あ……ぁ……何が起こった……?」
「車が……車が突っ込んで……!」
「お、おまえら警官だろ……なんでそんな、冗談やめろよ、まさか本気で撃―――」
今や誰も彼もが支配されていた。
その内側から猛る声に。
―――戦エ、戦エ、戦エ。
既に誰も、最初の諍いがどんなカタチだったか憶えていないだろう。
それは引き金を退いた彼も同じ。
誰とも分からない頭に噛みつきながら、男は足元に違和感を覚える。
下を見ると、紅い液体に足が踝まで浸かっていた。
ふと、疑問に思う。
どうして繁華街の交差点に、汚れた水が流れているのだろう。
神田川が氾濫したのだろうか。雨も降っていないのに。
首を傾げているうちに顔を殴られ、路上に仰向けに倒れる。
飛沫が上がったけれど、別に冷たくもなかった。
数度、瞬きをしてみると、紅い液体はもうどこにも見えない。
周囲には、未だに殴り合う人々の雄叫びが轟いている。
幻覚を見ていたのだろうか、と。
彼は口元から滴る血を指で拭って立ち上がり、ゆらゆらと歩き出しながら思った。
―――オヲ――――タタカエ。
まあ、なんにせよ。
今日はとても、良い記事が書けそうだった。
◇
Tuba mirum spargens sonum, / 奇なる喇叭の音が響き。
per sepulchra regionum, / 各地の墓所に鳴り渡るとき。
coget omnes ante thronum. / 全ての者は寳坐の下に集められん。
◇
【新宿区・歌舞伎町のライブハウス/一日目・夜間】
【華村悠灯】
[状態]:動揺と葛藤
[令呪]:残り三画
[装備]:精霊の指輪(シッティング・ブルの呪術器具)
[道具]:なし
[所持金]:ささやか。現金はあまりない。
[思考・状況]
基本方針:今度こそ、ちゃんと生きたい。
1:祓葉と、また会いたい。
2:暫くは周鳳狩魔と組む。
3:ゲンジに対するちょっぴりの親近感。とりあえず、警戒心は解いた。
4:山越風夏への嫌悪と警戒。
[備考]
【キャスター(シッティング・ブル)】
[状態]:健康、迷い
[装備]:トマホーク
[道具]:弓矢、ライフル
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:救われなかった同胞達を救済する。
1:今はただ、悠灯と共に往く。
2:神寂祓葉への最大級の警戒と畏れ。アレは、我々の地上に在っていいモノではない。
3:――他でもないこの私が、そう思考するのか。堕ちたものだ。
4:復讐者(
シャクシャイン)への共感と、深い哀しみ。
5:いずれ、宿縁と対峙する時が来る。
6:"哀れな人形"どもへの極めて強い警戒。
[備考]
※
ジョージ・アームストロング・カスターの存在を認識しました。
※各所に“霊獣”を飛ばし、戦局を偵察させています。
【覚明ゲンジ】
[状態]:疲労(小)、血の臭い、高揚と興奮
[令呪]:残り3画
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:3千円程度。
[思考・状況]
基本方針:できる限り、誰かのたくさんの期待に応えたい。
0:祓葉を殺す。あいつに、褒めてほしい。
1:抗争に乗じて更にネアンデルタール人の複製を行う。
2:ただし死なないようにする。こんなところで、おれはもう死ねない。
3:華村悠灯とは、できれば、仲良くやりたい。
4:この世界は病んでいる。おれもそのひとりだ。
[備考]
※アルマナ・ラフィーを目視、マスターとして認識。
【バーサーカー(
ネアンデルタール人/ホモ・ネアンデルターレンシス)】
[状態]:健康(残り108体)、一部(10体前後)はライブハウスの周囲に配備中
[装備]:石器武器
[道具]:
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:今のところは、ゲンジに従い聖杯を求める。
0:弔いを。
[備考]
※老人ホームと数軒の住宅を襲撃しました。老人を中心に数を増やしています。
【千代田区・北部アジト/一日目・夜間】
【悪国征蹂郎】
[状態]:疲労(小)、魔力消費(中)、頭部と両腕にダメージ(応急処置済み)、覚悟と殺意
[令呪]:残り二画
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:数万円程度。カード派。
[思考・状況]
基本方針:刀凶聯合という自分の居場所を守る。
0:周鳳狩魔――お前は、お前達は、必ず殺す。
1:周鳳の話をノクトへ伝えるか、否か。
2:アルマナ、ノクトと協力してデュラハン側の4主従と戦う。
3:可能であればノクトからさらに情報を得たい。
4:ライダーの戦力確認は完了。……難儀だな、これは……。
[備考]
異国で行った暗殺者としての最終試験の際に、アルマナ・ラフィーと遭遇しています。
聯合がアジトにしているビルは複数あり、今いるのはそのひとつに過ぎません。
養成所時代に、傭兵としてのノクト・サムスタンプの評判の一端を聞いています。
六本木でのレッドライダーVS祓葉・アンジェ組について記録した映像を所持しています。
【ライダー(
レッドライダー(戦争))】
[状態]:損耗(中/急速回復中)
[装備]:なし
[道具]:なし
[所持金]:なし
[思考・状況]
基本方針:その役割の通り戦場を拡大する。
1:神寂祓葉を殺す
2:ブラックライダー(
シストセルカ・グレガリア)への強い警戒反応。
[備考]
※マスター・悪国征蹂郎の負担を鑑み、兵器の出力を絞って創造することが可能なようです。
※現在、新宿区にスキル〈喚戦〉の影響が拡大中です。
【アルマナ・ラフィー】
[状態]:健康
[令呪]:残り3画
[装備]:
カドモスから寄託された3体のスパルトイ。
[道具]:なし
[所持金]:7千円程度(日本における両親からのお小遣い)。
[思考・状況]
基本方針:王さまの命令に従って戦う。
1:もう、足は止めない。王さまの言う通りに。
2:当面は悪国とともに共闘する。
3:傭兵(ノクト)に対して不信感。
[備考]
覚明ゲンジを目視、マスターとして認識しています。
故郷を襲った内戦のさなかに、悪国征蹂郎と遭遇しています。
※新宿区を偵察、情報収集を行いました。
デュラハン側の陣形配置など、最新の情報を持ち帰っています。
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最終更新:2025年06月12日 00:18