「しお、きみは殺し合いに乗ってしまったんだね」
「……ごめんなさい」
「それがどういう意味か分かってるのかな?」
ネモが重々しい声で、一人の幼女を叱責していた。
その幼女は独特な癖毛が特徴的で、クリっとした愛嬌のある瞳と、時折見える八重歯が幼さを感じさせる。
だが、それ以外は本当に、特になんの特異性もない、普通の女の子だった。
その幼女は独特な癖毛が特徴的で、クリっとした愛嬌のある瞳と、時折見える八重歯が幼さを感じさせる。
だが、それ以外は本当に、特になんの特異性もない、普通の女の子だった。
ただ、二点。
全身に浅いとはいえ切り傷を作り、黒い羽だらけになっていることと、その手に銀色の拳銃を握りしめている事以外は。
「……うん」
水銀燈に大敗した神戸しおは、痛む体に呻きながら教会を目指して移動していた。
怪我の治療なら、病院を目指すべきだったのだろうが、山を越えて迂回しなくてはならないので断念した。
教会を目指したのは、運が良ければ絆創膏くらいあるかという希望的観測と、普段から祈りを捧げる習慣から、少し教会に関心があったからかもしれない。
合理的理由ではなかった。
だが、結果として教会を目指していた悟空、ネモと遭遇することとなる。
怪我の治療なら、病院を目指すべきだったのだろうが、山を越えて迂回しなくてはならないので断念した。
教会を目指したのは、運が良ければ絆創膏くらいあるかという希望的観測と、普段から祈りを捧げる習慣から、少し教会に関心があったからかもしれない。
合理的理由ではなかった。
だが、結果として教会を目指していた悟空、ネモと遭遇することとなる。
「その黒い羽が生えた天使のような人形、だったかな? きみは彼女に発砲した」
「うん」
「彼女はきみに反撃し、その怪我を負わせた。
天使の彼女に非はない。正当防衛だ。先に手を出したきみが悪い」
「うん」
「彼女はきみに反撃し、その怪我を負わせた。
天使の彼女に非はない。正当防衛だ。先に手を出したきみが悪い」
最初に出会った時、しおは二人に対し、水銀燈が殺し合いに乗っているのだと嘘を吹き込み、利用する算段であった。
しかし、相手は百戦錬磨の戦士、孫悟空とキャプテン・ネモだ。
ネモは、しおの装備品である銃を押収し残弾数を確認、使用した形跡を発見した。
更に悟空は、しおの怪我に殺意が感じられなかったことを指摘。曰く、これだけ羽まみれにする暇があるのなら、既に死んでる筈だと。
恐らく、最初に攻撃を受けて最低限の反撃をしたのではないかと見破った。
憶測とはいえ、そこまで詰められればしおに言い逃れる術はなかった。多少、狂気に染まった程度の8歳前後の幼女に、容姿が幼いだけの二人を言い包める話術は存在しない。
しかし、相手は百戦錬磨の戦士、孫悟空とキャプテン・ネモだ。
ネモは、しおの装備品である銃を押収し残弾数を確認、使用した形跡を発見した。
更に悟空は、しおの怪我に殺意が感じられなかったことを指摘。曰く、これだけ羽まみれにする暇があるのなら、既に死んでる筈だと。
恐らく、最初に攻撃を受けて最低限の反撃をしたのではないかと見破った。
憶測とはいえ、そこまで詰められればしおに言い逃れる術はなかった。多少、狂気に染まった程度の8歳前後の幼女に、容姿が幼いだけの二人を言い包める話術は存在しない。
「ごめんなさい……私……死にたくなくて」
だから、全てを白状し二人に事実のみを告げた。
自分は殺し合いに乗った。死にたくはなかった。天使さんには悪いと思ったけど、銃を撃った、そしたらやり返され、そのまま逃げだしたことを全て。
自分は殺し合いに乗った。死にたくはなかった。天使さんには悪いと思ったけど、銃を撃った、そしたらやり返され、そのまま逃げだしたことを全て。
「……ネモ、取りあえずオラ達が、見張っとけばいいんじゃねえか?
放っといて、死なせるわけにもいかねえしよ。それに一番悪いのは乃亜の奴だろ?」
放っといて、死なせるわけにもいかねえしよ。それに一番悪いのは乃亜の奴だろ?」
「……」
悟空はそう提案する。
根本的には殺し合いを強いらせた乃亜に原因がある。
決して、悟空は肯定しないが、生き残るために殺し合いに乗ってしまっても、無理からぬ事ではあるだろう。
根本的には殺し合いを強いらせた乃亜に原因がある。
決して、悟空は肯定しないが、生き残るために殺し合いに乗ってしまっても、無理からぬ事ではあるだろう。
「しお、きみの体を調べさせてもらう。……先に言うけど、変な意味じゃない。
凶器を隠していないか、確認する。あの銃も他の支給品も全てこちらで預かる。
きみには、ランドセルも渡さない。凶器を隠し持つ恐れがある。水や食料も欲しい時は僕達に言ってくれ、地図や今後更新される名簿の確認もだ。
当然だが、殺し合いにも乗らないこと……今回は多めに見るけど、次はないと思って欲しい。
この条件を呑めるなら、僕達はきみを保護する。ちゃんと、家に帰れるよう善処もするよ」
凶器を隠していないか、確認する。あの銃も他の支給品も全てこちらで預かる。
きみには、ランドセルも渡さない。凶器を隠し持つ恐れがある。水や食料も欲しい時は僕達に言ってくれ、地図や今後更新される名簿の確認もだ。
当然だが、殺し合いにも乗らないこと……今回は多めに見るけど、次はないと思って欲しい。
この条件を呑めるなら、僕達はきみを保護する。ちゃんと、家に帰れるよう善処もするよ」
「……うん」
本音を言えば、しおに対しネモにも思うところはあった。
だが、少女の行為を咎めつつも、悟空の言うように乃亜の被害者である事も考慮し、最大限のリスク軽減をした上でのネモは妥協した。
だが、少女の行為を咎めつつも、悟空の言うように乃亜の被害者である事も考慮し、最大限のリスク軽減をした上でのネモは妥協した。
「オラ、向こう行ってるからよ。ネモ頼む」
「……そうなるね」
気は進まないが、悟空とネモならその役割はネモになるだろう、と。諦めたように納得する。
「ありがとう、ネモさん……悟空お兄ちゃん」
「おめえ、もう殺し合いなんかすんじゃねえぞ? はっきり言うが、しおの強さじゃ優勝は出来ねえ。無駄死にするだけだ。
あと、オラこう見えてお爺ちゃんだ」
あと、オラこう見えてお爺ちゃんだ」
ポンと、しおの頭に手を置き、悟空は人懐っこい笑顔を浮かべてから、背を向けネモとしおから距離を取った場所まで移動した。
ネモも同じく、少女体のネモ・ベーカリーにしおを任せると、背を向けた。
ネモも同じく、少女体のネモ・ベーカリーにしおを任せると、背を向けた。
―――――――――――
(しおの記憶が読めなかった……。乃亜のガキ、瞬間移動以外にも、面倒な制限しやがったな。神を名乗る癖にセコい野郎だ)
しおの頭に触れた時、悟空はかつてクリリンの頭に触れ記憶を読んだ時と同じように、しおの記憶も読み取ろうとしていた。
だが、ノイズが走ったように妨害が走り、とても記憶など読み取れなかった。
だが、ノイズが走ったように妨害が走り、とても記憶など読み取れなかった。
(多分、オラ達が見張っている間はしおも変な気は起こさねえと思うが……あんまりオラ達も余裕はねえからな。
出来れば記憶を見て、何考えてるか……良い奴か、悪い奴か知りたかったが、無理か……。
……位置も場所も誰かも分からねえが、強え奴等の気を感じる……戦ってんだ。
ち、畜生……こいつら……い、今のオラじゃ、手に余るかもしれねえ。あんまり、しおにばっか気を向けてられねえ、な、何か考えねえとな……)
出来れば記憶を見て、何考えてるか……良い奴か、悪い奴か知りたかったが、無理か……。
……位置も場所も誰かも分からねえが、強え奴等の気を感じる……戦ってんだ。
ち、畜生……こいつら……い、今のオラじゃ、手に余るかもしれねえ。あんまり、しおにばっか気を向けてられねえ、な、何か考えねえとな……)
殺し合いの開幕後、既に2時間前後で各所で激しい交戦が行われている事を感知していた。
難しい事を考えるのはネモに任すとして、戦闘は悟空が引き受けるにしても油断のならない猛者が数多く存在し、制限を抱えながら悟空がその全てに勝利するなど不可能だろう。
ましてや、一度は殺し合いに乗っていたしおが背後に居るのでは、なおさらだ。
難しい事を考えるのはネモに任すとして、戦闘は悟空が引き受けるにしても油断のならない猛者が数多く存在し、制限を抱えながら悟空がその全てに勝利するなど不可能だろう。
ましてや、一度は殺し合いに乗っていたしおが背後に居るのでは、なおさらだ。
(だが……ここには悟飯がいる。し、しかも……あ、あの気はオラの知ってる悟飯の気じゃねえ。
た、多分タイムマシンで過去の悟飯を……セルゲームの時の悟飯を、連れてきたんだ……。乃亜の奴も、ここにはガキを連れてきたと言っていた。なら、間違いない。
あの頃の悟飯なら、オラの時代のあんまり修行してねぇ悟飯よりも、ぜ、全然伸びしろはあるんじゃねえか……? へ、へへっ……な、何とかなるかもしれねえぞ……)
た、多分タイムマシンで過去の悟飯を……セルゲームの時の悟飯を、連れてきたんだ……。乃亜の奴も、ここにはガキを連れてきたと言っていた。なら、間違いない。
あの頃の悟飯なら、オラの時代のあんまり修行してねぇ悟飯よりも、ぜ、全然伸びしろはあるんじゃねえか……? へ、へへっ……な、何とかなるかもしれねえぞ……)
少し体を震わせ、僅かに歓喜の籠った笑みを浮かべながら悟空は、かつてのセルとの死闘を思い返していた。
あの当時、間違いなく宇宙最強の存在だったセルを一喝する圧倒的パワーを、悟空は忘れることはない。
現在は悟空とベジータが、あの頃の悟飯を上回っているものの、本来の素質で言えば、悟飯の方が上だ。
セルゲーム時点の戦闘力では、確かに今の悟空のが強いが、反面、悟飯が最も戦闘センスを身に付けていた時期でもある。
老界王神の、あの変な踊りで、多少鍛え直した程度の弱体化した悟飯が、魔人ブウを圧倒するほどになるのだ。
セルゲーム時点の戦闘センスを維持したまま、戦いを重ねれば、悟空などまた一瞬にして追い抜くかもしれない。
制限されているものの、悟空のスーパーサイヤ人4を超える、新たな領域に到達する可能性すらある。
現在は悟空とベジータが、あの頃の悟飯を上回っているものの、本来の素質で言えば、悟飯の方が上だ。
セルゲーム時点の戦闘力では、確かに今の悟空のが強いが、反面、悟飯が最も戦闘センスを身に付けていた時期でもある。
老界王神の、あの変な踊りで、多少鍛え直した程度の弱体化した悟飯が、魔人ブウを圧倒するほどになるのだ。
セルゲーム時点の戦闘センスを維持したまま、戦いを重ねれば、悟空などまた一瞬にして追い抜くかもしれない。
制限されているものの、悟空のスーパーサイヤ人4を超える、新たな領域に到達する可能性すらある。
(最初に悟飯と戦ってた奴……あいつもちょっとだけ気を感じたが、強え奴だ……あんなのと戦ってけば、あの頃の悟飯なら、す、すぐに強くなるかもしれねえ……)
いずれ、乃亜の制限すらも超える程の成長を、見せてくれるかもしれない。
(そうだ……悟飯、本当のお前は誰よりも強い……強くなれ、悟飯……!
お前が乃亜に……あの野郎の誤算を思い知らせてやるんだ)
お前が乃亜に……あの野郎の誤算を思い知らせてやるんだ)
乃亜の脅威は理解している。した上で、あの傲慢な少年も決して、全能ではない。悟飯の潜在能力には、賭けてみる価値はあると考えていた。
セルゲームの時の悟飯なら、あるいはと期待を掛けるのも、決して間違った判断ではないだろう。
それほどまでの、パワーと可能性を秘めた戦士だった。
セルゲームの時の悟飯なら、あるいはと期待を掛けるのも、決して間違った判断ではないだろう。
それほどまでの、パワーと可能性を秘めた戦士だった。
孫悟空という男は、時として馬鹿にも見られるが、その実、大局を見て非常に計算高い判断を下すことも多い。
ただ、悟空の計算には一つだけ欠点がある。それは、必ずといって良いほど、彼の認識外で誤算が発生してしまうという点だった。
ただ、悟空の計算には一つだけ欠点がある。それは、必ずといって良いほど、彼の認識外で誤算が発生してしまうという点だった。
―――――――――――
「――――大丈夫、この娘は何も隠し持ってない」
「おう、サンキューなネモ」
気まずそうな顔をするネモと、少し顔を赤らめたしおを前に何食わぬ笑顔を悟空は向ける。
ネモが確認したのなら、しおに脅威は存在しないと信じての顔だった。
ネモが確認したのなら、しおに脅威は存在しないと信じての顔だった。
「じゃ、当初の予定通り、教会に行くんだな?」
「そうしよう。しおの怪我も軽いものだけど、簡単な手当位はしよう。教会でも傷口を洗って、絆創膏を貼るくらいはできるさ」
「そうしよう。しおの怪我も軽いものだけど、簡単な手当位はしよう。教会でも傷口を洗って、絆創膏を貼るくらいはできるさ」
「ありがとう……ネモさん、悟空お爺ちゃん」
「おう! 気にすんな、しお! もう、悪いことすんなよ」
少し、影のある顔でぎこちなく笑うしおに、やはり悟空は明るくそう答える。
「……」
そのやり取りを、ネモは訝しげに見ていた。
【B-6 教会の近く/1日目/黎明】
【孫悟空@ドラゴンボールGT】
[状態]:満腹、腕に裂傷(処置済み)、悟飯に対する絶大な信頼と期待とワクワク
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:悟飯を探す。も、もしセルゲームの頃の悟飯なら……へへっ。
2:ネモに協力する。
3:カオスの奴は止める。
4:しおも見張らなきゃいけねえけど、あんま余裕ねえし、色々考えとかねえと。
[備考]
※参戦時期はベビー編終了直後。
※殺し合いが破綻しないよう力を制限されています。
※SSは一度の変身で12時間使用不可、SS2は24時間使用不可。
※SS3、SS4はそもそも制限によりなれません。
※瞬間移動も制限により使用不能です。
※舞空術、気の探知が著しく制限されています。戦闘時を除くと基本使用不能です。
※記憶を読むといった能力も使えません。
※悟飯の参戦時期をセルゲームの頃だと推測しました。
[状態]:満腹、腕に裂傷(処置済み)、悟飯に対する絶大な信頼と期待とワクワク
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、ランダム支給品1~3
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:悟飯を探す。も、もしセルゲームの頃の悟飯なら……へへっ。
2:ネモに協力する。
3:カオスの奴は止める。
4:しおも見張らなきゃいけねえけど、あんま余裕ねえし、色々考えとかねえと。
[備考]
※参戦時期はベビー編終了直後。
※殺し合いが破綻しないよう力を制限されています。
※SSは一度の変身で12時間使用不可、SS2は24時間使用不可。
※SS3、SS4はそもそも制限によりなれません。
※瞬間移動も制限により使用不能です。
※舞空術、気の探知が著しく制限されています。戦闘時を除くと基本使用不能です。
※記憶を読むといった能力も使えません。
※悟飯の参戦時期をセルゲームの頃だと推測しました。
【キャプテン・ネモ@Fate/Grand Order】
[状態]:健康、しおに対する警戒心
[装備]:.454カスール カスタムオート(弾:7/7)@HELLSING
[道具]:基本支給品、13mm爆裂鉄鋼弾(50発)@HELLSING、ソード・カトラス@BLACK LAGOON×2、
ランダム支給品1~2、神戸しおの基本支給品&ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:教会→図書館の順で調べた後、学校に向かう。
2:首輪の解析のためのサンプルが欲しい。
3:カオスは止めたい。
4:しおを警戒しつつも保護はする。今後の扱いも考えていく。
5:教会で、しおの手当もしてあげる。
[備考]
※現地召喚された野良サーヴァントという扱いで現界しています。
※宝具である『我は征く、鸚鵡貝の大衝角』は現在使用不能です。
[状態]:健康、しおに対する警戒心
[装備]:.454カスール カスタムオート(弾:7/7)@HELLSING
[道具]:基本支給品、13mm爆裂鉄鋼弾(50発)@HELLSING、ソード・カトラス@BLACK LAGOON×2、
ランダム支給品1~2、神戸しおの基本支給品&ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本方針:殺し合いを止める。
1:教会→図書館の順で調べた後、学校に向かう。
2:首輪の解析のためのサンプルが欲しい。
3:カオスは止めたい。
4:しおを警戒しつつも保護はする。今後の扱いも考えていく。
5:教会で、しおの手当もしてあげる。
[備考]
※現地召喚された野良サーヴァントという扱いで現界しています。
※宝具である『我は征く、鸚鵡貝の大衝角』は現在使用不能です。
※二人とも、神戸しおが水銀燈(名前は知らない)に発砲したことを聞きました。
『おめえ、もう殺し合いなんかすんじゃねえぞ? はっきり言うが、しおの強さじゃ優勝は出来ねえ。無駄死にするだけだ』
(たぶん、正しいことを言ってるんだよね)
悟空の言っていた事は、しおにとって、これ以上ないまでの残酷な現実だった。
闘いという面では、悟空はとても強い。しおを見ただけで、水銀燈が本気で殺す気などなかったと見透かしてしまう。
頭の良さなら、ネモも鋭い。しおから武器を調べて、それが使用済みであると即座に見抜いてしまった。
まったく、やる気のなかった水銀燈にすら、銃を使っても勝てない。それどころか、知能面でもネモに歯が立たない。
しおがどんな狂気や愛を内包していようが、これが現実で、どう足掻いても勝ち目なんてない。
所詮は、多少は物騒で治安の悪い平行世界に住むだけの、ただの幼い子供なのだから。
闘いという面では、悟空はとても強い。しおを見ただけで、水銀燈が本気で殺す気などなかったと見透かしてしまう。
頭の良さなら、ネモも鋭い。しおから武器を調べて、それが使用済みであると即座に見抜いてしまった。
まったく、やる気のなかった水銀燈にすら、銃を使っても勝てない。それどころか、知能面でもネモに歯が立たない。
しおがどんな狂気や愛を内包していようが、これが現実で、どう足掻いても勝ち目なんてない。
所詮は、多少は物騒で治安の悪い平行世界に住むだけの、ただの幼い子供なのだから。
(……でも、私、たたかうってきめたから)
ネモの対応は万全だったが、一つだけ見落としていた事がある。
もっとも、今のネモではどうあっても知りえない事だ。しおがし合いに乗った、その動機までは想定しようがなかった。
出会って、一時間もしない相手の過去を知る術など、通常は存在しない。
母親に捨てられた後、松坂さとうに世間でいう所の誘拐をされるも、その情を深めて愛し合うまでになり
最終的に心中までする寸前であり、その未来を変える為に殺し合いに乗ったと一目で見抜ける名探偵なぞ、居る筈もない。
もっとも、今のネモではどうあっても知りえない事だ。しおがし合いに乗った、その動機までは想定しようがなかった。
出会って、一時間もしない相手の過去を知る術など、通常は存在しない。
母親に捨てられた後、松坂さとうに世間でいう所の誘拐をされるも、その情を深めて愛し合うまでになり
最終的に心中までする寸前であり、その未来を変える為に殺し合いに乗ったと一目で見抜ける名探偵なぞ、居る筈もない。
しかも、それが別の平行世界の出来事であれば、あの江戸川コナンでも無理だろう。
その為に、悟空もネモもしおの言っていた死にたくなかったという言葉から、乃亜による強制が原因で殺し合いに乗ったと判断してしまった。
譲れない望みを託し、殺し合いに臨んでいたとまでは、想像できなかった。
譲れない望みを託し、殺し合いに臨んでいたとまでは、想像できなかった。
死にたくないのも嘘ではない。さとうを生かして自分も生きて、愛し合いたいのは事実だ。
時として、真実は下手な嘘よりも効果的な欺瞞となる。
嘘とは、一からシナリオを創り上げ、役者として演じなければいけない。その為には演じる技量が必要だ。
しかし、真実は演じる必要はない。そこに技量は存在しない。全てを語らず、黙っている事もまた同じだ。余程の事がなければ、話さない事は嘘ではない。
この幼い少女は、そこまで想定して事を進めた訳ではないのだろう。たまたま、善良な参加者に出会い、嘘も吐けず白状し、殺されなかったに過ぎない。
ただ、偶然にも全てのボタンが歪に掛け合った結果、しおは生き延びて、暫くの身の安全も確保した。
嘘とは、一からシナリオを創り上げ、役者として演じなければいけない。その為には演じる技量が必要だ。
しかし、真実は演じる必要はない。そこに技量は存在しない。全てを語らず、黙っている事もまた同じだ。余程の事がなければ、話さない事は嘘ではない。
この幼い少女は、そこまで想定して事を進めた訳ではないのだろう。たまたま、善良な参加者に出会い、嘘も吐けず白状し、殺されなかったに過ぎない。
ただ、偶然にも全てのボタンが歪に掛け合った結果、しおは生き延びて、暫くの身の安全も確保した。
だが、運だろうがまぐれだろうと、しおはこの好機を逃す気はなかった。
(いまは、死なないようにする……乃亜君のいってた、せんりゃく……数が減るまで、待つ……うん、大丈夫、待ってるの慣れてるもん)
かつて、あるマンションの一室で、愛おしい人の帰りを待ち続けたことを思い出す。
学校に行っているさとうを半日待つなんて日常茶飯事だった。だから、待つなんて苦にならない。
学校に行っているさとうを半日待つなんて日常茶飯事だった。だから、待つなんて苦にならない。
(そっか……さとちゃんを……今、私が待たせちゃってるんだね)
むしろ、今、心中しようとしたその瞬間に自分が居なくなって、待たせてしまっているさとうの方が気になった。
【B-6 教会の近く/1日目/黎明】
【神戸しお@ハッピーシュガーライフ】
[状態]ダメージ(中)全身羽と血だらけ
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]基本方針:優勝する。
1:ネモさん、悟空お爺ちゃんに従い、同行する。参加者の数が減るまで待つ。
2:天使さんに、やられちゃった怪我の治療もした方がいいよね。
[備考]
松坂さとうとマンションの屋上で心中する寸前からの参戦です。
[状態]ダメージ(中)全身羽と血だらけ
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]基本方針:優勝する。
1:ネモさん、悟空お爺ちゃんに従い、同行する。参加者の数が減るまで待つ。
2:天使さんに、やられちゃった怪我の治療もした方がいいよね。
[備考]
松坂さとうとマンションの屋上で心中する寸前からの参戦です。
025:命を守るための戦い | 投下順に読む | 027:ハンディ×ハンディ |
022:hemligheter får män att bli | 時系列順に読む | 028:世界と世界のゲーム |
009:さぁ誰かを、ここへ誘いなさい | 孫悟空 | 052:きみにできるあらゆること |
キャプテンネモ | ||
094(候補作採用話):天使にラブソングを | 神戸しお |