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YOASOBI

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 イーデン校は創立五百年の名門校である。
 小中高一貫、全校生徒は二千人を超える規模の学校であり、その敷地面積は広大だ。
 当然、座学を行う教室だけでも数十以上あるため、隠れる場所には事欠かない。

 とある教室の隅で、ハーマイオニー・グレンジャーは座り込んでいた。
 少年に襲われてから既に三十分は経つというのに、未だに歯の根が合わない。

(どうして、こんな……震えが止まらない!)

 死を身近に感じたことによる全身の震え。
 両眼をギュッとつぶり、唇を真一文字に結んで、それを耐えようとする。
 それでも耐え切れず、何度目かの弱音をこぼしそうになったとき。

『やあ、諸君……』

 いきなり聞こえてきた声に、ハーマイオニーは一段と大きく身体を震わせた。
 息を殺して放送に耳を傾ける。
 既に何人もの死者が出ているという衝撃的な知らせは、より鼓動を速くさせた。
 しかし数分後、ハーマイオニーの精神は、むしろ落ち着きを取り戻していた。

「子供に当て嵌まる者ってことは、ハリーやロンもいるかもしれないわ」

 脳裏に思い浮かぶのは、二人の親友の顔。
 今現在のハーマイオニーにとって、それは希望だった。
 まだ知り合って間もない頃、危険を顧みずに助けてくれた記憶は、鮮烈に残り続けている。

「考えて。あの二人ならどうする?
 ハリーはきっと、ノアを許せないと思うはずだわ。
 ロンは……ひどく動揺するでしょうね。私が言えたことじゃないけど」

 二人の姿を想像して、ハーマイオニーは口角を上げた。
 いつの間にか、身体の震えはごく小さなものになっていた。
 ハーマイオニーは深く息をはいて、自らを落ち着かせるようにした。

「まずはこの荷物を確認しないと」

 支給されたランドセルを開けて、中身を検めていく。
 ハーマイオニーの理性は、ようやく正常に作動し始めた。




 ヘンゼルは夜道を悠然と歩いていた。
 少女を追跡していたというよりは、人のいそうな高い建物を目指していた。

「あれ?」

 イーデン校の正面玄関にある大階段へ足をかけようとした矢先、ヘンゼルは足を止めた。
 視界の端に捉えたものを、顔を向けて確認する。

「あはは!みいつけた!」

 そしてヘンゼルは愉快そうに笑う。
 視線の先には、窓越しにゆらめく明かりがあった。




「ふうん。これで、この島の地図を見られるのね」

 ハーマイオニーはわずか数分で、支給されていたタブレットの操作方法を理解した。
 およそ初めて触れる機械だったものの、さほど難しい操作を要求されなかったのだ。

「それにしても、こんなに薄い板なのに、ずいぶん明るいわ。
 魔法道具だとしてもすごい技術だけど……ううん、眩しい!」

 タブレットの放つ光は、ロウソクのそれよりも明るい。
 闇に慣れている状態で浴びるには、やや刺激が強かった。
 ハーマイオニーはタブレットをランドセルへと戻すと、背中をさすりながら立ち上がる。

「道具も確認し終えたことだし、ホグワーツに向かいましょう。
 もしもハリーやロンがいるなら、絶対にそこを目指すはずだから」

 言い終えてから、ハーマイオニーは「本物のホグワーツとは思えないけど」と付け加えた。
 どことも知れないこの島に、本物のホグワーツ魔法魔術学校があるはずはない。
 それならば、地図の記載がウソなのか?それとも本物なのか?

「……考えてもわからないわ」

 学業の優秀なハーマイオニーも、この問いに答えを出すことはまだできない。




「ダメだよ、光を見せちゃ」

 ゆらめく光から目を離さずに、ヘンゼルは魔力を練り上げていく。
 神鳥の杖による魔法の力。それに身体を慣らす目的で、時間をかけていた。

「野生のオオカミなら火には近づかないけど、僕はそんなもの慣れっこなんだ」

 舞台でオペラを歌うような軽やかさで、ヘンゼルは言葉を紡ぐ。
 そうして数分後、杖の先端をゆっくりと光へと向ける。

「姉様とは競争になるだろうから、手早く済ませないとね」

 言い終えた瞬間、直径一メートルを超える火球がガラス窓を粉砕した。
 火球の威力は相当のもので、ガラガラと音を立てて壁や天井の建材が落ちていく。
 ヘンゼルは眉一つ動かさないまま、その様子を見ていた。




(――かかった!)

 “背後で”響いたガラスの割れる音に反応して、ハーマイオニーは生唾を飲んだ。
 数分前、ハーマイオニーはイーデン校から離れる前に、とある教室にロウソクを立てた。
 そして、炎の呪文・インセンディオを使用して火を点けて、校舎を離れたのだ。

「もしかして、あの銀髪の子かしら……」

 自分を襲撃してきた少年の顔を思い出して、ハーマイオニーは身震いした。
 今回はロウソクの火を囮にすることができたが、次もうまくいくとは限らない。
 小さくなっていた恐怖心が再びくすぶり始めたのを感じて、ハーマイオニーは頭を振る。

「余計なことは考えない方がいいわ。まずはホグワーツへ……!」

 目指すはホグワーツ魔法魔術学校。
 ハーマイオニーは北へとひた走る。



【H-3 イーデン校付近/1日目/黎明】

【ハーマイオニー・グレンジャー@ハリー・ポッター シリ-ズ】
[状態]:恐怖(小)、背中にダメージ(小)
[装備]:ハーマイオニーの杖@ハリー・ポッター
[道具]:基本支給品×1、ロウソク×4、ランダム支給品0~1(確認済)
[思考・状況]基本方針:殺し合いはしたくない。
1:ホグワーツ魔法魔術学校へと向かう。
2:ハリーやロンがいるなら合流したい。
3:殺し合いするしかないとは思いたくない。
[備考]
参戦時期は秘密の部屋でバジリスクに石にされた直後です。


【ヘンゼル@BLACK LAGOON】
[状態]:健康
[装備]:鉄パイプ@現実 神鳥の杖@ドラゴンクエスト8
[道具]:基本支給品×1、ランダム支給品0~1
[思考・状況]基本方針:皆殺し
0:あれ?死体がない?
1:姉様と合流したい
2:魔法の力でイロイロと愉しみたい。
[備考]
参戦時期は死亡前です。
神鳥の杖の担い手に選ばれました。暗黒神の精神汚染の影響は現在ありません。

【ロウソク@現実】
ハーマイオニー・グレンジャーに支給。五本セット。

【備考】
※H-3イーデン校の施設の一部が破壊されました。

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137(候補作採用話):ハーマイオニー・グレンジャーと呪いの子 ハーマイオニー・グレンジャー 045:厨房のフリーレン
ヘンゼル 044:殺人競走(レース)スタンバイ!

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