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殺人競走(レース)スタンバイ!

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カラカラと、硬く乾いた音が絶え間なく聞こえ続ける。
 ハーマイオニー・グレンシャーを求めて、イーデン校の舎内を彷徨うヘンゼルが引きずる鉄パイプが、床と擦れる音だ。
 時折鉄パイプを振り回して、壁や床を殴打し、ガラスを叩き割りながら、広い校舎の中をヘンゼルは当ても無く歩いて行く。
 途中で行き着いた厨房から、肉切り包丁やナイフといった刃物類を複数入手し、去り際に火を放ってから、適当に火やカマイタチで校舎を破壊しながら探索するも、ハーマイオニーは見つからず、広大な校舎は未だに九割以上無傷のままだ。
 灯火に火球を放ってから十五分。ヘンゼルを欺いて、上手く姿を隠したハーマイオニーとの隠れんぼも、最初こそは愉しかったが、これだけの時間、進展が無ければ飽きてくる。

 「此処には居ないのかな」

 ハーマイオニーに逃げられた事実を漸く受け入れたヘンゼルは、腕組みして考え込む。

 「逃げるとしたら、何処だろう」

 乃亜の話は、歩きながら聞いていた。既に14人が死亡したと聞いても、ヘンゼルは特に思うことは無い。ハーマイオニーに逃げられなければ、丁度15人で区切りが良かった…と思っただけだ、
 それよりも重要なのは、纏めて五人も殺した者が居るという事。未だにこの殺人競争(レース)でスコアが0のヘンゼルは、次の放送までに少なくとも6人殺して首輪(トロフィー)を集めておかなければ、一位になれない。

 「現在(いま)の一位は姉様かも知れないしね、そうでなくとも合流した時に0じゃあ、ガッカリされてしまうよ。それにやっぱり勝ちたいしね」

 グレーテルの様な、ヘンゼルと同じ厄種でなければ理解できない内容の独り言。ハーマイオニーが聞けば、理解不能の恐怖に竦み上がった事だろう。

 「お姉さんは何処に行ったんだろう。お姉さんとだけ遊んでいる訳にもいかないのに」

 頬を膨らませてむくれる姿は、歳相応にあどけないが、思考を占めるのは鮮血色の光景だ。ハーマイオニーを追い詰めて、惨殺する。それ以外はヘンゼルの思考のうちに存在し無い。

 「コレ(鉄パイプ)で動かなくなるまで殴ろうと思ってたんだ。大丈夫だよ、慣れてるんだ。何処を殴れば死んでしまうか、どう殴れば長く持たせられるか、ちゃんと知ってるんだ」

 過去に何人も積み上げた死体の数が裏打ちする経験。それをフルに活かして長く時間を掛けて殺すという、ハーマイオニーが識れば絶望に囚われそうな処刑宣告は、しかし、唐突に撤回された。

 もう遊んでいる暇は無くなちゃったからね。お姉さん以外にも5人殺さないといけないんだ。…だから、コッチで殺してあげる」

 そう言って、ヘンゼルがランドセルから取り出したのは、黒鞘の日本刀。ヘンゼルが乃亜から与えられた最後の支給品。その名も『死者行軍・八房』。この刀で殺害された者を、刀の持ち主の意のままに動く骸人形に出来る帝具。
 凡そ死者の尊厳など意識の端にすら無く、死体を損壊し、喰らう者どもが跋扈するこの地に相応しい品であった。
 ヘンゼルにしてみれば、骸人形にしてしまえば、首輪(トロフィー)を回収する手間も省けるので一石二鳥でもある。

 「姉様に紹介するから、顔は傷をつけないであげる」

 さも良い事をするかの様に、ハーマイオニーに温情をかけるかの様にヘンゼルは言うと、改めてハーマイオニーを探す方法を考え始めた。

 「でもお姉さんは居ないしなぁ。何処に行ったか分かるかな」

 ヘンゼルは支給品のタブレットを取り出すと地図を閲覧する。
 取り立てて当てにはしていない。他に何も思いつかなかっただけだ。
 しかし、この行為が当たり(ビンゴ)を引く事となる。

 「ホグワーツ魔法魔術学校…きっと此処に行ったんだ!だって魔法使いのお姉さんなんだから!!」

 幼さに相応しい無邪気な単純さで、ヘンゼルはハーマイオニーの行き先を断定すると、ハーマイオニーを見つけるべく屋上へと移動を開始した。




 「ホグワーツはあっちだね」

 ヘンゼルが向いているのは北。H–3に有るイーデン校から見て、D–3のホグワーツの位置は北に在る。
 途中に施設が二つ在るが、ヘンゼルは目もくれない。ハーマイオニーの逃亡先と決めつけたホグワーツしか意識に無い。
 神鳥の杖を振り上げると、魔力を練り上げる。
 杖の先に出来た火球が眩く輝き、夜闇を照らしながらその径を増していく。
 数分後、灯火に放った時よりも遥かに大きい、直径にして10mを超える火球を精製すると、ヘンゼルは火球をホグワーツの在る方角へと撃ち放った。
 イーデン校から、真っ直ぐ北へ、夜空に眩く輝く火球は、夜空と地面を照らし出しながら飛翔していき、やがて見えなくなった。

 「うーん。見えなかったな。お姉さん」

 あれだけの灯りで地面を照らし出して尚も姿が見えぬとなれば、かなりの距離を離されたか、若しくはホグワーツを目指さなかったかの何方かだが。

 「いいか。待っていれば、そのうち来るよね。魔法使いなんだし」


無邪気な信頼をハーマイオニーに向けて、去り際に屋上に火を放ってから、ヘンゼルはホグワーツへと向かい、移動を開始した。
 ヘンゼルを祝う花火の様に、厨房で大爆発が起きたのは、その直後の事だった。


【H-3 イーデン校付近/1日目/黎明】

【ヘンゼル@BLACK LAGOON】
[状態]:健康
[装備]:鉄パイプ@現実 神鳥の杖@ドラゴンクエスト8
[道具]:基本支給品×1、死者行軍・ハ房@アカメが斬る!
[思考・状況]基本方針:皆殺し
0:あれ?逃げられた? 魔法学校で待っていればそのうち来るよね。魔法使いなんだし
1:姉様と合流したい
2:魔法の力でイロイロと愉しみたい。 人形でも遊びたい
3:魔法使いのお姉さん(ハーマイオニー)はお人形にする
4:殺した証拠(トロフィー)として首輪を集めておく
[備考]
参戦時期は死亡前です。
神鳥の杖の担い手に選ばれました。暗黒神の精神汚染の影響は現在ありません。

イーデン校の複数箇所に放火しました。屋上と爆発が起きた厨房が特に派手に燃えています

支給品紹介

死者行軍・ハ房@アカメが斬る!
日本刀型の帝具。この刀で殺した者を、人や動物を問わず最大八体まで任意で骸人形とした上で操る事ができる。
骸人形はハ房の持ち主の命令を叶えるべく、生前の技能や術技を活かして自律で動くが意思や意識は存在しない。
頭部を失っても平然と動くが、全身を砕かれたり、バラバラにされるなどすれば流石に止まる。
ロワでは制限が掛かっていて、骸人形に出来るのは参加者のみ、骸人形は生前に習得した技術は使用できるが、異能や魔法の類は使用できない。
更に骸人形は一体だけしか作れない。
だが、骸人形に7人分の人体パーツを接続する事は可能。例えば腕を7人分追加して、八対十六腕とする事も出来る。
接合したいパーツは、接合したい場所に三分間押し当てればくっつく仕様となっている。便利。


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