斬る端から傷口が再生する。
殴る端から潰れた肉が元に戻る。
牽制や陽動など全く考えずに、互いに力任せに振るう刃は技巧などとはてんで無縁で、子供が棒切れを振り回すのと変わらない。時折振われる拳脚にしても、雑で粗い。
只々、その身に宿した速度と力とを闇雲に振り回すだけの戦い方。鍛錬の果てに身に着けた武力ではなく、単純に暴力を振るい合う。言ってしまえば外見に相応しい 子供の喧嘩。
だが、その暴力を振るう者共が、双方共に大の大人を、大型の猛獣を、人外化生をただの一撃で屠れるとなれば話は別だ。
振われる一閃一撃が悉く絶殺。当たれば死ぬ。掠めただけで死ぬ。そう、見る者がいれば認識させる攻撃を双方が繰り出し、そして全てが敵に直撃する。
それでも双方が途切れる事なく動き続け、時を経るのに比例して、叩き込み、叩き込まれる攻撃の数が増えているのは、両者が共に不死身の肉体と、規格外の再生能力を有しているからだ。
どれだけ傷を受けても痛みなど知らぬと動き続け、傷など最初から無かったとばかりに即座に再生し、恐るべき子供達の喧嘩は終わりが見えない。
もしも仮に、鬼舞辻無惨に、上弦の壱・黒死牟の様な剣技や、上弦の参・猗窩座の様な体技が有れば。
鬼舞辻無惨は魔神王を圧倒していた事だろう。
もしも仮に、魔神王に、赤髪の傭兵ベルドや、白き騎士ファーンの様な剣技があれば。
戦いの趨勢は一方的に魔神王が有利なものとなっていただろう。
殴る端から潰れた肉が元に戻る。
牽制や陽動など全く考えずに、互いに力任せに振るう刃は技巧などとはてんで無縁で、子供が棒切れを振り回すのと変わらない。時折振われる拳脚にしても、雑で粗い。
只々、その身に宿した速度と力とを闇雲に振り回すだけの戦い方。鍛錬の果てに身に着けた武力ではなく、単純に暴力を振るい合う。言ってしまえば外見に相応しい 子供の喧嘩。
だが、その暴力を振るう者共が、双方共に大の大人を、大型の猛獣を、人外化生をただの一撃で屠れるとなれば話は別だ。
振われる一閃一撃が悉く絶殺。当たれば死ぬ。掠めただけで死ぬ。そう、見る者がいれば認識させる攻撃を双方が繰り出し、そして全てが敵に直撃する。
それでも双方が途切れる事なく動き続け、時を経るのに比例して、叩き込み、叩き込まれる攻撃の数が増えているのは、両者が共に不死身の肉体と、規格外の再生能力を有しているからだ。
どれだけ傷を受けても痛みなど知らぬと動き続け、傷など最初から無かったとばかりに即座に再生し、恐るべき子供達の喧嘩は終わりが見えない。
もしも仮に、鬼舞辻無惨に、上弦の壱・黒死牟の様な剣技や、上弦の参・猗窩座の様な体技が有れば。
鬼舞辻無惨は魔神王を圧倒していた事だろう。
もしも仮に、魔神王に、赤髪の傭兵ベルドや、白き騎士ファーンの様な剣技があれば。
戦いの趨勢は一方的に魔神王が有利なものとなっていただろう。
◆
顔中に太い血管を浮かべた憤怒の形相も露わに、無惨が手にした斬魄刀を振るう。
真銀(ミスリル)すら腐食させる血を持つ魔神王に、腕や黒管を伸ばしての打撃斬撃や、生成した口による吸息は、無惨当人にも痛打となる。
それで死ぬのならばまだしも、無惨に匹敵する不死性を持つとあっては意味が無い。
必然。鬼狩の異常者共の様に、手にした刃を振るうしか無い。
鬼舞辻無惨は常に最強であった。技巧を研鑽し、肉体を鍛え上げる必要も無く。血鬼術を習得し、研ぎ澄ませる必要も無く。鬼狩り共の様に武器を携帯する必要も無い。
ただ無造作に腕を振るうだけで、あらゆる敵が粉砕され、死んでいくのに、その様な細かい事に煩わされる必要など存在しない。
この世の序列、法理の外に在る継国縁壱という男は、最初から数に入れてはいない。この世ならざるモノをこの世の序列に組み込む程、無惨は愚かでも酔狂でも無いのだから。
あの怪物を別枠とした場合。鬼舞辻無惨は紛れも無く絶対の強者だ。
本来の歴史に於いても、十重二重に弱らされ、鬼殺隊の総懸りによる猛攻を受けて尚、鬼舞辻無惨は戦い方を変える事なく鬼狩り共を圧倒し、その全てを合わせても、継国縁壱には及ばないと断じてのけた程だ。
それが、此処に引き摺り込まれてからはどうだ?頭を使い。道具を使い。しなくても良い煩わしさに苛まれている。
大元を糺せば禰󠄀豆子から遠ざけられ、殺し合いを強制させられている事自体が煩わしい。
眼の前の相手と刃を交えながらも鬼舞辻無惨の脳裏を占めるのは、海馬乃亜への怒りのみだ。
真銀(ミスリル)すら腐食させる血を持つ魔神王に、腕や黒管を伸ばしての打撃斬撃や、生成した口による吸息は、無惨当人にも痛打となる。
それで死ぬのならばまだしも、無惨に匹敵する不死性を持つとあっては意味が無い。
必然。鬼狩の異常者共の様に、手にした刃を振るうしか無い。
鬼舞辻無惨は常に最強であった。技巧を研鑽し、肉体を鍛え上げる必要も無く。血鬼術を習得し、研ぎ澄ませる必要も無く。鬼狩り共の様に武器を携帯する必要も無い。
ただ無造作に腕を振るうだけで、あらゆる敵が粉砕され、死んでいくのに、その様な細かい事に煩わされる必要など存在しない。
この世の序列、法理の外に在る継国縁壱という男は、最初から数に入れてはいない。この世ならざるモノをこの世の序列に組み込む程、無惨は愚かでも酔狂でも無いのだから。
あの怪物を別枠とした場合。鬼舞辻無惨は紛れも無く絶対の強者だ。
本来の歴史に於いても、十重二重に弱らされ、鬼殺隊の総懸りによる猛攻を受けて尚、鬼舞辻無惨は戦い方を変える事なく鬼狩り共を圧倒し、その全てを合わせても、継国縁壱には及ばないと断じてのけた程だ。
それが、此処に引き摺り込まれてからはどうだ?頭を使い。道具を使い。しなくても良い煩わしさに苛まれている。
大元を糺せば禰󠄀豆子から遠ざけられ、殺し合いを強制させられている事自体が煩わしい。
眼の前の相手と刃を交えながらも鬼舞辻無惨の脳裏を占めるのは、海馬乃亜への怒りのみだ。
◆
技巧も何も無い一閃は、鬼の始祖の超絶の膂力により、振るい出した瞬間に柱の渾身の一刀を遙後方に置き去りにする速度を獲得。刀身そのものが瞬間移動でもしたかの様に魔神王へと迫る。
斬魄刀が魔神王の頭部を叩き割るよりも早く。魔神王が後方に退がって斬魄刀を躱すと、無惨の脳天目掛けて鉄塊と呼ぶべき重厚長大な剣を振り下ろす。
刃を用いた斬撃では、無惨の不滅の身体は瞬く間に再生する。その為に行うのは巨大な剣身を用いた打撃だ。ドラゴン殺しの質量はそれだけで人を絶命させ得る程のもの。それを魔神王の剛力で振るえば、羆ですら爆ぜて肉塊となるだろう。
骨が肉が、纏めて潰れる湿った鈍い音。大質量の鉄塊は、まともに被弾した無惨の頭を当然の様に潰し、勢いと重量に任せて心臓と肺腑を潰し、胸骨と肋骨を粉砕して、腹まで頭と胸の骨肉を押し込んでしまった。
だが、鬼の始祖である鬼舞辻無惨はこれ程の損傷を受けて尚、死ぬ以前に傷つく事すら無い。五つの脳と、七つの心臓を持つ不死不滅の肉体は、こうまでされても止まらない。
両腕から黒い有刺鉄線状の触手を伸ばし、魔神王をドラゴン殺しごと弾き飛ばした。
斬魄刀が魔神王の頭部を叩き割るよりも早く。魔神王が後方に退がって斬魄刀を躱すと、無惨の脳天目掛けて鉄塊と呼ぶべき重厚長大な剣を振り下ろす。
刃を用いた斬撃では、無惨の不滅の身体は瞬く間に再生する。その為に行うのは巨大な剣身を用いた打撃だ。ドラゴン殺しの質量はそれだけで人を絶命させ得る程のもの。それを魔神王の剛力で振るえば、羆ですら爆ぜて肉塊となるだろう。
骨が肉が、纏めて潰れる湿った鈍い音。大質量の鉄塊は、まともに被弾した無惨の頭を当然の様に潰し、勢いと重量に任せて心臓と肺腑を潰し、胸骨と肋骨を粉砕して、腹まで頭と胸の骨肉を押し込んでしまった。
だが、鬼の始祖である鬼舞辻無惨はこれ程の損傷を受けて尚、死ぬ以前に傷つく事すら無い。五つの脳と、七つの心臓を持つ不死不滅の肉体は、こうまでされても止まらない。
両腕から黒い有刺鉄線状の触手を伸ばし、魔神王をドラゴン殺しごと弾き飛ばした。
(やはり通じぬか)
素人目にも致命傷と分かる程に、体を複数箇所で斬り刻まれ、地面に仰向けに倒れ込んだのも束の間、何事も無かったかの様に、魔神王は平然と立ち上がる。
その姿に、再生を終えた鬼舞辻無惨は更に顔面に太い血管を浮かび上がらせた。
その姿に、再生を終えた鬼舞辻無惨は更に顔面に太い血管を浮かび上がらせた。
黒血枳棘。無惨の血液から作られる黒棘の鞭は、鬼の始祖の持つ能力により、人を鬼に変えて無惨の支配下に置くか、鬼化による肉体変異に耐えられないものの身体を崩壊させる効果が有る。
弾き飛ばした際に、多量の血液を身体に撃ち込んだにも関わらず、全く何の変異も見せずに立ち上がって来る魔神王に、鬼舞辻無惨は更に怒りを深くする。
相手もまた己と同じ人外化生。鬼化は通じぬだろうと思ってはいたし、不死性も知ってはいるが、実際に試してみて通じなければ腹も立つというもの。
ならばと全身に生成した口から吸息を行い。吸い溜めた空気を砲弾として撃ち出そうとするも、魔神王の吐息を吸い込んでしまい、盛大に吸った空気を吐き出させられてしまった。
咳き込みながら触手を再度振るい、魔神王を更に打ち据えようと図るも、魔神王の周囲に出現した氷塊に阻まれる。
硬い音と共に氷塊が砕け、氷塊に弾かれ逸れて虚空を裂く触手を彩るかの様に、透明な破片が宙を舞った。
無惨が次の行動に移るよりも早く、魔神王の反撃が開始される。
無惨目掛けて伸ばされる氷柱。直径30cmを優に超える其れは、氷柱というよりも氷の槍。否、氷の柱だ。
無惨は構う事なく氷柱を受ける。魔神王の肉体や血や吐息と違い、毒を受ける心配など無い。腹を貫かれながら魔神王の首を触手で刎ねようとして、唐突にその動きが止まる。
弾き飛ばした際に、多量の血液を身体に撃ち込んだにも関わらず、全く何の変異も見せずに立ち上がって来る魔神王に、鬼舞辻無惨は更に怒りを深くする。
相手もまた己と同じ人外化生。鬼化は通じぬだろうと思ってはいたし、不死性も知ってはいるが、実際に試してみて通じなければ腹も立つというもの。
ならばと全身に生成した口から吸息を行い。吸い溜めた空気を砲弾として撃ち出そうとするも、魔神王の吐息を吸い込んでしまい、盛大に吸った空気を吐き出させられてしまった。
咳き込みながら触手を再度振るい、魔神王を更に打ち据えようと図るも、魔神王の周囲に出現した氷塊に阻まれる。
硬い音と共に氷塊が砕け、氷塊に弾かれ逸れて虚空を裂く触手を彩るかの様に、透明な破片が宙を舞った。
無惨が次の行動に移るよりも早く、魔神王の反撃が開始される。
無惨目掛けて伸ばされる氷柱。直径30cmを優に超える其れは、氷柱というよりも氷の槍。否、氷の柱だ。
無惨は構う事なく氷柱を受ける。魔神王の肉体や血や吐息と違い、毒を受ける心配など無い。腹を貫かれながら魔神王の首を触手で刎ねようとして、唐突にその動きが止まる。
「おのれエエエエエエエ!!!!」
憤怒の絶叫。腹を貫いた氷柱から無数の棘が生え、無惨の体内を突き刺し抉って、傷をさらに拡げたのだ。
だが、これは明らかにおかしい。異常ですらある。幾ら鬼舞辻無惨が癇性を超えた癇症持ちとはいえ、自ら攻撃を受けたのだ。追撃が有ったとても、此処まで怒りを露わにする理由が無い。
無為に叫んでいる間に、ぐいと氷柱が引かれて、追随して魔神王の方へと蹌踉めきそうになる両脚に力を込めて踏み止まると、氷柱に手を掛けるなり掴み潰し、一気に引き抜く。
肉の裂ける湿った音と共に、無数の体内から、無数の棘を生やした氷柱が引き抜かれる。全ての棘に、血で赤く染まった無数の肉を大量にこびりつかせて。
最早人の形相すらかなぐり捨てて、まさしく鬼面となった鬼舞辻無惨は絶叫する。
だが、これは明らかにおかしい。異常ですらある。幾ら鬼舞辻無惨が癇性を超えた癇症持ちとはいえ、自ら攻撃を受けたのだ。追撃が有ったとても、此処まで怒りを露わにする理由が無い。
無為に叫んでいる間に、ぐいと氷柱が引かれて、追随して魔神王の方へと蹌踉めきそうになる両脚に力を込めて踏み止まると、氷柱に手を掛けるなり掴み潰し、一気に引き抜く。
肉の裂ける湿った音と共に、無数の体内から、無数の棘を生やした氷柱が引き抜かれる。全ての棘に、血で赤く染まった無数の肉を大量にこびりつかせて。
最早人の形相すらかなぐり捨てて、まさしく鬼面となった鬼舞辻無惨は絶叫する。
「私の身体に何をしたアアアアア!!!海馬乃亜アアアアアアアア!!!!!!」
無惨の怒りは、魔神王の攻撃に起因するものでは無い。この場に居ない、しかして今の無惨を見下ろして嘲笑っている、神を気取る面憎い子供。海馬乃亜へと向けられたものだ。
五つの脳と、七つの心臓。無惨の体内に存在する、人間ならば────鬼であっても一つしか無いはずの臓器。
その十二の器官の内、心臓が一つ、魔神王が無惨に打ち込んだ氷柱から伸びた棘により潰されたのだ。
凡そ生きる事、生き延びること、死を避ける事に特化した思考と気質を有する鬼舞辻無惨の心臓である。狙って潰せるものでは無いし、ましてや偶然で潰されるなど有り得ない。そんな事を許す鬼の始祖では無い。
本来ならば、棘が伸びた位置から素早く移動し、安全な部位へと移動する筈だった心臓が、不動のまま潰された。
この事実に無惨は激怒し、即座にその原因に思い当たって、怒りが天井を複数枚ぶち抜いて噴出した。
五つの脳と、七つの心臓。無惨の体内に存在する、人間ならば────鬼であっても一つしか無いはずの臓器。
その十二の器官の内、心臓が一つ、魔神王が無惨に打ち込んだ氷柱から伸びた棘により潰されたのだ。
凡そ生きる事、生き延びること、死を避ける事に特化した思考と気質を有する鬼舞辻無惨の心臓である。狙って潰せるものでは無いし、ましてや偶然で潰されるなど有り得ない。そんな事を許す鬼の始祖では無い。
本来ならば、棘が伸びた位置から素早く移動し、安全な部位へと移動する筈だった心臓が、不動のまま潰された。
この事実に無惨は激怒し、即座にその原因に思い当たって、怒りが天井を複数枚ぶち抜いて噴出した。
「この私の身体によくも!よくも!!殺してやるぞ海馬乃亜!!!!」
凄まじい声量の怒声は、最早声ですらなく音の域。それも雷の轟や山津波の響きを思わせる程のものだ。
常人どころか鬼殺隊の柱であってさえも、動きが止まるであろう轟。
しかし、今この場で、鬼舞辻無惨と対峙しているのは人ならざるもの。魔神王であった。
敵の面前で吠え狂うという愚行を見逃してやるつもりなど、この怪物には存在し無い。再度氷柱を伸ばして、無惨の肉体を貫こうとする。
その数七本。径こそ5cm程だが、貫かれれば生える棘が傷を広げる。むしろ数が増えた分脅威の度合いは増したと言える。
だが、相手は鬼舞辻無惨。生き残る事、生き延びる事に関しては、全参加者中最高と言って良い鬼の始祖。我を忘れるほどに逆上していても、危機が迫れば本能的に対処する。
憤怒の形相はそのままに、無言で左腕を伸ばし、鞭の様にしならせ、振るう。
尋常では無い速度で振われた腕により、七本の氷槍は粉砕された。振われた腕の、あまりの速度に、同時に砕けた様に見える程だった。
常人どころか鬼殺隊の柱であってさえも、動きが止まるであろう轟。
しかし、今この場で、鬼舞辻無惨と対峙しているのは人ならざるもの。魔神王であった。
敵の面前で吠え狂うという愚行を見逃してやるつもりなど、この怪物には存在し無い。再度氷柱を伸ばして、無惨の肉体を貫こうとする。
その数七本。径こそ5cm程だが、貫かれれば生える棘が傷を広げる。むしろ数が増えた分脅威の度合いは増したと言える。
だが、相手は鬼舞辻無惨。生き残る事、生き延びる事に関しては、全参加者中最高と言って良い鬼の始祖。我を忘れるほどに逆上していても、危機が迫れば本能的に対処する。
憤怒の形相はそのままに、無言で左腕を伸ばし、鞭の様にしならせ、振るう。
尋常では無い速度で振われた腕により、七本の氷槍は粉砕された。振われた腕の、あまりの速度に、同時に砕けた様に見える程だった。
「がっ!」
無惨の口から漏れる苦鳴。氷槍に僅かに遅れて放たれた光の矢が、無惨の身体の十数箇所を穿ったのだ。
「おのれエエエエエエエエエエ!!!!!!」
しかして不滅を誇る無惨の肉体。この程度では小揺るぎもしない。光条の内の一つが、心臓を穿っていなければ。
此の地に引き摺り込まれてから現在に至る時間は。千年を生きた無惨にしてみれば極小の刻、その僅かな時間に何度も何度も襲い来る、乃亜に起因する理不尽。
逆境、癒えぬ負傷。あまりにも、あまりにも連続する不条理に、鬼舞辻無惨は発狂したかと思う程に猛り狂う。
然して、流石は鬼舞辻無惨。『神仏の寵愛を一身に受けて生きている』とまで評された継国縁壱からも生き延びた存在だ。
無惨の首目掛けて振われたドラゴン殺しに反応し、手にした捩花を真っ向から叩きつける。
鋼と鋼の激突する響きと同時に、衝撃が刀身から手、腕と伝い、足にまで震撼し、僅かによろめいた事に愕然となった。
此の地に引き摺り込まれてから現在に至る時間は。千年を生きた無惨にしてみれば極小の刻、その僅かな時間に何度も何度も襲い来る、乃亜に起因する理不尽。
逆境、癒えぬ負傷。あまりにも、あまりにも連続する不条理に、鬼舞辻無惨は発狂したかと思う程に猛り狂う。
然して、流石は鬼舞辻無惨。『神仏の寵愛を一身に受けて生きている』とまで評された継国縁壱からも生き延びた存在だ。
無惨の首目掛けて振われたドラゴン殺しに反応し、手にした捩花を真っ向から叩きつける。
鋼と鋼の激突する響きと同時に、衝撃が刀身から手、腕と伝い、足にまで震撼し、僅かによろめいた事に愕然となった。
────拮抗が、崩れている!?
理由は実に単純だ。潰れた心臓が再生しない。この事により身体能力が落ちているのだ。
心臓が再生しないのは乃亜の手になる制限によるものであることは明白だ。問題はこれがいつまで続くか、時間を掛ければ治るのか、制限とやらを解除しなければ治らないのか。
何方にせよ、今のままでは不利であり、鬼舞辻無惨はこの時点で逃走を選択した。
モクバも充分に距離を稼いだ事だろう。もう良い。もう潮時だ。
然して、鬼舞辻無惨と対峙するのは魔神王。弱みを見せた敵を見逃す様なことはしない。
よろめいた無惨が立て直すより早く、魔神王は左半身になると、両手で柄を握りしめたドラゴン殺しを強振する。
判る者ならば、野球のバッティングだと見て取れる動きは、中島弘の脳を喰らって獲得した技術だ。
無論、所詮は児戯に過ぎないその動きは、稚拙にして粗雑だが、今までの棒振りよりと較べれば、確かに理に適った動きであり、速度と重さが跳ね上がった一撃は、立て直したばかりで満足に防げなかった無惨の防御を撃ち破り、無惨の脇腹の肉を抉り、丁度その位置にあった脳の一つを体外へと飛ばしただけで無く、無惨の身体も後方へと跳ね飛ばした。
心臓が再生しないのは乃亜の手になる制限によるものであることは明白だ。問題はこれがいつまで続くか、時間を掛ければ治るのか、制限とやらを解除しなければ治らないのか。
何方にせよ、今のままでは不利であり、鬼舞辻無惨はこの時点で逃走を選択した。
モクバも充分に距離を稼いだ事だろう。もう良い。もう潮時だ。
然して、鬼舞辻無惨と対峙するのは魔神王。弱みを見せた敵を見逃す様なことはしない。
よろめいた無惨が立て直すより早く、魔神王は左半身になると、両手で柄を握りしめたドラゴン殺しを強振する。
判る者ならば、野球のバッティングだと見て取れる動きは、中島弘の脳を喰らって獲得した技術だ。
無論、所詮は児戯に過ぎないその動きは、稚拙にして粗雑だが、今までの棒振りよりと較べれば、確かに理に適った動きであり、速度と重さが跳ね上がった一撃は、立て直したばかりで満足に防げなかった無惨の防御を撃ち破り、無惨の脇腹の肉を抉り、丁度その位置にあった脳の一つを体外へと飛ばしただけで無く、無惨の身体も後方へと跳ね飛ばした。
「グオおおお!!!」
肉片と血潮を撒き散らしながら、宙を飛んだ無惨は、空中で立て直し、両足で大地を踏みしめて立ち上がる。宙を飛ばされている間に手にした核金を使い、躊躇う事無くモクバから手に入れたシルバースキンを装着する。
今まで機を窺っていたが、向こうから離してくれたのは好都合。この機にシルバースキンを纏い、忌々しい死の光から身を守る。
今まで機を窺っていたが、向こうから離してくれたのは好都合。この機にシルバースキンを纏い、忌々しい死の光から身を守る。
(未だ陽は昇っていない。格好の相手もいる事だ、少し試すか)
シルバースキンを纏っても、無論の思考は逃げの一手。だが、此処で逃げずに道具の試運転をするというのは矛盾している様に思える。
実際には矛盾など全くしていない。生き汚い。昆虫に近いと評される鬼舞辻無惨の思考は、何処までも生き延びる事と、己の身の保全とに集約される。
これから先、陽光下での生存に当たっての不確定要素はなるべく早期に発見し、対策をするというのは、至極真っ当なものであった。
此処を去る前に目の前の相手を使って、この鎧の性能を試す。いざという時に重大な欠陥が有ったでは話にならないからだ。
眼前の敵が、あの怪物(縁壱)であれば、全ての思考と行動が逃走へと振り向けられただろうが、差し当たって己を即座に滅ぼせる事が出来ない敵であれば、試すだけの余裕も持てた。
実際には矛盾など全くしていない。生き汚い。昆虫に近いと評される鬼舞辻無惨の思考は、何処までも生き延びる事と、己の身の保全とに集約される。
これから先、陽光下での生存に当たっての不確定要素はなるべく早期に発見し、対策をするというのは、至極真っ当なものであった。
此処を去る前に目の前の相手を使って、この鎧の性能を試す。いざという時に重大な欠陥が有ったでは話にならないからだ。
眼前の敵が、あの怪物(縁壱)であれば、全ての思考と行動が逃走へと振り向けられただろうが、差し当たって己を即座に滅ぼせる事が出来ない敵であれば、試すだけの余裕も持てた。
距離を詰める事なく、魔神王が飛ばした来た氷の矢を棒立ちで受ける。一見案山子のように突っ立っているだけに見えるが、その実、脳と心臓に当たる矢に対しては、しっかりと防御と回避を行なっている。
────使えぬ!!!
装甲に当たった矢は音を立てて跳ね返された、それは良い。だが、被弾した箇所の装甲も弾けて散っている。これでは陽の光の下で攻撃を受ければ、弾けたその瞬間に陽光を浴びてしまう!!!
無惨の抱いた憤激を晴らすかのように、腕が音を超える速度で伸ばされ、魔神王の身体を強かに打ち据えた。
────使えぬ!!!
シルバースキンを突き破って伸びた腕で打撃を行った事で、魔神王の皮膚が裂け、血が無惨の腕に付着して皮膚を溶かした。
元よりシルバースキンは人間が装着することが前提だ。内側から腕を伸ばす、触手を生やすなどの人の形を崩す様な行為を行なった場所、変形した中身に合わせて形状を変える様な機能は存在していない。
必然的に、身体の形を大きく変えれば、変化した部分はシルバースキンに覆われていない、剥き出しの状態となる。
元よりシルバースキンは人間が装着することが前提だ。内側から腕を伸ばす、触手を生やすなどの人の形を崩す様な行為を行なった場所、変形した中身に合わせて形状を変える様な機能は存在していない。
必然的に、身体の形を大きく変えれば、変化した部分はシルバースキンに覆われていない、剥き出しの状態となる。
────この鎧を纏えば、が使えぬのは判るが、肉体操作すら能わぬとは!!!
シルバースキンの下で、顔を凶相に歪めて無惨が毒付く。
陽が昇るまで最早猶予が殆ど存在し無い。攻撃を受けた時の耐久性を計った上での結論は、やはり逃亡。
思う様に羽虫を払えぬ煩わしさは、堪えることもできるだろう。だが、陽の光はそうもいかぬ。我慢だの忍耐だのではどうにもならない。早急に離脱した上で、対策を講じる必要が有った。
思う様に羽虫を払えぬ煩わしさは、堪えることもできるだろう。だが、陽の光はそうもいかぬ。我慢だの忍耐だのではどうにもならない。早急に離脱した上で、対策を講じる必要が有った。
(陽が昇るまで幾許も無い。その前に、此奴をどうにかせねば)
このまま逃げても追ってくる。攻撃をされれば陽光を一瞬とはいえ浴びてしまう。只の一瞬ではあるが、陽の光を浴びるというそれだけは、なんとしても避けねばならなかった。
(アレを使うか…。しかし足止めになるのか?下弦や柱程度では話にもなるまい)
無惨の持つ最後の支給品。一枚の札(カード)に封じられた獣。これを解き放って、足止めとする。
問題なのは強さだ。デュエルモンスターズに関して全く無知の無惨には、このカードで足止めができるかどうかは判らない。
この敵の足を止めるには、上弦の鬼と比肩しうる戦力が要る。そんなモノが、支給品として与えられるなど有り得るのか?
問題なのは強さだ。デュエルモンスターズに関して全く無知の無惨には、このカードで足止めができるかどうかは判らない。
この敵の足を止めるには、上弦の鬼と比肩しうる戦力が要る。そんなモノが、支給品として与えられるなど有り得るのか?
(有り得る。この私や此奴が居るのならば、上弦程度の戦力が無ければ話にもなるまい)
海馬乃亜は殺し合いを成立させる為に、制限と支給品を用意したと言った。その言葉通りならば、上弦の鬼に匹敵する支給品があってもおかしくは無い。先刻出逢った者共の力量は、柱どころか柱に狩られ続けてきた下弦にすら劣る。そんな有象無象が千人万人居たところで。鬼舞辻無惨を討つ事など出来はしない。無惨を煩わせることしか出来ないのだから。
その事と無惨の支給品が上弦の鬼に比肩し得る強さかという事かは、また別の話ではあるが。
(10秒…いや、5秒保てば)
全力で駆ければ魔神王とてもどうにもならぬ距離を離すのに必要な時間を算出して、カードを取り出し、鬼舞辻無惨は魔神王が何もしてこない事に気が付いた。
訝しげに向けた視線の先で、魔神王が赤黒い物体を口に運んでいた。
訝しげに向けた視線の先で、魔神王が赤黒い物体を口に運んでいた。
「……何をしている」
その姿が無性に癇に触ったのは、魔神王が口にしているものが何なのか悟った為か。
「先程体外に溢れたお前の脳を一つ喰らっただけだ。おかげでお前の身体についても、滅ぼし方も理解出来たぞ。“鬼舞辻無惨”」
「貴様アアアアアアアアア!!!!!」
己が食われているという赫怒。己の正体が知られたという焦燥。それらが合わさった、何が何でも此奴を殺すという殺意。
そして、これ程の激情に全ての脳を灼かれながらも、己の不利を正しく認識する生存本能。
拮抗が崩れた以上。脳と心臓が動かせず、その位置を全て知られた以上。取るべき選択は逃走しかない。
足止めとするべくカードを使おうとした無惨の動きが停まる。
魔神王はさっきまでの場所から動いていない。ドラゴン殺しといえどもあの距離では届かない。光の矢や衝撃波も用いていない。
無惨の動きを停めたのはそれらとは別で、無惨には最も馴染み深いもの。
そして、これ程の激情に全ての脳を灼かれながらも、己の不利を正しく認識する生存本能。
拮抗が崩れた以上。脳と心臓が動かせず、その位置を全て知られた以上。取るべき選択は逃走しかない。
足止めとするべくカードを使おうとした無惨の動きが停まる。
魔神王はさっきまでの場所から動いていない。ドラゴン殺しといえどもあの距離では届かない。光の矢や衝撃波も用いていない。
無惨の動きを停めたのはそれらとは別で、無惨には最も馴染み深いもの。
後ろで束ねられた長い黒髪。
額にある炎のような形状の痣。
赤みがかかった赫灼の瞳。
額にある炎のような形状の痣。
赤みがかかった赫灼の瞳。
両耳の日輪の耳飾り。
無惨の両目の瞳孔が限界を超えて開かれる。
鬼舞辻無惨の脳に────否。全身の細胞に刻まれた記憶が、恐怖を絶望を絶叫している。
言葉すら無く、数瞬の間、天上天下唯我独尊という言葉の擬人化と言っても良い人格を有する鬼舞辻無惨が、我を忘れて震えていた。
鬼舞辻無惨の脳に────否。全身の細胞に刻まれた記憶が、恐怖を絶望を絶叫している。
言葉すら無く、数瞬の間、天上天下唯我独尊という言葉の擬人化と言っても良い人格を有する鬼舞辻無惨が、我を忘れて震えていた。
(支給品の効果!?有り得ぬ!!これでは殺し合いなど成立せぬ!制限など意味をなさぬ!!!)
所持した者が絶対強者となって、確実に勝利する。そんあ殺し合いを破綻させる様なモノなど許される筈はない。
理性はそう判じても、思考がそう断じても。記憶に残る、全身の細胞に刻まれた恐怖が一切の行動を封じている。
いまの鬼舞辻無惨を鬼狩りの者達が見れば、嬉々としてその全身を斬り刻んだだろう。
理性はそう判じても、思考がそう断じても。記憶に残る、全身の細胞に刻まれた恐怖が一切の行動を封じている。
いまの鬼舞辻無惨を鬼狩りの者達が見れば、嬉々としてその全身を斬り刻んだだろう。
だが、それほどの恐怖の記憶であっても、それほどの恐怖の記憶だからこそ、程なく気付く。
継国縁壱の持つ圧倒的な気配が無い事に。継国縁壱が、これ程の間、己を放置などしない事に。
『幻術』。その言葉が脳裏に浮かぶと同時に、継国縁壱の姿が風に吹き散らされた煙の様に消え失せた。
継国縁壱の持つ圧倒的な気配が無い事に。継国縁壱が、これ程の間、己を放置などしない事に。
『幻術』。その言葉が脳裏に浮かぶと同時に、継国縁壱の姿が風に吹き散らされた煙の様に消え失せた。
発声というレベルを超えて、爆音ともいうべき怒声と共に、鬼舞辻無惨が再始動する。
愚弄を超えた愚弄を更に超えた愚弄は、鬼舞辻無惨の理性を完全に消し飛ばした。
愚弄を超えた愚弄を更に超えた愚弄は、鬼舞辻無惨の理性を完全に消し飛ばした。
「幻術というモノだ。見るのは初めてか?鬼舞辻無惨」
背後からの声に竜巻の様な勢いで振り向いた無惨の前に、黒の威容が在った。
「本来ならば、幻を見せるだけに留まらぬのだがな」
手にした札(カード)を無惨に見せびらかしながら、魔神王は嘲笑する。
「お前の手にした札から尋常では無い魔力を感じたのでな。興味を惹かれたので貰う事にした。丁度良い記憶も見れた事だしな」
無惨には馴染みの薄い。魔神王には馴染み深いその威容は、ドラゴンと呼ばれる存在。
“真紅眼の黒龍(レッドアイズ・ブラックドラゴン)”それがこの龍の名である。
「良いモノをもらった。礼を言うぞ、鬼舞辻無惨」
何度も何度も無惨の名を口にするのは、無惨が名を知られる事を厭うている事を知った上で愚弄しているのだった。
怒りに顔を歪めた無惨だが、真紅眼の黒龍を見て、即座に行動と思考を切り替えた。
既にその口腔に強大なエネルギーが溜まりつつある。それを見てとった無惨は、回避行動に移ろうとするが、無惨の弱味を知っている魔神王が見逃すはずも無い。
余裕綽々で嘲笑しながら、氷の矢を百本程射出。三分の一が無惨へと殺到し、残りは周囲を埋める様に飛んで回避先を潰しにかかる。
いつ陽光に照らされるか分からない状況下に於いて、シルバースキンの防御力に任せるという選択肢は無惨には無い。憤怒の余りに怒号を上げながら、捩花を振るって自身へと飛来する矢を悉く打ち砕き────真紅眼の黒龍の口腔から放たれた破滅的なエネルギーが、無惨の総身を呑み込んだ。
既にその口腔に強大なエネルギーが溜まりつつある。それを見てとった無惨は、回避行動に移ろうとするが、無惨の弱味を知っている魔神王が見逃すはずも無い。
余裕綽々で嘲笑しながら、氷の矢を百本程射出。三分の一が無惨へと殺到し、残りは周囲を埋める様に飛んで回避先を潰しにかかる。
いつ陽光に照らされるか分からない状況下に於いて、シルバースキンの防御力に任せるという選択肢は無惨には無い。憤怒の余りに怒号を上げながら、捩花を振るって自身へと飛来する矢を悉く打ち砕き────真紅眼の黒龍の口腔から放たれた破滅的なエネルギーが、無惨の総身を呑み込んだ。
◆
無惨を呑み込んだエネルギー塊が飛んでいった方向と逆の方向へと移動しながら魔神王は思考する。
只の二戦。たった二人と戦っただけでこうまで消耗するとは思わなかった。これでは制限の所為もあって、もう一度あのレベルの者と戦えば魔力が尽きる。何処かで回復を図るべきだった。
タブレットで周囲の地図を見ながら思考を巡らせる。
只の二戦。たった二人と戦っただけでこうまで消耗するとは思わなかった。これでは制限の所為もあって、もう一度あのレベルの者と戦えば魔力が尽きる。何処かで回復を図るべきだった。
タブレットで周囲の地図を見ながら思考を巡らせる。
(先程の者共は逃げたが、かえって好都合)
魔神王の変身能力をあの者共は知っている。誰が殺されて入れ替わられているかなど、この地で初めて出逢う者共には、死者の名を伝える乃亜の通達が有っても判るまい。何しろ名前を告げられても顔と一致しないのだから。名を偽ればそれまでだ。
そして、魔神王の名も知らぬ以上。常時入れ替わりを警戒し続ける事になる。出逢う者達に警告し、人を殺して入れ替わる存在について触れ回れば、事態は更に悪化する。
そして、魔神王の名も知らぬ以上。常時入れ替わりを警戒し続ける事になる。出逢う者達に警告し、人を殺して入れ替わる存在について触れ回れば、事態は更に悪化する。
(変わる姿を増やす必要が有る)
変わる姿が多ければ多い程、惑わし易く、事は露見しにくくなる。今の中島弘の姿から、別の者に姿を変えれば、先程の者共も判別がつくまい。
その為にも、生死を問わずに脳を喰らう必要が有る。
その為にも、生死を問わずに脳を喰らう必要が有る。
(“器”の姿を知る者の抹殺も必ず行わねばならぬ)
だが、生存者が少なくなり、死人の顔と名を知る者が多くなる最終局面では、その時まで秘していた本来の姿で活動する事になるだろう。
その時の為にも、本来の姿を知る、最初に交戦した不死王と、中島弘の脳を喰らっていたところを覗き見ていた者は、必ず殺さなければならなかった。
己の正体と姿を秘匿する。それこそが魔神王の勝利へと繋がる事になるだろうから。
戦場跡から去る魔神王、暁の光が照らしていた。
その時の為にも、本来の姿を知る、最初に交戦した不死王と、中島弘の脳を喰らっていたところを覗き見ていた者は、必ず殺さなければならなかった。
己の正体と姿を秘匿する。それこそが魔神王の勝利へと繋がる事になるだろうから。
戦場跡から去る魔神王、暁の光が照らしていた。
【E-3/1日目/早朝】
【魔神王@ロードス島伝説】
[状態]:健康 (魔力消費・大)
[装備]:ドラゴンころし@ベルセルク、魔神顕現デモンズエキス×3@
アカメが斬る!
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~2、魔神顕現デモンズエキス(5/2)@アカメが斬る! 、真紅眼の黒龍@遊戯王デュエルモンスターズ
[思考・状況]基本方針:乃亜込みで皆殺し
0:アーカードと覗き見をしていた者を殺す
1:アーカードを滅ぼせる道具が欲しい。
2:魂砕き(ソウルクラッシュ)を手に入れたい
3:変身できる姿を増やす
4:覗き見をしていた者を殺すまでは、本来の姿では行動しない。
5:本来の姿は出来うる限り秘匿する。
[備考]
自身の再生能力が落ちている事と、魔力消費が激しくなっている事に気付きました。
中島弘の脳を食べた事により、中島弘の記憶と知識と技能を獲得。中島弘の姿になっている時に、中島弘の技能を使用できる様になりました。
中島の記憶により永沢君男及び城ヶ崎姫子の姿を把握しました。城ヶ崎姫子に関しては名前を知りません。
鬼舞辻無惨の脳を食べた事により、鬼舞辻無惨の記憶を獲得。無惨の不死身の秘密と、課せられた制限について把握しました。
鬼舞辻無惨の姿に変身することや、鬼舞辻無惨の技能を使う為には、頭蓋骨に収まっている脳を食べる必要が有ります。
変身能力は脳を食べた者にしか変身できません。記憶解析能力は完全に使用不能です。
[状態]:健康 (魔力消費・大)
[装備]:ドラゴンころし@ベルセルク、魔神顕現デモンズエキス×3@
アカメが斬る!
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×1~2、魔神顕現デモンズエキス(5/2)@アカメが斬る! 、真紅眼の黒龍@遊戯王デュエルモンスターズ
[思考・状況]基本方針:乃亜込みで皆殺し
0:アーカードと覗き見をしていた者を殺す
1:アーカードを滅ぼせる道具が欲しい。
2:魂砕き(ソウルクラッシュ)を手に入れたい
3:変身できる姿を増やす
4:覗き見をしていた者を殺すまでは、本来の姿では行動しない。
5:本来の姿は出来うる限り秘匿する。
[備考]
自身の再生能力が落ちている事と、魔力消費が激しくなっている事に気付きました。
中島弘の脳を食べた事により、中島弘の記憶と知識と技能を獲得。中島弘の姿になっている時に、中島弘の技能を使用できる様になりました。
中島の記憶により永沢君男及び城ヶ崎姫子の姿を把握しました。城ヶ崎姫子に関しては名前を知りません。
鬼舞辻無惨の脳を食べた事により、鬼舞辻無惨の記憶を獲得。無惨の不死身の秘密と、課せられた制限について把握しました。
鬼舞辻無惨の姿に変身することや、鬼舞辻無惨の技能を使う為には、頭蓋骨に収まっている脳を食べる必要が有ります。
変身能力は脳を食べた者にしか変身できません。記憶解析能力は完全に使用不能です。
※現在中島弘の姿をしています。
※真紅眼の黒龍は12時間使用不能です。
※幻術は一分間しか効果を発揮せず。単に幻像を見せるだけにとどまります。
※真紅眼の黒龍は12時間使用不能です。
※幻術は一分間しか効果を発揮せず。単に幻像を見せるだけにとどまります。
◆
怒号と共に、鬼舞辻無惨は猛速で飛ばされていた。
『回避が間に合わない』そう悟った刹那。思考よりも速く肉体が動き、回避行動に移ったのが運の尽き。生存本能により動いて跳躍した瞬間に被弾した無惨の肉体は、踏みとどまる事も叶わず飛び続ける。
『回避が間に合わない』そう悟った刹那。思考よりも速く肉体が動き、回避行動に移ったのが運の尽き。生存本能により動いて跳躍した瞬間に被弾した無惨の肉体は、踏みとどまる事も叶わず飛び続ける。
「がアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!」
無惨にとっては永遠にも感じられるが、その実短い飛翔の果てに、無惨の肉体は鉄筋コンクリート製の壁に激突しシルバースキンの硬度と無惨の質量、飛翔の勢いで壁を貫通。
衝撃で背中側のシルバースキンが弾けると同時。壁に着弾した黒炎弾が盛大に爆発。前面
のシルバースキンも弾け飛び、爆風で無惨の身体は建物内の鉄筋コンクリート製の壁に全身が潰れる勢いで激突。更に爆風で飛散したコンクリート片や鉄骨が無惨の身体に無数に襲い掛かった。
哀れにも鬼の始祖は、全身の護りが無くなった状態で、本来の歴史で受ける攻撃を受ける事と相成った。
衝撃で背中側のシルバースキンが弾けると同時。壁に着弾した黒炎弾が盛大に爆発。前面
のシルバースキンも弾け飛び、爆風で無惨の身体は建物内の鉄筋コンクリート製の壁に全身が潰れる勢いで激突。更に爆風で飛散したコンクリート片や鉄骨が無惨の身体に無数に襲い掛かった。
哀れにも鬼の始祖は、全身の護りが無くなった状態で、本来の歴史で受ける攻撃を受ける事と相成った。
鬼殺隊の面々が見れば、指差して嗤うだろう光景だった。
~20分後~
身体を何とか再生し、癇癪のままに周囲を破壊し尽くした鬼舞辻無惨は、叩き込まれた建物内────モチノキデパートの内部を探索していた。
シルバースキンの性能は把握した。
アレだけのエネルギー塊を受けても、直接のダメージが無かったのは驚嘆に値する。後は煩わしいが自分で工夫して欠点を埋めれば良い。
取り敢えず陽光を防げそうなモノを見付けて着込む。その上からシルバースキンを装着すれば、例えシルバースキンが弾けても、内部に在る無惨の身体は死の陽光から護られる。
そうして内部を探索し、見つけた諸々の品を身に付けたモノは、雨合羽とマスクとサングラス。
シルバースキンの性能は把握した。
アレだけのエネルギー塊を受けても、直接のダメージが無かったのは驚嘆に値する。後は煩わしいが自分で工夫して欠点を埋めれば良い。
取り敢えず陽光を防げそうなモノを見付けて着込む。その上からシルバースキンを装着すれば、例えシルバースキンが弾けても、内部に在る無惨の身体は死の陽光から護られる。
そうして内部を探索し、見つけた諸々の品を身に付けたモノは、雨合羽とマスクとサングラス。
ハア ハア
何か聴こえてきたのはきっと気の所為。
丸太はどうしたとか突っ込んではいけない。
見るからに変質者だが、陽光を浴びると死ぬから仕方無い。返り血浴びると吸血鬼になるくらい仕方無い。
丸太はどうしたとか突っ込んではいけない。
見るからに変質者だが、陽光を浴びると死ぬから仕方無い。返り血浴びると吸血鬼になるくらい仕方無い。
◆
シルバースキンを装着して、鬼舞辻無惨は今後の方針について考える。
一先ずは陽光への備えは出来た。後は今後の方針だが────。
一先ずは陽光への備えは出来た。後は今後の方針だが────。
(中島は必ず殺す)
あの中島という子供に入れ替わっていた者は、絶対に、何があっても殺す必要が有る。
愚弄を超えた愚弄を行なったこともそうだが、鬼舞辻無惨の名と、不死身の秘密を知った以上、生かしておくことは出来ない。
アレが『鬼舞辻無惨』の名と存在について触れ回る前に殺す必要が有る。
然し、それがまた面倒な事ではある。先程の戦闘で、身体能力が相当に落ちている事に気づいてもいる。脳と心臓とが動かせなくなっている上に、潰された脳と心臓の再生が異常に遅い事も込みで考えた場合。
あの強さの敵でなくとも、柱並の者が複数でくれば殺されかねない。
先ずは首輪を外す事。自分を此処まで飛ばした、支給品のあの獣。海馬乃亜は当然アレと同等のモノを所持していると考えて良いだろう。首輪の爆破という条件を抜きにしても、現状では勝てる相手では無い。
愚弄を超えた愚弄を行なったこともそうだが、鬼舞辻無惨の名と、不死身の秘密を知った以上、生かしておくことは出来ない。
アレが『鬼舞辻無惨』の名と存在について触れ回る前に殺す必要が有る。
然し、それがまた面倒な事ではある。先程の戦闘で、身体能力が相当に落ちている事に気づいてもいる。脳と心臓とが動かせなくなっている上に、潰された脳と心臓の再生が異常に遅い事も込みで考えた場合。
あの強さの敵でなくとも、柱並の者が複数でくれば殺されかねない。
先ずは首輪を外す事。自分を此処まで飛ばした、支給品のあの獣。海馬乃亜は当然アレと同等のモノを所持していると考えて良いだろう。首輪の爆破という条件を抜きにしても、現状では勝てる相手では無い。
(やはり首輪を外さねばならぬ。その為にもモクバに死なれる訳にもいかん)
最悪なのが、中島がモクバを殺して、知識と記憶を奪い、入れ替わる事だった。そうなって仕舞えば鬼舞辻無惨は、首輪の解除を握られ、中島に隷従を強いられる事になる。
(それだけは、それだけは、絶対に許さぬ!!!)
モクバが死んでも心は痛まぬが、首輪を外すか、若しくはモクバには首輪を外せないという事が判明するまでは、生きていて貰わなければならない。
顔に焦燥を浮かべて、鬼舞辻無惨はモクバと合流するべく走り出した。
顔に焦燥を浮かべて、鬼舞辻無惨はモクバと合流するべく走り出した。
どれだけ愚弄されても、どれだけの苦境に立たされても、鬼舞辻無惨の生きようとする意志は、決して挫ける事が無かった。
【鬼舞辻無惨(俊國)@鬼滅の刃】
[状態]:ダメージ(中) 回復中 脳4/5 心臓5/7 俊國の姿、乃亜に対する激しい怒り。警戒(大)。 魔神王(中島)に対する強烈な殺意(極大)
[装備]:捩花@BLEACH、シルバースキン@武装錬金 雨合羽、マスク、サングラス@現実
[道具]:基本支給品、夜ランプ@ドラえもん(使用可能時間、残り6時間)
[思考・状況]基本方針:手段を問わず生還する。
0:中島(魔神王)にブチ切れ。次会ったら絶対殺す。
1:もし居れば、禰豆子を最優先で探索し喰らう。死ぬな、禰豆子!
2:脱出するにせよ、優勝するにせよ、乃亜は確実に息の根を止めてやる。
3:首輪の解除を試す為にも回収出来るならしておきたい所だ。
4:禰豆子だけならともかく、柱(無一郎)が居る可能性もあるのでなるべく慎重に動きたい。
5:何にせよ次の放送までは俊國として振る舞う。
6:モクバと合流する
[備考]
参戦時期は原作127話で「よくやった半天狗!!」と言った直後、給仕を殺害する前です。
日光を浴びるとどうなるかは後続にお任せします。無惨当人は浴びると変わらず死ぬと考えています。
また鬼化等に制限があるかどうかも後続にお任せします。
容姿は俊國のまま固定です。
心臓と脳を動かす事は、制限により出来なくなっています、
心臓と脳の再生は、他の部位よりも時間が掛かります。
雨合羽と、マスクと、サングラスを身に付けた上からシルバースキンを装着しています
[状態]:ダメージ(中) 回復中 脳4/5 心臓5/7 俊國の姿、乃亜に対する激しい怒り。警戒(大)。 魔神王(中島)に対する強烈な殺意(極大)
[装備]:捩花@BLEACH、シルバースキン@武装錬金 雨合羽、マスク、サングラス@現実
[道具]:基本支給品、夜ランプ@ドラえもん(使用可能時間、残り6時間)
[思考・状況]基本方針:手段を問わず生還する。
0:中島(魔神王)にブチ切れ。次会ったら絶対殺す。
1:もし居れば、禰豆子を最優先で探索し喰らう。死ぬな、禰豆子!
2:脱出するにせよ、優勝するにせよ、乃亜は確実に息の根を止めてやる。
3:首輪の解除を試す為にも回収出来るならしておきたい所だ。
4:禰豆子だけならともかく、柱(無一郎)が居る可能性もあるのでなるべく慎重に動きたい。
5:何にせよ次の放送までは俊國として振る舞う。
6:モクバと合流する
[備考]
参戦時期は原作127話で「よくやった半天狗!!」と言った直後、給仕を殺害する前です。
日光を浴びるとどうなるかは後続にお任せします。無惨当人は浴びると変わらず死ぬと考えています。
また鬼化等に制限があるかどうかも後続にお任せします。
容姿は俊國のまま固定です。
心臓と脳を動かす事は、制限により出来なくなっています、
心臓と脳の再生は、他の部位よりも時間が掛かります。
雨合羽と、マスクと、サングラスを身に付けた上からシルバースキンを装着しています
※モチノキデパートの南側の壁に大穴が開きました。
※デパート内の穴から入った付近は、鬼舞辻無惨により破壊の限りを尽くされました。
※デパート内の穴から入った付近は、鬼舞辻無惨により破壊の限りを尽くされました。
056:BATTLE ROYALE 命尽き果てるまで戦い続ける者たち | 投下順に読む | 058:無情の世界 |
時系列順に読む | ||
051:「藤木、友達を失くす」の巻 | 魔神王 | 076:HAPPY END BRAVER? |
鬼舞辻無惨(俊國) | 093:悪魔は神には頼らない |