コンペロリショタバトルロワイアル@ ウィキ

第1回放送

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「……6割方、といったところか」

一人用のソファーのような高級椅子に腰掛け、腕起きの先に備わったキーを入力しながら海馬乃亜は呟く。
殺し合い開始から、既に6時間が経過しようとしている。脱落者は0回放送以前を含めれば、既に20名以上を軽く超え、悪くないペースでゲームは進行していた。
ただ一点、参加者を縛る戒めであり枷たる首輪の解析情報の流出を除けば。
乃亜の前に展開された巨大なモニターに表示されているのは、首輪の内部構造とそれを司るシステムの全て。

「流石は天才ダイダロスの生み出したエンジェロイド、これは僕の想定を超えていたよ。
 首輪の解析データを6割も会場の施設に転送されるとは」

制限下にありながら、命と引き換えとはいえニンフは首輪の制限を突破し、数秒足らずで首輪の解析を終えたのだ。

「制限を解除されること自体は想定していたけど、まさかニンフが一番先にそれを行うととはね。
中々、楽しませてくれる」

たまらず、苦笑しながら乃亜は呟く。

乃亜の予想では高い爆発力と潜在力を持つ孫悟飯、または強固な渇望を抱くウォルフガング・シュライバーか、本来の姿へと還ったメリュジーヌ等が制限を真っ先に外してくるだろうと考えていたが、それは大きく外れた。
おまけにもう一人、フランドール・スカーレットも一部の制限を超えた能力を行使している。
これも乃亜の想定外の事象だ。しかも、ネモの説得により純粋なマーダーでもなくなっている。

「存外、分からなくなってきたな。
マーダーのパワーと質を重視したつもりだけど、対主催も中々粘るじゃないか」

無論、結末の決まった出来レースでは面白くない。乃亜に反抗するであろう者も、敢えて殺し合いには招いている。
とはいえ、乃亜が敗北するなど万一も考えてはいなかった。対主催の足掻きは無駄に終わり、そしてマーダーに蹂躙され、最後には一人の優勝者が残るのだろうと。
とはいえ全員がマーダーでは、見ていてつまらない。
対主催は、あくまでマーダーの当て馬、踏み台のようなつもりだった。
だが、首輪の解析を一気にここまで推し進めたのは乃亜の計算外だ。場合によっては、乃亜の前に対主催達が辿り着く可能性も否定しきれない。

「まあ、対主催連中の相手をしてやってもいいけど…1日も経たず殺し合いを破綻させられてもね…。
 それに僕の前に立つからには、相応の選別を行わなくては」

改めて、乃亜はモニターを注視する。
海馬コーポレーションと図書館に転送された情報は、ニンフのジャミングにより保護されていた。

「この情報を消すには時間がかかるか……」

非常に強固なジャミングシステムだ。これを突破するには、かなりの時間を有するだろう。
主催本部(こちら)からの攻撃で施設を潰すのもアリだが、参加者同士の殺し合いというルールである以上、主催である乃亜の介入は極力避けたい。

「禁止エリアも露骨過ぎる…さて」

禁止エリアの指定も考えたが、データ転送されたエリアに付近には絶望王と灰原哀、そして孫悟空とネモがいる。聡明な灰原とネモのことだ。あまり人のいないであろうエリアを禁止したことで違和感を覚え、逆にヒントを与える結果にもなりかねない。

「施設を増やしてみるか」

カタカタとキーを入力し、巻き込まれた参加者達の世界から目ぼしい施設をピックアップする。

「施設のチョイスと配置に関しては、僕もあまり納得も行かなかったしね。丁度いい」

単純な話だ。
海馬コーポレーションや図書館以外にも、目に付くような施設を増やし参加者をそちらに誘導する。
追加施設の配置も調整することで、参加者が一部のエリアに固まり過ぎたのもある為、それなりに分散させることも狙える。そうすることで、より多くの参加者を接触させ、殺し合いへと発展させられるかもしれない。
仮にこれらの乃亜の動向から、聡い参加者が思惑に気付き、首輪の情報を手に入れてもそれならそれで構わない。
乃亜の前に立つ者として、優秀な参加者である事を自ら証明した事になるのだから。

「このデコイに惑わされず、僕への挑戦状を手にするのは果たして何人いるのかな?」



───



夜明け後の早朝、5時間前と同じようにソリッドビジョンにより、乃亜の姿が朝空に投影された。

『やあ、諸君。
 夜も明け、ようやく朝を迎えた所だね。中々、気持ちのいい気候だとは思わないかい?
 こう見えて、君達が快適に殺し合えるように、島の気候には注意を払っているんだ。
 フフ…さて、先ずは0回放送後からの脱落者を読み上げていくとしよう。

 小嶋元太
 アーカード
 ロキシー・ミグルディア
 ベッキー・ブラックベル
 右天
 野原しんのすけ
 マニッシュ・ボーイ
 有馬かな
 山本勝次
 条河麻耶
 城ヶ崎姫子
 美遊・エーデルフェルト
 リップ=トリスタン
 ニンフ
 エスター

 素晴らしい。想像以上の脱落者数だ。僕も、気候に気を遣った甲斐があるよ。
 次に禁止エリアの指定だ。

 E-4
 G-2
 H-5

 以上の三か所を二時間後に禁止エリアとする。
 ……これは、力の弱い者にとってはチャンスかもしれないね。どんな参加者であろうと、首輪の爆破には耐えられない。
 力で及ばないのなら、知恵と工夫で対抗するんだ。ただ強いだけの者が優勝出来るほど甘くはないのさ。
 精々頑張ってくれたまえ。弱者や、哀れな抵抗を続ける対主催もね。
 ああ、もう一度言っておくが禁止エリアは地図には表示されない。覚える自信のない者は、メモしておくといい。

 さてこの放送後、参加者名簿を君達のタブレットに転送しよう。お友達が居ないか確認したいのなら好きにすると良い。
 特に…クク、誰とは言わないけど仲間がいるか確認もせず、早とちりして意味なく死んだ馬鹿な女の子も居たからね。何やら祈って死んでたけど、あれは見てて傑作だったよ。フフフ……。

 それと島にある施設をいくつか増やす事にする。地図も確認し、新たな戦略に組み込むと良い。
 テコ入れのようなものかな。
 参加者が集まりそうな地点に先回りし、待ち伏せして狩るも良し。
 まあ、無駄だと思うけど、対主催は逆に殺し合いから脱し、僕を倒す為のお仲間探しにでも活用しても良いんじゃないかな?
 そうそう…マーダー諸君も、もう少し奮って欲しいものだね。
 脱落者の数こそ多いものの、個別に見れば大して殺せていない者も少なくない。
 特に自らを強者と思ったマーダーほど、大して殺せていないじゃないか。
 言った筈だ。僕は、優秀な者を評価するとね。これ以上、僕を失望させないでくれ。
 この意味は分かるよね? 次の放送までに、君達の誇る強さは驕りではないと、この僕に認めさせてみたまえ。
 フフ…では、今回の放送はここまでとしよう。殺し合いをより促進させてくれることを期待している』



───



「以前は遊戯の絆の強さとやらに不覚を取ったけど、所詮はこんなものか……」

絆…結束といった数というアドバンテージは否定しようのない事実だが、反面容易く崩れるのものだと乃亜は思った。
ちょっと時系列を弄ってやっただけで、美遊・エーデルフェルトは無駄に人を殺め、無駄に死んで、助けたかったはずのイリヤに重荷だけを背負わせた道化と化した。
ほんの少し、工作するだけで人の絆など容易く弄べるのだ。

「やはり、この小説を元にしたのは正解だったよ。
……僕の”世界線”では僕を捨てた父上も瀬人も遊戯達も、全てミサイルで吹き飛ばしてしまったからね。
 だから退屈で仕方なかったけど、これ以上の娯楽はそうはない」

乃亜の前に映し出されたモニターの下、デスクの上に置かれた一冊の本。
本来の歴史とは異なり、別の歴史を歩んだ乃亜が出逢った一作の小説。
それは架空の国で、中学生を島に集め殺し合わせるといったもので、とある別世界で流行した小説だった。
少なくとも乃亜が目を通し、面白いと感じる程に高水準にまで仕上げた一作。
そしてインスピレーションを受け、乃亜が作中のデスゲームを再現する元凶にもなった。

「全てを殺さねばならない敵だらけというゲームの中で、どれだけ絆が力を発揮するか、見物だね」

そのタイトルは、今まさに行われている殺人ゲームと同じ、バトル・ロワイアルと題されていた。



※乃亜の参戦時期は119話にて剛三郎に捨てられて以降、モクバの肉体を乗っ取る以前の何処かです。そこから、原作本編と分岐しています。

※ニンフが転送した首輪の解析データは6割ほど、乃亜が消去するには時間が掛かります。

※二時間後にE-4、G-2、H-5が禁止エリアとなります。タブレットの地図アプリに、表示は反映されません。

※参加者のタブレットに、参加者名簿のアプリが追加されました。

※新しく追加された施設は以下になります。
A-8 決闘塔アルトカラズ@遊戯王デュエルモンスターズ
C-2 人理継続保障機関フィニス・カルデア@Fate/Grand Order
C-5 東京タワー@カードキャプターさくら
C-7 第三芸能課事務所@アイドルマスター シンデレラガールズ U149(アニメ版)
F-2 モルツォグァッツァ@血界戦線(アニメ版)
F-4 阿笠博士の研究所@名探偵コナン
F-6 中央司令部@鋼の錬金術師
I-5 海馬ランド(KCグランプリ編)@遊戯王デュエルモンスターズ
I-8 終末の谷@NARUTO-少年編-


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