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翼を広げた少年が高空から地上を睥睨していた。
 朝を迎え、陽光に満ちた天空を背に、地上に昏い影を落とすのは、鬼舞辻無惨が姿絵を変え
ていた少年の姿となった魔神王。

 「随分と端へと飛ばされたものだ」

 伊達や酔狂で魔神王は空に居るわけではない。単純な話で、水銀燈に地図を奪われ、絶望王に殴り飛ばされて、現在位置を把握出来なくなった為に、上空から周囲の地形を確認する事にしたのだ。
 頭部から角を生やし、両腕を剛毛の生えそろった獣のそれに変え、両脚もまた、蹄の有る獣のそれに変えて、漆黒の翼を拡げて天に有るその姿は、正しく悪魔と呼ぶに相応しい。
 他の者が見れば、この姿の本来の主である鬼舞辻無惨を、人外化生の類と思うだろう。
 悪目立ちする事この上無いが、鬼舞辻無惨を対主催を掲げる者共から孤立させるという目的には合致している。

 「二つは海か」

 高みから四方を見渡した結果、二方向が海であり、進む先は実質二つしか無い事を見て取った魔神王は、何方へ向かうかを考える。
 視界に収まる大きな施設は二つ。無傷なものと、屋根に大きな穴が空いたものと。
 少しの間考えて、魔神王は向かうべき方向を決めた。


 ◆

魔神王が移動する先として選んだのは、屋根に大穴が空いた建物、映画館である。
 此処を選んだ理由は、魔力が回復するまでの間、潜む場所として丁度良いと思ったからだ。
 堅牢な鉄筋コンクリート製の建造物の屋根に大穴が空いているという事は、此処で戦闘が有ったという事。そして、これ程の威力の攻撃を行える者は、既に戦闘を終えて他の場所へと移動しているであろう事。
 当面の間、強敵とぶつかる可能性が低く、尚且つ隠れ潜むには困らない広さの建造物。更には回復した後に、他の場所へと移動するのにも適している。
 これらの理由から、魔神王が此処を当面の拠点とする事にした。

 そして今、角も無く、両手足も人のそれとなった魔神王の眼前に、頭蓋に穴の空いた子供の頭と、半分しか無い子供の頭が並んでいた。
 ゼオン・ベルとジャック・ザ・リッパーの手により命を落とし、勇者ニケにより首輪の回収のために首を切断され、その後に埋葬された野原しんのすけと右天の頭部である。
 二人を埋葬したのが、人の脳を喰らう事で、その記憶と技能を獲得するという特性を持つ魔神王の存在を知らないニケであった為に、地面を掘り返し、埋めた跡が簡単に分かってしまったのが、この二人の不幸だった。

 「あの時の子供か」

 二人の脳を喰らい尽くし、その記憶を確認した魔神王は、絶望王と交戦している最中に乱入してきた修羅の雷帝を脳裏に思い描いた。
 右天の記憶から識る事ができたゼオンは、これもまた強者と呼ぶに相応しい。今の消耗した状態であれば、勝つ事は困難であるといえる程に。
 それだけに、ゼオンが絶望王相手に使わなかった呪文を識る事が出来たのは幸いだった。この事は、ゼオンとの一戦に於いて、必ずや有利になるだろう。

「良い拾い物をした」

 右天の脳が齎したものはゼオンに関する知識だけでは無い。F・バミューダアスポートこそ、脳が二つになっていた影響か、使える様にはならなかったが。
 失意の庭というマジックアイテム。それを使用したものを蝕む呪詛。
 反英霊ジャック・ザ・リッパーですらが避けた程の呪詛ではあるが、魔神王にはむしろ糧だ。呪詛に蝕まれた右天の脳を喰らい尽くし、魔力をある程度回復させることが出来たのは予想外の事だった。

 もう一人の子供。野原しんのすけの記憶は全く判然としないものだった。何しろ全く分からないうちに殴り倒され、気がつけば此処で友人となった吸血鬼の、フランドール・スカーレットに殺されているのだから。
 しんのすけの首から下の部分も地面から掘り出して、死体を具に観察してみるものの、フランから受けた傷と、心臓を抉り取った跡が有るだけ。

 「喰らったか?」

 死んだ子供から心臓を引き抜いてどうするのか。喰らうのか、魔術の触媒にでもするのか。死体だけでは、当然ながら魔神王にも判別が付かない。

 「まぁ良い」

 紛れも無い強敵である、ゼオンの事が知れただけでも収穫といえる。
 それよりも気にするべきは、並んで埋葬されていた右天としんのすけの間に、面識が存在しない事。
 二人揃ってこの場所で死亡したのにも関わらず、両者は出会ってすら居ないのだ。これは一体どういう事なのか。
 他にも居合わせた者がいるが、その全員がしんのすけと接触していない。しんのすけの記憶からは、フランドール・スカーレット以外と接触してはいないのだ。
 これはしんのすけが命を落とす原因となったジャック・ザ・リッパーの能力によるところもあるが。
 ジャックの不意打ちで意識を失い、気がついた時には致命傷を負っているでは、ジャックの能力など関係無しに、しんのすけの記憶から得られる情報など存在しないが、魔神王には知る由もない。
 無言でしんのすけの身体をもう一度検め、そして脳を失った頭部を観察すると、後頭部に傷が有った。
 おそらくはこの傷を受けた際にしんのすけは意識を失い、そのままフランへの盾とされたのだろう。だが、これはゼオンの仕業とは思えない。
 右天の記憶から窺い知れるゼオンの戦い方は、正面から力で捩じ伏せるものだ。絶望王に対して奇襲をかけたが、それにしても隙をついて真っ向から向かったもの。肉盾を使う様には到底思えない。
 ゼオンのあの気性は、魔神王と戦った赤髪の傭兵ベルドに近しい。この様な真似をする様には思えないのだ。

 「もう一人居るか」

 となれば解は一つ。他に最低でも一人は居て、その者がしんのすけを気絶させ、フランと戦ったのだ。
 ゼオン単体であっても侮れない強敵である。そこに加えてもう一人、ゼオンが伴う程ともなればこれもまた強者と見て良いだろう者がいる。
 屈指の強さを誇るゼオンが正面から対峙し、もう一人が背後より不意を突く。完璧で完全な必勝パターンではあるが、タネが割れて仕舞えば魔神王ならば〈エネミー・センス〉で発見出来る。
 ゼオンと次に邂逅した時には、認識されていないとタカを括っている暗殺者を、一撃で殺してやろう。

 だが、その前に、力を回復させなければならない。しばらくは此処に潜み、回復を待つべきだろう。

 「間に合わせだが、武器も手に入った事だ」

 死体を検めた後も手にしていた、野原しんのすけの死体に、冷気を纏わせ凍らせていく。
 魂砕き(ソウルクラッシュ)とは言わぬまでも、真っ当な武器が手に入るまでの間に合わせだが、デモンズエキスの能力と組み合わせれば、充分使えるだろう。

 試しに冷凍首無し死体を右から左へと一振り。振り切ったタイミングでしんのすけの胴体を突き破り、複数の氷柱が生えた。
 俊圀の顔で魔神王が邪悪に笑う。この武器は見た者の嫌悪感を掻き立てる。それはそのなま鬼舞辻無惨への嫌悪と怒りに繋がり、鬼舞辻無惨を追い詰める事へと繋がる。
 身に覚えのない事で、あの癇性の主が責め立てられれば、結果は火を見るよりも明らかだ。

 「佐藤マサオ。ヴィータ。ボーちゃん」

 二つの脳から得た記憶より、識った名を呟く。

 三つの名のうち生者は佐藤マサオのみ。しんのすけの記憶から読み取れる人物像ならば、如何様にも利用できそうな愚鈍な子供だ。

 「ヴィータの死体の位置は……ふむ」

 死んだ場所も判らぬ者などどうでも良い。右天の記憶によれば、結構な戦闘能力を有していたらしいヴィータの脳を喰らえば、この殺し合いを制する上で有用な力を得られる事だろう。
 ある程度魔力が回復すれば、行ってみるのも悪くない。

 邪悪に口元を歪めたまま、俊圀の姿をした魔神王は、映画館の中へと歩いて行った。

【C -3/映画館/朝】

【魔神王@ロードス島伝説】
[状態]:ダメージ(中)、魔力消費(中)
[装備]:魔神顕現デモンズエキス(3/5)@アカメが斬る! 野原しんのすけ(頭部無し)
[道具]:なし
[思考・状況]基本方針:乃亜込みで皆殺し
0:ニケと覗き見をしていた者を殺す
1:絶望王は理解不能、次に出会う事があれば必ず殺す。
2:魂砕き(ソウルクラッシュ)を手に入れたい
3:変身できる姿を増やす
4:覗き見をしていた者を殺すまでは、本来の姿では行動しない。
5:本来の姿は出来うる限り秘匿する。
6:魔力が回復すればヴィータの脳を喰らいに行く
[備考]
※自身の再生能力が落ちている事と、魔力消費が激しくなっている事に気付きました。
※中島弘の脳を食べた事により、中島弘の記憶と知識と技能を獲得。中島弘の姿になっている時に、中島弘の技能を使用できる様になりました。
※中島の記憶により永沢君男及び城ヶ崎姫子の姿を把握しました。城ヶ崎姫子に関しては名前を知りません。
※鬼舞辻無惨の脳を食べた事により、鬼舞辻無惨の記憶を獲得。無惨の不死身の秘密と、課せられた制限について把握しました。
※鬼舞辻無惨の姿に変身することや、鬼舞辻無惨の技能を使う為には、頭蓋骨に収まっている脳を食べる必要が有ります。
※右天の脳を食べた事により、右天の記憶を獲得しました。バミューダアスポートは脳が半分しか無かった為に使用できません。
※野原しんのすけの脳を食べた事により、野原しんのすけの記憶と知識と技能を獲得。野原しんのすけの姿になっている時に、野原しんのすけの技能を使用できるようになりました。
※野原しんのすけの記憶により、フランドール・スカーレット及び佐藤マサオの存在を認識しました
※変身能力は脳を食べた者にしか変身できません。記憶解析能力は完全に使用不能です。
※幻術は一分間しか効果を発揮せず。単に幻像を見せるだけにとどまります。


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