アットウィキロゴ
 

青空の会SS


合計点<-->


タイトル<点数/コメント>







大和龍牙 『龍と雛』<--/>


「何やら学園内で不穏な動きがある」
情報を入手した教師、大和龍牙は「青空の会」と呼ばれるグループに潜入し、
どうやらその原因が「SRR」と呼称される存在と「希苑組」という集団によるものと判明した。

―そして、決戦の日

青空の会のメンバーはSRRを急襲すべく、配置につく。
そこに現れた人影―雛守瑞穂。

「雛守先生…?あなたがなぜここに…」
「大和先生…あなたも、青空の会なのですか…?」
「ええ。良かった、雛守先生も一緒に行きましょう」
「…いえ、それはできません。私は貴殿方の『敵』ですから」

敵。
確かに彼女はそう言った。
つまり彼女は「希苑組」のメンバーであるということだ。

「…なぜ、なんです?あなたのような教師がなぜ…?」
「あなたには関係ないことよ」
「関係ないなんてことはない!同じ教師として、放っておくことなどできない!」
「…君は、変わらないわね。龍牙君…
私は、君ほど強くないの。だから、生徒を護るために強くならなければいけなかった。
だから私は…!」
「雛守先生… いや、瑞穂さん。
あんたは十分強い人だ。そんな歪んだ力に頼らなくても!
だから俺が、目を醒ましてやるッ!」

龍牙は後ろの生徒たちを一瞥し、叫んだ。

「ここは俺に任せろ。お前達は先に行けえっ!」



自立型インスタント魔導書~だれでもできるかんたんまじゅつ~<--/>


魔道書が突然爆発した。
何事かと思った。

本の癖にプカプカ浮きながら(地面から1メートルまでしか浮けないらしい)
ハードカバーをバクバクと開きながら人語を発する気持ち悪い本が
何かブツブツ唱えてるなと思ったらこの有様だ。

モクモクとした煙が晴れると、殆ど全裸の女が立っていた。
へ、変身…?
しかしよくみたら魔道書はその辺に散り散りに散らばって、破片には火がついてパチパチと燃えている。

「私は行かなければならぬ。道を空けろ」

マイペースなやつだ。まずは自己紹介というのが順序ではないのか。

「時間が無い。貴様らはそこでカップラーメンでも食ってろ。その間に私が終わらせる」

「よしわかった!ここは先生に任せて君は君の思う道を存分に駆けるが良い!!」

大和がノッた。
何がわかったんだよ。
大和は平手を振り上げて、謎女の背中に気合を注入しようとしたが、既に謎女は走り去った後で盛大に空振りしてコケる。
「わはは、元気があって非常によろしいっ」

なんだったんだアイツは。
そのとき気がついた。
俺のアクセスキーが、無い?

あいつ、まさか…
そういえばあいつ確かに階段を上がっていった。
終わらせる。このゲームを?あいつが、3分で?
背筋がゾクッとした。



空乃秘露飲 『さあ諸君、私がゴールするのを止められるかな?』<--/>


しなやかに躍動する全裸の筋肉。
人種の壁を超越したバネ。
誰もが思わずその走りに息を止めた。

「奴を止めろッ!その扉を開けさせるなーーーーッ!」

『いいや、もう遅い!開けるね!!』

どこからともなく現れた謎の全裸女。
希苑組のディフェンスを華麗にかわし、攻撃を受けつつもひるまず
1ターンに6マスを動ききり、ゴールマスに到達した。

その手には、部外者には決して渡らぬはずのアクセスキー。

我々がこれまでやってきたことは何だったのか。
『貴様らの争いなんかには興味が無い。この扉を開けると何があるのか、そんなことは私の知ったことじゃあない。私が聞いたのは、ここがゴール、ただそれだけだ』

ニヤリと笑い、謎の女、空乃秘露飲はSRRの秘密の鍵穴にアクセスキーを差し込んだ。



深崎理玖登場SS 『Deep Into The Rain』<--/>


 見上げると、雨粒が額に当たる。
 いつの時間、いつの空間に来ても、この空の色は同じ。
 私の心を映しているような、重く、くすんだ鈍色。
 体の芯まで沁み込んで、心の熱まで奪われるような、雨に打たれながらそんなことを思った。



 歩きながら辺りを見回すと、町並みは自分の暮らしていた時とあまり変わらないように思える。ということは、今度は近い時代に来たのだろうか。
 しかし、その雰囲気は明らかに異様だった。昼間の住宅街なのに人の気配がない。それによく見ると、窓にひびが入っていたり、屋根に補修した後があったり、ここで少し前に紛争でもあったのだろうかと思うほどだった。
 風景を見ながら考える。あれから、どれくらいの時間が経ったのだろうか。
 いや、単に自分が、めまぐるしく変わるこの状況に、全くついていけていないから、そんな風に思うだけで、実際にはそれほど時間は経っていないのかもしれないけれど。


 ダンゲロス・オーヴァーキル――国家刺客試験。あの異常な殺し合いは、一方で理玖に信頼できる仲間をも与えてくれた。義父の理刀(リト)を亡くしてから、光の届かない深海のように、暗く重く沈んでいた理玖の心に小さな光が点ったのだ。

(みんな無事でいるのかな……)

 おそらく他の仲間は同じ時空へ避難できただろう。しかし理玖だけは、彼らと一緒に行くことができなかった。そして、それはどうやら彼女自身の「能力」が原因であるらしい、ということも、理玖はほとんど確信していた。

(私の力……いったいどうしちゃったの? あのゆまちゃんの能力を受けてから、全く言うことを聞かなくなってしまった。なんだか――)

 怖い。そう思ってから、自分の力を怖がるなんてなんだか変な気がしたが、理玖の今の気持ちを最も的確に表した言葉はそれだった。
 理玖の能力はまだ未完成のものであった。そもそも能力を使ったこと自体数えるほどしかない。一度目は、理刀が死んで魔人としての力に目覚めたとき。そして二度目は、初めてできた仲間を、守ると心に決めたとき。
 だからそれまでは、自由に能力を使いこなしていたつもりでも、実際にはほんの一部分しか使えていなかったのかもしれない。自分の精神の内にある、深く深く、濃い「力」を湛えた湖、そこのほんの上澄みのところしか使えていなかったのだ。だから、こうやって少しそこを攪拌されてしまっただけで、もう自分で舵を取ることもできなくなる。

 視線を落とし自分の手を見る。すると雨粒がまた掌に落ちてきた。しとしとと降り続く雨はむしろ心地よく、濡れるままに任せて歩き続けた。
 手の指先に点る「光」は、以前よりも多く、大きくなった。しかしそれを自分の意志で制御することはできず、それらは勝手に、自律的に動いているように見えた。ただ、自分に危害が及んだとき、そのときだけは、それらは自動的に自分の周囲を守ってくれるのだった。

(なぜ……ゆまちゃんの能力にだけ反応したんだろう)

 阿頼耶識ゆまの「ヴァイシャリー」は自分の能力に共鳴し、精神に漣を立てた。それはつまり、彼女の能力は自分のものと何か関係があるのだろうか。

(わからない。今は、自分が――わからない)

 現在の勝手に振舞っている自分の能力にしても、これは「機能」の一端にしか過ぎないことは明らかだ。何が足りないのだろう。訓練や、意志の力が足りないから、自分の生み出したものにすら振り回されているのだろうか。
 いや、そもそもこれは本当に自分の生み出したものなのか? 今の状況からすると、理玖にはむしろ、この能力自体が意志のあるもの、自己の中に他者が棲んでいるかのように気味悪くも感じられた。そしてこの違和感が、今の理玖の精神を著しく消耗させていた。

(だめだ、いつもこんなことばかり考えてる……答えが出るわけないのに)


 そんな理玖の思考が中断されたのは、目の前の建物に気づいたからだった。
 大きな建物。学校のようだ。それにしては、中は随分とぼろぼろだ。校門に書いてある名前を読むと――

「……希望崎、学園……?」

 ふと、思い出した。

「そういえば、ダンゲロス子ちゃんたちが通ってたところも、確か希望崎学園って名前だったよね……。もしかしてここが……」

 本当は無視して通り過ぎるべきだったのかもしれない。そもそも理玖が関わらなければならない道理などなかったのだから。

 しかし、思わず理玖は足を踏み入れていた。

 それは、自分の今の状況を変えられる何かが、ここにはあると無意識に感じとったからか。あるいは、今まで渡り歩いたいくつかの時間のように、この時間にも立ち寄った理由があり、それがここに来ることだったからだろうか。



 校門をくぐり、ふと見上げると、いつの間にか雨は止んでいた。



深崎理玖 『FLASH BACK-FROM FUTURE』<--/>


敵を強襲すべく希望崎に突入した仲間達を遠くから見守る青空の会の面々。
その中にいる一人の少女―深崎理玖。

ちょっと遠い未来から、ちょっとした偶然でこの地にたどり着いた彼女は、
まだ完全に皆と打ち解けれてはいなかった。
というのも、幾つもの時間、空間を旅したこともあるし、
自分の能力も制御できぬほど大きくなりつつあることもあり、精神的に疲弊していたのだ。

(この時代も…あの時と同じ。
強力すぎる敵に逃げ惑うことしかできない…
私はまた…誰も守れない…!今回も…!次も…次も…!
そんなのは嫌…!嫌…!)

「嫌ァァァァァァァッ!」

突然叫びだした理玖に駆け寄る仲間達。

「どうした、深崎くん!
 おい、秋山くん、こっちに来てくれ!」
「嫌…!イヤ…!」
「おい、落ち着け!どうしたって言うんだ!?」

と、その時。

戦場である希望崎学園から大きな、しかし暗い力が広がった。
そこに現れたのは、紛れもなく「転校生」であった。

「く…!あいつら、「転校生」も味方につけていやがるのか…!」
「しかし、あの転校生はデータにない。どこからあんな奴を…?」

秋山澪の能力によって少し落ち着いた理玖の視界に入ったその「転校生」。

「え…?何で…、そんな、ことが…!?」

そう、「SRR」の能力により、時空を超えて現れたその姿は―

(オルガノン・カノン…!)

その姿は、遠い過去―時間軸上では未来だが―に出会った姿と寸分違いなく「存在」していた。

(あいつが…何で…!?
駄目…!アイツは…!アイツの能力は…!
守らなきゃ…私が…!『今度こそ』!
そうでなきゃ!何のための「能力」なの!?)

「深崎さん…?大丈夫ですか…?」
「わ…私は、もう大丈夫。もう迷わない!
 カナメさん!私をそこへ!
 私も戦う!私が、みんなを、守るからッッッ!」







最終更新:2009年07月31日 00:34