希苑組SS


合計点<-->


タイトル







ノリノリのり子 『夏だ水着撮影!』


「アイドル原則59条!アイドルは水着も似あわなければならない!」

そう言い、青のセパレート水着でポーズを取るのり子。
ブラのつけ方が逆だがそれが今風とも言える。

「のり子スタイル!」

本人の言う通り、胸が全然ない事と股間が少しだけ膨らんでいる事を除けば
夏の海の美少女そのものである。
ちなみにアイドル原則とはのり子が考えるアイドルはこうあるべきという条件を
明文化したものであり全部で108条存在する。

「そう!今日は希苑組の女性皆で海に来てまーす!」

慣れた動きでカメラに向かって手を振るのり子、その後ろには彼の言った通り
同組織の女性(と分類しても外見的に問題ない人達)が集まっていた。

「なんだよー、そのだっせー水着は。私みたいにしなよー」
「…紫外線。お肌弱いから」

布地の少ない真っ赤なマイクロビキニを着て全身で「私はバカ女です、ナンパに簡単に引っ掛かるよ」
とアピールしているのは1年のゲロ子。そのゲロ子に小突かれている全身を覆ったタイプの
黒いフリル付きの水着は同じく一年の魔山アリス。今回が包帯ではなく水中ゴーグルで目を隠している。

「エン先生、そこじゃあカメラに写りませんよ。ほら、こっち向いて」
「だって、私は雛守先生みたいに細くないし、恥ずかしいですよっ」

オーダーメイドの白い水着をきっちり着こなし、教師とは思えない美貌を惜しげも無く
見せつける雛守瑞穂、その後ろ、彼女の体で自分を必死に隠しているエン・ジェルは
安物の黄色い水着の上からパレオを巻いて体のラインが出ない様にしているがその行為が
逆に皆の視線を集めているのには気付いていない。

「1年生二人、教師二人、3年の私、そしてゲストのEA01βちゃん…、あれ?EAちゃんはどこ?」
「あっちで沈んでるぜ」

ゲロ子が指さす先、皆が並んでいる後ろの海面に頭だけを出しているアンドロイドがいた。
防水仕様兼偽装用に換装されたボディは海の下で見えない。そして頭部もゆっくりと沈んでいった。

「防水モードでの遊泳テスト失敗。救援信号発信、回収を求む」
「おーおー、沈んでるねー。ぎゃはははは」
「笑ってないで引き上げようよ!」

こうして水着撮影会はグタグタに終わったのでした。
え?このSSの意味?とりあえずヒロイン達の水着を並べればポインヨ稼げるって西尾維新も言ってたもん!



『すれ違う女達』


「SRRとは世界を喰らうもの、彼女は幾つもの世界を喰らい尽くしここにやって来た。
そして、私達は理由はどうあれそんな奴と協力関係になってしまった。希望崎の教師として
魔人の力を正しく導かなきゃならないのにね」

SRRの力の影響なのだろうか、それとも医者に余命を宣告された時からだろうか、
授業が終わり日が暮れると地味で無口な女だったエン・ジェルは饒舌になる。
彼女は同僚でありSRRに侵された同族でもあり友人でもある雛森瑞穂へと問いかける。

「瑞穂、アンタは辛くないの?いっつも生徒の事を心配していたじゃない。
分かってる?これから私達がやる事は学園にとって、いいえこの世界で生きる全てにとって
最悪な事になるわね。私達の勝利、SRRの防衛はこの世界の破壊そのものよ」

職員室には二人だけ、エン・ジェルは彼女の事を同僚としての呼び名ではなく本来の呼び方で呼ぶ。


「エン、何が言いたいの」
「戦いが始まる前に出ていけって言ってんのよ。アンタは力への渇望も無いし、
最早生徒以外の奴らの方が多くなっているこの状況でもまだ生徒を守りたいとか言ってる
アマちゃんだ。そんなんじゃ青空の会に隙を突かれるよ」

瑞穂を冷たく突き放すエン・ジェル。瑞穂はそんな彼女の意見を肯定する。

「そうだね、私は甘いかもね。学園が依然とすっかり変わってしまっても
まだ生徒を救いたいって考えている。でもねエン、だからこそ私は希苑組にいるんだよ」
「は?多くの生徒を救いたいなら青空の会に行けば良かったんじゃないのか?」
「だってそれじゃあSRRとの契約を結んだ人達は救えない、SRRの血に耐え切れず
化け物として隔離されている子達も救えない。こっち側にいれば全てを救う方法が
見つかるかもしれないでしょ?」

本当に甘い、とエン・ジェルは思った。確かに瑞穂は通常の魔人レベルから見れば
能力・意思共に上位だと言えるが、SRRのアレを個人でどうにかするなど到底無理な事は
木下でも分かる事である。

「甘アマだね。それとも瑞穂、そうやって誰かを救いたいって言い続ける事で自分を
保とうとしているの―」
「エン、私は貴方も救いたいの」
「…えっ?」

突然の告白にエン・ジェルの言葉が止まる。

「エン、全部調べたわよ。貴方が医者に不治の病を宣告された事も、
その医者が希苑組からお金をもらって偽の申告をした事も。貴方が生徒達にした事は償わなきゃならない、
でも、その為にはまず貴方がSRRの支配を逃れて昔の優しかった貴方に戻らないと」
「希苑組なんて関係ない!私は元々こんな奴なんだよ!」

今度は瑞穂の言葉がエン・ジェルによって遮られる。

「そんな事言われてもちっとも嬉しくないんだよ!上から目線で私を見るなっ!」

声を荒げ立ちあがり、そのまま職員室を出ていく。

「エン!待って、私はまだ話が―」

後を追う瑞穂、だがエン・ジェルの足は早く、あっと言う間に校外まで出ていき見えなくなってしまった。

(エン・ジェル―、それでも私は、例え拒絶されても生徒達と貴方を救いたい。貴方は友達だから)
(瑞穂―、私なんかほっといて出てけばいいんだよ。友達が自分を守ってやられるとこなんて見たくないよ)

互いを気遣いながら、相手の気持ちに気付きながらも女達はすれ違う。







最終更新:2009年07月30日 22:45