
もう、やめようよ
ヴェイガンの最新鋭モビルスーツであるガンダムレギルスとの戦いにより大破してしまったAGE-3をベースに、AGEシステムが大幅な改修を施した機体。改修機であるが、新設計のフレーム、およびコアファイターとの簡略化された合体構造等、実質的には別機体であると言える。「FX」は「Follow X-rounder」の略で、高レベルのXラウンダーとして急速に成長していくキオの能力に合わせる形で設計された。原型機であったAGE-3は重武装・重機動機であったが故に、運動性や機動性が低く反応速度も遅いという欠点があり、運動性・高機動性を重視したヴェイガン側のモビルスーツとは極めて相性が悪かった。この事実から、機体の軽量化によって運動性・機動性の大幅な向上が行われ、AGE-3の意匠を残しながらも重厚な機体であったAGE-3とは対照的にスマートな印象の強い外観となっている。更には、新たに「サイコフォローシステム」という独自のシステムを搭載する事で、キオのXラウンダーとしての反応速度に追従出来る動作が可能となっている。一方、AGEシリーズの特徴であったウェア換装機能は唯一搭載されていないが、その代わりにXラウンダー専用の武器となる遠隔操作式の攻撃端末である「Cファンネル」の大型6基、小型8基が、各部のハードポイントに搭載されている。これは遠隔操作兵器であるビットを装備するギラーガやレギルスへの対抗策としてAGEシステムが作出した装備で、相手モビルスーツの一部のみをピンポイント攻撃する等、敵のパイロットを極力殺したくないキオの意向に沿った戦法を可能としており、更には一定周囲にループ展開させる事で攻防一体のビームバリアを形成させる芸当もこなせる。また、Cファンネル運用の関係上、コックピットコンソールもそれまでの連邦機体共通規格から独自のものに改められている。
スペック
分類 | モビルスーツ |
生産形態 | 改修機 |
型式番号 | AGE-FX |
全高 | 18.5m |
重量 | 63.0t |
原型機 | ガンダムAGE-3 |
開発者 | ロディ・マッドーナ、AGEシステム |
所属 | 地球連邦軍(ディーヴァ所属) |
パイロット | キオ・アスノ |
初登場作品 | 機動戦士ガンダムAGE 第40話「キオの決意 ガンダムと共に」(2012年7月15日放送) |
パイロットプロフィール
- キオ・アスノ
キオ編・三世代編の主人公。年齢13歳。素直で天真爛漫で心優しく正義感も強いという良い子を体現したような人物だが、その一方、世間知らずさや頑固な面もある。地球圏の都市「オリバーノーツ」にて家族と共に暮らしていたが、ヴェイガンの地球侵略が切っ掛けとなり、祖父フリット・アスノからガンダムAGE-3を託され、ヴェイガンとの戦いに身を投じていく。
生年月日A.G.151年、身長150cm
CV:山本和臣/樋口智透(壮年期)
生年月日A.G.151年、身長150cm
CV:山本和臣/樋口智透(壮年期)
武装
- ビームサーベル
両腕に内蔵されたビームサーベル。手持ち式ではなく、腕部から発生する。
- スタングルライフル
本機の主兵装で、シグマシスライフルの発展型。砲身を変形させる事でチャージモードへ移行可能。
- スタングルライフルチャージモード
スタングルライフルを両手で構え、エネルギーをチャージさせて放つモード。
- ダイダルバズーカ
スタングルライフルに追加バレルを装着した状態。最終決戦であるラ・グラミス攻防戦において使用されたが、作中では一発も当たらず破壊されている。
- Cファンネル
AGE-FXを象徴する武装。全身に装備されたブレードを遠隔操作し、敵を切り刻む。
必殺技
- FXバーストモード
ラ・グラミス戦前に追加されたAGE-FXの特殊モード。Cファンネルの搭載部分から余剰エネルギーを青いビームサーベルとして噴出し、AGE-FX自体も同様に青白く光る。かつてのガンダムAGE-1タイタスを思わせる、全身にビームを纏った格闘戦特化形態であり、まさしく「全身がビームそのもの」になった状態。
ドラゴニュートの人形劇では…
たまに登場する。家にある人形大体登場ムービーではガンダムF91と共にスタングルライフルを撃っていた。映画第1作にて久々に登場した際はシャロームシティ防衛戦に参加していた。映画第2作にも引き続き登場し、観光都市アロイスを守る為に戦っていた。撮影にはHGのガンプラを使用している。
名台詞
- (僕がやろうとしている事は、無謀で、無茶で、上手くいく可能性なんて無いのかもしれない。でも、君は付き合ってくれるよね?)
第40話「キオの決意 ガンダムと共に」より。新型機ガンダムAGE-FXの武装「Cファンネル」によってヴェイガンのパイロットを殺さないように機体頭部だけを破壊した際のキオの独白。「(敵である)ヴェイガンもまた自分と同じ人間だと感じた」キオは、戦争を終わらせる為に「孤独な戦い」をする決意を固めた。新たなるガンダムと共に…。
- 「もう、やめようよ」
ヴェイガンに囚われてその地の民の暮らしを実際に見て、地球連邦とヴェイガンとの間の戦争終結を願うようになった後のキオの信念を代表する台詞。
- 「…もうやめよう? 僕達には分かり合える道があるはずなんだ。こんな事、もうやめようよ…」
第41話「華麗なフラム」より。ルナベース攻防戦において、フラムへの攻撃を止めた直後、彼女を説得する。
- 「じいちゃんは憎しみに駆られてるだけじゃないか! そんなの救世主じゃない! そんなの絶対に違う!!」
第44話「別れゆく道」より。「ヴェイガンの捕虜など処刑してしまえばいい」と発言したフリットに対して、彼を批判。劇中において明確にフリットに対して反抗した場面となった。
- 「僕は…」
- 「僕は…誰にも死んで欲しくないんだ…みんなに生きていて欲しいんだ…」
- 「僕を、嫌っても構わない…僕を憎んでも構わない…」
- 「それでもディーンに生きていてほしいんだ!!」
第47話「青い星 散りゆく命」より。よりによってディーンと戦場で再会し殺し合う羽目になり、ディーンからもその思想を否定されて。ディーンを戦闘不能にはしたものの、結局キオの思想は誰にも聞き入れられないままで、それでも涙ながらにヴェイガンで出来た友が生きるのを願う。たとえそれを貫くことで、どれだけ自分が嫌われ蔑まれようとも…。この純粋な願いに、遂にディーンも心を開き、自らの夢を語るが…。
- 「許さない…!」
- 「お前は絶対に許さないッ!!」
同話より。心を開いてくれたディーンを同胞にも関わらず直後に殺し、悪びれもしないザナルド・ベイハートに対して怒りを剥き出しにする。使わないと決めていたガンダムAGE-FXのFXバーストモードすら使用し、ザムドラーグを圧倒するが、トドメの瞬間にザナルドの死のイメージをXラウンダーの力で受け取ってしまい、自ら立てた不殺主義を自ら否定する事態は寸でのところで避けられた。
- 「…ぼ、僕は…今…」
その後、冷静になって自身の行為を自覚しての台詞。理解できない相手に、自分の近しい人を惨殺されて怒りに震える…奇しくも祖父フリットと類似した経験となったキオは、自らのこの怒りも込みで、己の理想が絵空事だと改めて思い知らされることになってしまい、キオは愕然としてしまう。
- 「今だって人は人です! 地球圏の人達も、火星圏の人達も、精一杯生きてるんだ!」
最終話「長き旅の終わり」より。Xラウンダーの精神空間で、「人が人らしく生きるために選別を行い、賢き者たちを導く」という思想を持つイゼルカントに対する反論。キオにとっては、「懸命に生きる事こそが人らしい生き方」と感じていた。
- キオ「これが、じいちゃんがなろうとした救世主なの?」
- フリット「私は…! 私が守れなかった者達のためにやってきたのだ!」
- キオ「違う! 絶対に違う! その人達だって、そんなこと望んでない!」
ヴェイガンギア・シドによりヴェイガン軍が混乱しているスキに乗じて、ヴェイガンのコロニー「セカンドムーン」に向けて大量破壊兵器「プラズマダイバーミサイル」を放たんとしたフリットは、「多くの地球人類の命を奪ったヴェイガンへを殲滅して救世主になる」という(間違った)正義に囚われていた。そんなフリットの姿を見たキオは、涙ながらにXラウンダーの力を発動。それはフリットを精神世界へと誘い、彼が守れなかった者達と巡り合わせるのであった。これまで戦いにしか使われなかったXラウンダーの力が、本当に平和のために使われた唯一のシーン。
- 「じいちゃんはなれたんだね。みんなを救える、本当の救世主に!」
過去への妄執と敵への憎しみを乗り越えて、人々を守るための救世主となった祖父フリットを目にして。これまでのキオの信念が初めて実を結んだ一歩でもあり、キオもまた救世主フリットを救ったもう一人の救世主になった。
- アセム「なかなか男前だな」
- キオ「…フ。そうだね、父さん。フリットじいちゃん…。僕達の地球は、元気になったよ」
最終話エピローグより。ラ・グラミスの戦いの終結後、フリットはマーズ・レイを無効化させる技術の開発等をして、地球および火星の平和の為に残りの人生を捧げた。そして、ラ・グラミスの戦いの終結から37年後および「天使の落日」から100年後になるA.G.201年、アセム(78歳)&キオ(50歳)父子は、地球連邦政府の首都「ブルーシア」に建てられたガンダム記念館の前に設置された今は亡きフリットの銅像の前で、彼に感謝と報告をするのであった。このキオの台詞を最後に、アスノ家三代100年にわたる『機動戦士ガンダムAGE』の物語は、幕を閉じた。
- 「子供だから言えるんだ! 子供だから言えるんだよ、じいちゃん! 何度でも言う! あなたもイゼルカントも間違っている!」
- 「あなたたちは、同じコインの裏表だ! 過去にとらわれ、過去を言い訳にして、憎悪と哀しみだけを広げている存在だ!」
小説版第5巻より。コロニー「セカンドムーン」に大量破壊兵器「プラズマダイバーミサイル」を放ってヴェイガンを根絶やしにせんとした祖父フリットへの痛烈かつ的確な批判。そして、キオはTV版と同じくXラウンダー能力で「FXバーストモード」を発動させてフリットを精神世界へと誘い、彼が守り切ろうとした大切な人達、さらに「フリットの中の英雄」と再び巡り合せたのであった。
- 「ボクとガンダムが、戦争にトドメを刺す!!」
漫画『クライマックスヒーロー』で頻繁に用いられる決め台詞。
- 悲しみや憎しみはすぐには消えないかもしれない。でも、きっとだいじょうぶだよ。だって元はと言えば、みんな、同じ地球で生まれた仲間なんだから。
『クライマックスヒーロー』最終話。涙ながらに討ったゼハートの遺志を全域に伝え、フリットが停戦を呼び掛けたのを見届けた後、地球に向き直ってのモノローグであり、同作のラストシーン。
余談
- ガンダムシリーズの主役機としては初となる「赤色を一切使用していない」ガンダムでもある。
- 現実で発売された玩具のAGEデバイスには仮称の「AGE-4」としてデータが存在しており、番組放送初期から存在が示唆されていた事となる。
- また、ガンプラと連動するアーケードゲーム『ガンダムトライエイジ』スタートダッシュガイドにはとても小さく「ガンダムAGE-FINAL」として記述されているのが確認できる。
- AGE-1がRX-78ガンダム、AGE-2がΖガンダム、AGE-3がΖΖガンダムにコンセプトが相応していたのに対し、本機はνガンダムにコンセプトが相応していた機体である。他に例を挙げるなら、コズミック・イラの世界観に登場したストライクフリーダムガンダムと言える。
- 初期デザインでは、ライディーンなどのスーパーロボットや勇者シリーズのような口が開くギミックを取り入れる案が存在していた。本機のフェイス部が上下に別れているのはその名残。デザイナーの海老川氏によるとスタッフの間でも賛否両論があったらしく、議論している間に最終回を迎えて有耶無耶になったとのこと。
- またボディの方ではサザビーをモチーフとしたアーマーを着せて、それを脱いだら本編のようなνガンダム風になるというアイデアもあった。
- Cファンネルでヴェイガンのモビルスーツのコクピットを機体から切除する戦法が、ヴェイガン機のコクピット位置が頭部にある都合上、モビルスーツの頭部をピンポイントで刈り取っていく形となってしまった。視覚上のインパクトの強さが非常に強かったためか、視聴者からは某漫画のキャラクターに対する通称から取って「妖怪首おいてけ」と揶揄されたりした。
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