メモリとスーツと魔法陣 ◆gry038wOvE




 あれから、時計の短針が一周回ってしまうほどの時間が過ぎた。
 僕たちは、この警察署の会議室で、まだ仲間の帰還を待っている。……飽きもせずに、ただ壁や腕の時計に数分ごとに目をやるような、気まずい沈黙がしばらく流れていた。
 美希ちゃん、乱馬くん、あかねちゃん、梅盛さん、いつきちゃん、沖さん、アインハルトちゃん……ここを去って行った仲間は、姿を見せてくれなかった。
 彼らが今やっていることは、それなりに時間がかかるだろう。それは少し考えればわかる。
 中学校にいる祈里という少女を探しに行った沖さんたちは、中学校に向かってるものの、祈里という子が見つかる場所は中学校とは限らない。中学校周辺をまだ探しているのかもしれない。他の皆は、乱馬くんを追っているわけだから、行くあてさえないのだ。
 それに、もしかすれば、警戒しながら歩いているかもしれないし、戦闘に巻き込まれている可能性だって否定はできない。

 だが、とにかく彼らには早く帰ってきてほしかった。
 僕にとっては「待つ」ということが少し辛かったのだ。この場の空気が重いのは、その待つ行為に与えられるプレッシャーゆえだろう。
 あの子たちを心配しながら待ち続けるのは、一分だって長く感じる。流れていく時も、ストレスを積み重ねていくだけにしかならない。一刻も早く、目の前に姿を見せて安心させてほしかった。
 ……いくら、高所から落ちても受け身をとれる乱馬くんや、変身能力がある沖さんたちとはいえ、現実的にはそういう彼らと同等の能力を持った人間だって死んでいるのだから、彼らを安心して見送ることはできないだろう。
 もしかしたら……、あるいは……、と考えてしまうのは仕方がないことだった。
 それに、アインハルトちゃんの心にトラウマを残した危険な殺人者の情報も受けているのだ。ここだって、はっきり言えば全く安全じゃない。万が一、変身能力者が襲ってきたら、僕には戦う手段がないのだ。
 相手によるが、大半の敵はビーストと戦ってきたその技術や体躯を使って時間を稼ぐことはできても、おそらく撃退には至らないだろう。
 あくまで僕は科学に依った力であって、一般人に比べて筋力や運動神経が高い程度にすぎない。おそらく、あの屋上から落ちたら死んでしまう。もし、あそこで受け身をとれるようなら、レスキュー隊時代の僕に命綱はいらないだろう。
 とにかく、彼らのようにどこかに無鉄砲に行けるのなら、それが一番うらやましいとさえ感じた。
 もしかしたら、彼らのようにここから抜け出して、それぞれの目的に向けて突っ走っていく方が、待っているよりもずっと、ストレスが無いものなのかもしれない。



 いま、この部屋には僕のほかには、ヴィヴィオちゃん……それから、クリスというウサギのぬいぐるみがいる。ぬいぐるみが数に入っているのは、クリスが意思を持っているからだ。
 コクコク、と頷くだけで会話らしい会話はできないが、ヴィヴィオちゃんを通せば辛うじて、日常会話程度が可能だった。
 しかし、僕はそれに対して驚くだけで終わってしまい、会話らしい会話はほとんどなかった。
 これまで、意思を持つ人形(……というとダークファウスト関連の悪い記憶も出てくるけど)など存在すると思っていなかった僕には、このクリスと何を話せばいいのかサッパリわからなかったのだ。
 なぜ喋るのか……と聞いてみたい気持ちもあったが、そういうのは少し聞きにくい。
 ヴィヴィオちゃんを仲介しないと話ができないので手間がかかる、というのも一つの理由だ。
 万が一、この後死ぬのならここで少し「ぬいぐるみとの会話」という滅多に経験できないことをやってみたい気もするけど、生憎僕は死ぬつもりはない。ナイトレイダーとして鍛えてきたことは、僕に生存に対する自信をつけさせるには十分だったと思う。
 確かに、変身者との戦いには弱いだろうという気はしているのだが、不思議とまだしばらく生きながらえそうな予感がしていた。


 それで、実際のところ、僕はヴィヴィオちゃんとは数十分前までは会話を交わしていた。
 そうしなければ、心臓が張り裂けてしまいそうなのだ。唾を飲むたびに首回りが苦しくなって、吐き気まで襲ってくるほどだった。
 何もしない時間というのが、あまりに重すぎたのだ。今も、まさにそんな感じだ。
 ああして、会議という形を借りて、そこにヴィヴィオちゃんを置いておくのはまだ良い。しかし、一対一で残酷な話を続けなければならないというのは気が引ける。
 ビーストに捕らわれた少女・杉山里奈との時もそうだった。
 僕は、なるべく残酷な話をしないために、彼女の飼い犬の話をしたはずだ。……僕がその犬につけた名前を、彼女は忘れてしまったし、僕のことだって彼女は覚えていないけど。
 だから、姫矢さん、西条凪副隊長、石堀光彦隊員のこと……それから美希ちゃんたちの言っていた名前を全て説明して、注意すべき相手──溝呂木眞也の事を言っておいた。
 こうした話は必須だ。
 溝呂木についても、なるべく残酷にならないよう、注意した。「そいつは危険である」という抽象的な内容しか説明していない。
 彼の残酷さを説明したら、僕だって怒りを抑えられるかわからない。
 ヴィヴィオちゃんもそれなりにしっかりしていて、彼女の経緯を話してくれた。
 本当に年齢の割にしっかりしているし、あんな状況でも自分の持つ人間関係や境遇について話してくれる精神力は、もはや異常とも言える。
 “プリキュア”の美希ちゃんやいつきちゃんといい、最近の女の子は案外しっかりしているんだろうか。
 そう思いながらも、何かまた話を切り出すタイミングというものが掴めなかった。
 ヴィヴィオちゃんは曇った表情をしているように見える。……それは僕もなんだろうか?
 何かもう一度話しかけようとしたが、声の出し方を忘れているような感じだった。


「……ヴィヴィオちゃん、少し警察署の中を探検してみない?」


 そう切り出すに至るまで、何度この言葉が喉から出かかったことか。
 異常な状況下での日常会話とは、意外にも勇気のいること……だったのかもしれない。
 とにかく、それで僕とヴィヴィオちゃんはこの一室を抜け出したのだった。



★ ★ ★ ★ ★



 ……で、意外なのはそれからの探検というものが、新たな発見や楽しみに満ちていたこと、だろうか。
 そう、発見だ。
 警察署には、当然さまざまな部署や部屋がある。
 それを念入りに見ていくと、また違った発見がある。



 仮にも元・警視庁のレスキュー隊員であり、現・ナイトレイダーで兵器を取り扱う僕は、美希ちゃんと行動している最中に少し警察署内の(おそらく一般人なら誰も気づかないような)ロッカーを確認していたのだが、その中身は空っぽだった。
 本来なら、そこに銃──場合によっては他人を殺傷することができる兵器が存在するはずだった。
 だが、既に来た誰かに抜き取られていたのか、それともあらかじめ主催側がロッカーだけを配置していたのか、そこに銃の類はない。いや、そもそもそこには何もないのだ。攻撃には使えないような警棒の類もない。
 ロッカーの端から端まで目をやったが、本当に空間だけがそこにあるような状態だった。
 この時、後ろから、美希ちゃんに
「何を探しているんですか」
 と訊かれたが、このゲームが始まってから銃殺された人間がいるのではないかなどと余計なことを考えた僕は、
「ううん、何も」
 と答えてお茶を濁していた。美希ちゃんが僕の意図に気づいていたかはわからない。
 とにかく僕は、この時点で思考を切り替え、武器を探すよりも、ここに来る仲間を探そうという方針を固めたのだ。
 それからすぐ後に別の階に移動し、僕はヴィヴィオちゃんと乱馬くんに出会った。



 思えば、あれだけの人数があそこに集まっていたというのに、つい少し前に出会ったばかりの僕とヴィヴィオちゃんだけになってしまうというのは数奇な話だ。
 それは、「殺し合いを終えたい」という思いは共通しながら、細かい目的はそれぞれ違っていたせいだったと思う。
 僕にもう少し、周囲をまとめる力があれば、何とかできたかもしれない。
 ただ、ヴィヴィオちゃんには一抹の心強ささえ感じていた。
 まだ僕たちは完全にはバラバラになってはいない。
 ここにヴィヴィオちゃんがいる。ずっと一緒に行動してきた美希ちゃんや、ヴィヴィオちゃんと一緒だった乱馬くん、アインハルトちゃん……みんな、どこかで繋がっているから、きっとまた会えるんだと信じられる。

 ……話を戻そう。
 僕たちは、この警察署の探検の中で、ある発見をした。
 短い時間だったが、放送までの僕たちの経緯をおおまかに説明しておきたい。
 それは、後にこの警察署に来てくれた人たちに、いずれ説明することになるだろうし、僕たちの記憶にもはっきりと留めておかなければならないからだ。



★ ★ ★ ★ ★



 探検を初めて、数分経つ。
 ……いや、まだ探検が始まったとはいえない。会議室を出て、交通課か何かの部署を発見しただけだ。
 大量の紙類で散らかり、まるで本当に人のいた場所のようにさえ見える一つの部署。
 壁にはもれなく張り紙がされていて、不思議なことにその日付は不明だった(本来、平成○○年度などとポスターには書いてあるはずなんだけど……)。


 会議室などの一部の部屋がどこにあるかはなんとなくわかる。しかし、レスキュー隊だった僕は、警察署の構造を詳しくは知らない。もともと、警察組織で他の部署に顔を出すことなど滅多にないし、レスキュー隊は署内の中でも特に銃の扱いが不要な存在だ。
 ナイトレイダーに入って、訓練を強いられたときには何度も何度も平木隊員に怒られた。
 あれから随分腕を上げたつもりなので、銃があれば一応手に入れておきたいと思っていたが、やはり回収済らしかった。
 銃のような武器を探す旅というよりは、普通の探検になってしまったらしい。


「うーん……」

「どうしたんですか、孤門さん?」


 気づけば僕はうなっていた。
 別に、武器を探す目的が一切果たせていないからではなかった。


「ヴィヴィオちゃん、どう思う?」

「え?」

「……この探検。面白いかな」


 そう、僕が気になったのはそれだった。
 警察署。
 はっきり言って、ただの公共施設だ。
 確かに、男の子なら一度この場所にあこがれる。僕もそうだった。子供のころに誰かに助けられて、誰かを守る仕事に就きたいと思ったときも……。
 しかし、ヴィヴィオちゃんは女の子だし、現実の警察署に面白いものが転がっているわけがない。大半の人がデスクワークの真っ最中である。
 ドラマによく出てくる被疑者の取調室とか、「事件は○○○で起きてるんじゃない!現場で起こってるんだ!」の○○○の部分に入る会議室(これは行ったか)とか、見たくなるものはそれなりにあるだろうが、署内が無人では社会科見学にもならない。
 どちらかというと、肝試しに似た感覚かもしれないが、今は昼も近づいてきた頃合いである。どう考えても、ヴィヴィオちゃんが気を紛らわせて楽しめるような場所ではなさそうだと思った。


「そ、そんなことないですよ……?」

「あの、ヴィヴィオちゃん……僕は、面白いかなって聞いただけなんだけど」


 ヴィヴィオちゃんは、「失言した」と思ってうっかり口を塞ぐ。
 そう、まるで僕が「面白くないんじゃないかな」と訊いたのに対し、フォローをしたかのような反応である。
 彼女も深読みしすぎたのか、こんな突飛した回答が返ってきたので、僕は少し凹んだ。
 しかし、それは心の中だけに置いておいて、素直に彼女の気持ちを優先することにした。


「……みんなが戻ってくるまで、この警察署にいなきゃいけないんだけど、どこか行きたいところとか見たいところとか、ある?」


 腹を立てるわけでも機嫌を損なうわけでもない。……僕もそこまで子供ではないのだ。いや、僕の精神が子供とかどうとか以前に、ヴィヴィオちゃんのような少女なら腹を立てたり機嫌を損なったりもしないか。
 ただ、少し計画が狂って凹んでしまっただけだった。
そして今は、ヴィヴィオちゃんの意見を積極的に取り入れていきたいと思っていた。
 本当なら、わずか数分でこうなるのは目に見えていたはずだろう。
 計画が狂った……とは言ったが、最初から無計画同然だったのだ。
 そう、できればヴィヴィオちゃんの意見を積極的に取り入れていくべきなんじゃないかと……


「ねえ、孤門さん。あれ」


 不意に、ヴィヴィオちゃんは何かに気が付いたように目の前の張り紙を指差した。
 無数の張り紙があるものの、どれを差しているかははっきりとわかった。
 カラーコピーで交通安全の注意を呼びかけるような張り紙が並んでいる中でも、それはなんだか妙に既視感を感じるものであった。
 でかでかと書いてある文字に、目を持って行かれる。
 その文字の意味を、どこかで聞いたことがあったのだ。それを思い出そうとしていた。

 そこにあるのは────「ガイアメモリ」、という単語だった。

 僕がその言葉の持つ意味を思い出すより前に、ヴィヴィオちゃんはその張り紙の前まで早歩きして、その紙を剥がした。
 そして、その文字が視界から消え、僕の脳裏で声として浮かんできたとき、初めてその物体の持つ意味を思い出した。加頭も言っていたし、ヴィヴィオちゃんも言っていた。
 ガイアメモリとは、僕のような人間でさえ異形へ変えてしまう器具──そして、最悪の場合にはその心や精神までも蝕んでしまうという麻薬だ。
 ガイアメモリについての張り紙が警察署にあるのは、メモリの持つ犯罪性の強い意味合いがゆえだろう。


 張り紙を覗かせてもらうと、ガイアメモリの副作用云々について書いてあり、張り紙の下部には、「バード」、「サイクロン」、「ジーン」などと謎の名称と小さな写真が書いてある。
 バード。Bird。赤い背景に何かの一文字。……よく見ると、Birdの頭文字のBに見えなくもない。
 サイクロン。Cyclone。緑の背景に、おそらく「C」の文字。
 ……という感じで、名称とともに写真が貼られていた。
 それは正確にはT-2ガイアメモリというらしく、その画像の下部には、その他ガイアメモリも名称だけ載っている。サイクロン、メタル、アクセル、スカル……など、T-2にも存在する名前や、その他のメモリだけのものもある。


「ガイアメモリ……加頭が言っていた変身道具だ。でも、どうして……」

「わかりません。でも、この副作用については霧彦さんが言ってました」


 園咲霧彦。
 その名前は、先ほどヴィヴィオちゃんから聞いていたので知っている。中学校でヴィヴィオちゃんを保護していた紳士的な人物らしいが、ガイアメモリについては詳しかったらしいのだ。
 ……おそらく、加頭と同じくこの「ガイアメモリ」のことを知る「パラレルワールド」の住人なのではないかと思う。
 いや、ヴィヴィオちゃんも含め、ここにいる多くは僕から見れば別世界の人間だし、向こうから見た僕もまた異次元人だ。


「ガイアメモリについて詳しく書いてある……でも、これが本当ならこれは僕が思ってるより、ずっと恐ろしい物なんじゃ……」

「はい。それで、霧彦さんにも使わないように、と言われてました。……私も一度使ったけど」

「……そうか」


 少し時間をおいて考える。
 ヴィヴィオちゃんの発言の意味するところをもう一度考えたのだ。
 このポスターによると、精神汚染などの弊害があるはずなのだが、とてもそのようには見えない。


「ヴィヴィオちゃんは、大丈夫なんだね。一回使ったみたいだけど」

「はい。その時は特にそれを使ったことでどうかしちゃったことはありませんでした」


 僕はもう一度、ポスターに書いてある内容を読み直した。
 一応、ダブルドライバー、アクセルドライバー、ロストドライバー、ガイアドライバーの四つの予備アイテムについても書いてある。これを使えば、メモリを使った人間のように精神に害を及ぼすことはないようだ。


(これを使ったのかな? ……あるいは、気合や精神力で押さえつけることができるって書いてあるけど)


 ガイアメモリか……。
 これは全くもって未知の道具だ。このポスターの説明も、精神汚染や気合、精神力などと言う抽象的な表現でよくわからない。
 もちろん、僕たちはこの紙を持ち歩くことにした。ガイアメモリについてよく知らない僕たちにとっては、貴重な情報源だ。
 よく見ると、そこら中にこのガイアメモリの説明書きポスターは張り出されている。僕とヴィヴィオちゃんの分のほか、他の人たちに配るかもしれないので、余分に剥がしておいた。
 また、ここに後から来る人のために一応、何枚かは残しておいた。
 僕たちの手元には五枚、五枚で計十枚のポスターが握られていることになる。


(メモリの用法と副作用、T-2メモリの名称と画像、その他のメモリの名称、ドライバーの名称と画像、それから強化アダプターやトライアルメモリ……このポスターから読み取れるのはそれだけか。でも、十分だな……少なくとも、ガイアメモリについて無知な僕にとっては)


 こうした細かい情報も、後々役に立つかもしれない。
 どうやらヴィヴィオちゃんも霧彦さんに教わっていない情報があったようだし、主催側もそれなりに役に立つものを用意してくれたことだと思う。
 ……しかし、これには加頭の使った「ユートピア」というものはなかった。主催側に都合の悪いものは表記されていないのだろうか。


「ここには他に何もない、かな……?」

「わかりませんけど、たぶん……」

「一応、探してみるよ。ヴィヴィオちゃんはそこで待ってて」

「いえ、私も探します」


 そんなこんなで少し探してみたが、机の上の書類はやたらと硬い文章でおそらくこの状況や世界とは関係のないものばかり、ポスターにもめぼしいものはなし……という具合だった。



★ ★ ★ ★ ★



 そろそろ、他のみんなが来るかどうか気になったし、いろんな部署を見てきたが、ガイアメモリのポスター以外には情報源になりそうなものもなかった。
 書類の類はさまざまな部署に積まれていたが、それを一つずつ調べていくというのは少々きついものがある。
 幾つか部屋を回ったが、もう頭が痛くなるレベルだ。
 それで、外の空気を吸うことも兼ねて、屋上へ出た。
 もし、あの時アインハルトちゃんが乱馬くんに助けられなければ、忌まわしい場所として記憶に残り続けただろうし、ここにもう一度来ることはなかったと思う。


 屋上から見える景色は、ほとんど変わっていない。空気の味は少し美味しく感じたが、景観は、本当にただの街だ。遠くまでは見えない。
 ただ、あの時と確実に違う「異常」は屋上の『床』、そのものにあった。
 あまりに巨大で、確実に目立つ異変が屋上にはあったのだ。


「……なんだろう、これ」

「……召喚魔法陣、でしょうか?」


 光る円、その中に描かれた何処かの国の文字と記号。
 魔法陣……と呼ばれるものが、屋上で光り輝いていたのだ。
 大きさは直径が僕の身長か、それより少し大きいほどで、おそらく誰でもこの直径に収まりそうな仕様だ(勿論、ウルトラマンに変身したときの姫矢さんは無理だけど)。


「でも、ベルカ式ともミッドチルダ式とも違うし……どうしてこんな所に?」


 ヴィヴィオちゃんのセリフは僕には意味不明だ。
 ヴィイヴォちゃんやアインハルトちゃん、その他の一つが、魔法・魔術というものに精通しているのは知っている。
 ……まだ信用しがたい部分も理解しがたい部分もあるが、子供のお遊びではないのは確実だと思っていた。プリキュアやアンノウンハンド、バダンなど様々な単語を聞き入れ、その能力の一部を目の当たりにしてきた僕には、もはや魔法・魔術は聞きなれた部類だった。
 もっとも、僕の世界では昔読んだ童話やファンタジーでしか存在しない言葉だったけど。


「……ヴィヴィオちゃんの知らないものとなると、これは一体何なんだ?」


 僕は魔法陣にそっと手を触れてみた。
 警察署の屋上そのものの温度とは明らかに違う。その部分だけ、発光している電球のような温かみがあった。
 しかし、それは輝きながら温度を発しているだけで、僕の手がどうにかなることはない。
 ここにある魔法陣は、何の効果ももたらしてはくれなかった。


「……そうだ」


 記憶を辿り、ある可能性を閃く。


「もしかして、サラマンダー男爵が言ってたボーナスって、これなんじゃないかな?」

「ボーナス?」


 ヴィヴィオちゃんは、まるで放送を聞いていなかったかのようにキョトンとしている。
 サラマンダー男爵という名前には反応していたようだし、おそらく放送の時点ではショックで放送の内容を全て聞き取ることができなかったのだろう。
 僕もうろ覚えだった放送内容を思い出し、サラマンダー男爵の言ってたボーナスについて説明する。

「サラマンダー男爵は、放送の時に禁止エリアの情報のほかに、僕たちに特別ボーナスを渡したことを説明してたんだ。確か、十一時に会場のどこかにある施設に、移動に役立つものを用意してるって言ってた」

「はい」

「……遠い施設にも一瞬で辿りつけるって言ってたから、きっとこの魔法陣のことなんじゃないかと思う。僕も最初は戦闘機やバイクのことを考えたけど」


 ふつうに考えれば、移動に役立つものといえば乗り物だろう。
 しかし、直後のサラマンダーの通り一瞬で別の場所にたどり着く。それが比喩でないとするのなら、それはワープというオーバーテクノロジーだ。
 そして、僕の中のワープのイメージの一つとして、幾何学模様や魔法陣によって異世界へ行く……というものがあった。昔見たファンタジーか何かの設定だろう。
 それを思い出したのだ。
 実際、ヴィヴィオちゃんのように魔法や魔術の専門家が「魔法陣でそんなことはできない」とこれを否定したら笑いものだけど、とりあえず可能性を口に出してみた。


「でも、孤門さんが触れても瞬間移動とか……何も起きませんよね……」

「うん……。もしかしたら、ヴィヴィオちゃんみたいに魔法や魔術の素養がある人じゃなきゃ移動ができないのかも。僕は魔法陣でワープなんてしたことがないし」


 僕は苦笑した。
 ただ手をかざせばいいというものではないのだろう。
 乗り物にも乗り方というのはある。都合よくはいかないんじゃないかと思う。
 それだと、誰でもできるかのようなサラマンダー男爵の口ぶりはまるっきり嘘になる。


「……あるいは、これがこちらからは移動できずに、どこかの魔法陣の移動先として配置されているのかもしれない」

「確かにそれはあるかもしれません」

「一応、ヴィヴィオちゃんも試してみてくれるかな」


 ヴィヴィオちゃんは、言われて試しに手をかざしたり、足を乗せたりしたが、どうやら魔法陣が何らかの形で作用する様子はない。
 ヴィヴィオちゃんの知る魔法・魔術ともまた違った作図なのだから、おそらくこれは主催側しか知りえないのだろう。
 とにかく、今はこれを使うことはできなさそうだ。
 やはり、一方通行の魔法陣の「来る」側か、何か発動の条件があるかのどちらかだと思われる。


「どうする? ヴィヴィオちゃん、行く?」

「そう、ですね……。クリスもわからないって言ってますし」


 クリスがヴィヴィオの前でしょんぼりと肩をすくめている。
 ……どうやら、彼女たちの世界の魔法とはまた違った魔法なのだ。


 僕たちは、その直後、ヴィヴィオちゃんの提案でトレーニングルームに行くことになった。
 まあ、ちょっと前と比べれば、僕とヴィヴィオちゃんも少し、打ち解けてきているのかな……と思う。



★ ★ ★ ★ ★



「これは……」


 またまた、僕は目の前の物に唖然としていた。
 意外と、新たな発見があるものだな……。そして、それがどれも驚くべきものばかりだった。
 小学校の体育館のように広く光る茶色に磨かれたトレーニングルームで僕たちを待っていたのは、僕よりもまた頭二つほど大きな「人型のメカ」だ。
 おそらく、大きさは二メートルを軽く超えている。
 青と白に包まれた、ゴツゴツとした人型の、異形。メカニカルでありながら、どこか人のような愛嬌のある不思議な鎧。
 鎧、という表現は間違いなく適切ではない。
 そう──例えて言うなら、子供のころに見た巨大ロボットのような、何か。だが、巨大ロボットと呼ぶには少し小さすぎる。


「な、なんだろう……これ」

「よ、鎧……? ロボット……?」

「それは僕も考えたんだけど……」

「誰も入ってませんよね? しゃべりかけてきたりしませんよね!?」

「さ、さあ……」


 恐る恐る、僕はそれに触れた。
 触れるだけで、その硬さと冷たさを感じ取った僕は、これがとてつもない重量感を放っていることに今更ながら気づく。
 足元の床が揺れているようだった。……僕の足が震えているだけだった。
 しかし、足元の床は、やや陥没していた。
 そんな威圧感と恐怖に陥りながらも、僕は少しそれを調べてみた。


「……本当に、ロボットみたいだ」

「動くんですか?」

「さあ、僕もロボットを動かしたことはないから……」


 さっきから僕は役立たず同然だ。
 魔法もロボットもわからない人間は、この場では駄目人間なのだろうか。


「でも、操縦したり、ラジコンで動かしたり……って感じじゃないよな」

「じゃあ、鎧みたいに着るんですか?」

「わからない。でも、これの装備がはっきりしないと、重りにしかならないな……マニュアルでも置いてくれればありがたいんだけど。……飾り、ってこともないよなあ」


 僕は悩みながらも、少し素を出していた。 
 クロムチェスターなどの兵器とは出会ってきたが、巨大ロボットのような二足歩行の人型の武器なんて見たこともない。
 そう、たとえるならウルトラマン──サード・デュナミストの憐がそのままロボットになったような印象だろうか(いや、これは憐に失礼か)。
 青というカラーも似ているが、憐はそこまで無骨ではない。
 これが空を飛べたり、ビームを発射できたりするものとも思えなかったし、ナイトレイダーの装備だと言われても納得できるか微妙なところである。


 触れるだけでなく、そのロボットの周りを一周して、いろいろと調べてみる。
 しかし、あまり迂闊に触ることもできず、その外観だけで装備を見ていく。
 おそらく、兵器の類であるのは、背中に垂れた砲台と右腕から見える小銃からもよくわかる。


「…………やっぱり、これは立派な兵器だよ。ただ、動かせない以上はただの置物かな。見たところ、人が装着するパワードスーツみたいなものだけど、あまり得たいの知れないものに障るのは流石に怖いかな」

「そ、そうですね」


 ある程度、兵器に対しての知識を身に着けたとはいえ、パワードスーツなど知らない。
 ただ、一歩間違えば暴発されるかもしれない兵器を、何も知らない状態でいじるのは危険行為だ。
 とりあえず、話題を変えてヴィヴィオちゃんに、このトレーニングルームに来た理由を訊いた。


「……で、ヴィヴィオちゃんはどうしてここへ?」

「ちょっと、リハビリをしようかな、って思ったんです。やっぱり少し体を動かさないと」


 それで僕は、納得する。
 彼女もひと暴れしたいのかと思っていたが、やはり腕の状態や上半身の状態を見た感じでは、まだ激しい運動をするわけにはいかないだろう。
 ただ、リハビリは大事だ。
 体はすぐに鈍るし、怪我をしたままだと日常的な行動さえも慣れが必要になる。
 そういう意味で、ここに来たのか。


「……よし、じゃあヴィヴィオちゃん。少し体を動かそうか」

「はい」


 ヴィヴィオちゃんは、トレーニングルームの端にある、衝立に囲まれた箱に入った竹刀を一本取り出した。
 竹刀……どうやらこの場では武器にならなそうだな、と僕は思う。
 ディバイトランチャーの方が、まだ敵には効果的だろう。あくまで、今回はこのヴィヴィオちゃんのリハビリと僕自身の軽い運動を兼ねて、……僕も竹刀を取り出す。
 竹刀自体には大して重さを感じることはなかったが、これを振り回すと腕が疲れるのだ。


「はぁっ! はぁっ!」


 ヴィヴィオちゃんはなるべく僕から離れ、右手だけで竹刀を振るっていた。
 まだ竹刀の長さとも変わらないような身長なのに、片手でこれを振るえるのは、相当な腕力だ。しっかり握っていなければ、竹刀は手から抜けて吹っ飛んでしまう。
 僕はそれを心配しつつも、ヴィヴィオちゃんから距離を置いて竹刀を振るい始めた。
 僕も同じように、右手だけを使う。
 右手だけで竹刀を持つ。右手だけで風を切る。右手だけで竹刀を持ち上げる。
 これを繰り返すのは、なかなかに体力が要る。……まあ、ナイトレイダーに入ったころの訓練よりずっとマシだと思うけど。


「すごいね、ヴィヴィオ、ちゃん」

「孤門さんも、結構」


 竹刀を振るいつつ、そんなことを言った。これはすぐに息が切れる。
 道場の端っこでは、クリスが手を振って応援していた。もっとも、集中しすぎていてそれに答えることはできないんだけど。
 そのうえ、前方で僕たちを見守るもう一つの物体──青と白のパワードスーツの威圧感も半端ない。
 ……というか、今気づいたが、こうした兵器を危険視しながらも、結局兵器のある部屋でのほほんとリハビリを始めるのは少し変だろうか。こうした兵器も、おそらく放っておけば何の問題もない。
 あれが動いて、銃を人や物に向け始めた時から、戦争が始まる。こうして、見守ってくれているだけならまだ問題ないのだ。
 TLTで生きてきたから、少しだけ兵器が隣にある特訓にも慣れていたのもまた、僕がこうして平然と特訓をしている理由だろう。


「何回で、終わりに、する?」

「今回は、百回、それから、また後で、また、やりましょう」


 壁にかかったアナログ時計は、もう十分足らずで正午になるということを表していた。

 八十九。九十。九十一。九十二。

 時計を見ると、だいたい一秒に一振りのリズミカルな素振りをしているのだとわかる。

 九十三。九十四。九十五。九十六。

 竹刀を振るっている間は、あらゆることを忘れて、竹刀を振るうことだけに集中する。もうすぐ、ノルマは終わるのだが、百に向けてペースが速まるようなことはなかった。
 腕がそこまで疲れておらず、むしろ物足りなさを感じるくらいだ。

 九十七。九十八。九十九。百。



「おわり、……っと」


 それでも、約束通り、竹刀を元あった場所に立てかけた。


「大丈夫? ヴィヴィオちゃん、疲れてない?」

「はい、大丈夫です」

「やっぱり、ヴィヴィオちゃんも結構鍛えてるんだ」


 と言いつつ、僕らはほんの少しだけ水を口に含んでおいた。
 冷たい水ならば、どんどん飲んでしまうかもしれないが、既にこの水はそこまで冷えてはいないため、本当に一口だけすすいだような感じだった。
 腕も痛むことはなかったし、ほどよい運動になったんじゃないかと思う。
 疲れて眠くなることもない。むしろ、眠気覚ましになった気がする。


「……一度、会議室に戻ろう。放送が終わったらみんなも来るかもしれないし」

「そうですね。探検は一時中断っていうことで」


 そう言って、ヴィヴィオちゃんは無邪気に笑う。
 僕もつられて、薄く笑みを浮かべた。
 ……でも、そんな無邪気さを見た瞬間、背筋がゾクッとするような考えも頭を巡ってきた。

 アインハルト・ストラトス、スバル・ナカジマ、ティアナ・ランスター、早乙女乱馬、山吹祈里、園咲霧彦……ここに来てから彼女と親しくしてきた人たちが、一人でも死んでいたら、彼女は無邪気に笑えるのだろうか。
 あと数分で放送が始まるが、その瞬間に、彼女は笑うことさえ許されなくなってしまうのではないか。またあの重い時間が流れてしまうのではないか。
 残酷にも告げられる死者の名前──。
 僕も、その中に西条凪、姫矢准、石堀光彦、蒼乃美希──そんな名前を聞き取ってしまったら。
 僕の笑顔の裏には、そんな不安があった。


 彼女は、僕との情報交換のときに高町なのは、フェイト・テスタロッサ、ユーノ・スクライアの死を信用していないと言っていたが、その時の目は決して前向きに未来を捉えているようには見えなかった。
 どこかで大切な人の死が確かなものであると知っていて、それがつっかかっているようだった。


 ──リコ。


 僕の脳裏に浮かぶ、一人の女性の名前。
 大切な人の死。
 それがいかに辛いものなのかは、僕だって知っている。
 そして、誰かを憎みたくなる気持ちも、そこから目を背けたくなる弱さも、乗り越える痛みが襲ってくる。
 彼女は耐えられるのだろうか。今、本当に彼女は耐えているのだろうか。


 思いつめながら会議室に帰り、そのホワイトボードに書かれた、
「ヴィヴィオ、孤門、警察署内探検中。戻ってきた方はこちらで待機をお願いします。」
 という書置きを消した。


 放送のための準備として、僕はデイパックの中から名簿と筆記用具を取り出した。
 そういえば、前の放送の時も美希ちゃんとこうして名簿などを準備したっけ。


「諦めるな!」


 その言葉を、今度は自分に言い聞かせなきゃらならない。
 まだ起きていない不幸──まだ呼ばれていない名前──を恐れるなんて、愚かしいことに違いない。
 みんな、きっと生きてる。
 僕もヴィヴィオちゃんも、今は、そう信じるしかない。


 ……それからもうひとつ。
 まだこの「探検」の中で残っている謎が幾つかある。

 あのトレーニングルームにあったパワードスーツ。
 あれが本当にパワードスーツであるのかさえわからない──ただ、それが一番近いからそう呼んでいるだけだ。あれを知っている人が、誰かいるかもしれない。

 それから、屋上にあった魔法陣。
 あれの正体も、はっきりとはわかっていない。
 ヴィヴィオちゃんたちにもわからなかったので諦めかけているが、もしかしたらもっと詳しい人がいるかもしれないから、情報を提供してみる価値はあるだろう。



 再び静寂が沸き起こった会議室に、放送の音が鳴ろうとしていた。


【1日目/昼】
【F-9/警察署会議室】
※時空魔法陣が設置された場所は屋上です。


【高町ヴィヴィオ@魔法少女リリカルなのはシリーズ】
[状態]:上半身火傷、左腕骨折(手当て済) 、決意と若干の不安
[装備]:セイクリッド・ハート@魔法少女リリカルなのはシリーズ
[道具]:支給品一式×2(ヴィヴィオ、アインハルト)、ヴィヴィオのランダム支給品0~1、山千拳の秘伝書@らんま1/2、アインハルトのランダム支給品1~3個(アインハルトは確認済み、ヴィヴィオは未確認)、ガイアメモリに関するポスター×5
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:強くなりたい。その為にらんまに特訓して欲しい。
2:みんなを探す。
3:ママ達、無事だよね……?
4:スバルさん……?
[備考]
※参戦時期はvivid、アインハルトと仲良くなって以降のどこか(少なくてもMemory;21以降)です
※乱馬の嘘に薄々気付いているものの、その事を責めるつもりは全くありません。
※ガドルの呼びかけを聞いていません。
※警察署の屋上で魔法陣、トレーニングルームでパワードスーツ(ソルテッカマン2号機)を発見しました。


【孤門一輝@ウルトラマンネクサス】
[状態]:健康、ナイトレイダーの制服を着ている
[装備]:ディバイトランチャー@ウルトラマンネクサス
[道具]:支給品一式、ランダム支給品0~2、ガイアメモリに関するポスター×5
[思考]
基本:殺し合いには乗らない
1:みんなを何としてでも保護し、この島から脱出する。
2:姫矢さん、副隊長、石堀さん、美希ちゃんの友達と一刻も早く合流したい。
3:溝呂木眞也やゆりちゃんが殺し合いに乗っていたのなら、何としてでも止める。
4:相羽タカヤ、相羽シンヤと出会えたらマイクロレコーダーを渡す。
5:沖さん達が少しだけ心配。
[備考]
※溝呂木が死亡した後からの参戦です(石堀の正体がダークザギであることは知りません)。
※パラレルワールドの存在を聞いたことで、溝呂木がまだダークメフィストであった頃の世界から来ていると推測しています。
※警察署の屋上で魔法陣、トレーニングルームでパワードスーツ(ソルテッカマン2号機)を発見しました。


【ガイアメモリに関するポスター】
主催者特製のポスターで、警察署内に幾つも貼られている。
次の情報が記載されており、メモリに関する情報を得ることができる。
  • メモリの用法と副作用(説明所と同様。ただし、精神力や気合で抑え込める等、今ロワのルールも触れてある)
  • T-2メモリの名称と画像(今ロワで支給品または変身アイテムとして支給されているものだけ。効果や変身後については触れてない)
  • その他支給されているメモリの名称(T-2メモリ一覧の下に名称のみ羅列されている)
  • ドライバーの名称と画像(ダブル、アクセル、ガイア、ロストの四つ。用法や変身後については触れてない)
  • 強化アダプターやトライアルメモリの名称と画像(用法や効果は触れていない)

【ソルテッカマン2号機@宇宙の騎士テッカマンブレード】
警察署内のトレーニングルームに配置。
詳しい説明書などが一切ない(配置場所が書かれたメモや説明書等が誰かに支給されているか、どこかに配置されている可能性もあるが、少なくとも配置場所付近にはない)。
原作ではノアルが装着したソルテッカマン。
フェルミオン砲とレーザーガンの装備は揃っているが、エネルギーがどの程度あるか、補給場所があるのかも現在のところは不明。



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最終更新:2014年04月03日 13:42