暁の決意!決着は俺がつける!! ◆OmtW54r7Tc



石堀光彦は、西条凪を抱えながら森を抜け、市街地に辿り着いた。
放送、もとい一文字との約束までには予測していた通り30分以上の猶予があった。

「とはいえ、一文字たちはいったいどこにいるのやら…」

市街地で合流という話ではあったが、特にはっきりと場所を決めたわけではない。
まあ、禁止エリアの存在を考えれば仕方ないだろう。
とりあえず、早く合流したいところだ。
アクセルという強力な力はあるが、意識を失った凪を一人で抱えているこの状況はあまりよろしくない。

「ん?あれは…」

少し離れていたところに、人が倒れているのを見つける。
石堀は凪を抱えつつそちらへ向かう。

「……姫矢」

そこにあったのは、石堀のよく知る人物の遺体だった。
首と胴が無惨にも切り離されている。

「まあ、ここで放置したら後で孤門辺りに何言われるか分からないしな。埋めといてやるか」

石堀は姫矢の転がった身体を埋葬しながら考える。
放送で彼の死を知った時から、気になっていたことがあった。

(ウルトラマンの光は、どうなった?)

彼は、ウルトラマンの光の所有者だった。
しかしこうして死んでしまった今、光は別のデュナミストに引き継がれたはずだ。
問題は、誰がその光を引き継いだのか、ということだ。
元の世界にいるデュナミストに受け継がれたのならいい。
だが…もしも、ここにいる参加者がデュナミストになっていたとしたらどうだろう。

(面倒なことになるな…)

ここにいる参加者の多くが石堀とは関わりのない異世界の住人である。
もしこの場で光が受け継がれて、その人物が自分達とは違う世界の住人だったなら、凪に光を繋ぐことがかなりの困難を極める。
予言で凪に光が繋がれることは予知されているとはいえ、このようなイレギュラーは想定されておらず、絶対とは言い切れない。
デュナミストは意識的、または無意識的に光を繋ぐ人物を選ぶ。
しかし異世界の人間となれば凪との接点を持たせることは厳しく、凪が気絶している現状、この殺し合いの場で接点を持たせることも難しい。
そうなると、凪に光が繋がれる可能性がかなり低くなってしまう。

(そうなってくると、主催側の力を手に入れる必要が出てくるかもしれないな…)

異なる世界の住人を集めた殺し合いの主催陣の力。
それがあれば異世界の人間が光を継いだとしても無理やりにでも凪と接点を持たせることが可能かもしれない。
放送から複数の勢力が混在した組織であることは分かっている。
おそらくその内の誰かがそういう力を持っているのだろうが…

(待てよ?)

そういえば、少し前にパラレルワールドに関して黒岩からある話を聞いた。
そうだ、確かあれは桃園ラブから聞いたという話であったが。

(話を聞いてみる価値はあるかもな…)



そうこうしているうちに、姫矢の埋葬は完了した。
埋葬を終え、一文字はどこにいるだろうかと地図を取り出し眺めていると、

「あ、あの!」

女の子の声が聞こえてくる。
声をかけられ、振り向く。
そこにいたのは…

「ラブちゃん!暁!」
「石堀。あんた、無事だったのか」
「ああ、二人も無事で何よりだ」
「石堀さんこそ!良かった…」

石堀の姿に、ホッとして喜びの表情を見せるラブ。
が、一方で暁は辺りを見回すと言った。

「…黒岩は一緒じゃないのか?それに凪…何かあったのか?」
「ああ、実は…」

説明しかけたところで、石堀もまた何かに気づいた様子で言葉を止め、逆に聞き返す。

「ラブちゃん、一文字と一緒じゃなかったのか?放送でも呼ばれることがなかったから、あの場を切り抜けて一緒に行動していると思っていたが」

そういうと、ラブは悲しそうな表情で顔を俯かせた。
その顔を見て、石堀は何があったのかを察した。

「なるほどな…どうやらお互い積もる話がありそうだ」



「そんな!?黒岩さんが、西条さんを!?」

石堀から聞かされた話に、ラブは驚愕する。
黒岩がダークザイドという悪い怪人で…凪が目を覚まさないのも彼が原因なのだと。

「そんな…嘘だよ!黒岩さんが…そんな」
「残念だが本当だ。奴は、戦いに敗れた自身の身体を回復させるという理由で、副隊長のラームを喰った。初めから、俺達の事は体のいい食料として見ていたのかもな」

ちなみに石堀は、当然ながらその後自分が黒岩に行ったことは話してはいない。
凪のラームを喰った黒岩はその後自分たちのもとを離れ逃走したと伝えている。
そんな石堀の話を聞いて、ラブは意気消沈した様子で俯いた。

「……………」
「珍しくおとなしいな、暁」
「へ?そうか?」
「お前の事だから、俺の話を聞いてここぞとばかりにあいつを悪し様に罵ると思ってたんだがな」
「……………」


(クソっ、なんなんだよ、このモヤモヤした感じ)

分かってたはずだ。
あいつはダークザイドで、悪い奴だってずっと疑い続けてた。
そして、暁のその疑念は事実だということが、こうして証明された。
それなのに、何故だか石堀の話を受け入れきれない自分がいた。

(黒岩、お前ほんとに俺達を裏切ったのかよ?)

別にあいつは俺の友達ってわけじゃない。
あいつは俺のこと知ってるみたいだったけど、そんなこと知ったこっちゃない。
出会ったときから気に食わなかったし、今でもやっぱり気に食わない野郎だ。
それなのに…どうして自分はショックを受けているのだろうか?

ふと、隣にいる少女に目をやる。
ラブは…自分以上にショックが大きいようで、その表情は再会した時や一文字の遺体を発見した時と同じだった。
そう…同じ顔なのだ。
何度も悲しい目にあって、その度に悲しい表情を浮かべて…
それでも明るく元気に頑張って行こうとしているのに、また悲しみの表情を作らせてしまう事となった。
暁は、石堀と再会する前にしていた話を思い出す。
それは、ラブと黒岩が初めて出会った時のことだった。



『その時、黒岩さんは言ってくれたんです。一緒に戦ってくれるって』
『ふうん、あいつがねえ』

正直、胡散臭い話だ。
ていうかアイツが東京都知事?冗談だろ?

『だけどラブちゃん、あいつ、ダークザイドっていう悪い奴なのかもしれないんだぜ』
『そんなことないですよ!黒岩さんはいい人です』
『俺にはいい奴には見えないけどなあ…』
『仮に黒岩さんがダークザイドって怪人だったとしても…それでもあたしはあの人を受け入れたいです。だって…悪い人には見えないもの!』

そう、笑顔で言った。
その笑顔には、嘘偽りなんかなく、心から黒岩の事を信頼している様子が見て取れた。

『…ま、そこまで言うなら俺もちょっとはあいつのこと、信じてやるか』

ラブちゃんをこんな笑顔にする奴なら、少しはいいところもあるのかもしれない。
仲間として、少しは信じてもいいかもしれない。
ニコニコと歩くラブを見ながら、暁はそう思った。



…そう、思っていた。
黒岩の事を少しは信じてやろうと、思っていた。
それなのに…あいつは裏切った。

「…なあラブちゃん、もしあいつが俺達の前に現れたとしたらさ、ラブちゃんはどうしたい?」
「あたしは……」

俯いたままつぶやくと、そこで一度言葉を切った。
やがて顔をあげると、キリっとした表情となり、言った。

「あたしは…黒岩さんを止めたいです。西条さんにしたことは許せないけど…それでも、説得したいです」

強い子だな、と思った。
こんな現実を突きつけられても、それでも信じることをやめない。
前を向いて、戦おうとしている。
まったく、俺なんかよりラブちゃんの方がよっぽどヒーローらしい。

「なあラブちゃん…黒岩の事は、俺に任せてくれないか?」
「え?」
「あいつとの決着は…俺がつける」

おちゃらけた態度を潜めて、真剣な表情で暁はそう宣言する。
何故だかは分からない。
だけど、そうしなければいけないと思った。
あいつは俺と戦う運命にあって…あいつもまた、俺と戦う事を望んでいる。
そんな予感があった。

「決着をつけるって…黒岩さんを、殺すんですか?」
「分からない…もしかしたら、そうなるかもしれない」
「そんな…」
「ごめんラブちゃん。だけど俺は、ラブちゃんみたいに優しくなんかないからさ…アイツの事が許せないんだ」

暁は怒っていた。
自分達を裏切ったことを…なによりラブちゃんの信頼を裏切ったことを。
多くの悲しみを背負った少女に、更なる悲しみを負わせたことを。

「あいつとの決着は俺がつける…つけなきゃいけない、そんな予感がするんだよ」
「暁さん…」

ラブは思い出す。
かつて、せつながラビリンスの一員だと知った時、自分はせつなと話をするため、分かりあうために、彼女と拳を交えた。
今の暁には、あの時の自分と似たような…強い決意と覚悟が感じられた。

「分かりました…黒岩さんのことは、暁さんに任せます」

だから、止めることが出来なかった。
彼の決意に水を差すようなことはしてはいけない。
そう、感じたから。



「あー…コホン」

暁とラブがそんな話をしている中、石堀はわざとらしく咳払いする。

「そっちの話も聞きたいんだが…いいか?」
「あ、すみません!」

石堀に促されて、ラブは話す。
暗黒騎士キバから逃げ、一文字と行動していたこと。
放送後、テッカマンランスと遭遇して戦い、一文字は乱入してきた青の怪人と戦い死んでしまったことを。

「青の怪人か…注意する必要がありそうだな」
「すみません石堀さん…あたしが弱かったばっかりに」
「…とりあえず、一文字は死んでしまったが、彼の仲間の沖一也やつぼみちゃん、俺達が道中出会った奴らがこの市街地のどこかに集まってるかもしれない。まずは中学校へ向かってみよう」

こうして3人は、仲間を探す為出発した。
一文字との約束、そして三回目の放送の時間は刻一刻と迫っていた。

「そういえばラブちゃん」
「なんですか、石堀さん?」
「黒岩から聞いたんだけど、ラブちゃんはラビリンスって奴らと戦ってたんだよね?そのことについて、詳しく教えてくれないかな?」


【1日目 夕方】
【H-7/市街地】


【涼村暁@超光戦士シャンゼリオン】
[状態]:疲労(中)、黒岩への怒り
[装備]:シャンバイザー@超光戦士シャンゼリオン、モロトフ火炎手榴弾×3
[道具]:支給品一式×3(暁(ペットボトル一本消費)、一文字(食料一食分消費)、ミユキ)、首輪(ほむら)、姫矢の戦場写真@ウルトラマンネクサス、タカラガイの貝殻@ウルトラマンネクサス、八宝大華輪×4@らんま1/2、ランダム支給品0~2(ミユキ0~2)、
[思考]
基本:加頭たちをブッ潰し、加頭たちの資金を奪ってパラダイス♪
0:どこかに集まっているだろう仲間を探す
1:別れた人達が心配、出来れば合流したい。
2:あんこちゃん(杏子)を捜してみる。
3:黒岩との決着は俺がつける
4:可愛い女の子を見つけたらまずはナンパ。
[備考]
※第2話「ノーテンキラキラ」途中(橘朱美と喧嘩になる前)からの参戦です。
つまりまだ黒岩省吾とは面識がありません(リクシンキ、ホウジンキ、クウレツキのことも知らない)。
※ほむら経由で魔法少女の事についてある程度聞きました。知り合いの名前は聞いていませんでしたが、凪(さやか情報)及び黒岩(マミ情報)との情報交換したことで概ね把握しました。その為、ほむらが助けたかったのがまどかだという事を把握しています。
※黒岩とは未来で出会う可能性があると石堀より聞きました。
※テッカマン同士の戦いによる爆発を目にしました。
※第二回放送のなぞなぞの答えを知りました。
※森林でのガドルの放送を聞きました。


【桃園ラブ@フレッシュプリキュア!】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、精神的疲労(小)、決意
[装備]:リンクルン@フレッシュプリキュア!
[道具]:支給品一式×2(食料少消費)、カオルちゃん特製のドーナツ(少し減っている)@フレッシュプリキュア!、毛布×2@現実、ペットボトルに入った紅茶@現実、巴マミの首輪、工具箱、黒い炎と黄金の風@牙狼─GARO─
基本:誰も犠牲にしたりしない、みんなの幸せを守る。
0:石堀にラビリンスについて説明する。
1:どこかに集まっているだろう仲間を探す。
2: 黒岩さんのことはひとまず暁に任せる
3:マミさんの遺志を継いで、みんなの明日を守るために戦う。
4:プリキュアのみんなと出来るだけ早く再会したい。
5:マミさんの知り合いを助けたい。もしも会えたらマミさんの事を伝えて謝る。
6:犠牲にされた人達のぶんまで生きる。
7:ダークプリキュアとと暗黒騎士キバ(本名は知らない)には気をつける。
8:どうして、サラマンダー男爵が……?
[備考]
※本編終了後からの参戦です。
※花咲つぼみ、来海えりか、明堂院いつき、月影ゆりの存在を知っています。
※クモジャキーとダークプリキュアに関しては詳しい所までは知りません。
※加頭順の背後にフュージョン、ボトム、ブラックホールのような存在がいると考えています。
※放送で現れたサラマンダー男爵は偽者だと考えています。


【石堀光彦@ウルトラマンネクサス】
[状態]:疲労(中)、ダメージ(中)、凪を抱えて移動中。
[装備]:Kar98k(korrosion弾7/8)@仮面ライダーSPIRITS、アクセルドライバー+ガイアメモリ(アクセル、トライアル)+ガイアメモリ強化アダプター@仮面ライダーW、エンジンブレード+エンジンメモリ+T2サイクロンメモリ@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式×3(石堀、ガドル、ユーノ)、メモレイサー@ウルトラマンネクサス、110のシャンプー@らんま1/2、不明支給品1~4(ガドル0~2(グリーフシードはない)、ユーノ1~2)
[思考]
基本:今は「石堀光彦」として行動する。
0:ラブからラビリンスについての話を聞いて平行世界について情報を得る。
1;どこかに集まっているだろう仲間を探す。
2:周囲を利用し、加頭を倒し元の世界に戻る。
3:次のデュナミストがどうなっているか気になる。もし異世界の人間だった場合どうするべきか…
4:今、凪に死なれると計画が狂う……。
5:孤門や、つぼみの仲間、光を持つものを捜す。
6:都合の悪い記憶はメモレイサーで消去する
7:加頭の「願いを叶える」という言葉が信用できるとわかった場合は……。
[備考]
※参戦時期は姫矢編の後半ごろ。
※今の彼にダークザギへの変身能力があるかは不明です(原作ではネクサスの光を変換する必要があります)。
※ハトプリ勢、およびフレプリ勢についてプリキュア関連の秘密も含めて聞きました。
※良牙が発した気柱を目撃しています。
※つぼみからプリキュア、砂漠の使徒、サラマンダー男爵について聞きました。
※殺し合いの技術提供にTLTが関わっている可能性を考えています。
※テッカマン同士の戦いによる爆発を目にしました。
※第二回放送のなぞなぞの答えを知りました。
※森林でのガドルの放送を聞きました。


【西条凪@ウルトラマンネクサス】
[状態]:ラーム吸収による意識不明状態、身体的ダメージ(小)
[装備]:コルトパイソン+執行実包(2/6) 、スカルメモリ&ロストドライバー@仮面ライダーW
[道具]:支給品一式×3(凪、照井、フェイト)、ガイアメモリ説明書、.357マグナム弾(執行実包×18、神経断裂弾@仮面ライダークウガ×4)、テッククリスタル(レイピア)@宇宙の騎士テッカマンブレード、イングラムM10@現実?、火炎杖@らんま1/2、ランダム支給品1~4(照井1~3、フェイト0~1)
[思考]
※あくまで意識不明となる前の思考です。
基本:人に害を成す人外の存在を全滅させる。
0:溝呂木……。
1:黒岩省吾をどうするべきか(その思いは更に強力に)、涼村暁の事は……。
2:状況に応じて、仮面ライダースカルに変身して戦う。
3:孤門と合流する。
4:相手が人間であろうと向かってくる相手には容赦しない。
5:黒岩省吾の事を危険な存在と判断したら殺す。
6:暗黒騎士キバ、ゴ・ガドル・バもこの手でいつか殺す。
[備考]
※参戦時期はEpisode.31の後で、Episode.32の前。
※さやかは完全に死んでいて、助けることはできないと思っています。
※まどか、マミは溝呂木に殺害された可能性があると思っています。
※テッカマン同士の戦いによる爆発を目にしました。
※第二回放送のなぞなぞの答えを知りました。
※森林でのガドルの放送を聞きました。
※黒岩省吾によってラームを吸収されました。そのため、黒岩省吾がラームを吐き出すか、死亡しない限りは意識不明のままです。


※姫矢の遺体が埋葬されました。


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最終更新:2014年03月03日 16:53