武蔵野鉄道9000系電車
概要
当時の武蔵野鉄道は、戦前型や600型などの老朽車の車体更新がおおむね終了していたが、今度は、7000系(初代)や700系・800系の輸送力の低さが露呈し始めた。新性能電車で置き換えることになったが、当時の武蔵野開発鉄道は立体交差・複々線化事業の影響により車輌新造にかけられるコストが多くなかったため、一部の新造車を国鉄の廃車発生品および5000系の体質改善工事に伴う余剰品を流用して作ることになり、この系列が立ち上げられた。熱容量にあまり余裕のないMT46、MT54型主電動機もしくは5000系の体質改善で余剰となった主電動機を使用しているため、MT比を高めにとり、歯車比を高速寄りに設定した急行、快速向けの性能としている。最高運転速度は115km/hで、起動加速度は2.3(6M2T)~2.5km/h/s(全電動車)、常用減速度4.0km/h/s、非常減速度4.5km/h/sである。なお、MT比が少なめの8両固定編成は全てMT54型主電動機を搭載している。30番台は5000系の電動機などを流用している。
部品流用などの内容
- 部品の提供元になった電車は、は国鉄153系、157系、165系。181系、481・483系、581・583系など多岐にわたる。
- 車体に関しては台枠を含めて完全新造である。コスト優先のため2000系の車体構造になっている。正面デザインのみは3000系と同等である。
- 電装品などに関しては徹底的に部品流用しており、主電動機、主制御器、主幹制御器、ブレーキ弁、電動空気圧縮機などが流用されている。歯車比は高速性を確保するため4.82とし、起動加速を確保するためMT比を高めにしている。なお、台車や電動発電機などは新しく造られている。なお、一部車輌は界磁添加励磁制御が付加されており、その後の改造で9000系ロングシート車に波及した。なお、50番台山岳対応編成は抵抗制御のままである。
- 内装に関しては、2000系に順ずる。ロングシート車・ボックスシート車の設定がある。なお、ボックスシート車は2両固定編成と4両固定編成のみの設定。
その後
製造は昭和62年までに終了した。加速性能はほかのカルダン駆動の電車に劣るものの、幅広車体を生かして輸送力確保に貢献している。また、抑速制動が使えるためボックスシート車を中心に修学旅行臨などの波動輸送でも活躍している。性能面は充分なものの、異車種(通勤形)との連結運転が平坦線に限られる(HSCブレーキの近郊形は制限なし)のと、電動車が多いため消費電力が大きく変電所に負担をかける、さらに部品の老朽化が進行したため廃車が急速に進行し平成22年までに全車両廃車になった。
編成図
←太田 (50番台は山岳対応クロスシート車)
クモハ9100 | モハ9200 | モハ9300 | モハ9200 | サハ9500 | サハ9600 | モハ9300 | クモハ9400 |
ATS PT CONT | CP MG | PT CONT | CP MG | PT CONT | ATS CP MG |
クモハ9100 | モハ9200 | モハ9300 | クモハ9400 |
ATS PT CONT | CP MG | PT CONT | ATS CP MG |
クモハ9150 | モハ9250 | モハ9350 | クモハ9450 |
ATS PT CONT | CP MG | PT CONT | ATS CP MG |
クモハ9100 | クモハ9400 |
ATS PT CONT | ATS CP MG |
クモハ9130 | クモハ9430 |
ATS CP PT CONT | ATS MG CONT |