中央関東鉄道600系
1962年より製造された中央関東鉄道初のカルダン車で準急用電車である。
開発の経緯
600系の開発が計画されたのは1960年。当時の準急列車には雑型客車、雑型気動車、旧型電車が使用されていた。
どの車両も使用年数が20年を超え老朽化が目立ち、特に直流電化区間で使用されていた電車は戦前製のため老朽化が激しく乗客から不評であった。また、観光客の増加に伴い早急にサービスを改善する必要があった。
どの車両も使用年数が20年を超え老朽化が目立ち、特に直流電化区間で使用されていた電車は戦前製のため老朽化が激しく乗客から不評であった。また、観光客の増加に伴い早急にサービスを改善する必要があった。
車両を設計するにあたり以下の要望が製造会社に示された。
- 単行での運転を可能とし分割・併合が容易に行えること
- 軽量でしかも十分な強度を得るために、車体は準張殻構造とすること
- 外観は出来る限り優美なものとし、窓、腰掛などに工夫を凝らし通勤・観光にふさわしいものとすること
- 台車は軽量で高速に適する防振台車とすること
- 将来の武蔵野鉄道足尾線電化に備え主電動機は100kW級のものとし、抑速ブレーキを搭載すること
- 変電所の負荷を軽減できるよう直列段でも弱め界磁を可能とすること
- 将来、冷房化を容易に行えるようにMGは出来る限り大型にすること
概要
車体は名鉄5000系や長野電鉄2000形に酷似している。長さ18m、鋼体・台枠は骨組みに主としてプレス鋼が用いられ、当時としては新しい張殻構造に近い形である。
客室内には転換クロスシートを設置し、戸袋部分はロングシートとし青色のモケット張りとした。天井には2列に蛍光灯を並べ、中央に換気用ファンデリアを6個設けた。
制御装置は名鉄5500系に近いものでできる限り小型なものにした。4個の主電動機を1台の制御器で制御する。直列段でも弱め界磁を使用できるので、比較的少ない電力で中速域まで力行でき、変電所への負担も少ない。主抵抗器は枕木方向に設置してあるMGに駆動される送風機によって強制通風する方式である。武蔵野鉄道足尾線の急勾配に備え抑速ブレーキの接触器を装備している。
主電動機は伊豆急行100系に使用されたものに補極巻線を追加したTDK-806/4Dで110kW、中空軸並行カルダン方式である。
主電動機は伊豆急行100系に使用されたものに補極巻線を追加したTDK-806/4Dで110kW、中空軸並行カルダン方式である。
台車は揺れ枕吊(空気ばね付)・ウイングばね式のNA-308である。
床下機器の艤装スペース確保のためブレーキ制御装置や空気溜、断路器等はなるべく小型にしてまとめて設置した。
塗装は田園の緑を基調に下部は菖蒲色で当時は新鮮であった。富士山麓電気鉄道の色に似ている。
形式
クモハ600形
湘南顔の非貫通型・片運転台・制御電動車。6両が製造された。
クモハ620形
貫通型・片運転台・制御電動車。10両が製造された。
クモハ650形
貫通型・両運転台・制御電動車。8両が製造された。
クハ600形
貫通型・片運転台・制御付随車・便所付。10両が製造された。
クハ650形
貫通型・両運転台・制御付随車・便所付。汎用性の高い付随車として2両のみ製造された。
サハ600形
付随車・便所付。5両製造。
サロ600形
付随一等車・便所付。新橋・南越谷~西鷲宮の特急用として3両製造。