自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

205 外伝34

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804 :外伝:2009/03/14(土) 17:12:21 ID:xBb3.8PA0
ある日のカレア宮殿。
くつろぎのひと時を過すカラマンボ元帥のもとに、レミナ女王がやって来た。
「ホレ~イショッ」
「確保―――――ッ!」
元帥の号令とともにわらわらと沸いて出た衛士達に捕えられ、取調室に連行されるヌコ女王。
「な、なにするダァー!謝罪と賠償を要求する―――っ!」
「だまらっしゃい、レミナ様が猫撫で声を出すときはなにやら後ろめたいことがある
ときと決まっております。さあ、早くゲロして楽におなりください」
と言いつつこれ見よがしにカツ丼を食する元帥閣下。
「言う!言うから一口だけ~」

2時間前。
レミナ王女はナーワッグ練兵場でグレンキア王国のケバブ軍政大臣と、北大陸派遣部隊の戦力分担について非公式の会談を持っていた。(カラマンボ元帥は持病の腰痛が再発し
接骨医に掛かっていたため欠席)
会談も一段落し世間話をしているうちに、自然と話題は互いのお国自慢になっていく。
南大陸ではカレアント軍が一番機械化が進んでいると誇るレミナに対し、女王はおねだり上手ですからなと冗談半分に言ったケバブの一言が不味かった。
売り言葉に買い言葉、レミナは言った。
カレアントがその気になればアメリカ製に引けをとらない兵器を自主開発できる、その証拠に百日間で国産戦闘機を飛ばして見せよう、もし出来なかったら12月の南大陸解放一周年記念式典で、ヴィルフレイングの街を全裸でパレードしてみせる。
そう約束してしまった。

「レミナ様」
話を聞いたカラマンボ元帥はニコッ!と笑った。
「な、ナニかな…?」
「くぉの馬鹿弟子がぁ――――――――――っ!」
「くぁwせdrftgyふじこlp;@:!?!」
長い年月をかけて研鑽を積み、円熟の極みに達したパロ・スペシャルが炸裂する。
(元帥は王女の格闘技の師匠でもあったのだ)
かくしてカレアント公国の威信に加えレミナの貞操も掛かっているとあって、国産戦闘機開発計画は国家プロジェクトとして革命的決意のもと断固推進されることとなったのである。(BGM「地上の星」)

805 :外伝:2009/03/14(土) 17:13:36 ID:xBb3.8PA0
この難題を受けて立った王立空技廠のブルース・ボーランドは、ロッキードで同期だったピート・ロウを引っ張り込み蝶スピードでスケッチを作り始めた。
開発期間を短縮するため主翼と降着装置はノースアメリカン社とライセンス契約を結び、ロンコスガの国営工場に生産ラインを建設中のAT-6高等練習機のものをそっくり流用するとともに新設計の胴体部分は極力小型化・簡素化し、重量軽減による機動性の向上を図る。
エンジンはP&W社からツインワスプの民間型R-1830-S3C4-G(離昇出力1200馬力)を供給してもらうことになった。
これらはレンドリースとは別枠の正規の輸入品だったが幸いなことにカレアント国内には金銀アルミにボーキサイト、ニッケルからタングステンまで豊富な鉱物資源があり外貨不足の心配は無かったのである。
武 装についてはP-39の大火力に惚れ込んでいる用兵側から37mm砲の搭載が要求されたものの、P-39のように冒険的なデザインならいざ知らず流石に常 識的な1,000馬力級の単発機に37mm砲は荷が重いため、デンマークのマドセン社が開発した23mm機関砲を主翼に搭載することに決定した。
アメリカ陸海軍ではXP-36FやXF5Fに試験的に採用されるに留まったマドセンだったが、イスパノ20mm機関砲と比べると初速で20%ほど劣るものの、弾頭重量は約35%大きく炸裂弾を使用すれば戦車のエンジンカバーを貫通し、燃料タンクを爆発させる威力があった。
早速コステス兵站部長がアメリカに赴き、転移前にマドセン社から納入され倉庫で埃を被っていた23mm機関砲の在庫を全て買い取るとともに、アメリカン・オート・オーディナンス社に新規生産を委託している。
このほか副武装としてプロペラ同調式の30口径機関銃AN-M2が機首に装備された。
(偶然だが23mm機関砲二門、7.62mm機関銃二挺という組み合わせはソビエト空軍のIl-2襲撃機と一致している)
ちなみに試作機の製作が突貫工事で進められている間、常日頃レミナのやることに批判的で「女王は下着の柄まで星条旗だ」と陰口を叩く軍及び王宮内の反(嫌)米派は全く横槍を入れてこなかった。
軍 部としては大量に損耗した竜騎士の穴を埋めるため、乗り手に魔法の素養を必要としないピストンエンジン式航空機の導入に前向きにならざるを得ないという台 所事情があり、貴族は貴族で国産戦闘機の開発はアメリカべったりではないことを示すいい機会と捉えていたのである。(エンジンその他の精密機器は100% 輸入品というのが実情ではあるが)

806 :外伝:2009/03/14(土) 17:14:50 ID:xBb3.8PA0
こうしてちょうど百日目に完成したずんぐりしたスタイルの試作機はゲストに招かれたケバブ軍政大臣の前で無事初飛行に成功し、続く性能テストでは高度 4,700mで最大速度毎時486km、海面上昇率毎分849mと練習機ベースの機体としてはなかなかの仕上がりを見せた。
さらにアメリカ海軍のF6Fを相手にした模擬戦では二旋回でヘルキャットの内側に回り込み低空での運動性能も良好であることを実証している。
(もっとも馬力差に物を言わせたズーム上昇で離脱されると手も足も出なかったが)
一 連の飛行試験の結果に満足した軍はこの機体を正式採用することに決め、カレアント北部に生息する野鳥の名を採って「ビーラー」と命名した。(ビーラーは雀 に似た愛嬌のある小鳥だが嘴の先に毒腺を持ち、自身より大きな捕食者を一撃で返り討ちにしてしまうことで知られている)
Kf-01ビーラー戦闘機はロンコスガの国営工場で205機が製造され、4個中隊が本土でレシプロ戦闘機の訓練に使用されるとともに同数が北大陸に派遣され実戦に投入されている。
戦場でのビーラーは流石にシホールアンルのワイバーンやケルフェラクと対等に渡り合うことは困難なため、地上直協任務に使われた。
敵 味方が錯綜した最前線で23mm機関砲の破壊力を活かし、敵火点をピンポイントで征圧するビーラーは地上部隊から大いに頼りにされた反面、全てのビーラー 乗りが熱望したにもかかわらず、シホールアンル空軍が著しく弱体化した時期に味方の航空優勢が確立した戦域で作戦したビーラーには遂に空中戦を行う機会は 無かった。
ビーラーはカレアント最初の国産戦闘機というだけでなく敵機を一機も撃墜せず一機も敵機に撃墜されなかったユニークなタイトルを持つ戦闘機として戦史に名を残している。
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