自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

264 外伝53

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459 :外パラサイト:2010/06/19(土) 22:09:35 ID:6LiHdjEo0
トハスタにおける戦いは、アメリカ軍に巨大な衝撃を与えた。
幸 いにも海軍の支援によって勝利を収めることができたものの、倒しても倒しても向ってくる生ける死人(リビングデッド)との戦いは矢面に立たされた兵士に深 刻なトラウマを与え、戦闘直後には三割近い兵士が急性ノイローゼ(当時はまだPTSDという概念はない)で前線勤務に耐えられない状態にあると診断され た。
また今後同様の戦法が艦砲の届かない内陸部で採られることが想定されるとともに、空爆では夜間や悪天候時には効果的な援護は期待できないという指摘がなされた。
結局陸上部隊が自前の対抗手段を用意するしかないということになり、同盟軍の魔法研究機関に協力を仰いだところ、リビングデッドに対しては火を用いた攻撃が最も制圧効果が高いとの情報提供があった。
そこで当座の対応策として対リビングデッド用に火炎放射器搭載型の戦車を主力とした独立戦車大隊を編成し、海外派遣軍では一個軍団に最低一個の割合で火炎放射戦車大隊を配備することとされたのである。

一方「トハスタ事件」として知られる住民集団屍兵化作戦以降、マオンド領内では多くの地方領主が一斉に中央政府から距離を置く動きを見せはじめる。
抜け目のない領主の中にはアメリカ軍を侵略者ではなく、解放者として露骨に歓迎の意を表すものもあらわれ始めた。
キレニツェリもそんな町の一つである。
キレニツェリはかつてのコンスタンチノープルをほうふつとさせる堅固な城塞都市で、マオンドに組み込まれるまでは独立した都市国家としての態を成していた。
つい四半世紀前まで中央政府からの完全自治権を主張してアイルランド独立運動ばりの武力抗争が頻発していたという歴史的背景があり、アメリカ軍が入城する際も事前に予想されたほどの抵抗はなく、住民の態度も友好的とさえ言えるものだった。
そんなキレニツェリの町の中心街にある「吊るされた敗北主義者亭」は有力な闇商人と太いパイプを持つ辣腕の店長が経営する食堂で、戦時下でありながら豊富な食材とリーズナブルな価格を提供することで町一番の賑わいを見せている。
昼飯どきの混雑した店内で、年季のいったテーブルに向かい合って座っている男が二人。
そのうちの一人、ハロルド・A・パレフスキーは第713火炎放射戦車大隊A中隊の指揮官だった。
713大隊は陸軍で最初に創設された火炎放射戦車大隊で、編成・装備表27-45S号(H)に従いカリフォルニア州の砂漠戦訓練所で編成されたのち、直ちにレーフェイル大陸に派遣された。
部隊は大隊本部と4個火炎放射戦車中隊からなり、通常型のM4中戦車18両とPOA-CWS-H1火炎放射器搭載型M4中戦車54両を装備している。
パレフスキーの中隊は郊外にあったマオンド軍の研究施設を“消毒”する任務についていたのだが、仕事を終えたあともそのまま施設の跡地に留め置かれ、防疫中隊による執拗な検査ののち、ようやく疑わしき症状は見られずとの診断を得て町に入ることを許された。
そして異国情緒あふれるバザールをブラブラ見物していたところで、学生時代アマレスでしのぎを削っていた砲兵隊のJ・B・フーパーと再開し、今現在は大衆食堂で面つき合わせて飯を食っている。

「そんなにヤバい施設だったのか?」
「トハスタであんなことがあったばかりだし一応魔法関連の研究をしてたらしいってんでな、わざわざミスリアルから魔導士の士官を呼ぶくらい上は神経使ってたよ」
「その魔導士、若くてピチピチのエルフの嬢ちゃんだったなんて言わないよな?」
「若くてピチピチのエルフの嬢ちゃんだったんだが…可哀想なことをした」
「なんだ、何があったんだ?」
「その施設は新種のスライムを作り出す実験場だったんだ。そんでもって俺達がスライムの生簀を焼き払ってる間エルフの嬢ちゃんはほかの設備を調べてたんだが、生簀を抜け出したスライムが一匹水槽に隠れてやがってな」
「じゃあそのエルフはスライムに食われちまったのか?」
「いや、襲われはしたが掠り傷ひとつなかった。ただ運がいいのか悪いのかそのスライムが変り種でな、なぜか服だけを溶かしちまうってヤツだったんだ」
「…見たのか?」
「見た」
「なにもかもか?」
「なにもかもバッチリだ」
「うらやましいぞコノヤローッ!」
「うらやましかろうハッハァッ!」
「ちょっとお客さんケンカは止めてくださいよ、ねえちょっと、止めろつってんだろがゴラァ!おいMP呼べMP!」
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