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<第二次メクレンブルク事変>編7

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509 :<平成日本召還> ◆OZummJyEIo:2007/03/13(火) 22:12:52 ID:vrfouxkY0
    ○<第二次メクレンブルク事変>編7 1/2

    ――1

     “帝國”と再戦。
     その命令に俄然とやる気を出したのは、<大協約>第14軍団第2歩兵連隊であった。
     連隊長にとって、手に塩かけて育てた大隊が消し飛ばされたのだ、復讐の念が無い筈が無かった。
     更には個人的にも、第1421大隊長は自身の愛娘の婿にと考えていた相手なのだ。
     これでやる気が出ない方がおかしいと云うものであった。

     第142歩兵連隊長は<大協約>第14軍団軍団長へと意見具申し、自らの連隊を対メクレンブルク攻略軍の先鋒へと
    配備する事を強く要請した。
     軍団長側としては、戦意旺盛な第142歩兵連隊が前衛を務めるのであれば是非も無い話であり、特に
    躊躇する事も無く、快諾していた。
     否。
     それどころか、虎の子の第3“鉄血”鉄竜騎士団から鉄竜の2個中隊の派遣を認めた。
     貴官らの勝利を期待する、と付けて。
     割と単純な所のある第142歩兵連隊長は、それだけで舞い上がった。
     必ずや勝利してみせます、と断言して軍団長の部屋を辞した。

    「閣下、甘すぎるのでは?」

     軍団の参謀が1人が呟く。
     第3鉄竜騎士団が保有する鉄竜――Mk-Ⅶ<カッティング>は最新鋭の鉄竜であり、<大協約>各軍団でも
    まだ200両と配備されていない代物なのだ。
     それを2個中隊、24両もである。
     第3鉄竜騎士団に所属するMk-Ⅶが4個中隊分と予備を含めて52両しか無いにも関わらずである。 
     更に言えば、第3鉄竜騎士団にも歩兵部隊は軽歩兵大隊として存在しており、又、第141歩兵連隊への
    支援も考えれば、大盤振る舞いと評しても良いだろう。
     少なくとも<大協約>軍の常識として見れば。

    「そうでも無い。ふむ、参謀長。君が出したメクレンの叛徒制圧作戦で、少しばかり冒険的なものがあったな?」

    「はっ? ――ああ」

     突然自分に向けられた軍団長の一言に、参謀長は少しだけ首を傾げ、それから思い出す。
     自分が極めて冒険的な献策を行っていた事を。

    「ではトッカータ航空団司令をお呼びすればよいですな」

    「いや、面倒事は一度で十分だろう。選抜竜挺隊指揮官も呼びたまえ」

    「はっ」

     参謀長が人を走らせるのを横目に、軍団長は手元の煙草箱から極上の葉巻を取り出す。
     吸い口をナイフで切り飛ばすと、心得た参謀が素早い仕草で火を差し出す。

    深呼吸

     紫煙を盛大に噴出す。

    「苦労を買って出てくれたのだ。我々は精々それを活用しようでは無いか、ん?」

     その口元には人の悪い笑みがこびり付いていた。





     上層部の思惑とは別に、やる気に溢れた指揮官に率いられた第142歩兵連隊は、自らの同胞の汚名返上と
    武名を掲げようと、これまたやる気に満ち満ちていた。

    「“帝國”軍にめにもの見せてくれるわ!」

     細身の体をふんぞり返らせた第142歩兵連隊長は、出撃準備を終えた手勢を見る。
     連隊の全戦力、2個の歩兵大隊と魔道砲兵大隊、そして戦竜大隊。
     更にその後ろには小山のような鉄竜、Mk-Ⅶが2個中隊も居るのだ。
     鋼鉄の奔流、下手な国家の軍など鎧袖一触の戦力だ。
     連隊長は口元を緩めて、手を大きく振り上げる。

    「諸君、さぁ往くぞ!!」

     奔流が動き出す。
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