大陸暦1098年 5月7日午後4時
重量680トンの帆船であるヴァイアン号は時速14ノットのスピードで南南東
に向かっていた。
船には乗員20名の他に「積荷」である4人の人物が乗っていた。その「積荷」の1人である
フランクス将軍は左舷の中央甲板からずっと海を眺めていた。
「将軍閣下、気分はいかがですか?」
後ろから声をかけられた。フランクスが後ろを振り向くと、色黒の筋肉質の男が立っていた。
「プラットン船長か、気分は悪くないよ。むしろいい気分だ。」
「将軍は船は初めてでしたね。」
彼の傍らにやってきたプラットン船長が聞いてきた。
「ああ、そうだが。」
「初めて船に乗る人は大抵船酔いになりやすいんですよ。私も初めの頃はしょっちゅう
舷側に顔をうずめてましたよ。」
そう言うと、フランクスが笑った。
「ははは。あなたにもそんな事があったのか。私のイメージでは船乗りは一度も船酔い
したことが無いと思っていたのだが。」
「そんな事はありませんよ。最初は大体の人が、慣れるまで船酔いに苦しむもんです。
あなた方だけであなた以外はみんな船酔いで伸びちまってますよ。」
フランクスら4人のうち、彼以外はみんな初めて経験する船酔いに苦しんでいた。特に
リーソン魔道師の酔いはひどかった。ベッドがある船倉に戻れば、
「船からおりたいぃ~・・・・・・しぬ~」
というリーソン魔道師のうなり声がしょっちゅう聞こえてくる。人間は得意不得意
というものが誰にも限らずあるのだ。
重量680トンの帆船であるヴァイアン号は時速14ノットのスピードで南南東
に向かっていた。
船には乗員20名の他に「積荷」である4人の人物が乗っていた。その「積荷」の1人である
フランクス将軍は左舷の中央甲板からずっと海を眺めていた。
「将軍閣下、気分はいかがですか?」
後ろから声をかけられた。フランクスが後ろを振り向くと、色黒の筋肉質の男が立っていた。
「プラットン船長か、気分は悪くないよ。むしろいい気分だ。」
「将軍は船は初めてでしたね。」
彼の傍らにやってきたプラットン船長が聞いてきた。
「ああ、そうだが。」
「初めて船に乗る人は大抵船酔いになりやすいんですよ。私も初めの頃はしょっちゅう
舷側に顔をうずめてましたよ。」
そう言うと、フランクスが笑った。
「ははは。あなたにもそんな事があったのか。私のイメージでは船乗りは一度も船酔い
したことが無いと思っていたのだが。」
「そんな事はありませんよ。最初は大体の人が、慣れるまで船酔いに苦しむもんです。
あなた方だけであなた以外はみんな船酔いで伸びちまってますよ。」
フランクスら4人のうち、彼以外はみんな初めて経験する船酔いに苦しんでいた。特に
リーソン魔道師の酔いはひどかった。ベッドがある船倉に戻れば、
「船からおりたいぃ~・・・・・・しぬ~」
というリーソン魔道師のうなり声がしょっちゅう聞こえてくる。人間は得意不得意
というものが誰にも限らずあるのだ。
「ところで船長、昨日の朝に出航してから大体何マイル進んだと思う?」
「私の推測では、」
彼は懐から海図を取り出した。その海図には大陸とロタ半島が書かれている。その
ロタ半島から南東向きに進んでいる線がある。このヴァイアン号の進んできた航路だ。
「今速度は14ノット出ています。ですからこれまでの風や速力の増減、それに時間
を計算すれば・・・・・・・・約800ないし900マイルをノンストップで進んできた
事になります。」
「そうか、さすがはバベルが選んだ高速船だな。普通ならこれの倍以上はかかるところだ。」
「この船はトラビレス協会一の高速船なのですよ。それに幸運の船でもあります。」
「幸運の船?」
フランクスが怪訝な表情になった。
「襲われたことがあるのか?」
「ええ。去年の12月でしたか、この船はシュングリルを出航した2日後にバーマント軍
の通商破壊船に襲われたんです。破壊船から大砲の弾が雨あられと飛んでくるんで、あの時、
私はだめだと思いました。でも、この船に取り付けれている大砲が偶然にも破壊船の舵に当た
ったんです。自由の利かなくなった敵船はぐるぐる回り続け、私らはすぐに窮地を逃れました。」
「ほう。それは良かったな。」
「それだけではありません。今年の2月に航路を誤って猛烈な嵐に突っ込んでしまったんです。
嵐の中でマストが折れたり浸水が始まったり、もはや危ない状況でした。今度こそ死ぬなと思い
ました。ですが船は嵐を抜け、九死に一生を得ました。」
「なるほど。」
フランクスは頷いた。この船は結構ツキのある船だな。彼はふと、そう思った。
「ちょっとお聞きしますが、召喚した島と言うところに一体何があるのですか?」
「それは・・・・・言ってみなければ分からない。敵なのか、味方なのかも。だが
行けば分かるさ。あの方向には必ず何かある。」
「それは・・・・・戦士としての勘・・・・ですか?」
プラットン船長がおずおずとした口調で聞いてくると、フランクスはニヤリと笑った。
「それも混じってるけどな。」
「私の推測では、」
彼は懐から海図を取り出した。その海図には大陸とロタ半島が書かれている。その
ロタ半島から南東向きに進んでいる線がある。このヴァイアン号の進んできた航路だ。
「今速度は14ノット出ています。ですからこれまでの風や速力の増減、それに時間
を計算すれば・・・・・・・・約800ないし900マイルをノンストップで進んできた
事になります。」
「そうか、さすがはバベルが選んだ高速船だな。普通ならこれの倍以上はかかるところだ。」
「この船はトラビレス協会一の高速船なのですよ。それに幸運の船でもあります。」
「幸運の船?」
フランクスが怪訝な表情になった。
「襲われたことがあるのか?」
「ええ。去年の12月でしたか、この船はシュングリルを出航した2日後にバーマント軍
の通商破壊船に襲われたんです。破壊船から大砲の弾が雨あられと飛んでくるんで、あの時、
私はだめだと思いました。でも、この船に取り付けれている大砲が偶然にも破壊船の舵に当た
ったんです。自由の利かなくなった敵船はぐるぐる回り続け、私らはすぐに窮地を逃れました。」
「ほう。それは良かったな。」
「それだけではありません。今年の2月に航路を誤って猛烈な嵐に突っ込んでしまったんです。
嵐の中でマストが折れたり浸水が始まったり、もはや危ない状況でした。今度こそ死ぬなと思い
ました。ですが船は嵐を抜け、九死に一生を得ました。」
「なるほど。」
フランクスは頷いた。この船は結構ツキのある船だな。彼はふと、そう思った。
「ちょっとお聞きしますが、召喚した島と言うところに一体何があるのですか?」
「それは・・・・・言ってみなければ分からない。敵なのか、味方なのかも。だが
行けば分かるさ。あの方向には必ず何かある。」
「それは・・・・・戦士としての勘・・・・ですか?」
プラットン船長がおずおずとした口調で聞いてくると、フランクスはニヤリと笑った。
「それも混じってるけどな。」
午後5時 マーシャル諸島から北西300マイル地点
第5艦隊司令部はマーシャル諸島を中心に沖合い200マイルのピケットライン
を張り巡らすことにした。
哨戒艦は駆逐艦と重巡、軽巡洋艦、軽空母を使うことにした。東側に12隻、西側に14隻が配備され、
軽空母・軽巡・駆逐艦、もしくは軽巡、駆逐艦、または駆逐艦・駆逐艦のチームで編成され、互いに
5000メートルの間隔を置いて哨戒活動にあたった。
ピケットラインを敷く理由としては第一に海賊船と思わしき船舶をマーシャル諸島に入れないこと、
第2に巨大海蛇がどの海域に多く生息するか調査するものであった。
第5艦隊司令部はマーシャル諸島を中心に沖合い200マイルのピケットライン
を張り巡らすことにした。
哨戒艦は駆逐艦と重巡、軽巡洋艦、軽空母を使うことにした。東側に12隻、西側に14隻が配備され、
軽空母・軽巡・駆逐艦、もしくは軽巡、駆逐艦、または駆逐艦・駆逐艦のチームで編成され、互いに
5000メートルの間隔を置いて哨戒活動にあたった。
ピケットラインを敷く理由としては第一に海賊船と思わしき船舶をマーシャル諸島に入れないこと、
第2に巨大海蛇がどの海域に多く生息するか調査するものであった。
西側警戒ラインに位置するAグループは軽空母ベローウッド、重巡キャンベラ、駆逐艦ブラッドフォード
で編成されていた。警戒ラインにいる艦艇は、燃料の節約のため、毎時16ノットの速度で
割り当て区域を行ったり来たりしていた。
で編成されていた。警戒ラインにいる艦艇は、燃料の節約のため、毎時16ノットの速度で
割り当て区域を行ったり来たりしていた。
軽空母ベローウッドの艦長であるジョン・ペリー大佐は、艦橋で沈み行く夕日を見ていた。その夕日は
とても美しく、彼は美しさのあまり見とれていた。
「いい夕焼けですな。数日前の荒れ模様とは大違いです。」
副長が彼に声をかけてきた。ペリー大佐は窓に肘をかけたまま答えた。
「全くだ。あの嵐のせいで変な世界に放り込まれた。俺は話を聞いたとき、この世界に呼び出した奴を
このベローウッドのマストに縛り付けてやりたいと思ったもんだよ。しかし、夕焼けとはいいものだ。
荒んだ心を癒してくれる。」
艦長は夕焼けに顔を赤く染めながら、淡々と言った。その時、電話が鳴った。副長は何事かと思いながら
受話器をとった。
「こちら艦橋だ。」
「こちらはボルチモアの艦長だ。そっちの艦長はいるか?ちょっと代わってくれ。」
「はい。今すぐ代わります。」
彼はすぐにペリー大佐を呼び出した。
「こちらペリー艦長だ。ブラッシュ、何かあったのか?」
「こっちのレーダーが北西12マイル地点で船舶を探知した。見張り員が見たところ、帆船がいる。」
「なんだって!?」
彼は驚いた。12マイルと言うと、すぐ目の前と同じである。その時、艦橋の見張りが叫んだ。
「北西の方角に船舶らしきもの!!」
とても美しく、彼は美しさのあまり見とれていた。
「いい夕焼けですな。数日前の荒れ模様とは大違いです。」
副長が彼に声をかけてきた。ペリー大佐は窓に肘をかけたまま答えた。
「全くだ。あの嵐のせいで変な世界に放り込まれた。俺は話を聞いたとき、この世界に呼び出した奴を
このベローウッドのマストに縛り付けてやりたいと思ったもんだよ。しかし、夕焼けとはいいものだ。
荒んだ心を癒してくれる。」
艦長は夕焼けに顔を赤く染めながら、淡々と言った。その時、電話が鳴った。副長は何事かと思いながら
受話器をとった。
「こちら艦橋だ。」
「こちらはボルチモアの艦長だ。そっちの艦長はいるか?ちょっと代わってくれ。」
「はい。今すぐ代わります。」
彼はすぐにペリー大佐を呼び出した。
「こちらペリー艦長だ。ブラッシュ、何かあったのか?」
「こっちのレーダーが北西12マイル地点で船舶を探知した。見張り員が見たところ、帆船がいる。」
「なんだって!?」
彼は驚いた。12マイルと言うと、すぐ目の前と同じである。その時、艦橋の見張りが叫んだ。
「北西の方角に船舶らしきもの!!」
「なに!」
彼は驚き、双眼鏡で見張りが指を向けた方角を見てみた。なるほど、確かに
水平線上に小さな影がある。船の上には帆らしきものがる。
「こいつは驚いた。帆船らしいな。」
彼はすぐに電話に食いついた。
「こっちでも確認した!」
「そうか。どうする?」
「ひとまず艦載機を上げて上空から見てみよう。」
「同感だな。頼むぞ。」
そう言うと、受話器からブツッという音が聞こえ、回線が閉じられた。
すぐに彼は別の電話に手をかけ、ベローウッドの飛行隊長であるリンク少佐
を呼び出した。
「リンク少佐、今から艦載機を1機出したい。」
「1機、ですね。ヘルキャットを出すんですか?」
「いや、アベンジャーだ。そいつを1機出したい。」
「分かりました。10分前に対潜哨戒から戻ってきた機がありますのでそいつを出します。」
「わかった。」
そう言うと、ペリー大佐は電話を置いた。
彼は驚き、双眼鏡で見張りが指を向けた方角を見てみた。なるほど、確かに
水平線上に小さな影がある。船の上には帆らしきものがる。
「こいつは驚いた。帆船らしいな。」
彼はすぐに電話に食いついた。
「こっちでも確認した!」
「そうか。どうする?」
「ひとまず艦載機を上げて上空から見てみよう。」
「同感だな。頼むぞ。」
そう言うと、受話器からブツッという音が聞こえ、回線が閉じられた。
すぐに彼は別の電話に手をかけ、ベローウッドの飛行隊長であるリンク少佐
を呼び出した。
「リンク少佐、今から艦載機を1機出したい。」
「1機、ですね。ヘルキャットを出すんですか?」
「いや、アベンジャーだ。そいつを1機出したい。」
「分かりました。10分前に対潜哨戒から戻ってきた機がありますのでそいつを出します。」
「わかった。」
そう言うと、ペリー大佐は電話を置いた。
ベローウッドの前部エレベーターから1機の折りたたまれたアベンジャーが上がってきた。3人の
パイロットが艦橋から走り、アベンジャーに飛び乗った。
エンジンが回され、轟音が飛行甲板に鳴り響く。翼が展開され、アベンジャーがカタパルトに繋げられた。
「面舵一杯!全速前進!」
ペリー大佐が指示すると、操舵員がハンドルを回す。元々、クリーブランド級軽巡洋艦の船体を流用したので、
舵の利きはなかなかいい。機関音が徐々に大きくなり、次第にスピードが上がり、5分後には31ノットの
最高速度に達した。
ベローウッドは回頭し、艦首が風上に立った。発艦要員が伏せ、上げられていた手が艦首方向に向けられた。
次の瞬間、カタパルトが重いアベンジャーの機体を引っ張った。アベンジャーは艦首から一旦沈み込んだが、
すぐに大空に舞い上がって行った。
パイロットが艦橋から走り、アベンジャーに飛び乗った。
エンジンが回され、轟音が飛行甲板に鳴り響く。翼が展開され、アベンジャーがカタパルトに繋げられた。
「面舵一杯!全速前進!」
ペリー大佐が指示すると、操舵員がハンドルを回す。元々、クリーブランド級軽巡洋艦の船体を流用したので、
舵の利きはなかなかいい。機関音が徐々に大きくなり、次第にスピードが上がり、5分後には31ノットの
最高速度に達した。
ベローウッドは回頭し、艦首が風上に立った。発艦要員が伏せ、上げられていた手が艦首方向に向けられた。
次の瞬間、カタパルトが重いアベンジャーの機体を引っ張った。アベンジャーは艦首から一旦沈み込んだが、
すぐに大空に舞い上がって行った。
「水平線上に何か見えまーす!」
マストの一番上に立っていた見張りが叫んだ。夕焼けの赤茶けた空模様を眺めていた
フランクス将軍は、何事かとその水平線上を見つめた。
何も見えない。一体何を見たのだ?彼はしばらくその方角を凝視したが、すぐには見つけられなかった。
しばらくすると、うっすらとだが黒い煙のようなものが見えた。
「あれは・・・・・もしかして、破壊船にやられた輸送船!?」
彼はそう思って愕然とした。
「どうした?何があった!」
その時、船倉にいるリーソンらに酔い止め薬をあげに行ったプラットン船長が、マスト
の上にいる見張り員に大声で聞いた。
「船らしきものが見えます!小さくてよく分かりませんが、煙を吐いているようです!」
「なに!破壊船にやられたのか!?」
彼は縄梯子を駆け上って、マストの上にある見張り籠ににのぼった。
「いえ・・・・・その・・・・・何といったらいいか。」
「なんだ?」
「何か、変なのです。」
「馬鹿野郎。何か変とは何だ?答えが曖昧すぎるぞ。望遠鏡を貸せ。」
彼は見張りから望遠鏡をひったくると、彼が見ていた方向に視線を向けた。
マストの一番上に立っていた見張りが叫んだ。夕焼けの赤茶けた空模様を眺めていた
フランクス将軍は、何事かとその水平線上を見つめた。
何も見えない。一体何を見たのだ?彼はしばらくその方角を凝視したが、すぐには見つけられなかった。
しばらくすると、うっすらとだが黒い煙のようなものが見えた。
「あれは・・・・・もしかして、破壊船にやられた輸送船!?」
彼はそう思って愕然とした。
「どうした?何があった!」
その時、船倉にいるリーソンらに酔い止め薬をあげに行ったプラットン船長が、マスト
の上にいる見張り員に大声で聞いた。
「船らしきものが見えます!小さくてよく分かりませんが、煙を吐いているようです!」
「なに!破壊船にやられたのか!?」
彼は縄梯子を駆け上って、マストの上にある見張り籠ににのぼった。
「いえ・・・・・その・・・・・何といったらいいか。」
「なんだ?」
「何か、変なのです。」
「馬鹿野郎。何か変とは何だ?答えが曖昧すぎるぞ。望遠鏡を貸せ。」
彼は見張りから望遠鏡をひったくると、彼が見ていた方向に視線を向けた。
しばらくは見張りが言っていた煙らしきものが見つからなかった。
「どこだ?」
彼が見張りに言ったその時、3つのシルエットが見えた。
「見つけた。あれか・・・・・・・・・・・・・一体・・・・あれは?」
彼はそのシルエット見て愕然とした。なんと、船に必要な帆がないのだ!普通ならどの船も
帆を張るマストがあるのだ。それが全く見受けられない。
遠くて分かりづらいが、3隻のうち1隻は申し訳程度の船橋しかない。それ以外は真っ平で、
まるで料理に使うまな板を海に浮かべたようなものだった。
残る2隻のうち1隻は大きく、1隻は小さかった。船橋構造物があるが、その姿形は全く異なった
物だった。大きいほうに関しては力強く、やや優美な印象があり、小さいほうは、小ぶりながらも
ある種の勇敢さを感じさせるものがあった。
「どこだ?」
彼が見張りに言ったその時、3つのシルエットが見えた。
「見つけた。あれか・・・・・・・・・・・・・一体・・・・あれは?」
彼はそのシルエット見て愕然とした。なんと、船に必要な帆がないのだ!普通ならどの船も
帆を張るマストがあるのだ。それが全く見受けられない。
遠くて分かりづらいが、3隻のうち1隻は申し訳程度の船橋しかない。それ以外は真っ平で、
まるで料理に使うまな板を海に浮かべたようなものだった。
残る2隻のうち1隻は大きく、1隻は小さかった。船橋構造物があるが、その姿形は全く異なった
物だった。大きいほうに関しては力強く、やや優美な印象があり、小さいほうは、小ぶりながらも
ある種の勇敢さを感じさせるものがあった。
3隻の未確認船はやにわに向きを変え、速度を上げたように思えた。いや、実際上がっている。
「ん?向きを変えたぞ。もしかして、俺たちを発見して逃げたのか?」
彼はそう呟いた。だが、彼はさらに驚いた。なんとスピードが早いのだ。それも20ノットどころではない。
「早い。早いぞ!なんということだ、25ノット以上はでてるぞ!」
「25ノット!?」
部下の見張りが素っ頓狂な声を上げた。
「そんなのありえませんよ!」
「だが実際に早いぞ。ん?」
その時、彼は真っ平な甲板を持つ船から小さく、黒い何かが舞い上がったのを目撃した。
「ん?向きを変えたぞ。もしかして、俺たちを発見して逃げたのか?」
彼はそう呟いた。だが、彼はさらに驚いた。なんとスピードが早いのだ。それも20ノットどころではない。
「早い。早いぞ!なんということだ、25ノット以上はでてるぞ!」
「25ノット!?」
部下の見張りが素っ頓狂な声を上げた。
「そんなのありえませんよ!」
「だが実際に早いぞ。ん?」
その時、彼は真っ平な甲板を持つ船から小さく、黒い何かが舞い上がったのを目撃した。