大陸暦1098年 5月16日 旧ヴァルレキュア領ララスクリス 午前6時20分
米攻撃隊は、途中第3郡から発艦した攻撃隊と合流してララスクリスに向かった。朝焼けの美しい
色が空に広がる中、200機の大編隊は、240ノットのスピードで威風堂々と進撃を続けた。
第1次攻撃隊指揮官であるデイビット・マッキャンベル中佐は、首を後ろに振り回しながら、編隊
が戦闘機隊の後ろから追尾していることを確認した。
「異世界か・・・・・・・どんな空でも、見た目的には変わらないな。」
彼はそう呟いた。すると、雲の切れ目からあるものを見つけた。それは木造の建物が多い町だった。
それこそ、機動部隊が目標にした町、ララスクリスであった。
(ララスクリスの住人はとうの昔に逃げているから、徹底的に壊しても構わん、とか言っていたな。
それなら、今度配備された新人連中も少しはやりやすいだろう)
彼は補充のために配備されてきた新人連中のことを思った。いずれも出撃前、初めての実戦でやや緊張
していた様子だった。
(新人君が頑張ってくれることを期待しよう)
彼はそう思いつつ、隊内無線のマイクを握った。
「右前方に目標発見。各隊、攻撃に移れ。」
その命令が発せられると、攻撃隊は雲の切れ目に向かった。雲が切れると、そこには一つの町が姿を現した。
「よし、全機突撃せよ!思う存分にやれ!」
攻撃隊は、3つに分かれた。まず、ヘルダイバー隊が高度4000まで上昇し、戦闘機隊がスピードを上げ、
町に猛然と向かっていく。
水平爆撃をするアベンジャー隊は、高度1500まで下げて、悠然とした格好でララスクリスに向かった。
マッキャンベル中佐は、あるものを見つけた。それは、町の西側にあった。一見すると飛行場みたいなものだ。
(そういえば、敵は機動式飛空挺、つまり飛行機を持っていたな。だとすると、あれはその飛行場かもしれん。
潰すか)
彼は機首を、町の西側にある開けた草原に向けた。そこには何十機という飛行機らしきものが整然と置かれていた。
「ビンゴ!やっぱり飛行場だぜ!」
彼は速度を600キロに上げ、徐々に降下を始めた。制空戦闘機隊の半数が、彼の後ろに続いた。指揮所らしい大
きなテントから何人かが慌てて外に飛び出してくるのが見えた。
その数人の人影はこちらを見ると、突っ立ったまま動かなくなった。
「悪いな。あんたらの大事な物を壊そうとして。」
彼は次第に近づいてくる飛空艇に照準を合わせ、トリガーに指を置いた。そして十分に射程内に入った。
「だが、これも戦争だ。運が悪かったと思いな!!」
マッキャンベル中佐は指を押した。F6Fの両翼にある6丁の12.7ミリ機銃が、ダダダダダダダ!という軽快な
音と共に吐き出された。機銃弾が線を引いて飛空挺に突き刺さった。
マッキャンベルは飛空挺の列線を飛びぬけるまで機銃弾を撃ちまくった。彼が列線を飛びぬけると、すぐに後続機が
両翼から光を発し、機銃弾を撃ち込み、たちまち飛空挺をたんなるぼろに変えてしまう。
かつて、太平洋戦線で現出された米艦載機の航空威力が、この異世界のララスクリスでも力を発揮し始めた瞬間だった。
米攻撃隊は、途中第3郡から発艦した攻撃隊と合流してララスクリスに向かった。朝焼けの美しい
色が空に広がる中、200機の大編隊は、240ノットのスピードで威風堂々と進撃を続けた。
第1次攻撃隊指揮官であるデイビット・マッキャンベル中佐は、首を後ろに振り回しながら、編隊
が戦闘機隊の後ろから追尾していることを確認した。
「異世界か・・・・・・・どんな空でも、見た目的には変わらないな。」
彼はそう呟いた。すると、雲の切れ目からあるものを見つけた。それは木造の建物が多い町だった。
それこそ、機動部隊が目標にした町、ララスクリスであった。
(ララスクリスの住人はとうの昔に逃げているから、徹底的に壊しても構わん、とか言っていたな。
それなら、今度配備された新人連中も少しはやりやすいだろう)
彼は補充のために配備されてきた新人連中のことを思った。いずれも出撃前、初めての実戦でやや緊張
していた様子だった。
(新人君が頑張ってくれることを期待しよう)
彼はそう思いつつ、隊内無線のマイクを握った。
「右前方に目標発見。各隊、攻撃に移れ。」
その命令が発せられると、攻撃隊は雲の切れ目に向かった。雲が切れると、そこには一つの町が姿を現した。
「よし、全機突撃せよ!思う存分にやれ!」
攻撃隊は、3つに分かれた。まず、ヘルダイバー隊が高度4000まで上昇し、戦闘機隊がスピードを上げ、
町に猛然と向かっていく。
水平爆撃をするアベンジャー隊は、高度1500まで下げて、悠然とした格好でララスクリスに向かった。
マッキャンベル中佐は、あるものを見つけた。それは、町の西側にあった。一見すると飛行場みたいなものだ。
(そういえば、敵は機動式飛空挺、つまり飛行機を持っていたな。だとすると、あれはその飛行場かもしれん。
潰すか)
彼は機首を、町の西側にある開けた草原に向けた。そこには何十機という飛行機らしきものが整然と置かれていた。
「ビンゴ!やっぱり飛行場だぜ!」
彼は速度を600キロに上げ、徐々に降下を始めた。制空戦闘機隊の半数が、彼の後ろに続いた。指揮所らしい大
きなテントから何人かが慌てて外に飛び出してくるのが見えた。
その数人の人影はこちらを見ると、突っ立ったまま動かなくなった。
「悪いな。あんたらの大事な物を壊そうとして。」
彼は次第に近づいてくる飛空艇に照準を合わせ、トリガーに指を置いた。そして十分に射程内に入った。
「だが、これも戦争だ。運が悪かったと思いな!!」
マッキャンベル中佐は指を押した。F6Fの両翼にある6丁の12.7ミリ機銃が、ダダダダダダダ!という軽快な
音と共に吐き出された。機銃弾が線を引いて飛空挺に突き刺さった。
マッキャンベルは飛空挺の列線を飛びぬけるまで機銃弾を撃ちまくった。彼が列線を飛びぬけると、すぐに後続機が
両翼から光を発し、機銃弾を撃ち込み、たちまち飛空挺をたんなるぼろに変えてしまう。
かつて、太平洋戦線で現出された米艦載機の航空威力が、この異世界のララスクリスでも力を発揮し始めた瞬間だった。
バーマント軍第12空中騎士団の団長であるクエル・リーギン騎士少将は、突然、空を圧し始めた爆音に眼を覚ました。
「何だこの音は?味方の飛空挺部隊か?」
初老の皺だらけの顔に眠気が満ちている。彼は半ば寝ぼけながら指揮所のテントから飛び出した。彼の他にも数名の
幕僚が共に外に出た。次の瞬間、彼は眠気が綺麗さっぱり吹き飛んでしまった。
なんと、別の機動式飛空挺がまっすぐ飛空挺の列線に突っ込んでいくではないか!それも、我が飛空挺よりも早い速度で!
それはマッキャンベル中佐のF6Fだった。形は見たこともない無骨な格好で、まるで太い棒を加工したような形だ。
しかし、その無骨な機体が信じられないスピードで飛んでいる。
その時、その飛空挺の翼から火を噴いた。いくつもの線が、リーギン騎士少将のパイロットが大事にしていた飛空挺に突き刺さった。
バキバキバキバキ!!というけたたましい音を立てて飛空挺から破片が飛び散った。翼、胴体を蜂の巣にされた飛空挺は、
さらに後続の機から容赦の無い攻撃を受けた。
攻撃開始からわずか20秒で、列線の飛空艇は、たんなるぼろに変わり果ててしまった。
「こっちにも来ます!!」
副官の絶叫が響いた。1機のF6Fが彼らを見つけ、猛然と突っかかってきた。
「逃げろ!殺されるぞ!!」
グオオオオオオー!!という2000馬力エンジンの轟音が徐々に大きくなってきた。リーギンらは蜘蛛の子を散らすようにパッと
逃げ散った。ダダダダダダダ!機銃が撃たれる音が鳴り響き、リーギンの左横を機銃弾がブスブスと、突き刺さり、土を跳ね上げた。
「ヒィィィィ!」
彼は仰天して、その場にへたり込んだ。機銃弾を撃ったF6Fが轟音を発しながら飛びぬけていった。彼はあまりの恐怖に体を震わ
せた。股間から生暖かいものが流れ出していた。
リーギンは、別の1機が、巨大なテントを狙っていることに気が付いた。そのテントには、飛空挺飛ばすのに必要な油がたっぷり
入っていた、いわば大切なテントだった。
「ま・・・・まずい。」
彼が呻くように言った直後、F6Fがそのテントに容赦なく機銃弾を叩き込んだ。幾つ物光の束がテントを一薙ぎにした。
F6Fが通り過ぎた直後、テントが大爆発を起こした。
ドーン!という腹にこたえる様な音と共に爆風が周囲を駆け巡った。リーギン騎士少将は、爆風で飛んできた木の破片に胸を
叩き割られて戦死した。
F6Fは、簡易の飛空挺基地を縦横無尽に荒らし回り、駐機してあった60機の機動式飛空挺は容赦無しに破壊されてしまった。
「何だこの音は?味方の飛空挺部隊か?」
初老の皺だらけの顔に眠気が満ちている。彼は半ば寝ぼけながら指揮所のテントから飛び出した。彼の他にも数名の
幕僚が共に外に出た。次の瞬間、彼は眠気が綺麗さっぱり吹き飛んでしまった。
なんと、別の機動式飛空挺がまっすぐ飛空挺の列線に突っ込んでいくではないか!それも、我が飛空挺よりも早い速度で!
それはマッキャンベル中佐のF6Fだった。形は見たこともない無骨な格好で、まるで太い棒を加工したような形だ。
しかし、その無骨な機体が信じられないスピードで飛んでいる。
その時、その飛空挺の翼から火を噴いた。いくつもの線が、リーギン騎士少将のパイロットが大事にしていた飛空挺に突き刺さった。
バキバキバキバキ!!というけたたましい音を立てて飛空挺から破片が飛び散った。翼、胴体を蜂の巣にされた飛空挺は、
さらに後続の機から容赦の無い攻撃を受けた。
攻撃開始からわずか20秒で、列線の飛空艇は、たんなるぼろに変わり果ててしまった。
「こっちにも来ます!!」
副官の絶叫が響いた。1機のF6Fが彼らを見つけ、猛然と突っかかってきた。
「逃げろ!殺されるぞ!!」
グオオオオオオー!!という2000馬力エンジンの轟音が徐々に大きくなってきた。リーギンらは蜘蛛の子を散らすようにパッと
逃げ散った。ダダダダダダダ!機銃が撃たれる音が鳴り響き、リーギンの左横を機銃弾がブスブスと、突き刺さり、土を跳ね上げた。
「ヒィィィィ!」
彼は仰天して、その場にへたり込んだ。機銃弾を撃ったF6Fが轟音を発しながら飛びぬけていった。彼はあまりの恐怖に体を震わ
せた。股間から生暖かいものが流れ出していた。
リーギンは、別の1機が、巨大なテントを狙っていることに気が付いた。そのテントには、飛空挺飛ばすのに必要な油がたっぷり
入っていた、いわば大切なテントだった。
「ま・・・・まずい。」
彼が呻くように言った直後、F6Fがそのテントに容赦なく機銃弾を叩き込んだ。幾つ物光の束がテントを一薙ぎにした。
F6Fが通り過ぎた直後、テントが大爆発を起こした。
ドーン!という腹にこたえる様な音と共に爆風が周囲を駆け巡った。リーギン騎士少将は、爆風で飛んできた木の破片に胸を
叩き割られて戦死した。
F6Fは、簡易の飛空挺基地を縦横無尽に荒らし回り、駐機してあった60機の機動式飛空挺は容赦無しに破壊されてしまった。
その頃、ランドルフのヘルダイバー隊20機は、とある大きな建物を見つけた。
それは、町の中心部にどっしり腰を据えるように造られた大きな屋敷だった。
その屋敷のてっぺんに大きな旗が誇らしげに掲げられている。バーマント軍の旗だ。
「いかにも、あれが敵の司令部みたいだな。」
ランドルフ隊の隊長であるグリーンウッド少佐は、そう判断した。彼は直率の小隊で
この屋敷を爆撃することに決めた。
「他のチームは敵が集結しているところを見つけて爆弾を落とせ。以上!」
少佐はマイクに向かって、各機にそう伝えると、ランドルフ隊は4機ずつの編隊に別れ、
思い思いの目標に向かった。
やがて、目標の大きな屋敷上空に差し掛かった時、グリーンウッド少佐は機首を下げた。
眼前に俯瞰図のような大きな屋敷が見えた。
ヘルダイバーは唸り声を上げて、突っ込むように屋敷に襲い掛かっていった。高度は4000から
3000、3000から2000へと早い勢いで下がっていった。ダイブブレーキから発せられる甲高い音が響く。
その音に仰天したのか、何人かの人影がベランダに飛び出した。
「800!」
後部座席の乗員が高度計を読み上げたとき、
「リリース!!」
グリーンウッド少佐は投下レーバーを引いた。開かれた爆弾倉から1000ポンドの爆弾が落下し、
機体が軽くなった感触が伝わる。彼は急降下に伴う急激なGに耐えながら操縦桿を思いっきり引いた。
ヘルダイバーは徐々に機首を上げ、高度が300メートルの所で水平になった。
「爆弾命中!ナイスショットです!」
後部座席から弾んだ声が聞こえた。少佐は機を左旋回させ、窓から爆弾を叩き付けた屋敷を見てみた。
綺麗な姿だった屋敷は、真ん中から猛烈な黒煙を吹き上げていた。
それは、町の中心部にどっしり腰を据えるように造られた大きな屋敷だった。
その屋敷のてっぺんに大きな旗が誇らしげに掲げられている。バーマント軍の旗だ。
「いかにも、あれが敵の司令部みたいだな。」
ランドルフ隊の隊長であるグリーンウッド少佐は、そう判断した。彼は直率の小隊で
この屋敷を爆撃することに決めた。
「他のチームは敵が集結しているところを見つけて爆弾を落とせ。以上!」
少佐はマイクに向かって、各機にそう伝えると、ランドルフ隊は4機ずつの編隊に別れ、
思い思いの目標に向かった。
やがて、目標の大きな屋敷上空に差し掛かった時、グリーンウッド少佐は機首を下げた。
眼前に俯瞰図のような大きな屋敷が見えた。
ヘルダイバーは唸り声を上げて、突っ込むように屋敷に襲い掛かっていった。高度は4000から
3000、3000から2000へと早い勢いで下がっていった。ダイブブレーキから発せられる甲高い音が響く。
その音に仰天したのか、何人かの人影がベランダに飛び出した。
「800!」
後部座席の乗員が高度計を読み上げたとき、
「リリース!!」
グリーンウッド少佐は投下レーバーを引いた。開かれた爆弾倉から1000ポンドの爆弾が落下し、
機体が軽くなった感触が伝わる。彼は急降下に伴う急激なGに耐えながら操縦桿を思いっきり引いた。
ヘルダイバーは徐々に機首を上げ、高度が300メートルの所で水平になった。
「爆弾命中!ナイスショットです!」
後部座席から弾んだ声が聞こえた。少佐は機を左旋回させ、窓から爆弾を叩き付けた屋敷を見てみた。
綺麗な姿だった屋敷は、真ん中から猛烈な黒煙を吹き上げていた。
バーマント軍第87軽歩兵旅団に所属するクルーズ・グラバット軍曹は、突然始まったけたたましい音に眼を覚ました。
「何?今の音は?」
彼の横で寝ていた裸で、褐色の肌をした女性兵が寝ぼけた口調で言った。町の西側の草原から、タタタタタと言う音が聞こえた。
初めて聞く警戒でリズミカルな音だ。その音は徐々に増えていく。それにグオー!という変な音も聞こえる。
「さあ、分からんな。西の草原のほうからだな。」
2人は最初怪訝に思ったが、昨日の夜は派手に遊びすぎて疲れていたために、そのまま寝る事にした。
「どうせ敵はみんな殺したんだし、何でもないでしょ。」
「ああ、そうだな。寝ようか。」
女性兵、ミルア・ヘルンベも頷くと、再びうす布を体にかけて寝ようとした。その刹那。
ズドーン!という音が鳴り響いた。振動で、薄暗い部屋がガタガタ揺れた。その突然の音に2人はぎょっとした。
「え!?」
二人は互いに顔を見合わせた。
「何かおかしいよ、もしかして、敵!」
ミルアが確信したように言うと、突如甲高い音が鳴り響いた。彼は慌てて窓を開けた。窓には、ララスクリスを占領した後、
司令部が置かれた屋敷があった。その大きな屋敷の上に、小さな影が猛スピードで突っかかっていた。
キーーーーーン!というけたたましい音が極大に達したと思うと、その影の腹から一つの黒い物が落とされた。
「何か落としたぞ!」
彼はその黒い物が、まっすぐ屋敷のてっぺんにすっぽりと突き刺さったところを見た。そして次の瞬間、
バゴオオォォォォーーーーン!!彼らが寝宿にしている所から200メートル足らずにあった屋敷の真ん中が轟音と共に吹き飛んだ。
余りの突然の出来事に、彼は口をあんぐりと開けた。爆風が窓に吹き込み、彼は爆風で床に倒された。
ダーン!という轟音と衝撃が起きた。寝宿は大地震でもあったのかのように猛然と揺れた。轟音はさらに3回目、4回目と続き、
その度に大地は揺さぶられた。
「何?今の音は?」
彼の横で寝ていた裸で、褐色の肌をした女性兵が寝ぼけた口調で言った。町の西側の草原から、タタタタタと言う音が聞こえた。
初めて聞く警戒でリズミカルな音だ。その音は徐々に増えていく。それにグオー!という変な音も聞こえる。
「さあ、分からんな。西の草原のほうからだな。」
2人は最初怪訝に思ったが、昨日の夜は派手に遊びすぎて疲れていたために、そのまま寝る事にした。
「どうせ敵はみんな殺したんだし、何でもないでしょ。」
「ああ、そうだな。寝ようか。」
女性兵、ミルア・ヘルンベも頷くと、再びうす布を体にかけて寝ようとした。その刹那。
ズドーン!という音が鳴り響いた。振動で、薄暗い部屋がガタガタ揺れた。その突然の音に2人はぎょっとした。
「え!?」
二人は互いに顔を見合わせた。
「何かおかしいよ、もしかして、敵!」
ミルアが確信したように言うと、突如甲高い音が鳴り響いた。彼は慌てて窓を開けた。窓には、ララスクリスを占領した後、
司令部が置かれた屋敷があった。その大きな屋敷の上に、小さな影が猛スピードで突っかかっていた。
キーーーーーン!というけたたましい音が極大に達したと思うと、その影の腹から一つの黒い物が落とされた。
「何か落としたぞ!」
彼はその黒い物が、まっすぐ屋敷のてっぺんにすっぽりと突き刺さったところを見た。そして次の瞬間、
バゴオオォォォォーーーーン!!彼らが寝宿にしている所から200メートル足らずにあった屋敷の真ん中が轟音と共に吹き飛んだ。
余りの突然の出来事に、彼は口をあんぐりと開けた。爆風が窓に吹き込み、彼は爆風で床に倒された。
ダーン!という轟音と衝撃が起きた。寝宿は大地震でもあったのかのように猛然と揺れた。轟音はさらに3回目、4回目と続き、
その度に大地は揺さぶられた。
衝撃が収まり、彼は爆風で半ば壊れた窓の外を見てみた。そこから見えた司令部の屋敷は、真ん中が黒煙に包まれて見えなくなっていた。
「ねえ、なんなのあれは。一体なにがあったの?」
ミルアが泣きそうな表情で彼に聞いてきた。当のクルーズはガタガタ体を震わせるばかりで、言葉が浮かばなかった。
外には、炸裂音で叩き起こされたバーマント兵がわらわら出てきて、怒号や悲鳴が聞こえてきた。
その時、グオオーーー!という何かが近づいてくるような音が聞こえた。ミルアは黒い長髪を後ろに束ね、露になった豊かな胸を
適当に隠しながらドアを開いた。
そこには、無骨な格好をした初めてみる飛行物体が、両翼から幾つもの光を放ちながらこっちに突っ込んでくる光景が広がっていた。
「あ、あれは!?」
彼女の美貌に驚愕の表情が浮かんだとき、自身の胸と腹に焼け火箸が突き刺さったような痛みが走った。ドアの入り口で立ってい
たミルアの周辺にバリバリ!と音を立てて木屑が大量に飛び散った。
この時、F6Fから放たれた機銃弾は、小さな寝宿に何十発と降り注がれた。機銃弾は、この不運な女性兵を貫き、部屋を無数の
弾痕で穿ち抜いて木製のぼろへと瞬時に変えた。
クルーズは突如巻き起こった衝撃に身を縮めて耐えた。顔すぐ横をガン!というハンマーを打ちつけたような衝撃が伝わった。
轟音が過ぎ去った時、クルーズは体を起こした。
そこには仰向けに倒れているミルアの姿があった。すぐにそばに駆け寄った。彼女は胸の真ん中と腹から血を流していた。
眼は堅く閉じられている。そう、彼女は死んでいるのだ。12.7ミリ機銃は、最初の胸の被弾で心臓を貫通していたため、即死だった。
「な・・・・・なんてこった・・・・・」
彼は次の言葉が出なかった。それよりも気を取り直そうと、彼は急いで散らばっていた荷物から服を取り出してつけ、
剣を持って外に出ようとした。周辺からは、ドーン、ドーンという爆発音が鳴り響いている。
「死んでしまったものは仕方ねえ。まずは何が起こっているのか確かめんとな。」
彼は拳を握りながら外に出ようとした。この時、ヒューーという不思議な音が聞こえていたが、彼は無視することにした。
その直後、彼は寝宿から出る寸前に、部屋ごと吹き飛ばされて死んだ。
「ねえ、なんなのあれは。一体なにがあったの?」
ミルアが泣きそうな表情で彼に聞いてきた。当のクルーズはガタガタ体を震わせるばかりで、言葉が浮かばなかった。
外には、炸裂音で叩き起こされたバーマント兵がわらわら出てきて、怒号や悲鳴が聞こえてきた。
その時、グオオーーー!という何かが近づいてくるような音が聞こえた。ミルアは黒い長髪を後ろに束ね、露になった豊かな胸を
適当に隠しながらドアを開いた。
そこには、無骨な格好をした初めてみる飛行物体が、両翼から幾つもの光を放ちながらこっちに突っ込んでくる光景が広がっていた。
「あ、あれは!?」
彼女の美貌に驚愕の表情が浮かんだとき、自身の胸と腹に焼け火箸が突き刺さったような痛みが走った。ドアの入り口で立ってい
たミルアの周辺にバリバリ!と音を立てて木屑が大量に飛び散った。
この時、F6Fから放たれた機銃弾は、小さな寝宿に何十発と降り注がれた。機銃弾は、この不運な女性兵を貫き、部屋を無数の
弾痕で穿ち抜いて木製のぼろへと瞬時に変えた。
クルーズは突如巻き起こった衝撃に身を縮めて耐えた。顔すぐ横をガン!というハンマーを打ちつけたような衝撃が伝わった。
轟音が過ぎ去った時、クルーズは体を起こした。
そこには仰向けに倒れているミルアの姿があった。すぐにそばに駆け寄った。彼女は胸の真ん中と腹から血を流していた。
眼は堅く閉じられている。そう、彼女は死んでいるのだ。12.7ミリ機銃は、最初の胸の被弾で心臓を貫通していたため、即死だった。
「な・・・・・なんてこった・・・・・」
彼は次の言葉が出なかった。それよりも気を取り直そうと、彼は急いで散らばっていた荷物から服を取り出してつけ、
剣を持って外に出ようとした。周辺からは、ドーン、ドーンという爆発音が鳴り響いている。
「死んでしまったものは仕方ねえ。まずは何が起こっているのか確かめんとな。」
彼は拳を握りながら外に出ようとした。この時、ヒューーという不思議な音が聞こえていたが、彼は無視することにした。
その直後、彼は寝宿から出る寸前に、部屋ごと吹き飛ばされて死んだ。
エセックスのアベンジャー隊14機が投弾した28発の500ポンド爆弾は、屋敷周辺にあった家を瞬く間に吹き飛ばした。
吹き飛ばされた家からはもくもくと煙が吹き上がり、空を黒く染めつつあった。
吹き飛ばされた家からはもくもくと煙が吹き上がり、空を黒く染めつつあった。
米攻撃隊は容赦が無かった。投弾を終えたヘルダイバー、アベンジャーは見えるもの全てに機銃弾を撃ちまくった。人、馬車、
木造家屋などは米機に見つかると必ず機銃掃射を受けた。バーマント軍の兵士が集まっているところを見つけたとあるF6Fの小隊は、
容赦ない銃撃を加え、ばたばたとその戦闘員達をなぎ倒した。
別の小隊は衝撃的な光景を見た。町の一角に串刺しにされたヴァルレキュア兵された死体が一箇所にまとめて集められていたのである。
なかには5体がバラバラになった死体も多数あり、凄惨な情況を呈していた。このF6Fの小隊長は、3日3晩悪夢にうなされたと言う。
木造家屋などは米機に見つかると必ず機銃掃射を受けた。バーマント軍の兵士が集まっているところを見つけたとあるF6Fの小隊は、
容赦ない銃撃を加え、ばたばたとその戦闘員達をなぎ倒した。
別の小隊は衝撃的な光景を見た。町の一角に串刺しにされたヴァルレキュア兵された死体が一箇所にまとめて集められていたのである。
なかには5体がバラバラになった死体も多数あり、凄惨な情況を呈していた。このF6Fの小隊長は、3日3晩悪夢にうなされたと言う。
攻撃開始から30分後、全機が爆弾、機銃弾を使い果たした。指揮官のマッキャンベル中佐は、町の全体をぐるりと見回した。
町の半分ほどの地域からいくつもの煙が上がっている。町の中心部にある大きな建物は特に被害が酷く、その建物自体全壊状態にあった。
また、町の西側にある簡易飛行場からももうもうたる煙が吹き上がっていた。マッキャンベル中佐はマイクを取った。
「マザーグースへ、こちらパッカードワン。敵占領地の攻撃成功はせり。敵飛行場、施設に甚大な損害を与えたり。尚、いまだに敵施設多数が健在なり。
第2次攻撃の要ありとみとむ。」
町の半分ほどの地域からいくつもの煙が上がっている。町の中心部にある大きな建物は特に被害が酷く、その建物自体全壊状態にあった。
また、町の西側にある簡易飛行場からももうもうたる煙が吹き上がっていた。マッキャンベル中佐はマイクを取った。
「マザーグースへ、こちらパッカードワン。敵占領地の攻撃成功はせり。敵飛行場、施設に甚大な損害を与えたり。尚、いまだに敵施設多数が健在なり。
第2次攻撃の要ありとみとむ。」