自衛隊がファンタジー世界に召喚されますた@創作発表板・分家

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匿名ユーザー

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午前10時20分 第27歩兵師団陣地
先の大規模な騎兵突撃で、敵バーマント軍は合計で5万人以上の騎兵部隊を米軍陣地に突っ込ませてきた。
最初、戦いは一方的な虐殺だった。
バーマント軍は空から、そして地上の砲兵部隊から散々叩かれまくった。
この航空攻撃と猛砲撃で4割が戦死するか落伍した。
そして米軍陣地からの猛烈な弾幕射撃に生き残りの8割以上がバタバタ撃ち倒された。
だが、恐ろしい損耗率を出しながらもバーマント騎兵部隊の生き残りは米軍陣地に取り付いた。
第3海兵師団の陣地には300人の敵騎兵が殴り込み、海兵隊員と壮絶な白兵戦、銃撃戦を演じたが、
わずか15分で全員が戦死するか捕虜になった。
第27歩兵師団では600人の騎兵が第1線陣地に殴り込んで、陸軍兵達と激しくやり合い、
今でも第1線陣地の一部にはバーマント兵の残余100が、米兵と激しく撃ち合っている。
第4海兵師団には500の敵騎兵が殴り込みを行い、一部の部隊は第1線陣地から逃げ出すものが続出するほど壮絶だった。
一部のバーマント騎兵は第2線陣地にも暴れ込んだが、そこの米兵と激しくやりあった後、全員戦死した。

体勢を立て直した海兵隊は、第1線陣地に陣取るバーマント兵に容赦ない攻撃を加えて全滅させてしまった。

第27歩兵師団の師団司令部では、師団長であるラルフ・スミス少将が、机の地図とにらめっこしながら
報告を聞こうとしていた。
「前線から報告です。第1線陣地に残存していたバーマント兵は全て撃滅せり。
前線部隊のこれまでの損害は、戦死98、負傷212であります。」
「うむ、ご苦労。」
彼はそう労いの言葉をかけると、通信兵を下がらせた。
「死傷者300人ですか・・・・」
師団参謀の1人が憂鬱そうな表情で言う。
「被害を受けるスピードのペースが速いからな。だが、一応予想の範囲内だ。」
スミス少将はその参謀を元気付けるようにして言う。
(むしろ前線の将兵の心理状態が気になるな)
この作戦で、米軍は初めて通常の作戦に移行した。
それまでの戦闘は、米軍から見ればちびちび撃っていたような感じだった。
だが、今回はいつものような砲弾幕である。
既に砲兵隊は後方の敵砲兵陣地を砲撃しているさい、割り当てられた砲だけでなんと1門あたり100発。
合計で4000発以上を叩き込んでいた。
この4000発と言う数字は、驚く事にサイフェルバン戦で1週間かけて消費した数である。
それに機銃弾も何千発、いや、万を超える数を撃ちまくっている。
この圧倒的な銃砲火に草原地帯は無残な光景が広がっていた。
(おそらく、何人かは精神を壊す奴が出るかも知れんな)
スミスは精神崩壊者が出る事が気掛かりだった。

バーマント軍の歩兵部隊は、騎兵部隊が攻撃を受けている間に防衛線まで4キロ地点に迫っていた。
そして午前10時30分までに防衛線まで距離3キロ地点まで無傷で進出していた。
ゴーレム部隊、騎兵隊が壊滅したにもかかわらず、歩兵部隊の士気は旺盛だった。
彼らは戦友の屍を乗り越えながら、鬼気迫る双眸で確実に米軍陣地に向かいつつある。
そこに米軍機がわれ先にと襲い掛かってきた。度重なる攻撃で、歩兵部隊は数を減らしていった。
残存部隊が陣地に迫ると、猛烈な銃砲火が彼らを迎え撃った。
バタバタとなぎ倒される敵兵、爆発に巻き込まれ、体の一部を持っていかれる敵兵。
先の騎兵攻撃よりも凄惨な状況を呈している。
しかし敵は諦めなかった。
いくら戦友が叩かれようが、全ての思いを胸に全力で米軍陣地に向けてぶち当たっていく。
陸軍第27歩兵師団の陣地には1000人のバーマント兵が、銃砲火を受けながら陣地内に
今しも突入しようとしていた。
軽機関銃の射手であるイリスト・コンプトン1等兵は、軽機関銃の引き金を引き続けた。
ドタタタタタ!という軽快な音と共に機銃弾が吐き出される。
まるで水をまくように、曳光弾が横にサーッと流れていく。
それに体を貫かれたバーマント兵は、当たった部位を抑えてうずくまるが、
中には撃ち抜かれても平然そうに走り続けるものがいる。
他の機銃も猛烈に撃っているのだが、はっきり言って敵の阻止が出来ていない。
むしろ機銃弾を浴びてからますます好戦的になっているようである。
敵兵も小銃や機関銃を走りながら撃ってきた。敵にも似たような銃器があるのだ。
7.62ミリの給弾ベルトを持っていた同僚がいきなり肩を抑えた。手の隙間からは血が噴出している。
銃弾にやられたのだ!

「衛生兵!ここに負傷者だ!!」
彼は後ろに向かってそう叫んだ。その間にも敵兵はわらわらと押し寄せつつある。
いきなり軽機の目の前でバスバスバス!と、連続して土煙が上がった。
慌てて彼はタコツボに引っ込んだ。すぐに顔を上げて周りをすばやく見る。
(居た!)
彼は80メートル右斜めに軽機らしきものを撃ちまくるバーマント兵を見つけた。
そのバーマント兵は、彼の後ろの味方を狙っている。
おそらく自分を狙ったのはあいつだ!
コンプトン1等兵はすぐに、軽機を振り回す、顔がハッキリしない敵兵を撃った。
腹と胸に8発の銃弾を食らわせた。その敵兵は倒れる拍子に帽子が取れて長髪が露になる。
女だったのか。彼はそう思うだけで次の獲物を見つけて軽機を撃ちまくる。
その時、額にハンマーで叩かれたような衝撃が伝わり、コンプトン1等兵の意識は暗転した。
衛生兵のチャーリー・ミランは、戦死したコンプトン1等兵の右で負傷に呻く味方に近づいた。
その味方は肩とわき腹に負傷していた。
「戦友、今助けるぞ!」
ミランはここにいては適切な治療が出来ないと思い、その味方兵を運ぶ事にした。
負傷兵の傷ついていないほうの右肩を引っ張って、後ろ5メートルに置いてある担架まで引きずった後、負傷兵を担架に乗せた。
その時、後方でダーン!という轟音が鳴った。ミランと担架を持ってきた兵はすかさず伏せた。
土が体にパラパラと落ちてくる。その直後にヒューン!という音を立てて彼の頭のすぐ上を銃弾が掠めて行く。
(狙われている!)
ミランはそう思い、ぞっとした。恐らく、腕章の赤十字の意味を理解していないのだろう。
その事は前々から覚悟していた。だが、実際に狙われると、体が恐怖に縮み上がってしまった。
「おい、ミラン!早く行こうぜ!」
同僚の兵が彼を急かす。彼は恐怖を強引に振り払って起き上がり、担架を持った。
銃弾が唸りをあげて周りを飛んでいく。後方で何度も爆発の音が聞こえる。
「いてえ・・・・耐えられん、殺してくれ。」
傷の激痛に耐えかねた負傷兵が、泣きながら訴えてくる。
「馬鹿野郎!それぐらいの傷がなんだ!安心しろ、それぐらいの傷じゃあ死にはしない!」

泣きべそをかく負傷兵を、ミランは叱咤する。彼の叱咤に負傷兵は押し黙った。
だが、よほど痛いのだろう、負傷兵はしきりに唸る。
このままでは可哀想だと思ったミランは、担架を少しの間だけ止めて、負傷兵にモルヒネを注射した。
モルヒネを打たれると、負傷兵はようやく黙った。
ようやく後方から500メートルの所にやってきた。トラックに負傷兵を乗せる。
そのトラックには20名ほどの負傷兵が乗っていた。
銃弾を腕や足に受けて戦闘が出来なくなったもの、一見無傷そうだが、実際は内臓を傷つけられて瀕死の者もいる。
良く見てみると、隣のトラックには負傷兵が40人も乗っている。
そのどれもが、激烈な白兵戦を経験していて、銃創や刀傷を負って治療が必要だった。
さらに後方に目をやると、他の兵に運ばれた負傷兵が、担架に乗ってやってくるところだった。
それも1人2人ではない。6人、7人といった多さである。
「こんなに・・・・・味方はやられたのか・・・・・・」
ミランは負傷兵の多さに愕然とした。

バーマント軍第8軍に所属する第89歩兵師団は、多大な犠牲を出しつつも米軍陣地に取り付いた。
先の対空戦闘で、コルセアを撃墜するという殊勲をあげたレイックル軍曹も生存していた。
盛り上がった丘に隠れて米兵の銃撃をかわす。
銃撃が止んだとたん、彼は壊れた馬車から引っ張り出してきた11.2ミリ機銃を、
部下と共に素早く丘の上に設置した。
11.2ミリ機銃はかなり重いが、それでも、勝利を求める軍曹と部下達は
その重い機銃をずっと離さなかった。
そしてそれがついに火を噴くときが。
「くらえ!今までのお返しだ!」
ドドドドドドド!という音を立てて60メートル先の米軍陣地に機銃弾を叩き込む。
いきなりの機銃掃射に米兵は慌ててタコツボに隠れる。
「今だ!突撃しろ!」
軍曹は後ろから付いてきた歩兵の小隊に向けてそう叫んだ。
歩兵小隊はすかさず丘を駆け上がって米軍陣地突入していく。
その後方から敵軍の機銃らしきものが歩兵小隊を狙い、火を噴いた。
たちまち2、3人の味方兵が打ち倒される。
それに照準を変えて引き金を引く。無数の曳光弾が敵の銃座、M-2ブローニング重機の周辺に突き刺さった。
突然の銃撃に米兵は撃っていた機銃を離した。
そして隠れようとしたときに1人が何発か浴びて絶命する。
もう1人の敵兵は慌ててタコツボの中に引っ込んだ。

11.2ミリ機銃弾はそればかりでなく、ブローニング重機自体にも襲い掛かった。
それまで無数のバーマント兵をなぎ倒してきた重機に火花が飛び散る。
11.2ミリ機銃弾が、ブローニングの特徴ある長い銃身を数発が命中して断ち切る。
その次に機構部に多数命中してたちまちその鉄製部分を、音を立てて打ち砕く。
引き金部分が吹き飛ばされる。
無数の銃弾を撃ち込まれたブローニング重機は、射手同様、無残な姿に成り果てた。
「軍曹、あそこにも!」
部下が左の方向を指差した。別の機銃が歩兵小隊を狙っている。
レイックルはその重機に対して、素早く銃身を向けた。
11.2ミリ機銃弾は米軍の機銃座に次々と突き刺さり、射手を射殺して給弾手の腕を吹飛ばした。
その時に機銃がウンともスンとも言わなくなった。弾が切れたのである。
コルセア戦闘機に馬車を破壊された際、残りの予備弾薬に機銃弾にやられて爆発してしまった。
持ち込めたのは機銃本体と、弾薬100発のみだった。
「俺たちも突っ込むぞ!」
レイックルは6人の部下に対してそう言うと、自ら先頭に立って陣地内に突入した。
その頃には、彼の機銃の援護を受けた歩兵小隊が、米軍の守備兵相手に激烈な白兵戦を演じていた。
バーマント兵の標準装備である長剣は、この白兵戦で威力を発揮した。
あるものは米兵の体を串刺しにし、あるものは体の一部を切り飛ばした。
米側も負けてはいない。ガーランドライフルを棒代わりに振り回したり、被っていたヘルメットを使うもの、
中にはスコップを武器にするものもいて、お互いに切り合ったり、叩きのめしたりと、いわばどつきあいが展開されている。
レイックル軍曹の分隊は、20メートル進んだところで迫撃砲を操作している部隊に遭遇した。

5人の米兵は彼らを見つけると、慌てて発砲しようとした。
レイックル軍曹は小銃で1人を撃った。銃弾はその兵士の足に命中。
米兵もガーランドライフルを撃ち返す。
部下の1人が数発を体に受けて絶命する。レイックル軍曹に銃弾が飛んできた。
1発が右肩を掠めた。銃弾がかすった瞬間、焼けるような痛みが全身を走った。
「野郎!」
彼は怒りを上げて小銃を乱射する。弾が切れると、彼は小銃を捨てて腰の長剣で切りかかった。
1人を切り倒す。残りの仲間も米兵に群がる。
あっという間に囲まれた米兵達は、彼らに袋叩きにされてしまった。
これまでやられてきた仲間の敵討ちとばかりに、容赦なく剣を突き下ろし、銃弾を米兵に叩き込んだ。
誰も彼もが目を血走らせている。
この時ばかりは、彼らは血を追い求める魔物でしかない。
米兵5人の殺害を確認すると、彼らはさらに進もうとした。
この時には、第27歩兵師団の第1線陣地の将兵は、バーマント兵の気迫に押され、
残りが後方200メートルの第2線陣地に逃げ散っていた。

「第89歩兵師団が敵軍の陣地を制圧しました!」
朗報が司令部に飛び込んできた。
この時、甚大な損耗に頭を痛めていた司令部の面々はこの報告を聞いて、最初は耳を疑った。
「何?それは本当か?」
ルーゲラー騎士元帥は訝しげな表情で通信兵を見つめる。
「撤退の報告ではないのか?」
「いえ、違います。制圧したとの報告であります。」
通信兵はもう一度同じ事を言った。そして次第に司令部の面々に喜色が現れてきた。
「司令官、やりましたな!これで敵異世界軍に我々の実力を思い知らせてやりましたぞ!」
その直後、別の通信兵が入ってきた。
「報告します。第12軍所属の第94歩兵師団が敵陣地を征圧しました。」
この報告に、司令部の作戦室に歓声が上がった。
「すごい快挙だ!」
「見たか!異世界軍め!」
誰もが喜びを分かち合っている。
なにしろ、膨大な犠牲が出たにもかかわらず、一部の米兵を陣地から追い払ったのである。
あのサイフェルバン方面軍を機動作戦で殲滅し、手強しと恐れられていた異世界軍に煮え湯を飲ませたのだ。
「静かに!」
ルーゲラー騎士元帥は、まるで勝ったと言わんばかりの司令部の面々に対して怒鳴り声を上げた。

「まだ戦いは終わってはおらん!制圧したと言っても、敵の陣地の一部に過ぎない。
それに第4軍からはまだ制圧の連絡が入っていない。恐らく苦戦しているのだろう。
諸君らは陣地を制圧したと喜んでいるが、敵はまだあきらめてはいない。
敵も総力を結集してくるであろう。現に海上にいると思わしき敵機動部隊も、
大量の飛空挺を放っているではないか。確かに勝利の1歩は掴んだ。
だが、これからも苦しい戦いが続く事には変わりはない。」
彼は一旦言葉を切って周りを見つめた。誰もが彼の言葉に頷いている。
そう、戦いはまだこれからなのである。
「この勝機は、数万の将兵の犠牲の下に培われたものだ。我々は、その事を忘れて
勝った勝ったと叫んではいけない。では、これからの予定だが、各軍の予備師団を
敵の制圧した陣地に増援部隊として送れ。」
彼は次なる命令を発した。その命令を実行させるため、幕僚達は再び、慌しく動き始める。
この勝利が、後に東方軍集団に災厄をもたらす事になる。

午前11時 第5艦隊旗艦インディアナポリス
「それで、各師団の損害はどれぐらいなのだ?」
スプルーアンス大将は、腕を組みながら情報参謀のアームストロング中佐に質問する。
アームストロングは持っていた紙面に目を通しながら口を開いた。
「暫定ではありますが、被害の結果は次の通りです。第3海兵師団、戦死164、負傷521。
第27歩兵師団、戦死、204、負傷691。第4海兵師団、戦死138、負傷600。
合計で2339人の死傷者が出た事になります。」
この数字を聞いて、会議室にどよめきが走った。
1日だけで被った被害は、この数字で最大記録を早々と更新してしまったのである。
スプルーアンスとレイム、マイントはいたって冷静である。むしろこうなる事は予想済みであったのだろう。
「想定内の数字とはいえ、酷いものだ。」
参謀長のデイビス少将は顔をしかめてそう呟いた。現在、第27歩兵師団と第4海兵師団の第1線陣地には、
それぞれ600人、480人のバーマント兵が陣取っている。
最初、第1線陣地が占拠されたと聞いた時には誰もが驚きに包まれた。
バーマント兵の先頭で死傷者は出ると思ったが、まさか占拠されるとは思っても見なかった。
現在、海兵隊、陸軍航空隊の戦爆連合240機がそれぞれ分散して、陣地内の敵兵をあぶり出しにかかっている。
その時、通信副参謀のマコーミック少佐が血相を変えた表情で入ってきた。
「敵軍に新たな動きです!」
「どうした?」
「森の付近から新たに2個師団相当の兵力が東に移動中との事です。
それから、空母ヨークタウンの偵察機が、エイレーンの森に向かう1個軍相当の兵力を発見したとの事です。」

「何だって!?」
今度は会議室が静まり返った。敵はある限りの兵力を全て使おうとしている。
誰もがそう確信した瞬間であった。
「1個軍とは・・・・敵も随分な増援をよこしてきたじゃないか。」
フォレステル大佐が舌打ちしながらそう呟く。
「敵は勝負を一気につけるつもりだな。」
「だとすると、上陸軍も予備師団を投入するかも知れんな。」
「海兵隊は機動作戦を取るつもりのようだが、敵が新手を繰り出したとなると、
少々やりづらくなるかも知れない。」
参謀達は頭を抱えながら、議論を重ねていく。作戦室の雰囲気は次第に熱気を帯び始めてきた。
「通信参謀、次の攻撃隊が出るのは何時ごろか?」
「参謀長、第4次攻撃隊は午前11時40分に発艦予定です。」
「うーむ・・・・・敵の新手部隊も叩かないといけないのだが。しかし、味方の防衛線にへばりつく敵もいる。」
「畜生、こういう時にもっと、弾薬輸送船があれば良かったのだが。」
「無い者ねだりしても始まらんよ。それより新手部隊を叩くか、
防衛線の敵部隊を叩くかは第58任務部隊司令部が決める事だよ。」
色々な議論が沸き起こるが、どれもこれも後の問題が付きまとってくる。
誰もが頭を抱え始めていた。同様の苦悩は、第58任務部隊の旗艦、レキシントンでも起きている。
「ここは・・・・・少しばかりに派手な方法で敵を驚かすしかないかも知れんな。」
それまでやりとりを黙って聞いていたスプルーアンスが口を開いた。
「このまま撃ち合いの戦を続ければ、弾薬の乏しい我が軍は危なすぎる。
ここはドーンと一発、何かの方法でハッタリをかましたほうがいいのかもしれないな。」
「なるほど・・・・それも一案かもしれません」
レイムもうんうん頷きながらそう呟く。
「何か方法があるはずだ。」
スプルーアンスはふと考えた。現在、航空部隊の空襲は敵の突撃部隊に対して行われていた。
その攻撃隊を後方の森へ回せないものか?
スプルーアンスは腕を組んで考え始めた。その時、彼の脳裏にある事がよぎった。

午前11時40分に発艦した第4次攻撃隊200機は、第27歩兵師団の防衛線の一部を
占拠している第89歩兵師団の残余に襲い掛かった。
攻撃は40分間続けられた。この攻撃で第89歩兵師団の残余は200名までに激減してしまった。
この部隊はその後、1時間頑張ったが、結局大多数が捕虜になり、第89歩兵師団は全滅してしまった。
第4海兵師団に突入した第94歩兵師団は、全滅を恐れて残余300名が後方に撤退していった。
ちなみに、これら2個師団と共に突撃した第4軍所属の第97歩兵師団は、
前線に取り付く前に全滅を恐れた指揮官によって途中で引き返した。
第97歩兵師団も残余は2000しかいなかった。
戦果甚大、戦果僅少。まさにその言葉どおりの被害状況である。
この事から、ルーゲラー騎士元帥は一旦昼間の攻撃を中止した。
しかし、彼は諦めていなかった。ルーゲラーは夜戦を企図していた。
バーマント軍の士気もまだまだ旺盛であり、残存部隊は静かに森の前に引き返し、夜が来るのを待った。
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