午前6時54分 魔法都市マリアナ
「隊長!見えました、マリアナです!」
護衛空母セント・ローを発艦したSBDドーントレスは、FM-2ワイルドキャットを
先頭に進撃を続けていた。
そして、彼らはマリアナの地に到達したのである。
第2次攻撃隊は、第1次と違って、大編隊を組んで威風堂々と進軍してきた。
攻撃隊の内訳は、FM-2が60機にドーントレス、アベンジャーが各30機、計120機である。
攻撃隊指揮官のレイ・ヴィントス少佐は、大魔道院の一角で起きている異変を目にした。
「敵施設の、いや、城塞といったほうが正しいな。敵城塞の一角で火災が発生している。
魔法防御は破られているぞ!」
少佐は喜びの混じった声音で、全機に告げる。
「よし、これなら分散攻撃ができる。戦闘機隊は敵城塞の対空火器を狙え。
急降下爆撃隊、水平爆撃隊は敵施設本体を狙え。全機突入せよ!」
彼の合図の元、全機がそれぞれの攻撃位置につき始めた。
艦爆隊は高度3000へ、水平爆撃隊は高度2500、そして戦闘機隊は高度を下げて、
一足先に大魔道院に突っかかっていく。
ワイルドキャットの1番機が、距離1000で両翼の小型爆弾を投下し、700で12.7ミリ機銃を撃つ。
発射炎を翼にきらめかせながら、500キロのスピードで飛び抜けていく。
ヘルキャットより一回り小ぶりで、酒樽に翼をくっつけたような格好だが、それでも俊敏な動きで対空砲火を避けていく。
1発90キロの重量を持つ爆弾が、機銃座の横の壁に命中し、破片と煙を巻き上げた。
そこに列機が爆弾を放ち、機銃をぶっ放す。
6本の火箭が機銃要員を絡めとってミンチに変えた後、1発の小型爆弾が命中した。
たちまち、さまざまな破片が吹き上げられ、機銃座は沈黙を余儀なくされた。
そのワイルドキャットに対して、別の機銃座が応戦するが、これまた新たなるワイルドキャットに
横合いから突っかかれ、これも沈黙させられてしまった。
第2次攻撃隊は60機のFM-2を伴っており、外周部の対空砲火は9割方が沈黙を余儀なくされ、
継戦側の対空陣地は壊滅してしまった。
「隊長!見えました、マリアナです!」
護衛空母セント・ローを発艦したSBDドーントレスは、FM-2ワイルドキャットを
先頭に進撃を続けていた。
そして、彼らはマリアナの地に到達したのである。
第2次攻撃隊は、第1次と違って、大編隊を組んで威風堂々と進軍してきた。
攻撃隊の内訳は、FM-2が60機にドーントレス、アベンジャーが各30機、計120機である。
攻撃隊指揮官のレイ・ヴィントス少佐は、大魔道院の一角で起きている異変を目にした。
「敵施設の、いや、城塞といったほうが正しいな。敵城塞の一角で火災が発生している。
魔法防御は破られているぞ!」
少佐は喜びの混じった声音で、全機に告げる。
「よし、これなら分散攻撃ができる。戦闘機隊は敵城塞の対空火器を狙え。
急降下爆撃隊、水平爆撃隊は敵施設本体を狙え。全機突入せよ!」
彼の合図の元、全機がそれぞれの攻撃位置につき始めた。
艦爆隊は高度3000へ、水平爆撃隊は高度2500、そして戦闘機隊は高度を下げて、
一足先に大魔道院に突っかかっていく。
ワイルドキャットの1番機が、距離1000で両翼の小型爆弾を投下し、700で12.7ミリ機銃を撃つ。
発射炎を翼にきらめかせながら、500キロのスピードで飛び抜けていく。
ヘルキャットより一回り小ぶりで、酒樽に翼をくっつけたような格好だが、それでも俊敏な動きで対空砲火を避けていく。
1発90キロの重量を持つ爆弾が、機銃座の横の壁に命中し、破片と煙を巻き上げた。
そこに列機が爆弾を放ち、機銃をぶっ放す。
6本の火箭が機銃要員を絡めとってミンチに変えた後、1発の小型爆弾が命中した。
たちまち、さまざまな破片が吹き上げられ、機銃座は沈黙を余儀なくされた。
そのワイルドキャットに対して、別の機銃座が応戦するが、これまた新たなるワイルドキャットに
横合いから突っかかれ、これも沈黙させられてしまった。
第2次攻撃隊は60機のFM-2を伴っており、外周部の対空砲火は9割方が沈黙を余儀なくされ、
継戦側の対空陣地は壊滅してしまった。
「降下に移る!」
ヴィントス少佐は、操縦桿を倒して機首を下に向ける。
両翼のダイブブレーキが開かれ、急降下する際の甲高い音が、周囲に振りまかれ始めた。
高度計の針はぐるぐると回り続け、目の前に現れた巨大な城塞のような魔法施設が、ぐんぐん大きくなってくる。
数少ない対空機銃がヴィントス少佐のドーントレスに向けて撃たれるが、
もはや2、3丁の対空機銃でどうこうできるレベルではなかった。
少ない対空砲火をものともせずに、少佐のドーントレスは次第に投下高度に近づいてきた。
「高度1500・・・・1300・・・・1100」
高度計は下がり続ける。急降下に伴うGが体を締め付ける。
「800!」
「投下ぁ!」
ヴィントスは爆弾を投下した。
胴体から離れた1000ポンド爆弾は、大魔道院の数段窪んだ中央部のガラス部分に向かって吸い込まれていく。
魔法陣の一番西側で、呪文詠唱を行っていたペリコ・ワーロフは、甲高い音が極限に達した時、口を動かしながらも、
天井のガラス窓を見てみた。
天井のガラスは、赤白く曇っており、外の様子は余り見えないが、この時、何か小さな影が天井のガラス窓に写った。
(球体?)
ワーロフはそう思った。その直後、その黒い球体は、厚さ15センチの強化ガラスを叩き割って、内部に侵入してきた。
それは、爆弾であった。この大魔道院の天井に敷かれているガラスは、魔法補正で強化されており、相当頑丈である。
しかし、1000ポンド爆弾はその固いガラスをあっさりと突き破って、内部に侵入してきたのだ。
爆弾が、エンシェントドラゴンの実体化しつつある影を突き破って、ワイバーンロードの死体の中に突き刺さった、
と見た瞬間、ドーン!という爆発音が起こり、生贄の死体と血が、床の破片と共に周囲に飛び散った。
爆風はあっという間に、周囲を荒れ狂い、呪文詠唱をいっていた20名の魔道師は、全員が戦死してしまった。
「ああ・・・・・なんということじゃ!」
ヴィントス少佐は、操縦桿を倒して機首を下に向ける。
両翼のダイブブレーキが開かれ、急降下する際の甲高い音が、周囲に振りまかれ始めた。
高度計の針はぐるぐると回り続け、目の前に現れた巨大な城塞のような魔法施設が、ぐんぐん大きくなってくる。
数少ない対空機銃がヴィントス少佐のドーントレスに向けて撃たれるが、
もはや2、3丁の対空機銃でどうこうできるレベルではなかった。
少ない対空砲火をものともせずに、少佐のドーントレスは次第に投下高度に近づいてきた。
「高度1500・・・・1300・・・・1100」
高度計は下がり続ける。急降下に伴うGが体を締め付ける。
「800!」
「投下ぁ!」
ヴィントスは爆弾を投下した。
胴体から離れた1000ポンド爆弾は、大魔道院の数段窪んだ中央部のガラス部分に向かって吸い込まれていく。
魔法陣の一番西側で、呪文詠唱を行っていたペリコ・ワーロフは、甲高い音が極限に達した時、口を動かしながらも、
天井のガラス窓を見てみた。
天井のガラスは、赤白く曇っており、外の様子は余り見えないが、この時、何か小さな影が天井のガラス窓に写った。
(球体?)
ワーロフはそう思った。その直後、その黒い球体は、厚さ15センチの強化ガラスを叩き割って、内部に侵入してきた。
それは、爆弾であった。この大魔道院の天井に敷かれているガラスは、魔法補正で強化されており、相当頑丈である。
しかし、1000ポンド爆弾はその固いガラスをあっさりと突き破って、内部に侵入してきたのだ。
爆弾が、エンシェントドラゴンの実体化しつつある影を突き破って、ワイバーンロードの死体の中に突き刺さった、
と見た瞬間、ドーン!という爆発音が起こり、生贄の死体と血が、床の破片と共に周囲に飛び散った。
爆風はあっという間に、周囲を荒れ狂い、呪文詠唱をいっていた20名の魔道師は、全員が戦死してしまった。
「ああ・・・・・なんということじゃ!」
この突然の光景に、グールは絶望の表情を浮かべた。
次第に、実体化しつつあったエンシェントドラゴンの影が、ゆっくりと薄れていく。
だが、米艦爆の投弾は、その薄れていく間も惜しむように、第2弾が魔法陣の外側で着弾し、破片を吹き上げた。
爆風のあおりを受けたエンシェントドラゴンの影はこれによって綺麗さっぱり吹き飛ばされてしまった。
(恐ろしい事態になった・・・・・・エリラ様になんといえば!)
彼女は恐る恐る、エリラのいた方向を見る。視線を左に移すと。
そこには外側に続く下り階段しかなかった。
「エリラ様!殿下がおらぬ!」
その次の瞬間、グールの眼前に黒いものが落ちてきた。
そして次にズダーン!という鼓膜を破らんばかりの轟音と、炎が見えた。
老魔道師、アリフェル・グールが見た光景は、これが最後であった。
次第に、実体化しつつあったエンシェントドラゴンの影が、ゆっくりと薄れていく。
だが、米艦爆の投弾は、その薄れていく間も惜しむように、第2弾が魔法陣の外側で着弾し、破片を吹き上げた。
爆風のあおりを受けたエンシェントドラゴンの影はこれによって綺麗さっぱり吹き飛ばされてしまった。
(恐ろしい事態になった・・・・・・エリラ様になんといえば!)
彼女は恐る恐る、エリラのいた方向を見る。視線を左に移すと。
そこには外側に続く下り階段しかなかった。
「エリラ様!殿下がおらぬ!」
その次の瞬間、グールの眼前に黒いものが落ちてきた。
そして次にズダーン!という鼓膜を破らんばかりの轟音と、炎が見えた。
老魔道師、アリフェル・グールが見た光景は、これが最後であった。
艦爆隊が投弾した爆弾は、次々と中央部に命中し、黒煙を上げた。
今までにはなかった、火災炎があがる光景も見られる。
「やったぞ!敵の魔法施設から火の手が上がったぞ!」
「本当だ!攻撃が効いている!」
「イヤーッホウ!どうだ見たか!デカブツにプレゼントを叩き込んでやったぜ!」
攻撃隊搭乗員の喜びの声が、無線機から次々と入ってくる。
だが、攻撃はまだ終わってはいない。艦爆隊30機が投弾を終えると、今度はアベンジャー隊30機が現れる。
高度2500メートルの高さから、傷つき、黒煙を上げる大魔道院上空に向かう。
そして、上空に到達した瞬間、先頭の教導機から2発の500ポンド爆弾が投下された。
教導機が爆弾を投下したのを確認すると、残りのアベンジャー隊も爆弾を落とした。
巨大な魔法施設に、止めの500ポンド爆弾が叩きつけられ、次々と爆発光がきらめく。
その後に、土煙や建物の破片が吹き上がった。それは、誰もが望んでいた光景であった。
「こちらバスター1、敵施設の破壊を確認した。作戦は成功だ!」
アベンジャー隊の指揮官機は、高々と勝利宣言を下した。
今までにはなかった、火災炎があがる光景も見られる。
「やったぞ!敵の魔法施設から火の手が上がったぞ!」
「本当だ!攻撃が効いている!」
「イヤーッホウ!どうだ見たか!デカブツにプレゼントを叩き込んでやったぜ!」
攻撃隊搭乗員の喜びの声が、無線機から次々と入ってくる。
だが、攻撃はまだ終わってはいない。艦爆隊30機が投弾を終えると、今度はアベンジャー隊30機が現れる。
高度2500メートルの高さから、傷つき、黒煙を上げる大魔道院上空に向かう。
そして、上空に到達した瞬間、先頭の教導機から2発の500ポンド爆弾が投下された。
教導機が爆弾を投下したのを確認すると、残りのアベンジャー隊も爆弾を落とした。
巨大な魔法施設に、止めの500ポンド爆弾が叩きつけられ、次々と爆発光がきらめく。
その後に、土煙や建物の破片が吹き上がった。それは、誰もが望んでいた光景であった。
「こちらバスター1、敵施設の破壊を確認した。作戦は成功だ!」
アベンジャー隊の指揮官機は、高々と勝利宣言を下した。
ドドオオォォォーーーン・・・・・・・・・・
先程までいた大魔道院が、水平爆撃機の止めを受けて、煙に包まれていった。
煙の向こうには、弾火薬庫に誘爆を起こした外縁の壁が吹っ飛び、一部が崩れ去っていく様子が分かった。
「野望が・・・・・あたしの夢が・・・・・・・・」
大魔道院から密かに脱出していた。エリラ・バーマントは、南に700メートル離れたところからその一部始終を眺めていた。
彼女は、悔しさで一杯だった。実現可能と見込まれていた、エリラの国づくりは、もはや綺麗さっぱり吹き飛ばされてしまった。
「こうなった以上、もはや長居は無用ね。パスキ大尉。ここを離れるわ。」
「・・・・・・・」
パスキ大尉は、何かに打ちのめされたような表情で、継戦派の象徴最後の様子をずっと眺めていた。
「パスキ大尉。」
「あっ、なんでございましょうか。殿下。」
「ここを離れよう。ついてきて。」
「離れるといわれましても、どこに向かうのですか?」
「西に向かって、再起をはかるわ。」
そう言うなり、エリラは馬にまたがり、そのまま南に向かった。
パスキ大尉も後を追おうとする。
だが、後ろからグオオオーという飛空挺独特のエンジン音が聞こえてきた。
「は!」
驚いた彼は後ろを振り向く。
そこには、2機のFM-2ワイルドキャットが、猛スピードで彼に向かってきた。
それらは機銃弾を撃ってきた。
先程までいた大魔道院が、水平爆撃機の止めを受けて、煙に包まれていった。
煙の向こうには、弾火薬庫に誘爆を起こした外縁の壁が吹っ飛び、一部が崩れ去っていく様子が分かった。
「野望が・・・・・あたしの夢が・・・・・・・・」
大魔道院から密かに脱出していた。エリラ・バーマントは、南に700メートル離れたところからその一部始終を眺めていた。
彼女は、悔しさで一杯だった。実現可能と見込まれていた、エリラの国づくりは、もはや綺麗さっぱり吹き飛ばされてしまった。
「こうなった以上、もはや長居は無用ね。パスキ大尉。ここを離れるわ。」
「・・・・・・・」
パスキ大尉は、何かに打ちのめされたような表情で、継戦派の象徴最後の様子をずっと眺めていた。
「パスキ大尉。」
「あっ、なんでございましょうか。殿下。」
「ここを離れよう。ついてきて。」
「離れるといわれましても、どこに向かうのですか?」
「西に向かって、再起をはかるわ。」
そう言うなり、エリラは馬にまたがり、そのまま南に向かった。
パスキ大尉も後を追おうとする。
だが、後ろからグオオオーという飛空挺独特のエンジン音が聞こえてきた。
「は!」
驚いた彼は後ろを振り向く。
そこには、2機のFM-2ワイルドキャットが、猛スピードで彼に向かってきた。
それらは機銃弾を撃ってきた。
「うわあ!?」
彼は仰天しつつも、素早く左に飛び退いた。12.7ミリ機銃は、彼の代わりに馬を射殺した。
2機目の機銃掃射も、彼のすぐ右横を薙いでいった。
轟音を立てながら、2機の不恰好な戦闘機は、次の目標を捉えていた。
エリラは急な殺気を後ろに感じた。そして、聞きなれぬ飛行機のエンジン音も耳に飛び込んでくる。
「何!?」
振り返ると、2機のワイルドキャットが、両翼を発射炎に染めて向かってきた。
(避けなければ!)
彼女は咄嗟に、馬を右に向かせようとしたが、突然、背中の2箇所に激痛を感じ、腹と左胸から肉片と血しぶきが噴き出した。
「が・・・・はっ」
急な激痛が脳に危険信号を送り込む。口からごぽっと血を吐き出し、エリラは落馬した。
馬自身も、数発の機銃弾を叩き込まれ、即死していた。
グオオオーーーン!
轟音を上げながら、2機のワイルドキャットは飛び去っていった。
もはや、痛みが意識を占有し、まともに考える事が出来なかった。
(いた・・・い・・・・だれ・・・か・・・・・・たす・・・け・・・)
彼女の思考は止まった。エリラの開かれた双眸は、二度と光を宿す事はなかった。
パスキ大尉は、エリラが息絶えた直後に、傍らに走り寄ってきた。
血だまりに仰向けに倒れているエリラを見たとき、彼は自分の今の仕事が終わった事を、瞬時に悟った。
彼は仰天しつつも、素早く左に飛び退いた。12.7ミリ機銃は、彼の代わりに馬を射殺した。
2機目の機銃掃射も、彼のすぐ右横を薙いでいった。
轟音を立てながら、2機の不恰好な戦闘機は、次の目標を捉えていた。
エリラは急な殺気を後ろに感じた。そして、聞きなれぬ飛行機のエンジン音も耳に飛び込んでくる。
「何!?」
振り返ると、2機のワイルドキャットが、両翼を発射炎に染めて向かってきた。
(避けなければ!)
彼女は咄嗟に、馬を右に向かせようとしたが、突然、背中の2箇所に激痛を感じ、腹と左胸から肉片と血しぶきが噴き出した。
「が・・・・はっ」
急な激痛が脳に危険信号を送り込む。口からごぽっと血を吐き出し、エリラは落馬した。
馬自身も、数発の機銃弾を叩き込まれ、即死していた。
グオオオーーーン!
轟音を上げながら、2機のワイルドキャットは飛び去っていった。
もはや、痛みが意識を占有し、まともに考える事が出来なかった。
(いた・・・い・・・・だれ・・・か・・・・・・たす・・・け・・・)
彼女の思考は止まった。エリラの開かれた双眸は、二度と光を宿す事はなかった。
パスキ大尉は、エリラが息絶えた直後に、傍らに走り寄ってきた。
血だまりに仰向けに倒れているエリラを見たとき、彼は自分の今の仕事が終わった事を、瞬時に悟った。
午前7時15分 第5艦隊旗艦 戦艦ノースカロライナ
「攻撃隊より入電、我、敵施設の破壊を確認、これより帰投する。」
簡潔な報告が、アームストロング中佐によって知らされた。
「そうか。成功したか。」
スプルーアンス大将はうんうん頷きながら、カップに残されていたコーヒーを飲み干した。
「第6次攻撃隊の空襲が失敗したときはどうなるかと思いましたが、これで安心できます。」
レイムも顔をほころばせながら言ってきた。
「マリアナから発せられた邪気は、先程、完全に止まりました。
もはや、召喚儀式は行われていないと思われます。」
「まだ安心できないさ。日没まで少しばかり時間がある。それまで待ってみよう。」
それから15分後、日は完全に落ちた。
艦隊の将兵達は、何も変わらぬ事を祈った。そして、その祈りは通じた。
「変化なしか・・・・・・・作戦成功だな。」
長かった一日が、ようやく終わりを告げたのである。
護衛空母部隊は、240機の搭載機数を持って、攻撃を強行した。
その判断は、米艦隊を、もとい、世界を救う事になった。
護衛空母部隊は、報告では1機のF6Fと、2機のワイルドキャットを失い、12機が被弾したものの、
対空砲、魔法施設の破壊と敵の将軍1名を機銃掃射で射殺したと伝えられている。
敵の将軍を射殺したのは、カリーニン・ベイのワイルドキャット2機である。
現時点では、退避中にワイルドキャットに見つかって、先の通りになったと判断された。
「これで、作戦は終了ですね。」
デイビス少将はそう言ったが、スプルーアンスは首を横に振った。
「まだだ。」
スプルーアンスは、いつもと変わらぬ怜悧な表情で言い放った。
「仕事が残っている。」
「と、言われますと・・・・・・」
「戦士達を迎え入れるのだ。」
「攻撃隊より入電、我、敵施設の破壊を確認、これより帰投する。」
簡潔な報告が、アームストロング中佐によって知らされた。
「そうか。成功したか。」
スプルーアンス大将はうんうん頷きながら、カップに残されていたコーヒーを飲み干した。
「第6次攻撃隊の空襲が失敗したときはどうなるかと思いましたが、これで安心できます。」
レイムも顔をほころばせながら言ってきた。
「マリアナから発せられた邪気は、先程、完全に止まりました。
もはや、召喚儀式は行われていないと思われます。」
「まだ安心できないさ。日没まで少しばかり時間がある。それまで待ってみよう。」
それから15分後、日は完全に落ちた。
艦隊の将兵達は、何も変わらぬ事を祈った。そして、その祈りは通じた。
「変化なしか・・・・・・・作戦成功だな。」
長かった一日が、ようやく終わりを告げたのである。
護衛空母部隊は、240機の搭載機数を持って、攻撃を強行した。
その判断は、米艦隊を、もとい、世界を救う事になった。
護衛空母部隊は、報告では1機のF6Fと、2機のワイルドキャットを失い、12機が被弾したものの、
対空砲、魔法施設の破壊と敵の将軍1名を機銃掃射で射殺したと伝えられている。
敵の将軍を射殺したのは、カリーニン・ベイのワイルドキャット2機である。
現時点では、退避中にワイルドキャットに見つかって、先の通りになったと判断された。
「これで、作戦は終了ですね。」
デイビス少将はそう言ったが、スプルーアンスは首を横に振った。
「まだだ。」
スプルーアンスは、いつもと変わらぬ怜悧な表情で言い放った。
「仕事が残っている。」
「と、言われますと・・・・・・」
「戦士達を迎え入れるのだ。」
「やべえ、すっかり陽が落ちてしまったな。」
ヴィントス少佐は、しかめっ面になってそう呟いた。
「ひよっこ共は夜間着艦を行ったためしがないからな。」
護衛空母から発艦した攻撃隊は、別の脅威に見舞われていた。
それは、難しいとされる、母艦への着艦である。
既に燃料の大部分を食い尽くした攻撃隊は、このまま第52任務部隊までは戻れそうにないため、
第58任務部隊のほうで一旦収容してもらう事になっている。
だが、夜という意外な強敵が、彼らを苦悩させる事となった。
着艦は昼間でも結構難しいのに、夜になると難易度は倍加する。
ヴィントス少佐はベテランパイロットであり、夜間着艦も経験がある。
だが、技量未熟なパイロット達にはとても難しい課題である。
「着艦事故でも起こしたら事だからな~。」
少佐は正直、参ったと思った。
「自身の無いものには、不時着水でもさせて寮艦に拾ってもらおうか?」
彼は本気でそう思い始めたとき、第58任務部隊が見えてきた。
だが、彼はある光景を見て、途端に胸が熱くなった。
第58任務部隊の各空母は、それぞれが飛行甲板をライトアップさせていた。
それは遠くから見ても明らかであった。
スプルーアンスは、夜間の着艦を成功させるために、各空母に探照灯で飛行甲板を照射せよと命じた。
そして、攻撃隊がレーダーに映ると、直ちに各艦艇が、一斉に探照灯で空母を照らした。
既に、第1次攻撃隊の大半が、第1、第2任務群の空母に降り立っている。
「こちらは空母レキシントンだ。今から君達を収容する。まずタフィ1は第3群、タフィ2は第4群に向かってくれ。」
「OK。君達の好意に感謝する。」
ヴィントス少佐は、しかめっ面になってそう呟いた。
「ひよっこ共は夜間着艦を行ったためしがないからな。」
護衛空母から発艦した攻撃隊は、別の脅威に見舞われていた。
それは、難しいとされる、母艦への着艦である。
既に燃料の大部分を食い尽くした攻撃隊は、このまま第52任務部隊までは戻れそうにないため、
第58任務部隊のほうで一旦収容してもらう事になっている。
だが、夜という意外な強敵が、彼らを苦悩させる事となった。
着艦は昼間でも結構難しいのに、夜になると難易度は倍加する。
ヴィントス少佐はベテランパイロットであり、夜間着艦も経験がある。
だが、技量未熟なパイロット達にはとても難しい課題である。
「着艦事故でも起こしたら事だからな~。」
少佐は正直、参ったと思った。
「自身の無いものには、不時着水でもさせて寮艦に拾ってもらおうか?」
彼は本気でそう思い始めたとき、第58任務部隊が見えてきた。
だが、彼はある光景を見て、途端に胸が熱くなった。
第58任務部隊の各空母は、それぞれが飛行甲板をライトアップさせていた。
それは遠くから見ても明らかであった。
スプルーアンスは、夜間の着艦を成功させるために、各空母に探照灯で飛行甲板を照射せよと命じた。
そして、攻撃隊がレーダーに映ると、直ちに各艦艇が、一斉に探照灯で空母を照らした。
既に、第1次攻撃隊の大半が、第1、第2任務群の空母に降り立っている。
「こちらは空母レキシントンだ。今から君達を収容する。まずタフィ1は第3群、タフィ2は第4群に向かってくれ。」
「OK。君達の好意に感謝する。」
ヴィントス少佐は弾んだ口調で応答した。
やがて、タフィ1の60機は、ライトアップされた第4群のもとに到達した。
第4群には空母エセックスと、軽空母のカウペンス、ラングレーおり、
それらはいずれも自艦と寮艦の探照灯で、飛行甲板を照らしていた。
セント・ロー隊はエセックスに収容されることになった。
まず、燃料の乏しいワイルドキャットが先に飛行甲板に滑り込んでいく。
6機が無事に着艦を終えると、今度はヴィンクス少佐の番になった。
少佐はエセックスの後方に出ると、機首を艦尾に向けた。
いくらベテランといえども、着艦には神経を使う。
徐々にだが、エセックスの飛行甲板が近づいてくる。
エンジンを絞り、左右のラダーで舵を調整し、適正針路にドーントレスを載せていく。
「速度が速い。少し落とせ。」
「了解」
航空管制官の指示に従い、さらにスロットルを絞る。エセックスの広い飛行甲板が迫ってくる。
だが、ヴィントスは広さ、狭さなどどうでもいいと思っている。
ただひたすら、着艦させることに集中し続ける。飛行甲板が広いといって、油断したら非常に危ない。
油断せずに、彼はドーントレスをその飛行甲板に導く。脚を出す。スロットルをさらに絞る。
高度をゆっくりと下げる。
次第に動悸が激しくなってくる。こういう時に限って、不吉な事が思いをよぎる。
畜生、人間という生き物は、デリケートなものだな。少佐は内心でそう呟く。
「速度、進入位置、適正。」
やがて、機首の下に飛行甲板の端が完全に隠れた、と思った瞬間、彼の機体は両脚がエセックスの飛行甲板を踏みしめた。
着艦フックに引っ掛かり、ドーントレスは急減速する。
やがて、ドーントレスは飛行甲板上に停止した。
やがて、タフィ1の60機は、ライトアップされた第4群のもとに到達した。
第4群には空母エセックスと、軽空母のカウペンス、ラングレーおり、
それらはいずれも自艦と寮艦の探照灯で、飛行甲板を照らしていた。
セント・ロー隊はエセックスに収容されることになった。
まず、燃料の乏しいワイルドキャットが先に飛行甲板に滑り込んでいく。
6機が無事に着艦を終えると、今度はヴィンクス少佐の番になった。
少佐はエセックスの後方に出ると、機首を艦尾に向けた。
いくらベテランといえども、着艦には神経を使う。
徐々にだが、エセックスの飛行甲板が近づいてくる。
エンジンを絞り、左右のラダーで舵を調整し、適正針路にドーントレスを載せていく。
「速度が速い。少し落とせ。」
「了解」
航空管制官の指示に従い、さらにスロットルを絞る。エセックスの広い飛行甲板が迫ってくる。
だが、ヴィントスは広さ、狭さなどどうでもいいと思っている。
ただひたすら、着艦させることに集中し続ける。飛行甲板が広いといって、油断したら非常に危ない。
油断せずに、彼はドーントレスをその飛行甲板に導く。脚を出す。スロットルをさらに絞る。
高度をゆっくりと下げる。
次第に動悸が激しくなってくる。こういう時に限って、不吉な事が思いをよぎる。
畜生、人間という生き物は、デリケートなものだな。少佐は内心でそう呟く。
「速度、進入位置、適正。」
やがて、機首の下に飛行甲板の端が完全に隠れた、と思った瞬間、彼の機体は両脚がエセックスの飛行甲板を踏みしめた。
着艦フックに引っ掛かり、ドーントレスは急減速する。
やがて、ドーントレスは飛行甲板上に停止した。