午後4時30分 オルフォリゲンスク
「帰ってきたぞ!」
基地の作業員が指を指して叫んだ。
その声は基地全体に響き渡った。東の空から、30の黒い粒が基地に向かってくる。
「帰ってきたぞ!」
基地の作業員が指を指して叫んだ。
その声は基地全体に響き渡った。東の空から、30の黒い粒が基地に向かってくる。
「クランベリン隊の帰還か。」
木造の指揮所からこの黒い粒を見た初老の基地司令が呟く。
「基地司令、なぜクランベリン隊をマリアナではなく、ヌーメアに向かわせたのだね?」
椅子に座り、テーブルに足をのせている男が横柄そうな口調で聞いてきた。
「ヴァルケリン閣下。600キロ以上のスピードが出る敵艦載機に、420キロしかスピードの
出せないワイバーンロードが勝てるとお思いでしょうか?」
「勝てないまでも、負けることはなかろうが。それに、敵の高速飛空挺を狙わずに攻撃用飛空挺を狙えばよいだろう。」
出せないワイバーンロードが勝てるとお思いでしょうか?」
「勝てないまでも、負けることはなかろうが。それに、敵の高速飛空挺を狙わずに攻撃用飛空挺を狙えばよいだろう。」
ヴァルケリン公爵はそう言い放つ。
彼は1時間前にこの基地に来て、エリラ・バーマントのいる魔法都市マリアナ護衛に、ワイバーンロードを差し向けたらどうか?
と、基地司令に提案しに来た。
ヴァルケリンは公爵という爵位を持つ貴族であるが、同時に継戦派ナンバー2でもある。
彼は公爵であると同時に、騎士大将の階級も有している貴族軍人であり、革命前にはグランスボルグ方面軍の司令官であった。
体格はがっしりしており、顔つきは武人そのものである。
ただ、人のやることにあれこれ指図する事が多く、軍の中、いや、貴族の中でも彼を敵視するものは多い。
しかし、彼が来た時には、ワイバーンロードは12騎しかいなかった。
クランベリン隊が帰還した今では、数も増えるから、彼は再びワイバーンロードを総力出撃させて、マリアナ攻撃に
出張ってくる敵艦載機を迎え撃っては?と言う言葉が口から出かかっている。
彼は1時間前にこの基地に来て、エリラ・バーマントのいる魔法都市マリアナ護衛に、ワイバーンロードを差し向けたらどうか?
と、基地司令に提案しに来た。
ヴァルケリンは公爵という爵位を持つ貴族であるが、同時に継戦派ナンバー2でもある。
彼は公爵であると同時に、騎士大将の階級も有している貴族軍人であり、革命前にはグランスボルグ方面軍の司令官であった。
体格はがっしりしており、顔つきは武人そのものである。
ただ、人のやることにあれこれ指図する事が多く、軍の中、いや、貴族の中でも彼を敵視するものは多い。
しかし、彼が来た時には、ワイバーンロードは12騎しかいなかった。
クランベリン隊が帰還した今では、数も増えるから、彼は再びワイバーンロードを総力出撃させて、マリアナ攻撃に
出張ってくる敵艦載機を迎え撃っては?と言う言葉が口から出かかっている。
「お言葉ですが閣下、敵編隊の半分、最低3分の1は高速飛空挺で埋まっています。
その最低の3分の1でも、およそ50機があの白星の悪魔で編成されているのです。
それに対して、ワイバーンロードは何騎だと思いますか?42・・・・・・たったの42騎です。」
「42でも充分だ。少し休養したらすぐに再出撃させるのだ。」
「昨日の決戦の詳細はあなたもご存知の筈だ。600のうち、160機は新開発の高速飛空挺で出撃し、
敵高速飛空挺多数をひきつける事が出来ました。しかし、160出撃した戦闘飛空挺は、わずか40機しか帰還していません。
それに、航空基地に残した60機の高速飛空挺も、白星の悪魔によってほとんど撃ち落されています。そんな中に、
ワイバーンロードを突っ込ませて幾つの時間が稼げると思いますか?」
「機動性においては、ワイバーンロードのほうが遥かに上だ。」
「戦闘飛空挺もその筈だったのに、あっさりと撃ち落されたではないですか。」
「出来る!いくらあの蛮族共に性能が劣るとはいえ、ワイバーンロードと操る竜騎士達はいずれもベテランだぞ!」
その最低の3分の1でも、およそ50機があの白星の悪魔で編成されているのです。
それに対して、ワイバーンロードは何騎だと思いますか?42・・・・・・たったの42騎です。」
「42でも充分だ。少し休養したらすぐに再出撃させるのだ。」
「昨日の決戦の詳細はあなたもご存知の筈だ。600のうち、160機は新開発の高速飛空挺で出撃し、
敵高速飛空挺多数をひきつける事が出来ました。しかし、160出撃した戦闘飛空挺は、わずか40機しか帰還していません。
それに、航空基地に残した60機の高速飛空挺も、白星の悪魔によってほとんど撃ち落されています。そんな中に、
ワイバーンロードを突っ込ませて幾つの時間が稼げると思いますか?」
「機動性においては、ワイバーンロードのほうが遥かに上だ。」
「戦闘飛空挺もその筈だったのに、あっさりと撃ち落されたではないですか。」
「出来る!いくらあの蛮族共に性能が劣るとはいえ、ワイバーンロードと操る竜騎士達はいずれもベテランだぞ!」
いきなりヴァルケリンは怒声を発した。
しかし、それにたじろぐことなく、基地司令、ゼルネスト・パルンク騎士中将は冷静に言葉を続けた。
しかし、それにたじろぐことなく、基地司令、ゼルネスト・パルンク騎士中将は冷静に言葉を続けた。
「確かに・・・・・確かにそうです。出撃させれば、何らかの戦果は上げるでしょう。」
「その通りだ。だから出撃する必要がある。」
「戦果を上げるだけです。そして、その後は多量の敵飛空挺に押し捲られるだけです。」
「その通りだ。だから出撃する必要がある。」
「戦果を上げるだけです。そして、その後は多量の敵飛空挺に押し捲られるだけです。」
彼は数枚の紙を取り出した。それをヴァルケリンに放り投げる。
「アメリカ軍の機動部隊は、早朝から8時間、たった8時間で何機の飛空挺を繰り出している思いますか?」
彼は上官であるヴァルケリンに憤りの表情を浮かべる。その気迫に、ヴァルケリンはややたじろいだ。
「1000機。1000機ですよ!?それに対して、こっちに残っているのは、第68空中騎士旅団の
ワイバーンロード42騎のみ。これでは戦争になりません。」
ワイバーンロード42騎のみ。これでは戦争になりません。」
パルンク中将は窓のほうに姿勢を向ける。
先頭のワイバーンロードが、翼を羽ばたかせて、ゆっくりと地上に降りてきた。
先頭のワイバーンロードが、翼を羽ばたかせて、ゆっくりと地上に降りてきた。
「例え、42騎が1機ずつ、いや、10機ずつの敵を落としても、敵には何の打撃になりません。」
彼は振り向いて、人差し指を上向きに伸ばした。
「これでは、洪水を指一本で阻めと言っているのと同じですよ。」
彼の言葉に、ヴァルケリンは顔を真っ赤に染めた。
「・・・・・・それじゃあ、他にどんな方法があるのだね?」
「私の考えはこうです。」
彼は地図をテーブルに置いて説明を始めた。
「私の考えはこうです。」
彼は地図をテーブルに置いて説明を始めた。
「今現在。我が空中旅団は、革命軍の攻撃を続行しています。ちなみに、今回出撃してきた敵機動部隊ですが、
閣下もご存知の通り、敵は相変わらず、空母10隻以上を伴う大機動部隊です。現状ではこのワイバーンロードを
向かわせても航続距離が届きませんし、届いたとしても大量の敵飛空挺に食われるのがオチです。それよりかは、
敵機動部隊が2~3隻の空母部隊に減り、そして陸地に近寄れば、なんとか攻撃ができるでしょう。」
「敵機動部隊か・・・・・・あ奴らはあの空母という味気もない軍艦の使い方がうまいからな。厄介なものだ。」
「しかし、私が本来攻撃すべきと思うのはこの機動部隊ではありません。敵艦隊の後方には上陸部隊を乗せた輸送船団がいます。
敵がマリアナに地上軍を投入するのは、ここ数日の行動で明らかです。私としては、地上部隊を上陸させ、それを護衛する敵飛空挺の交代の合間を縫って、
ワイバーンロードを投入してはどうかと思うのです。あるいは、夜間に停泊している敵輸送船団にワイバーンロードを突っ込ませて、
積まれている物資ごと、焼き払うという作戦も考えております。」
閣下もご存知の通り、敵は相変わらず、空母10隻以上を伴う大機動部隊です。現状ではこのワイバーンロードを
向かわせても航続距離が届きませんし、届いたとしても大量の敵飛空挺に食われるのがオチです。それよりかは、
敵機動部隊が2~3隻の空母部隊に減り、そして陸地に近寄れば、なんとか攻撃ができるでしょう。」
「敵機動部隊か・・・・・・あ奴らはあの空母という味気もない軍艦の使い方がうまいからな。厄介なものだ。」
「しかし、私が本来攻撃すべきと思うのはこの機動部隊ではありません。敵艦隊の後方には上陸部隊を乗せた輸送船団がいます。
敵がマリアナに地上軍を投入するのは、ここ数日の行動で明らかです。私としては、地上部隊を上陸させ、それを護衛する敵飛空挺の交代の合間を縫って、
ワイバーンロードを投入してはどうかと思うのです。あるいは、夜間に停泊している敵輸送船団にワイバーンロードを突っ込ませて、
積まれている物資ごと、焼き払うという作戦も考えております。」
なるほど・・・・・敢えて弱敵を狙うか。」
「敵も所詮は人間です。敵機動部隊や高速飛空挺に立ち向かうとなると、かなり厳しいですが、
このような相手ならば、ワイバーンロードも十二分に暴れ回れます。」
「生贄用に多数徴発されたのは痛かったな。」
「敵も所詮は人間です。敵機動部隊や高速飛空挺に立ち向かうとなると、かなり厳しいですが、
このような相手ならば、ワイバーンロードも十二分に暴れ回れます。」
「生贄用に多数徴発されたのは痛かったな。」
ヴァルケリンは顔をしかめて言う。
「しかし、逆らえば死罪でした。それに、エリラ殿下の切り札は未だに健在です。」
「おお、そうであったな。大魔道院がやられたとの報告は未だに入って来てないしな。
まだ希望はある。軍人と言うものは常に最悪の想定もせねばならぬが、今は大魔道院が耐えるのを待つしかない。」
「おお、そうであったな。大魔道院がやられたとの報告は未だに入って来てないしな。
まだ希望はある。軍人と言うものは常に最悪の想定もせねばならぬが、今は大魔道院が耐えるのを待つしかない。」
神妙な面持ちで、ヴァルケリンは呟いた。ふと、外が何故か騒がしくなった。
ブレスが逃げ惑う人間達を飲み込んだ、と見た直後には、10は下らない人の形をした炎の塊が激しく動き回り、すぐに倒れて止まった。
家にワイバーンロードの降りかかると、たちまち黒煙を吹き上げて炎上し始める。
まるで悪夢を見ているかのようだった。
今自分達が攻撃してきた場所は、ヌーメアと呼ばれる町であり、“軍事施設ではない”
そう、一般住民が住む、のんびりとした雰囲気の町であった
そこを、30騎のワイバーンロードが襲撃したのである。
作戦目的は、革命軍の補給地であるヌーメアを捜索し、殲滅すること。
本来ならば、軍事施設があるはずなのに、ヌーメアには主に小ぢんまりとした町しかなかった。
だが、あろう事か。クランベリン隊長は無警告で町を焼き払ったのだ。
家にワイバーンロードの降りかかると、たちまち黒煙を吹き上げて炎上し始める。
まるで悪夢を見ているかのようだった。
今自分達が攻撃してきた場所は、ヌーメアと呼ばれる町であり、“軍事施設ではない”
そう、一般住民が住む、のんびりとした雰囲気の町であった
そこを、30騎のワイバーンロードが襲撃したのである。
作戦目的は、革命軍の補給地であるヌーメアを捜索し、殲滅すること。
本来ならば、軍事施設があるはずなのに、ヌーメアには主に小ぢんまりとした町しかなかった。
だが、あろう事か。クランベリン隊長は無警告で町を焼き払ったのだ。
ワイバーンロードが地上に接地した。竜騎士であるドラース・ヴァルス騎士大尉は機嫌が悪かった。
顔は若く、あどけない感じがする美男子であるが、その顔は黒煙で煤けている。
顔は若く、あどけない感じがする美男子であるが、その顔は黒煙で煤けている。
しかし、この年で彼は32歳になる。
顔と年齢が合ってないように思えるため、仲間内からは学生というあだ名をもらっている。
彼はワイバーンロードから降りると、甲冑を脱いでそのままある人物に会った。
顔と年齢が合ってないように思えるため、仲間内からは学生というあだ名をもらっている。
彼はワイバーンロードから降りると、甲冑を脱いでそのままある人物に会った。
「どうした学生?」
「あんた正気か?隊長さんよ。」
「?いきなりどうしたんだ、大尉。」
「あんた正気か?隊長さんよ。」
「?いきなりどうしたんだ、大尉。」
むっとなったクランベリン少佐は大尉と言う言葉の語調を特に強くして発する。
「どうしたもこうしたもない。なぜ、満足に調べずに町を焼いたんだ?」
「あそこの町は敵に協力していたんだぞ?ならばヌーメアの奴らは敵しかいない。」
「無抵抗の人間が敵なのか?」
「そうだ。」
「狂ってるぜ。」
「あそこの町は敵に協力していたんだぞ?ならばヌーメアの奴らは敵しかいない。」
「無抵抗の人間が敵なのか?」
「そうだ。」
「狂ってるぜ。」
ヴァルス大尉は苦々しそうに呟く。
「エリラ・バーマント殿下の言葉を忘れたのか?敵は残らず殺せ、と。」
「聞いたともさ。だが、あれは戦闘員限定ではないのか?」
「敵に戦闘員も市民も関係あるか。ちょっとどいてくれ。基地司令に今日の戦闘の報告をしてくる。」
「何が戦闘だ!あれはただの虐殺じゃないか!!!!!」
「聞いたともさ。だが、あれは戦闘員限定ではないのか?」
「敵に戦闘員も市民も関係あるか。ちょっとどいてくれ。基地司令に今日の戦闘の報告をしてくる。」
「何が戦闘だ!あれはただの虐殺じゃないか!!!!!」
いきなりの大声に、誰もが彼のほうに振り向いた。
「あんなの戦闘じゃねえ。戦闘と言うのは、敵と命を奪い合ったりするものだ。
それに対して、今日の行動は、ただ身動きの取れない一般市民を焼き殺したり、町の奴らを見つけ出して
一方的に斬殺しただけだ!それを戦闘と呼ぶあんたは狂ってる!」
「野郎・・・・・・言わせておけば!」
それに対して、今日の行動は、ただ身動きの取れない一般市民を焼き殺したり、町の奴らを見つけ出して
一方的に斬殺しただけだ!それを戦闘と呼ぶあんたは狂ってる!」
「野郎・・・・・・言わせておけば!」
クランベリン少佐は唸るようにそう言うと、いきなりの肩を掴んだ。
その直後、ヴァルス大尉は肩を掴む左腕を払うと、顔面にパンチを見舞う。
その直後、ヴァルス大尉は肩を掴む左腕を払うと、顔面にパンチを見舞う。
「ぐ!・・・・・・貴様ぁ!」
よろけたクランベリン少佐は、すぐに体制を立て直して彼に掴みかかってきた。
少佐はヴァルス大尉に体当たりをかまそうとしたが、大尉は左によけて少佐の体当たりをかわす。
だがその直後、少佐は姿勢を捻った瞬間に右足で回し蹴りを繰り出した。これは大尉の背中に当たった。
蹴りに吹っ飛ばされたヴァルスは、地面にうつ伏せに倒れた。そこに、少佐がやってきて、大尉の長い前髪を引っ張って顔を上げた。
少佐はヴァルス大尉に体当たりをかまそうとしたが、大尉は左によけて少佐の体当たりをかわす。
だがその直後、少佐は姿勢を捻った瞬間に右足で回し蹴りを繰り出した。これは大尉の背中に当たった。
蹴りに吹っ飛ばされたヴァルスは、地面にうつ伏せに倒れた。そこに、少佐がやってきて、大尉の長い前髪を引っ張って顔を上げた。
「お前は昔からの仲間だったが、さっきの言葉を聞いて見損なったぞ。」
「あんたのやった事は犯罪だ。告発してやる。」
「まだ!分からんのか!今は戦争なんだ!いつまでも理想論を言いまくるんじゃない。目覚ませ!!」
「あんたのやった事は犯罪だ。告発してやる。」
「まだ!分からんのか!今は戦争なんだ!いつまでも理想論を言いまくるんじゃない。目覚ませ!!」
その時、
「貴様達何をしとる!」
いきなり基地司令の声が聞こえた。見ると、基地司令のパルンク中将が走り寄ってくる。
2人はすぐに立ち上がって、直立不動の態勢を取った。
2人はすぐに立ち上がって、直立不動の態勢を取った。
「喧嘩か?」
にじり寄って来たパルンク中将が、2人を睨み据える。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
2人は黙って何もいわない。
「まあ、見ていたから聞かないでも分かるがな。だが、これを見過ごすということは出来んぞ。
お前たち2人は隊を引っ張っていくベテランだ。そのお前たちが何が理由か知らんが、喧嘩をするとは、私はつくづく情けない。」
お前たち2人は隊を引っ張っていくベテランだ。そのお前たちが何が理由か知らんが、喧嘩をするとは、私はつくづく情けない。」
その時、大尉は今日、クランベリンらが行った蛮行を告発しようと、口を開きかけた。
「閣下!」
だが、口を開いたのはクランベリンが先であった。
「どうして我々をマリアナへ向かわせなかったのでありますか?」
「必要ないと判断したからだ。」
「なぜです!?我々は敵飛空挺と充分にやり合えます!それに、大尉と喧嘩したのも、マリアナに向かうかどうかで
議論になり、それが高じて先のようになったのです。閣下、我々はいつでも死ぬ覚悟はできています。」
「敵機動部隊は既に1000機の艦載機を送り出してきている。1000機だぞ?お前たちにはこの数字がどれだけのものか分かるか?」
「その気になれば、敵の10や20ぐらい叩き落とせます!」
「その言葉は、自分達が乗っているものの性能を見てから言う事だ。」
「必要ないと判断したからだ。」
「なぜです!?我々は敵飛空挺と充分にやり合えます!それに、大尉と喧嘩したのも、マリアナに向かうかどうかで
議論になり、それが高じて先のようになったのです。閣下、我々はいつでも死ぬ覚悟はできています。」
「敵機動部隊は既に1000機の艦載機を送り出してきている。1000機だぞ?お前たちにはこの数字がどれだけのものか分かるか?」
「その気になれば、敵の10や20ぐらい叩き落とせます!」
「その言葉は、自分達が乗っているものの性能を見てから言う事だ。」
その言葉に、クランベリンのみならず、ヴァルスも気が重くなった。
「要するに、現状では敵機動部隊や敵艦載機とは戦闘を行ってはいけないと言う事だ。
それに、希望はまだある。大魔道院が日没までに破壊されなければ、もはやあの忌々しい
艦隊とも戦う事もなくなる。後は生き残った革命軍の連中を虱潰しに探すだけだ。」
それに、希望はまだある。大魔道院が日没までに破壊されなければ、もはやあの忌々しい
艦隊とも戦う事もなくなる。後は生き残った革命軍の連中を虱潰しに探すだけだ。」
彼の目が光った。
「今はこれまで通りの作戦を行う。その際、貴様らのやった事は問わない。」
その言葉に、ヴァルスははっとなった。
「ヴァルス・・・・・・君は配属されてまだ1ヶ月だ。色々見てきて、言い分もあるだろう。
しかし、貴様も他の隊で充分に暴れまわった猛者だろう?つらい事は我慢しなければならない。」
「司令!自分としては」
「告発・・・・・したいのだな?クランベリンを。」
「!?」
「顔にはっきりと書いてある。だが、俺はクランベリンを告発する気など、さらさら無い。
中部辺りで“優しい騎士道”を吹き込まれたのだろうが、ここはそんなもの必要ない。」
その言葉に、ヴァルスははっとなった。
「ヴァルス・・・・・・君は配属されてまだ1ヶ月だ。色々見てきて、言い分もあるだろう。
しかし、貴様も他の隊で充分に暴れまわった猛者だろう?つらい事は我慢しなければならない。」
「司令!自分としては」
「告発・・・・・したいのだな?クランベリンを。」
「!?」
「顔にはっきりと書いてある。だが、俺はクランベリンを告発する気など、さらさら無い。
中部辺りで“優しい騎士道”を吹き込まれたのだろうが、ここはそんなもの必要ない。」
ヴァルスは体に戦慄が走った。
「ここで生きるには、それは捨てたほうがいいぞ。敵に兵隊も住民もない。
敵と決めたら敵。それがここのやり方だ。そして、それが効果的なやり方だ。」
敵と決めたら敵。それがここのやり方だ。そして、それが効果的なやり方だ。」
パルンクはポンと、彼の右肩に手を置いた。
「これのほうが、いちいち時間をかける必要が無いのだよ。作戦は早急にやるべき。エリラ・バーマント殿下もそう言っていただろう?」
他の地上勤務員や、竜騎士達の冷たい視線が彼に集まる。
「だ・・・・だからといって」
「話はそこまでだ。とにかく、貴様らに言っておく。決して、勝手にマリアナへ進出することのないように!
それを破ろうとした者には容赦なく、檻にぶち込んでやる。」
「話はそこまでだ。とにかく、貴様らに言っておく。決して、勝手にマリアナへ進出することのないように!
それを破ろうとした者には容赦なく、檻にぶち込んでやる。」
パルンクは皆に聞こえるように、大声で言い放った。
孤立無援を感じ取ったヴァルスに、その言葉は入らなかった。
孤立無援を感じ取ったヴァルスに、その言葉は入らなかった。
ふと、男が視線を止める。彼はマッキャンベル中佐を見ていた。
「あなたが墜落した飛空挺のパイロットかね?」
「そうであります。マッキャンベル。デイビット・マッキャンベル中佐です。」
「私はイルクラ・ガルファン。階級は少将だ。君のお仲間が迎えに来るまで、我々が保護する。
短い期間だが、よろしく頼むよ。」
「そうであります。マッキャンベル。デイビット・マッキャンベル中佐です。」
「私はイルクラ・ガルファン。階級は少将だ。君のお仲間が迎えに来るまで、我々が保護する。
短い期間だが、よろしく頼むよ。」
ガルファンは笑みを浮かべながら、中佐の肩を叩いた。
ガルファンの体格は大きく、身長は190センチあり、体つきはがっしりとしている。
顔つきはいかつく、右頬に痛々しい傷跡がある。しかし、どことなく頼れる親父というイメージが強い。
ガルファンの体格は大きく、身長は190センチあり、体つきはがっしりとしている。
顔つきはいかつく、右頬に痛々しい傷跡がある。しかし、どことなく頼れる親父というイメージが強い。
「任務ご苦労であった。そういえば、1時間前に朗報が入ってきた。アメリカ軍の空襲が成功した。
空襲は早朝から日没直前まで続けられ、6時過ぎに大魔道院が爆発、崩壊したとの情報が入っている。」
空襲は早朝から日没直前まで続けられ、6時過ぎに大魔道院が爆発、崩壊したとの情報が入っている。」
それを聞いた瞬間、マッキャンベル中佐は内心大いに喜んだ。
日没を過ぎる時、彼はエンシェントドラゴンが上空から飛んできて、業火で全てを焼き払ってしまうのではないか?という思いがあった。
もしかして、既に第5艦隊は壊滅しているかもしれない。
今頃はドラゴンが各地を暴れ回っているかもしれないと思ったが、日没を過ぎても、周りには何の変化も無かった。
恐らく、作戦は成功したのだろう。
マッキャンベルは内心確信していたが、改めて聞かされると、嬉しさがこみ上げてきた。
日没を過ぎる時、彼はエンシェントドラゴンが上空から飛んできて、業火で全てを焼き払ってしまうのではないか?という思いがあった。
もしかして、既に第5艦隊は壊滅しているかもしれない。
今頃はドラゴンが各地を暴れ回っているかもしれないと思ったが、日没を過ぎても、周りには何の変化も無かった。
恐らく、作戦は成功したのだろう。
マッキャンベルは内心確信していたが、改めて聞かされると、嬉しさがこみ上げてきた。
「そうか・・・・・機動部隊はやってくれたか。」
「やってくれたから、我々はこうしているんでしょう?」
「やってくれたから、我々はこうしているんでしょう?」
オイルエンが、人懐こい笑みを浮かべて言う。
「あんた達、アメリカ人のお陰だな。」
マッキャンベルの前に、木造りのカップが右横から差し出された。
オイルエン大尉のチームのメンバーである小太りの髭面男が、彼に酒を渡そうとしていた。
オイルエン大尉のチームのメンバーである小太りの髭面男が、彼に酒を渡そうとしていた。
「受け取って下さい。いい酒ですぜ。」
「あっ、ああ。すまない。」
「あっ、ああ。すまない。」
彼は少し戸惑ってから、カップを受け取る。
「ここに辿り着くまでに、いつエンシェントドラゴンに丸焼きにされるかと、
内心肝を冷やしていましたが、これでぐっすりと寝れそうですぜ。」
そう言って、髭面男は豪快な笑い声を上げた。
「そうだな。まだ戦いは完全に終わったわけではないが、これで継戦派の連中に深いダメージを与えたわけだ。
諸君、あと少しの辛抱だぞ。」
ガルファンは弾けた様な口調でそう言った。
「隠れまわるのも、あと幾日のみですか・・・・・」
内心肝を冷やしていましたが、これでぐっすりと寝れそうですぜ。」
そう言って、髭面男は豪快な笑い声を上げた。
「そうだな。まだ戦いは完全に終わったわけではないが、これで継戦派の連中に深いダメージを与えたわけだ。
諸君、あと少しの辛抱だぞ。」
ガルファンは弾けた様な口調でそう言った。
「隠れまわるのも、あと幾日のみですか・・・・・」
オイルエン大尉は神妙な顔つきで呟いた。グランスボルグの革命軍が決起しようとしたのが9月25日未明。
たった1週間前の事である。だが、その1週間の間が、彼には1ヶ月も2ヶ月も過ごしたように感じられる。
継戦派の重囲を突破した時や、休む間もなく行われた2度のゲリラ作戦。
1週間という短い期間の間に、色々な事が起きた。いや、起きすぎた。
たった1週間前の事である。だが、その1週間の間が、彼には1ヶ月も2ヶ月も過ごしたように感じられる。
継戦派の重囲を突破した時や、休む間もなく行われた2度のゲリラ作戦。
1週間という短い期間の間に、色々な事が起きた。いや、起きすぎた。
「みんな!こっちを見てくれ!」
いつの間にか、テーブルに立ち上がったガルファン少将が、酒で赤くなった顔を周囲にめぐらす。
なぜか、横にはマッキャンベル中佐がいたりする。
なぜか、横にはマッキャンベル中佐がいたりする。
「大尉、親父の悪い癖が始まっちゃいましたね。」
マルファがちょっとだけうんざりした表情で言ってくる。
「昔からああいう人だからね。止めようとしても無駄さ。」
オイルエンとマルファはため息をついた。そんな事は露知らずに、ガルファン少将はがなり声を上げた。
「酒を楽しんでいる時に悪いな。今、俺の横に立っている人物は、あの大魔道院を破壊した空母艦載機のパイロットだ!」
皆が驚きともつかない声を漏らす。
「この兄ちゃんは、不幸にも乗っていた機体がオシャカになって、この場で立っているが、
今こうして酒を飲めるのも、この兄ちゃん達、アメリカ軍のお陰だ!」
今こうして酒を飲めるのも、この兄ちゃん達、アメリカ軍のお陰だ!」
当の本人は、恥ずかしさの余り、顔を隠したい気分になった。
(このおっさん、いくらなんでもこんな事はやめたほうがいいんじゃねえか?それに)
彼は、脳裏にイメインの澄ました顔を思い浮かべた。彼女はマッキャンベルに対してあまりよく思っていない。
周りのガルファンの部下には、獣人などの亜人種も含まれているが、彼らも革命前までは立派なバーマント兵である。
昔別れた仲間や肉親が、味方機動部隊の行った空襲で戦死したものもいる筈だ。
だが、周りの雰囲気はそれを表している様子ではなかった。むしろ、彼を歓迎しているように見えた。
本当に歓迎しているのだろうか、それとも内心では憎しみを抱いているのだろうか。
マッキャンベルから見た限り、それは分からなかった。
彼は、脳裏にイメインの澄ました顔を思い浮かべた。彼女はマッキャンベルに対してあまりよく思っていない。
周りのガルファンの部下には、獣人などの亜人種も含まれているが、彼らも革命前までは立派なバーマント兵である。
昔別れた仲間や肉親が、味方機動部隊の行った空襲で戦死したものもいる筈だ。
だが、周りの雰囲気はそれを表している様子ではなかった。むしろ、彼を歓迎しているように見えた。
本当に歓迎しているのだろうか、それとも内心では憎しみを抱いているのだろうか。
マッキャンベルから見た限り、それは分からなかった。
「名前はデイビット・マッキャンベル中佐だ。訳あって、しばらくここにいる事になった。
まあ、堅苦しい挨拶は後にして、今は乾杯をしよう!」
「閣下、さっき乾杯したばかりっすよ?」
まあ、堅苦しい挨拶は後にして、今は乾杯をしよう!」
「閣下、さっき乾杯したばかりっすよ?」
目の前にいた痩身の兵が苦笑する。
「さっきのは予行演習だ!さあ、カップを上にあげろ。中佐殿も一緒にやってくれ。」
皆が持っていたカップを上にあげる。
(この人って・・・・・・どんちゃん騒ぎが大好きな男か。見るからに酒が強いです、
て言うような面構えだし、何かと理由を見つけてはこうやって宴会を開いているのかもしれんな)
マッキャンベル中佐は内心でそう思った。
(この人って・・・・・・どんちゃん騒ぎが大好きな男か。見るからに酒が強いです、
て言うような面構えだし、何かと理由を見つけてはこうやって宴会を開いているのかもしれんな)
マッキャンベル中佐は内心でそう思った。
「大陸をエンシェントドラゴンから救った、この勇敢なアメリカ人達に、乾杯!」
「「乾杯!」」
「「乾杯!」」
マッキャンベルはその声が聞こえると、カップをあおぎ、酒を飲んでみた。
今まで飲んだ酒とは、一味も二味も違う。
今まで飲んだ酒とは、一味も二味も違う。
「マッキャンベル中佐、今日はゆっくり休んでくれ。私は少し、回ってくるよ。」
ガルファン少将はテーブルを降りると、部下達の所へ混じっていった。彼も慌てて降りた。
「すみませんねえ。うちの将軍がご迷惑をかけて。」
歩み寄ってきたオイルエン大尉が、苦笑交じりに言ってきた。
「面白い人だな。うちの海軍も似たような人は何人かいるが、流石に大勢の前で無理矢理紹介させられる
事に関しては、少しばかり気が引くな。」
「うちの大将は新人やお客さんが来ると、いつもああやるんですよ。
まあ、それがきっかけで、昇進が遅れておったんですがね。」
事に関しては、少しばかり気が引くな。」
「うちの大将は新人やお客さんが来ると、いつもああやるんですよ。
まあ、それがきっかけで、昇進が遅れておったんですがね。」
髭面の男が自慢げに言ってくる。
「と言っても、本人は階級なんざどうでもいいと言いまくってますが。」
「なるほど・・・・・・まあ、そんな将軍もいた方がいいだろう。堅苦しい指揮官ばかりじゃ、鬱憤も溜まりまくるからな。」
「なるほど・・・・・・まあ、そんな将軍もいた方がいいだろう。堅苦しい指揮官ばかりじゃ、鬱憤も溜まりまくるからな。」
彼はもう一口酒を飲む。まだ2口目だというのに、なぜか頭がくらくらしてきた。
10月1日 午前7時 第5艦隊旗艦戦艦ノースカロライナ
ノースカロライナの作戦室に、スプルーアンス大将はいつもと変わらぬ表情で現れた。
ノースカロライナの作戦室に、スプルーアンス大将はいつもと変わらぬ表情で現れた。
「お早う諸君。」
彼が言うと、幕僚やオブザーバー達が挨拶を返してきた。
「デイビス。補給作業は確か8時からだったな?」
「はっ、そうであります。」
「弾薬の余裕の無い艦を優先的に補給させるように言っておいたが、最初はどの艦から補給が行われる?」
「はっ、そうであります。」
「弾薬の余裕の無い艦を優先的に補給させるように言っておいたが、最初はどの艦から補給が行われる?」
デイビスは持っていた文書に目を通す。
「第4任務郡の軽空母ラングレーが最初に補給を受けます。」
「よろしい。対戦警戒、対空警戒はどうなっている?」
「よろしい。対戦警戒、対空警戒はどうなっている?」
「補給時には常時、40機のヘルキャットを飛ばし、エスコート艦の見張りを倍に増やしております。
補給船団のほうも、我が機動部隊の北方18マイル地点に迫っております。」
「予定通りだな。」
補給船団のほうも、我が機動部隊の北方18マイル地点に迫っております。」
「予定通りだな。」
スプルーアンスは満足して頷いた。
「長官、第58任務部隊司令官のミッチャー中将から意見具申であります。」
作戦参謀のフォレステル大佐が、おずおずとした口調で言ってきた。
「ミッチから?具申の内容は?」
「ミッチャー提督は、墜落機のパイロット救出を行いたいと申しております。」
「ミッチャー提督は、墜落機のパイロット救出を行いたいと申しております。」
スプルーアンスは腕を組んで、少しばかり考えた後、
「ベルーク大佐。どう思う?」
彼はベルーク大佐に向けて言った。
「パイロットの救出・・・・でありますか?」
「そうだ。出来ると思うか?」
「救出は・・・・・・・難しいでしょう。」
彼は地図を指差した。
「ギルアルグには、継戦派の殲滅を逃れた革命側の部隊が多数残存しております。革命軍上層部では、
もし部隊の付近に艦載機パイロットを発見した場合はこれを保護せよ、と命令を送っています。
しかし、革命側の残存部隊は各地に分散していて、どこにいるのかも分からぬ状況です。」
「そうだ。出来ると思うか?」
「救出は・・・・・・・難しいでしょう。」
彼は地図を指差した。
「ギルアルグには、継戦派の殲滅を逃れた革命側の部隊が多数残存しております。革命軍上層部では、
もし部隊の付近に艦載機パイロットを発見した場合はこれを保護せよ、と命令を送っています。
しかし、革命側の残存部隊は各地に分散していて、どこにいるのかも分からぬ状況です。」
「では、出来ないと思うかね?」
スプルーアンスは表情を変えずに言った。
「革命軍上層部には、未だにパイロット救出の通信は送られておりません。現地では、継戦側の追撃が厳しく、
魔法通信を送ろうものならば、継戦側に察知される可能性があります。それを恐れて、魔道師は通信を
送って来ないのかもしれません」
「ふむ・・・・・・敵のボスはなんとか倒したが、その子分連中が未だに抵抗をやめないとなると、少し厄介であるな。」
スプルーアンスは表情を変えずに言った。
「革命軍上層部には、未だにパイロット救出の通信は送られておりません。現地では、継戦側の追撃が厳しく、
魔法通信を送ろうものならば、継戦側に察知される可能性があります。それを恐れて、魔道師は通信を
送って来ないのかもしれません」
「ふむ・・・・・・敵のボスはなんとか倒したが、その子分連中が未だに抵抗をやめないとなると、少し厄介であるな。」
「では、ミッチャー提督のパイロット救出の申し出は断りますか?」
「断らん。」
スプルーアンスは即答した。
「我々は2日後には全部隊が撤退する手筈になっているが、予定を変更し、一部の部隊をこのマリアナ沖に貼り付けさせる。
もし、ギルアルグの継戦軍が熱くなっている場合は、機動部隊の艦載機でその熱を冷ますことも出来る。
そうすれば、バラバラになった革命軍への視線も我々に向けられるはずだ。
」
彼は決心したように言い放つ。
「断らん。」
スプルーアンスは即答した。
「我々は2日後には全部隊が撤退する手筈になっているが、予定を変更し、一部の部隊をこのマリアナ沖に貼り付けさせる。
もし、ギルアルグの継戦軍が熱くなっている場合は、機動部隊の艦載機でその熱を冷ますことも出来る。
そうすれば、バラバラになった革命軍への視線も我々に向けられるはずだ。
」
彼は決心したように言い放つ。
「ミッチに連絡だ。具申了解。パイロットの救出作戦案申し込みを容認する。具体的な作戦内容は追っ手連絡する。以上だ。」
「分かりました。」
メモ用紙に文を書き写したアームストロング中佐は、すぐに作戦室から出て行った。
「分かりました。」
メモ用紙に文を書き写したアームストロング中佐は、すぐに作戦室から出て行った。
「1人でも多くの将兵を連れて帰る。これからはそれが、第5艦隊の主な任務になる。
諸君、まだ戦いは続いている。その事を肝に銘じていてくれ」
諸君、まだ戦いは続いている。その事を肝に銘じていてくれ」
スプルーアンス大将は、幕僚達に向けてそう言った。