10月7日 午前8時 カウェルサント
空は、昨日の晴天とは違い、どんよりと曇っている。
出発前には、せめて晴れの天気であったほうが、俺的には気持ちの良かったんだが。
まあ、天気に対して、あれこれ文句言っても始まらんか。
空は、昨日の晴天とは違い、どんよりと曇っている。
出発前には、せめて晴れの天気であったほうが、俺的には気持ちの良かったんだが。
まあ、天気に対して、あれこれ文句言っても始まらんか。
「マッキャンベル中佐、何笑っているんです?」
オイルエン大尉が聞いてきた。いつの間にか俺は笑っていたのか。
「いや、思い出し笑いさ。何でもないよ」
俺は適当にはぐらかす。
「それにしても、マッキャンベル中佐がいなくなると、寂しいものだな。」
野太い声が聞こえてきた。振り返ると、ガルファン将軍が歩いてきた。
右腕に包帯が巻かれていて、妙に痛々しく見える。
この傷は、先日の戦いで出来たものだ。ガルファン将軍も最前線で敵と切り結んでいたらしい。
右腕に包帯が巻かれていて、妙に痛々しく見える。
この傷は、先日の戦いで出来たものだ。ガルファン将軍も最前線で敵と切り結んでいたらしい。
「将軍閣下、私のために、わざわざ」
俺は直立不動の態勢で、彼に敬礼をする。将軍ははにかみながら、手を横に振った。
「よせ、堅苦しいだろう。それよりも、普通に行こうじゃないか。」
「わかりました」
「わかりました」
と言って、俺は手を下ろした。
昨日は、継戦軍は一度も襲ってこなかった。
偵察隊の話では、敵の部隊はギルアルグに向けて撤退しているようだ。
それだけでなく、戦場処理が夜通し行われ、俺も頼み込んで参加した。
昨日の昼頃に、第4群から飛んできたヘルダイバーが小型無線機を投下してくれた。
ヘルダイバーの話では、俺の他にも、7人の生存者いたようだ。
それには、流石に驚いたが、同時に、俺と同じように、耐え抜いた奴がいるのだと思うと、どことなく勇気が沸いた。
夜の10時まで働いた後、ガルファン将軍が明日、帰還していく俺のために、壮行会を開いてくれた。
そこで俺は驚かされてしまった。
なぜなら、ルエスという動物が重い荷物を運んでいるところを見たのだ。
やや浅い緑の斑模様をした、小さめのドラゴンで、なかなか愛嬌のある奴だった。
その愛嬌のあるドラゴンが、あの物凄くマズイ卵焼きを生み出した犯人なのだ。
最初、どこぞのゲテモノか!と思っていたのが、むしろそれのほうが良かっただろう。
このどこかかわいげのある竜が、あの毒同然の卵を生み出していたのだから、俺は相当なショックを受けた。
俺は次々と出されてきたルエスの卵焼きを、のらりくらりとかわして、適度に革命派の連中と話し合った。
どれもこれも気のいい奴で、母艦の仲間達とはどこか違うが、それでも、異世界にもこのように、
笑ったり、泣いたり、表情豊かな奴がいるのだなと思った。
愛機を撃墜され、ここに落ち延びてきて1週間近くが立ったが、内心で、この1週間は短いようにも思えるし、長いようにも思えた。
昨日の1時に寝て、俺は1時間前の7時に起きた。
調子に乗って酒を飲みすぎたため、ひどい二日酔いになるのではないかと思ったが、それは杞憂だった。
しかし、
偵察隊の話では、敵の部隊はギルアルグに向けて撤退しているようだ。
それだけでなく、戦場処理が夜通し行われ、俺も頼み込んで参加した。
昨日の昼頃に、第4群から飛んできたヘルダイバーが小型無線機を投下してくれた。
ヘルダイバーの話では、俺の他にも、7人の生存者いたようだ。
それには、流石に驚いたが、同時に、俺と同じように、耐え抜いた奴がいるのだと思うと、どことなく勇気が沸いた。
夜の10時まで働いた後、ガルファン将軍が明日、帰還していく俺のために、壮行会を開いてくれた。
そこで俺は驚かされてしまった。
なぜなら、ルエスという動物が重い荷物を運んでいるところを見たのだ。
やや浅い緑の斑模様をした、小さめのドラゴンで、なかなか愛嬌のある奴だった。
その愛嬌のあるドラゴンが、あの物凄くマズイ卵焼きを生み出した犯人なのだ。
最初、どこぞのゲテモノか!と思っていたのが、むしろそれのほうが良かっただろう。
このどこかかわいげのある竜が、あの毒同然の卵を生み出していたのだから、俺は相当なショックを受けた。
俺は次々と出されてきたルエスの卵焼きを、のらりくらりとかわして、適度に革命派の連中と話し合った。
どれもこれも気のいい奴で、母艦の仲間達とはどこか違うが、それでも、異世界にもこのように、
笑ったり、泣いたり、表情豊かな奴がいるのだなと思った。
愛機を撃墜され、ここに落ち延びてきて1週間近くが立ったが、内心で、この1週間は短いようにも思えるし、長いようにも思えた。
昨日の1時に寝て、俺は1時間前の7時に起きた。
調子に乗って酒を飲みすぎたため、ひどい二日酔いになるのではないかと思ったが、それは杞憂だった。
しかし、
「ところでオイルエン大尉、顔色が悪いぞ?」
ガルファン将軍が、オイルエン大尉に語りかけた。
俺の右隣にいるオイルエン大尉は、笑顔を浮かべているが、どこか引きつっている。
俺の右隣にいるオイルエン大尉は、笑顔を浮かべているが、どこか引きつっている。
「昨日、オイルエン大尉は他の者達と3時まで飲んでおりました。」
イメインがいつもと変わらぬ冷たい口調で言った。
「お、おい!」
「酒瓶を9ほど飲み終えたところで、地べたで寝ていました。
たまたま通りかかった私が、適当な場所にヌーメラー中尉と一緒に運びました」
「オイルエン大尉、君は酒に強いんじゃなかったのか?」
「ま、まあ・・・・・・・・そこは、ね。」
「酒瓶を9ほど飲み終えたところで、地べたで寝ていました。
たまたま通りかかった私が、適当な場所にヌーメラー中尉と一緒に運びました」
「オイルエン大尉、君は酒に強いんじゃなかったのか?」
「ま、まあ・・・・・・・・そこは、ね。」
曖昧な事を言ってオイルエン大尉は言い逃れようとする。この間は、結構飲んでいたが、
二日酔いはしなかった。でも、今日はこの有様だ。
この世界の事だから、酔いを強引に抑える薬でもあったのだろう。
それを、オイルエンは飲み忘れたのだろうか。まあ、それはどうでもいい話だが。
二日酔いはしなかった。でも、今日はこの有様だ。
この世界の事だから、酔いを強引に抑える薬でもあったのだろう。
それを、オイルエンは飲み忘れたのだろうか。まあ、それはどうでもいい話だが。
「9本で酔いつぶれるとは、貴様もまだまだだな!せめて12、3本は飲めんといかんぞ!」
「い、いや、将軍のは飲みすぎですって。」
「のみすぎか。」
「い、いや、将軍のは飲みすぎですって。」
「のみすぎか。」
なぜか、ガルファン将軍は、ばつが悪そうな表情で頭をかく。
「気にしている事を言いやがって。」
それに皆が爆笑した。
「それはともかく。」
彼は笑いを抑えると、手を差し出してきた。
「わしらの事を忘れんでくれよ。」
将軍は俺に微笑みながらそう言った。俺も、彼の手を握った。
「これまでお世話になりました。自分の命があるのも、オイルエン大尉や、あなた方のお陰です。」
「そうか。そう言ってくれると、嬉しいよ。それに、君を見ていると、アメリカ人というのがどういうものか、
少し分かったような気がするな。」
「そうか。そう言ってくれると、嬉しいよ。それに、君を見ていると、アメリカ人というのがどういうものか、
少し分かったような気がするな。」
そう言うと、将軍は手を握り返してきた。
節くれだち、ごつごつとした手だが、程よいほど暖かい。
節くれだち、ごつごつとした手だが、程よいほど暖かい。
「では、中佐、行きましょうか。」
「オイルエン、中佐の事、道中よろしく頼むぞ。」
「お任せ下さい。今回は3人と少なめですが、しっかりと中佐殿をお守りします。」
「オイルエン、中佐の事、道中よろしく頼むぞ。」
「お任せ下さい。今回は3人と少なめですが、しっかりと中佐殿をお守りします。」
オイルエン大尉が行きましょう、と言って、俺を促した。
「将軍、それでは、自分は母艦に戻ります。」
「おう。船に戻っても、俺たちのことを忘れないでくれよ。」
「おう。船に戻っても、俺たちのことを忘れないでくれよ。」
そう言って、俺の肩をポンと叩く。
砦で作業をしていた生き残りの連中が、自分達を見ている。
俺は、その連中に手を振って、大声でさようならと言った。
砦を出た後は、砦の皆がそれぞれ、別れの言葉を口にしながら、自分を見送っていた。
砦で作業をしていた生き残りの連中が、自分達を見ている。
俺は、その連中に手を振って、大声でさようならと言った。
砦を出た後は、砦の皆がそれぞれ、別れの言葉を口にしながら、自分を見送っていた。
10月9日 午前7時 メイルレインス
ここメイルレインスは、半島の根っこの東側にある小さな港町で、ここには継戦軍の支配は及んでいなかった。
昔は、ライルフィーグ王国で有数の港町だったが、今では人口が400人ほどの小さな村に成っている。
出発してから5時間後に、連絡役のヘルダイバーが飛んで来て、無線で集合場所を打ち合わせた。
その結果、ここライルフィーグに収容すると決まった。
残りの3人は、俺よりも遠くの地域で見つかっているため、ガレンスアロ軍港を砲撃した艦隊が、
帰途に指定した浜辺で収容したと言う。
一方、マリアナ周辺の墜落機のパイロットは、第1任務群が収容したと言っていた。
つまり、俺が最後の墜落機パイロット、と言うわけだ。
メイルレインスまで辿り着くには、途中までは森の中を進んだが、半分の行程進んだ所で、メイルレインスまで繋がっている街道を辿って来た。
着いたのが3時間前だったから、かなり疲れが残っている。
その俺を見て、イメインが、まだまだ序の口よ、と言ってきている。
この犬娘は最後まで、自分を冷やかさないと気が済まないらしい。
しかし、最初感じた刺々しい物言いではなく、少し親しみがこもった口調だった。
3時間ほど寝たあと、俺達は7時に起きた。
夜はまだ開け切っておらず、太陽が少ししか覗いていない。
ここメイルレインスは、半島の根っこの東側にある小さな港町で、ここには継戦軍の支配は及んでいなかった。
昔は、ライルフィーグ王国で有数の港町だったが、今では人口が400人ほどの小さな村に成っている。
出発してから5時間後に、連絡役のヘルダイバーが飛んで来て、無線で集合場所を打ち合わせた。
その結果、ここライルフィーグに収容すると決まった。
残りの3人は、俺よりも遠くの地域で見つかっているため、ガレンスアロ軍港を砲撃した艦隊が、
帰途に指定した浜辺で収容したと言う。
一方、マリアナ周辺の墜落機のパイロットは、第1任務群が収容したと言っていた。
つまり、俺が最後の墜落機パイロット、と言うわけだ。
メイルレインスまで辿り着くには、途中までは森の中を進んだが、半分の行程進んだ所で、メイルレインスまで繋がっている街道を辿って来た。
着いたのが3時間前だったから、かなり疲れが残っている。
その俺を見て、イメインが、まだまだ序の口よ、と言ってきている。
この犬娘は最後まで、自分を冷やかさないと気が済まないらしい。
しかし、最初感じた刺々しい物言いではなく、少し親しみがこもった口調だった。
3時間ほど寝たあと、俺達は7時に起きた。
夜はまだ開け切っておらず、太陽が少ししか覗いていない。
「中佐、船は時間通りに来ますでしょうか?」
オイルエン大尉が言ってくるが、俺は自身ありげに、
「心配ない。ちゃんと来るよ。」
と言った。
その時、イメインとヌーメラー中尉が、海に顔を向けた。
感覚のいい彼らは、何かが来たのかをすぐに感じ取ったようだ。
その時、イメインとヌーメラー中尉が、海に顔を向けた。
感覚のいい彼らは、何かが来たのかをすぐに感じ取ったようだ。
「来たのか?」
俺は2人に聞いた。イメインはそのまま前を見たままだが、ヌーメラー中尉が俺を向いた。
「どうやら、来たようですね。始めて聞く音だ。」
そう言うと、再び海のほうを見る。
5分ほど経つと、暗かった港も、ようやく明るさを増してきた。沖合には、確かに船がいた。
何隻かの船が、水平線から近付きつつある。先頭の艦は形が小さいから駆逐艦だろうか。
その後ろには、大きな艦がいる。
あれは恐らくサウスダコタだろう。そして、その横には・・・
5分ほど経つと、暗かった港も、ようやく明るさを増してきた。沖合には、確かに船がいた。
何隻かの船が、水平線から近付きつつある。先頭の艦は形が小さいから駆逐艦だろうか。
その後ろには、大きな艦がいる。
あれは恐らくサウスダコタだろう。そして、その横には・・・
「エセックスだ・・・・・」
俺は思わず呟いた。そう、いつも見慣れ、そして過ごしてきた馴染み深い船。
CV-9エセックス。俺が飛行隊長を勤める空母でもあり、部下や仲間と過ごしてきた家だ。
エセックスの他にも、ラングレーとカウペンスの姿も見えてきた。
どうやらTF58.4任務群は総動員で、俺を迎えに来たようだ。
CV-9エセックス。俺が飛行隊長を勤める空母でもあり、部下や仲間と過ごしてきた家だ。
エセックスの他にも、ラングレーとカウペンスの姿も見えてきた。
どうやらTF58.4任務群は総動員で、俺を迎えに来たようだ。
「これが・・・・あの大魔道院を崩壊に追い込んだ艦隊。」
誰かが感慨深げに呟いた。珍しい事に、それはイメインだった。
「第58任務部隊、第3任務群だ。俺の所属している艦隊さ。」
「元々、空母は3隻だけだったんですか?」
「元々、空母は3隻だけだったんですか?」
ヌーメラー中尉が聞いてくる。
「いや、4隻いたよ。」
「4隻ですか。ここからは、大きいのが1隻と、小さめのものが2隻しかいませんが。」
「あと1隻は沈められちまった。継戦軍の飛空挺に爆弾をしこたま浴びせられてな。
ランドルフには、俺の元部下も何人か乗っていたが。何人かは船と共に沈んだと聞いている。」
「4隻ですか。ここからは、大きいのが1隻と、小さめのものが2隻しかいませんが。」
「あと1隻は沈められちまった。継戦軍の飛空挺に爆弾をしこたま浴びせられてな。
ランドルフには、俺の元部下も何人か乗っていたが。何人かは船と共に沈んだと聞いている。」
ヌーメラー中尉は言葉を失っていた。あのような船でも、沈むのかと言いたげだ。
「浮かんでいるものは必ず沈む。これが常識だよ、ヌーメラー先生。」
俺はさりげなく答えた。
やや間があって、彼は、
やや間があって、彼は、
「確かに。それが、自然の摂理ですからね。」
と言った。
ここから沖合い2キロほどで、艦隊は止まった。
しばらくすると、内火艇らしきものがこちらに向かってきた。
エセックスから直々に向かっているようだ。
ここから沖合い2キロほどで、艦隊は止まった。
しばらくすると、内火艇らしきものがこちらに向かってきた。
エセックスから直々に向かっているようだ。
「もうすぐで、君らともお別れだな。」
「マッキャンベル中佐、ようやく帰れますね。自分の居場所に。」
「マッキャンベル中佐、ようやく帰れますね。自分の居場所に。」
オイルエン大尉が言ってきたが、
「まあ、確かにそうだろうが、俺は愛機を無くしちまっているからなあ。しばらくは空に上がれないかもしれん。本当は、空を飛ぶのが好きなんだが。」
「空・・・ですか。中佐は本当に、飛行機が好きなんですね。」
「当たり前さ。俺から飛行機を取ったら、ただの腑抜けになっちまう。」
「空・・・ですか。中佐は本当に、飛行機が好きなんですね。」
「当たり前さ。俺から飛行機を取ったら、ただの腑抜けになっちまう。」
「いっそ、腑抜けになればいいじゃない。かえってスッキリするかも」
何気に、イメインが突っ込んでくる。これまでとは打って変わって、おどけた口調だ。
俺は少し驚いたが、そこで皆が笑った。
内火艇が桟橋にやってきた。4、5人の将校、兵が甲板に立っていた。
俺は少し驚いたが、そこで皆が笑った。
内火艇が桟橋にやってきた。4、5人の将校、兵が甲板に立っていた。
「さて、ここでお別れだな。オイルエン、イメイン、ヌーメラー。今までありがとう。」
俺は、1人1人に挨拶を交わした。皆、力強く、握り返してきた。
俺は内火艇に向かった。
内火艇に乗り移ると、ボートはすぐに桟橋を離れ、舳先をエセックスに向けた。
3人は、それぞれ違いはあるものの、手を振って見送ってくれた。
俺はそれまで座っていたが、最後まで別れを告げようとしている彼らに答えるべく、立ち上がった。
俺は内火艇に向かった。
内火艇に乗り移ると、ボートはすぐに桟橋を離れ、舳先をエセックスに向けた。
3人は、それぞれ違いはあるものの、手を振って見送ってくれた。
俺はそれまで座っていたが、最後まで別れを告げようとしている彼らに答えるべく、立ち上がった。
「おおーい!元気でいろよぉー!」
俺はそう言いながら、手を振り続けた。
10分ほどでエセックスに着いた。艦に戻ると、部下のパイロットや乗員達が総出で出迎えてくれた。
5分ほど経つと、エセックスは汽笛を高々と吹かせながら、メイルレインスの沖合から出港を始めた。
しばらくして、俺は、エセックスの艦尾から、メイルレインスの港を見つめていた。
小さいながらも、3人の人影が見えている。
たぶん、あの3人だろう。
その3人の姿も、徐々に見えなくなっていった。
10分ほどでエセックスに着いた。艦に戻ると、部下のパイロットや乗員達が総出で出迎えてくれた。
5分ほど経つと、エセックスは汽笛を高々と吹かせながら、メイルレインスの沖合から出港を始めた。
しばらくして、俺は、エセックスの艦尾から、メイルレインスの港を見つめていた。
小さいながらも、3人の人影が見えている。
たぶん、あの3人だろう。
その3人の姿も、徐々に見えなくなっていった。
「あの3人には、世話になったな。いや、あの3人だけじゃない、あの砦にいた皆には本当に世話になった。」
翼を失った陸の海鷲の俺には、あの人達にはいくら礼を言っても足りない。
だが、彼らと接した日々は、俺は決して忘れる事はないだろう。
色々と考えているうちに、メイルレインスの港は、ぼんやりとしか見えなくなっていた。
色々と考えているうちに、メイルレインスの港は、ぼんやりとしか見えなくなっていた。
「陸の海鷲か・・・・・一時的に翼を無くした俺は、ここ1週間、本当に
地を這いずり回っていたからな。陸を這いずり回った海軍のパイロット、略して陸の海鷲か。」
地を這いずり回っていたからな。陸を這いずり回った海軍のパイロット、略して陸の海鷲か。」
そう意味不明な事をひとりごちたが、地を這いずり回ったこの1週間で、俺はこの世界の優しさと、
厳しさを学んだような気がする。
とはいっても、かじった程度だが、それを、俺は忘れないだろう。
厳しさを学んだような気がする。
とはいっても、かじった程度だが、それを、俺は忘れないだろう。
メイルレインスはもはや海に隠れて見えなくなっていた。
しかし、マッキャンベル中佐は、いつまでもエセックスの艦尾から離れようとはしなかった。
まるで、この世界から別れるのを惜しむかのように。
しかし、マッキャンベル中佐は、いつまでもエセックスの艦尾から離れようとはしなかった。
まるで、この世界から別れるのを惜しむかのように。
陸の海鷲
完
デイビット・マッキャンベル
1910年アラバマ州生まれ
1933年アナポリス海軍兵学校を卒業。
その後、1年ほど民間に戻るが、復帰して、1938年にペンサコラ飛行学校で教育課程を修了。
母艦航空隊に配属された。
空母ワスプに配属されたものの、1942年9月にワスプは被雷沈没。
その後、本国に戻り、1943年9月にVF-15戦闘機隊隊長として空母エセックスに着任する。
1945年の沖縄防空戦で撃墜されるまで(撃墜したのは、坂井三郎中尉と言われている)
実に37機の撃墜記録を持ち、米海軍のトップエースとなる。
撃墜機のうち、19機は異世界で稼いだと言われている。
撃墜記録は37機とあるが、何度か、部下にもスコアを譲っている。
そのため、実際の撃墜記録は40~46機と推測されている。
終戦後も海軍に在籍し続け、キューバ危機には空母バンカーヒル、エセックスを中心とする
第57任務部隊の司令官として参加し、キューバの海上封鎖に従事。
退役後は何冊か本を出版し、その内の1冊に、異世界レポートという本があり、
後年、スプルーアンスが出版した異世界戦記と共に、多くの小説家が目に通している。
この2冊の本は、後の日本のライトノベル界に大きな影響を与えている。
1996年 6月30日没
1910年アラバマ州生まれ
1933年アナポリス海軍兵学校を卒業。
その後、1年ほど民間に戻るが、復帰して、1938年にペンサコラ飛行学校で教育課程を修了。
母艦航空隊に配属された。
空母ワスプに配属されたものの、1942年9月にワスプは被雷沈没。
その後、本国に戻り、1943年9月にVF-15戦闘機隊隊長として空母エセックスに着任する。
1945年の沖縄防空戦で撃墜されるまで(撃墜したのは、坂井三郎中尉と言われている)
実に37機の撃墜記録を持ち、米海軍のトップエースとなる。
撃墜機のうち、19機は異世界で稼いだと言われている。
撃墜記録は37機とあるが、何度か、部下にもスコアを譲っている。
そのため、実際の撃墜記録は40~46機と推測されている。
終戦後も海軍に在籍し続け、キューバ危機には空母バンカーヒル、エセックスを中心とする
第57任務部隊の司令官として参加し、キューバの海上封鎖に従事。
退役後は何冊か本を出版し、その内の1冊に、異世界レポートという本があり、
後年、スプルーアンスが出版した異世界戦記と共に、多くの小説家が目に通している。
この2冊の本は、後の日本のライトノベル界に大きな影響を与えている。
1996年 6月30日没