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047 第39話 バゼット半島沖の死闘(後編)

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第39話 バゼット半島沖の死闘(後編)

1482年 8月25日 午後0時40分 

敵ワイバーン部隊の空襲は、午後0時15分に始まり、35分には終わりを告げた。
第17任務部隊はこの20分間の間に、空母ヨークタウンを傷付けられていた。
ヨークタウンは3発の爆弾を浴び、飛行甲板から火炎と黒煙を噴き出している。
被弾箇所は前部甲板に1箇所、中央部に2箇所である。
爆弾は格納甲板で炸裂し、格納庫にあった艦載機14機を破壊し、火災が発生した。
飛行甲板に穿たれた穴からは、黒煙が濛々と噴き上げ、その奥からちろちろと火が這い出ている。
そこに、駆けつけてきた消火班が水を吹きかける。
艦橋上で、穴に水を吹きかけている乗員を見つめながら、フレッチャー少将は仏頂面を張り付かせたまま口を開く。
「レキシントンは大火災。このヨークタウンも、爆弾3発を受けて飛行甲板を傷付けられた。
敵はやはり侮れんな。艦長。」

彼は、艦長のバックマスター大佐に語りかける。

「はっ。その通りですな。」
「飛行甲板は修理できそうか?」
「・・・・・できます。」

バックマスター大佐はやや間を置いてから答えた。

「被弾箇所は前部と中央部合わせて3箇所です。この被弾の影響で、格納庫の艦載機に被害が生じましたが、
幸いにも敵弾はエレベーターを逸れていました。エレベーターを破壊されていれば、より深刻な事態に
なっていましたが、今は甲板に穴が開いているだけの常態です。それに、敵弾は格納甲板より下の層には
侵入しておらず、機関部にはなんら被害はありません。」

「では、修理できるのだな?」
「はい。出来ます。」

バックマスター大佐は即答した。フレッチャーが納得しかけた時、艦長は更に付け加えた。

「しかし、修理できるとは言っても、穴を塞ぎ、艦載機の発着を可能にするのみです。
格納甲板は破壊された機材や側壁、ハンガー等が多数ありますから、本格的な修理が必要という事には
変わりありません。ちなみに、飛行甲板の応急修理は、ダメージコントロール班から長くて3時間ほど
かかると報告がありましたが、それも火が消えてからです。」
「それでよい。」

それでも、フレッチャーとしては充分だと思った。

「飛行甲板と、艦載機さえ生きていれば、敵に対して二の矢、三の矢を放つ事が出来る。」

ふと、彼は北北西の方角に顔を向けた。
その方角には、被弾前に発艦した攻撃隊がいる。
あとしばらくしたら、攻撃隊は敵機動部隊に取り付いているはずだ。

「頼んだぞ。敵にヤンキー魂を見せ付けてやれ。」


午後1時 ノーベンエル岬北西沖130マイル地点

空母ヨークタウンから発艦した54機の攻撃隊は、レキシントンから発艦した48機と合流した後、
ひたすら北北西の方角を目指した。
攻撃隊指揮官であるヨークタウンVB-6隊長、マックス・レスリー少佐は、内心焦っていた。

「隊長。」

後部座席のジャント・ニルス兵曹が彼に話しかけてくる。

「なんだ?」
「発艦後に遭遇したシホットの大編隊。あの大編隊は味方艦隊の方向に向かっていました。
味方艦隊はかなりのダメージを受けているようですが・・・・」

発艦し、レキシントン隊と合流して敵機動部隊へ進撃を開始した攻撃隊は、それからわずか10分後に、
敵ワイバーンの大編隊を見つけた。
レスリー少佐は、護衛戦闘機隊に、敵が向かってこぬ限り定位置から離れるなと厳命し、
そのまま敵のワイバーン隊の側を通り過ぎようとした。
相手は150騎以上の大編隊であり、米攻撃隊のほうが明らかに不利であった。
一触即発の空気をにじませる事約数分、彼らはお互い手出しする事無く通り過ぎて言った。
それから1時間余りが経過した今、攻撃隊は時速200マイルのスピードで、ひたすら北北西を目指して飛んでいる。
進撃中にTF14のレキシントン、TF17のヨークタウンが被弾炎上。
特にレキシントンの被害が深刻であると、無線で伝えられている。

「これで、グンリーラ海戦のビッグEの連中と同じになっちまったな。」

この無線通信を聞いた時、レスリー少佐は苦笑混じりにそう呟いたものだが、母艦が被弾して士気を落とす
パイロットはいなかった。
そればかりか、よりやる気を出させる結果になり、とある新米パイロットなどは、

「敵空母に必ず爆弾を叩きつけてやる!」

と言っているほどである。
そして、攻撃隊搭乗員は憎き敵機動部隊を見つけようと、血眼になって周辺海域を捜索した。

だが、

「うちの正規空母は爆弾で沈むほどヤワじゃないさ。大丈夫、レディレックスもヨークタウンも生きている。
艦隊の心配は攻撃後にする事だ。俺達は敵機動部隊を攻撃する事に集中しよう。」

レスリー少佐はニルス兵曹にそう言ったが、彼はその間も周辺海域をきょろきょろ見回している。
(いない・・・・)
攻撃隊の位置は、母艦より北北西250マイル地点にいる。
(いない・・・・どうして?)
偵察機の報告は、機動部隊より北北西250マイル、針路340度方向に敵機動部隊発見の報告を受け攻撃隊を出した。
(ここには)
そして、重い爆弾や魚雷を抱えて、攻撃隊はこの位置にやってきた。しかし、
(ここには、敵機動部隊はいないのか!?)
現場海域には、1本の航跡すら見当たらなかった。今日の天気は晴れだが、洋上には雲が多い。
しかし、偵察機にとってはそれほど偵察しにくい状況ではない。

なのに、求めていた敵は、この周辺海域には居なかった!

『敵は、不断に位置を変えているようだ』

出撃前、飛行長から聞かされた言葉だ。
だが、不断に位置を変えるという事は、艦載機が格納庫に詰まっている場合はとにかく、艦載機が
母艦から出て、敵に向かった場合はあまり位置は変えられない。
下手に変えよう物ならば、艦載機は母艦の位置を見失い、あたらに艦載機を失う原因となる。
やろうと思えば出来ぬ事ではないが、やるにはそれなりの覚悟と、技量が必要となる。

その技量を、敵は持っているのだ。

「敵の野郎・・・・・・ちょこまかと動きやがって・・・・!」

レスリー少佐は、やり場の無い怒りに駆られた。
燃料計を見てみる。機体の燃料は既に3分の1を消費している。

「・・・・どうしたものか・・・・・」

彼はそう呟きながら、頭の中でこれからの事を考え始めた時、

「レスリー、聞こえるか?」

無線機から声が聞こえて来た。
声の主は、レキシントン戦闘機隊長のエドワード・オヘア少佐のものだ。
「聞こえる。オヘア、何かあったのか?」
「大有りだ。うちのアベンジャー隊が南東方面に何かを見つけた。アベンジャー隊の隊長機に聞いたら、船の航跡みたいだ。」
「船の航跡だってぇ!?」
レスリー少佐は素っ頓狂な声を上げた。

「今から向かってみよう!もしかしたら・・・・」
「ああ。俺もそう思う。アベンジャー隊が見つけたそいつを、直接見てみよう。」

それから、攻撃隊は南東方面に反転し、しばらく進み続けた。
そして、反転して20分後。

「航跡か・・・・どこに航跡があるんだ?」

レスリー少佐は先よりも重い焦りを含んだ口調で呟いた。
アベンジャー隊が見つけたと言う航跡らしきものはどこにもない。

「そういえば、レキシントンのアベンジャー隊には、新米が多かったが・・・・・・」

レキシントン、ヨークタウンのパイロットは、他艦と比べて新米が多い。
その割合は両艦とも同じだが、機種によって違う。
ヨークタウン・エアグループでは、新米は艦爆隊や戦闘機隊に多く、雷撃隊は8割ほどが実戦経験者で埋まっている。
レキシントン・エアグループでは、戦闘機隊にベテランが多く、艦爆隊、艦攻隊のほうに新米が集中している。
その新米が、何かを見誤って船の航跡と勘違いした可能性は高かった。

「新米を連れて来るべきじゃなかったな。」

レスリー少佐はがっくりと肩を落とした。再び燃料系に目をやる。
目盛りは半分近くまで来ている。後2、30分も飛べば、燃料は2分の1を消費する。

「最も、母艦に戻ったところで、穴だらけの甲板に脚を突っ込む事になりそうだが。」

そう言いながら、レスリー少佐は乾いた笑みを浮かべた。
もはや、攻撃は失敗であった。




失敗のはずであったが・・・・・・

第24竜母機動艦隊から発進していた偵察ワイバーンの第2陣は、第1陣の偵察隊と違う方角を捜索していた。
モルクンレル中将は、南西から南東海域を捜索させると共に、念の為に東側海域も偵察させた。
原因は、先日襲撃したアメリカ艦隊にあった。
「この間のアメリカ艦隊は、空母を失ったけど、戦艦や巡洋艦等はまだ傷ついていない。このアメリカ艦隊が、
後で出張ってくる空母部隊に呼応して、あたしたちの不意を衝かないとも考えられない。」

リリスティは作戦会議の際にそう言うと、第2陣の偵察ワイバーン隊を念の為に東側海域に飛ばした。
この間の攻撃で、リリスティの機動部隊は小型空母2隻と輸送船1隻を撃沈したが、他の艦艇はまだ無傷である。
敵艦隊には、ペンシルヴァニア級戦艦の他に、ニューオーリンズ級、ブルックリン級巡洋艦や10隻以上の駆逐艦がいる。
いずれも、対艦戦闘力が高く、これまでの戦いで自分達に手痛い損害を与えてきた仇敵である。
それらの艦隊が出撃し、横合いから出張って来られたら戦況は不利になる。
だから、出てくるかも知れぬ敵艦隊を事前に察知しようとして、第2陣7騎の偵察ワイバーンは母艦から飛び立った。
第2陣の索敵ワイバーンは敵艦隊を捜索したが、敵らしい姿はどこにも無く、予定進出点まで飛行した後、反転して母艦に向かった。
帰りは楽であった。後は真っ直ぐ母艦に帰り、休息するだけである。
自然と気が緩んでいた。
クァーラルドから発進した、とあるワイバーンの御者も、鼻歌混じりに帰りの飛行を満喫していた。
長いようでもあったし、短いようでもあった飛行。
そののんびりとした飛行は、目の前に現れた味方艦隊を見て間もなく終わるだろうと、竜騎士は思った。

「さて、帰ったらメシだな。さっきから腹が鳴ってかなわんぜ。」

竜騎士は苦笑混じりに呟いた。
後ろから、羽虫のような音が聞こえたのはその時だった。

「?・・・・・この音は?」

竜騎士はのんびりとした口調で呟きながら、くるりと後ろを振り返った。

失敗したはずだった。だが、米攻撃隊の憂いは、その1秒後に吹っ飛んでしまった。

「隊長!左20度に飛行物体!!」
「何ぃ!?」

レスリー少佐は弾かれたように言われた方向を見る。

「・・・・・・おい。どこにも見えんぞ。」
「いえ、見えます!」

レスリー少佐は苛立ちを含んだ口調で言ったが、それはあっさり否定された。
(そういえば・・・・・ニルス兵曹は視力が2・5はあったな。まさか・・・・)
レスリー少佐は慌てて双眼鏡を引っ張り出し、ニルス兵曹が見つめる報告を凝視した。
雲量が少ないとは言えぬ空。下半分には雲。上半分には青い空が見える。
その片隅に、何かが羽ばたいている。その羽ばたくものをよく見る。
それは、紛れも無くワイバーンであった。

「敵だ!」

レスリー少佐はそう叫ぶと、すぐにマイクを握った。

「こちら攻撃隊指揮官機。全機へ!我が編隊より左20度の方角にワイバーンを発見した。
これより追跡に移る!」

彼は早口で報告すると、攻撃隊の進路をそのワイバーンと同じ方角に変えた。
全機がワイバーンの後ろについて、追跡を開始した6分後。

雲の切れ目から、幾つもの航跡が洋上にあった。その中には、艦影らしき影も幾つか見えた。

「見つけた・・・・・ここで会ったが100年目だ!」

その時、前方遠くのワイバーンがやにわにスピードを上げた。
どうやら、後ろから付いて来る攻撃隊に気が付いて、慌てて逃げ始めたのだろう。

「逃げるか。だが遅いぜ。」

レスリー少佐は獰猛な笑みを浮かべた。

「貴様を、母艦ごと吹き飛ばしてやる!」

やがて、直衛戦闘機隊がドーントレスの前方に位置した。
雲を突き抜けると、洋上が見渡せた。その海には、堂々たる輪形陣を組んだ敵機動部隊がいた。

「マザーグースへ、こちらパラディンク1。敵機動部隊を発見した!これより攻撃に移る!」

彼が母艦に報告した直後、直衛のF4Fが増槽タンクを落とし、速度を上げ始めた。
敵機動部隊は2群いた。それぞれが空母3隻を中心に置き、その周囲に大小10隻以上の護衛艦が布陣している。
そして、上空には護衛のワイバーン隊が待ち構えていた。
後方からも増速した12機のF4Fが、ドーントレス隊を追い越して敵のワイバーンに向かっていく。
前方で、小さく、ごついF4Fと、大きく、獰猛そうなワイバーンが最初の正面対決をやったあと、
彼我入り乱れての空中戦になる。
双方40機ほどの機数であるから、戦力は拮抗している。

F4Fが敵ワイバーンをひきつけている間、ドーントレス隊、アベンジャー隊は敵機動部隊へと近付いていく。

「攻撃目標を分ける。ヨークタウン隊は右の輪形陣、レキシントン隊は左の輪形陣をやれ。グッドラック!」

それが合図だったかのように、攻撃隊は分離し、互いの目標に向かって行った。


第24竜母機動艦隊旗艦、竜母クァーラルドの艦橋で、リリスティは緊張の面持ちで迫り来るアメリカ軍機を見ていた。

「畜生・・・・・途中までは上手くいってたのに!」

いつもは明るい表情を絶やさない彼女にしては珍しく、悔しげな口調で呟いた。
アメリカ軍機は、高高度と低高度に別れ、それぞれが艦隊の右側から輪形陣に進入しようとしている。
何機かのワイバーンが、高高度の敵に取り付いた。
高高度の敵。アメリカ軍の攻撃機であるドーントレスが応戦している。
ワイバーンがドーントレスの編隊を上から下に飛び抜けた時、1機のドーントレスがよろめいた。
機体から白煙を噴きながらも、必死に編隊から離れまいとしている。
そのドーントレスにも別のワイバーンが光弾を叩きつける。
突然、ドーントレスの左主翼が叩き折られた。ドーントレスが力尽きたように急降下をはじめ、やがて海面に直行して行った。
戦闘ワイバーンは3機のドーントレスを撃墜したが、それらは既に艦隊の輪形陣上空に到達していた。
外輪部の駆逐艦が高射砲を撃ちまくり、ドーントレスの周囲で砲弾が炸裂する。
駆逐艦のみならず、護衛の巡洋艦や戦艦も、高射砲を発射し、ドーントレスの前面に弾幕を張り巡らす。
1機が、格闘術の使い手に顎を叩かれたかのように機首を突き上げられ、その後墜落した。
別の1機が突然大爆発を起こし、輪形陣の上空にどす黒い花を咲かせた。
だが、ドーントレス群は止まらない。

10機ほどに減ったドーントレスは、リリスティらが顔を上向かせるほどの位置まで来た時、翼を翻して急降下に入った。
それらの機影は、まっしぐらにクァーラルドへ向かっていた。

「敵機急降下!本艦を向かって来ます!」

見張りの叫び声が伝声管を通じて艦橋に響いた。
(よりによって、あたしが乗っている艦とはね)
リリスティは内心でそう思いながら、事の成り行きを見守り続ける。
上空に甲高い轟音が鳴り始めた。
リリスティ、いや、第24竜母機動艦隊の将兵が初めて聞くドーントレス特有の音だ。
レアルタ島沖海戦以来、シホールアンルの陸海軍部隊が嫌と言うほど聞かされた死神の哄笑だ。
クァーラルドの高射砲ががんがん唸り、魔道銃も加わって艦上はより喧しくなった。

「取り舵一杯!」

艦長が大音声で号令を下す。
すぐに舵は利かない。クァーラルドほどの大型艦では、魔法石の補正があるとはいえ回頭に及ぶまでは
30秒ほどのタイムラグがある。
その間にも、ハニカムフラップから発せられる音は大きさを増し、ともすれば胸を押さえたくなるような
思いに駆られる。
リリスティはなるべく平静さを維持しようとしていたが、緊張で頬はやや赤らみ、次第に息が上がり始めた。
クァーラルドの艦首が左舷に振られ始めた時、轟音は極大に達した。

「敵1番機爆弾投下!」

の報告が入るのと、敵艦爆がエンジン音を唸らせながら飛び去るのはほぼ同時に起きた。

次の瞬間、クァーラルドの右舷後部側の海面に1000ポンド爆弾が落下し、高々と水柱が吹き上がった。
次に右舷艦首側海面に至近弾が落下し、束の間クァーラルドが前から持ち上げられたような衝撃が伝わった。
3発目、4発目がクァーラルドを囲むように左舷側と右舷側海面に落下し、水飛沫が盛大に撒き散らされ、
海水がクァーラルドの飛行甲板を水浸しにした。
5発目、6発目は離れた場所に着弾して空しく水を吹き散らした。
7発目が来るかと思われた時、

「はっ!?」

リリスティは、前部甲板に現れたそれが信じられなかった。
(なぜ・・・・敵機が体)
言葉はそこで区切られた。
次の瞬間、壮絶な爆発音が鳴り響き、前部甲板から夥しい破片が吹き上げられる。
爆弾の断片や、バラバラになったドーントレスの破片が魔道銃の操作要員を殺傷する。
格納庫では、先日の海戦で傷つき、療養していたワイバーンを熱風で焼き、爆風で吹き飛ばし、
破片でズタズタに引き千切った。
その衝撃に立ち直る暇すら与えられずに、新たな1弾がクァーラルドの中央甲板に突き刺ささった。
ズガァーン!という大音響が乗員の耳を麻痺させ、破壊された破片が艦上、海上問わずに粉雪のごとくばら撒かれた。

「うっ・・・・く!」

リリスティはなんとか倒れずに踏みとどまった。
ドーントレスのみの攻撃は終わったが、攻撃そのものはまだ終わっていない。

「次は・・・・」

彼女は右舷側に顔を向ける。

そこには、いくつもの黒い粒が、海面を這うような高度で迫って来ている。

「敵雷撃機接近!」

見張りが金切り声をあげて伝えてくる。リリスティは目を凝らして、雷撃機を見た。
数はこれまた10機ほど。いや、正確には12機ほどである。
護衛艦の射撃にも臆する事無く、ひたすらこのクァーラルドを目指している。

「あたしも恨まれたものね。」

リリスティは苦笑混じりに呟いた。
彼女は奇策を用いて、多くの敵を海底に送り込んできた。
リリスティは敵から見れば恨まれて当然の存在だ。
敵に災厄をもたらしたリリスティの艦に、今、更なるアメリカ軍機が向かいつつある。
それも、必殺の魚雷を抱えて。
唐突に、1機のごつい雷撃機が、翼から火を噴いた。
光弾に撃ち抜かれたのか、その雷撃機はひとしきり空中をのたうった後、もんどりうって海面に突っ込む。
別の1機は横合いら無数の光弾を集中され、コクピットのガラスが砕け散る。
バランスを崩した雷撃機はそのまま、機首から滑るようにして海面に突っ込み、盛大に飛沫を吹き上げた。
クァーラルドからも、光弾が放たれる。
無数の光弾が残りの雷撃機を包み込もうとするが、どうしてか、敵雷撃機はなかなか落ちない。

「あれが、デヴァステーターの代わりに出てきた敵の新鋭機。」

リリスティは畏怖を込めた口調で呟いた。

あの新鋭機がこの戦争に現れたのは、グンリーラ海戦の時である。
ヘルクレンス少将の話によると、その雷撃機は、外見はデヴァステーターより大きく、鈍重そうであるが、
スピードはデヴァステーターより速く、頑丈で落としにくいらしい。
実際その通りである。
目の前の新鋭機は、吹きすさぶ光弾の嵐を撥ね退けるかのように、確実にクァーラルドとの距離を詰めつつある。
そして、気が付く頃には、雷撃機は巡洋艦、戦艦の防御ラインを突破し、クァーラルドの至近に迫っていた。
艦長がすかさず面舵一杯を命じ、クァーラルドの艦体が、時間を置いてから右に振られ始めた。
その時、ごつい機体の胴体から、細長い棒状の物体・・・魚雷が海中に投げ込まれた。
無造作とも思える動作だが、雷撃機は魚雷を投下した後、スピードを上げてクァーラルドに向かって来る。
雷撃機は無数の光弾をものともせずに、次々と魚雷を投下する。
クァーラルドの速度を見誤ったのだろう、魚雷は次々と後ろの方向に抜けていく。

「単一方向からの雷撃なら、このように、かわす事など造作でもない!」

艦長は、米雷撃機の拙劣な攻撃に、嘲るような言葉を放つが、顔は全く笑っていない。
まだ雷撃機は4機残っており、それらが回頭するクァーラルドを執拗に追い回す。
そして、クァーラルドの右舷側800メートルに迫った雷撃機は、一斉に魚雷を投下した。

「まずい!」

リリスティはやられたと思った。
4本の魚雷は先の雷撃とは違い、いずれもクァーラルドの至近を通るような形だ。
先の雷撃機は、どうやら腕の悪い乗員が操っていたのだろうが、この4機の乗員は、いくつかの実戦を
経験したベテランなのだろう。
4本の真っ白な航跡が近付いて来る。そのうちの2本は、どうにか艦尾側から外れそうな位置に居る。

だが、2本は右舷中央部に直角に近い角度で、真っ直ぐ突き進んできた。

「敵魚雷、2本外れます!」

見張りの声が聞こえるが、リリスティは目を大きく見開いて、向かって来る航跡を凝視している。
クァーラルドの上空を、低空で敵雷撃機が通過して言った。
胴体後部に描かれた鮮やかな国籍マークが、一瞬ながらも目を引く。
魚雷は、あっという間に舷側の陰に隠れる寸前まで来ていた。

「来る!」

彼女はぐっと歯をかみ締め、腹に力を入れて衝撃に備えた。
そして、航跡が舷側の陰に消え、艦体に小さな金槌が叩いたような感触が感じられた。
直後、ズドーン!という轟音と共に、下から突き上げるような激しい衝撃がクァーラルドの艦体をガクガクと震わせた。
右舷中央部に物凄い水柱が吹き上がり、引きちぎられた鋼板の破片が空に吹き上げられた。
リリスティら幕僚は、魚雷命中の衝撃に耐えられず、全員が床を這わされ、尻餅をついた。
魚雷は、右舷中央部に命中すると、命中箇所に張られていたバルジを突き破って防水区画に達した。
防水区画に弾頭を覗かせた直後に魚雷は炸裂した。
爆発は周囲の区画をひとしなみに粉砕し、離れた区画の隔壁までもが、爆風で捻じ曲げられてしまった。
命中箇所は大穴が開き、大量の海水が艦内に浸入しつつあり、すぐに駆けつけた応急修理班が、
未だに浸水の及んでいない区画の扉をすぐに固く閉ざす。
中には、まだ生き残っている兵がいる区画もあったが、彼らはその者達の脱出を確認する間もなく
次々と隔壁を閉めて行った。
クァーラルドは振動が収まると、そのスピードを徐々に落とし始めた。
誰もが体に残る痛みを振り払おうとした時、左舷側の方でもくぐもった爆発音が聞こえた。

「ああっ!ケルグラストが!」

幕僚の1人が泣き出しそうな声音で被雷した艦の名を呼んだ。
たまたまクァーラルドの左舷にいたオールクレイ級戦艦のケルグラストが、アベンジャーが外した魚雷を
艦首に受けてしまった。
魚雷はケルグラストの右舷側艦首部分に突き刺さると、艦首の下部分の側壁を食い破り、艦内に多量の海水を侵入させた。
魚雷は艦首付近の隔壁を海に変えたほか、錨鎖庫にあった錨を根こそぎ吹き飛ばして海中に叩きこんだ。
被雷の影響で13.5リンルのスピードで走っていたケルグラストはみるみるうちに速度を衰えさせ、
気が付いた時には艦首を心持ち下げ、ゆっくりとした速度で航行していた。
ケルグラストの被雷を最後に、第1部隊に対する空襲は終わった。

「チッ・・・・・敵もなかなかやるわね。」

リリスティは、飛行甲板に目をやりながら悔しげに呟く。
クァーラルドの甲板は、1発の爆弾と、敵艦爆の体当たりによって、中央部と前部に被害が及んでいる。
被害箇所からは濛々と黒煙が噴出しており、乗員が総出で消火作業に当たっている。
魚雷が命中した右舷側では、既に火災も鎮火し、浸水も止まっているようだが、このクァーラルドが修理をしない限り、16リンルの高速を出せぬ事は確実である。
10分後、応急修理班の班長が艦橋に上がってきた。

「艦長、現状報告に参りました。」
「うむ。言ってくれ。」

艦長は頷きながら、班長を促す。

「まず、爆弾の命中箇所ですが、敵の爆弾はいずれも格納庫付近で炸裂しており、中で休息を取っていた
ワイバーン8騎が巻き込まれました。ワイバーンはいずれも即死です。格納庫内部は未だに火災が鎮火できて
おらず、ワイバーンの前部居住スペースはほぼ全焼です。今の所、延焼は食い止めましたので、しばらくしたら
鎮火に向かうかと。」

「飛行甲板の穴は、本国で本格的に修理せねば塞ぎきれんな。」
「確かに、この海域での修理は無理があります。次に、魚雷の命中箇所の被害ですが、
右舷中央部の4区画に浸水し、現在隔壁を補強して浸水を食い止めています。」
「班長、敵の魚雷は2本命中した。その割には被害が少ないな。どうしてだね?」
「確かに2本命中していますが、1本は不発魚雷で、右舷のやや後部よりの部分に命中して艦に突き刺さった
ようですが、確認したところ、魚雷自体は見つからず、小さな穴が開いているだけでした。」
「そうか・・・・道理で。」

艦長はやや安堵した表情を浮かべた。

「しかし、艦体にダメージを負っている事は確実です。我々の判定では、クァーラルドは12リンル以上の
スピードは出せません。それ以上出せば、水圧で隔壁が破壊され、艦内の浸水が拡大します。」
「そうか。総合的な判定は中破、と言う所か。」
「私から見れば、辛うじて中破の範囲内と言うところでしょうか。2本目の魚雷が炸裂していれば、
間違いなく大破確実でしたよ。」
「要するに、このクァーラルドは、竜母としてはしばらくお払い箱と言うことね。」

それまで会話を聞いていたリリスティが言う。

「言いにくい事ですが、そうなります。」
「・・・・・まあ、沈まなかっただけでも良し。沈みさえしなければ、修理していくらでも使えるんだから。」
彼女はふと、艦橋の右側海域を見てみた。
右側、もとい、東の海域には第2部隊がいる。その海域からも、2つの黒煙が上がっていた。

2時間後、攻撃隊が戻ってきて、竜母に収容した後、彼女は魔道参謀から報告を受け取った。
ざっと見渡してから、彼女は思わず目眩を感じた。

先のアメリカ軍機は、100機ほどで第24竜母機動艦隊を襲った。
戦闘ワイバーンの迎撃と、艦隊の対空砲火で20機以上を撃墜したが、第1部隊では旗艦クァーラルドが爆弾1発、
敵艦爆1機の体当たりを受けて飛行甲板を傷付けられ、右舷に魚雷1本をぶち込まれて中破。
次に、戦艦ケルグラストが艦首に魚雷1本を受けて浸水。
ケルグラストからは10リンル以上のスピードは出せぬと報告があり、これも判定は中破。
第2部隊の被害は、第1部隊よりやや大きかった。
第2部隊旗艦の竜母ギルガメルは、爆弾2発を受けた。小型竜母のリテレは2本の魚雷を受けて大破。
沈没は免れそうだが、速力は7リンルに低下しているため、修理せぬ限り戦闘に加われない。
そして、肝心の攻撃隊の被害である。
攻撃隊は、第1部隊から戦闘ワイバーン32騎、攻撃ワイバーン52騎。
第2部隊からは戦闘ワイバーン30騎、攻撃ワイバーン40騎が出撃した。
本来ならば、これより2、30騎多めのワイバーンが出せたはずなのだが、23日の戦闘で少なくない数の
ワイバーンが傷ついていため、リリスティは仕方なく、この数だけで米機動部隊に向かわせた。
そして、帰還してきたワイバーンの数は、出撃時と比べて明らかに減少していた。
第1部隊から出撃した84騎のうち、帰還したものは戦闘ワイバーン26騎、攻撃ワイバーン28騎。
第2部隊から出撃した70騎のうち、帰還したものは戦闘ワイバーン23騎、攻撃ワイバーン23騎。
以降、戦闘不能に陥ったワイバーンは暫定だけで戦闘ワイバーン3騎、攻撃ワイバーン12騎。
合計で69騎のワイバーンを戦列から失ったのである。
損耗率は実に4割近くに達する。
ワイバーンを精魂込めて育てている養成部隊の将兵が見たら、卒倒しかねぬ損害である。
それに対し、戦果はレキシントン級正規空母1隻とヨークタウン級空母1隻を大破させ、敵の母艦機能を喪失させた。
撃沈とまではいかなかったが、リリスティの手持ち竜母は無傷のものだけでもまだ3隻あり、
攻撃ワイバーンも未だに50騎以上は確保できる。
しかし、敵の空母は2隻のみ。いずれも酷く傷ついている。追い打ちすれば、撃沈は間違い無しだ。

「とりあえず、報告を送ろう。西艦隊司令部は結果報告を待っているはず。」

彼女は青ざめた表情を振り払ってから、いつもの明るい口調で魔道参謀に報告を送らせた。
命令を受け取った魔道参謀が艦橋から出て行く。それと入れ違いに、別の魔道士が艦橋に現れた。

「司令官。例の新鋭艦の絵が出来上がりました。」

リリスティは無言で、数枚の紙を受け取った。
白い紙には、船の絵が書かれていた。リリスティは1枚目の絵に目を通す。
攻撃隊指揮官の報告では、アメリカ機動部隊の対空砲火は激しく、投弾前に撃墜されたワイバーンが多数に上ると伝えていた。
その中に、対空火力を向上させた未知の新鋭艦が複数混じっていると言われていた。
描かれたイラストのうちの1枚が、竜騎士が見た新鋭艦である。
雑に書かれているように見えるが、よく目を凝らせば、簡単ながらも全体のバランスは取れている。
前部甲板に階段状に配置された連装式の3つの砲塔、そして後部にも同様な階段状に配備された3つの連装砲塔。

「奇抜なデザインね。」

リリスティはそう呟いた。見るからに、対空用に特化した軍艦である。
これと似たような艦は、2月のガルクレルフ沖海戦でも確認されており、この巡洋艦の放つ対空火網は殊強力であり、
この艦に少なくとも5~6騎のワイバーンが食われたという。
それと同様の艦が、米機動部隊の輪形陣に1隻ずつ確認されている。
他の2枚の絵は、戦艦の絵だった。
この2枚の戦艦は、これまで見てきたアメリカ戦艦の特徴である、三脚マストや籠マストではなく、尖塔のような艦橋である。
それだけに、洗練された感があり、スピードもそれまでのアメリカ戦艦より速そうだ。
いや、実際速い。
この2隻の戦艦は14リンルほどのスピードでアメリカ空母と共に疾走して、これまた激しい対空砲火を放っていたと言う。

名前こそ知らなかったが、ワイバーン隊が目にした艦は、新鋭戦艦のノースカロライナとサウスダコタ。
それに新鋭軽巡のジュノーとサンディエゴである。

「新たに攻撃隊を送っても、少なくない犠牲が出るわね。」

リリスティは深いため息をついた。
ハリネズミのように対空砲を積んだ艦がいるのだから、道理で未帰還騎が増えるわけだ。
「でも、敵が守りに入っていると言う事実には変わりない。こうなったら、敵の空母を沈めるまで
攻撃隊を出し続けるわ。」

リリスティの双眸に火がついた。彼女はこの機会を絶対に逃さない腹である。
20分後、魔道参謀が西艦隊司令部から魔法通信を受け取り、その内容を報告した。
その時、自信に満ちたリリスティの表情は、一瞬のうちに豹変した。

「・・・・ねえ。これは確かに西艦隊司令部の命令?」

リリスティは務めて平静な口調で魔道参謀に質問する。

「はい。そうであります。」
「・・・・そう・・・・・分かったわ。」

彼女は何かを抑えるような表情を浮かべる。
普段、美しいとまで言われた美麗な顔が真っ赤に紅潮し、人を引き付ける大きな目は、悪鬼の如く血走っていた。
しばらくして、リリスティは顔を上げ、新たな命令を発した。

「これより、作戦を終了する。第24竜母機動艦隊は今からエンデルドに帰投する。」

8月25日 午後3時 ノーベンエル岬沖南180マイル地点

第17任務部隊司令官である、フランク・フレッチャー少将は、紙の内容を読み終えてからどこか
ホッとした様な表情を見せた。

「敵機動部隊、北に反転せり、か。信じられんな。あと1度は敵の攻撃があると思っていたが。」

フレッチャー少将は、傍のガース参謀長に顔を向ける。

「ミスターガース。どうやら敵さんは戦場から引き返しているようだが。」
「・・・・・・・・・・」

ガース参謀長はやや困惑して、しばらく押し黙った。

「司令、はっきりとは分かりかねますが、恐らく敵機動部隊にも相当なダメージを与えたのかもしれません。」
「相当なダメージだと?」

フレッチャー少将はそう言ってから、先の戦果報告を思い出した。
アメリカ機動部隊は、TF14、17とも、主力である空母を大きく傷付けられた。
レキシントンは爆弾7発を受け、被弾から20分後に燃料庫が誘爆して速度が低下しているが、
幸いにも沈没には到らなかった。
飛行甲板は完全に破壊されたが、機幹部の損傷は少なく、18ノットのスピードなら航行が可能だ。
ヨークタウンも爆弾3発を受けて一時発着不能に陥ったが、攻撃隊が戻って来た午後2時20分には、
申し合わせたように飛行甲板の応急修理が完了し、なんとか発着が出来るまでになった。
戦果は敵小型竜母1隻撃沈、(だが、実際は大破止まり)正規竜母2隻大破。戦艦1隻中破という
輝かしい戦果をあげ、敵機動部隊に充分なお返しが出来た。

敵ワイバーンも18騎を撃墜したが、攻撃隊の損害も少なくなく、F4F9機、SBD8機、TBF8機を失った。
喪失機は味方機動部隊上空の戦闘で失われたF4Fや、ヨークタウン、レキシントンの格納庫で失われた数を
含めれば、実に84機に上る。
だが、ヨークタウンは中破したとはいえ、健在である。
使用できる航空機はレキシントン・エアグループの艦載機も含めて70機以上。
数は激減したとは言え、依然、機動部隊としての能力は生きている。
フレッチャー少将は、この残存機を持って、続く第2波の敵攻撃隊に備えようとした。
だが、戦艦ノースカロライナから発艦した水偵が先の報告を伝えてきた。
結果、この海域での戦闘は幕を閉じたのである。
「しかし、竜母の半数を戦列から失ったとは言え、敵は未だに100騎ほどの航空兵力を有しているはず。
それなのに引き返すというのは解せんな。」
「私も同感であります。しかし、敵さんにあと一戦挑まれていたら、危なかったですな。」

ガース大佐はどこか嬉しげな口調で言う。

「レディレックスは既に死に体です。あの状態で更なる攻撃が加えられれば、恐らく・・・」

脳裏にある光景が浮かぶ。
無数のワイバーンにたかられ、苦悶にのたうち回るレキシントン。
艦体からは激しく黒煙を噴き出しながらも、ワイバーンの攻撃は止まない。
やがて、息の根を止められたレキシントンは、そのまま異世界の海に沈んでいく。
悪夢のような光景である。だが、そのレキシントンも、敵の気紛れとも言える反転で生き長らえた。

「ああ。終わって本当によかった。」

フレッチャー少将はそう言いながら頷いた。

「しかし、味方も大分やられてしまった。ヨークタウンはまだ軽傷・・・とは言えないが、レキシントンは
長期入院が必要だな。参謀長、一旦ジェリンファに戻って休息した後、ヴィルフレイングに戻ろう。」
「分かりました。」

2つの機動部隊は、傷ついた空母を守りながらも、舳先をジェリンファにへと向けた。
シホールアンル、アメリカ両国が後に呼ぶことになるバゼット半島沖海戦という戦いは、
互いに痛み分けと言う結果に終わった。

アメリカ海軍の将兵は、このバゼット半島沖海戦という字の前に、第1次という文字が追加される事を、
この時点で、誰1人知る事はなかった。
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