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「………………ハッ!!?」

ズッケェロが目覚めた時、そこは変わらずホテルの一室。
そして周りにはツェペリにドルド、ジャイロがこれまた変わることなくそこにいた。
………だが、彼は自分を見る視線が妙なものになっていることに気付くと不機嫌になり、激高する。

「て、てめーらなんだその目は! いったい何を………!?」

そこまで叫んだところでズッケェロは異変に気付く―――手が、足が動かない。
手は後ろ手に回され、180度に曲げられた脚の先と腰のあたりでぴったりとくっつき、地面に転がされていた。
縛られている感じはしないのに手も足もまったく外れる様子がないのに焦りつつ、ズッケェロは顔だけをあげて睨みつける。

「てめーら、こんなことしてタダで済むと思うなよ………オレは―――」
マリオ・ズッケェロ、ローマ在住でギャング組織『パッショーネ』の一員、スタンド名は『ソフト・マシーン』………
 ポルポという男の隠し財産を手に入れるため仲間のサーレーと組んで同じ組織に所属するブローノ・ブチャラティのチームを襲撃………
 五人を人質に取りブチャラティ本人と一対一まで持ち込んだところでこのゲームに参加させられた」
「………? なんでてめーがそんなこと知って………」

静かに語りだしたのはドルド。
彼の口から自分の情報が次々と出てくるのにズッケェロは呆然とする。

「なんでそんなこと知ってるか………? オメーがそういうってことは本物だったってわけか。
 ったく『くっつく波紋』といいスゲー技術があったもんだね、ホント」
「きみのその『鉄球』の技術もたいしたものだと思うがの、それよりも疑われていたとは心外じゃわい」
「そういわれても、なあ………」
「てめーら、オレを無視すんじゃねーッ!!」

我に返り再び叫ぶが、彼も先ほどまでと比べて明らかにおかしいこの状況に気づかないほどマヌケではない。
やがてジャイロが種明かしをするが………その内容は彼にとって驚愕のものだった。

「波紋による催眠術………ウィルがおたくを眠らせて、事情を全て聞き出したんだ。
 ビーティーが言った通り、隙間に隠れて音石を殺害した一部始終も含めてな………やってくれたな、オイ」
「え……あ……お……」
「言っておくがスタンドを出した場合、逃走の意思ありと見なして即座に『始末』する………全員一致で許可したことだ」

ドルドが付け加えた言葉でズッケェロは顔面蒼白になる。
自分の経歴が割れていた以上、おそらく今聞いたことは事実。
となればスタンドを出そうが出すまいが、いつ殺されてもおかしくはないのだから。

「て、てめーッ………ツェペ………リ………」

どうにかツェペリのほうへと顔を向けたズッケェロは言葉を失う。
ベッドの上にいたツェペリが、今までの彼からは想像もできないほど冷たい目で自分を見下ろしていたからだ。

(あ、あの目………養豚場のブタでもみるかのように冷たい目だ………「かわいそうだがあしたの朝には肉屋の店先にならぶ運命のようだね」ってかんじの!)

普段温厚な人物ほど怒らせると恐ろしい………ツェペリの気迫は、シャバイ脅しにはビクつきもしないはずのギャングを怯えさせるほどのものであった。
完全に戦意喪失したズッケェロはついにその口を閉じ、震えはじめる。
この場にいないビーティーとアヴドゥルの行方について疑問に思うことも無く………


#


その頃のビーティーとアヴドゥルはというと、ツェペリの頼みで音石を埋葬するためホテルの外に出ていた。
遺体は燃やさずにホテル近くの地面へと埋められ、墓標代わりに彼の愛用していたエレキギターが備えられる。
ほかの参加者に遭遇することも無く埋葬はつつがなく行われ、後は戻るだけであったが、ここにきてアヴドゥルが何事かを考え込み、上の空となっていた。

「………………」
「―――アヴドゥル、聞いているのか、アヴドゥルッ!」
「………! あ、ああ、すまない。どうかしたのかな」

当然ビーティーにたしなめられ、正気に戻る。
彼もアヴドゥルにいろいろ思うところがあるというのはわかっていたが、半ば命を預ける立場としては時と場所をわきまえてほしかった。

「どうかしたのか聞きたいのはこっちのほうさ、さっきから何をそんなに考え込んでいるんだ?」
「う、うむ………ブチャラティという男の素性がわかったのはいいのだが、まさか彼がギャングだったとは思わなくてね」
「考えるな、とは言わないがもうすこし余裕のあるときにしてもらいたいな。きみがそんなんじゃあ下手すると二人まとめて御陀仏の可能性があるからね………
 少し、落ち着ける場所まで会話でもしながら動こうか」

ズッケェロから引き出したブチャラティチーム、さらに見せしめで殺された男たちの一人―――ジョルノ・ジョバァーナの情報。
意外なところで重要な手がかりが得られたものの、ギャングである彼らとポルナレフ、そして主催者にどんなつながりがあるのかはいくら考えてもわからなかった。
疑問を口にしようとするがその思考はお見通しだったらしく、先に言われてしまう。

「言っておくが彼らをどう思うかなんて聞かないでくれよ、ぼくだって見たことも聞いたこともない人物のことなんてさっぱりわからない」
「そうだな………ポルナレフの言っていた『ディアボロ』は放送で呼ばれたようだが、『レクイエム』に『矢』とはいったい………」
「………幸か不幸か、彼のチームのメンバーは全員が参加させられているようだし、直接会って聞くしか方法は無いだろう」

適当な会話をしながらホテルの扉があった場所をくぐる。
一息つくため階段に腰を下ろすと、話題は先ほど解決した事件へと移っていった。

「しかし恐れ入ったよ。あの事件、ツェペリさんの話を聞いて少し現場検証をしただけで即座に解決してしまうとは予想外だった」
「スタンドの存在さえ知っていれば比較的簡単な話だよ。第一ズッケェロの犯行はスタンド能力に頼っただけでトリックも何もあったもんじゃない。
 犯人が超能力で殺人を行い、それを催眠術で自白させて解決なんてとてもじゃないがミステリーとはいえない代物だよ、まったく………」
「スタンド能力はひとりひとり違うし、能力そのものを隠すなんて容易だ………スタンドによる事件を証明するなど、ずっと不可能だと思っていたよ。
 デイパックの内外における血痕の有無を証拠にするなんて、普通ならとても思いつかないものだ」

惜しみない賞賛の言葉を送るアヴドゥル。
するとビーティーはとんでもないことを言い出した。

「ん?ああ、あれか。そんなに都合よく血痕が残っているかどうかなんてわからなかったからな………
 デイパックの外側に使ったのはただの蛍光塗料で、内側に使ったのは容器を入れ替えた単なる水だといったら信じるかい?」
「な………!?」
「そもそも、あの事件はスタンド能力なんて証明する必要はどこにもないくらいだよ。
 例えば事件時に全員の指紋をナイフについていたものと比較して、犯人は自分たちの中にいないことを確認するだけでも争いは収まったろうに。
 というより、ツェペリもツェペリだ。あんなことができるのならさっさとやっていればよかったものを………」

おかげで仕込みが無駄になってしまったじゃあないか、とビーティーは妙なことをつぶやく。
証拠がでっち上げということに思わず絶句するアヴドゥルだったが、犯人自体は正しかったのだと無理矢理納得して会話の続きに戻る。

「………会ったばかりだがなんとなくわかる、ツェペリさんは高潔な人物だ。他人を自分の意のままに操る、ということを嫌悪していたのかもしれないな………
 それに彼のデイパックから死体が出てきたという時点で発言権はなかっただろうし、他の者も自分たちの中に殺人犯が混ざっている可能性が極めて高い状況で無防備にはなりたくない。
 加えて言うなら、もし催眠術を使うことを容認されても腹話術で自白の振りをしているとでも疑われればそれまでだったんだろう」
「ぼくも催眠なんてかけられるのはいやだが、だとしてもだ。ツェペリが『自分は犯人を特定する術を持っている』と周囲に知らせるだけで大分違った展開になったはずだよ」
「そうもいかなかったのだよ………こればかりは、年月を重ねなければわからないことだろうな」
「理解したところで役に立たないことは彼ら自身が証明しただろう? たとえ精神的貴族に位置しようとも、それだけでは何の意味もなさないね」
「………………」

手っ取り早い解決こそが最善の方法と信じる―――こういう考え方はやはり子供特有のそれだな、とアヴドゥルは思う。
もっともビーティーの本質はそこではなく、仮に正しかったとしても『子供だからこそ』恐ろしい部分があるのだが。
ともあれ、そんな子供が何故真実に気付くことができたのか疑問は尽きなかった。

「………いつからズッケェロを犯人だと疑っていたんだ? ドルドが怪しいとは思わなかったのか?」
「きっかけはぼくが『策』を考えるために一度離れたとき………上へ行って戻ってくるあいだに、ぼくは音石の死体を既に見ていたんだよ。
 当然最初に疑うべきはホテル内にいたあの二人………だからぼくはわざわざ彼らの第一放送までの行動を聞いたというわけさ。
 案の定、ズッケェロはその場でぼろを出した」
「そんなに早くからか………しかしぼろを出した? 確かに彼の話は不確かなものだったが………」

虚空を見ながらズッケェロの話を思い返すアヴドゥル。
ビーティーはそのしぐさを見て薄笑いを浮かべながら言った。

「人間にはいろいろな『くせ』というものがあってね………
 たとえば考え込むときに自分の記憶を思い返している場合は今のきみのように左上を見るが、ありもしないことを空想しているときは右上を見るという習性さ。
 実際、これまでの行動を話す前にドルドは左上、ズッケェロは右上を見ていた………とはいえ、人間全てに当てはまるわけじゃないからあくまで参考程度だけどね。
 これによって怪しいと感じたズッケェロの話をよく聞くと、明らかな矛盾点が一つあった」
「矛盾………?」
「よく思い返してほしい。ぼくたちがこのホテルに入る直前、きみはどう感じた?」
「どう、といわれてもな………ひどい有様で、中に入るのはちょっとためらわれたということぐらいしか覚えていない」

自信なさげに答えるアヴドゥルだったが、ビーティーは小さく頷いた。

「それで十分だよ。さて、ズッケェロの話だとヤバイ奴に会わないよう、争う音にすら近づかず慎重に移動してきたそうだ。
 そんな男がいくら廃ホテルとはいえ、あちこち崩れたり穴が開いている上に血痕まで残っている入り口に一人でノコノコと入っていくと思うかい?」
「なるほど、わたし達の場合は『仇を探す』という目的があったから探索に踏み切ったが、確かに普段なら近づくのは御免被りたい状況だな」
「そう、ぼくですら調べても何があったかはわからなかったが、少なくとも自然にあのような状態になったわけではないことは一目瞭然だし、ちょっと見れば現場の状態が真新しいことにすぐ気づいたろう。
 すなわち入り口付近をここまでメチャクチャにした奴が近くに潜んでいてもおかしくない、普通はそう考えるだろうね。
 そしてホテル内に特別な用事も無く、ヤバイ奴に会いたくないのならその時点でホテルからできるだけ遠くに逃げるはず………
 ズッケェロ自身の今まで誰とも遭遇していない、という証言も合わせると、彼がホテル内に潜んでいたのは明らかに『不自然』だった」
「つまり、その時点で彼の話はでたらめだと?」
「その通り。今思えばズッケェロは破壊の元凶である化け物たちは既にホテルを去り、戻ってくる可能性はまずない―――
 そして残っているのはお人よしのツェペリたちだけだということを知っていて、ホテル内の方が安全と判断したんだろうね」

まあそれはさておき、とビーティーは話を戻す。

「ぼくはズッケェロの話は嘘で、彼はもっと前からホテルにいたことを隠している………つまりは音石を殺害したと知られたくないのだと思った。
 ところがその後、ずっとホテル内にいたツェペリの話を聞いても、その中にはズッケェロの名前がまったく出てこないじゃあないか。
 ツェペリの話のほうが嘘というわけではなさそうだし、ならば何故ズッケェロはホテルに今来たばかりだという嘘をついたのか………
 そこでピンと来たのさ。ツェペリが認識していないだけで、本当はズッケェロも事件に関わっていたんじゃあないかとね。
 そして事件に関わった者の中で、関わりそのものを隠す必要があるとするなら、それは『犯人』だけ………
 後はつじつまが合うように考えていけば事件の真相に辿りつくのはそう難しいことじゃあなかったよ。
 むしろ他の者が無実だという理由付けと、犯人を明かす前にぼく自身が狙われないようにする、ということに気を使ったぐらいさ」
「むう………」
「それに、彼は要所要所で怪しいそぶりを見せていたよ。たとえばぼくが死体を調べに行くと言ったとき、ズッケェロはドルドに押し付けようともせず自らついてきた。
 ぼくとアヴドゥルが自分を連れ出し、二人がかりで亡き者にしようとしている可能性があったにもかかわらずだ。
 おそらく、ぼくらがなにかに気付くんじゃないかと警戒して見張るつもりで同行したんだろう。
 ぼくの真の目的が死体の調査などではなく、告発の際に床の隙間から不意打ちされないための道具………テーブルを手に入れることだとも知らずにね。
 ホテルの入り口で遭遇した際にきみがぼくを引っ張って奴の攻撃を回避できたことから、射程距離そのものはたいして長くないことを知れたのはラッキーだった。
 あの時はお節介だと言ってしまったが、今となっては感謝しているよ」
「………………」

あのテーブルにはそんな意味があったのか、という言葉すらもはや出ないアヴドゥル。
その間にビーティーの話は後半の疑問………ドルドのことへと移っていった。

「ちなみにドルドに関しては彼の話が全て真実だと仮定した場合、ハンググライダーを使って屋上からホテル内に進入したと予測されること、それに彼が軍人ということを考えて犯人から除外した。
 入り口の惨状を見ていないのならホテル内にいてもおかしくないし、戦闘訓練を受けた者ならあの状況では心臓なんて刺すよりも喉元を掻っ切るほうが自然で賢いやり方だと知っているだろうからね」
「仮定………か。ビーティー、ドルドは信用できると思うか?」
「きみと同等に、という意味なら間違いなくNOだ。ドルドはまだ何か隠していることがありそうだしね。
 『既に捕獲されていた』とはどういう意味なんだか………ところでアヴドゥル、話は変わるがきみは賭け事は好きかな?」
「??賭け事? いきなり何を言い出すんだ?」

唐突過ぎる話題変化に戸惑うアヴドゥル。
だがビーティーはどこ吹く風で答えを促す。

「いいから答えてくれ。ぼくから言うならば、大好きさ―――自分で言うのもなんだが目が無い、といっても過言じゃあないね」
「わたしは………正直あまり好きではない。わたし自身賭け事向きの性格をしていないし、最近もあまりいい思い出が無いものでね………」
「おや、そうかい? 日常生活においてあのスリルはなかなか味わえないと思うが………まあいいさ。
 本題に入るが、これからぼくとちょっとした賭けをしないか?」
「………………まず賭けの内容と何を賭けるのか、それらをハッキリ言ってくれないか? 包み隠さず言えば、そうしないと怖くてとても受ける気にならない」

以前エジプトのカフェで魂を奪うスタンド使い、ダニエル・J・ダービーと戦ったことを思い出す。
結局アヴドゥル自身が勝負することは無かったものの、あれほど肝を冷やすような賭け事はもう御免だった。

「内容は、そうだな………『今から五分以内にジャイロ・ツェペリがひとりでぼくらのところにやって来るかどうか』をきみがどちらかに賭けるというもの。
 賭けるものは『敗者は勝者の命令をひとつだけ聞かなければならない』でどうかな?
 もちろん、命令といっても常識的に考えて犯罪になるようなことはしないし、させないと約束しよう。
 ………ああ、それともうひとつ『この賭けに関することは一切他言無用』も条件のひとつだ」

内容自体は単純なものだったが、わざわざそれをやる意味がどこにあるのかアヴドゥルには理解できなかった。
納得できる答えはおそらく返ってこないと思いつつも一応聞いてみる。

「言っていることはよくわかったが………ビーティー、今度は何をたくらんでいるんだ?」
「おいおい人聞きの悪いことを言わないでくれよ、ぼくだってたまには暇つぶしをしたくなることだってあるさ。
 アヴドゥル………さあ、賭けるか賭けないのか、ハッキリ言葉に出して言ってもらおうか?」

相も変らぬ飄々とした口調とどことなく聞き覚えがあるような言い回しで決断を迫られたアヴドゥルは思案する。

(条件自体は『選べる』わたしが有利のはずだが、先ほど見せられたビーティーの頭脳を考えると、どうも的中するというイメージが浮かんでこない………
 とはいえ、ツェペリさんの部屋を出る前にビーティーがジャイロに指示をするような動作はなかった以上、論理立てて考えれば答えがわかる賭けだろう。
 もしかすると、彼はわたしがキチンと物事を考えることができるかどうか試しているのかもしれない………)

賭けの内容と相手の目的について考え、自分なりに答えを出す。
安全であることは確かだし、なによりこの悪魔的な少年から一本取ってみたいという思いも少なからずあった。

「わかった、きみのその賭け………受けようじゃあないか」
「グッド! それじゃあどちらに賭けるのか決めてもらおうかッ! 当然、なるべく早くだッ!」

アヴドゥルは再び思案する。
想像するのは、ジャイロを取り巻く現在の状況についてだった。

(ジャイロがひとりで来る………それはすなわち、ドルドとズッケェロがいる部屋にツェペリさんをひとり置いてくるということ………普通に考えれば彼がそんなことをするわけがない。
 あるとすればなにか緊急事態が発生した場合………その場合もわたしたちが近くにいることは知っているのだから大声で呼べば済むことだ………しかし、それだけだろうか?)

最初に出したのは『来ない』という解答だったが、なにか裏があるのではないかと勘ぐる。
とはいえ考えてもいっこうに『来る』理由は思い浮かばず………しばらく後にアヴドゥルは結論を出す。

「わたしは『来ない』ほうに賭けよう」
「いいのかい? 後になってやっぱり逆にするっていうのはなしだぜ?」
「ああ、それでかまわない。先ほどの君じゃあないが、ジャイロには来る『動機』がない」

疑心暗鬼に囚われず、単純(シンプル)にいく………それがアヴドゥルの出した答えであった。

「ふうん、そうかい。一応言っておくが、ぼくは先に賭けられるとしたら『来る』に賭けていたよ」
「………何? それはいったい………」

疑問を口にしようとしたところで二人の後ろから物音がした。
アヴドゥルは音源のほうを向いて驚く―――そこには本当に、ジャイロ・ツェペリが一人で立っていたのだから。

「おふたりさん、ここにいたのか。埋葬はすんだみてーだな」
「ジャ、ジャイロ………おまえこそ何故ここにいる? ツェペリさんを置いてきたのかッ!?」
「ウィルなら心配ねえ。オレたちが思っているよりもずっと強いし、へこたれていないからな。
 それにドルドの野郎もひとまずは安全そうだし………まあ気になるってんなら先に部屋に戻っててくれねーか? オレはコイツにちっとばかし話があるんでね………」

ビーティーの方を見ながら言うジャイロだったが、当のビーティーはそれを遮る。

「話は『今』『ここで』かまわないよ………公一のことだろう?」

その瞬間ジャイロの、そしてそれを見たアヴドゥルの顔色が変わる。
この少年はおそらく10代前半………そんな彼がここまで物事を見通す力を持っているものなのかと末恐ろしいものを感じていたのだ。

「………知ってやがったのか?」
「このホテルで再会してから、おまえは時折ぼくのほうをチラチラと見て何事か考えていたな。
 それに最初会ったときと再会したときでは明らかに様子が違う、いうならばどこか無理をしているように感じられた………
 だから非常に重要な、それもなにか後ろめたいことを隠しているのではと思ったのさ。
 そうなれば研究所でぼくが話した情報からして、放送で呼ばれた公一に関わる何かがあったというのが一番可能性が高いと判断したまでだよ………」

彼にしては珍しく、相手の顔を見ずにビーティーは言う。
その頭脳は変わらず冴えていたが、あさっての方向へと向けられて見えない顔は怒りか悲しみか………いずれにしても表情を見られたくないかのようであった。
ジャイロは状況を半分程度しか理解できていないアヴドゥルのほうを見ながら聞く。

「………こいつはいいのか?」
「彼は今のぼくと同じ、このゲームで友人を失った男だ。
 ………もっとも、楽しい話ではなさそうだから聞くかどうかはきみに任せるよ、アヴドゥル」
「わたしは、きみに力を貸すと約束したのだ………聞かせてくれ」

アヴドゥルがはっきりと言うのを聞いたビーティーは彼らのほうへと向き直る。
―――その顔は、すっかり普段のものへと戻っていた。


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―――時は少々遡り、ツェペリたちの残る部屋にまだジャイロがいた頃。

テーブルに腰掛けながらズッケェロを見張りつつ、渡された名簿を見ているドルドとベッドの上にいるツェペリ、そして腕組みをしながら部屋の中を落ち着きなく歩くジャイロ。

「ジャイロ君………先程から様子が妙だが、どうかしたのかね?」
「なあ、ウィル………オレがホテルに入ってきたときのこと、覚えてるか?」
「うむ、確か聞きたいことがあるといっておったの………結局うやむやになってしまったが」
「そのことなんだが………」

ジャイロは重い口を開いて話し始める。
ビーティーから親友に出会ったら保護してほしいと頼まれたが、後に自分が見つけたその少年は既に殺害された後であり、その『犯人』を見つけるべくホテルを訪れたということを。

「………それで犯人を捜してここに来たというワケか、なんとも間が悪かったもんじゃの」
「いや、アンタを救えた以上は意味があったってことだ、それについては後悔してねーよ。だが………」
「ビーティー君に話さねばならないが、タイミングを逃してしまった………というところか」
「ああ………どうにも、二人きりになる機会がなくてよ」
「話してきたらどうだ」

そこへなんともなしに会話を聞いていたドルドが口を挟んでくる。

「ヤツはしっかり放送を聞いただろうから、その親友が死んだことも確実に知っている。
 話しづらいからといって後回しにすれば、それだけ遺恨が生まれると思うが」
「………まあ、そうだな。オレとしても行く気は十分あるんだが………」

ジャイロはドルドとツェペリを見比べる。
彼が言わんとすることを察したドルドは先に言葉を発した。

「おれが信用できないか? いくらなんでもこの状況でツェペリを襲いはしない………仮に殺害とその後の逃走が成功したとしても、きさまらに悪評をばら撒かれてはたまったものではないからな………」
「おたく、損得勘定はうまいようだな。だが知ってるか? 歴史じゃだいたいそういう奴が裏切り者になってるんだぜ」
「何とでもいってくれて結構。少なくとも『今』はきさまらと敵対する気は皆無だ」
「なーに心配いらんよ、万が一この男に襲われても君たちが戻るまでは持ちこたえられる、いやそれどころか勝ってしまうかもしれんの。
 君は『納得』いくまで話し合ってくるといい、こうして送り出すのは二度目だが、行って来い」

見ようによっては無理をしているように取れなくもない、明らかな冗談交じりの言葉―――だがそこから不思議な安心を感じ取り、ジャイロは決断した。
先ほどと比べると自分のほうに危険は無いが、それでも踏み出すのに必要な度胸は同等。
なるべく早く戻る、とだけ言い残しビーティーたちを探すべく部屋を出て行った。


―――それからしばらくして、ジャイロが十分に離れたと判断したツェペリはドルドに問いかけた。

「さて、ドルド君。わしになにか話があるのではないかね」
「何のことだ?………まあいい、そういうならばひとつだけ聞いておこう。何故、きさまはこの男をすぐに処分しようとしない?」

部屋の隅に転がされたままのズッケェロを眺めながらドルドは聞き返す。
てっきり個人的な話のためにジャイロを遠ざけたと思っていたツェペリは見当違いだったかの、とつぶやくと質問に対して答える。

「わしとて聖人君子ではない。運命を狂わせたものに『復讐』したいという気持ちがないわけではないが………
 殺人を犯したから命で償わせる、というのは間違いだと思っとる。それに………」
「それに、なんだ?」
「個人的なことだが、彼の名である『マリオ』はわしの息子と同じ名前なのじゃよ。
 それだけのことじゃが、どうにもやりきれない思いになってしまってね………」

それを聞いたドルドは思わずズッケェロを凝視する。

「………まさか、とは思うが」
「オ、オレはあんたの息子なんかじゃねー………」
「まあそうじゃろうな、ワムウから聞いた話によるとわしの孫はシーザー・『ツェペリ』というらしいからの」

時代を超えて参加者が集められている………その事実から二人が親子という突拍子も無い可能性を思いつくも、さすがにそこまで偶然は重ならなかった。
もはや嘘を言う気力さえ残っていないズッケェロをもう一度だけ眺めると、ドルドは名簿をしまいゆっくりと立ち上がる。

「何かと思えば、そんなくだらないことだったとはな………それを聞いて安心したぞ」
「安心………!? ドルドッ! きさま何を………ッ!!」


―――ツェペリが気づいたときには既に手遅れだった。


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「………これで、終わりだ」
「………………」
「そんなことが………」

そして場面はロビーへと戻る。
ジャイロの話が終わっても、ビーティーは黙ったままであり………共に聞いていたアヴドゥルは奇妙な親近感を覚えていた。

(似ている、わたしの事情と………たった一つの判断ミスで、助けられたかもしれない命を奪われてしまったことが………)

何か言わなければならない………そう思い口を開こうとしたとき、彼はビーティーが小声で何かをつぶやいているのに気がついた。

「ビーティー、ショックなのは………」
「………………さん」
「………?」
「絶対に、ゆるさん………!!」

ビーティーは顔を伏せたまま耳をなで………静かに、だが力強い声で言った。


「よくもぼくの親友を………しかも無抵抗な彼を何度も痛めつけて殺害しただと? それも自分だけの都合でッ!!
 この罪は大きいなんてもんじゃあないぞ………くらわしてやらねばならん! 然るべき報いを!」


その声は注意しなければ聞き取れないほど小さいものであったが、聞くものが聞けば卒倒するほどの迫力を持っていた。

「………………こいつが、そのレンガだ。犯人を突き止める手がかりになるかはわからねーが」

彼の声が聞こえたかどうかは定かではないが、ジャイロは持ってきたレンガブロックを取り出して見せる。
ビーティーはそれを受け取ってためつすがめつ眺めていたが………決定的な何かを得られていないのはその表情から見て明らかだった。
それでも、アヴドゥルは聞かずにはいられなかった。

「………どうなんだ、ビーティー?」
「………………」

ビーティーはしばらく黙ったままだったが、やがて苛立たしげに答える。

「………さすがにわからない。一応、これまで見聞きした参加者の中に疑わしき人物はいるが、そもそも犯人がホテルへ向かったかどうかすら定かではない………今はお手上げだ」
「疑わしい奴がいるって、どういうことだおい………つーかオメーの頭の中はどうなってんだ?」
「支給品だ………公一は殺害され、持ち物を奪われていた。当然持って行ったのは犯人だろうから、人より多くの支給品を持っている可能性が高い。
 だがひとりひとり支給品の数は違うようだし、なにより時間が経ちすぎた………道具なんていくらでも拾えるし捨ててしまえる………ッ!」

搾り出すように自分の考えを述べるビーティー。
しかし、現段階で犯人の特定は不可能―――その事実が彼に屈辱的な表情を作らせていた。

(………おそらくビーティーは心配ない、感情的になっているようでも頭の中は冷静だ。しかし、彼が言っているのはスティーリー・ダンのことか?
 それに支給品といえば、確かポルナレフのデイパックも残っていなかった………わたしが置いていったものもあったはずなのに)

アヴドゥルはふと、いまだ見つからぬポルナレフの仇についても似たような状況だったことに気付くが、思考はそこで止まる………というよりも止められた。


―――上階からすさまじい絶叫と、衝撃音が聞こえてきたことによって。


誰一人として言葉は発さず、ただ全力でツェペリたちを残してきた部屋まで駆ける。

「ウィルッ! 無事かッ!? 何があったッ!!」

最初にたどり着いたジャイロは扉を蹴破らんばかりの勢いで部屋内に突入し、間髪いれずに叫ぶが答えは返ってこなかった。
そしてジャイロはそこに広がる光景を目の当たりにする。
喉元を切り裂かれて床をのた打ち回るズッケェロと、その傍らで歯噛みするツェペリ、そして壁際で尻餅をついているドルドを。

ツェペリとドルドは互いに睨み合いを始め、今にもどちらかが襲い掛からんばかりの緊張感を漂わせている。
ジャイロは状況を把握しきれないながらも鉄球を構え、ズッケェロをチラリと眺めるがすぐに『助からない』と判断せざるを得なかった。
出血量から判断して傷が気管まで達するほど深いものである以上、薬があっても手の施しようが無い………ツェペリの波紋でさえも、呼吸が出来ない彼を治すのは不可能だった。

ズッケェロは噴出す鮮血を止めることもできず、虚ろな目のままかろうじて口を開く。


「………チ…ショー……な…でオレ…こ…な目に…………」


最後につぶやいた声は、声かどうかも怪しいかすれたもの。
………次の瞬間だらりと首が落ち、彼の身体は永久にその動きを止めた。

―――彼の誤算はビーティーを見くびったことか、それとも他人を信用できなかったことか、はたまた隠れる能力を持ちながら表に出てきてしまったことか。
どの時点で彼が『詰み』になっていたかは、おそらく本人にもわからないだろう。

………そして、ここでようやく当事者である二人が口を開く。

「ドルドッ!! きさまぁッ! 何のつもりだッ!!」
「何のつもり………? 何のつもりか、だと? きさまらこそ、その男をどうするつもりだった?
 ここに放置していくつもりだったか………? まさか拘束したまま連れて行くとか言い出すつもりじゃあなかったろうな?」

その言葉でジャイロ、そして駆けつけたアヴドゥルとビーティーも理解した。
ズッケェロを殺したのは、ドルドだということを。

―――ドルドはツェペリとの会話後、目にも止まらぬ速さでズッケェロに飛び掛って押さえつけ………手にしていたガラス片で相手の喉元を、瞬時に切り裂いたのだ………!!
ツェペリはとっさに片腕で跳躍し、体ごとぶつかるようにしてドルドを壁際まで弾き飛ばすことに成功したものの、彼に出来たのはそこまでだった―――

攻撃によるダメージがさほどではなかったドルドはゆっくりと立ち上がり、服に付いた埃を払いながら言葉を続ける。

「ツェペリ、きさまもわかっているはずだ。この殺し合い、全員が手を取り合うなど夢物語にしか過ぎないということがな!
 何を目的にするとしても、殺さなければならない相手は必ずいる………そしてズッケェロは、排除しなければならないヤツだった!
 この男は参加者の命を奪うことにためらいがなく、そのくせ自分で奪った命に対して責任を持とうともせず逃れようとするばかりだった。
 生かしておいてもなにひとついいことはないどころか、逆恨みでいつこちらの寝首をかかれるか分かったものではない………
 きさまらが誰一人やろうとしない以上、おれがやるしかないだろうッ!!」

ドルドはツェペリに向かって声高く主張する―――自分たちは今、殺し合いの真っ只中にいるのだと。
だが、ツェペリも曲げるわけにはいかない―――それでも、人として超えてはならない一線があることを。

「だからといって、命を奪ってよい理由にはならん! きさま―――いったい何人の生命をその理屈で奪い取った!?」
「フン! 軍人のおれにそれを聞くとはな………正確にはわからんが、戦場において2500人は殺したさ! 全てそいつと同じ、やらねばやられる相手をなッ!」

もはや争いは避けられないのか………ジャイロがそう思っていると、その視界にビーティーが映る。
彼は何事もないかのように―――ズッケェロの死にすら動揺していないかのようにゆっくりとツェペリとドルドの間に割り込み、厳かに言った。

「そこまでにしてもらおう………どちらが正しいとか間違っているとか、そんなことを議論するつもりはない。
 ぼくが言いたいのはズッケェロが死んだ今、この場でおまえたちが争う理由はもう存在しないということだッ!」

ビーティーの指摘は正しかった。
ドルド本人によれば彼の標的はあくまでズッケェロただひとり、他の者とまで事を構えるつもりはない。
ツェペリも動かないのは迷っているということ―――真に相手が許せないのであれば再び攻撃を仕掛けているはずである。
なぜ迷うのか、それは感情的になっているツェペリもドルドの理屈自体は理解できる―――彼は『波紋戦士』として吸血鬼や屍生人を討伐しなければならないのだから。
ただ、倒す相手が人間か否か………それは大きな問題ではあったが、ドルドの主張を覆すには至らないものだった。

「ビーティー君、そうは言うが―――」
「………アヴドゥルはゲーム開始直後、襲われていた友人を助けるために四人もの参加者の命を奪ったそうだ。
 その相手は不利になると命乞いをし、背を向けたアヴドゥルを後ろから不意打ちしようとする卑劣な奴………
 結果的に全員を殺害せざるを得なかったというが、彼が悪人に見えるか?
 そしてドルドの殺人にも同じく『理由』があったということはあなたも理解できるだろう?」

グ………と唇を噛みツェペリは深く考え込む。
一片たりとも許したわけではないが、それでもしばらく後にツェペリはビーティーの言葉で一時的に矛を収めた。

「………………………おそらく一生かけたとしても『納得』はできんじゃろう。
 とはいえ、そういう方法を取らざるを得ない場合があることもわしは知っておる………
 だが覚えておけッ、きさまが殺害した相手は『無抵抗』だったということをッ!!」

殺されたズッケェロはツェペリにとっても憎むべき相手………それを踏まえると、目の前で無抵抗の人が殺されておきながらその犯人を見逃すという行為が甘いかどうかは意見が分かれるところであろう。
ともあれ、ドルドはいわば『執行猶予』を与えられた。
だが、それを黙って眺めていた当のドルドは先程の言葉とは裏腹に黒い思考を働かせていた。

(やはりな………この連中は、おれが捜し求めていた『お人よし』の集団だ………理由さえあれば『殺人』すら許容されるほどのッ!
 無論、これでおれには監視が付くことになるだろうが………どちらにせよ、バオーがいるならば単独行動は出来ん。
 それに霞の目やあのウォーケンとかいう男の名が名簿にない以上、主催に『ドレス』が一枚噛んでいるのは確実………!
 しばらくはこの連中と共に行動し、邪魔な参加者を排除しつつ生き残る………それが最善の策だろう)

ツェペリに語ったことに『嘘』はないが、彼がズッケェロを殺害した理由は主に二つ、いずれも結局は自分のためだけである。
ひとつは仲間になりうる彼らが真にお人よしかどうかを確かめるため。
そしてもうひとつは自分が無能でないことを証明するため、スタンド使いを始末できる―――超能力が使えても肉体は人間であり、同じように殺害が可能である―――ことを確認するためだった。
捕らえられた殺人者であるズッケェロは、殺害しても角が立ちにくいおあつらえむきの標的だったというわけである。

そして残る二人、どちらも黙ったままのアヴドゥルとジャイロ。

(倫理的にはツェペリさんのほうが正しい………だが、ここでそのような考えは命取りになるというのが現実だ)
(殺すべきだったのか、生かしとくべきだったのか………そいつは『ネットにはじかれたテニスボール』………だな)

彼らもまた『目的』を持ち、それを邪魔する敵を排除してきた身である。
無抵抗となった相手に止めをさすという行為の善悪に対してそれぞれ思うところはあるものの、強く言うことはできずに沈黙するほかなかった。

ビーティーは周囲の人間を一通り眺め、自分以外に意見を出すものはいないと判断する。
まずは部屋の中央にあるテーブルに再び上り注目を集め………はっきりと、力強い声で全員に聞こえるよう言った。

「みんな、よく聞けッ! 思うところはあるだろうが、ズッケェロが死んだ事実は変えようがないッ!
 ぼくらには過ぎたことを悔やむより先に『やるべきこと』があるはずだッ! 倫理や常識なんてものは全てが終わった後にまとめて考えればいいッ!」
「「「………………」」」

それは全体への言葉であり、同時に個人へ向けた言葉。
普段ならば『それで済ませられる問題ではない』と反発されるであろう言葉だったが、意外なことにそのような意見は挙がらなかった。
言っていること自体はもっともであり、さらにビーティーは先程の謎解きの結果、全員の『信頼』をある程度得ていたためである。
………とはいえ残酷な話かもしれないが、殺されたのがズッケェロ以外の人物だったらこうはいかなかっただろう。

「………そうだな、まだオレたちにゃ倒すべき敵がいる」
「ジョースターさんに花京院、イギー………今もどこかで戦っているかもしれない仲間がいる」
「何もせずにうなだれていては、状況は悪くなる一方………」
「会ったこともないとはいえ、同じ姓を持つ孫にこんな姿は見せられんの………」

人は生きるからには目的を持つもの………当たり前のことを再確認することで、ビーティーは彼らの顔を上げさせたのだ。
またドルドは除くとしても、残りの皆はそれぞれ強靭な精神力と『やるべきこと』を持っていたのも再起する要因のひとつとなった。
わだかまりまで消えたわけではなかったが、彼らの中に後ろ向きのままの者は既に一人もいない。

そんな彼らを見て、ビーティーはいつも通りの不適な笑みを浮かべていた。
この集団をまとめるべき『リーダー』の座は、この時点で彼が手にしたも同然だったのだから。


―――そして五人はここに至ってようやく、詳細な情報交換を行う。
ツェペリの話の前後やズッケェロの捕獲直後などのタイミングもあったはずなのに何故今になって?と思う者もいたが、彼らも情報交換自体に文句はない。
一部の者に懸念されていたドルドとツェペリもお互いに短気すぎる性格ではないため、仲良くとはいかずとも議論に支障が出るほど険悪ではなかった。
またビーティーも『自分も全てを知っているわけではない』と限定的ではあるが明かし、その中に加わっている。

ジョナサン・ジョースタージョセフ・ジョースター空条承太郎、それにひょっとしたらジョルノ・ジョバァーナもこの一族の一員なのかもしれないな………名簿にはまだ彼らと同じ姓のものがいるしね」
「時代を超えて集められている以上、ひょっとしたら一族総出かもしれんの。そして彼らの中から見せしめが選ばれた以上は………」
「主催者に何らかの関わりを持つものがいる………ということだ。ジャイロ、きみにも何か心当たりがあるんじゃあないか?」
「何を持ってそう判断したのかはわからねーが、決め付けはよくないぜ?」
「おや、意外だな。きみはスティーブン・スティールを知っていたし、最初出会ったときに何度か口にしていた『ジョニィ』というのはてっきり名簿にあるジョニィ・ジョースターのことだと思ったんだが」
「………あってるが、オレはむしろオメーがそんな細かい部分まで覚えてることのほうが意外だよ」
「………ドルド、本当に彼らのことは誰一人知らないのか?」
「本当だといっているだろう。おれが知っている名は橋沢育朗のほかにスミレとケイン、ブラッディマーチンぐらいだ」
「アヴドゥル、それぐらいにしておいてくれないか。心当たりのない参加者が一人や二人いたっておかしくはないだろう?」

名簿を見ながら仲間や危険人物、死者について整理し、またこれからの行動方針も決めていく。
また、あらためて情報の整理を行った結果、各人にも様々な思惑が生まれていた。

「ビーティー君、主催者の居場所はわかるのかね?」
「さて、ね………普通に考えれば会場外、何か理由があって会場内のどこかにいるとしても、適当に歩いてたどり着けるような場所にはいないだろう」
「どうにせよ、他の参加者と接触しなければ何も始まらん。ひとまず地図の中心部を目的地として移動を提案する」
「………おいドルド、オメーはそれでいいかもしれねーが、ウィルにはどうしろってんだ?」
「ああ、それならば何とかなる。先程わたしたちがホテルの外に出た際、使えそうなバイクを一台発見した。
 運転者にしがみつく形になるが、どうにかツェペリさんを運ぶことは出来るだろう」
「バイク………? なんだそりゃ」
「………そこから説明せねばならんとは………」
「ツェペリ、あなたはどうしたい?」
「当然、這ってでもついていくつもりじゃったわい。野放しに出来んやつもおるしの」
「動くのは全員一緒でか? 乗り物がひとつだけならチーム分けをするってのは………」
「………他はともかく、バオー相手に一人や二人では勝ち目などない。多少非効率的でも全員で動くほうが安全だ」
「よし、それでは次に――――――」

(ドルド………よりにもよって目の前で殺人を行うとは、きさまのその行為はわしに最大限の屈辱を与えるのに成功したぞ………
 だが許してはおらん、次はこの腕がちぎれようとも必ずや止めてやる………!)

(さまざまな事実が明らかになった、しかしそれ以上に『謎』も増えている………
 DIOが参加者のひとりとはいったいどういうことなんだ………?
 それに、未だに手がかりすらつかめないポルナレフを殺した犯人は見つかるのだろうか………?)

(妙だぜ………明らかに死んだはずの奴がいたり、オレでもわかるほどチグハグな外見の参加者………
 ほかの連中が言ったとおり時代を超えて参加者が集められてるとして………そもそも『今』は『いつ』なんだ?
 主催者の背後にいる大統領か、それとも全く別の誰かを倒したときに、オレはちゃんとレースに戻れるのか?
 ………ま、何であれ結局前に進むしかねーんだがな)

(仲間の確保は出来た………不信感は持たれたものの、むしろその程度で済んだというのが良い………
 バオーを敵視させることにも成功したようだし、すこぶる順調というわけだ………
 後は予想以上にキレるビーティー………奴の策は自分の優勝狙いか、あるいは主催を打倒する類のものか、
 そしてその策が単なるハッタリなのかそれとも………どうにせよ、用心しておくべきだな)

(………………………)


―――
――



一通りの議論が終了した後、ビーティーはまたしてもアヴドゥルを連れてホテル近くの民家にあったバイク―――J・ガイルが乗り捨て、結局再び使うことはなかったもの―――を持ち出していた。

「燃料は十分残っている、と………運転は、わたしがすることになりそうだな」
「それが妥当だね。ドルドと相乗りはツェペリが嫌がるだろうし、他に運転できる者はいない」
「うむ、しかしこの程度の作業、わたしひとりで十分だと思うのだがな」
「必要もないのに単独行動なんてするもんじゃあないさ。それに、きみに話があったしね」
「話………?」
「忘れてしまったのかい? 先程の賭けのことさ」

言われてアヴドゥルは思い出す。
ジャイロが来たということは自分が負けたということ―――すなわちビーティーの命令をひとつ聞かなければならないことを。
だがアヴドゥルにはどうしても気になることがあった。

「結果に文句はつけない………だがビーティー。ジャイロが部屋を離れた結果、ドルドがああするとわかっていたのか?」
「まさか、だろ。いくらなんでもそこまではわからなかったさ」
「………………」
「さて、それじゃあこれを受け取ってくれ………血は既に拭っておいたよ」

アヴドゥルの問いかけをさらりと否定し、ビーティーが差し出したのは音石の死体から回収した短剣だった。
相も変わらず笑みを浮かべるその顔からは何を考えているのかさっぱり読み取れない。

「これを………? 確かに元はわたしのものだが、スタンドの無いきみが持っていたほうがいいだろう?」
「ぼくが刃物を持ったところで出来ることなどたかが知れてるし、なによりナイフなんて暴力は使わないよ………
 これは、きみ自身の戒めとして持っていてほしい」
「戒め………どういうことかな?」
「ズッケェロはホテルの騒動の後も、その気になればずっと隠れていることも出来る能力を持っていた………だが実際はどうだ?
 ぼくたちに能力を知られ、完璧だと思っていたはずの犯行を暴露され、最後には殺害されてしまった。
 何故、そんなことになったのだろうね?」
「………………」
「ぼくが思うに、彼は『過信』していたんだろう。一度うまくいったことで自分の能力が無敵で、それを操る自分自身も最強だと思い込んだ。
 だから調子に乗って外に出てきてしまった………そういう奴が長生きできると思うかい?」

アヴドゥルはそこまで聞き、おそらく自分に同じ話を当てはめるつもりだと考え………侮辱とまではいかないが、見くびられていると思った。
この少年から見た自分は、油断して命を落としかねないほど危うく見えるのだろうか、と。
眉間に銃弾を受けて重傷を負ったこともあるが、それはビーティーの言うこととは別の話である。
返す言葉も多少不機嫌さがにじみでるものとなっていた。

「………わたしは、自分の能力をよく知っている。慢心などはしていないし、自慢にはならないが勝てないと悟った相手からは即座に逃げたこともある」
「ああ、勘違いしないでほしいが、ぼくはきみを疑っているわけじゃあない。
 『魔術師の赤』があの二人相手に一歩も引かず戦えるほど強力で、さらに探知にも秀でていることはよくわかっている。
 きみ自身に関しても、この殺し合いで今に至るまでスタンド使いでもないぼくに全く手出しすることなく、
 自分より一回り以上年が離れている少年に対等な立場で協力を要請することから、人間性も判断力も信用に足る人物だと理解しているさ」

自己分析も出来るしね、と付け加えられアヴドゥルはまたしても相手の目的が読めなくなる。
回りくどい言い回しに翻弄され、結局相手の結論を促すことしか出来なかった。

「先程から一体何を………いや、それよりも皆がわたしたちを待っているだろうし、さっさと命令とやらを言ってくれないか?」
「わかったよ、ぼくからの命令………というよりもお願いになるかもしれないんだが、『スタンドに頼りすぎないでほしい』」
「………なに?」
「ぼくは単に『能力』というだけならきみだけじゃなくツェペリも、ズッケェロでさえもたいしたやつだと思っている。
 だがホテルの一件で、ツェペリは自分の能力でズッケェロを探知出来なかった故にあんなことになってしまった。
 その探知から逃れるほどの能力を持つズッケェロも、油断して能力を解除したことがきっかけで命を落とした。
 結局、使い手が人間………おっと、吸血鬼や犬もいるらしいから『生物』である以上、完璧な『能力者』なんて存在しないのさ。
 だから少し心配になったんだよ………きみもいつか『炎の探知機』で探知できない相手に知らぬ間に近づかれて奇襲を受けるんじゃあないか、とね。
 そうならないように、スタンド『だけ』に頼るのはやめてほしいというわけだ」

言われてアヴドゥルはふと思い返す―――この殺し合いに参加させられる直前の出来事を。
ラクガキを見て振り返った瞬間、自分たちがあのホールへとワープさせられたということを。

(ラクガキがスタンド発動のスイッチとなっていた―――そう考えたとしても探知機にひっかからない攻撃方法でやられたのは確かだ………
 だがツェペリさんの場合と同じように、もしもその敵が自分たちに気付かれないようにすぐ近くまで接近していたのだとしたら………?
 ありえない、と考えるのはビーティーの言う『過信』になるのだろうな)

幸いなことにと言うべきか、アヴドゥルは『探知不能』の体験がごく最近にあった。
確かに炎の探知機に反応は無く、イギーの鼻にもにおっていなかったはずなのにスタンド攻撃を受けたという事実。
元から油断するつもりなど一切無いが、ビーティーの言葉を無視できる立場でないことはよく理解できたのだ。

「音石は味方が多いと油断して一人きりになり、そのナイフで命を奪われた………ナイフを使ったズッケェロも油断が元で殺された。
 二人と同じように油断で命を落とさないよう、ナイフを見るたび思い出してもらいたいというのがぼくからの『命令』だ」
「命令やお願いというよりは、忠告に近いな………わかった、覚えておこう。そしてこの短剣も、証として持っておくことにする」

話が終わったものと思ったアヴドゥルは短剣を受け取ると懐にしまい、歩き出す。
そんな彼の背中に向かって唐突にビーティーは言う―――不思議な『何か』を感じさせる声で。

「きみとぼくは、親友の仇に報いを受けさせたいという点で同じ立場となった………お互い、目的を果たすまで頑張って生き残ろうじゃあないか、アヴドゥル」
「あ、ああ………」

その言葉を聞いたアヴドゥルはかすかに………ほんのかすかにだが背筋が寒くなる感覚を覚えた―――ビーティーと最初に会い、その右手を差し出されたときと同じようなそれを。
それでもやはり、自分たちにはこの少年の頭脳が必要である………その考えから違和感を振り払い、彼の言葉に頷くしかなかった―――振り向くことも出来ずに。

会話はそれで本当に終わり、二人はホテル前にて残る三人と合流しサンモリッツ廃ホテルを後にして会場の中心へと進出を開始する。
こうして、ゲーム開始から騒動が続いてきたサンモリッツ廃ホテルに参加者は一人もいなくなり、ここを舞台とする話はひとまず幕を閉じるのであった。



―――ところで、ホテルにおける彼らの『行動』についてはこれで終わりだが、いくつか腑に落ちない点はなかっただろうか。
例えば、何故情報交換があそこまで遅れて行われたのか。

これは偶然などではなく、ビーティーがズッケェロを警戒していたためである。
ビーティーはツェペリのいる部屋へと向かう時点で、既にズッケェロが音石を殺害した犯人だと疑っていた。
その考えが確信に変わると、おそらく次に狙われそうなのは名簿の一件で逆恨みされているであろう自分自身と予想でき、しかもいつ不意打ちを受けるかわかったものではない………
よって、ズッケェロに考える時間を与えず一刻も早く捕らえる必要があり、時間がかかりそうな情報交換はさりげなく話題をそらすことで回避していたのだ。


次に、何故ビーティーは公一の話を無関係のアヴドゥルにも聞かせる気になったのか。
実を言うとその理由に大きく関わっているのは公一ではなく、語り手であるジャイロのほうだったりする。

ビーティーはジャイロ・ツェペリという男を一から十まで全て知っているわけではない。
最初に出会ったときには無抵抗の人間を殺して回るような人物ではないとわかったが、それはあくまで過去の話。
例えば『放送』で恋人や無二の親友を亡くしたと知り、表面上は変わらぬように見えても心の奥では優勝するために皆殺し………そんな考えになっている場合もある。
そして彼と一緒にいたウィル・A・ツェペリは彼と同じ姓………同じ一族と考えると現時点でお互いに裏切る可能性は低い。
彼らが結託し、参加者の皆殺しをたくらんでいる………そのような可能性もゼロではないとビーティーは考えていた。
要するに、彼は二人のツェペリを完全に信用しきってはいなかったのである………!

だからこそ、ビーティーはずっとアヴドゥルと離れたがらなかった―――特に彼がスタンド使いではないと知っているジャイロに対する有効な防衛手段は、今のところそれ以外に存在しないのだから。
………とはいえ、ビーティーもジャイロ達のこれまでの行動を見聞きしてきた以上、今も二人がまるきり信用できないというわけではない。
彼にしてみればあくまでも『用心』の範囲、詳細な情報交換をした頃にはその『用心』も解かれていた。
少なくとも、アヴドゥルにバイクの運転を任せてもいいと思う程度には。


最後に、何故ビーティーはアヴドゥルにあのような賭けを持ちかけたのか。
ビーティー本人は暇つぶしと言っていたが、無論真の目的は別にある。
アヴドゥルに忠告を行うという意味もあるにはあるが、それならば賭けなどせずとも普通に言えば済むことだからだ。

早々に種明かしをしてしまえばこれは残る一人、ドルドに関わる話であった。
ジャイロ以上に得体の知れない男であり、彼自身が言っていたことすらどこまでが真実かわからなかった。
そこでビーティーは彼を『試す』ことにしたのだ―――アヴドゥル、ジャイロと共に別行動をとり、その間にドルドが『何をするか』を。
準備としてジャイロが自分に何らかの話がありそうだということを利用し、一旦アヴドゥルとだけ別行動をとり『時間稼ぎ』となる賭けを持ちかける。
そしてジャイロがやって来たら適当に理由をつけてアヴドゥルをその場に引き止めておくだけでやるべきことは全て完了。
後は部屋にいるドルドのほうで勝手にやってくれるというわけである。

ビーティーが考えた結果の予測は大まかにわけて三通り。

絶好のチャンスに『何もしない』ならば彼は安全か、危険人物だとしても行動力は低い。
いずれにしろ、自分の手で十分にコントロールしてしまえる。

『ツェペリを襲撃する』ようならば彼は間違いなく優勝狙いの積極的殺人者。
話し合いでどうにかなる相手ではないため、その場で排除するつもりだった。

そして、実際の結果となったように『ズッケェロを襲撃する』ならば。
この場合、ドルドが優勝狙いかどうかはわからないが、少なくとも何らかの目的があり、そのためならば手段を選ばないスタンスであると考えられる。
対策としては要警戒………悪く言えば先延ばしである。
しかしこの結果ならば、おそらく自分を含む四人は一斉にドルドへと注意を向けて団結しやすい―――味方が多くなるのに加えて今後自分が動きやすくもなる。
さらに言うなら邪魔なズッケェロを始末してもらえる、というアヴドゥルにも言えない秘密の利点があった。
当然、そこに罪悪感など欠片も感じていない―――ズッケェロの殺害はあくまでドルドが『自分の意思で』やったことなのだから。

ビーティーはこの三通りのうちどの結果になるのかまではわからなかった。
そのため、アヴドゥルに『わかっていたのか』と訊かれたときも『わからなかった』と答えたのである。
たとえ『予測の範囲内』だったとしても、問われたことには答えたのだから。


………ここまで言えばわかるだろう。
この一連の出来事は初めの安全確保どころか、最初から最後まで全員がビーティーの手のひらの上で踊らされていたということ、そして誰一人としてその事実に気が付いていないということが。
彼は他人の命までも利用して参加者たちの真意を探り、自分は可能な限り安全地帯に居続けるという悪魔的所業を誰にも知られることなくやってのけたのだ………!
それも、スタンドのような『力』や持って生まれた『カリスマ』などは一切使わずに、人間ならば誰でも持っている『頭脳』を駆使して。

この真相を知るものがいれば、彼に対して良い感情を抱かないかもしれない。
だが、ビーティーがいるのはバトルロワイヤル………命を賭ける場である。
そして彼が何かを賭ける場合に確率の低いと思うほうに賭けたりはしない人間である以上、最悪のケースを想定して自身が生き残る確率を少しでも高めようとするのは自然なことであった。
彼が他の対主催者と違うように見えるのは、良心的な考えが前面にあるか否かの違い………ただそれだけである。

そしてなにより、放送で公一の名が呼ばれたときにビーティーは決めたのだ。
公一を殺した犯人に、そして自分や公一をこんなゲームに巻き込んだ主催者に必ずや然るべき報いを与える―――そのためならば、生き残るために何だってやってやるのだと。


―――果たして彼が本懐を遂げるときは訪れるのか、はたまた失策により斃れるのが先か。
今はまだ、その答えは出ない。



                                       To Be Continued...




【マリオ・ズッケェロ 死亡】

【残り 57人】



【B-8 サンモリッツ廃ホテル / 1日目 午前】


【ウィル・A・ツェペリ】
[能力]:『波紋法』
[時間軸]:ジョナサンと出会う前
[状態]:下半身不随、怒り(中)
[装備]:基本支給品(水微量消費)、ウェッジウッドのティーカップ
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:主催者の打倒
1.こんな自分でも出来ることがあるはず……足手まといにならぬよう皆に付いて行く。
2.ドルドを監視する、いざというときは腕づくでも止めねばならんッ!
3.『同盟』の者たちにはもう一度会って何かしらの決着をつけたいものだ。

※ビーティーをスタンド使いだと思っています。
※自分の支給品は回収してもらいました。


モハメド・アヴドゥル
[スタンド]:『魔術師の赤(マジシャンズ・レッド)』
[時間軸]:JC26巻 ヴァニラ・アイスの落書きを見て振り返った直後
[状態]:疲労(小)、後悔
[装備]:アヴドゥルの短剣、六助じいさんの猟銃(5/5)
[道具]:バイク(三部/DIO戦で承太郎とポルナレフが乗ったもの)
[思考・状況]
基本行動方針:ゲームの破壊、脱出。DIOを倒す。
1.さらなる情報を得るため、地図の中央へ向かい参加者と接触する。
2.ポルナレフを殺した人物を突き止め、報いを受けさせなければならない。
3.レクイエムとはなんだ? DIOの仕業ではないのか?
4.ブチャラティという男、もしくは彼の部下に会う。ポルナレフのことを何か知っているかもしれない。
5.ビーティー……信用していいんだな………?


【ジャイロ・ツェペリ】
[能力]:『鉄球』『黄金の回転』
[時間軸]: JC19巻、ジョニィと互いの秘密を共有した直後
[状態]:精神疲労(小)、波紋エネルギー(?)
[装備]:鉄球、公一を殴り殺したであろうレンガブロック
[道具]:基本支給品、クマちゃんのぬいぐるみ、ドレス研究所にあった医薬品類と医療道具
[思考・状況]
基本行動方針:背後にいるであろう大統領を倒し、SBRレースに復帰する
1.さらなる情報を得るため、地図の中央へ向かい参加者と接触する
2.主催者の背後が気になる。本当に大統領が黒幕なのか?
3.麦刈公一を殺害した犯人を見つけ出し、罪を償わせる
4.ジョニィを探す

※ウィルに波紋を流されたおかげで体力が回復しています。彼が波紋エネルギーを使用できるかどうかはわかりません。


【ビーティー】
[能力]:なし
[時間軸]: そばかすの不気味少年事件、そばかすの少年が救急車にひかれた直後
[状態]:健康、怒り(復讐心)(中)
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、薬物庫の鍵、鉄球、蛍光塗料、薬品数種類、少年ジャンプ、缶ビール、ボクシンググローブ、名簿2枚
[思考・状況]
基本行動方針:主催たちが気に食わないからしかるべき罰を与えてやる
1.皆をまとめることにはひとまず成功した……次に必要なのはさらなる情報と戦力だッ!
2.公一……彼を殺したヤツと主催者にしかるべき報いをッ!
3.ドルドを警戒、今すぐ裏切ることはなさそうだが……
4.見せしめに殺された男たちの一族と主催者の関係が気になるところだな……


【ドルド】
[能力]:身体の半分以上を占めている機械&兵器の数々
[時間軸]:ケインとブラッディに拘束されて霞の目博士のもとに連れて行かれる直前
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×2、ジョルノの双眼鏡、ポルポのライター、紫外線照射装置、ランダム支給品0~1(確認済み)
[思考・状況]
基本行動方針:生き残り、且つ成績を残して霞の目博士からの処刑をまぬがれたい
1.仲間を増やし、自分にとって脅威となる参加者を排除していく……最優先は『バオー』だな
2.1のため、多くの参加者がいそうな会場の中心部に向かう
3.ビーティーの真意、そして『策』について詳しく知りたい
4.ライター? ああ、そんなのあったね

※ドレスに関することは誰にも話していません。
※主催者が大統領であるという考えを聞きましたが、それとは別にドレスも主催に絡んでいると考えています。
※ビーティーをスタンド使いだと思っています。
※ズッケェロの所持品(基本支給品、紫外線照射装置)を入手しました。


[備考]
  • 五人は各人の知る仲間、危険人物、主催者について情報交換を行いました。
  • 五人はズッケェロからブローノ・ブチャラティの素性と部下五人(ジョルノ、アバッキオ、ミスタ、ナランチャ、フーゴ)の名前、サーレーの名前を聞き出しました。
 口頭で簡易な説明だったため『ジョルノ=見せしめで殺された金髪の男』という点を除き、彼らの容姿やスタンド能力はわかっていません。
  • 音石明の死体がB-8サンモリッツ廃ホテル入り口近くの地面に埋葬されました。墓の代わりとして音石明のエレキギターが備えられています。



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前話 登場キャラクター 次話
116:敗者 ウィル・A・ツェペリ 166:悪の教典(上)
113:勝者 モハメド・アヴドゥル 166:悪の教典(上)
113:勝者 マリオ・ズッケェロ GAME OVER
116:敗者 ジャイロ・ツェペリ 166:悪の教典(上)
113:勝者 ビーティー 166:悪の教典(上)
113:勝者 ドルド 166:悪の教典(上)

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最終更新:2014年05月23日 20:54