身長184cm、体重113kg。鍛えられた体躯は人間というより大樹を思わせる外見。
サンキスト一族の象徴たる覆面は、夏ミカンの類を思わせる黄土色に近い色と肉厚な表皮を持つ。
サンキスト一族の象徴たる覆面は、夏ミカンの類を思わせる黄土色に近い色と肉厚な表皮を持つ。
その名も…!
「キィース!マスク・ド・サンキスト"ザボン"だ。」
「何でも、アムステラ基地 アフリカ大陸南部支部が危ねェって事で…。」
「キィスト!スポンサーを殺られるのは望ましく無ェんで、俺も協力しますぜってトコロだぜ。」
そんなザボンがボギヂオの部屋の前に立つ。
そしてノックする。
コンコン
ザボンはこう言う。
「キィース、キスキス!ボギヂオ司令官、対ギガントのとっておきの策がありますぜ。」
ボギヂオは答える。
「ザボンくんかい?開いてるよ。入って来なよ。」
ザボン。
「それじゃ失礼しますぜ。」
ガチャ
ザボンは部屋に入った。
そこで目にした者とは…!!
ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴゴゴゴ ゴゴゴ ゴゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ ゴ
ボギヂオは『全裸』であった。
一糸たりとて纏(まと)ってはいなかった。
一糸たりとて纏(まと)ってはいなかった。
上着も。ズボンも。パンツも。靴下も。
生まれたままの姿を晒(さら)し。
それを恥ずべき事としなかった。
そしてザボンは思わずこう言った。
「キィース!租チン(スモール・ペニス)だぜ…!!」
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○クロガネの賛歌 第8章 “激戦!クロガネの咆哮”
第 2 話 「 果 実 と マ ド モ ア ゼ ル 。 」
ボギヂオはこう言う。
「ハァー、シュポシュポ!」
「ぶらぶらさせてすまないね。」
ザボンが突っ込む。
「キィス!ぶらぶらする程、デカくは無いですぜ。」
ボギヂオは股間を隠す。
「いやぁ~ん!まいっちんぐ!!」
ザボンは更に突っ込む。
「キィース、キスキス!」
「まいっちんぐするくらいなら、最初からパンツ穿いてれば済む事ですぜ!!」
ボギヂオを右人差し指を揺らす。
「チッチッチッチ!この姿にはね。訳があるんだよね、ザボンくん!!」
ザボン!
「キィスト!それじゃ聞きますぜ!!」
ボギヂオはコホンと咳(せき)をしながらこう言う。
「コホンのコホコホ。」
「いいかい、ザボンくん。」
「クラケット家には『ランゼ=クラケット』と言う優秀なパイロットが居た。」
「そう。彼は機体に乗る時『生まれたままの姿』『それは全裸』であったんだよ。」
「『チャマ=クラケット』君も、本気を出す時は『全裸』に近い格好する…!」
「ここで私は気付いたんだよ、ザボンくん!!」
ザボンは問う。
「キィス!と言うと?」
ボギヂオは租チンをモロ出しにして、こう言い放つ!!
「 ク ラ ケ ッ ト 家 の 者 は 全 裸 に な る と 、 そ の 実 力 を 発 揮 す る ん だ よ ! ! 」
「 そ う ! 脱 げ ば 脱 ぐ 程 強 く な る ! !
そ れ が 私 だ “ オ ー ル ・ ヌ ー ド ・ ボ ギ ー ”ッ ! ! 」
ザボン!
「何とも言い難いですぜ。」
「士気が上がるなら、良いんじゃないですかい?」
裸になる。
いまいち推奨出来る事ではないが、
士気が上がるなら良いのかも知れない。
その時であった。
コンコン
そして部屋の外から声がする。
「ボギヂオ大佐。ジョーゲンです。」
ボギヂオは促(うなが)す。
「ジョーゲンくんかい。入りなさい。」
ジョーゲンはかしこまりながら。
「失礼します。」
ジョーゲンは部屋に入った。
そ
の
姿
と
は
!
ザボンはあきれる。
「キィスト!裸(ヌード)じゃねぇか!!」
ジョーゲンはこう言う。
「私だけではないぞ。」
「長くボギヂオ大佐に仕えている者は、皆裸だ。」
「名付けて…。」
ボギヂオとジョーゲンは声を揃(そろ)えてこう言う。
「「 裸 の 兵 士 ( ヌ ー ド ・ ソ ル ジ ャ ー )… ! ! 」」
ザボンは感想を言う。
「名前だけは強そうですぜ。」
ボギヂオは高らかに謳(うた)い上げる!
「私が任されたのは、基地の防衛!」
「その任を遂行する為に今、私は“全裸”になった!!」
「“オール・ヌード・ボギー”!!」
「“オール・ヌード・ボギー”ッ!!」
「“レッド・スーツ・ボギー”改め!!」
「 “ オ ー ル ・ ヌ ー ド ・ ボ ギ ー ” ッ ! ! 」
ッ
ッ
「 今 ! 私 は 新 た な 伝 説 を 作 り 上 げ る ! ! 」
そ
の
名
も
!
「 “ オ ー ル ・ ヌ ー ド ・ ボ ギ ー ”ッ ! ! 」
ザボンは流しながら、こう言う。
「それは置いといて、対ギガントのとっておきの策がありますぜ。」
「倫理面ガン無視してるがな。」
ボギヂオは答える。
「まずはQueenX(クイーンエックス)に話を通しておくれよ。」
「対ギガントは彼女に一任してあるからねん。」
ザボン。
「それなら、もう済んでいますぜ。」
「『凌辱があるでしょ!!』と絶賛してましたぜ。」
ボギヂオはキリリと姿勢を正してこう言う。
「ならば、ザボンくん。君に任せるよ。」
「対ギガントに対して、Queenが良いと言ったのなら、
それは私の言葉と等しい。『倫理面ガン無視?』どんと来いだ。
派 手 に や っ て お く れ よ 、 ザ ボ ン く ん ! ! 」
ザボン!
「 キ ィ ス ト ! 良 い 答 え で す ぜ ! ! 」
「 俺 に 任 せ て 貰 い ま す ぜ ! ! 」
ボギヂオはいつもの“アレ”をする。
「え~、それでは。ザボンくんの成功を願って…!!」
ド
ン
!
「 コ ” マ ” ネ ” チ ” ! ! 」
コマネチだ!
お得意のコマネチをかましたぞぉー!!
ザボンは苦笑いをしながらこう言う。
「キィス!対ギガント…いや、対耐撃の百文字見せてやりますぜ。」
ボギヂオはご機嫌にこう言う。
「楽しみにしてるよよよよよぉぉぉぉおおおん!!!」
ザボンはこう思考する。
「(キィース!裸(ヌード)で指揮したり戦ったりするとは信じられねぇー奴等だぜ!!)」
「(だが、俺の案を否定する事なく、むしろ信任してくれる辺り、器がデケェーのかもな。)」
「(馬鹿と天才は紙一重と言う。案外コイツはスゲェ奴かもだぜ?)」
ザボンはキストキストキストと嗤(わら)いながら、その場を去った。
- アムステラ基地 アフリカ大陸南部支部 ー と あ る 一 室 ー
「ハァ…。」
「ハァ……。」
その吐息は苦しんでいた。
体から湧き出る苦しみを一身に受けているようであった。
それで居て、その空間には誰も居なかった。
だが、その空間には主が居た。
それは、背景と同化し、レーダー、センサーにも捕らえられず、
ビデオカメラなどの電子機器でも 撮影不可能と言う、
超高性能なステルス能力を持っている為…。
そのサイボーグ能力の主は…。
ッ
ッ
マ ド モ ア ゼ ル = シ エ ン ヌ 。
彼女は、それともう一つの能力。
超人間(ギガント・バディ)の力を持つが故、苦しんでいた。
〇超人間(ギガント・バディ)
シエンヌの持つ感応能力を内蔵装置により、
物理的な力として引き出し、身体に超剛力と超反応を宿す。
物理的な力として引き出し、身体に超剛力と超反応を宿す。
その能力は単純な筋力・神経伝達とは一線を画した超常的なもので、
科学だけでは説明しきれないオカルティックな『念動』(サイコキネシス)、または、
人間が持つ6つの感覚、視覚・味覚・聴覚・嗅覚・触覚の五感と、霊感や超能力とも言われる第六感の、
その先の能力。言わば『セブンセンシズ』とでも言うべき、潜在された能力『第七感』として例えられる。
科学だけでは説明しきれないオカルティックな『念動』(サイコキネシス)、または、
人間が持つ6つの感覚、視覚・味覚・聴覚・嗅覚・触覚の五感と、霊感や超能力とも言われる第六感の、
その先の能力。言わば『セブンセンシズ』とでも言うべき、潜在された能力『第七感』として例えられる。
弱点は『極度の精神汚染』。
上記のような力を引き出すには精神に並大抵ではない負荷がかかってしまう。
強靭な意志、使命感と言った抵抗力無くしてこの能力が発現した場合、
暴走、もしくは廃人化が懸念される為、それまではリミッターにより強制的に力を抑える必要がある。
上記のような力を引き出すには精神に並大抵ではない負荷がかかってしまう。
強靭な意志、使命感と言った抵抗力無くしてこの能力が発現した場合、
暴走、もしくは廃人化が懸念される為、それまではリミッターにより強制的に力を抑える必要がある。
また、どんなに抵抗力を持っていようとも、精神汚染から免(まぬが)れる可能性は100%とは言い難い。
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そう…。『極度の精神汚染』。
シエンヌはそれに苦しんでいた。そして彼女は理解をしていた。
『ギガント28号と耐撃の百文字を討ち、ドックメェン隊長の仇を撃つ』 と言う信念に…。
翳(かげ)りが見えている事を…。
シエンヌは呟く。
「『鷲鼻のバトゥロ(親父)』との日々を過ごしていく内に…。」
「体の内側から湧き出る、トロトロとした粘着質な炎が失われていくのを感じた。」
「楽しかった。『鷲鼻のバトゥロ(親父)』との日々は。」
「けれども、それは…。
『ドッグメェン(隊長)』の仇を撃つと言う意志が、
薄れていく事を意味するんだよな…。」
シエンヌはうなだれる。
「『ドッグメェン(隊長)』は俺の身代わりになって死んだ。」
「殺した主、耐撃の百文字が憎くない訳じゃない。」
「けれども。『鷲鼻のバトゥロ(親父)』との日々は…。」
「初めて持つ『家族』との生活は憎しみを薄れさせ、幸福を感じるモノだった。」
シエンヌはうつ伏せになる。
「『ドッグメェン(隊長)』…。俺はどうすれば良い。」
「このままじゃあ…。俺は体の内側から精神を歪(ゆが)められて狂ってしまう。」
「『ドッグメェン(隊長)』の仇も討てないまま…。」
そんな、シエンヌに、何処からともなく声が聞こえる。
「だから言っただろぉう。俺の事何て忘れちまえってな。」
「お前さんにはお前さんの人生を歩んで欲しかったぜ。」
「今となっちゃあ遅いがなぁ。」
シエンヌはハッとする!
「『ドッグメェン(隊長)』…!!」
ドッグメェンは語り掛ける。
「ハハ。精神汚染の深刻さから来る、走馬燈ってヤツだ。本当の俺じゃあねぇ。」
「だが、お前さんが心配で思わず話しかけちまったぜ、シエンヌ(ルーキー)。」
シエンヌ。
「ルーキー。懐かしい名だ。俺は『名無しのルーキー』だった。」
「訳も解らず徴兵(ちょうへい)されて、兵となったんだな。」
ドッグメェン。
「そうして俺と出会った。お前さんとの日々は楽しかったぜ。」
シエンヌ。
「そんな隊長だからこそ、殺されたのが許せなかった。」
ドッグメェン。
「だが、今のお前には『鷲鼻のバトゥロ』が居る。」
「親父って呼べるぐらい気心知れた男がな。」
「もう俺の事に固執するな。な、ルーキー。」
シエンヌ。
「そんな悲しい事、言わないで下さいよ、隊長…。」
「隊長が居なくても良いみたいで、寂しいじゃないですか。」
「でも…実際。感じるんです。復讐の念が薄くなってる事が。」
ドッグメェン。
「いいんだよ、それで。」
「何時までも死んだ人間に捕らわれるのは良くねぇこった。」
シエンヌ。
「隊長の言う事も一理あるのかも知れない。」
「でも現実。このままじゃあ、精神が汚染されてしまう。」
「自分の身の事もあるけど、やはりこのまま隊長の事を忘れるのは良くないんだ!!」
ドッグメェン。
「いいや。このままで良いんだ。」
「何故なら…!!」
ジリリリリリリリリリリ リ リ リ リ リ リ リ リ リ ! !
警報が鳴る!そして、こう放送される!!
「敵襲です!!アフリカ南部同盟軍が攻め込んで来ました!!!」
シエンヌはその声にハっとする!!
「敵襲!こんな体調の時に…って……!!」
シエンヌは感じる。
精神汚染が弱まっている事を。
「これは一体…?」
ドッグメェンの声が聞こえる。
「それはルーキー。お前が鷲鼻のバトゥロを守ろうと考えているからだ。」
「今、心臓の手術中なんだろう?バトゥロは。基地が攻め込まれちゃ危ねぇよ。」
「行け、ルーキー。そして、バトゥロを守るんだ!!おめぇなら出来る!!!」
シエンヌ!
「隊長…!!」
ドッグメェンの声が薄れていく。
「これで。もう俺はお前の前に現れる事は無い。」
「アバヨ。ルーキー。」
シエンヌ!!
「隊長…ッ!!」
もう…。声は聞こえない。
だが、シエンヌの腹は決まっていた!!
「行かなきゃ。俺は『鷲鼻のバトゥロ(親父)』を守るんだ!!」
そうして、シエンヌは格納庫へと向かった。
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