『魔導黙示録 A.A. 0013 〜ラグナロクはカレーの後で〜』はpixivに投稿されている『真・魔導物語』の二次創作小説。作者は
丁稚↑(でっちあげ)
。アルルが13歳にして魔導師としての記憶・能力をすべて消去されたときの出来事を描く。
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背景
この物語を読むには、背景となる『真・魔導物語』の設定を事前知識として備えておく必要があるが、原作の小説やゲームを知らずとも、
はてな堂の解説記事
一点で補完可能。要するに本作において重要な設定の一つである「聖なるもの」と「邪なるもの」の戦い、ラグナロクは、人類の文明が成熟するたび、それを繰り返し破壊させようとする創造主の思惑によるもの(原作や本作にて、因果律、輪廻、円環の理という言葉で表現される。はてな堂によれば、世界観が「円環」を描く構想自体は『真・魔導物語』の織田健司ではなく、当初の『魔導物語』に携わった米光一成によるもの)。本作ではアルルの魔導師としての覚醒がそのトリガーであり、アルルが記憶を消されたためラグナロクは延期となった。
ただし、設定自体に原作と異なると思われる点が数点ある。例えば本作でアルルは記憶を消された時点で14歳になっているが、原作の年表上でアルルが記憶を消された年齢は12歳である(アルルが生まれた年をA.A.1としているので、A.A.13では12歳)。また、『真・魔導物語』の舞台である魔導世界は、かつてのラグナロクで人類側だったリリスによる奇跡の産物で、魔界と人間界の次元が混合したことにより、創造主による因果律からは一時的に解放されているという。この辺りの設定が本作で考慮されているかどうかは不明。
余談だが、前述の二次資料によれば、この後アルルが16歳となり魔導学校に入学してから、オーパーツや秘宝石との遭遇の後にラストラグナロクが勃発。アルルが20歳になると、自身が魔導世界と同様に、かつてのラグナロクを戦った人類庇護者リリスの奇跡の産物であり、因果律から逃れうる存在と判明し、そのため創造主との戦いに勝利。創造主による輪廻もすべて消滅し、在りし日の魔導世界をもとにサタンが『ぷよぷよ』の舞台となる世界を再創造するというのだから、『真・魔導物語』の世界観というのはあまりにも壮大である。なお、ここに『極・魔導物語』の設定がどうつながっているかは不明だし、そもそもつながっているのかどうか自体も不明である(奇しくも輪廻という設定はちゃんと踏襲している)。
あらすじ
主人公はベリーティアという魔剣士で、サタンさまの旧友であり魔界の権力者であるゼブルさまの側近。魔界と天界との戦い、ラグナロクの始まりとなる号令が一年以内に発されるということをゼブルさまから告げられる。しかし、両陣営ともにラグナロクに対する準備ができていないといい、ラグナロクの号令を数年でも遅らせるため、ベリーティアはゼブルさまの命により、ラグナロクのトリガーとなるものを探すための旅に出る。
サタンさまから手掛かりを得たベリーティアは、魔導幼稚園を主席で卒園したという魔導師アルルのもとを訪ね、彼女の14歳の誕生日パーティに参加する。しかし、パーティに現れたアルルの友人たちは腐導師(魔導物語1のラスボス)によるイリュージョンで、腐導師はアルルへと襲い掛かり、ベリーティアは応戦する。そして、腐導師のさらなるイリュージョンにかかったアルルはベリーティアに猛攻を浴びせ、ベリーティアはやむを得ずアルルを殺害する。
するとそこにアルルによく似た姿をした天界の使いが現れ、ラグナロクの号令が放たれたことを伝えるが、同時にラグナロクを延期するための取引をベリーティアに持ちかける。そこでベリーティアの提案により、アルルを生き返らせる代わりに、アルルの魔導師としての記憶と能力はすべて消去される。これにより、アルルが生き返ってもすぐにラグナロクの号令が発されることはなくなる。
ベリーティアがアルルを彼女の母カリンのもとへ引き渡すと、カリンはすべてを理解しており、同時にこれらの事象は「円環の理」の中にあるので、受け入れるほかに術はないという。後日、ベリーティアはゼブルさまに伴われて人間界を訪れるが、そこで出会ったアルルはベリーティアのことを覚えていなかった。二人はラグナロクまでの間に猶予ができたことを改めて認識し、カレーを食べに赴く。