「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 無垢なる支配者と蜘蛛-09c

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匿名ユーザー

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「以上が、新たに分かった情報だ」

 セシリアに、エーテルに与えたのと同じ情報を渡すイクトミ
 ついでに、エーテルとともにたてた推察も伝える

 USBのデータに目を通し、二人分の推察を聴いて……セシリアは小さく、ため息をついた

「「教会」の救世主候補直々の部下が、本当に悪魔だとしたら……「教会」の大スキャンダルだな」
「俺達としちゃあ、大分自信のある推理なんだがね」
「……そうだな。私としても、お前達の推察が当たっていると思うよ」

 パソコンからUSBメモリを引き抜き、立ち上がるセシリア
 にじみ出る疲れを振り払うように、頭を振る

「このデータ、ローゼ達の元に持っていく。ついでに、お前達の推察も伝えるが、かまわんか?」
「あぁ、別にいいけど…そういう仕事は、俺がやるぜ?」
「…ローゼは、少々、警戒心が薄いところがあるから、な」

 じろりと睨まれ、肩をすくめるイクトミ
 ……この部屋に来た時、スカートの中身を覗こうとした事を根に持っているようだ

「それに、もし、本当に…「アイスマン」 メルセデスが、クローセルだったと言うのなら。能力説明は私の方が向いている」
「まぁ、それもそうか」

 悪魔関連の知識は、セシリアの方が豊富だ
 ソロモン王72柱の悪魔の一体を使い魔に持っているだけの事はある

「…クローセルの溶けない氷の剣は、傷つけた相手に重度の凍傷を引き起こさせる。正直、その能力が危険だからな。レクイエムがあの男と再戦するつもりがあるならば、伝えたほうがいいだろうしな」
「……ごもっとも」

 蜘蛛の足のような、編みこまれた長い髪がゆらゆらと揺れる

「んじゃあ、任せたわ。俺は、もうちょい調べる事があるんでな」
「あぁ、任せろ」

 すぅ、と、小さな蜘蛛へと姿を変えたイクトミ
 蜘蛛は、すぐにイクトミの能力影響下から解放されて、ただの小さな蜘蛛となる
 イクトミの気配が消えた事を確認し、セシリアは己の執務室を後にしたのだった



 「組織」本部から、遠く離れたどこか
 かさり、小さな蜘蛛が姿を現す
 それは、瞬時にイクトミへと姿を変えた

 ……そこは、資料室のようだった
 無数の資料が本棚に収められている

「ここなら………エイブラハムに関する資料が、ある。常に傍らにいる女共の資料も……」

 すでに、目星はついている
 何度か忍び込んで、場所だけはすでに確認済みだ
 目当ての資料を引き抜き、目を通す

(……エイブラハム・ヴィシャス。サリエルとイロウルの多重契約者。のちに救世主とも多重契約。飲まれて人間ではなくなる……』

 資料でも、一応はそういう事になっている
 だが、実際は違うだろうと、イクトミは確信していた
 彼自身が神であるからこそ……あれは救世主などではない、と言い切れる

(救世主に飲まれた、とされている時の状況は…………病床に伏していて、当時の医療技術で助かる見込みなし………そこからの奇跡的な回復、聖痕の出現が根拠、か……)

 だが…聖痕は、その気になればでっちあげられる
 病床から復活した奇跡とて、その気になればほかの都市伝説でいくらでもどうにかなる

(こっちは、メルセデスの資料………元々「教会」所属のバルディエル契約者だった事になってるが………極秘任務の際、バルディエルに飲まれた状態で帰還。記憶の大半を失った、だぁ?……よく信じたもんだ)

 この時、エイブラハムは既に人ではなくなっていた
 …さては、一枚かんだな

 そのまま、エイブラハムの資料を古い順から確認していく
 ……その資料の、全て
 その、全ての時代に
 エイブラハムの片腕として、必ず、美しい女性がいる事に気付く
 時代ごとに全く違う女性であるし、契約都市伝説も違う
 すべてが人間であり、飲まれた形跡は全くないが……

(……肉体を入れ替えて言っている可能性が高いな。使えなくなった肉体を捨てて、別の肉体に乗り換えている可能性が)

 契約なしで他者の肉体を乗っ取れる都市伝説は意外と多い
 有名どころでは、九尾の狐がそうだろう
 他にも………

(………………まさか)

 常に、エイブラハムの傍にいて
 次々と女の肉体を乗り換え、今、ゲルトラウデの中にいる可能性が高いのは………
 だとしたら
 まさか

(……いや、でも、そんな大物、「教会」に気付かれないはずが……)

 待てよ?

 エイブラハムの奇跡的復活、それ以降の不死性
 記憶の大半を失ったと言うメルセデスの主張が通った事実

 まさか
 エイブラハムの多重契約の一つは……

 ……答えにたどり着こうとした
 その、瞬間だった


「-----っ!?」


 感じた、殺意
 ここまで近づかれるまで、気づけなかった

 イクトミが振り返った時
 目前まで、その槍は迫ってきていて

 その輝く槍は容赦なく、イクトミの体を貫いた


to be … ?





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