連載 - 無垢なる支配者と蜘蛛-09d - 「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

　赤く、床が染まっている
　その中心に落ちているのは、潰れた蜘蛛の死骸

「逃がした、か」

　穂先が血でぬれた槍を手に、その天使は呟いた
　「教会」本部の最奥まで入り込んだ不届き者め
　いったい、何が目的だったと言うのか

「エイブラハムの件といい、忌々しい……！」

　「教会」不干渉の地での事件
　放置すべきだ、と彼は考えていた
　「教会」が干渉できぬ地など、どうでもいい
　問題が起きたならば、「教会」の力を持って強引にでも干渉し、もみ消せばいいだけだ
　急いで鑑賞する必要はない、放置しても問題ない

　だが、ガブリエルをはじめとした穏健派連中が、それではだめだと小うるさい
　忌々しい、偉大なる神の教えを曲解する連中め
　あんな連中が今、のさばっているから、「教会」の力は衰え続けているのだ

「我らが神以外は、全て悪魔。さっさと滅ぼしてしまうべきだと言うのに」

　そうして、世界のすべてを、「教会」の支配下に
　異質な存在が集まると言う学校町
　あんな場所、早く浄化すべきだ………！

　苛立ちをあらわにしながら、彼はつぶれた蜘蛛を踏みにじる
　自分達こそが唯一正しいのだと、古き時代の悪しき習慣に高慢にしがみつき続けるその姿がいかに滑稽で醜いか
　彼は、その事実に気付かない

to be … ?