【自主トレ】直球を鍛えろ!
『増田塾』大投手のメソッドに学ぶ
カリフォルニアはロサンゼルス。この日国際空港にやって来たのは、ジャイアンツ・S.武隈投手(30)を始め、まーろー投手(33)、北条氏康投手(33)、台依代(うてないよ)捕手(33)ら合同自主トレ参加者たち12名のBBL選手だ。彼ら・彼女らは、現在アメリカで活躍するT.増田氏(43)の指導を受けにはるばる異国へやってきた。«続く»
1日目はコーチ経験のあるアメリカ人職員による直球の投球体制や配球の基本、精神の在り方などを学ぶ講習。クールを挟む2日目と4日目には実戦を踏まえた練習が行われた。
T.増田氏は「ストレートは投手の基本。基本から見直して自身のスタイルを習得してほしい。三振を取るには緩急が大事だが、それを活かす方針は幾通りもある。速球があるならそれもいいし、ストレートが遅くても変化球との相乗を求める練習をすればいい。いずれにしても、ある程度球質を高めれば、調子が悪いときでも打ち取る投球ができる」とコメント。
「あるいは、ピンチでも戦える精神力を鍛えることができれば、三振が取れなくてもコントロールで抑えられる。自分にあったものを育てることが重要」。
練習中、T.増田氏を驚かせたのは久遠投手(19)。ブルペン投球では150㎞前半の直球を続々投げ、「この調子で追求したい」と頬を綻ばせた。また与田剛投手(20)も負けじと最速152㎞。
T.増田氏は「昔は若手でここまでの速さの選手はいなかった。大投手になるね」。
勝負の2年目・マイルカ投手(19)は熱心にコーチの指導を受けた。先発ローテの一角としてこれからの投球スタイルのアドバイスを得た模様だ。
同じくローテを担う3年目・遠山裕也投手(27)はアンダースローからバランスの取れた投球。守備でも魅せ来年への意気込みを覗かせた。
前年控えながらローテ奪取を狙う彦根ひこ投手(24)は「改善する場所が見つかった」と充足感。「ピンチを抑えて先発としてもっと勝ち星を伸ばしたい」。
昨季ブレイクの鹿屋美嘉投手(22)もさらなる高みを目指す。T.増田氏からは左腕自慢のスラーブのキレに高評価。
「決め球を活かすために」と参加を決めたと話すのは10年目・もんたろう投手(31)。パームの使い手と知られる彼も直球に磨きをかけた。
また「ストレートに自信を得たい」と話したのは北条投手。投球ではコーチ陣も唸る抜群のコントロールを披露。
同じく最年長のまーろー投手は大きく曲がる変化球と150㎞の直球で打席の台依代(うてないよ)捕手から空振りを奪った。バッテリーを組むことの多い同い年の捕手は「APは守備だから…」と悔しそう(?)。
また「キャッチャーとして来ました」と明るく豪語した卅崎崇則捕手(23)は今後を期待された若手野手。ベテランで実績豊富な台依代(うてないよ)捕手と話し合って意見を交わした。連日参加者の球を受け、同捕手は納得の表情。
両者は打席にも入り、主催・T.増田氏の球を遠慮なく場外へ打ち返す場面も。観戦する自主トレ参加者からは歓声があがった。
なお発起人のS.武隈投手は、3日目のクールタイムにロサンゼルスに本拠を持つドジャー・スタジアムを観光。「一番感動しました」と笑う。「いや、もちろん練習もためになりました」。
こうして選手たちは満ち足りた表情でカリフォルニアを後にした。
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