西南高速線強制占拠事件は、瑞州暦2028年3月28日に発生した、反純愛過激派組織による人質立てこもり事件である。犯行グループについては、現時点で正式名称が不明であるため、本項では瑞州情報局および純粋恋愛維持機関の定めた便宜的な名称である「連合」で統一する。
瑞州合衆国連邦では、病的なまでの「純愛至上主義」が官民問わず広がっており、浮気や不貞行為が発覚すれば姦通罪として刑事罰に、慰謝料などの民事責任に問われることとなる他、社会的・精神的にも非常に大きな打撃を受け、当人の社会基盤は徹底的に破壊される。また国家ぐるみで純愛を保護・推進しており(*1)、国際人権調査団体の声明では、純愛の保護のために瑞州政府は超法規的措置も辞さず、憲法に規定される「思想及び良心の自由」を侵害している状況としている。「正当性」を重んじる傾向にある国民はこれを悪としないため、瑞州国内での自浄作用は望めそうにない。
しかしながら──たとえお菓子が好きな人でもきのことたけのこで争うように──大多数の人間が意見を完全一致させることなどない。瑞州でもそれは同じである。「純愛」を錦の御旗とし、それを受け入れるよう同調圧力をかける世論に反発を覚えた勢力がいた。ただし、彼らは穏健ではなかった──「純愛」に対抗するために、その逆の概念、「不実」に飛びついた。
「不実」をイデオロギーに据えた組織は瑞州各地で乱立し、彼らは連携しないながらも、既存の社会に対して反抗し、テロ事件さえも起こした。21世紀に入るまでに彼らのほとんどは各州政府や公安委員会、警察、そして連邦政府に鎮圧された。2027年にはAMPLが設立され、彼らが生まれる土壌さえも消し去られたように見えた。
それでも、彼らはしぶとく生き残っていた。暴力団やマフィアと繋がり地下に潜った彼らは、既存の社会の徹底的な破壊を大目標とし、その鋭い牙を研いでいた。
3月28日午前9時15分、薩鹿州長嶋駅を通過中のひちょう421号車内で、各車両に潜んでいた戦闘員が一斉に蜂起。運転室のドアを破壊して運転室内に侵入した戦闘員の要求により、列車は薩鹿-日宮州境の山中、トンネルとトンネルの間で停車。これには薩鹿・日宮州警の強襲・検挙を避ける狙いがあった。運転士は戦闘員の突入時、衝撃音を聞いて運転指令室に報告しており、その直後に無断で減速を始めたひちょう421号を不審に思った運転指令室が州警に通報している。
9時30分、犯行グループは予約投稿機能を用いた犯行声明動画をインターネットにアップロードし、「連合」とだけ名乗る組織が関与していることを国内外に周知した。これを確認した薩鹿州警・日宮州警はこの事件をテロ事件と認定、連邦捜査庁(FAI)および瑞州情報局(ZIA)に協力を、ZR中央に情報提供を要請。10時までに五組織による対策本部が開設された。また動画には「連合」の、瑞州大統領に向けた要求、3時間ごとの大統領との定期連絡、12時間のタイムリミット、要求が受け入れられなかった場合の「見せしめ」の示唆も含まれていた。対策本部が設置された時点で、事件発生から既に45分が経過していたため、対策本部は慌てて大統領府との調整を行うこととなった。
同時に対策本部は乗員名簿をZR中央に要求し、ひちょう421号に乗っている人質の数は981人であること、外国人旅行者も数十人含まれていることを確認した。
新城彰一郎大統領は八雲州の空港にいたが、事件の第一報と大統領の直接交渉を犯行グループが望んでいることを知ると、予定されていた地元での交流会をキャンセルした。そして大統領は瑞京からの往路に用いていた大統領専用機にすぐさま取って返し、対策本部の設置された薩鹿州警本庁へと向かった。飛行中に参考資料として、新城は前述の「犯行声明」を視聴しているが、この時新城は要求に対して「到底受け入れられない」と一蹴している。
対策本部は占拠された車両とのコンタクトを試みたが、犯行グループは「大統領を出せ」との一点張りであり、話は通じなかった。11時25分頃、対策本部に新城が到着し、いよいよ大統領直接のコンタクトが試みられた。一回目の定期連絡である。この定期連絡では犯行グループから新城に、改めて要求が提示された。この時の要求も含めた会話内容の要約は以下の通り。
・現行の瑞州政府は直ちに純愛至上主義を廃止すること。
・DICEを今すぐ解体すること。もしくは瑞州の所属しない、イデオロギーに依ることのない純軍事同盟へと作り変えること。
・我々は自由思想及び自由恋愛を守護する組織群の「連合」である。今話しているのは「連合」のトップであるが、名は明かさない。
・「大きな政府」から「小さな政府」に縮小すること。
・手持ちの戦力を用いて強行突入・検挙を行うようであれば、各車両に仕掛けた爆弾を起爆させる。乗員乗客は全員死ぬ。
・犯行グループは現時点でいるこの場所から動くつもりはない。
・逃走用のヘリコプターを燃料満タンの状態で用意すること。そして逃走とその経路、および「連合」が指定した着地地点の安全を保障すること。
・期限は本日21時。それまでに要求が受け入れられなかった時も、爆弾は作動する。
この会話の中で、新城は高齢者や子供の人質の解放を交渉しているが、にべもなく断られている。
テロリストとの「第一回定期報告」は11時42分に終了し、直後の11時45分からは関係各国首脳と瑞州大統領、対策本部によるオンライン会議が行われた。新城に付き添っていた首席補佐官は「激務すぎる」と諫めたが、新城は「緊急の事態である」とし、人質の解放を最優先に、できることならばなんでも、自身を顧みることなくやらなければならないという姿勢を取った。
このオンライン会議では現状の確認──「定期連絡」の結果報告、テロリスト側から突き付けられた要求内容の再確認が行われ、今後の対応方針についても話し合われた。関係各国首脳は満場一致で「テロリストに抗う」ことを選び、新城を大きく励ました。また、彼らは自国のテロ制圧部隊を瑞州に向けて既に緊急派遣したと説明し、事後承諾になるが受け入れの許可を新城に願った。新城や対策本部は「援軍は大歓迎」として、彼らの輸送機が瑞州の空港や空軍基地に着陸できるように、また彼らを迅速に現場まで輸送できるように、すぐさま各部署に通達している。
なお、トンガ帝国は外務省を通じて自国民がテロに巻き込まれている情報を得ており、オンライン会議にも出席していたものの、テロ制圧部隊の派遣には困難が伴うとして瑞州や他国に委任した。瑞州とトンガの距離が離れすぎていることもあり、新城はトンガ国民の救出も固く誓っている。
瑞州国防軍の支援もあり、瑞州に到着した各国のテロ制圧部隊は現場にすぐさま辿り着いた。各国の部隊が全て到着し勢揃いしたのは13時のことであり、神業ともいえる迅速さであった。派遣された部隊は以下の通り。
国名 | 部隊名 | 指揮官 |
---|---|---|
アルファリア帝国 | 陸軍特別編成部隊 アイギス | 桜田康午陸軍元帥 |
安勢国 | 安勢国派遣部隊 | 倉森昭雄海軍陸戦隊中佐 |
イットリカン民主主義国 | 遠征軍集団第6独立特殊作戦連隊 | コラリー・ド・デュラン大佐 |
カンタルシア帝国 | 陸軍特殊作戦群所属第442中隊 | 小山田茂信中佐 |
神聖ラエリア帝国 | 皇帝親衛軍捜査局 | トラン・リー局長 |
聖州連邦王国 | 特殊作戦統合軍陸軍特殊作戦コマンド特殊作戦部隊群分遣隊 | 草加裕章一等陸佐 |
蒼星連邦国 | 連邦陸軍南方軍第82独立混成大隊 | ヒエロニュムス・アサモア連邦軍中佐 |
ソビエト共産主義共和国連邦 | 国家秩序本部第三局第一特別編成中隊 | ゲオルギー・フレデリック国家秩序本部中佐 |
大日本共和国 | 親衛隊指揮下最高部隊 紅隊 | 田中義昌親衛隊大将 |
月ノ谷共和国連邦 | 赤軍海軍太平洋艦隊海軍歩兵スペツナズ 3F4ロソス連隊 | トリーフォン·フロロフ海軍中佐 |
日ノ出国 | 陸軍第一特殊作戦群 | 中村直樹大佐 |
フェニクシール-ストラヴィア=オーディノル-フリーディア皇国 | 皇立高等審問局-皇立国際審問部 | サッチャー.ディスラグローム.ルォーペ騎爵(支問隊長) |
皇立特別武装審問隊ラウザー小隊 | ラウザー・アモ―ズメント・ライガバルド審問官 | |
ラティアンス・レフタニア技巧連合 | 陸軍第一特殊作戦群所属 第408中隊 |
各国のテロ制圧部隊の指揮幕僚・指揮官、そして対策本部で構成される合同司令部は、出揃い次第制圧計画の検討に入った。このとき、損害度外視の「強行突入」か、それとも人質の安全確保を最優先とする「隠密作戦」か、どちらを採るかで司令部は二分され、一時は「隠密作戦」派が優勢であったものの、事件の早期解決と人質の早期奪還を図りたい「強行突入」派に説得され、強行突入を基軸とした作戦計画が策定された。
練度に優れる各国の部隊は計画の策定後、すぐさま態勢を整え、13時40分には新城の承認のもと、突入作戦を開始した。
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▲月ノ谷赤軍海軍歩兵スペツナズ、3F4 ロソス連隊。AS-52を持ちテロリスト鎮圧用意を行っている。
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突入作戦では、州警やFIAといった瑞州の警察組織や各国の部隊が一斉に列車内になだれ込み、人質を救出しながらテロリストたちを一斉検挙する予定であった。30分以上に渡る銃撃戦を演じ、特に激戦となった後尾車両3両が大破(*2)した後、作戦は12分遅れの14時12分に終了した。第一次制圧作戦の結果は以下の通り。
・アルファリア 人質1名救出、隊員3名死傷(残り6名救出待ち)
・安勢 人質2名全員救出
・イットリカン 人質2名救出、隊員1名死傷(残り3名救出待ち)
・エルトシア 人質5名救出、隊員5名死傷(残り4名救出待ち)
・カンタルシア 人質2名救出、隊員3名死傷(残り6名救出待ち)
・瑞州 人質121名救出、隊員321名死傷(残り789名救出待ち)
・聖州 人質5名全員救出
・蒼星 人質10名全員救出、隊員6名死傷
・ソビエト 人質1名救出、隊員2名死傷(残り1名救出待ち)
・大日本 人質4名全員救出、隊員2名死傷
・月ノ谷 人質5名全員救出
・トンガ 人質6名救出(残り3名救出待ち)
・日ノ出 人質3名全員救出、隊員1名死傷
・ラエリア 人質5名救出、隊員1名死傷(残り1名救出待ち)
・ラティアンス 人質2名全員救出、隊員2名死傷
この内、アルファリア陸軍アイギス部隊、ラエリア皇帝親衛軍捜査局、日ノ出国陸軍第一特殊作戦群はテロリストを無力化することができず、残された車両にいる人質への報復のリスクが高まる結果となってしまった。また当事国である瑞州は最大の人質に対し最多の作戦人員を投入したものの、その1割程度しか救出することができなかった上、作戦人員にも数多くの損失を出すという大失態を演じた。事件後の調査では、軍事力を投入した諸外国に対し、警察力のみの投入(=制圧力で今一つ)であったことが瑞州の失態の原因の一つとされ、マスコミを中心に批判を浴びることとなった。また、各国が自国の人質の救出に全力を注ぎ、他国の人質の救出には二の足を踏んでいたことも合同司令部全体の失敗として挙げられたが、こちらへの追及の声はあまり上がらなかった。
一方、現場の隊員たちの証言や、後の犯人たちへの尋問によると、テロリストたちはまさかこちらが強行策に打って出ると思っていなかったらしく、突入時には泡を食って慌てて対応せざるを得ず、各車両に仕掛けた爆弾も起動させることができなかった。当時としては知る由もなかったが、これは事件の早期解決を目指し、多大なる損害も覚悟していた合同司令部にとっては嬉しい誤算であった。テロリストの全員検挙・人質の全員救出に失敗した時点で、合同司令部は残された人質への報復のリスクが高まったことを懸念していたが、彼らは人質を未だに交渉材料と見ており、強行突入後も彼らを殺してはいないことが各所に配置した制圧部隊の偵察兵から報告されている。
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自国民を全員救出した国は作戦目標を達成したとして、新城は該当国の首脳に「部隊を引き揚げさせても構わない、自国の後始末は自国でつける」と通達した。しかし、人質の帰路の安全確保に全人員を充てた日ノ出国以外は、今度は残っている人質も全員救出すべしと派遣部隊に厳命し、現場に残置した。新城は後にどちらの判断も正しいとし、関係国全てにお礼の言葉とお礼の品を送っている。一方で瑞州自身は、警察力のみによる解決は不可能と結論づけ、諸外国に倣って国防軍および純粋恋愛維持機関(準軍事組織。通称AMPL)を追加補充の作戦人員として投入した。
第一次作戦後、テロリストたちは合同司令部の危惧通りに激怒していた。しかしテロリストたちに重傷を負わせ、検挙に成功した国は8ヵ国(カンタルシア、ラティアンス、ソビエト、蒼星、瑞州、トンガ、大日本、イットリカン、エルトシア)、さらに射殺に成功した国家は3ヵ国(聖州、月ノ谷、安勢)もあり、テロリストの戦力は大打撃を受けているのは明白であった。そこで彼らは強行策を採った。
第一次作戦終了から18分後の14時30分、テロリストと新城の間で「第二回定期連絡」が行われた。この時、彼らは突入してきた部隊の国籍を特定しているとし、報告としてその中から一か国選び、その国民一人を見せしめに殺害すると新城に通達した。公開処刑の脅迫である。合同司令部はすぐさま対応策を考える必要に迫られたが、テロリストたちがいつ、どのタイミングでそれを実行に移すかを把握できていない以上、対応策を考え出すことは不可能に等しかった。しかし、彼らに怪しい動きの兆候が見られた瞬間に第二次制圧を開始するということについては合意を得た。
事態が動いたのは15時03分である。現場に展開していた瑞州国防軍とAMPLの通信兵が車両内からの電話発信を探知し、送信先の特定に成功した。送信先はマスコミ各社であった。新城は国家非常事態特例D-78を発動、犯人側との通話内容の公開をマスコミ各社に要請した。特例D-78は憲法に保障される通信の秘密を害する可能性があったが、マスコミ各社は人命が懸かった状況であることを理由として、要請に快く応じた。この通話には、「16時きっかりに公開処刑を行う」という、マスコミや世間の注目を誘導する内容が含まれていた。マスコミ各社はスクープ狙いで報道ヘリを飛ばし、その爆音で現場各所の顰蹙を買ったものの、合同司令部はこの轟音を利用して大がかりな作戦準備を隠匿することを発案。第一次作戦より大規模な制圧作戦の下準備に入った。
16時、公開処刑を行うために、覆面のテロリスト数名と、手錠と足かせを取り付けられた人質1名が車両に出てきた瞬間に作戦が開始された。テロリスト数名は車両外に出た瞬間の強襲を避けるために人質を盾にするような狙撃防止陣形で出てきていたが、閃光弾の奇襲は想定しておらず、ひるんだところに伏撃部隊(主に全員救出を達成しながらも現場に残った部隊で構成された。)が殺到し、全員が検挙され、公開処刑されるはずだったソビエト国民の人質を救出した。この奇襲制圧と同時に車両内への突入が開始され、テロリストたちは圧倒的な数的不利と士気の低下から散発的な抵抗しかなし得ず、制圧部隊に大した打撃を与えられることもなく、16時25分までには全員が検挙・射殺された。人質は全員が救出された。
数多くの失敗があったこの事件だが、事件解決後は「テロ制圧戦の模範例」として取り沙汰されるほど、「人質全員救出」の結果は多くの国で好感を持って迎え入れられた。しかし事件の当事国である瑞州では、警察の制圧力の不足やそれを把握しているはずの対策本部や新城が強行制圧にGOサインを出していたことが問題視され、諸外国ほどの熱狂した成功報道はなされなかった。反対に第二次作戦で活躍した瑞州国防軍やAMPLはますます人気を博し、予算面での発言権は増した。
一方、テロリストたちへの尋問などからは、テロリストたちがなぜこの事件を起こしたのか、何が最終目的だったのか、背後関係は何なのかという情報をついに得ることはできず、州警やFAIによる捜査は難航を極め、ついには手詰まりに陥った。彼らの自宅やアジトと思しき場所からは様々な証拠物品が押収されたものの、彼らの不自然なまでの明瞭な作戦計画や武器調達のスムーズさ、入手ルートの隠匿からは「彼らは素人の集団でないし、思いつきの犯行でもない」という情報しか得られず、さらにFAIを悩ますこととなった。「連合」という組織についても何も分からず仕舞いに終わってしまっている。
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