香水戦士コロン(2)

「あぅ・・昨日使っちゃってもうお金ないよぅ~・・・どうしよう・・おこづかいまであと一週間もあるのにぃ」
一郎に帰るように言われたあと、3人は内緒でパフェを食べに行ったのだが、春菜とレイナ3倍の量を食べたみくは、当然値段も3倍近く・・
お嬢様のレイナならまだしも、一般家庭に生まれたみくがそんな無駄遣いをしては財布の中身がなくなるのも無理はない・・
「あっ!そうだ。お年玉貯金がまだあったんだ。よしっ♪そうとわかれば、今日の放課後は銀行へゴー♪」

そして放課後・・みくは予定通り、銀行に向かっていた・・・・・が、
銀行の前が妙に騒がしい。見ると、人だかりができていてその奥には警察までいる。
尋常ではない様子だが、銀行前がこうなるということは
予想できることはただ一つ、銀行強盗だ。しかしただの銀行強盗ではない・・
「にしても、強盗って悪臭モンスターなんだろ?それじゃあ警察なんて相手になるのかよ」
「さぁ?まあ、コロンが来るまでの時間稼ぎってとこじゃないの」
「そ、それホント?!!」
「うわっ!え・・?そうだけど・・・」
「(うそ~・・一昨日倒したばかりなのにまたなんてぇ・・・
でも、みくの大事なお年玉をあんなくっさぁい奴らに奪われるなんてゼッッッタイにイヤっ!!)あ、教えてくれてありがとっ!」
相手が悪臭モンスターとわかると自分の出番と、人の視線が銀行に向いている間に物陰隠れていく。
「クロス・フレーバー!!」


「がっはっは!これだけあればワシは億万長者じゃのぅ!」
場所は変わって銀行の金庫。悪臭モンスター「不衛鬼」は職員に無理やり金庫を開けさせて、中にある金をばら撒いは浴び、ばら撒いては浴びと好き放題にしている。
「こらー!!みんなが一生懸命貯めている大事なお金と私のお年玉を粗末にするなんて
神様が許したって、このプリティー・コロンが許さないんだからねっ!」
そこにやってきたプリティー・コロン。いつものように悪臭モンスターを相手にポーズを決めるが、すぐには攻撃せずに周りにある金に目が行ってしまう。
「うわぁー・・すっごーい・・・これだけお金あったらきっとレイナ先輩のところみたいなお屋敷が建てられるんだろうなぁ・・」
「ぷりてーころんじゃとぉ?!・・がっはっは!!まさか、本当に来るとはのぅ!
こいつは驚いたわい!」
コロンは悪臭モンスターの天敵、しかも今のところコロンは勝率100%を保っているというのに、
不衛鬼には焦りが見られず、むしろ来た方が都合がよかったと感じれるような口ぶりで豪快に笑っている。
「むっ!笑ってられるのも今のうちだよ?あんたみたいなメーワクなやつ、すぐにやっつけちゃうんだから。それに、ここなら逃げ場はないよ」
「んん?がははっ!逃げ場がないのはお互いさまじゃい!!後ろを見てみぃ?!」
不衛鬼がプリティー・コロンの後ろ・・つまり、金庫の入り口を指さすとプリティー・コロンは素直に後ろを向く。
開いていたはずの扉は閉まり、機械音が金庫内に響く・・そう、閉じ込められたのだ。
「え・・えええぇぇぇ?!!!ま、待って待って!いくら逃げ道はないよって言ったって、しめなくっても~・・・うぅ・・」
いまさら何を言っても、堅牢な倉庫の扉は声など通すはずもなく、当然その重い扉が開くことはない。
「がっはっは!まあ、よろしく頼むわい!!」
相手が敵であるというのに、不衛鬼はそれほど敵意は見せていない。しかし、豪快に笑いながら股間を掻き、さらに頭をかいてフケを飛ばす。
女の子は絶対に近づきたくないタイプだ。
「(うぅ・・こんな汚い奴と閉じ込められるなんてサイアクだよぅ・・・おねえちゃん、レイナ先輩たすけてぇ~~!!)」


運悪く悪臭モンスター「不衛鬼」と金庫に閉じ込められてしまったみく。敵が目の前にいるというのに、ここから抜け出すことばかり考えているのか頭を抱えている。
ちなみにこの不衛鬼、先日みくと戦った屁鬼と違って姿かたちはほとんど人間・・
違うといえば、鬼の証である頭の角くらいだろうか・・服もちゃんと着ている。
しかし、人間と同じというのは姿かたちだけ・・来ているランニングシャツに短パンは相当長く洗っていないのか、
白かったシャツは全体的に黄ばみ・・というレベルを超えて黄色に変色してしまっている。
さらに短パンだ。近づいて見るとわかるのだが、若干湿っているように見える。
おまけに股間と尻の部分にはシミができている。
服だけではない、不衛鬼本人もボサボサの髪にフケが溜まって白髪交じりのような頭になっており、
体の周りにはハエがたかっている。
こんな汚い奴と一緒に密室に閉じ込められているのだ、一刻も早く外に出たいという
プリティー・コロンの考えは、正義のヒロインという立場にあっても認められるだろう。
「うぅ~~・・・こうなったら、こんなきたなーい奴なんかとっとと倒しちゃって、ここを開けてもらうんだからぁ」
今現在の状況で扉を開けては悪臭モンスターが外に出るかもしれないため、銀行側が扉を開けるはずがない。
それならば、眼の前にいる悪臭モンスターを倒して安全であることを証明すれば、
扉を開けてもらえるはずと推測したプリティー・コロンは不衛鬼に向かって構えを取る。
両腕を揃えて掌を相手に向ける、プリティー・コロンの必殺技「スウィート・ミスト」を使う気だ。
「なんじゃあ?!わしを倒すぅ?!!やれるもんならやってみぃ!」
プリティー・コロンの前にドンと構える。まるで必殺技を受けてやると言わんばかりのその態度はプリティー・コロンの闘志に火をつける。
「へーんだっ!言いたいこと言ってられるのも今のうちだけだよー!これで終わらせちゃうんだから・・・・『スウィート・ミスト』!!」
甘い香りの霧が発生すると、密室ということもあって、あっという間に金庫内は甘い香りに包まれる。
この心地よい香りを嗅いで悪臭モンスターの心が安らぎ、浄化されていくのだが・・
「んん?なんじゃあ?!この甘ったるい匂いはぁ!!臭くて敵わんわい!!」
心が安らぐどころか、不衛鬼は鼻をつまんで匂いを払っている。もちろん、浄化するはずがない。
「えええぇ?!通じてないのぉ?!!だ、だっていつもならこれで・・」
必殺技が通じないという予想外の出来事に動揺してしまう。なにせ、今までこれが通用しなかった相手はいないのだから、
このような反応をするのは仕方ない。しかも、これが通用しないとなるとプリティー・コロンは不衛鬼に対抗する手段がない。
そんなこんなでオロオロしていると・・
「クッサイもんばら撒きおって!真に良い香りというのを教えてやるわい!!」
プリティー・コロンの隙を突いて不衛鬼が迫る。


「えぇっ?!ちょっ!タイ・・んぅっ?!くっさぁい・・・もーっ!そんなに不潔にしてるから臭いんだよー!あっち行ってー!!」
不衛鬼との距離が縮まったことで初めてその体臭を嗅いだプリティー・コロン。
汗だけではない複雑に混合された悪臭。不衛鬼から漂ってくるその匂いをできるだけ嗅がないように鼻を摘んで、不衛鬼の接近を拒否する。
しかし、少女に嫌がられようと不衛鬼は全く気にしてしない・・というより、何も聞こえてないようで
「がっはっは!どうじゃ、芳しいじゃろう!?もっと嗅がせてやるぞい!!」
「(芳しいなんて一言も言ってないよぉ!)」
「すううう~~~~~・・・・ぷはああああああぁぁぁ・・・」
口いっぱいに空気を吸い込んで頬を膨らませると、少し間を開けて
吸い込んだ空気を自分の匂いに染め上げてからプリティー・コロンに向かって吐き出す。
「ん・・・・(うぅ~・・・生温かくて・・気持ち悪いよぅ・・・)」
肌に伝わる息は生暖かく、ねっとりとプリティー・コロンの肌に纏わり付くような錯覚すら覚えてしまうほど。
肌だけでこれほどの情報を得てしまったプリティー・コロンは、絶対に空気を吸ってはいけないと確信して両手で鼻と口を覆う。
「なんじゃ?!遠慮しとらんでもっと嗅げ嗅げ!!はああああああぁぁ」
息のできないプリティー・コロンの気を知ったか知らずか、不衛鬼は遠慮することなく息を吐き続け、匂いをより一層強いものとする。
これに、今まで息を我慢し続けていたプリティー・コロンは匂いが酷くなる前に我慢して息を吸っておくべきだったと後悔する。
「(・・息・・・くる・・し・・・・・も・・・ダ、メ・・)ぷはぁっ!っっっ?!?!!?!」
我慢の限界が来たプリティー・コロンはとうとう息をしてしまう。酸素の不足していた体は、無意識のうちに大量の空気を貪るように吸う。
しかし、その大量の空気はすべて不衛鬼によって汚染された悪臭の息。
酸欠寸前からそんな空気を吸ってしまったプリティー・コロンは眩暈を起こし、ふらふらと運悪く不衛鬼にもたれかかる様に倒れてしまう。
「なんじゃなんじゃ。息の匂いが気に入ってもっと欲しいのかい?がっはっは!!それじゃあ、もっとやらんとなぁ!」


「はああああぁぁぁぁぁ・・」
不衛鬼に捕らえられ、再び息を吐き掛けられるプリティー・コロン。
もはやその匂いは毒のように働いているのか、彼女の顔は青くなっていっている。
「んん?!もう飽きたのか・・女ってもんは心変りが早いのぅ」
その反応を変に捉えた不衛鬼は口臭攻撃をやめる。
少しするとプリティー・コロンの周りの汚染された空気が消え去り、
新鮮になる・・といっても不衛鬼の近くであるため体臭で澱んではいるが、
それでも口臭よりは大分マシであるとプリティー・コロンはそう思いながら、久し振りのまともな空気を吸う。
しかし、それが大間違いであることを彼女はすぐに思い知らされる。
「けど、安心せい!口が飽きたところでわしの匂いはまだまだ盛りだくさんじゃからのう!!」
プリティー・コロンの肩を掴んでいた手を背中にまわすと、そのまま自分の体に引き寄せることで思い切り抱きしめる不衛鬼。
二人の体格差は大人と子ども程あるため、プリティー・コロンは不衛鬼のたるんだ腹に顔を押し付けられ、呼吸を奪われる。
しかもそれだけではなく、見るのもおぞましいほど黄ばんでしまったシャツの尋常じゃない汗臭い匂い・・そして不衛鬼自身の匂いが直に伝わってくる。
その威力たるや、口臭の比ではない。
あまりの刺激に一嗅ぎで目には涙があふれ、少し経つと足に力が入らなくなり自力で立てなくなる。
プリティー・コロンにしてみればこのままその場に崩れた方がずっと幸せなのだろうが、
不衛鬼はプリティー・コロンをしっかり支えているため、彼女の苦難は続くことになる。
「(ぅ・・ぅぅ・・・・あたまが・・・・割れそう・・だよぅ・・・)」
「がっはっは!これなら飽きないじゃろう?!」
片手をプリティー・コロンの後頭部にまわして、さらに匂いを嗅がせようとする不衛鬼。
シャツ越しだったはずの抱きしめは、肌にじかに密着するほどすさまじいものにエスカレートしていく。
ここまで密着度が上がるとプリティー・コロンを襲うものは強烈な激臭だけではなくなってくる。
彼女を苦しめるもう一つの要因。それは「汗」である。
恐ろしく不潔な不衛鬼の体から出る汗は、まるでコールタールようにべっとりと顔にこびりつき、強烈な不快感を与えるのだ。
そんなものを大量に、しかも女の子の命である顔に塗りたくられては堪ったものではない。
「い・・やぁ・・・ベトベトして・・・・気持ち・・悪いよぉ・・・」


「わしの匂いの感想はどうだ?!ふろーらるな香りだったじゃろう?!」
さんざんプリティー・コロンを苦しめた、体臭&汗の匂いと不快感による攻撃は、
返事を聞くために中断。不衛鬼は自慢げな顔でプリティー・コロンの顔をのぞく。
「げほっ・・げほっ・・・・はぁ・・・はぁ・・・(お鼻・・曲がるかと・・・おもったよぅ・・・)」
しかし、解放されたプリティー・コロンにとって感想などよりもまずは空気。
不衛鬼に抱きつかれた状態ではまともに呼吸などできるわけがないため、
今までの数分間我慢していた呼吸がようやくできるとあって、不衛鬼を無視して空気を貪る。
「じょ、冗談じゃないよ・・・こんなフローラル・・あるわけないもん・・」
ようやく落ち着いたところで、マイペースな不衛鬼に不平を洩らす。
「・・なんじゃとう?!!人がせっかく良い香りを教えてやっとるというのに、なんて言い草じゃ!!」
「そんなの頼んだ覚えなんてないもん!それに、この汗とってぇ!気持ち悪いんだからぁ」
今まで穏やかだった不衛鬼もプリティー・コロンの言葉に激高する。しかし、その不衛鬼にも怯むことなく意見し続けるプリティー・コロン。
だんだん、不衛鬼の顔の赤みが強くなってくる。
「ぐぬぬぬぬぬ・・・・ガアアアアアアッッ!!!!堪忍袋の緒が切れたぞ!!お前のような礼儀知らずの女には折檻じゃ!!!」
片手でプリティー・コロンの髪を掴むと、もう一方の手で器用に短パンを脱いで、さらにパンツまで脱いで下半身を露わにする。
「え・・?!いやあぁっ!!変なもの見せないでぇ?!!・・・んぷっ?!!・・・(く・・くさぁい・・・)」
思わず目に入ってしまった不衛鬼の汚らわしいモノから目をそらし、できるだけ視界に入らないように目を覆うとしたが、
下から舞いあがってくる激臭が鼻をかすめると、手は目から鼻・口へと移動する。
匂いの正体は当然不衛鬼の股間によるものだ。
嗅ぎたくもないし見たくもない・・プリティー・コロンはできるだけそうしようと、眼を思いっきり瞑って、首を目いっぱい回して鼻と口を遠ざける。
しかし、そんな抵抗を不衛鬼が見逃すはずもない。
「こっちを向けぇい!!」
プリティー・コロンの顔を無理やり回して、股間を見えるようにすると、もう一方の手では、鼻と口を覆っている手を引き剥がす。
瞑っている眼はどうしようもないのだろう、一瞬手を出そうとしたがすぐに諦めてしまう。
「ん・・んんぅ・・・・(苦しいよぅ・・でも、息しちゃったら・・・)」
どうなるかなど考える前に分かっていること。どんなに辛くても固い意思によって呼吸を拒み続ける。
だが、いくら必死になって呼吸を我慢したところで、この匂いが収まるはずはなく、不衛鬼が解放してくれる可能性もない。
「お前が嫌がったわしの匂い、好きと言うまで嗅がせてやるわ!!」
プリティー・コロンの顔を、あろうことか股間に押し当てる。
目を瞑っていたプリティーコロンも顔に感触が伝わると、何をされたかわかってしまう。
「(や・・やああああああぁぁぁっっっ!!!!!離して!汚いんだからぁっ!!!)」
腰を振り、グニグニと擦り付けるようにプリティー・コロンのかわいい顔を蹂躙していく。
陰毛の感触、そして男性の股間に顔を擦られているという精神的ダメージも大きいが、
何よりもその匂い。垢がたっぷり付いた・・というよりはほぼ垢によってコーティングされているといってもいいほど、汚れきった股間の匂いは、
想像を絶するもので、呼吸を止めていたはずのプリティー・コロンであったが、
匂いはそんなこともお構いなしに鼻に入り暴れまわる。
「(くさい・・・くさいよぉ・・・もう・・ゆるしてぇ・・・・)」
すでに頭の中は匂いのことしか考えられなくなり、次第に悪臭は脳を蝕み始め、体も麻痺してしまう。
「さあ!好きと言ったらどうじゃ?!!」
不衛鬼が話しかけるが、意識もはっきりとしないプリティー・コロンには何か音が聞こえる程度しか認識できていない。
当然、返事などできるはずがない・・そうなると、この残酷な匂い責めは続行し・・
「ぅ・・・ぅぁ・・・・・ぅぅ・・・・」
「なんじゃ!!気絶しおって、これじゃあ好きかどうかも聞けんわい!!」
さんざん責め続けられたのち、プリティー・コロンはようやく気絶することで解放される。
「おい!!いい加減に開けんかい!?」
プリティー・コロンを開放した不衛鬼は扉まで行くと大声で叫ぶ、先ほどプリティー・コロンによって実証されたが、この分厚い扉越しに声など通る筈がない。
しかし、不衛鬼の叫びから十数秒の間が開くと、間抜けな声とともにその扉は開く。
「不衛鬼、こうすいせんしタオシタのか?すごいな。おれ、たおせなかった」
「お前と一緒にされたくないわ!金も持ったことだしこれで帰るぞ!?」
扉の向こうには先日プリティー・コロンが倒したはずの屁鬼が立っていた。
しかし、体が一回り大きくなっており、大きかった尻は前以上のものになっている。
用を終えた二人は金を持って金庫を去ろうとしたが、
「ん?そういえば、邪魔をする奴は倒して連れてこいだかと奴らが言っとったのう・・
仕方ない、こいつも連れて行くか」
最終更新:2008年12月21日 23:08
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