そのころ、レイナはというと・・
いまだに落とし穴の中で納豆とガスの匂いに苦しんでいた。
「ぅぅ・・(意識が・・・朦朧としてきましたわ・・・早く出ないと・・・・)ろ・・『ローズ・パヒューム』・・・」
朦朧とする意識の中、立っているのがやっととも思えるような状態で、なんとか声を絞り出す。
バラの花びらはごく小さい範囲に集中して高圧で吹き荒れ、重いふたを吹き飛ばす。
これで、ようやく重たくよどんだ空気が外に逃げていく。
「はぁ・・はぁ・・・・危なかったですわ・・・でも、まだまだトラップが仕掛けられていそうですし、気をつけませんと」
穴から這い上がり、レイナが出たところは普通の廊下・・しかし、先ほどまでいた下を見るとそこには納豆の絨毯。
それを見る限り、何処にトラップが仕掛けられていてもおかしくないと思い、再び気を引き締める。
「・・それにしても、納豆臭くてたまりませんわ!何とかなりませんの?!」
落とし穴から抜け出しても体や髪の毛についた納豆は付いてきてしまい、その匂いに顔をしかめながら不満を言う。
「まったく!こんな陰湿な罠を作ったのは何処の誰か、顔が見たいですわ!」
「では、お見せしよう!」
ピクシー・コロンのふとした一言に何者かが返すと、颯爽と一人の男が現れる。
筋肉質の体をぴっちりと覆う青いボディースーツ、左胸には「TM」と読めるマークのようなものが描かれている。
一見して、悪臭モンスターにも研究員にも見えないこの男にピクシー・コロンは戸惑い、軽蔑の眼差しを男に向ける。
「・・・(なんですの、この男・・?いきなり現れて・・しかもこんな格好で・・・羞恥心というものがありませんの?)」
「ん?なんだ君は・・顔が見たいといったから出てきたというのに、その態度とは失礼だな」
ピクシー・コロンの視線に気づいた男は、怒ってこそいないが不満を含んだ表情でピクシー・コロンを注意する。
この言葉でピクシー・コロンは目の前の男がこの陰湿なトラップを仕掛けたのだと気づく。
「あなたでしたの?!この罠を作ったのは・・じゃあ、さっき上から納豆を投げ入れたのも?」
「はははっ!そうだとも!!私の名はトラップマスター。トラップ専門の悪臭モンスターだ!」
およそトラップを仕掛けるような者とは思えないようなさわやかな自己紹介。
しかし、ピクシー・コロンにとって見ればこの態度は腹立たしいものでしかない。
ふつふつと怒りがこみ上げ、体を震わせる。そして、怒りが沸点を超えると・・
「そこに直りなさい!!私が正義の鉄槌を下して差し上げますわ!!!」
「あんなになるまで攻撃しないなんてねぇ・・お姉ちゃんの優しいところは良い所だけど、限度ってものがあるよ?」
洗脳されてこそいれど記憶は残っているようで、いつものように話しかける。
しかし、対するキューティー・コロンの表情はいつもとは違い、悲しそうに見える。
「あれ?お姉ちゃん、どうしちゃったの?」
「みくちゃん・・お願いですから、そこを通してください・・みくちゃんとは戦いたくありません」
プリティーコロンは唯一の進行方向にいるのだが、敵の手に落ちたプリティー・コロンがただでそこを通してくれるはずもない・・
しかし、それでもプリティー・コロンに残っている自我にわずかな希望を抱いて懇願する。
「えぇー?・・うーん・・そうだなぁ~・・・うんっ♪いいよ」
「ほ、本当ですか?!」
いくら自分が頼んだこととは言え、本当に受け入れてもらえるとキューティー・コロンも驚いてしまい、思わず確認する。
プリティー・コロンはこの言葉に何も返さなかったが、黙って道を開ける。
そして、キューティー・コロンもまた、この好意を受け取ってお礼を言いつつ先に進もうとする。
「ありがとうございます」
「た、だ、しぃ♪・・お姉ちゃんが、ちょっとだけみくのお相手してくれたらだけどねぇ」
横をキューティー・コロンが通り過ぎる瞬間、プリティー・コロンはその手を掴んで引き止める。
道を譲ってもらったはずなのに、何の相手をすればいいのか・・そう思いながらキューティー・コロンは後ろを振り返る。
すると、目の前には香水のビンが自分に向けられた状態で静止しており、危険を察知したキューティー・コロンはあわてて顔をそらそうとする。
プシュゥッ!!
しかし、それも一歩間に合わず、香水はキューティー・コロンの顔めがけて噴射され、その匂いも周りに拡散する。
それを嗅いだキューティー・コロンはいきなり両膝から崩れる。
「ぅ・・これは・・・力が、入りません・・・」
今まで悪臭モンスターの悪臭を嗅がされていたときとは別次元の・・体の心から力が抜けていくような感覚に襲われたキューティー・コロン、
その感覚はじわじわと毒のように広がっていき、ついには指すら満足に動かせないほど担ってしまう。
「みく・・ちゃん・・・これは、一体・・・」
「えへへ♪これね、みくの新しい変身用香水だよ。お姉ちゃんにはちょ~っと刺激が強すぎたかな?」
自慢げに香水のビンを見せ付けるプリティー・コロン、よく見るとそれは一郎が普段香水を入れているビンとは少しデザインが違っている。
そして、その匂い・・「臭い」というより、「嫌な匂い」といったほうがしっくりするその匂いは、脱力しきった体に響く。
「今は力が入らないと思うけど、すぐに元に戻るから安心してね?で、も・・♪」
キューティー・コロンを気遣うような言葉をかけたかと思いきや、今度はキューティー・コロンを押し倒す。
「力を奪っちゃうのは香水だけじゃないよ?お姉ちゃんはどれくらい耐えられるかなぁ??」
「んっ!?んっんむうぅぅ!!!(や、やめてください!!みくちゃん!!)」
ぶううぅぅぅぅ
プリティー・コロンのお尻が振動し、熱いガスが噴射される。先ほど直撃を受けていたピクシー・コロンの様子を見るに、
絶対に嗅いではいけないと、覚悟を決めて息を止める。
「あっれぇ?いけないなぁ~、息なんか止めちゃって・・・くふふ♪でも、息を止めれば止めるだけ、苦しむだけだと思うよ?」
お尻を強く押し付けつつ、小さなオナラを何発も噴射していってキューティー・コロンの鼻とプリティー・コロンのお尻の間のわずかな空間を、
酸素の入る隙間のないほどにオナラで満たす。
そして、それが終わると今度は人差し指をおもむろにキューティー・コロンのわき腹に持っていって、
まるでつぼを探しているかのように動かす。
「っ?!!(まさかっ・・!だめですっ!そこだけは、やめてくださ・・)」
「お姉ちゃんの弱点♪ここだったよねぇ?」
ツンツン
洗脳されていても記憶は残っているため、キューティー・コロンもとい春菜の弱点・・幼馴染のみくを除いて誰も知らないそれを刺激する。
弱点といってもただ敏感なだけだが、この状態でそんなところを刺激されてしまえば・・
「●%Я&Π∇!!!?っ!!?んうーーーーーー!!!!(退けて退けて退けて退けて退けてくださぁーーーい!!!!)」
弱点を刺激されたことで力が抜けてしまい思わず空気・・ではなく滞留していた悪臭ガスを吸い込む。
わずかな隙間に圧縮されていたガスの威力。脳を直接揺さぶられたかのような強い衝撃の後、襲い来る強烈な臭気・・おそらくこの匂いを表現するのなら、ありとあらゆる運動部の使用済み練習着の匂いを凝縮して、
それをにんにくペーストにつけたもの・・といえるのだが、そんなものを普通の人間、ましてやキューティー・コロンもとい春菜のような乙女に縁があるはずがない・・
しつこく残る未知の悪臭に苦しめられ、さらには下の部屋で小動物たちのオナラを嗅いだダメージが残っていることもあって、
キューティー・コロンが動けなくなるまでにそれほど時間は必要なかった。
「お待ちなさい!!いつまで逃げるつもりですの?!!」
そのころ、ピクシー・コロンは悪臭モンスタートラップマスターを追って、廊下を走っていた。
こうなったのは今から数分前・・
「そこに直りなさい!!わたくしが正義の鉄槌を下して差し上げますわ!!!」
トラップやトラップマスターの態度で募った怒りが爆発し、トラップマスターに必殺技を見舞おうとする。
しかし、攻撃の構えを取っている合間にすでにトラップマスターは走り去っており、数十メートル先にいる。
「はははっ!君は何を言ってるんだ?!敵である君の言うことを私が聞くわけないじゃないか」
ピクシー・コロンの神経を逆撫でするかのようなさわやかな笑い声を上げながらも、一切後ろは向かない。
この見事な逃げっぷりにピクシー・コロンは呆気に取られるが、すぐに我に返るとトラップマスターの後を追う。
「に、逃げ・・・お待ちなさーい!!そんなんじゃ、わたくしの怒りが収まらないじゃありませんの!!」
という経緯があって今に至る。
「うおっ!?もう追いついてきたのか・・やはり、体力では勝てないな」
もともとの体力もあって、ピクシー・コロンは徐々にトラップマスターとの距離を縮めていき、
最初は数十メートルあったものも、今では後十メートルほどに・・
だが、こうなってしまってもトラップマスターの顔に焦りの色はない。
「言い忘れていたが、ここのフロアには私が仕掛けたトラップがたくさんあるんだ。君のように考えもなしに走っていると・・」
隠し持っていた携帯電話を開くと、番号を入力し始める。おそらく、トラップのスイッチなのだろう・・
入力が終わり、ピピッと鳴るとピクシー・コロンの行く先に大きな落とし穴ができる。
「こんなもの・・・わたくしにはもう通じませんわよ!」
だが、それを大きな跳躍で見事に回避するピクシー・コロン。その後もいくつか小さな落とし穴を設置されるがことごとく回避していく。
「さすがに簡単にはいかないな・・だが、犬も歩けば棒にあたる。そんな風に調子に乗ってると・・」
今回もピクシー・コロンがジャンプして落とし穴を回避・・しかし、それだけでは終わらず・・
突如、ピクシー・コロンの目の前に虫取り網のような大きな網が出現。ジャンプ中だったため、回避することができず網に捕えられる。
「きゃあああぁ!!・・くぅ・・・わたくしは虫じゃありませんわよ!」
網に捕らえられるという屈辱を受けたピクシー・コロン。早くとラップマスターを倒して、この腹立たしい気持ちを抑えようと、
網からの脱出を図るが、網が絡まってしまいかえって逆効果になる。
「はははっ!そんなカッカしていては抜け出せるものも抜け出せないぞ!だが、私が出してあげよう」
ピクシー・コロンの様子を見て、格好の良いことを言っているようなトラップマスターだが、
実際には網の中のピクシー・コロンを放って置いて、前方を走っている。
しかし、その言葉に嘘はなかったようで遠隔操作で天井につるされた網を落とす。
当然、ピクシー・コロンは受身が取れないため地面にたたきつけられてしまう。
「きゃああぁぁっ!!!・・っつうぅ~~・・・あの男、ぜっったいに許せませんわ・・」
トラップマスターに対する怒りがさらに強くなる中、網から抜け出す。幸い、釣らされていたときと違って安定している地面での脱出だったため、
網はすぐに解けてトラップマスターの追跡を開始。
しかし・・
「いないですわ・・でも、きっとこのあたりに隠れてますわね・・」
廊下の行き止まりに着いたというのに、トラップマスターの姿はない・・
だが、完全に消えるなど不可能。周りにいくつかの部屋があるためそこに隠れたに違いないと判断するとどの部屋に入るか考える。
「っ!?・・怪しいですわね・・・でも・・」
周囲を見回した結果、一箇所だけ中途半端に開いた扉があることに気づく。その中に、トラップマスターがいるかもしれない・・
だが、同時にトラップが仕掛けられているかもしれないという不安があり、その扉を開けて中に入ることを躊躇ってしまう。
「このまま、黙っていては埒が明きませんわ!警戒して入ればトラップだって回避できるのですし・・」
意を決して扉に手を掛け、ゆっくりと開く・・どんな陰湿なトラップが仕掛けられているか不安でいっぱいだったが、
以外にもトラップは発動しない。
そのことで少し安心したピクシー・コロンは、警戒を解くことはないがゆっくりとその部屋に入っていく。
特に何も仕掛けられていない・・と言うより何もない部屋。
あるものと言えば照明と換気口、そして床に敷かれた絨毯くらいである。無論、トラップマスターが隠れるようなスペースはない。
「誰もいませんわね・・それじゃあ、次ですわ」
ここにこれ以上いても無駄だと判断すると、廊下に出ようと歩いていく。
しかし・・
バタンッ!・・ウィーーーーガチャッ
この部屋への唯一の出入り口である扉は自動的にしまり、ロックを掛けられる。
ピクシー・コロンはこの部屋の中に閉じ込められたのだ。
「はっはっはっ!まさか、こんなにも簡単に引っかかってくれるとは・・君は相当素直な性格のようだなぁ!」
扉の向こうからトラップマスターの声が聞こえてくる
「その声は・・!」
「君がこの部屋に入ることは計算済みだ。すべての部屋を探そうとしたとき、
人は危険とわかっていても一番怪しい部屋を調べようとするからな」
聞かれてもいないのに、ピクシー・コロンをこの部屋に誘い込んだトリックを明かすと、
自慢げに高笑いする。
「そんなことはどうでもいいですわ!ここから出しなさい!!正々堂々戦うことはできませんの!?」
「愚問だな、私はトラップ専門なのだ。正々堂々など無縁も無縁だ」
ピクシー・コロンの挑発も軽くかわすと、再びトラップの入力を開始する。
すると、ピクシー・コロンのいる部屋の照明・・に隠されていたスプリンクラーから水ではない液体が噴射される。
当然、部屋中がその液体まみれになり、ピクシー・コロンも例外ではない・・
「きゃあっ!?・・・・この匂い・・牛乳・・?」
牛乳シャワーのおかげで、髪やコスチュームについていた納豆は綺麗に落ちる。
これだけならありがたいのだが、換気口から熱風が送り込まれると・・
「ぅっ!・・・酷い匂い・・ですわ・・」
牛乳が乾かされたことで悪臭を発する。特に絨毯には牛乳がたくさんしみこんでいたため、その匂いも強い。
おまけに部屋の中は熱気に包まれているため、ただの悪臭でも通常時以上に強烈に感じてしまう。
ピクシー・コロンは悪臭と暑さに体力を奪われ、次第に息遣いが荒くなっていく。
「はぁ・・はぁ・・・いけませんわ・・このままだと・・意識が・・・」
と、そこに今まで扉の外にいたトラップマスターが扉を開けて中に入ってくる。
当然、匂いと熱気が外に漏れないようにすぐに扉を閉める。
「な、何のつもりですの・・・」
「君が倒れるところを直に見せてもらうのさ。そして、気絶しだいすぐにある場所に連れて行く」
「じょ・・冗談じゃ・・ありませんわ・・・『ローズ・』・・」
ここで気絶してしまっては、プリティー・コロンのように洗脳されて仲間と戦わされる。
それだけは防ごうと、弱弱しくとも反撃しようと必殺技を放とうとする。
しかし
「おっと!そうはいかないぞ!」
『ローズ・パヒューム』の前に、部屋の壁から十数のマジックハンドのような手が現れ、ピクシー・コロンの身体を拘束。壁に磔にする。
「君の必殺技は両手を前に突き出さないと使えなかったはずだ。つまり、これで君の反撃は不可能・・私の勝ちだ!」
反撃できないとわかると今度はピクシー・コロンに近づいていき、勝ち誇ったような表情で見つめる。
しかし、これは大きな間違い。
「こんなに近づいて・・良いんですの?」
「構わないさ!今の君はただの女の子だ。恐れることは何もない」
「そうですわね・・・・あなたがここまで近づいてこなければ、ただの女の子でしたわ。
『ローズ・パフューム』!!」
トラップマスターの予想とは裏腹に、ピクシー・コロンは必殺技を使用。
だが、いつもと少し様子は違う・・
「な、なぜだっ!?なぜ技をっ!!もしや、私を嵌めたのかぁーーー!!!」
最後にそう残すとトラップマスターは浄化されていった。
「別に嵌めたわけじゃありませんわ。『ローズ・パヒューム』に条件なんて、本来はありませんもの」
『ローズ・パヒューム』によって、ピクシー・コロンを拘束していたマジックハンドも壊れ、ゆっくりと床に足をつける。
彼女の言うとおり、『ローズ・パヒューム』に条件などはない・・彼女がいつも構えを取っているのは攻撃を安定するため。
攻撃力が高い反面、非常に不安定であり構えを取らないと攻撃が拡散してしまい、せっかくの攻撃力も生かせないのだ。
しかし、構えを取らなくても攻撃が拡散することもできないくらいの至近距離なら話は別・・
つまり、トラップマスターはその範囲内に入ってしまったのだ。
今まで必要以上にピクシー・コロンから距離をとっていたことを考えれば滑稽な話だ。
「それにしても・・っ!?(本当に酷い匂いですわね・・こんなところに長居したら、また身体に匂いが染み付いてしまいますわ)」
敵を倒したことで安心すると、部屋の中に充満する悪臭に気づき、堪らず鼻を覆って部屋の外に出る。
幸い、ピクシー・コロンが外に出ることはできないだろうと思い込んでいたトラップマスターが、
部屋の中に入る際、扉を閉めはしたが鍵を掛けることまではしなかったためすぐに脱出。
「はぁ・・はぁ・・・もう、牛乳はしばらく飲みませんわ」
コスチュームにたっぷりついた牛乳の匂い、そして先ほどの納豆の匂いが混じりあい、強烈な匂いを放っており、
ピクシー・コロンは部屋から脱出してもなお鼻を覆った状態で心の底から思ったことを漏らす。
「ほらほら♪こ~んなオナラはどうかなぁ?」
フシューーーーー
「んっ!?んぅぅ~~!!(苦しい・・せめて・・・空気が・・・)」
まともに動けなくなってからもプリティー・コロンの容赦ない責めは続いていた。
子供のような無邪気な態度でさまざまな凶悪な悪臭を放つプリティー・コロンの責めに対し、
キューティー・コロンは抵抗するものの、その力は弱弱しいものでとても抵抗しているようには見えない。
何せ、オナラでの責めの間酸素の供給が一切ない・・彼女に回ってくる空気と言えば、
それはプリティー・コロンのお尻から噴射されたガスのみ。
当然、まともに吸うはずもなく、体力はこのとおりの結果である。
「んー?お姉ちゃん、もっと暴れてくれないとぉ・・みく、つまんないよぅ」
最初はキューティー・コロンが徐々に弱っていく様子を見て楽しんでいたのだが、
責めても責めても反応が薄いと、どうしてもつまらないようで、
キューティー・コロンに良く聞こえるように、わずかにお尻を上げて言う。
「っ?!(お尻が上がった・・・)っっ!」
ずっと顔を圧迫していた小ぶりなお尻がわずかに上がったことに気づくと、待ちわびたように空気を貪り吸おうとする。
しかし・・
「ごほっごほっ・・ぅ・・・(わ、忘れて・・ました・・・まだ、匂いが滞留してるのに・・)」
いくらお尻を上げてもらったとはいえ、そこはつい先程まで何発もの強烈なオナラが噴射されていた、
いわば悪臭の第一級危険地帯である。普通の感覚で息を吸えばむせ返るのが当然である。
「みく・・ちゃん・・・も、もぅ・・やめて、ください・・いつもの・・優しいみくちゃんに・・・戻って・・・」
「え?・・・ヤーだよっ!こうやって、お姉ちゃんやレイナ先輩にオナラ嗅がせるの、とっても楽しいし、
それに、お姉ちゃんの言い方だったら、まるで今のみくが優しくないみたいだもん」
「そ、そういうつもりじゃ・・・んぷっ!!?」
用を終わったからか、キューティー・コロンの言葉に腹を立てたからか、上げていたお尻を勢い良く、
キューティー・コロンの顔を押しつぶすように落とす。
「もういいや!せっかくあと少し嗅がせたらやめてあげようと思ってたけど、酷いこと言うお姉ちゃんにはキツ~イ一発でお仕置きしてあげるんだから」
そう言うなり、お尻を動かしてキューティー・コロンの鼻とオナラの噴射口を密着させ、
オナラの充填・圧縮に取り掛かる。
もはや、こうなってしまってはキューティー・コロンの完全敗北は時間の問題。
今まで散々責め続けられたのだから、後一発・・それもキツ~イ一発など耐えられるはずがない。
そう思い、覚悟を決める。
「(ごめんなさい、レイナさん・・私・・・)」
残りをすべてレイナに託してしまうことに謝り続け、いよいよオナラの準備が完了する。
「えへへ・・オナラセットかんりょー♪それじゃあ、カウントダウン始めるねー?
スリー♪・・・・トゥー♪・・・・・ワン♪・・・・・・・・・・・・・・・・・」
楽しそうにカウントダウンをしていたプリティー・コロン、しかしいつまでたってもゼロを迎えることがない・・
そして、まだオナラをしていないのにプリティー・コロンは突然立ち上がる。
「(早く、どこかお姉ちゃんから離れたところに行かないと・・・・あった!)」
なぜか一人で廊下沿いの部屋・・更衣室に入っていくと、その部屋の一番奥まで移動する。
そして・・
ブッッッ!!ブブゥーーーーーーーーー!!!!!
本来ならとっくにゼロを迎えて放出している筈だったガスを、そこでようやく出す。
キツ~イ一発と言っていただけあって、その匂い・量ともに今までの数段上を行っている。
しかし、なぜプリティー・コロンがこのような行動に走ったのか?
その答えは簡単である。
彼女のコスチュームが黒からカナリーイエローに変わった、つまり彼女に掛けられていた洗脳が解けたのだ。
そして、彼女には洗脳されていたときの記憶が残っており、
自分が今すぐにでもとんでもないオナラを、キューティー・コロンの顔の上で噴射しようとしていると気づいて、
なるべく巻き込まないようにこんなところに来たのだ。
しかし、密閉された狭い更衣室の中でこれほど大きなオナラをしたのだから、部屋中にオナラが満たされてしまっている。
「は・・はぅぅ・・(これは・・自分のなのに・・・強烈・・だよぅ・・・)」
いくら自分のオナラとはいえダメージは大きいようで、プリティー・コロンはふらふらとしながら更衣室を出て、
倒れたキューティー・コロンの元に歩いていく。
「お、お姉ちゃん・・酷いことしてごめんなさい・・・」
まず第一の言葉が謝罪。敵に回った自分に攻撃をしようとせず語りかけ続けてくれたのにも拘らず、
こんなにもボロボロになるまで責め続けたことを、酷く後悔しているようだ。
「よかった・・・いつもの、みくちゃんです・・・でも・・悲しい顔・・しないでください・・・」
元に戻ったプリティー・コロンを見て一安心だが、最後に泣きそうな表情をしているプリティー・コロンの頭をなでる、
そして、意識を失ってしまう。
「ぅ・・・うわーーん!!ごめんなさーい!!」
慰めるつもりのキューティー・コロンの優しい言葉が、かえってプリティー・コロンには辛かったのか、
それとも嬉しかったのか、気を失ったキューティー・コロンに抱きついて大泣きで謝り続けた。
最終更新:2008年12月21日 23:14