香水戦士コロン(6)

「ふぅ・・ようやく気にならないくらいまで薄まりましたわ・・」
トラップマスターを倒したピクシー・コロンは、全身に染み付いた悪臭を落とすべく、
変身用香水を吹きかけていたのだが、牛乳の匂いならまだしも大嫌いな納豆の匂いはどれだけ薄まっても気になってしまい、
使いすぎはいけないとわかっていたが、大量の香水を使用して匂い消しを行ったのだ。
「これで先を進めますわ!早く春菜と合っ・・ではなく、春菜より先に敵を倒すのでしたわ」
分かれてしまったキューティー・コロン、そして操られて自分を攻撃してきたプリティー・コロン、
その二人が心配だが、その気持ちを隠すかのようにして早歩きでトラップマスターのフロアから出て行く。
「どうやら、トラップが設置されているのはあのフロアぐらいだったようですわね・・」
本当に設置されていないのか、それともトラップマスターのスイッチがないからか、先程のフロアーが嘘のように、
まったくと言っていいほどトラップが発動しない。
その上、敵も出てこないためピクシー・コロンは労することなく先へ先へと進むことができたのだが、
何も起こらないことがかえって不安を募らせるものである。
「(だんだん空気が重くなってきましたわ・・)」
徐々に大きくなってくる得体の知れない重圧が先に進もうとする足を重くするが、
それでも決して足を止めることはない。
そして、ピクシー・コロンが行き着いた先は仰々しい扉。
いかにもこの先に何かが待っていると思わせるようなその出で立ちに、ピクシー・コロンは思わず固唾を呑むが、
躊躇うことなくその扉を開く。
「なんじゃあ?!もう来たのか?意外と早かったのう!」
部屋を空けた瞬間、むわぁっと悪臭があふれ出す。そしてその中にはプリティー・コロンを完全敗北に追いやった不衛鬼がいた。
「くっ・・(相変わらず、汚らしい姿ですわね・・・)」
不衛鬼に侮蔑の視線を向け、獣のような匂いをなるべく嗅がないように鼻を押さえながら部屋の中へと入っていく。
この目の前の敵こそプリティー・コロン、いやみくを痛めつけ、あまつさえ洗脳まで施したのだ・・
そう思うと、ピクシー・コロンの中に怒りがこみ上げてくる。
「ん?もう一人はどうした?」
「あなたごとき、わたくし一人で十分ですわ!」
キューティー・コロンのことを尋ねた不衛鬼に対し、強気に挑発で返すが、不衛鬼の顔に怒りは見えない。
むしろ、その態度が気に入ったのか口を大きく開けて大笑いする。
それは、同時にピクシー・コロンに向かって盛大に口臭を浴びせることに・・
「がっはっは!!そいつは頼もしいわい!!」
「んぅっ?!(どうやったら体の中がこんなに臭くなりますの・・?)」
これには堪らず引き下がり、匂いから逃れる。
すでにこの時点で不衛鬼の実力の片鱗を見てしまい、ピクシー・コロンの頭の中で早くこの敵を倒してしまわねばと言う焦りが生じる。
「(この匂い・・長期戦は不利ですわ・・・だとしたら・・)『ローズ・パフューム』!!」
ピクシー・コロンがとった行動は先手必勝の『ローズ・パフューム』。
プリティー・コロンの『スウィート・ミスト』は効かなかったが、攻撃力の高い『ローズ・パフューム』なら同じようには行かないだろう・・
しかし
「『アンチコロンフィールド』発動!!」
今まで気づかなかった部屋の隅の壁に設置されたスピーカーから、男の声が響く。
すると、不衛鬼に向かっていたバラの花びらが灰色に変色し、ピクシー・コロンに向かって方向を変えてやってくる。
「な、何が起きましたの?!きゃあああぁっ!!!」
突然の出来事に、ピクシー・コロンは動揺してしまい回避することすら忘れて直撃を受けてしまう。
花びらの竜巻の中に閉じ込められるピクシー・コロン。
本来の『ローズ・パフューム』とは正反対で、竜巻の中は強烈な腐臭の嵐である。
その匂いを嗅いでしまったピクシー・コロンは竜巻の中で蹲りむせ返る。
自慢の必殺技がこんな形で返された・・しかもその匂いは、自分が出したとは思いたくもない激臭である。
プライドの高いピクシー・コロンにとって見れば、これはショックなことだ。
「(な、何かの・・間違い・・ですわ・・・わたくしが・・こんな・・・)げほ・・げほっ・・!」
一撃で勝負を決めようと放った必殺技だったが、カウンター・・それも正体のわからないカウンターを受けると言う最悪の結果に終わる。
「ぷはぁっ・・・はぁ・・はぁ・・・はぁはぁ・・・」
時間を置いてようやく竜巻が消えると、ピクシー・コロンは今まで数個とのできなかった新鮮な空気・・
と言っても、不衛鬼の匂いでよどんだ空気ではあるが彼女にとって見ればそんなことはどうでもいい、
あの腐臭に比べたらこの場に漂う匂いなど可愛いものなのだ。
「君たちコロンの攻撃は、プリティー・コロンによって分析させてもらった。ここではもう通用しないよ」
ピクシー・コロンの様子を監視カメラか何かで見ていたのか、スピーカーから再び声がかかる。
声の主は研究所の所長であり、『ローズ・パフューム』を跳ね返したのは『アンチコロンフィールド』という
コロンたちの攻撃を悪臭に変えてしまうフィールドを形成する装置の仕業である。
不衛鬼の仕業と思わていた洗脳も実はこの所長の手によるものである。
「わしに勝手に何をしとるんじゃ?!!戦いに手を出すんじゃないわ!!」
敵であるはずの不衛鬼もこんなことが起きるとわかっていなかったのか、先程の声の主に大声で怒鳴る。
「くっ・・(出来損ないが・・しかし、やつを怒らせると厄介だな)わかった。実験はこれで終了。私たちはこれ以上戦いには干渉しない」
不衛鬼の態度に不満があるようだが、おとなしく引き下がることに・・
「判れば良いんじゃ」


「や、やってくれますわね・・あの子を調べてこんなことをするなんて・・・」
「わしは知らんわい。わしはあの娘っ子を倒しただけじゃ」
敵(所長)の手にまんまと嵌ってしまったピクシー・コロンは不衛鬼を皮肉るが、
覚えのないことだけあって、不衛鬼も不服そうである。
もうこれ以上のやり取りをしていても無駄。それより、得体の知れない装置が解除されたのだからもう一度攻撃するべきである――
そう考えたピクシー・コロンは立ち上がり、再び攻撃をしようとする。
しかし・・
「っ!?ち、力が・・入りませんわ・・・」
途中まで立ったのはいいが、結局崩れて膝立ちのかっこうになる。
先ほどのカウンターのダメージは思った以上に大きい、いやそれ以前にトラップマスターとの戦いで追ったダメージが完全に抜けていなかったのだ。
「ん?なんじゃ、動かんならこっちから行くぞ!」
相手の動きを待っていた不衛鬼も、ピクシー・コロンが動かないとなると攻撃に転じる。
ピクシー・コロンが動く様子がないからか、その動きは戦いの最中とは思えないほどゆっくりしている。
それでも、確実に近づいていき遂にはピクシー・コロンの眼の前に・・
「あれしきのことで動けないとは情けないのう!」
「ご冗談ですわね・・これくらい、本気を出せば・・・」
不衛鬼の期待はずれのような態度に、ピクシー・コロンは思わず対抗しようとブラフをかける。
誰が聞いてもはったりとわかるようなものである。
しかし、不衛鬼は違った。彼女の言葉を真に受けてしまい、
「がははっ!それじゃあ、これで本気を出させてやるわい!」
ピクシー・コロンの顔を脇で挟み込む。
こうすることで本気を出さねばならない状況に追い込もうとしたのだ。
うっそうと茂り湿ったわき毛がピクシー・コロンの顔を覆い、不衛鬼がわずかに体を動かすによって刷毛のような働きをしてベトベトの汗を塗っていく。
「っ!~~~っっ!!?」
わき毛を擦りつけられ、汚い汗が顔に塗られていくという屈辱に震えるピクシー・コロン。
しかし、震えの原因は屈辱だけではない。
酸っぱい汗の匂いと腋臭は先ほどの花びらの腐臭と比べるとわずかに劣るが、持続力はこちらの方が上。
じわじわと体の芯から悪臭に染めていく様な腋臭責めは、ピクシー・コロンの体力をさらに削っていく。
「(ぜ、全身から・・力が抜けて・・・・・意識が・・遠くなってきましたわ・・・このままじゃ・・)」
「がっはっはっ!!どうじゃあ?!少しは気合が入ったか?!!」
まだ、先ほどのブラフをまだ信じているのか、立ち上がりピクシー・コロンに確認するが返事はない。
当のピクシー・コロンはダメージが大きく、不衛鬼にかまっている余裕すらないのだ。
「はぁ・・はぁ・・・(鼻が・・おかしく、なるかと・・思いましたわ・・・)」
しつこく残る不快な匂いに表情を歪めつつも、解放された安心感が顔から読み取れる。
「んん?!なんじゃ、せっかく気合いを入れてやったというのに、へたり込みおって・・
そうか!気合が足らんかったんじゃな!?それじゃあ、今度は特大の気合いを入れてやるわい!!!」
一向に自分が勘違いをしているということに気付かず、ピクシー・コロンを尻目に勝手に一人で事を進めていこうとする。
不衛鬼の言う特大の気合いとは一体何なのか・・
「はぁ・・くっ・・・はぁはぁ・・・よ、ようやく・・・匂いが・・薄まりましたわ・・」
しばらく動かなかったのにも拘らず不衛鬼からの攻撃がなかったため、ある程度体力は回復して立ち上がる・・
と言っても、フラフラとしているところや表情からいまだにダメージは色濃いようだ。
そんな状況ではあるが、今は戦いの真っ只中・・敵である不衛鬼を倒そうと、まずはどこにいるかを確認する。
しかし、直後にピクシー・コロンは硬直することになる。
なぜなら、視線に入った不衛鬼のその姿は下半身全裸だったのだ。
「・・・・・・・きゃああああああああぁぁぁ!!!!!な、何で裸になってますのぉ?!?!?!」
「キーキー騒ぐんじゃないわ!!耳がおかしくなるかと思ったわい!!」
部屋全体に響く大きな悲鳴に耳を押さえる不衛鬼。その手には何か握られている。
ピクシー・コロンは不衛鬼に話しかけられても動揺してしまっており、落ち着く様子がない。
当然、不衛鬼の手に握られているものなど意識のかけらも向いていない。
「わ、わたくし・・なんてものを・・・」
「がっはっはっ!!そんなに感動したのかぁ!?」
「うるさいですわ!!!!誰が感動なんてするものですか!!!!・・っ?!それは・・」
不衛鬼の言葉によってようやく動揺から醒めると、不衛鬼の手に握られていたものに気づく。
それは、不衛鬼の下着・・パンツだ。全体が黄ばみ、ところどころ染みが出来ており、
いかにも汚く臭いものだとわかるようなものだ。
それを手に握っていると言うことは、何をするかなどわかりきったことである。
ピクシー・コロンも当然これからされることを察知して逃げようとするが、それより先に不衛鬼に捕まってしまう。
「何処に行くんじゃ!?わしがせっかく気合を入れてやると言ってるんじゃ、感謝せい!!」
そんなこと、誰も頼んでいない・・ピクシー・コロンがそう言おうとしたところで、
汚布が顔に押し付けられ、言葉を遮られる。
「っっ!?!?!!?!んぶううぅぅ!!んんぅうううぅぅ!!!!~~~!!!
(くさっ・・くさい・・臭いいいぃぃぃぃぃいいぃ!!!!!)」
糞尿、汗、恥垢・・およそ、人間の体から出る臭いものの匂いをふんだんに染みこませたパンツ。
おまけに脱ぎたてと言うこともあって、不衛鬼の体温を感じながら悪臭地獄に落とされたピクシー・コロンは、
響かない悲鳴を上げて苦しみながらも、この悪臭から逃げ出そうと必死に抵抗する。
「どうだぁ!?少しは気合が入ったじゃろう!!・・・んん?!だが、まだ足りんようじゃのう!!!」
しかし、自分よりも二回りも三回りも大きな不衛鬼に、すでにダメージが溜まった体で抵抗しようと、
それは抵抗として受け取ってもらえないほどに弱弱しく、とても逃げ出せそうにはない。
「む”ぐぅ・・(も、もう・・・・ダメ・・・・・・・・・・)」
しばらくは意識を保ち抵抗し続けたが、ついには限界が来て気を失ってしまう。
「む・・なんじゃ、気を失いおってからに・・だらしない奴じゃのう・・・
そうじゃ!わしが早く起こしてやるわい!!」
ピクシー・コロンに対して気付けをしようと顔を拭くようにパンツをこすり付ける。
強烈な悪臭を嗅がされているため、うめき声を上げはするが大きな効果はなく、
ピクシー・コロンの顔に決して落とせない強烈な悪臭を顔に染みつけられただけだった。
最終更新:2008年12月21日 23:16
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。